(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056158
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】リフター装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/42 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
B65G65/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165316
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 卓巳
(72)【発明者】
【氏名】一圓 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】栗田 二郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 義博
【テーマコード(参考)】
3F075
【Fターム(参考)】
3F075AA04
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA01
3F075CA02
3F075CA06
3F075CA09
3F075CC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】搬送中のワークの傷、つぶれ、折れなどの発生を抑制するほか、コンベア装置の安定駆動を確保することのできるリフター装置を提供すること。
【解決手段】ホッパー2は、底部の少なくとも一部にワークの排出用開口22が水平状に形成されており、コンベアベルト12は、ワーク搬送時における走行方向上流側を下位に、下流側を上位に位置させて傾斜配置されているとともに、ワーク搬送時における走行方向上流端部がホッパー2の排出用開口22に対向させて水平配置されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜壁によってワークを底部方向へ案内し、集積させるホッパーと、
少なくとも一対のプーリを用いて循環走行可能に張設され、その上面を前記ホッパーから搬出されるワークを搭載するワーク搭載面とするコンベアベルトと、
を備えるリフター装置であって、
前記ホッパーは、底部の少なくとも一部にワークの排出用開口が水平状に形成されており、
前記コンベアベルトは、ワーク搬送時における走行方向上流側を下位に、下流側を上位に位置させて傾斜配置されているとともに、ワーク搬送時における走行方向上流端部が前記ワーク搭載面を前記ホッパーの排出用開口に対向させ、前記コンベアベルトの循環走行によって前記ワークを前記ホッパーから搬出可能に、水平配置されていることを特徴とするリフター装置。
【請求項2】
前記コンベアベルトは、前記ワーク搭載面が前記排出用開口に連接する前記ホッパーの側壁の一部を構成し、ホッパー内に臨むように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のリフター装置。
【請求項3】
前記本体コンベアベルトは幅方向に延在する横桟が周方向に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリフター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送するコンベアを登り勾配で配設したリフター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記リフター装置は、特定の産業に限ること無く、汎用される搬送装置の一種である。例えば、充填包装業界においては、ワークとしての容器やその容器の口部を塞ぐキャップを充填等の作業工程へ向けて供給するための、前記ワークを貯留するホッパーと、そのホッパー内に貯留されたワークを掻き上げる為の横桟付きコンベアベルトを循環駆動させるリフター装置が公知となっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したようなリフター装置は、傾斜させたコンベアベルトで、重力が作用してホッパーの下端部に形成された開口部へ向かって滑落するワークを前記横桟において掻き上げながら搬送路を搬送させていたので、タイミングやワークの形状・向きによっては、ホッパーと横桟やコンベアベルトとの間にワークが挟まり、ワークに傷がついたり、潰れたり、折れたり、詰まりが発生したりすることがあった。結果、そのワークを用いた製品の外観やシール性などの品質を損ねるばかりでなく、破損したワークの破片などが異物となり、後続機械の作業中などに製品に混入することも危惧されることとなる。
【0005】
また、傾斜したコンベアベルトにてホッパー内のワークを掻き上げる、その搬送力はホッパー内のワークのごく一部にしか働かないので、ブリッジと称されるワークの絡み合い状態が生じることがある。効率的なワークの搬送のためには、まず、このブリッジの発生の問題を解消することが必要となる。
【0006】
また、リフター装置のコンベアとしては、前述のようなベルト状のものではなく、金属やプラスチックなどの硬質材料からなるコマを連結させ、曲線運動に対応させた構成のものも用いられることがある。その場合には、構造上、コマとコマとの間に隙間を設ける必要があるが、その隙間にもワークが挟まって、傷がついたり、コンベアの駆動に支承を来たすことがあった。
【0007】
前記ワークとしての前記キャップの種類は様ざまであるが、例えば、ノズル付きキャップはノズル部分やハンドル部分が噛み込まれやすく、破砕されやすい。また、ヒンジにより蓋部分が開閉するキャップは蓋部分が噛み込まれることにより開いた状態になってしまうということもあった。また、キャップ本体にタンパーエビデントバンド(TEバンド)が分離可能に連結され、開栓時にTEバンドがびん口に残って開栓したことを示すフィンロックキャップは、上述の噛み込みにより、キャップ本体とTEバンドとの連結部が切り離されてしまうことがあった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、搬送中のワークの傷、つぶれ、折れなどの発生を抑制するほか、コンベア装置の安定駆動を確保することのできるリフター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明のリフター装置は、傾斜壁によってワークを底部方向へ案内し、集積させるホッパーと、少なくとも一対のプーリを用いて循環走行可能に張設され、その上面を前記ホッパーから搬出されるワークを搭載するワーク搭載面とするコンベアベルトと、を備えるリフター装置であって、前記ホッパーは、底部の少なくとも一部にワークの排出用開口が水平状に形成されており、前記コンベアベルトは、ワーク搬送時における走行方向上流側を下位に、下流側を上位に位置させて傾斜配置されているとともに、ワーク搬送時における走行方向上流端部は、前記ワーク搭載面を前記ホッパーの排出用開口に対向させ、前記コンベアベルトの循環走行によって前記ワークを前記ホッパーから搬出可能に、水平配置されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明のリフター装置によれば、ホッパーの底部に水平状に形成された搬出用開口に至ったワークを、コンベアベルトの水平配置されたワーク搭載面で受け止めることで、コンベアベルトの走行によるワークの搬送力を多くのワークに働かせて、確実に走行方向下流側へ搬送することが可能となる。また、コンベアベルトを採択すれば、前述のように、コマとコマとの間の隙間にワークが詰まって搬送を阻害したり、ワークが損傷することも削減できる。
