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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056180
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】油水分離剤及び回収鉱油の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 17/05 20060101AFI20230412BHJP
   C10G 33/04 20060101ALI20230412BHJP
   B01D 17/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B01D17/05 501M
C10G33/04
B01D17/00 503B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165355
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】平川 剛
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129CA01
4H129CA03
4H129CA08
4H129CA21
4H129CA25
4H129DA08
4H129DA10
4H129HB01
4H129LA04
4H129NA08
4H129NA09
4H129NA21
4H129NA45
(57)【要約】
【課題】優れた油水分離性をもつ油水分離剤を提供することを目的とする。
【解決手段】式(1)で表されるN置換アミド(A)及び式(2)で表される化合物(B)を含有することを特徴とする油水分離剤を用いる。
はアルキル基、アルケニル基又はアリール基、Rはアルコール、アミン又はカルボン酸から活性水素を除いた反応残基、Rは水素原子又は1価の有機基、AOはオキシアルキレン基、nは1~50、mは1又は2、rは0~100、pは1~20。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるN置換アミド(A)及び式(2)で表される化合物(B)を含有することを特徴とする油水分離剤。
【化1】
は炭素数7~21のアルキル基、アルケニル基又はアリール基、Rはアルコール、アミン又はカルボン酸から活性水素を除いた炭素数1~30の反応残基、Rは水素原子又は炭素数1~24の1価の有機基、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、nは1~50の整数、mは1又は2、rは0~100の整数、pは1~20の整数である。
【請求項2】
N置換アミド(A)及び化合物(B)の重量に基づいて、N置換アミド(A)の含有量が50~99.5重量%、化合物(B)の含有量が0.5~50重量%である請求項1に記載の油水分離剤。
【請求項3】
鉱油と水とから構成されるエマルションと、請求項1又は2に記載の油水分離剤とを混合することにより、鉱油と水とを分離し、回収鉱油を得ることを特徴とする回収鉱油の製造方法。
【請求項4】
エマルションにスラッジが含まれている請求項3に記載の回収鉱油の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油水分離剤及び回収鉱油の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「下記一般式で示される脂肪酸ジエタノールアミドを含むことを特徴とする含水廃油用油水分離剤。
R-CO-N(CHCHOH)
(式中、Rは炭素数9~13のアルキル基の少なくとも1種。)」が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-209294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の油水分離性洗浄剤は、油水の分離性が不十分であるという問題がある。
本発明は、優れた油水分離性をもつ油水分離剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の油水分離剤の特徴は、式(1)で表されるN置換アミド(A)及び式(2)で表される化合物(B)を含有する点を要旨とする。
【0006】
【化1】
【0007】
は炭素数7~21のアルキル基、アルケニル基又はアリール基、Rはアルコール、アミン又はカルボン酸から活性水素を除いた炭素数1~30の反応残基、Rは水素原子又は炭素数1~24の1価の有機基、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、nは1~50の整数、mは1又は2、rは0~100の整数、pは1~20の整数である。
【0008】
本発明の回収鉱油の製造方法の特徴は、鉱油と水とから構成されるエマルションと、上記の油水分離剤とを混合することにより、鉱油と水とを分離し、回収鉱油を得る点を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油水分離剤は、優れた油水分離性を示す。
