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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056164
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】空気調和ユニット
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20230412BHJP
   F24F 1/04 20110101ALI20230412BHJP
【FI】
A41D13/005 103
F24F1/04
A41D13/005 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165327
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】591209442
【氏名又は名称】岸岡 俊
(71)【出願人】
【識別番号】518447463
【氏名又は名称】清水 沙蘭
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】岸岡 俊
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA00
3B011AB01
3B011AC01
3B011AC02
3B011AC03
(57)【要約】
【課題】ユニット重量を増大させたり、ユニットサイズを大型化させたりすることなく、従来よりも広い範囲でユーザーの身体を効率的に冷房又は暖房できるようにする。
【解決手段】空気調和ユニット1は、ペルチェ素子4と、ペルチェ素子4の熱が伝導されることによってユーザーの身体を冷房又は暖房する熱交換プレート23と、熱交換プレート23の反対側においてペルチェ素子4に接合するように配置されるヒートシンク10と、ヒートシンク10に向けて送風し、ヒートシンク10の熱を放出させるファン9と、を備える。ヒートシンク10の周縁部には、ファンによって生じる風を熱交換プレート23に向けて送り込む開口部13が設けられ、その開口部13を介して送り込まれた風を熱交換プレート23によって冷却又は加熱し、熱交換プレート23に設けた送風口231又は交換プレート23の周囲に設けた送風口26から外部へ放出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの身体を冷房又は暖房するための空気調和ユニットであって、
ペルチェ素子と、
前記ペルチェ素子よりも大きい面積を有し、前記ペルチェ素子の一方の面に直接的又は間接的に接合するように配置され、前記ペルチェ素子の熱が伝導されることによってユーザーの身体を冷房又は暖房する熱交換プレートと、
前記熱交換プレートの反対側において前記ペルチェ素子の他方の面に接合するように配置されるヒートシンクと、
前記ヒートシンクに対向するように配置され、前記ヒートシンクに向けて送風し、前記ヒートシンクの熱を放出させるファンと、
を備え、
前記ヒートシンクの周縁部には、前記ファンによって生じる風を前記熱交換プレートに向けて送り込む開口部が設けられ、前記開口部を介して送り込まれた風を前記熱交換プレートによって冷却又は加熱し、前記熱交換プレートに設けた送風口又は前記交換プレートの周囲に設けた送風口から放出することを特徴とする空気調和ユニット。
【請求項2】
前記ヒートシンク及び前記ファンを覆うファンカバーを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の空気調和ユニット。
【請求項3】
前記ファンカバーの底部には、外気を導入する吸気部が設けられ、
前記吸気部は、複数のガイド板を所定角度間隔で放射状に配置し、互いに隣接する一対のガイド板の間の空間を開放することにより底面開口と側面開口とを一体的に形成した吸気口を有することを特徴とする請求項2に記載の空気調和ユニット。
【請求項4】
前記ガイド板は、前記ファンカバーの周壁よりも外側に突出していることを特徴とする請求項3に記載の空気調和ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーの身体を冷房又は暖房する空気調和ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーの身体を冷房又は暖房する空気調和ユニットとして、例えば特許文献1,2に開示されるものが提案されている。これら従来の空気調和ユニットは、いずれもペルチェ素子を利用してユーザーの身体を冷房又は暖房するように構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1の従来技術は、衣服内側と外側とを仕切る仕切板にペルチェ素子を取り付けると共に、衣服内側と外側の双方にファンを設け、ペルチェ素子の熱交換効率を高めるようにしている。
【0004】
また、特許文献2の従来技術は、衣服の内側にペルチェ素子よりもサイズの大きい金属製の熱交換プレートを配置し、ペルチェ素子の熱を熱交換プレートに伝導させることでユーザーの身体の広い領域を冷房又は暖房できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-97799号公報
