(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005613
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】印鑑のリユースシステム及びリユース方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20230111BHJP
【FI】
G06Q10/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107641
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 元
(74)【代理人】
【識別番号】100217191
【弁理士】
【氏名又は名称】林 信吾
(72)【発明者】
【氏名】坂田 享裕
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】印鑑のリユースを普及させるのに適した印鑑のリユースシステム及びリユース方法を提供すること。
【解決手段】ユーザの印鑑に関する印鑑情報を受注側装置2の印鑑情報管理データベースに登録して管理する。受注側装置2では、発注側装置1を操作するユーザからの再生印鑑の注文を受け付ける場合、その再生印鑑を得るための加工を施す印鑑(リユースする印鑑)に関する再生印鑑情報を、印鑑情報管理データベースで管理される印鑑情報から特定する。この特定した印鑑情報に基づいて、再生印鑑の推奨印面情報を生成・出力したり、印鑑のリユース可否を判定するための条件を設定したりする。これにより、印鑑のリユースに係る作業の効率化を図ることが可能となり、延いては、印鑑のリユースの普及に貢献することが期待できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユースシステムであって、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を登録して管理する管理手段と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記注文を受け付ける場合に、前記加工を施す印鑑に関する再生印鑑情報を、前記管理手段が管理する前記印鑑情報から特定する特定手段と、を備える
ことを特徴とする印鑑のリユースシステム。
【請求項2】
前記管理手段が管理する前記印鑑情報は、前記印鑑の仕様に関する仕様情報を含み、
前記特定手段が特定する前記再生印鑑情報は、前記仕様情報から特定可能な情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の印鑑のリユースシステム。
【請求項3】
前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記特定手段が特定した前記再生印鑑情報に基づいて生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記推奨印面情報を出力する出力手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印鑑のリユースシステム。
【請求項4】
前記管理手段は、前記印鑑情報を前記ユーザのユーザ情報と関連付けて管理するものであり、
前記特定手段が特定する前記再生印鑑情報は、前記印鑑情報から特定可能な第1特定情報と、前記ユーザ情報から特定可能な第2特定情報と、を含み、
前記生成手段は、前記第1特定情報及び前記第2特定情報に基づいて前記推奨印面情報を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の印鑑のリユースシステム。
【請求項5】
前記回収した印鑑のリユース可否を判定するための条件を、前記特定手段が特定した前記再生印鑑情報に基づいて設定する設定手段を備える
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の印鑑のリユースシステム。
【請求項6】
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユースシステムであって、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を登録して管理する管理手段と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記注文を受け付ける場合に、前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記管理手段が管理する前記印鑑情報に基づいて生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記推奨印面情報を出力する出力手段と、を備える
ことを特徴とする印鑑のリユースシステム。
【請求項7】
前記管理手段は、前記印鑑情報を前記ユーザのユーザ情報と関連付けて管理するものであり、
前記生成手段は、前記印鑑情報及び前記ユーザ情報に基づいて前記推奨印面情報を生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の印鑑のリユースシステム。
【請求項8】
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユース方法であって、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を管理手段に登録して管理する管理工程と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記注文を受け付ける場合に、前記加工を施す印鑑に関する再生印鑑情報を、前記管理手段により管理される前記印鑑情報から特定する特定工程と、
前記回収した印鑑のリユース可否を判定するための条件を、前記特定工程で特定された前記再生印鑑情報に基づいて設定する設定工程と、
前記設定工程で設定された前記条件に基づいて、前記回収した印鑑のリユース可否を判定する判定工程と、
前記判定工程でリユース可と判定された場合に、前記回収した印鑑に加工を施して再生印鑑を製造する製造工程と、を備える
ことを特徴とする印鑑のリユース方法。
【請求項9】
前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記特定工程で特定された前記再生印鑑情報に基づいて生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された前記推奨印面情報を出力する出力工程と、を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の印鑑のリユース方法。
【請求項10】
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユース方法であって、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を管理手段に登録して管理する管理工程と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記注文を受け付ける場合に、前記加工を施す印鑑に関する再生印鑑情報を、前記管理手段により管理される前記印鑑情報から特定する特定工程と、
前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記特定工程で特定された前記再生印鑑情報に基づいて生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された前記推奨印面情報を出力する出力工程と、を備える
ことを特徴とする印鑑のリユース方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印鑑のリユースシステム及びリユース方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みの製品を回収し、その回収した製品を修理、再生等した後にリユース品としてユーザに販売するリユースシステムが知られている(例えば特許文献1を参照)。リユース品として扱われる製品は、例えば、家電製品や衣料品、アクセサリー等、再使用(再利用)可能なものとされるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、個人印や法人印等の印鑑は、その印鑑の持ち主である本人を表す文字等が印面に彫刻される。このため、使用済みの印鑑を上述のようなリユース品として扱うのは馴染みがなく、印鑑のリユースについては、なかなか普及が進まないという実情がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印鑑のリユースを普及させるのに適した印鑑のリユースシステム及びリユース方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用した。
【0007】
手段1の印鑑のリユースシステムは、