【0010】
本発明の回収鉱油の製造方法によれば、上記の油水分離剤を用いるため、容易に回収鉱油を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<油水分離剤>
炭素数7~21のアルキル基、アルケニル基又はアリール基(R)のうち、アルキルとしては、直鎖又は分岐のアルキル基が含まれ、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ドデシル、n-ウンデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-へプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-エイコシル、n-ヘンイコシル、2-エチルヘキシル、2,2,4-トリメチルペンチル、2,2,4-トリメチルヘキシル、3,5,5-トリメチルヘキシル、2-メチルドデシル、2-メチルノニル、8-メチルノニル、2-メチルデシル、2-メチルウンデシル、2-メチルトリデシル、7-エチル-2-メチルウンデカン-4-イル、2-メチルペンタデシル、2-ヘキシルデシル、2-メチルヘプタデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルウンデシル、2-(4-メチルヘキシル)-8-メチルデシル、2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチルオクチル、オクタン-2-イル、ノナン-3-イル、デカン-2-イル、デカン-3-イル、ウンデカン-2-イル、ウンデカン-5-イル、トリデカン-2-イル、テトラデカン-7-イル及びヘプタデカン-9-イル等が挙げられる。
【0012】
また、Rのうち、アルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基が含まれ、4-ヘプテニル、5-オクテニル、6-デセニル、6-ウンデセニル、8-ドデセニル、8-テトラデカニル、4-ヘキサデカニル、4-オクタデカニル、8-ペンタデセニル、8-ヘプタデセニル、10-ヘプタデセニル、8-ノナデセニル、12-ヘンイコセニル、8,11-ヘプタデカジエン-1-イル、10,13-ノナデカジエン-1-イル、12,15-エイコサジエン-1-イル、8,11,14-ヘキサデカトリエン-1-イル、5,8,11-ヘプタデカトリエン-1-イル及び4,8,11-ヘキサデカトリエン-1-イル等が挙げられる。
【0013】
また、Rのうち、アリール基としては、直鎖又は分岐のアルキル基を含むアリール基が含まれ、メチルフェニル、エチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、テトラデシルフェニル、2-メチル-4-プロピルフェニル、2-メチル-4-オクチルフェニル、2-メチル-4-ドデシルフェニル、4-イソブチルフェニル及び4-(2-エチルヘキシル)フェニル等が挙げられる。これらのうち、油水分離性の観点から、炭素数12~18のアルキル基及びアルケニル基が好ましい。
【0014】
アルコール、アミン又はカルボン酸から活性水素を除いた炭素数1~30の反応残基(R)のうち、アルコールの反応残基としては、モノオール(メタノール、ブタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びイソステアリルアルコール等)、ポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビタン、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン及びソルビトール等)又は糖類(キシロース、フルクトース、グルコース、スクロース及びラクトース等)の反応残基等が挙げられる。
【0015】
のうち、アミンの反応残基としては、モノアミン(ジメチルアミン、エチルアミン、アニリン及びステアリルアミン等)又はポリアミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン等)の反応残基等が挙げられる。
【0016】
のうち、カルボン酸の反応残基としては、モノカルボン酸(酢酸、プロパン酸、デカン酸、オクタデセン酸及び2-ヒドロキシ安息香酸等)又はポリカルボン酸(エタン二酸、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸及びベンゼントリカルボン酸等)の反応残基等が挙げられる。
【0017】
これらのRのうち、油水分離性の観点から、アルコールの反応残基が好ましい。
【0018】
水素原子又は炭素数1~24の1価の有機基(R)のうち、炭素数1~24の1価の有機基としては、アルキル基(R)、アルケニル基(R’)、アシル基(-COR)及びアロイル基(-COR’)が含まれる。括弧内に表記した化学式の内、R、R’はそれぞれ上記のアルキル基(R)及びアルケニル基(R’)に対応する。
