(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056165
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】プランター
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20230412BHJP
【FI】
A01G9/02 103N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165328
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】591209442
【氏名又は名称】岸岡 俊
(71)【出願人】
【識別番号】518447463
【氏名又は名称】清水 沙蘭
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】岸岡 俊
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NC02
2B327NC15
2B327NC16
2B327NC39
2B327NC42
2B327NC43
2B327ND01
2B327ND03
2B327QA04
(57)【要約】
【課題】軽量で取り扱い易く、サークリング現象を防止できるようにしたプランターを提供する。
【解決手段】プランター1は、多数の粒状の天然石2を樹脂製接着剤7で接合させて固めることにより表裏を貫通する多数の貫通孔8を有する板材3を形成し、その板材3を、底部5及び底部5から立設する周壁6に設けた構成である。このプランター1は、底部5に設けられる板材5を保持する底フレーム41と、底フレーム41の周縁複数箇所に配置され、周壁6に設けられる板3材を底フレーム41から立設させた状態に保持する複数の周壁フレーム42と、複数の周壁フレーム42の上端部を周壁6に沿って相互に連結する上枠フレーム43と、を有する構成としても良い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の粒状天然石を樹脂製接着剤で接合させて固めることにより表裏を貫通する多数の貫通孔を有する板材を形成し、該板材を、底部及び底部から立設する周壁に設けたことを特徴とするプランター。
【請求項2】
前記底部に設けられる前記板材を保持する底フレームと、
前記底フレームの周縁複数箇所に配置され、前記周壁に設けられる前記板材を前記底フレームから立設させた状態に保持する複数の周壁フレームと、
前記複数の周壁フレームの上端部を前記周壁に沿って相互に連結する上枠フレームと、
を有することを特徴とする請求項1に記載のプランター。
【請求項3】
前記天然石は、軽石とゼオライトとを主材料として含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のプランター。
【請求項4】
前記軽石は、日向石を含むことを特徴とする請求項3に記載のプランター。
【請求項5】
培土が収容された袋体を備え、
前記袋体は、多数の孔が形成された樹脂素材又は水溶性の紙素材によって形成され、前記周壁の内側に設置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプランター。
【請求項6】
前記培土は、最下層に黒曜石パーライトが設けられ、中間層に日向石と十和田石と真珠岩パーライトと燻炭との混合物が設けられ、最上層に日向石が設けられることを特徴とする請求項5に記載のプランター。
【請求項7】
前記最上層の日向石は、前記袋体に同梱された小袋に入れられていることを特徴とする請求項6に記載のプランター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の育成に適したプランターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物の育成に用いられるプランターとして、多孔質セラミックスで形成されたプランター(例えば特許文献1)や、プラスチックなどの樹脂製容器で形成されたプランター(例えば特許文献2)が知られている。
【0003】
特許文献1に開示される多孔質セラミックスで形成されたプランターは、近年の温暖化現象が進む中、高温環境下においても植物を適切に育成できるようにするため、多孔質セラミックスの保水機能を利用し、外気温が高くなると多孔質セラミックス内の水を気化させることでプランター内に収納された培土(用土)の温度上昇を抑制できるようにしたものである。
【0004】
また、特許文献2に開示される樹脂製容器で形成されたプランターは、通気性及び通水性を確保するため、容器の底部にメッシュ部を一体形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-82882号公報
【特許文献2】特開2016-214177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の多孔質セラミックスで形成されたプランターは、重く、しかも割れ易いという難点がある。特に、プランター内に培土が収納されると、培土の重量が加わるため、例えば女性一人でプランターを移動させることが困難であり、取り扱い難いという問題がある。