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユースシステムであって、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を登録して管理する管理手段と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記注文を受け付ける場合に、前記加工を施す印鑑に関する再生印鑑情報を、前記管理手段が管理する前記印鑑情報から特定する特定手段と、を備える
ことを要旨とする。
【0008】
本リユースシステムによれば、ユーザの印鑑に関する印鑑情報が管理手段に登録されて管理される。そして、ユーザからの再生印鑑の注文を受け付ける場合、その再生印鑑を得るための加工を施す印鑑に関する情報(再生印鑑情報)、すなわち、リユース(再利用)する印鑑に関する情報が、管理手段で管理される印鑑情報(「登録済印鑑情報」ともいう。)から特定される。このため、加工を施す印鑑(リユースする印鑑)が実際に回収されるより前の再生印鑑の注文段階において、その印鑑に関する情報(再生印鑑情報)を把握することが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の効率化を図ることが可能となり、延いては、印鑑のリユースの普及に貢献することが期待できる。
【0009】
手段2の印鑑のリユースシステムは、手段1の印鑑のリユースシステムにおいて、
前記管理手段が管理する前記印鑑情報は、前記印鑑の仕様に関する仕様情報を含み、
前記特定手段が特定する前記再生印鑑情報は、前記仕様情報から特定可能な情報を含む
ことを要旨とする。
【0010】
本リユースシステムによれば、再生印鑑の注文段階で特定される再生印鑑情報(リユースする印鑑に関する情報)には、印鑑の仕様に関する情報(仕様情報)を基に特定される情報が含まれる。このため、加工を施す印鑑(リユースする印鑑)の仕様について、その印鑑が実際に回収されるよりも前に把握することが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の更なる効率化を図ることが可能となる。
【0011】
手段3の印鑑のリユースシステムは、手段1又は2の印鑑のリユースシステムにおいて、
前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記特定手段が特定した前記再生印鑑情報に基づいて生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記推奨印面情報を出力する出力手段と、を備える
ことを要旨とする。
【0012】
本リユースシステムによれば、再生印鑑の注文段階で再生印鑑情報が特定されると、その特定された再生印鑑情報に基づいて、再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報が生成され、その生成された推奨印面情報が出力される。このため、再生印鑑の注文段階で、再生印鑑の推奨印面をその注文者(ユーザ)に事前に確認させることが可能となる。これにより、印鑑をリユースするにあたっての利便性を向上させることが可能となる。
【0013】
手段4の印鑑のリユースシステムは、手段3の印鑑のリユースシステムにおいて、
前記管理手段は、前記印鑑情報を前記ユーザのユーザ情報と関連付けて管理するものであり、
前記特定手段が特定する前記再生印鑑情報は、前記印鑑情報から特定可能な第1特定情報と、前記ユーザ情報から特定可能な第2特定情報と、を含み、
前記生成手段は、前記第1特定情報及び前記第2特定情報に基づいて前記推奨印面情報を生成する
ことを要旨とする。
【0014】
本リユースシステムによれば、管理手段で管理されるユーザの印鑑に関する印鑑情報(登録済印鑑情報)は、そのユーザのユーザ情報と関連付けて管理される。そして、再生印鑑の注文段階で特定される再生印鑑情報(リユースする印鑑に関する情報)には、登録済印鑑情報を基に特定される情報(第1特定情報)と、その登録印鑑情報と関連付けられたユーザ情報を基に特定される情報(第2特定情報)とが含まれ、これらの情報を基に推奨印面情報が生成される。このため、ユーザの特性を反映した推奨印面情報の生成及び出力が可能となる。これにより、推奨印面情報の充実化を図ることが可能となる。
【0015】
手段5の印鑑のリユースシステムは、手段1から4の何れか一つの印鑑のリユースシステムにおいて、
前記回収した印鑑のリユース可否を判定するための条件を、前記特定手段が特定した前記再生印鑑情報に基づいて設定する設定手段を備える
ことを要旨とする。
【0016】
本リユースシステムによれば、回収した印鑑のリユース可否を判定するための条件(リユース可否判定条件)が、再生印鑑の注文段階で特定された再生印鑑情報に基づいて設定される。このため、加工を施す印鑑(リユースする印鑑)が実際に回収された際、その印鑑のリユース可否判定(検査)をスムーズに行うことが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の更なる効率化を図ることが可能となる。
【0017】
手段6の印鑑のリユースシステムは、
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユースシステムであって、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を登録して管理する管理手段と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記注文を受け付ける場合に、前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記管理手段が管理する前記印鑑情報に基づいて生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記推奨印面情報を出力する出力手段と、を備える
ことを要旨とする。
【0018】
本リユースシステムによれば、ユーザの印鑑に関する印鑑情報が管理手段に登録されて管理される。そして、ユーザからの再生印鑑の注文を受け付ける場合、その再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報が、管理手段で管理される印鑑情報(登録済印鑑情報)に基づいて生成され、その生成された推奨印面情報が出力される。このため、再生印鑑の注文段階で、再生印鑑の推奨印面をその注文者(ユーザ)に事前に確認させることが可能となる。これにより、印鑑をリユースするにあたっての利便性を向上させることが可能となり、延いては、印鑑のリユースの普及に貢献することが期待できる。
【0019】
手段7の印鑑のリユースシステムは、手段6の印鑑のリユースシステムにおいて、
前記管理手段は、前記印鑑情報を前記ユーザのユーザ情報と関連付けて管理するものであり、
前記生成手段は、前記印鑑情報及び前記ユーザ情報に基づいて前記推奨印面情報を生成する
ことを要旨とする。
【0020】
本リユースシステムによれば、管理手段で管理されるユーザの印鑑に関する印鑑情報(登録済印鑑情報)は、そのユーザに関連するユーザ情報と関連付けて管理される。そして、登録済印鑑情報とユーザ情報を基に推奨印面情報が生成される。このため、ユーザの特性を反映した推奨印面情報の生成及び出力が可能となる。これにより、推奨印面情報の充実化を図ることが可能となる。
【0021】
手段8の印鑑のリユース方法は、
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユース方法であって、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を管理手段に登録して管理する管理工程と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記注文を受け付ける場合に、前記加工を施す印鑑に関する再生印鑑情報を、前記管理手段により管理される前記印鑑情報から特定する特定工程と、
前記回収した印鑑のリユース可否を判定するための条件を、前記特定工程で特定された前記再生印鑑情報に基づいて設定する設定工程と、
前記設定工程で設定された前記条件に基づいて、前記回収した印鑑のリユース可否を判定する判定工程と、
前記判定工程でリユース可と判定された場合に、前記回収した印鑑に加工を施して再生印鑑を製造する製造工程と、を備える
ことを要旨とする。
【0022】
本リユース方法によれば、ユーザの印鑑に関する印鑑情報が管理手段に登録されて管理される。そして、ユーザからの再生印鑑の注文を受け付ける場合、その再生印鑑を得るための加工を施す印鑑に関する情報(再生印鑑情報)、すなわち、リユース(再利用)する印鑑に関する情報が、管理手段により管理される印鑑情報(登録済印鑑情報)から特定され、この特定された再生印鑑情報に基づいて、印鑑のリユース可否を判定するための条件(リユース可否判定条件)が設定される。この後、加工を施す印鑑(リユースする印鑑)が実際に回収されると、その印鑑のリユース可否判定(検査)が、設定工程で設定されたリユース可否判定条件に基づいて行われ、リユース可と判定されると、回収された印鑑に加工が施されて再生印鑑が製造される。このため、再生印鑑の注文から製造に至るまでの工程を効率化することが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の効率化を図ることが可能となり、延いては、印鑑のリユースの普及に貢献することが期待できる。