【0019】
アルキル基(R)としては、メチル、ブチル、t-ブチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びテトラコシル(リグノセリル)等が挙げられる。
【0020】
アルケニル基(R’)としては、ブテニル、オクテニル、イソオクテニル、ドデセニル及びオクタデセニル等が挙げられる。
【0021】
水素原子又は炭素数1~24の1価の有機基(R)のうち、油水分離性の観点から、水素原子及びアシル基が好ましい。
【0022】
炭素数2~4のオキシアルキレン基(AO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが含まれる。これらのうち、油水分離性の観点から、式(1)において、オキシエチレンを主体的(オキシアルキレン基の全個数に対して少なくとも50個数%、さらに好ましくは少なくとも80個数%)に含むことが好ましく、さらに好ましくはオキシエチレンである。また、式(2)において、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましい。
【0023】
「(AO)」及び「(AO)」に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、結合形式に制限はなく、ブロック状、ランダム状及びこれらの組み合わせのいずれでもよいが、油水分離性の観点からブロック状を含むことが好ましい。
【0024】
nは、1~50の整数が好ましく、さらに好ましくは1~10の整数である。この範囲であると、油水分離性がさらに良好となる。
【0025】
mは、1又は2であり、N置換アミド(A)のN置換数に相当する値である。
【0026】
rは、0~100の整数であり、好ましくは0又は4~60の整数、さらに好ましくは0又は8~40の整数である。この範囲であると、油水分離性がさらに良好となる。
【0027】
pは、1~20の整数であり、好ましくは1~8の整数である。この範囲であると、油水分離性がさらに良好となる。
【0028】
N置換アミド(A)及び化合物(B)は、同一種類の化合物のみから構成されてもよく、複数種類の化合物(たとえば、R、R、R、AO、(AO)、(AO)、n、m、r及び/又はpが相違する化合物の混合物)から構成されてもよい。また、N置換アミド(A)において、mが2の場合、2個の「-(AO)-H」で表される基は同じでも異なっていてもよい。また、化合物(B)において、pが2~20の場合、p個の「-(AO)-R」で表される基は、同じでも一部又は全部が異なっていてもよい。
【0029】
N置換アミド(A)の含有量(重量%)は、N置換アミド(A)と化合物(B)の重量に基づいて、50~99.5が好ましく、さらに好ましくは65~97、特に好ましくは80~95である。また、化合物(B)の含有量(重量%)は、N置換アミド(A)と化合物(B)の重量に基づいて、0.5~50が好ましく、さらに好ましくは3~35、特に好ましくは5~20である。この範囲であると、油水分離性がさらに良好となる。
【0030】
N置換アミド(A)及び化合物(B)は、公知の方法(たとえば、脂肪酸とモノ,ジエタノールアミンの反応について(油化学、第7巻第2号1958);特開2018-119085号公報の実施例の欄に記載された方法等)及びこれらを適宜組み合わせることによって製造できる。N置換アミド(A)は、たとえば、炭素数7~22のカルボン酸とモノアルカノールアミンやジアルカノールアミンとを加熱反応(たとえば150℃、5時間還流)して得ることができる他、これらの生成体と炭素数2~4のアルキレンオキシドとを反応させて得てもよいし、炭素数7~22のカルボン酸アミドと炭素数2~4のアルキレンオキシドとを反応させても得ることができる。これらの反応では、式(1)において上記の通り、mが1であるN-モノ置換アミドと同mが2であるN,N-ビス置換アミドとの混合物や、R、AO、(AO)、n及び/又はmが相違する化合物の混合物が生成し得るが、これらの混合物を精製して使用してもよく、そのまま混合物として使用してもよい。
【0031】
また、化合物(B)は、たとえば、炭素数1~30の活性水素化合物(アルコール、アミン又はカルボン酸)と炭素数2~4のアルキレンオキシドとを反応させて得ることができ、さらにこれらと炭素数1~24のアルキル化剤又はアルケニル化剤(アルキル硫酸、アルケニル硫酸、ハロゲン化アルキル及びハロゲン化アルケニル等)や炭素数1~24のアシル化剤又はアロイル化剤(カルボン酸及びカルボン酸ハライド等)とを反応させて式(2)における有機基(R)を形成させてもよいし、またオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレングリコールと炭素数1~24のアルキル化剤又はアルケニル化剤や炭素数1~24のアシル化剤又はアロイル化剤とを反応させて得てもよい。これらの反応では、式(2)において上記の通り、R、R、AO、(AO)、r及び/又はpが相違する化合物の混合物が生成し得るが、これらの混合物を精製して使用してもよく、そのまま混合物として使用してもよい。