【0007】
また、多孔質セラミックスは、セラミックスの板状物の表面に対して平行となる方向に扁平した複数の扁平孔が設けられており、それら複数の扁平孔によって保水機能を確保している。それら複数の扁平孔は互いに連通していることから板状物の表裏を貫通する孔として形成されることもあり得る。しかし、複数の扁平孔が連通して形成される貫通孔は、複数の扁平孔のそれぞれを経由しながら表裏を貫通するため、セラミックスの板状物の内部において複雑に折れ曲がった孔として形成される。そのため、仮に植物の根が孔に入り込んだとしても、扁平孔の内壁に突き当たってしまい、それ以上先には進めなくなる。それ故、孔に入り込まなかった他の根がプランターの内部で螺旋状に巻いてしまうサークリング現象が発生し、植物の種によっては木質化や成長が止まってしまうという問題が生じる。
【0008】
一方、樹脂製容器で形成されたプランターは、軽量であり、しかも割れ難いという特性を有している。しかし、プランター内に培土が収納されると、プランターの重量に培土の重量が加わるため、例えば女性一人でプランターを移動させることが困難になってしまうという問題がある。
【0009】
また、樹脂製容器は、プランターの周壁の全体が樹脂壁によって覆われるため、どうしても外観が安っぽくなってしまうという問題がある。
【0010】
また、樹脂製容器で形成されたプランターは、容器の底部にメッシュ部が形成されているため、プランター内部からメッシュ部に向かって根が進行してきた場合にはメッシュ部から根をプランターの外部に突き出すことができる。しかし、プランター内部からメッシュ部が形成されていない部分に延びた根は、プランターの内壁に当たり、そこから螺旋状に成長してサークリング現象を生じさせてしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するため、軽量で取り扱い易く、サークリング現象を良好に防止できるようにしたプランターを提供することを第1の目的とし、更にプランター内に培土が収納された状態であっても従来よりも簡単に移動できるようにしたプランターを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、第1に、プランターであって、多数の粒状天然石を樹脂製接着剤で接合させて固めることにより表裏を貫通する多数の貫通孔を有する板材を形成し、該板材を、底部及び底部から立設する周壁に設けたことを特徴とする構成である。
【0013】
第2に、上記第1の構成を有するプランターにおいて、前記底部に設けられる前記板材を保持する底フレームと、前記底フレームの周縁複数箇所に配置され、前記周壁に設けられる前記板材を前記底フレームから立設させた状態に保持する複数の周壁フレームと、前記複数の周壁フレームの上端部を前記周壁に沿って相互に連結する上枠フレームと、を有することを特徴とする構成である。
【0014】
第3に、上記第1又は第2の構成を有するプランターにおいて、前記天然石は、軽石とゼオライトとを主材料として含むことを特徴とする構成である。
【0015】
第4に、上記第3の構成を有するプランターにおいて、前記軽石は、日向石を含むことを特徴とする構成である。
【0016】
第5に、上記第1乃至第4のいずれかの構成を有するプランターにおいて、培土が収容された袋体を備え、前記袋体は、多数の孔が形成された樹脂素材又は水溶性の紙素材によって形成され、前記周壁の内側に設置されていることを特徴とする構成である。
【0017】
第6に、上記第5の構成を有するプランターにおいて、前記培土は、最下層に黒曜石パーライトが設けられ、中間層に日向石と十和田石と真珠岩パーライトと燻炭との混合物が設けられ、最上層に日向石が設けられることを特徴とする構成である。
【0018】
第7に、上記第6の構成を有するプランターにおいて、前記最上層の日向石は、前記袋体に同梱された小袋に入れられていることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、軽量で取り扱い易く、サークリング現象を良好に防止できるようにしたプランターを提供することができ、また、プランター内に培土が収納された状態であっても従来よりも簡単に移動できるようにしたプランターを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】天然石によって形成される板材を拡大して示す図である。
【
図4】プランターの培土に植物が植えられた状態の根の部分を示す図である。
【
図5】プランターの内部に予め培土を充填する例を示す図である。
【
図7】プランターに植物を植える手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態であるプランター1を示す斜視図である。
図2は、プランター1の分解斜視図である。
図3は、天然石2によって形成される板材3を拡大して示す図である。