【0023】
手段9の印鑑のリユース方法は、手段8の印鑑のリユース方法において、
前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記特定工程で特定された前記再生印鑑情報に基づいて生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された前記推奨印面情報を出力する出力工程と、を備える
ことを要旨とする。
【0024】
本リユース方法によれば、前述の特定工程で再生印鑑情報が特定されると、その特定された再生印鑑情報に基づいて、再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報が生成され、その生成された推奨印面情報が出力される。このため、再生印鑑の注文段階で、再生印鑑の推奨印面をその注文者(ユーザ)に事前に確認させることが可能となる。これにより、印鑑をリユースするにあたっての利便性を向上させることが可能となる。
【0025】
手段10の印鑑のリユース方法は、
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユース方法であって、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を管理手段に登録して管理する管理工程と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記注文を受け付ける場合に、前記加工を施す印鑑に関する再生印鑑情報を、前記管理手段により管理される前記印鑑情報から特定する特定工程と、
前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記特定工程で特定された前記再生印鑑情報に基づいて生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された前記推奨印面情報を出力する出力工程と、を備える
ことを要旨とする。
【0026】
本リユース方法によれば、ユーザの印鑑に関する印鑑情報が管理手段に登録されて管理される。そして、ユーザからの再生印鑑の注文を受け付ける場合、その再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報が、管理手段により管理される印鑑情報(登録済印鑑情報)に基づいて生成され、その生成された推奨印面情報が出力される。このため、再生印鑑の注文段階で、再生印鑑の推奨印面をその注文者(ユーザ)に事前に確認させることが可能となる。これにより、印鑑をリユースするにあたっての利便性を向上させることが可能となり、延いては、印鑑のリユースの普及に貢献することが期待できる。
【発明の効果】
【0027】
以上の本発明によれば、印鑑のリユースを普及させるのに適した印鑑のリユースシステム及びリユース方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図8】(A)はユーザ情報管理テーブルの一例を示す図であり、(B)は印鑑情報管理テーブルの一例を示す図であり、(C)は再生印鑑情報の一例を示す図であり、(D)は推奨印面情報の一例を示す図である。
【
図9】注文情報(注文確定情報)の一例を示す図である。
【
図10】実施例に係るシステムを利用した印鑑のリユースの全体像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。なお、以下の実施例では、象牙、水牛、木材、セラミック、プラスチック等の硬質印材からなる印鑑(硬質印)をリユース(再利用)する場合について説明する。
【実施例0030】
[システムの全体構成]
本実施例に係るシステム(「本システム」ともいう。)は、
図1に示すように、発注側装置1と受注側装置2と製造側装置3とが通信回線としてのインターネット等のネットワーク4を介して接続されるシステムに、本発明を適用した例である。本システムは、本発明の「印鑑のリユースシステム」の一態様を示すものである。また、本システムを利用して印鑑をリユースする方法は、本発明の「印鑑のリユース方法」の一態様を示すものである。
【0031】
発注側装置1は、商品を注文(購入)したりサービスの提供を受けたりするためにユーザが使用するパーソナルコンピュータ(PC)やスマートフォン、タブレット等の端末装置により構成される。ここでいう商品には、使用済みの印鑑(ユーザから回収した印鑑)に加工を施して得られる再生印鑑が含まれ、サービスには、再生印鑑に関連する種々の情報の提供が含まれる。つまり、発注側装置1は、再生印鑑を発注する側に設けられる装置である。発注側装置1のことを「ユーザ装置」又は「ユーザ端末」ともいう。
【0032】
受注側装置2は、インターネットを利用した商品の販売(ネット販売)や実店舗での商品の販売及びそれら商品の販売に付随する各種サービスの提供等を行う事業者(「商品等提供事業者」ともいう。)が管理するコンピュータ等の装置であり、Webサイトの運営や各種サービスの提供等を行うためのサーバ機能を有する。受注側装置2のことを「提供事業者サーバ」ともいう。
【0033】
本実施例において、商品等提供事業者が提供するサービスには、ユーザから回収した印鑑の印面を彫刻し直して(再彫刻して)新たな印面としたものを再生印鑑として提供するサービスが含まれる。つまり、商品等提供事業者は、ユーザからの再生印鑑の注文を受け付ける(受注する)者であり、受注側装置2は、再生印鑑を受注する側に設けられる装置である。
【0034】
製造側装置3は、商品等提供事業者により提供(販売等)される商品(例えば再生印鑑)を製造する事業者(「製造事業者」ともいう。)が管理するコンピュータ等の装置であり、商品等提供事業者(受注者装置2)からの製造依頼(本実施例では再生印鑑の製造依頼)や製造品(本実施例では再生印鑑)に関する情報等を管理するサーバ機能を有する。製造側装置3のことを「製造事業者サーバ」ともいう。
【0035】
本実施例において、製造事業者は、商品等提供事業者を経由してユーザから回収した印鑑に再彫刻等の加工を施して再生印鑑を製造する者であり、製造側装置3は、再生印鑑を製造する側に設けられる装置である。
【0036】
なお、発注側装置1は、それぞれ1台又は2台以上の端末装置により構成することができ、受注側装置2及び製造側装置3は、それぞれ1台又は2台以上のコンピュータ等の装置により構成することができる。
【0037】
また、商品等提供事業者(再生印鑑の受注者)と製造事業者(再生印鑑の製造者)とは、同じ者であっても異なる者であってもどちらでもよく、商品等提供事業者と製造事業者とが同一事業者である場合、受注側装置2と製造側装置3とを同一事業者の管理下に設置したり、受注側装置2と製造側装置3とを一の装置により構成したりすることができる。
【0038】
また、受注側装置2又は製造側装置3には、後述のように印鑑のリユース可否判定等の検査を行う検査装置を含むことができる。
【0039】
[発注側装置の構成]
次に、発注側装置1の構成について
図2を参照しながら説明する。同図に示すように発注側装置1は、制御部10、記憶部11、表示部12、操作部13及び通信部14等を含んで構成される。
【0040】
制御部10は、発注側装置1の作動を制御するための各種処理を実行するものであり、CPU(Central Processing Unit)等により構成される。
【0041】
記憶部11は、発注側装置1を作動させるOS(Operating System)や発注側装置1で実行可能な各種アプリケーションプログラム、その他発注側装置1の作動に必要な各種データを記憶するものであり、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)、揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)、補助記憶装置の一種であるハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により構成される。
【0042】
記憶部11に記憶されるアプリケーションプログラム(アプリケーションソフトウェア)には、受注側装置2(提供事業者サーバ)に接続してWebサイト(Webページ)の閲覧、操作等を可能とするWebアプリケーション(「Webアプリ」ともいう。)等のプログラムが含まれる。
【0043】
表示部12は、各種の画像や画面、文字等を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイ等により構成される。
【0044】
操作部13は、各種のデータ入力や指示入力等を行うために操作されるものであり、キーボードやマウス等により構成される。また表示部12がタッチパネル機能を備える場合、表示部12に表示されるボタン、アイコン、キーボード等も操作部13に含まれる。操作部13による指示入力に基づく信号(操作信号、指示信号)は、制御部10に入力される。
【0045】
通信部14は、ネットワーク4を介して他の装置等とデータ通信を行うものであり、例えば、IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行う。他の装置には、受注側装置2が含まれる。本実施例では、発注側装置1は、製造側装置3と通信(接続)せず、受注側装置2と通信可能(接続可能)に構成されている(