【0032】
本発明の油水分離剤には、本発明の効果を阻害しない限り、N置換アミド(A)及び化合物(B)以外に他の構成成分を含んでもよい。他の構成成分としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び希釈溶剤(水、有機溶剤及び鉱物油等)等が挙げられる。さらに、本発明の油水分離剤には、本発明の効果を阻害しない限り、添加剤(消泡剤、増粘剤、分散剤、湿潤剤、防腐剤及び/又は凍結防止剤等)を含んでもよい。しかし、油水分離性の観点から、有機溶剤、鉱物油、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含まないことが好ましい。
【0033】
本発明の油水分離剤は、N置換アミド(A)及び化合物(B)、並びに必要に応じて他の構成成分及び/又は添加剤を均一混合できれば製造方法に特に制限はない。
【0034】
<回収鉱油の製造方法>
鉱油とは、地下資源由来の炭化水素油(すなわち、原油、天然ガス、石炭等を精製、改質、分解及び/又は合成した炭化水素油)を意味し、これに不純物等が含まれてもよい(すなわち、鉱油に動植物油は含まれない。)。本発明の油水分離剤は、鉱油のうち、原油、ナフサ、これらを改質及び/又は分解した炭化水素油、重油(A~C)及び軽油に対して好適である。
【0035】
鉱油と水とから構成されるエマルションとしては、w/o型、o/w型、w/o/w型等の乳化形態に制限はない。また、このエマルションには、鉱油及び水以外に、スラッジやその他の不純物(有機物、無機物等)等が含まれていてもよい。
【0036】
スラッジとしては、炭化水素粒子、カーボン粒子及び/又は金属粒子(金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩の粒子を含む)等を意味する。
鉱油にスラッジが含まれる場合、スラッジの含有量(重量%)は特に制限はないが、鉱油の重量に対して0.05~10程度(好ましくは0.4~5程度)である。
【0037】
スラッジは、公知の方法により分離して定量できる(有機溶剤により脱油し恒量まで乾燥して定量する方法等)。たとえば、鉱油及びテトラハイドロフラン(THF)を均一混合し、遠心分離機で遠心処理し上澄み液を除去した後、THFを追加・均一混合し、再度、遠心処理する操作を数回繰り返してから、沈殿物を恒量になるまで乾燥して重量を計測することにより定量できる。鉱油及びTHFの使用量はスラッジの含有量等により適宜決定でき、乾燥温度もスラッジの種類等により適宜決定できる(たとえば、25~105℃の範囲のいずれか等)。
【0038】
鉱油と水とから構成されるエマルションに含まれる鉱油の含有量(重量%)としては、特に制限はないが、鉱油及び水の重量に基づいて、5~98程度が好ましく、さらに好ましくは40~80程度であり、同様に水の含有量(重量%)は、鉱油及び水の重量に基づいて、2~95程度が好ましく、さらに好ましくは20~60程度である。
【0039】
エマルションと油水分離剤との混合は、これらが均一混合できれば制限なく、循環混合でも、攪拌混合等でもよい。
【0040】
混合温度は特に制限はないが、エマルションの粘度や油水分離性の観点から、30~95℃程度が好ましい。
【0041】
油水分離剤の使用量(重量%)は、エマルションの重量に基づいて、0.01~10程度が好ましいが、適宜調整することができ、特に制限はない。
【0042】
鉱油と水との分離は、エマルションと油水分離剤との混合後、静置することによって、鉱油及び水の比重差で分離できる。静置温度は特に制限はないが、エマルションの粘度や油水分離性の観点から、30~95℃程度が好ましく、エマルション及び油水分離剤の混合温度と同じ程度が好ましい。また、上記のように静置してから分離する他、コアレッサー、フィルターセパレーター及び/又は油水分離槽等を用いて連続的に鉱油と水とを分離することもできる。
【実施例0043】
以下、特記しない限り、部は重量部を意味する。
【0044】
以下のN置換アミド(A)及び化合物(B)を公知の方法により製造し、実施例に供した。< >内は式(1)又は式(2)の各記号に対応する。
(a1)N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ドデカン酸アミド<R:ドデシル、AO:オキシエチレン、n:1、m:2>
(a2)N-ヒドロキシエチルポリ(3モル)オキシエチレンドデカン酸アミド<R:ドデシル、AO:オキシエチレン、n:4、m:1>
(a3)N-ヒドロキシエチルポリ(9モル)オキシエチレンテトラデカン酸アミド<R:テトラデシル、AO:オキシエチレン、n:10、m:1>
(a4)N,N-ビス(ヒドロキシエチルポリ(4モル)オキシエチレンヘキサデカン酸アミド<R:ヘキサデシル、AO:オキシエチレン、n:5、m:2>
(a5)N-ヒドロキシエチルオキシエチル-9-オクタデセン酸アミド<R:9-オクタデセニル、AO:オキシエチレン、n:3、m:1>
【0045】