【特許文献2】特開2021-113371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の従来技術では、空気調和ユニットに2つのファンが搭載されるため、ユニット自体の重量が増すと共に、ユニットサイズも大きくなり、衣服に装着して使用するときの使用感が悪いという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2の従来技術は、衣服の内側にファンが設けられないため、ユーザーの使用感は改善されている。しかし、特許文献2の従来技術では、衣服の内側に設けられる熱交換プレートに触れる部分は、ペルチェ素子による冷房効果又は暖房効果を享受できるものの、熱交換プレートに触れない部分は冷房効果又は暖房効果を享受できない。そのため、例えば空気調和ユニットが衣服の後身頃に装着される場合、特許文献2の従来技術は、ユーザーの背の一部だけを冷房又は暖房するに留まり、ユーザーの背の全般を冷房又は暖房することができないという課題がある。
【0008】
そこで本発明は、ユニット重量を増大させたり、ユニットサイズを大型化させたりすることなく、従来よりも広い範囲でユーザーの身体を効率的に冷房又は暖房できるようにした空気調和ユニット及びそれを備えた衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、ユーザーの身体を冷房又は暖房するための空気調和ユニット(1)であって、ペルチェ素子(4)と、前記ペルチェ素子(4)よりも大きい面積を有し、前記ペルチェ素子(4)の一方の面に直接的又は間接的に接合するように配置され、前記ペルチェ素子(4)の熱が伝導されることによってユーザーの身体を冷房又は暖房する熱交換プレート(23)と、前記熱交換プレート(23)の反対側において前記ペルチェ素子(23)の他方の面に接合するように配置されるヒートシンク(10)と、前記ヒートシンク(10)に対向するように配置され、前記ヒートシンク(10)に向けて送風し、前記ヒートシンク(10)の熱を放出させるファン(9)と、を備え、前記ヒートシンク(10)の周縁部には、前記ファン(9)によって生じる風を前記熱交換プレート(23)に向けて送り込む開口部(13)が設けられ、前記開口部(13)を介して送り込まれた風を前記熱交換プレート(23)によって冷却又は加熱し、前記熱交換プレート(23)に設けた送風口(231)又は前記交換プレート(23)の周囲に設けた送風口(26)から放出することを特徴とする構成である。
【0010】
第2に、本発明は、上記第1の構成を有する空気調和ユニット(1)において、前記ヒートシンク(10)及び前記ファン(9)を覆うファンカバー(3)を更に備えることを特徴とする構成である。
【0011】
第3に、本発明は、上記第2の構成を有する空気調和ユニット(1)において、前記ファンカバー(3)の底部(31)には、外気を導入する吸気部(34)が設けられ、前記吸気部(34)は、複数のガイド板(32)を所定角度間隔で放射状に配置し、互いに隣接する一対のガイド板(32,32)の間の空間を開放することにより底面開口(34a)と側面開口(34b)とを一体的に形成した吸気口を有することを特徴とする構成である。
【0012】
第4に、本発明は、上記第3の構成を有する空気調和ユニット(1)において、前記ガイド板(32)は、前記ファンカバー(3)の周壁(30)よりも外側に突出していることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気調和ユニットのユニット重量を増大させたり、ユニットサイズを大型化させたりすることなく、従来よりも広い範囲でユーザーの身体を効率的に冷房又は暖房できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】空気調和ユニットを示す斜視図である。
図2】空気調和ユニットのユニット本体からファンカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図3】ユニット本体の各構成部材を分解して示す斜視図である。
図4】空気調和ユニットの内部構造を示す断面図である。
図5】空気調和ユニットをユーザーの身体に装着するための補助部材の取付例を示す図である。
図6】空気調和ユニットをユーザーの身体に装着した例を示す図である。
図7】空気調和ユニットがユーザーの身体に装着された状態を示す断面図である。
図8】空気調和ユニットの外側に上着が着用された状態を示す断面図である。
図9】空気調和ユニットの制御機構を示すブロック図である。
図10】ファンカバーのガイド板に張出部を設けた構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態における空気調和ユニット1の一例を示す斜視図であり、(a)及び(b)は空気調和ユニット1をそれぞれ異なる方向から観た図を示している。図2は、空気調和ユニット1のユニット本体2とファンカバー3とを取り外した状態を示す斜視図である。図3は、ユニット本体2の各構成部材を分解して示す斜視図である。これらの図面に示す本実施形態の空気調和ユニット1は、ペルチェ素子4を用いた熱交換を行い、装着者であるユーザーの身体(例えば背中)を冷房又は暖房する装置である。この空気調和ユニット1は、ユニット本体2とファンカバー3とを備えている。ファンカバー3は、ユニット本体2の正面側に着脱可能である。この空気調和ユニット1は、ユニット本体2の背面側に設けられている熱交換プレート23をユーザーの身体に対向させるようにしてユーザーの身体に装着される。ユニット本体2の内部には、図3に示すようにペルチェ素子4が設けられる。空気調和ユニット1は、そのペルチェ素子4に電流を流すことにより、熱交換プレート23を冷却又は加熱し、ユーザーの身体を冷房又は暖房する。