図1を参照)。
【0046】
ユーザは、発注側装置1を操作して受注側装置2に接続することで、再生印鑑を注文(発注)することが可能である。
【0047】
[受注側装置の構成]
次に、受注側装置2の構成について
図3を参照しながら説明する。同図に示すように受注側装置2は、制御部20、記憶部21、表示部22、操作部23及び通信部24等を含んで構成される。
【0048】
制御部20は、発注側装置1の制御部10と同様にCPU等により構成され、受注側装置2(提供事業者サーバ)の作動を制御するための各種処理を実行するものである。
【0049】
記憶部21は、受注側装置2を作動させるOS(Operating System)や各種アプリケーションのプログラム、その他受注側装置2の作動に必要な各種データを記憶するものであり、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)、揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)、補助記憶装置の一種であるハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により構成される。
【0050】
記憶部21に記憶されるデータには、Webサイトの運営や各種サービスの提供等に必要なデータ等が含まれる。具体的には、新品の印鑑(以下、単に「印鑑」ともいう。)の注文を受け付けるWebサイト(「印鑑注文サイト」ともいう。)や、再生印鑑(リユース印鑑)の注文を受け付けるWebサイト(「再生印鑑注文サイト」ともいう。)、会員登録したユーザ向けのWebサイト(「会員サイト」ともいう。)等の各種Webサイトの運営や、それらWebサイトを通じたサービスの提供に係るプログラム等が含まれる。
【0051】
また記憶部21には、ユーザ情報管理データベースDB1と印鑑情報管理データベースDB2と受注管理データベースDB3が記憶される。
【0052】
ユーザ情報管理データベースDB1は、商品等提供事業者から商品やサービス等の提供を受けた者や商品等提供事業者が運営する会員サイトの利用者登録(会員登録)を行った者等のユーザに関する情報(「ユーザ情報」ともいう。)を管理(記憶)するデータベースである。
【0053】
ユーザ情報管理データベースDB1では、例えば、
図8(A)に示すユーザ情報管理テーブルによりユーザ情報が管理される。同図に示すように、ユーザ情報には、ユーザを識別するためのユーザID(「ユーザ識別情報」ともいう。)と、ユーザの氏名、住所、連絡先(電話番号、メールアドレス等)、年齢、性別等を示す情報が含まれる。ユーザIDは、ユーザ情報管理データベースDB1(ユーザ情報管理テーブル)にユーザ情報が登録される際に付与されるもので、ユーザ毎に異なるものとされる。
【0054】
ユーザ情報管理データベースDB1(ユーザ情報管理テーブル)へのユーザ情報の登録は、例えば、ユーザが発注側装置1を操作してネットワーク4を介して受注側装置2に接続し、商品等提供事業者が運営する印鑑注文サイトでの印鑑の注文に伴って行うことができる。具体的には、例えば、ユーザが印鑑注文サイトで印鑑を注文する際、その注文者(つまり、ユーザ)の氏名、住所、連絡先(電話番号、メールアドレス等)、年齢、性別等の情報(「個人情報」ともいう。)を、発注側装置1の表示部12に表示される所定の入力フォーム(図示せず)に入力して注文を確定させると、その入力した個人情報にユーザIDを付加したユーザ情報が受注側装置2(制御部20)により生成され、その生成されたユーザ情報がユーザ情報管理データベースDB1に登録されて管理されるように構成することができる。
【0055】
また、ユーザ情報管理データベースDB1(ユーザ情報管理テーブル)へのユーザ情報の登録は、例えば、商品等提供事業者が運営する会員サイトの会員登録に伴って行うことができる。具体的には、例えば、ユーザが発注側装置1を操作してネットワーク4を介して受注側装置2にアクセスし、商品等提供事業者が運営する会員サイトの会員登録を行う際、その会員登録する者(つまり、ユーザ)の個人情報を、発注側装置1の表示部12に表示される所定の入力フォーム(図示せず)に入力することで、その入力した個人情報にユーザIDを付加したユーザ情報が受注側装置2(制御部20)により生成され、その生成されたユーザ情報がユーザ情報管理データベースDB1に登録されて管理されるように構成することができる。
【0056】
本実施例では、ユーザ情報管理データベースDB1でユーザ情報が管理されているユーザ(ユーザIDを持つユーザ)が、再生印鑑を注文可能としている。
【0057】
印鑑情報管理データベースDB2は、ユーザ情報管理データベースDB1で管理されるユーザが所有する印鑑に関する情報(「印鑑情報」ともいう。)を管理(記憶)するデータベースである。ユーザが所有する印鑑は、例えば、商品等提供事業者が販売した印鑑(商品等提供事業者から購入した印鑑)である。また、商品等提供事業者以外の者が販売した印鑑(商品等提供事業者以外の者から購入した印鑑)を、ユーザが所有する印鑑に含めることもできる。印鑑情報管理データベースDB2は、本発明の「管理手段」の一例に相当する。
【0058】
印鑑情報管理データベースDB2では、例えば、
図8(B)に示す印鑑情報管理テーブルにより印鑑情報が管理される。印鑑情報には、ユーザが所有する印鑑を識別するための印鑑ID(「印鑑識別情報」ともいう。)と、ユーザが所有する印鑑の仕様等を示す情報が含まれる。印鑑情報は、ユーザ情報管理データベースDB1で管理されるユーザIDと関連付けて(紐づけて)管理される。
【0059】
ここで、「印鑑の仕様」とは、例えば、印鑑の素材(印材)や材質、印面サイズ、印面文字、書体、印面枠の形状(枠形状)、印鑑本体の色など、印鑑の構造や内容(構成要素)を意味する。なお、印面サイズは、印面の直径又は縦横寸法であり、印面文字は印面に彫られた文字である。また、書体は、例えば吉相体、篆書体、古印体、隷書体等であり、枠形状は、例えば丸枠、丸太枠、角枠、角太枠等である。
【0060】
印鑑情報管理データベースDB2(印鑑情報管理テーブル)への印鑑情報の登録は、例えば、ユーザが前述の印鑑注文サイトで印鑑を注文したことに伴って行うことができる。具体的には、例えば、ユーザが印鑑注文サイトで印鑑を注文した際、その注文内容に基づいて当該注文のあった印鑑の印鑑情報が受注側装置2(制御部20)により生成され、又は、商品等提供事業者の担当者が受注側装置2を操作して当該注文のあった印鑑の印鑑情報を入力し、その生成又は入力された印鑑情報が印鑑情報管理データベースDB2に登録されて管理されるように構成することができる。
【0061】
また、印鑑情報管理データベースDB2(印鑑情報管理テーブル)への印鑑情報の登録は、例えば、前述の会員サイトの会員登録に伴って行うことができる。具体的には、例えば、商品等提供事業者から販売された印鑑を購入した者が会員サイトの会員登録を行う際に、その購入した者(つまり、ユーザ)が自身の購入した印鑑に関する情報(印鑑情報)を、発注側装置1の表示部12に表示される所定の入力フォーム(図示せず)に入力することで、その入力した印鑑情報が印鑑情報管理データベースDB2に登録されて管理されるように構成することができる。
【0062】
また、商品等提供事業者以外の者から販売された印鑑を購入した者が会員サイトの会員登録を行う際に、その会員登録する者(つまり、ユーザ)が自身の所有する印鑑に関する情報(印鑑情報)を、発注側装置1の表示部12に表示される所定の入力フォーム(図示せず)に入力することで、その入力した印鑑情報が印鑑情報管理データベースDB2に登録されて管理されるように構成することができる。
【0063】
このように、ユーザの印鑑情報を印鑑情報管理データベースDB2に登録して管理することは、本発明の「管理工程」の一例に相当する。
【0064】
受注管理データベースDB3は、発注側装置1(ユーザ)からの再生印鑑の注文が確定した場合に、その確定した注文に関する情報を管理(記憶)するデータベースである。
【0065】
なお、受注側装置2が2台以上(複数台)のコンピュータ(サーバ)を含んで構成される場合、記憶部21に記憶されるものとして例示した各種データを複数台のコンピュータに分散させて管理(記憶)するようにしてもよい。
【0066】
表示部22は、各種の画像や画面、文字等を表示するものであり、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0067】
操作部23は、各種のデータ入力や指示入力等を行うために操作されるものであり、キーボードやマウス等により構成される。
【0068】
通信部24は、発注側装置1の通信部14と同様に、ネットワーク4を介して他の装置等とデータ通信を行うものである。他の装置には、発注側装置1及び製造側装置3が含まれる。
【0069】
[製造側装置の構成]
次に、製造側装置3の構成について
図4を参照しながら説明する。同図に示すように製造側装置3は、制御部30、記憶部31、表示部32、操作部33及び通信部34等を含んで構成される。
【0070】
制御部30、記憶部31、表示部32、操作部33及び通信部34は、受注側装置2の制御部20、記憶部21、表示部22、操作部23及び通信部24と基本的に同様の構成である。したがって、受注側装置2と同様の構成についての詳しい説明は省略する。