図1乃至
図3に示すように、このプランター1は、多数の粒状天然石2を樹脂製接着剤7で接合させて固めることにより、表裏を貫通する多数の貫通孔8を有する板材3を形成し、その板材3を、プランター1の底部5及び底部5から立設する周壁6に設けた構成を有している。例えば、天然石2によって形成される板材3は、所定厚さを有する矩形状の平板として形成される。また、プランター1は、例えば直方体状又は立法体状の容器として形成され、5枚の板材3を使用し、そのうちの1枚の板材3をプランター1の底部5に配置し、残りの4枚の板材3をプランター1の4つの周壁6に配置した構成を有している。
【0023】
プランター1は、複数の板材3を一体的に組み付けた状態で保持する保持枠体4を有している。保持枠体4は、例えばプラスチックなどの樹脂素材によって形成される枠体である。この保持枠体4は、
図2に示すように、底フレーム41と、底フレーム41から立設した状態に組み付けられる複数の周壁フレーム42と、複数の周壁フレーム42の上端部を相互に連結し、プランター1の上部開口を形成する上枠フレーム43とを備えている。
【0024】
底フレーム41は、矩形状のフレーム構造を有し、そのフレーム構造の中央に、底部5に配置される板材3を支持する支持部45を備えている。例えば、プランター1の底部5に配置される板材3は、その支持部45の上面に載置される。また、底フレーム41は、フレーム構造の中央に、開口46を有している。支持部45は、その開口46を完全に覆う状態に配置されるのではなく、例えば開口46の中央部分を十字状に横断するように配置される。ただし、これに限られるものではなく、支持部45は、開口46を梯子状に横断するように形成されるものであっても構わない。
【0025】
また、底フレーム41は、周縁部の複数箇所に、周壁フレーム42の下端に係合して周壁フレーム42を立設させた状態に保持する係合部44を有している。例えば、本実施形態では、底フレーム41の四隅の位置に、係合部44が設けられている。
【0026】
周壁フレーム42は、底フレーム41の四隅の位置から立設した状態に配置される。底フレーム41の四隅に配置される周壁フレーム42は、外側に配置されるフレーム部材42aと、内側に配置されるフレーム部材42bとの2つのフレーム部材42a,42bによって構成される。これら2つのフレーム部材42a,42bはいずれもL字状に折れ曲がったアングル形状を有しており、下端部及び上端部のそれぞれに係合部48がけいせいされている。2つのフレーム部材42a,42bは、底フレーム41のコーナー部において所定間隔隔てた状態に配置され、下端部に設けられている係合部48が底フレーム41の係合部44に係合した状態に取り付けられる。これにより、フレーム部材42a,42bは、底フレーム41のコーナー部において所定間隔隔てて立設した状態に支持される。
【0027】
底フレーム41の四隅の位置のそれぞれに周壁フレーム42が取り付けられると、2つのコーナー部を結ぶ周壁6に相当する部分に、板材3が配置される。すなわち、プランター1の周壁6に配置される板材3は、2つのコーナー部に設けられているフレーム部材42a,42bの間に挿入装着され、その左右両端が周壁フレーム42によって支持される。これにより、板材3は、底フレーム41の周縁部において立設した状態に支持され、プランター1の周壁6を形成する。
【0028】
上枠フレーム43は、矩形枠体として形成され、その中央が大きく開放されている。この上枠フレーム43は、その四隅の位置の下面側に、フレーム部材42a,42bの上端部に設けられている係合部48と係合する係合部47が形成されている。上枠フレーム43は、それら係合部47に、底フレーム41の四隅の位置から立設する4つの周壁フレーム42の上端部を係合させることにより、複数の周壁フレーム42の上端部をプランター1の周壁6に沿って相互に連結する。これにより、プランター1が形成される。
【0029】
板材3は、上述したように、多数の粒状の天然石2を樹脂製接着剤7で接合させて固めることにより形成される。板材3に用いる天然石2は、
図3に示すように、例えば軽石2aとゼオライト(沸石)2bとを主材料として含んでいる。軽石2a及びゼオライト2bは、いずれも多孔質であり、軽量である。そのため、軽量の板材3を形成することが可能であり、プランター1の重量も軽量化できるという利点がある。また、軽石2aは、保水力を有する反面、保肥力がない。そのため、軽石2aにゼオライト2bを混合することで保肥力を向上させることができる。したがって、板材3に用いる天然石2として、軽石2aとゼオライト2bとを主材料に用いることで、プランター1を軽量化できるだけでなく、保水力及び保肥力を有するプランター1を実現することができる。
【0030】
また、軽石2aは、日向石を含むことが好ましい。例えば、軽石2aは、日向石のみで構成されていても良い。日向石は、乾燥時と含水時とで表面の色が変化する特性を有している。例えば、水分があり湿っている状態のときには、表面の色が濃くなり、乾燥すると、表面の色が薄くなる。そのため、板材3が日向石を含むことにより、水やりのタイミングを図ることができ、便利である。