【0017】
図3に示すように、ユニット本体2は、ファン9と、ヒートシンク10と、ペルチェ素子4と、支持部材5と、金属板6と、第1保持部材21と、第2保持部材22と、熱交換プレート23とを備えて構成される。第1保持部材21はユニット本体2の背面側に配置され、第2保持部材22はユニット本体2の正面側に配置される。第1保持部材21及び第2保持部材22は、互いに対を成す部材であり、その内側にペルチェ素子4、支持部材5及び金属板6を収容した状態で周縁部を互いに係合させることにより、ユニット本体2の筐体を形成する。そして第1保持部材21及び第2保持部材22は、ペルチェ素子4、支持部材5、金属板6、熱交換プレート23、ヒートシンク10及びファン9を一体的に組み付けた状態で保持する。ユニット本体2は、第2保持部材22の正面側にヒートシンク10及びファン9が組み付けられ、第1保持部材21及び第2保持部材22で形成されるユニット本体2の筐体の正面側にヒートシンク10及びファン9を突出させた状態に保持する。
【0018】
第1保持部材21は、その背面側に熱交換プレート23を保持する。熱交換プレート23は、薄肉の金属プレートによって構成され、その上部が蒲鉾状の形態を有している。この熱交換プレート23の中央には、ビス233を挿通するための孔232が形成される。また、熱交換プレート23は、ビス233を挿通する孔232の周囲の複数箇所に所定サイズの送風口231が形成されている。本実施形態では、孔232の上方2箇所と、下方1箇所の合計3箇所に、送風口231が形成された例を示している。ただし、送風口231の数は、3つに限られるものではなく、2つであっても良いし、4つ以上であっても構わない。
【0019】
第1保持部材21は、熱交換プレート23の外周部を保持可能な樹脂製の保持枠体25として構成され、その保持枠体25に熱交換プレート23の外周部が嵌め込まれることにより、熱交換プレート23を保持する。また、第1保持部材21は、保持枠体25の中央部に矩形状の金属板6を保持する保持枠251を更に有している。この保持枠251は中央に金属板6を嵌め込むための矩形状の開口部252を有している。金属板6は、その開口部252に嵌め込まれることにより、保持枠体25に嵌め込まれた熱交換プレート23の正面側の面に接合する状態に設置される。すなわち、第1保持部材21は、熱交換プレート23と金属板6とを互いに接合させた状態に保持する。そして熱交換プレート23の背面側から孔232に挿通されるビス233が金属板6の背面側にねじ込まれることにより、熱交換プレート23及び金属板6が互いに接合した状態に固定される。
【0020】
また、第1保持部材21は、保持枠体25の周縁部に、正面側に向かって突出形成された係合片25aを有している。この係合片25aは、保持枠体25の周縁部の複数箇所に設けられている。更に、第1保持部材21は、保持枠体25の周縁部において第2保持部材22と対向する部分に凹部26aが設けられている。この凹部26aは、保持枠体25の周縁部の複数箇所に設けられている。
【0021】
第2保持部材22は、第1保持部材21の正面側に配置され、その周縁部を第1保持部材21の周縁部に接合させることが可能である。第2保持部材22は、第1保持部材21と接合するプレート部材27を備えて構成される。プレート部材27の中央には、ヒートシンク10を取り付けるための取付座28が形成される。例えば、取付座28は、プレート部材27の中央部を正面側に突出させたリング状の台座として形成される。取付座28の外径は、ヒートシンク10の外径よりも大きく形成することが好ましい。この取付座28の中央には、ヒートシンク10の外径よりも小さい直径の円形の孔281が形成されており、その孔281を介してヒートシンク10の背面側とペルチェ素子4の正面側とを互いに接合させることができる。また、円形の孔281の周囲4箇所には、ヒートシンク10の周縁部4箇所に形成される開口部13の位置に対応する切欠部282が設けられている。例えば、切欠部282は、孔281の周囲において45度の等角度間隔で形成されている。
【0022】
また、第2保持部材22は、取付座28の周囲に正面側に突出させた係合突起24とコネクタ29とを備えている。例えば、係合突起24は、取付座28の周囲3箇所の位置に設けられている。また、コネクタ29は、取付座28の下方位置に設けられている。コネクタ29には、図示を省略するケーブルが装着され、そのケーブルがペルチェ素子4とファン9に接続される。
【0023】
また、第2保持部材22は、プレート部材27の周縁部の複数箇所に、第1保持部材21に設けられている係合片25aと係合する係合孔27aを有している。第1保持部材21及び第2保持部材22は、係合片25aを係合孔27aに係合させることにより、一体的に組み付けられる。第1保持部材21と第2保持部材22とが一体的に組み付けられたとき、ペルチェ素子4を支持する支持部材5の周囲において、第1保持部材21によって保持される熱交換プレート23と、第2保持部材22のプレート部材27との間に一定の隙間が生じるようになっている。
【0024】