【0071】
記憶部31には、製造側装置3の作動に必要な各種データの他、再生印鑑製造管理データベースDB4が記憶される。
【0072】
再生印鑑製造管理データベースDB4は、後述するように、再生印鑑の注文内容等を示す注文確定情報が受注側装置2から製造側装置3へ送信され、その注文確定情報を製造側装置3が受信して再生印鑑の製造依頼を受け付けた場合の当該再生印鑑(製造品)に関する情報を管理(記憶)するデータベースである。
【0073】
[再生印鑑受注処理]
次に、受注側装置2の制御部20が実行する再生印鑑受注処理(S100)について、
図5及び
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、本明細書においてS100等の「S」(フローチャート中の「S」)はステップを意味する。
【0074】
再生印鑑受注処理(S100)は、ユーザが発注側装置1を操作して受注側装置2に接続し、受注側装置2により運営される再生印鑑注文サイトにアクセスすることで、当該サイトを通じた発注側装置1からの指示に基づいて実行される。
【0075】
図5に示すように、再生印鑑受注処理(S100)ではまず、発注側装置1にて再生印鑑の注文要求が行われたか否かを判定する(S101)。再生印鑑の注文要求は、例えば、発注側装置1の表示部12に表示される再生印鑑注文サイトのサイト画面上の注文開始ボタン(図示せず)を操作(クリック、タップ等)することにより行われる。S101では、その注文開始ボタンが操作されたことを示す信号(操作信号)を受信したか否かを判定する。
【0076】
S101で再生印鑑の注文要求が行われていないと判定した場合(S101でNO)、S103以降の処理を行うことなく再生印鑑受注処理(S100)を終える。一方、再生印鑑の注文要求が行われたと判定した場合(S101でYES)、その注文要求を行ったユーザのユーザIDを取得する(S103)。
【0077】
前述したように本実施例では、ユーザ情報管理データベースDB1でユーザ情報が管理されているユーザ(ユーザIDを持つユーザ)が、再生印鑑を注文可能としている。そして、ユーザ情報管理データベースDB1には、商品等提供事業者が販売した印鑑を購入したユーザ(取引実績のあるユーザ)のユーザ情報や、会員サイトの会員登録を行ったユーザのユーザ情報が管理される。このことから本実施例では、ユーザが発注側装置1を操作して再生印鑑注文サイトにアクセスする際、そのユーザにユーザIDの入力を求めることとしている。S103では、そのユーザが入力したユーザIDを取得する。
【0078】
なお、ユーザが発注側装置1から再生印鑑の注文要求を行った際(注文開始ボタンを操作した際)に(S101でYES)、ユーザID入力画面(図示せず)を発注側装置1の表示部12に出力(表示)して、ユーザIDの入力をユーザに求めるようにしてもよい。
【0079】
次いでS105では、S103で取得したユーザIDをもとに、印鑑情報管理データベースDB2で管理される印鑑情報(登録済印鑑情報)を検索し、そのユーザIDに該当する印鑑情報を読み出す(S105)。
【0080】
次いでS107では、S105で読み出した印鑑情報から再生印鑑情報を特定する(S107)。S107の処理は、本発明の「特定手段」の一例に相当し、また、本発明の「特定工程」の一例に相当する。
【0081】
S105で読み出した印鑑情報は、再生印鑑の注文要求(S101)を行ったユーザの印鑑、換言すると、ユーザから回収して加工を施す印鑑(リユースする印鑑)に対応する情報であり、当該印鑑情報には、そのユーザの印鑑の仕様に関する情報(「仕様情報」ともいう。)が含まれている。S107では、その印鑑情報から特定可能な情報(「第1特定情報」ともいう。)を、リユースする印鑑に関する情報、すなわち、再生印鑑情報として特定する。
【0082】
再生印鑑情報は、回収した印鑑をリユースするにあたり事前に特定するのが望ましいとされる情報である。本実施例では、
図8(C)に示すように、印鑑素材(印材)、印面サイズ、印面文字、書体、枠形状を示す情報を、印鑑情報(仕様情報)から再生印鑑情報として特定する。
【0083】
例えば、S103で取得したユーザIDが、
図8(A)に示すテーブルの「A00001」であり、S105で読み出した印鑑情報が、
図8(B)に示すテーブルのユーザID「A00001」に該当するレコードの印鑑情報(印鑑ID、印鑑素材、印面サイズ、印面文字、書体、枠形状及び本体色)である場合、その印鑑情報から、印鑑素材「チタン」、印面サイズ「15mm」、印面文字「佐藤」、書体「篆書体」、枠形状「丸枠」の各情報を再生印鑑情報として特定する。
【0084】
また本実施例では、
図8(C)に示すように、ユーザ情報管理データベースDB1で管理されるユーザ情報から特定可能な情報(「第2特定情報」ともいう。)を、再生印鑑情報に含めて特定するものとしている。
【0085】
具体的には、例えば、S103で取得したユーザIDが前述の「A00001」である場合、ユーザ情報管理データベースDB1(ユーザ情報管理テーブル)で管理されるユーザ情報のうち、ユーザID「A00001」に該当するユーザ情報から(
図8(A)を参照)、氏名「佐藤一郎」、年齢「42」、性別「男」の各情報を再生印鑑情報に含めて特定する。
【0086】
なお、再生印鑑情報として特定する情報は本実施例に限定されるものではなく、例えば、印鑑素材のみとしたり、印鑑素材と印面サイズとしたり、印鑑素材と印面文字としたり、印鑑素材と印面サイズと印面文字としたりする等、印鑑情報から特定する情報の数(種類)は任意に定めることができる。
【0087】
また本実施例では、ユーザ情報から特定可能な情報を再生印鑑情報に含めるものとしているが、必ずしも含めなくてもよく、含める場合、ユーザ情報から特定する情報の数(種類)は任意に定めることができる。
【0088】
次いでS109では、S107で特定した再生印鑑情報に基づいて、再生印鑑の印面として推奨される印面(推奨印面)の内容を示す情報(「推奨印面情報」ともいう。)を生成する(S109)。本実施例の推奨印面情報は、再生印鑑の印影イメージ(印影画像)を含むものである。S109の処理は、本発明の「生成手段」の一例に相当し、また、本発明の「生成工程」の一例に相当する。
【0089】
例えば、S107で特定した再生印鑑情報のうち、印鑑情報から特定した情報(第1特定情報)が、前述のように印鑑素材「チタン」、印面サイズ「15mm」、印面文字「佐藤」、書体「篆書体」、枠形状「丸枠」であり、ユーザ情報から特定した情報(第2特定情報)が、前述のように氏名「佐藤一郎」、年齢「42」、性別「男」であるとする(
図8(C)を参照)。この場合、それら各情報に基づいて生成する推奨印面情報は、例えば
図8(D)に示すように、印面文字「佐藤一郎」、書体「吉相体」、枠形状「丸枠」及び印影イメージ(印影画像)からなる情報とすることができる。この例は、再生印鑑情報で示されるリユースする印鑑(再生印鑑の注文要求を行ったユーザの印鑑)に関し、特に、印鑑素材(印材)が「チタン」であり、印面サイズが「15mm」であり、印面文字が「佐藤」(名字のみ)であり、その印鑑のユーザが「40代の男性」であることから、男性的でより重厚な印象を与える印影が得られる印面を再生印鑑の印面として推奨するものとして、その推奨印面情報が生成される場合を示している。
【0090】
このようにS109では、再生印鑑の注文要求を行ったユーザの印鑑の、特に印鑑素材、印面サイズ、印面文字数、書体、ユーザの年齢、性別等(つまり、再生印鑑情報に含まれる情報)を参照して、そのユーザに適すると思われる印面の情報が推奨印面情報としてプログラムにより生成される。
【0091】
なお、本実施例では、推奨印面情報が再生印鑑の印影イメージ(印影画像)を含むものとしているが、印影イメージを含まないものとしてもよい。また実施例では、再生印鑑の推奨印面(推奨印面情報)の内容を、リユースする印鑑の印面(もとの印面)と異ならせているが、異ならせずに、もとの印面と同じ内容としてもよい。
【0092】
次いでS111では、S109で生成した推奨印面情報を発注側装置1に出力(送信)する(S111)。S111の処理は、本発明の「出力手段」の一例に相当し、また、本発明の「出力工程」の一例に相当する。
【0093】
S111で発注側装置1へ出力した推奨印面情報は、例えば、再生印鑑の印面の内容(仕様)を確認するための印面確認画面(図示せず)として、発注側装置1の表示部12に表示される。再生印鑑の注文要求を行ったユーザ(発注側装置1を操作するユーザ)は、その表示部12に表示された印面確認画面を通じて、再生印鑑の推奨印面の内容(本実施例では印影イメージを含む)を確認(視認)することができる。
【0094】
なお、S111で発注側装置1へ出力した推奨印面情報は、発注側装置1の表示部12に表示される他、例えば、発注側装置1に接続されたプリンタにより印刷されるように構成することもできる。つまり、表示出力の他、紙出力も可能である。
【0095】
次いでS113では、発注側装置1にて印面編集の指示入力が行われたか否かを判定する(S113)。印面編集の指示入力は、例えば、発注側装置1の表示部12に表示される前述の印面確認画面に設けられた編集ボタン(図示せず)を操作(クリック、タップ等)することにより行われる。S113では、その編集ボタンが操作されたことを示す信号(操作信号)を受信したか否かを判定する。