【0031】
このような板材3は、例えば、直径3~15mm程度の粒状の軽石2a及びゼオライト2bを容器に入れてかき混ぜ、更に樹脂製接着剤7を注入して混練した後、板材3を形成するための型枠に流し込んで樹脂製接着剤7を固化させることにより形成される。板材3の厚さは、例えば10~15mm程度である。天然石2の形は様々であるため、十分に混練して固化させた場合であっても必ず間隙が生じる。その間隙が板材3の表裏を貫通する貫通孔8として形成される。
【0032】
板材3は、
図3(a)に示すように、軽石2a及びゼオライト2bを含む多数の天然石2が樹脂製接着剤7によって相互に結合した板状体として形成され、多数の天然石2の隙間に多くの貫通孔8が形成される。
図3(b)は、
図3(a)に示す板材3から貫通孔8だけを抜き出して示している。
図3(b)に示すように、板材3に形成される貫通孔8は、板材3の平面内においてランダムな位置に形成される。また、貫通孔8の大きさも様々であり、例えば直径1~5mm程度の孔がランダムに形成される。このような貫通孔8は、板材3の表裏を直線状に貫通している。そのため、板材3の表面側に光を照射すれば、貫通孔8を透過した光を裏面側から確認することが可能である。ただし、貫通孔8は、板材3の表面に対して直角方向に貫通しているとは限らず、斜め方向に貫通していることもある。
【0033】
図4は、プランター1の内部の培土10に植物20が植えられた状態の根21の部分を示す図である。
図4に示すように、プランター1に植えられた植物20の根21が底部5又は周壁6の板材3に向かって成長していくと、その根21の先端が貫通孔8に進入し、貫通孔8を通ってプランター1の外側に進出する。貫通孔8からプランター1の外部に進出した根21の先端は、空気に晒される。空気に晒されると、根21の先端が萎縮し、成長が止まる。特に、貫通孔8は、プランター1の底部5及び周壁6の随所に形成されているため、培土10の内部で様々な方向に向かって延びる根21は、底部5及び周壁6の随所に形成されている貫通孔8を通ってプランター1の外側まで延び、先端がプランター1の外側に出ると成長が止まることになる。したがって、このプランター1は、プランター1の内部において根21が渦巻くサークリング現象を良好に防止することができる構造となっている。サークリング現象を防止することができるため、プランター1は、植物20の木質化や、植物20の成長が止まってしまうという不具合が生じることを未然に防止することが可能である。
【0034】
ところで、プランター1の内側の培土10として、例えば赤玉土や黒土、鹿沼土といった通常の用土が用いられると、培土10が重くなり、培土10を収納したプランター1の重量も増大する。そのため、プランター1の内側には、予め軽量の培土10を充填しておくことが好ましい。
【0035】
図5は、プランター1の内部に予め培土10を充填する例を示す図である。
図5(a)に示すように、培土10は、袋体9に充填された状態でプランター1の内部に収納される。例えば、袋体9は、多数の孔が形成された樹脂素材、又は、水溶性の紙素材によって形成される。尚、樹脂素材の袋体9に形成される孔の大きさは、上述した貫通孔8の大きさと同程度若しくはそれよりも大きいことが好ましい。この袋体9の上部には、
図5(a)に示すように、袋体9の周方向に沿ってミシン目などの破断線9aが設けられ、その破断線9aに沿って袋体9を破断することにより、袋体9の上部の封止部を取り除き、袋体9の上部を開放することができる。この袋体9は、プランター1の内側形状に対応した外形を有している。そのため、
図5(b)に示すように、袋体9は、培土10を収容した状態のまま、プランター1の周壁6で囲まれた内側空間に設置可能である。
【0036】
図6は、袋体9の内部構造を示す図である。袋体9の内部には、予め層構造が形成された培土10が充填される。例えば、培土10の最下層11は、黒曜石パーライトによって構成される。黒曜石パーライトは排水性に優れており、培土10の最下層の排水性を向上させることにより根腐れを防止する役目を果たす。また、培土10の中間層12は、例えば、日向石、十和田石、真珠岩パーライト、及び、燻炭の混合物が配置される層である。上述のように日向石は、保水性を有している。十和田石は、天然のゼオライトであり、栄養素を吸収して保肥力を高める役目を果たす。真珠岩パーライトは、吸水性があり、培土10の中間層12において保水性を確保する役目を果たす。燻炭は、重量軽減と、植物20の育成に必要な微生物(例えば硝化菌など)の住処を確保することを目的として中間層12に配置される。このような混合物で形成される中間層12は、微小な隙間を多数有している。そのため、植物20は、中間層12において根21の表面細胞から酸素を吸収することができるようになり、成長が促進される。また、中間層12に形成される隙間は水はけを良くするため、根腐れを防止することもできる。更に、袋体9は、中間層12の上部に、小袋13が封入されている。小袋13には、日向石14が充填されている。
【0037】