また、第2保持部材22は、プレート部材27の周縁部において第1保持部材21と対向する部分に凹部26bが設けられている。この凹部26bは、プレート部材27の周縁部の複数箇所に設けられる。具体的には、複数の凹部26bは、第1保持部材21に設けられている複数の凹部26aと対向する位置に形成されている。そして、第1保持部材21と第2保持部材22とが一体的に組み付けられたとき、第1保持部材21に設けられた凹部26aの両端と、第2保持部材22に設けられた凹部26bの両端とが互いに接合し、ユニット本体2の周縁部に送風口26を形成する(図1図2参照)。
【0025】
ペルチェ素子4は、概略矩形状の薄板状素子であり、表面側(正面側)と裏面側(背面側)とに異なる2種類の金属が配置されており、その2種類の金属の接合部に電流を流すことにより、一方の金属から他方の金属へ熱が移動するというペルチェ効果を利用した半導体素子である。例えば、一方の金属から他方の金属へ直流電流を流すと、ペルチェ素子4の一方の面が吸熱し、他方の面に発熱が起こる。直流電流の極性を反転させると、吸熱作用及び発熱作用が生じる面が反転する。空気調和ユニット1は、このようなペルチェ素子4の特性を利用してユーザーの身体を冷房又は暖房する。例えば、空気調和ユニット1がユーザーの身体の冷房することきには、ペルチェ素子4の背面側の面に吸熱作用を生じさせ、正面側の面に発熱作用を生じさせる。反対に、空気調和ユニット1がユーザーの身体の暖房することきには、ペルチェ素子4の背面側の面に発熱作用を生じさせ、正面側の面に吸熱作用を生じさせる。
【0026】
支持部材5は、ペルチェ素子4と同じ肉厚の円形樹脂板によって形成される。この支持部材5は、中央に、ペルチェ素子4の外形に対応する矩形状の支持孔5aを有し、その支持孔5aにペルチェ素子4を嵌め込んだ状態で支持する。支持部材5の厚さがペルチェ素子4の厚さと同一であるため、支持部材5は、支持孔5aに嵌め込まれたペルチェ素子4の表裏両面を支持部材5の表裏両側に露出させた状態で支持することができる。尚、支持部材5の厚さは、ペルチェ素子4よりも薄くしても構わない。
【0027】
支持部材5の外径は、第2保持部材22の取付座28に形成されている円形の孔281の内径と同一若しくはそれよりも若干小さい。そのため、支持部材5は、ペルチェ素子4の正面側の面をヒートシンク10の背面側の面に接合させた状態に支持することができる。また、支持部材5は、ペルチェ素子4の背面側の面を金属板6の正面側の面に接合させた状態に支持することができる。例えば、支持部材5、金属板6及びヒートシンク10は、図示を省略するビス等によって一体的に組み付けられる。
【0028】
ペルチェ素子4の正面側には、ヒートシンク10とファン9とが配置される。ヒートシンク10は、その背面側の面をペルチェ素子4の正面側の面に接合させた状態に配置される。このヒートシンク10は、円盤状の平板部11と、平板部11の周縁部に配置され、平板部11の正面側に立設する複数のフィン12と、それら複数のフィン12の間の4箇所に形成される開口部13とを備えている。例えば開口部13は、平板部11の表裏を貫通する孔として形成され、その孔の周囲に概略コ字状の壁部を正面側に立設させた構成を有している。コ字状の壁部は、平板部11の中央に臨む面が開放されており、ファン9が作動して平板部11の中央から周縁部に向かう風を壁部の内側に流入させることができるように形成されている。そしてコ字状の壁部の内側に流入した風は、開口部13を介してヒートシンク10の背面側へと導かれる。このような開口部13は、第2保持部材22の取付座28に形成された切欠部282の位置に合致するように配置される。したがって、ヒートシンク10の開口部13を介してヒートシンク10の背面側へ導かれる風は、切欠部282を介してユニット本体2の筐体の内部へ進入する。
【0029】
このようなヒートシンク10は、背面側の面をペルチェ素子4の正面側の面に接合させた状態に配置されるため、ペルチェ素子4に電流が流れることに伴い、ペルチェ素子4の正面側の面に生じる熱を吸収する。そして複数のフィン12を介してペルチェ素子4から吸収した熱を放熱する。
【0030】
ヒートシンク10の更に正面側には、ヒートシンク10に対向するようにファン9が配置される。ファン9は、ヒートシンク10に向けて外気を送り込むことにより、ヒートシンク10の熱を放出させると共に、ヒートシンク10の周縁部に設けられている開口部13を介してユニット本体2の筐体の内部に外気を送り込む機能を有している。このファン9は、例えばヒートシンク10の平板部11に設けられる保持機構(図示省略)によってヒートシンク10の正面側に取り付けられる。例えば、ファン9の外径は、ヒートシンク10の外径と略同一若しくはそれよりも若干大きいサイズとすることが好ましい。
【0031】
次にファンカバー3について説明する。図2に示すように、ファンカバー3は、ユニット本体2の正面側に突出するヒートシンク10及びファン9の周縁部を覆うように取り付けられ、ファン9が正常に動作できるように保護する。例えば、ファンカバー3は、概略有底円筒状の形態を有し、ヒートシンク10及びファン9の周囲側方を覆う周壁30と、周壁30の端面を覆う底部31とを有している。例えば、円筒状の周壁30は、その内径がヒートシンク10及びファン9の外径よりも大きく形成されている。
【0032】