【0096】
S113で印面編集の指示入力が行われていないと判定した場合(S113でNO)、後述のS119の処理に進み、印面編集の指示入力が行われたと判定した場合(S113でYES)、印面編集画面を発注側装置1の表示部12に出力(表示)する(S115)。
【0097】
印面編集画面は、前述の印面確認画面に表示された再生印鑑の推奨印面の内容、すなわち、S109で生成された推奨印面情報の一部又は全部を変更(修正)するための入力を可能とする画面である。印面編集画面には、推奨印面情報に基づく推奨印面の内容が表示され、ユーザは、その表示された推奨印面の内容に対し、例えば、印面文字の書体を変更したり、印面文字の配置(レイアウト)を変更したり、印面文字数を変更(増減)したりする等、再生印鑑の印面を編集することができる(編集手段、編集工程)。
【0098】
なお、印面編集画面には、推奨印面情報に含まれる印影イメージ(推奨印面の印影イメージ)と、編集後の印影イメージとが表示されるようにすることができる。こうすれば、再生印鑑の印面の内容をユーザにわかりやすく伝えることが可能となり、ユーザにとっては、再生印鑑により得られる印影を把握しやすいものとなる。
【0099】
次いでS117では、発注側装置1にて印面編集完了の指示入力が行われたか否かを判定する(S117)。印面編集完了の指示入力は、例えば、発注側装置1の表示部12に表示される前述の印面編集画面に設けられた完了ボタン(図示せず)を操作(クリック、タップ等)することにより行われる。S117では、その完了ボタンが操作されたことを示す信号(操作信号)を受信したか否かを判定する。
【0100】
S117で印面編集完了の指示入力が行われていないと判定した場合(S117でNO)、印面編集完了の指示入力が行われるまで待機する。一方、印面編集完了の指示入力が行われたと判定した場合(S117でYES)、
図6のS119の処理に進む。
【0101】
S119では、再生印鑑の注文内容を示す情報(「注文情報」ともいう。)を生成する(S119)。注文情報は、前述のS103で取得したユーザIDに該当するユーザ情報(再生印鑑の注文要求を行ったユーザのユーザ情報)と、前述のS107で特定した再生印鑑情報と、前述のS109で生成した推奨印面情報又は印面編集画面(S115)による編集後(変更後)の推奨印面情報とに基づいて生成される。
【0102】
具体的には、例えば
図9に示すように、ユーザ情報に基づく「ユーザID」、「氏名」、「住所」、「電話番号」及び「メールアドレス」と、再生印鑑情報に基づく「印鑑素材」及び「印面サイズ」と、推奨印面情報に基づく「印面文字」、「書体」、「枠形状」及び「印影イメージ」と、を含む注文情報が生成される(S119)。なお、ユーザ情報は、ユーザ情報管理データベースDB1から取得される。
【0103】
次いでS121では、S119で生成した注文情報を発注側装置1に出力(送信)する(S121)。発注側装置1へ出力した注文情報は、例えば、再生印鑑の注文内容を確認するための注文確認画面(図示せず)として、発注側装置1の表示部12に表示される。再生印鑑の注文要求を行ったユーザ(発注側装置1を操作するユーザ)は、その表示部12に表示された注文確認画面を通じて、今回の注文内容(再生印鑑の仕様、納品先等)を確認(視認)することができる。
【0104】
次いでS123では、発注側装置1にて注文確定の指示入力が行われたか否かを判定する(S123)。注文確定の指示入力は、例えば、発注側装置1の表示部12に表示される前述の注文確認画面に設けられた注文ボタン(図示せず)を操作(クリック、タップ等)することにより行われる。S123では、その注文ボタンが操作されたことを示す信号(操作信号)を受信したか否かを判定する。
【0105】
S123で注文確定の指示入力が行われていないと判定した場合(S123でNO)、注文確定の指示入力が行われるまで待機する。一方、注文確定の指示入力が行われたと判定した場合(S123でYES)、S119で生成した注文情報(注文確認画面に表示した注文情報)に基づく再生印鑑の注文を確定させる注文確定処理を行い(S125)、再生印鑑受注処理(S100)を終える。
【0106】
注文確定処理(S125)では、S119で生成した注文情報(
図9を参照)を注文確定情報として製造側装置3に送信する。また注文確定処理(S125)では、その注文確定情報を、受注管理データベースDB3に登録する。注文確定情報には、再生印鑑の確定した印面の内容を示す情報が含まれる。S125の処理は、本発明の「受付手段」の一例に相当し、また、本発明の「受付工程」の一例に相当する。
【0107】
以上、発注側装置1(ユーザ)からの指示に基づいて受注側装置2の制御部20が実行する再生印鑑受注処理(S100)について説明したが、再生印鑑を注文するユーザは、その注文を確定させた後(S123でYES→S125)、自身のリユースする印鑑をユーザIDが記された用紙等とともに、再生印鑑注文サイトの運営事業者(商品等提供事業者)宛に郵送等で送付する。その後、運営事業者(商品等提供事業者)に届いたユーザの印鑑は、ユーザIDとともに再生印鑑の製造事業者に送られる(回収される)。ユーザIDにより、回収された印鑑(リユースする印鑑)とユーザとの紐づけ(対応付け)が可能となる。なお、リユースする印鑑をユーザから直接製造事業者に送付するようにしてもよい。
【0108】
[製造管理処理]
次に、製造側装置3の制御部30が実行する製造管理処理(S200)について、
図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0109】
図7に示すように、製造管理処理(S200)ではまず、前述の注文確定処理(S125)により受注側装置2から送信される注文確定情報を受信したか否かを判定する(S201)。その結果、注文確定情報を受信していなければ(S201でNO)、S203以降の処理を行うことなく製造管理処理(S200)を終える。一方、注文確定情報を受信した場合(S201でYES)、再生印鑑製造管理データベースDB4(
図4を参照)に、再生印鑑管理情報を登録(保存)する(S203)。
【0110】
再生印鑑管理情報は、受信した注文確定情報に所定の再生印鑑ID(「再生印鑑識別情報」ともいう。)を付加して構成される情報である。前述のように注文確定情報は、実質的には前述のS119で生成された注文情報であるから(
図9を参照)、再生印鑑管理情報は、その注文情報(注文確定情報)に再生印鑑IDを付加した(関連付けた)情報である。なお、再生印鑑管理情報には、再生印鑑の印面の内容を示す情報が含まれる。
【0111】
次いでS205では、発注側装置1を操作して再生印鑑の注文を行ったユーザから送られてきた印鑑(ユーザから回収した印鑑)がリユースできるものであるか否かを検査(判定)するための検査条件(「リユース可否判定条件」ともいう。)を決定し、これを設定する(S205)。S205の処理は、本発明の「設定手段」の一例に相当し、また、本発明の「設定工程」の一例に相当する。
【0112】
S205による検査条件の設定は、S203で登録した再生印鑑管理情報を構成する注文確定情報のうち、前述の再生印鑑情報に基づく情報(
図9を参照)をもとに(つまり、再生印鑑情報に基づいて)検査条件を決定し、その決定した検査条件を、S203で登録した再生印鑑管理情報と関連付けて再生印鑑製造管理データベースDB4に保存(記憶)することにより行われる。本実施例では、再生印鑑管理情報を構成する注文確定情報のうち「印鑑素材」と「印面サイズ」に基づいて検査条件を決定する。
【0113】
ここで、再生印鑑製造管理データベースDB4には、印鑑の素材(印材)ごとの検査条件を記憶する検査条件テーブル(図示せず)が設けられており、S205では、その検査条件テーブルを参照して検査条件が決定(設定)される。
【0114】
検査条件テーブルには、例えば、印鑑に電磁波を照射して欠陥検査を行う場合の照射すべき電磁波の周波数や、印鑑がリユースに係る加工(例えば、印面の再彫刻等)に耐え得る強度や剛性等を備えているかを検査するための検査閾値等のデータ(検査条件)が、印鑑の素材とサイズ(印面サイズ)に応じて複数記憶される。
【0115】
このため、例えば、再生印鑑管理情報を構成する注文確定情報による印鑑の素材(つまり、リユースする印鑑の素材)が「チタン」でその印面サイズが「15mm」であれば、印鑑素材「チタン」かつ印面サイズ「15mm」に応じた検査条件が検査条件テーブルから取得されて設定される(S205)。また例えば、リユースする印鑑の素材が「柘植」でその印面サイズが「12mm」であれば、印鑑素材「柘植」かつ印面サイズ「12mm」に応じた検査条件が検査条件テーブルから取得されて設定される(S205)。
【0116】
なお、本実施例で示す検査条件はあくまでも一例であり、リユースの対象とする印鑑の種類や、再生印鑑の製造(リユースする印鑑の加工等)に係る設備や装置、方法等に応じて検査条件を定めることができる。
【0117】
以上のようにして印鑑のリユース可否を判定するための条件(検査条件)を設定したら(S205)、再生印鑑受注処理(S100)を終える。
【0118】