袋体9に充填される培土10において、日向石、十和田石、真珠岩パーライト、燻炭、及び、黒曜石パーライトの比率は、1:1:1:1:1である。また、日向石は、中間層12と小袋13と1/2ずつの量が配置されている。
【0038】
上記のような培土10は、赤玉土や黒土、鹿沼土といった通常の用土に比べると、軽量である。そのため、上記のような培土10を充填した袋体9をプランター1の内部に収納すれば、培土10を含むプランター1の重量も軽量となる。そのため、例えば女性一人で培土10が充填されたプランター1を移動させることも可能であり、取り扱い易いという利点がある。また、袋体9に上記のような層構造を有する培土10を充填し、その袋体9をそのままプランター1の内部に収納すれば、プランター1を移動させる際に培土10の層構造を破壊することなく、移動させることができるという利点がある。
【0039】
次に、上記のような袋体9が収納されたプランター1に植物20を植える手順について説明する。
図7は、プランター1に植物20を植える手順を示す図である。まず、
図7(a)に示すように、プランター1に収納されている袋体9を破断線9aに沿って破断することにより、袋体9の上部の封止部を取り除き、袋体9の内側から小袋13と取り出す。すると、プランター1の内部では、培土10の中間層12が上面に露出した状態となる。次に、
図7(b)に示すように、培土10の中間層12に植物20(例えば苗木)を植える。最後に、
図7(c)に示すように、小袋13を開封し、植物20を受けた培土10(中間層12)の上面側に、日向石14を敷き詰める。これにより、培土10の最上層に、日向石14が配置された状態となる。以上で、植物20がプランター1に植えられた状態となる。
【0040】
培土10の最上層には、日向石14が配置されるため、日向石14の色を見れば、水やりのタイミングを図ることができる。また、袋体9の残部は、そのままプランター1の内部に残されることになる。例えば、袋体9が多数の孔が形成された樹脂素材で形成されている場合、植物20の根21が成長していくと、根21の先端が袋体9に形成された孔を通り、更に板材3の貫通孔8を通ってプランター1の外側に進出する。そのため、プランター1の内側で根21が螺旋状に成長するサークリング現象を防止することができる。また、袋体9が水溶性の紙素材によって形成されている場合、プランター1に水やりを行うことで袋体9が溶解して消滅する。したがって、袋体9が水溶性の紙素材によって形成されている場合であっても、サークリング現象を防止することができる。
【0041】
以上のように本実施形態のプランター1は、多数の粒状の天然石2を樹脂製接着剤7で接合させて固めることにより表裏を貫通する多数の貫通孔8を有する板材3を形成し、その板材3を、プランター1の底部5及び底部5から立設する周壁6に配置した構成である。このような構成を有するプランター1によれば、多数の貫通孔8を有する板材3を軽量化できるため、プランター1自体の重量も軽量化できる。それ故、例えば女性一人でもプランター1を簡単に移動させることが可能であり、取り扱い易くなる。
【0042】
また、板材3に形成される多数の貫通孔8は、根21が成長することに伴って根21の先端をプランター1の外側へ導くため、プランター1の内部でサークリング現象が生じることを良好に防止することができる。特に、貫通孔8は、プランター1の底部5及び周壁6の随所に形成されているため、プランター1の内部から外側に向かって延びる根21の先端を確実にプランター1の外側へ導くことができるようになっている。
【0043】
また、このプランター1は、周壁6に、多数の粒状天然石2が用いられているため、樹脂製容器と比較すると全く異なる質感を与え、外観が安っぽくならないという利点もある。
【0044】
また、プランター1は、上述した培土10が収容された袋体9を備えることにより、培土10を含むプランター1の重量を軽量化することもできる。そのため、培土10が収納された状態であっても、従来よりも簡単に移動できるようにしたプランター1を実現することができる。また、袋体9を、多数の孔が形成された樹脂素材又は水溶性の紙素材によって形成すれば、プランター1から袋体9を取り除く必要がなく、袋体9の内部の培土10にそのまま植物20を植えることができる。
【0045】
更に、培土10の最上層に配置される日向石14は、袋体9に同梱された小袋13に入れられているため、植物20を植える際には小袋13を取り除くだけで良く、作業効率が向上するという利点がある。
【0046】
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0047】
例えば上記実施形態では、プランター1が直方体状又は立法体状の容器として形成されることを説明した。しかし、プランター1の形状は、直方体状又は立方体状に限られない。例えば、プランター1は、五角形以上の立体形状であっても良いし、また円筒状の立体形状であっても構わない。
【符号の説明】
【0048】
1…プランター、2…天然石、3…板材、4…保持枠体、5…底部、6…周壁、7…樹脂製接着剤、8…貫通孔、9…袋体、10…培土、13…小袋、41…底フレーム、42…周壁フレーム、43…上枠フレーム。