図2に示すように、ユニット本体2の第2保持部材22の中央に設けられている取付座28の周縁部には、ファンカバー3の端面30aと係合する係合部28aが形成されている。一方、ファンカバー3の周壁30の端面30aの内側には、その係合部28aと係合する突起部(図示省略)が設けられている。ファンカバー3は、周壁30の端面30aを第2保持部材22の表面に押し付けた状態で所定方向に所定角度に回転させることにより、端面30aの内側の突起部が係合部28aに係合し、ユニット本体2に装着される。また、ファンカバー3は、ユニット本体2に装着されている状態で反対方向に所定角度回転させることにより、ユニット本体2から簡単に取り外すことができる。
【0033】
ファンカバー3は、底部31の中央に、小サイズの底板33が設けられている。例えば、底板33は、周壁30の内径よりも小さい直径の円形板として形成される。また、ファンカバー3の底部31には、底板33の周縁部と周壁30の端部と接続するように設けられる複数のガイド板32が設けられている。ガイド板32は、薄い板状に形成されている。それら複数のガイド板32は、底板33から放射状に配置される。そのため、互いに隣接する一対のガイド板32,32の間には、外気をファンカバー3の内側に導入する吸気部34が形成されている。例えば、ガイド板32は、直角三角形の板状に形成されており、鋭角である2つの頂点のうちの一方の頂点が底板33に接続され、他方の頂点が周壁30の端部に接続されている。そのため、ファンカバー3の底部31に形成される吸気部34は、互いに隣接する一対のガイド板32,32の間の空間を開放することにより、ファンカバー3の底面に設けられる底面開口34aと、ファンカバー3の側面に設けられる側面開口34bとを互いに連通させて一体的に形成した吸気口を有している。そのため、空気調和ユニット1の外側に上着などが着用される場合であっても、上着などの衣服によって吸気部34が完全に塞がれてしまうことを防止することができ、外気をファンカバー3の内部に取り込むことが可能な構造となっている。
【0034】
また、ファンカバー3は、周壁30に、カバー内の空気を外部に放出するための排気窓35を有している。排気窓35は、ヒートシンク10のフィン12の外側に対応する位置に形成されており、フィン12から熱を奪った空気をファンカバー3の外部へ排気する。
【0035】
上記のような構成において、金属板6は、ペルチェ素子4の吸熱又は発熱作用により降温又は昇温する。この金属板6は例えばアルミ金属で形成される。アルミ金属は、熱伝導率が比較的高く、しかも軽量であるため、ユーザーが身体に装着する用途として適している。ただし、金属板6は、アルミ製に限られるものではなく、比較的高い熱伝導率を示す金属であればどのような金属を用いても構わない。例えば、銅や錫などを用いて金属板6を形成しても良い。
【0036】
金属板6は、その面積がペルチェ素子4の面積よりも大きいものを用いることが好ましい。ペルチェ素子4の面積よりも大きい金属板6をペルチェ素子4の一方の面に接合させることにより、金属板6の一面の略中央にペルチェ素子4を接合させることができ、ペルチェ素子4の一方の面で生じる吸熱作用又は発熱作業を効率よく金属板6に伝えることができる。
【0037】
ただし、金属板6の面積は、ペルチェ素子4の面積に対して大き過ぎることは好ましくない。金属板6は、ペルチェ素子4の吸熱又は発熱作用によって全体的に降温又は昇温するため、金属板6の熱容量が大きくなり過ぎるとペルチェ素子4に負荷がかかり、ペルチェ素子4における電流消費量が増加してしまうからである。そのため、金属板6の面積はペルチェ素子4の面積に比して1.5~4倍の範囲内に留めておくことが好ましい。
【0038】
熱交換プレート23は、金属板6の背面側の面に接合するように配置されている。熱交換プレート23は、ユーザーの身体を冷却又は加熱するプレートである。例えば、熱交換プレート23は、金属板6よりも大きなサイズとして形成される。そのため、熱交換プレート23の熱容量は、金属板6よりも大きい。また、熱交換プレート23は、例えば、銅板、錫板、アルミ板などを用いて形成される。
【0039】
例えば、熱交換プレート23として銅板を用いる場合、熱伝導率が比較的高いため、熱交換を効率的に行うことが可能である。この場合、熱交換プレート23は、例えば厚さ0.3~0.8mm程度の銅板を基材とし金属板6と接合する部分を除くプレート表面(表面及び裏面の双方を含む)に対して錫によるメッキを施したものを用いることが好ましい。板厚を0.3~0.8mm程度とすることで、衣服用として適度な硬度を得ることができる。また、銅は酸化しやすいため、プレート表面に対して錫によるメッキを施すことで酸化を防止することができる。また、錫によるメッキを金属板6との接合部には設けないようにすることで、金属板6の熱を効率よく熱交換プレート23に伝導させることができる。
【0040】
また、例えば熱交換プレート23として錫板を用いる場合、銅やアルミと比較して柔らかいため、ユーザーの身体に対する密着性が増すという利点がある。この場合、熱交換プレート23は、例えば厚さ0.5~1.0mm程度の錫板を基材とし、金属板6と接合する部分を除くプレート表面(表面及び裏面の双方を含む)に対して銀又は銅によるメッキを施したものを用いることが好ましい。板厚を0.5~1.0mm程度とすることで、適度な硬度を得ることができる。また、錫は銅に比較して熱伝導率が低いため、プレート表面に対して銀又は銅によるメッキを施すことで熱伝導率の低さを大幅に改善することができる。また、銀や銅によるメッキを金属板6との接合部には設けないようにすることで、金属板6の熱を効率よく熱交換プレート23に伝導させることができる。