【0011】
また、前記コンベアベルトは、前記ワーク搭載面が前記排出用開口に連接する前記ホッパーの側壁の一部を構成し、ホッパー内に臨むように配設されていることを特徴とする。
【0012】
このように構成された本発明のリフター装置によれば、さらに、コンベアベルトの走行によるワークの搬送力をホッパー内のより多くのワークに働かせ、ワークを掻き上げるようにすることができるので、ブリッジの発生を減少させることが可能となり、搬送中のワークの詰まりや噛み込みの問題を解消し、ワークの傷、つぶれ、折れなどの発生を抑制することも可能となる。
【0013】
さらに、前記本体コンベアベルトは幅方向に延在する横桟が周方向に形成されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成された本発明のリフター装置によれば、ホッパーから横桟によって掬い上げたワークを損傷させることなく確実に走行方向下流側へ搬送することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のリフター装置によれば、搬送中のワークの詰まりや噛み込みの問題を解消することができ、ワークの傷、つぶれ、折れなどの発生を抑制するほか、コンベア装置の安定駆動の確保と、ワークの破片等の製品への混入を防止できる、という優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るリフター装置の一実施形態を説明する概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るリフター装置1の実施形態について、
図1を参照して説明する。
【0018】
本実施形態のリフター装置1は、
図1に示すように、コンベア部4を登り勾配で配設したワークの搬送装置であり、例えば、ワークとしてのキャップを搬送する目的で使用される。
【0019】
このリフター装置1は、傾斜壁23によってキャップを底部方向へ案内し、集積させるホッパー2と、フレーム基台3にホッパー2とともに配設され、ホッパー2からキャップを掬い揚げるコンベア部4と、コンベア部4が掬い上げたキャップを後続機械方向へ送り出すシューター5とを備えている。
【0020】
本実施形態において、コンベア部4は、一対のプーリ10,10間に張設され、その上面をワーク搭載面11とするコンベアベルト12を有しており、不図示のモータの駆動によって循環走行可能とされている。そして、コンベアベルト12は幅方向に延在する横桟13が走行方向に等間隔に形成されており、ワーク搬送時のワーク搭載面11の走行方向上流端をキャップが貯留されるホッパー2内に位置させ、下流端を上位に位置させる上り勾配でフレーム基台3に傾斜させて配設されている。
【0021】
そして、コンベアベルト12のワーク搬送時における走行方向上流端部は、ワーク搭載面11をホッパー2の排出用開口に対向させて水平配置され、コンベアベルト12の循環走行によってワークをホッパー2から搬出可能とされている。
【0022】
ここで、本実施形態のホッパー2は、キャップの供給用開口21を天部に有する断面ロート状の略逆四角錐とされており、ホッパー2の一枚の側壁の中央部にコンベアベルト12が上り勾配で位置して該側壁の一部を構成するようにして、フレーム基台3の脚部付近に配設されている。ホッパー2の底部には、コンベアベルト12の幅寸法よりも少し狭幅とされたキャップの排出用開口22が水平状に開口して形成されており、ホッパー2の側壁の一部を構成する傾斜壁23によって、貯留しているキャップを排出用開口22へ滑落させるように形成されている。
【0023】
また、本実施形態において、コンベア部4により搬送されたキャップを後続機械方向へ送り出すシュータ5は公知の構成のものを利用する。
【0024】
次に、本実施形態のリフター装置1の作用について説明する。
【0025】
ホッパー2の供給用開口21から、搬送目的のキャップをホッパー2内に投入して貯留させるとともに、コンベア部4の前記モータを駆動させてコンベアベルト12を循環走行させる。
【0026】
コンベア部4は、走行するコンベアベルト12が、ホッパー2内において傾斜壁23を滑落し、自重で底頂部部分に集められたキャップを横桟13で掬い上げ、そのまま、走行方向下流側へ搬送する。
【0027】
そして、コンベア部4により下流端まで搬送されたキャップは、そのままシュータ-5内に滑落し、後続機械方向へ送り出される。
【0028】
その際、本実施形態のリフター装置1においては、ホッパー2の底部に水平状に形成された搬出用開口22に至ったキャップを、コンベアベルト12の水平配置されたワーク搭載面11で受け止めることで、コンベアベルト12の走行による搬送力を、多くのキャップに働かせて、確実に走行方向下流側へ搬送することが可能となる。
【0029】
また、コンベアベルト12は、ワーク搭載面11が排出用開口22に連接するホッパー2の側壁の一部を構成し、ホッパー内に臨むように配設されているので、さらに、コンベアベルトの走行による搬送力をホッパー内のより多くのキャップに働かせ、キャップを掻き上げるようにすることができ、ブリッジの発生を減少させることが可能となり、搬送中のキャップの詰まりや噛み込みの問題を解消し、キャップの傷、つぶれ、折れなどの発生を抑制することも可能となる。
【0030】
本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。例えば、ワークは前述のキャップに限らないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0031】
1 リフター装置
2 ホッパー
3 フレーム基台
4 コンベア部
5 シューター
10 プーリ
11 ワーク搭載面
12 コンベアベルト
13 横桟
21 供給用開口
22 排出用開口
23 傾斜壁