以上、受注側装置2からの注文確定情報を受けて製造側装置3の制御部30が実行する製造管理処理(S200)について説明したが、再生印鑑の製造事業者は、ユーザからのリユースする印鑑を受け取ったら(回収したら)、製造側装置3を操作して、その印鑑とともに送られてきたユーザIDをもとに、再生印鑑製造管理データベースDB4からそのユーザIDに該当する再生印鑑管理情報を取得する。そして、その再生印鑑管理情報と関連付けて再生印鑑製造管理データベースDB4に保存されている検査条件を取得して、その検査条件に基づいて、ユーザから回収した印鑑を検査し、リユース可否の判定を行う。この印鑑の検査(リユース可否の判定)は、本発明の「判定工程」の一例に相当する。なお、印鑑の検査は所定の検査装置(判定装置)を用いて行うことができる(検査手段、判定手段)。
【0119】
そして、検査の結果が不合格の場合(リユース不可と判定された場合)、製造事業者は回収した印鑑を加工することなく、そのままユーザに返却する。
【0120】
これに対し、検査の結果が合格の場合(リユース可と判定された場合)、製造事業者は、回収した印鑑と紐づくユーザIDに該当する再生印鑑管理情報に基づいて、再生印鑑を製造する。すなわち、再生印鑑管理情報を構成する注文確定情報のうち(
図9を参照)、再生印鑑の印面の内容を示す情報(印面文字、書体、枠形状、印影イメージ)に基づいて、回収した印鑑に再彫刻等の加工を施して再生印鑑を製造する。この再生印鑑の製造は、本発明の「製造工程」の一例に相当する。
【0121】
ここで、本システムを利用した印鑑のリユースの全体像について、
図10を参照しながら説明する。なお、
図10中の(1)、(2)・・・の数字は、リユース対象の印鑑の流れを示しており、以下、この流れに沿って説明する。
【0122】
(1)ユーザは、発注側装置1を操作して受注側装置2にネットワーク4を介して接続し、再生印鑑の注文をシステム上で行った後(S101~S125を参照)、リユースする印鑑を、再生印鑑の注文に必要な事項(ユーザID等)が記された用紙等とともに、商品等提供事業者(再生印鑑注文サイトの運営事業者)宛に発送する。発送した印鑑は、以後、ユーザIDと紐づいた状態で扱われる。
(2)発送した印鑑が商品等提供事業者に届くと、商品等提供事業者はその印鑑を再生印鑑の製造事業者に送り、その印鑑が製造事業者に回収される。
(3)製造事業者は、再生印鑑の注文確定時(受注時)に設定された検査条件(S205を参照)に基づいて、回収した印鑑の検査(リユース可否の判定)を行う。
(4)検査の結果が不合格の場合(リユース不可と判定された場合)、製造事業者は回収した印鑑をそのままユーザに返却する。
(5)検査の結果が合格の場合(リユース可と判定された場合)、製造事業者は回収した印鑑に印面を再彫刻する等の加工を施して、再生印鑑を製造する。
(6)再生印鑑が完成したら、製造事業者はその完成した再生印鑑をユーザに納品する。
【0123】
[実施例の作用効果]
以上に説明した実施例に係るシステム(印鑑のリユースシステム)によれば、ユーザの印鑑に関する印鑑情報が受注側装置2の印鑑情報管理データベースDB2(管理手段)に登録されて管理される。そして、発注側装置1を操作するユーザからの再生印鑑の注文を受け付ける場合、受注側装置2では、その再生印鑑を得るための加工(再彫刻等)を施す印鑑に関する情報、すなわち、リユースする印鑑に関する情報である再生印鑑情報が、印鑑情報管理データベースDB2で管理される印鑑情報(登録済印鑑情報)から特定される(S107)。このため、加工を施す印鑑(リユースする印鑑)が実際に回収されるより前の再生印鑑の注文段階において、その印鑑に関する情報(再生印鑑情報)を、少なくとも受注側装置2において把握することが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の効率化を図ることが可能となり、延いては、印鑑のリユースの普及に貢献することが期待できる。
【0124】
また上記実施例に係るシステムによれば、再生印鑑の注文段階(S107)で特定される再生印鑑情報には、印鑑の仕様に関する情報(仕様情報)を基に特定される情報が含まれる(
図8(C)を参照)。このため、リユースする印鑑の仕様について、その印鑑が実際に回収されるよりも前に、少なくとも受注側装置2において把握することが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の更なる効率化を図ることが可能となる。
【0125】
また上記実施例に係るシステムによれば、再生印鑑の注文段階(S107)で再生印鑑情報が特定されると、その特定された再生印鑑情報に基づいて、再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報が生成され(S109)、その生成された推奨印面情報が発注側装置1の表示部12に出力(表示出力)される(S111)。このため、再生印鑑の注文段階で、再生印鑑の推奨印面をその注文者(ユーザ)に事前に確認させることが可能となる。これにより、印鑑をリユースするにあたっての利便性を向上させることが可能となる。特に本実施例では、発注側装置1の表示部12に出力される推奨印面情報には推奨印面の印影イメージが含まれるため、再生印鑑の印面の内容を注文者(ユーザ)にわかりやすく伝えることが可能となり、より利便性に優れたものとなる。
【0126】
また上記実施例に係るシステムによれば、受注側装置2の印鑑情報管理データベースDB2で管理されるユーザの印鑑に関する印鑑情報(登録済印鑑情報)は、そのユーザのユーザID(ユーザ情報)と関連付けて管理される(
図8(B)を参照)。そして、再生印鑑の注文段階で特定される再生印鑑情報には、登録済印鑑情報を基に特定される情報(第1特定情報)と、その登録済印鑑情報と関連付けられたユーザ情報を基に特定される情報(第2特定情報)とが含まれ(
図8(C)を参照)、これらの情報を基に推奨印面情報が生成される(S109)。このため、ユーザの特性を反映した推奨印面情報の生成及び出力が可能となる。これにより、推奨印面情報の充実化を図ることが可能となる。
【0127】
また上記実施例に係るシステムによれば、発注側装置1(ユーザ)からの再生印鑑の注文が確定すると、その注文内容等を示す注文確定情報(
図9を参照)が受注側装置2から製造側装置3に送られる(S125、S201)。そして製造側装置3では、その注文確定情報に含まれる再生印鑑情報(本実施例では「印鑑素材」及び「印面サイズ」の情報)、すなわち、再生印鑑の注文段階(S107)で特定された再生印鑑情報に基づいて、ユーザから回収した印鑑(リユースする印鑑)を検査する(回収した印鑑のリユース可否を判定する)ための検査条件(リユース可否判定条件)が設定される(S205)。このため、ユーザのリユースする印鑑が実際に回収された際、その印鑑の検査(
図10の(3)を参照)をスムーズに行うことが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の更なる効率化を図ることが可能となる。
【0128】
また、上記実施例に係るシステムを利用した印鑑のリユース方法によれば、ユーザの印鑑に関する印鑑情報が受注側装置2の印鑑情報管理データベースDB2(管理手段)に登録されて管理される(管理工程)。そして、発注側装置1を操作するユーザからの再生印鑑の注文を受け付ける場合(受付工程)、受注側装置2では、その再生印鑑を得るための加工(再彫刻等)を施す印鑑に関する情報(再生印鑑情報)、すなわち、リユースする印鑑に関する情報である再生印鑑情報が、印鑑情報管理データベースDB2で管理される印鑑情報(登録済印鑑情報)から特定され(特定工程:S107)、この特定された再生印鑑情報に基づいて、印鑑のリユース可否を判定するための検査条件(リユース可否判定条件)が設定される(設定工程:S205)。この後、
図10に示すように、リユースする印鑑が実際に回収されると、その印鑑の検査(リユース可否判定)が、先に設定された検査条件(リユース可否判定条件)に基づいて行われ(判定工程)、検査に合格すると(リユース可と判定されると)、回収された印鑑に加工(再彫刻等)が施されて再生印鑑が製造される(製造工程)。このため、再生印鑑の注文から製造に至るまでの工程を効率化することが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の効率化を図ることが可能となり、延いては、印鑑のリユースの普及に貢献することが期待できる。
【0129】
また、上記実施例に係るシステムを利用した印鑑のリユース方法によれば、受注側装置2で再生印鑑情報が特定されると(特定工程:S107)、その特定された再生印鑑情報に基づいて、再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報が生成され(生成工程:S109)、その生成された推奨印面情報が発注側装置1の表示部12に出力される(出力工程:S111)。このため、再生印鑑の注文段階で、再生印鑑の推奨印面をその注文者(ユーザ)に事前に確認させることが可能となる。これにより、印鑑をリユースするにあたっての利便性を向上させることが可能となる。
【0130】
以上、本発明の実施の形態として実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良や変更等が可能である。
【0131】