【0041】
また、例えば熱交換プレート23としてアルミ板を用いる場合、例えば厚さ0.5~0.8mm程度のアルミ板を基材とする。この場合のアルミ板には、予めアルマイト処理を施しておく。アルマイト処理によりアルミの酸化による腐食を防止することができる。また、アルミ板は、金属板6と接合する部分を除くプレート表面(表面及び裏面の双方を含む)に対して銀によるメッキを施したものを用いることが好ましい。銀は、金属の中で熱伝導率が最も高いため、ユーザーの身体を効率的に冷却又は加熱することができる。
【0042】
このような熱交換プレート23は、ユーザーの背に直接的又は間接的に接触し、その接触した部分を効率的に冷却又は加熱することができる。
【0043】
図4は、空気調和ユニット1の内部構造を示す断面図である。尚、図4では、ファン9の図示を省略している。上記のように構成される空気調和ユニット1は、ユニット本体2の内部においてペルチェ素子4の正面側にヒートシンク10が接合しており、ペルチェ素子4の背面側に金属板6が接合している。また、金属板6の背面側には、熱交換プレート23が接合している。
【0044】
また、ユニット本体2の内部には、ペルチェ素子4が保持されている中央部分を除き、第2保持部材22と熱交換プレート23との間に空気を流動させることが可能な空間2cが形成されている。この空間2cは、ヒートシンク10の開口部13に設けられている開口孔13aを介してファンカバー3の内部と連通している。また、この空間2cは、熱交換プレート23に設けられている送風口231及びユニット本体2の周縁部に設けられている送風口26を介してユニット本体2の外部に連通している。そのため、空気調和ユニット1は、ファン9を作動させると、外側の空気をファンカバー3の内部に取り込み、その空気をヒートシンク10の開口部13に設けられた開口孔13aを介してユニット本体2の内部の空間2cに導き、更にその空気を、送風口231,26を介してユニット本体2の周囲に放出することができる構造となっている。
【0045】
図5は、上記のような空気調和ユニット1をユーザーの身体に装着するための補助部材40の取付例を示す図である。図5(a)に示すように、空気調和ユニット1は、ユニット本体2に対して着脱可能な補助部材40を備えている。この補助部材40は、例えば樹脂製の薄い板状部材41によって構成され、その板状部材41の中央にファンカバー3を挿入可能な孔42を有している。また、補助部材40は、板状部材41の孔42の周囲3箇所の位置に、ユニット本体2の係合突起24に係脱可能な係合孔43が設けられている。また、補助部材40は、板状部材41の孔42の下方位置にユニット本体2のコネクタ29の覆うカバー部44を備えている。更に、補助部材40は、板状部材41の周囲3箇所に、ベルトを挿通可能なベルト装着孔45を有している。
【0046】
上記のような補助部材40は、図5(a)に示すようにユニット本体2の正面側から装着される。そしてユニット本体2の係合突起24に係合孔43を嵌め込むと、図5(b)に示すように、補助部材40は、ユニット本体2に装着された状態となる。
【0047】
図6は、空気調和ユニット1をユーザーの身体に装着した例を示す図である。上述した補助部材40のベルト装着孔45にベルト48を装着すると、図6に示すように空気調和ユニット1は、ユーザーの背に装着可能である。この場合、ベルト48は、ユーザーの左右両肩から腰に掛け渡される肩掛けベルトとして構成される。図6では、ユーザーは、下着などの衣服210を着用した状態で衣服210の外側に空気調和ユニット1を装着した状態を示している。この状態で空気調和ユニット1が作動すると、空気調和ユニット1は、ユーザーの背を冷房又は暖房する。
【0048】
図7は、空気調和ユニット1がユーザーの身体(例えば背中)に装着された状態を示す断面図である。例えば上述したように空気調和ユニット1が下着などの衣服210の外側に装着されると、熱交換プレート23は衣服210を挟んでユーザーの身体200に近接した状態に配置される。尚、図7では、空気調和ユニット1の熱交換プレート23とユーザーの身体200との間に隙間がある状態を例示しているが、実際には空気調和ユニット1の熱交換プレート23はユーザーの身体200に密着した状態に装着されることが好ましい。
【0049】
図7に示す状態でファン9が駆動されると、ファンカバー3の底部31に設けられている吸気部34から外気が矢印F1で示すようにファンカバー3の内部に取り込まれる。そしてファン9は、ファンカバー3内部の空気をヒートシンク10に向けて送風する。ファン9によって生じる空気流には、ヒートシンク10の中央部に向かう空気流と、ヒートシンク10の周縁部に向かう空気流とが含まれる。ヒートシンク10の中央部に向かう空気流は、ヒートシンク10の平板部11に当たり、平板部11の熱を奪う。そして平板部11に当たった空気流は、ヒートシンク10の周縁部に折れ曲がり、フィン12からも熱を奪って排気窓35から矢印F2で示すようにファンカバー3の外部へ放出される。また、ヒートシンク10の周縁部に向かう空気流は、ヒートシンク10のフィン12から熱を奪い、矢印F2で示すように排気窓35からファンカバー3の外部へ放出される。したがって、ファンカバー3の内側と外側で外気が循環し、ヒートシンク10との熱交換が行われる。