(b1)2-エチルヘキサノールエチレンオキシド9モルプロピレンオキシド1モルブロック付加体<R:2-エチルヘキシル、AO:オキシエチレン及びオキシプロピレン、R:水素原子、r:10、p:1>
(b2)グリセリンプロピレンオキシド42モルエチレンオキシド15モルブロック付加体<R:グリセリル(グリセリンの反応残基)、AO:オキシプロピレン及びオキシエチレン、R:水素原子、r:19、p:3>
(b3)ソルビトールエチレンオキシド48モル付加体の酢酸ヘキサエステル<R:ソルビトールの反応残基、AO:オキシエチレン、R:アセチル、r:8、p:6>
(b4)グリセリン<R:グリセリル(グリセリン残基)、AO:-、R:水素原子、r:0、p:3>
(b5)スクロースプロピレンオキシド80モル付加体<R:スクロースの反応残基、AO:オキシプロピレン、R:水素原子、r:10、p:8>
(b6)ドデカノールプロピレンオキシド30モルエチレンオキシド10モルブロック付加体<R:ドデシル、AO:オキシプロピレン及びオキシエチレン、R:水素原子、r:40、p:1>
【0046】
<実施例1>
N置換アミド(a1)90部及び化合物(b4)10部を均一混合して、本発明の油水分離剤(1)を得た。
【0047】
<実施例2>
N置換アミド(a2)80部及び化合物(b3)20部を均一混合して、本発明の油水分離剤(2)を得た。
【0048】
<実施例3>
N置換アミド(a3)85部及び化合物(b1)15部を均一混合して、本発明の油水分離剤(3)を得た。
【0049】
<実施例4>
N置換アミド(a4)95部及び化合物(b2)5部を均一混合して、本発明の油水分離剤(4)を得た。
【0050】
<実施例5>
N置換アミド(a5)85部及び化合物(b4)15部を均一混合して、本発明の油水分離剤(5)を得た。
【0051】
<実施例6>
N置換アミド(a1)85部及び化合物(b5)15部を均一混合して、本発明の油水分離剤(6)を得た。
【0052】
<実施例7>
N置換アミド(a3)90部及び化合物(b6)10部を均一混合して、本発明の油水分離剤(7)を得た。
【0053】
<比較例>
特許文献1の実施例1に記載された「(1:1)型ヤシ油ジエタノールアミド」を比較用の油水分離剤(H)とした。
【0054】
<評価>
実施例1~7で得た油水分離剤(1)~(7)及び比較用の油水分離剤(H)を用いて、以下のようにして油水分離性を評価し、下表に示した。
【0055】
(1)評価用エマルション(1)の調製
鉱油(1;C重油、出光興産株式会社、スラッジを約5重量%含有する。)400部とイオン交換水600部とを、コーレス型羽根及びエクセルオートホモジナイザー(日本精器株式会社、モデルED)で強攪拌することにより乳化して、評価用エマルション(1)を得た。
【0056】
なお、鉱油中のスラッジの含有量(重量%)は、鉱油15g及びテトラハイドロフラン(THF)15gを均一混合してから50ml遠沈管に移し、遠心分離機(CR21N、日立工機株式会社)で遠心処理(2万rpm、5分間)し上澄み液を除去した後、THF30gを追加・均一混合し、再度、遠心処理する操作を2回繰り返してから、沈殿物を恒量になるまで、デシケータ内で減圧乾燥(25℃、2時間;ダイアフラム型ドライ真空ポンプDTC-21、アルバック機工株式会社、-0.08MPa)して重量を計測することにより算出した(以下、同じである。)。
【0057】
(2)評価用エマルション(2)の調製
「鉱油(1)」を「鉱油(2;コスモピュアスピンG、コスモ石油ルブリカンツ株式会社、「コスモ」、「ピュアスピン」はコスモエネルギーホールディングス株式会社の登録商標である。)」に変更したこと以外、上記と同様にして、評価用エマルション(2)を得た。
【0058】
(3)評価用エマルション(3)の調製
「鉱油(1)400部」を「鉱油(3;1500cc普通自動車から排出したエンジンオイル(EDGE 0W-20 FE、BPカストロール株式会社、「EDGE」はカストロール リミテッドの登録商標である。)、前回オイル交換からの走行距離約5,000km、スラッジを約0.4重量%含有する。)800部」に変更したこと及び「イオン交換水600部」を「イオン交換水200部」に変更したこと以外、上記と同様にして、評価用エマルション(3)を得た。
【0059】
(4)油水分離性
25℃の恒温室内において、円筒容器(内径:14mm)に入れた評価用エマルション(1~3のいずれか)30g(液高さ:53mm)を、マグネチックスターラー(東京理科器械社製)で攪拌しながら(500ppm)、油水分離剤{(1)~(7)又は(H)のいずれか}0.3g(1重量%)を添加し、5分間撹拌してから1時間静置した後、円筒容器の下層部に分離した水の高さ(mm)を測定した。空試験(ブランク)として、油水分離剤を添加しないこと以外上記と同様にして測定した。下層部に分離した水の高さ(mm)が大きい程、油水分離性に優れているといえる。
【0060】
【表1】
【0061】
本発明の油水分離剤は比較用の油水分離剤に比べ、油水分離性に優れていた。したがって、鉱油と水とを分離することにより容易に回収鉱油を得ることができた。