例えば、前述の実施例では、再生印鑑管理情報(注文確定情報)に含まれる再生印鑑情報に基づく検査条件の設定を製造側装置3で行うものとしていたが(S201~S205)、この検査条件の設定を受注側装置2で行うようにしてもよい。この場合、例えば再生印鑑受注処理(S100)において、注文確定処理(S125)で受注管理データベースDB3に登録される注文確定情報に含まれる再生印鑑情報に基づいて検査条件を決定し、この決定した検査条件を注文確定情報と関連付けて記憶部21内の記憶領域やデータベースに保存することにより、検査条件の設定を受注側装置2で行うことができる。そして、ユーザから回収した印鑑(リユースする印鑑)の検査を、記憶部21に保存された検査条件に基づいて行うことができる。なお、この場合の検査は、商品等提供事業者又は製造事業者が行うことができる。製造事業者が行う場合、製造側装置3を受注側装置2にネットワーク4を介して接続し、記憶部21(データベース等)に保存されている該当の検査条件を取得すればよい。
【0132】
このように、検査条件の設定を受注側装置2で行うことで、ユーザ情報、印鑑情報、再生印鑑情報、注文確定情報及び検査条件等の印鑑のリユースに関係する各種のデータを受注側装置2(商品等提供事業者)の側で一元管理することが可能となる。これにより、印鑑のリユースに係る作業の更なる効率化が可能となる。
【0133】
また前述の実施例では、硬質印材からなる印鑑(硬質印)をリユースするものとしていたが、例えば、多孔質ゴムからなる印字体にインキを含浸させた浸透印や、非多孔質ゴムからなる印字体を備えたゴム印等、硬質印以外の印鑑をリユースの対象とすることも可能である。
【0134】
浸透印をリユースの対象とする場合、例えば、印面文字、書体、印面(印字体)サイズ、枠形状等の印面(印字体)に関する情報の他、浸透印の品種(氏名印、住所印等)やインキの種類(顔料系、染料系等)、本体(ホルダー)の色等、浸透印に見合った情報を浸透印(印鑑)の仕様情報とすることができ、そうした情報を印鑑情報や再生印鑑情報に含めることができる。ゴム印についても同様に、ゴム印に見合った情報をゴム印(印鑑)の仕様情報とすることができる。
【0135】
また、浸透印をリユースして再生印鑑とする場合、例えば、浸透印を構成する印字体やインキ含浸体、スライド、スプリング、ホルダー等の各部品のうち、印字体については再生印鑑の印面が形成された新たな印字体に交換し、その他の部品は流用することにより、再生印鑑(リユース印鑑)とすることが考えられる。この場合、浸透印のリユース可否の判定(検査)は、例えば、浸透印を構成するインキ含浸体、スライド、スプリング、ホルダー等の構成部品の劣化具合を判断基準(検査条件)として行うことができる。ゴム印についても、ゴム印の構成部品を鑑みて同様に対応可能である。
【0136】
また前述の実施例では、ユーザから回収した印鑑に施す加工、すなわち、再生印鑑を得るための加工として印面の再彫刻(彫り直し)を示したが、リユースにあたっての加工の内容は印面の再彫刻に限られず、例えば、印鑑本体の色を塗り直したり、印鑑の持ち手部分の形状(デザイン)を変更したりする等、再生印鑑が得られる加工であればよい。
【0137】
また前述の実施例では、ユーザ情報管理データベースDB1でユーザ情報が管理されているユーザ(ユーザIDを持つユーザ)が再生印鑑を注文可能とし、印鑑情報管理データベースDB2で管理されているユーザの印鑑情報から再生印鑑情報を特定するものとしていた。これに対し、ユーザ情報管理データベースDB1でユーザ情報が管理(登録)されていないユーザ(例えば、会員登録していないユーザ)や、印鑑情報管理データベースDB2で印鑑情報が管理(登録)されていないユーザも再生印鑑を注文可能として、そうしたユーザ(「非登録ユーザ」ともいう。)の印鑑をリユースの対象とすることも可能である。
【0138】
この場合、システム上、再生印鑑の注文段階で再生印鑑情報を特定できないことに起因して、リユースする印鑑を検査するための検査条件を予め設定しておくことができないこともあり得る。そこで、印鑑の仕様のうち印鑑素材(印材)を特定するためのテーブル(「素材特定テーブル」ともいう。)を、受注側装置2の記憶部21又は製造側装置3の記憶部31に記憶されるデータベースに設け、実際に非登録ユーザから印鑑を回収した後、その回収した印鑑の素材(印材)を素材特定テーブルに基づいて特定することで、その特定した素材の検査条件を前述の検査条件テーブルから取得して設定することが可能である。ここで、素材特定テーブル(図示せず)は、例えば、柘植やチタン、アルミナ、ジルコニア等の印鑑の素材(印材)ごとの硬度や比重等の物性値を記憶するテーブルとすることができる。
【0139】
商品等提供事業者又は製造事業者は、非登録ユーザの印鑑を受け取ったら(回収したら)、その印鑑の物性値を所定の測定器により測定し、その測定結果と素材特定テーブル内の物性値との比較により、非登録ユーザの印鑑の素材を特定する。この特定した素材の検査条件を検査条件テーブルから取得することで、非登録ユーザの印鑑についてもリユース可否の判定(検査)が可能となり、その結果、リユース可であれば、再生印鑑を提供することが可能となる。
【0140】
また前述の実施例に係るシステムを、印鑑に関する情報を管理する外部のサーバ等の装置(「外部装置」ともいう。)と連携させて、外部装置側の情報管理の効率化を図ることも可能である。具体的には、例えば、前述の実施例に係るシステムを利用するユーザの印鑑に関し、前述の受注側装置2の印鑑情報管理データベースDB2で管理される印鑑情報の他に、外部装置のデータベース(図示せず)で管理される印鑑情報(「外部印鑑情報」ともいう。)が存在するものとする。そして外部印鑑情報は、印鑑情報管理データベースDB2で管理される印鑑情報(
図8(B)を参照)と同様の内容を含むものとする。
【0141】
このような前提のもと、前述の実施例に係るシステムにおいて、ユーザ(発注側装置1)からの再生印鑑の注文が確定すると、その注文確定情報が受注側装置2の受注管理データベースDB3に登録され(S125)、また、当該注文確定情報を含む再生印鑑管理情報が製造側装置3の再生印鑑製造管理データベースDB4に登録される(S203)。当該登録(つまり、再生印鑑の製造)を契機として、受注側装置2又は製造側装置3と外部装置とをネットワーク4を介して通信可能に接続し、外部装置のデータベース内の同じユーザ(再生印鑑を注文したユーザ)の外部印鑑情報を、受注管理データベースDB3又は再生印鑑製造管理データベースDB4に登録された情報に基づいて、当該ユーザの再生印鑑の印面内容を示す情報に書き換えるように構成する。書き換え対象となる外部装置のデータベース内の外部印鑑情報の特定は、例えば、受注側装置2の印鑑情報管理データベースDB2で管理されるユーザ(再生印鑑を注文したユーザ)の印鑑情報と、外部装置のデータベースで管理される外部印鑑情報とを照合することにより行うことができる。
【0142】
このような構成によれば、前述の実施例に係るシステムと連携して、外部装置側の情報管理の効率化を図ることも可能である。なお、外部装置は、例えば、印鑑登録(実印登録)を行う役所が備える装置を想定することができ、この場合、役所による印鑑登録に係る業務の効率化を図ることが可能である。
【0143】
以下、本発明に関連する別発明を参考発明として開示しておく。
【0144】
(参考発明1)
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユースシステムであって、
ユーザ装置とネットワークを介して通信可能に構成され、前記再生印鑑を受注する側に設けられる受注側装置を有し、
前記受注側装置は、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を登録して管理する管理手段と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記注文を受け付ける場合に、前記加工を施す印鑑に関する再生印鑑情報を、前記管理手段が管理する前記印鑑情報から特定する特定手段と、を備える
ことを特徴とする印鑑のリユースシステム。
【0145】
(参考発明2)
ユーザの印鑑を回収し、該回収した印鑑に加工を施して得られる再生印鑑を提供する印鑑のリユースシステムであって、
ユーザ装置とネットワークを介して通信可能に構成され、前記再生印鑑を受注する側に設けられる受注側装置を有し、
前記受注側装置は、
ユーザの印鑑に関する印鑑情報を登録して管理する管理手段と、
ユーザからの前記再生印鑑の注文を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記注文を受け付ける場合に、前記再生印鑑の印面として推奨される推奨印面情報を、前記管理手段が管理する前記印鑑情報に基づいて生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記推奨印面情報を前記ユーザ装置に出力する出力手段と、を備える
ことを特徴とする印鑑のリユースシステム。
1 発注側装置、2 受注側装置、3 製造側装置、4 ネットワーク、10 制御部、11 記憶部、12 表示部、13 操作部、14 通信部、20 制御部、21 記憶部、22 表示部、23 操作部、24 通信部、30 制御部、31 記憶部、32 表示部、33 操作部、34 通信部、DB1 ユーザ情報管理データベース、DB2 印鑑情報管理データベース、DB3 受注管理データベース、DB4 再生印鑑製造管理データベース。