【0050】
また、ファン9によって生じる空気流の一部は、矢印F3で示すようにヒートシンク10の開口部13を通り、ユニット本体2の熱交換プレート23と第2保持部材22との間の空間2cに導かれる。この空気流は、空間2cに流入すると、熱交換プレート23によって冷却又は加熱され、温調された空気となる。例えば、空気調和ユニット1がユーザーの身体200を冷房する場合、熱交換プレート23は外気温度よりも低い温度に冷却されている。そのため、ヒートシンク10の開口部13から熱交換プレート23と第2保持部材22との間の空間2cへ進入した空気は、熱交換プレート23によって外気温度よりも低い温度に冷却される。そして冷却された空気は、ユニット本体2の周縁部に形成されている送風口26から矢印F4で示すようにユニット本体2の周囲へと放出される。また、空間2cで冷却された空気は、熱交換プレート23に形成されている送風口231から矢印F5で示すようにユーザーの身体200に向かって放出される。
【0051】
したがって、ユーザーは、身体200が衣服210を介して熱交換プレート23に接触することにより、熱交換プレート23による冷房効果又は暖房効果を享受できるだけでなく、ユニット本体2の周囲に放出される温調された空気によっても冷房効果又は暖房効果を享受することが可能である。つまり、空気調和ユニット1は、ユーザーの身体200のうち、熱交換プレート23が対向する部分だけでなく、熱交換プレート23の周囲の広い部分を効果的に冷房又は暖房できるため、ユーザーに優れた快適感を与えることができるのである。また、熱交換プレート23に設けられた送風口231は、ユーザーの身体200に向けて温調された空気を吹き出すため、ユーザーの身体から気化熱を奪い、ユーザーに快適感を与えることができる。また、送風口26,231から放出される温調された空気は、例えば衣服210を快適な状態に乾燥させることもできる。それ故、空気調和ユニット1は、ユーザーの背の全体を快適な状態に保つことが可能である。
【0052】
このように本実施形態の空気調和ユニット1は、1つのファン9でユーザーの背の全体を快適な状態に保つことが可能であることから、ユニット重量を増大させたり、ユニットサイズを大型化させたりすることなく、従来よりも広い範囲でユーザーの身体を効率的に冷房又は暖房できるようになっている。
【0053】
次に図8は、空気調和ユニット1の外側に上着220が着用された状態を示す断面図である。空気調和ユニット1の外側に上着220が着用されると、ファン9が作動したときに上着220が吸気部34の底面開口34aを覆う。しかし、ファンカバー3に形成される吸気部34は、底面開口34aと側面開口34bとが互いに連通した吸気口として形成されている。そのため、図8に示すように、上着220が底面開口34aを覆ってしまったとしても、側面開口34bは覆われずに開放された状態を維持する。したがって、空気調和ユニット1の外側に上着220が着用されている場合であっても、吸気部34は、矢印F1で示すように側面開口34bから外気をファンカバー3の内部に取り込むことが可能である。これにより、ファンカバー3の内部において外気の循環を正常に行うことが可能であり、空気調和ユニット1による冷房効率又は暖房効率が低下してしまうことを防止できる。したがって、空気調和ユニット1は、外側に上着220が着用される場合であっても、ユーザーの身体200を快適な状態に冷房又は暖房できるという利点がある。
【0054】
尚、図8においても、空気調和ユニット1の熱交換プレート23とユーザーの身体200との間に隙間がある状態を例示しているが、実際には空気調和ユニット1の熱交換プレート23はユーザーの身体200に密着した状態に装着されることが好ましい。
【0055】
次に、図9は、空気調和ユニット1の制御機構を示すブロック図である。上述した空気調和ユニット1は、通電の必要な部品として、ペルチェ素子4と、ファン9とを備えている。そのため、空気調和ユニット1は、ペルチェ素子4及びファン9のそれぞれを電気的に制御する制御機構として、コントローラ7と、モバイルバッテリー8とを備えている。モバイルバッテリー8は、例えば充電式のバッテリーであり、コントローラ7に対して電力を供給する。コントローラ7は、モバイルバッテリー8から供給される電力を空気調和ユニット1へ供給することにより、ペルチェ素子4及びファン9を駆動する。このコントローラ7は、ペルチェ素子4に供給する直流電流の極性を切り替えることにより、冷房と暖房とを切り替えることが可能である。ただし、冷房及び暖房のいずれであっても、ファン9を駆動する方向(回転方向)は変わらない。このようなコントローラ7及びモバイルバッテリー8は、例えばユーザーが着用する衣服210や上着220に設けられるポケット(図示省略)などに収容された状態で携行される。
【0056】
以上のように、本実施形態の空気調和ユニット1は、ペルチェ素子4と、ペルチェ素子4よりも大きい面積を有し、ペルチェ素子4の一方の面に金属板6を介して間接的に接合するように配置され、ペルチェ素子4の熱が伝導されることによってユーザーの身体を冷房又は暖房する熱交換プレート23と、熱交換プレート23の反対側においてペルチェ素子の他方の面に接合するように配置されるヒートシンク10と、ヒートシンク10に対向するように配置され、ヒートシンク10に向けて送風し、ヒートシンク10の熱を放出させるファン9とを備えている。そして、この空気調和ユニット1は、ヒートシンク10の周縁部に、ファン9によって生じる風を熱交換プレート23に向けて送り込む開口部13を設けており、その開口部13を介して送り込まれた風を熱交換プレート23によって冷却又は加熱し、熱交換プレート23に設けた送風口231又は熱交換プレート23の周囲に設けた送風口26から外部へ放出するように構成されている。このような構成を有する空気調和ユニット1によれば、1つのファン9でユーザーの背の全体を快適な状態に冷房又は暖房することができる。それ故、本実施形態の空気調和ユニット1は、ユニット重量の軽量化及びユニットサイズの小型化を実現することが可能であり、しかも従来よりも広い範囲でユーザーの身体を効率的に冷房又は暖房できるという利点がある。
【0057】
また、本実施形態の空気調和ユニット1は、ヒートシンク10及びファン9を覆うファンカバー3を更に備えている。そのため、ファンカバー3の内部でファン9を作動させることが可能であり、ファン9が何らかの障害物に当たって止まってしまうことを防止することができる。
【0058】
また、本実施形態の空気調和ユニット1は、ファンカバー3の底部31に、外気を導入する吸気部34を設けている。その吸気部34は、複数のガイド板32を所定角度間隔で放射状に配置し、互いに隣接する一対のガイド板32,32の間の空間を開放することにより底面開口34aと側面開口34bとを一体的に形成した吸気口を有している。このような構成によれば、空気調和ユニット1の外側に上着220が着用された場合であっても、吸気部34の吸気口が上着220によって完全に塞がれてしまうことを防止できるので、ファンカバー3の内部に外気を正常に取り込むことが可能であり、空気調和ユニット1による冷房効果又は暖房効果が低減してしまうことを防止できるという利点がある。
【0059】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0060】
図10は、ファンカバー3のガイド板32に張出部32aを設けた構成例を示す図である。図10に示す空気調和ユニット1は、ファンカバー3のガイド板32に張出部32aを有している。張出部32aは、ガイド板32をファンカバー3の周壁30よりも外側に突出させることによって形成される。例えば、張出部32aは、ファンカバー3の周壁30の法線方向に突出するように形成される。また、張出部32aの突出量Dは、5~10mm程度とすることが好ましい。これにより、柔らかい生地や薄手の生地の上着220が着用された場合であっても、周壁30の周りに5~10mm程度の隙間を形成することが可能であり、外気をファンカバー3の内部に取り込むことができる。したがって、図10に示すようにファンカバー3にガイド板32に張出部32aを設けた空気調和ユニット1は、外側に、薄手の生地の上着220が着用される場合であっても、ユーザーの身体200を快適な状態に冷房又は暖房できるという利点がある。このように空気調和ユニット1は、ファンカバー3のガイド板32を周壁30の外側に突出させた構成を採用しても構わない。
【0061】
また、上記実施形態では、冷房及び暖房を切り替えることが可能な空気調和ユニット1について説明したが、これに限られるものではない。例えば、空気調和ユニット1は、冷房専用ユニットとして形成されても良いし、また暖房専用ユニットとして形成されても構わない。
【0062】
また上記実施形態では、ユーザーの背を冷房又は暖房する空気調和ユニット1を例に挙げて説明した。しかし、空気調和ユニット1が冷房又は暖房を行う身体200の部位は、必ずしもユーザーの背に限られるものではない。
【0063】
また上記実施形態では、ペルチェ素子4と熱交換プレート23との間に金属板6が配置されており、熱交換プレート23がペルチェ素子4の一方の面に対して間接的に接合している例を説明した。しかし、これに限られるものではなく、熱交換プレート23は、ペルチェ素子4の一方の面に対して直接接合した状態に配置されるものであっても構わない。ただし、熱交換プレート23がペルチェ素子4に直接接合した形態とすると、上述したようにペルチェ素子4の電流消費量が増加してしまうため、モバイルバッテリー8による空気調和ユニット1の稼働時間が短くなる。これを防止するためには、上記実施形態で説明したように、ペルチェ素子4と熱交換プレート23との間に金属板6を配置し、ペルチェ素子4の電流消費量の増加を防ぐことが好ましい。
【0064】
また上記実施形態では、ファンカバー3が有底の円筒形状である場合を例示した。しかし、ファンカバー3の形状は必ずしも円筒形状に限られものではない。
【0065】
また、上記実施形態では、ユニット本体2に補助部材40を取り付けて空気調和ユニット1をユーザーの身体に装着する例を説明した。しかし、これに限られるものではなく、上述した補助部材40を用いることなく、ユニット本体2に対してベルト48を直接取り付けるようにしても構わない。この場合、ユニット本体2において上述した係合突起24が設けられている箇所に、ベルト48を挿通可能なベルト装着孔45を設けた構造とすれば良い。
【符号の説明】
【0066】
1…空気調和ユニット、2…ユニット本体、3…ファンカバー、4…ペルチェ素子、9…ファン、10…ヒートシンク、13…開口部、23…熱交換プレート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10