(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056192
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】結束材料
(51)【国際特許分類】
B65D 63/10 20060101AFI20230412BHJP
C08L 23/02 20060101ALI20230412BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230412BHJP
C08K 9/10 20060101ALI20230412BHJP
B29C 55/04 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B65D63/10 M
C08L23/02
C08K3/013
C08K9/10
B29C55/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165378
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000198802
【氏名又は名称】積水成型工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】稲津 明
(72)【発明者】
【氏名】島田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】田所 淳人
【テーマコード(参考)】
3E085
4F210
4J002
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】本発明は、オレフィン系樹脂よりなり、焼却際に、二酸化炭素の発生が抑制されおり、表面が平滑で表面性優れると共に機械的強度の優れた結束材料を提供する。
【解決手段】オレフィン系樹脂100重量部と、リン脂質93~97重量%及び略同重量の二酸化炭素吸収剤と該オレフィン系樹脂の結晶核剤よりなる添加剤7~3重量%からなる添加剤組成物を超臨界逆相蒸発法により形成したリポソーム1~10重量部からなる樹脂組成物からなり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されてなることを特徴とする結束材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系樹脂100重量部と、リン脂質93~97重量%及び略同重量の二酸化炭素吸収剤と該オレフィン系樹脂の結晶核剤よりなる添加剤7~3重量%からなる添加剤組成物を超臨界逆相蒸発法により形成したリポソーム1~10重量部からなる樹脂組成物からなり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されてなることを特徴とする結束材料。
【請求項2】
樹脂組成物が、オレフィン系樹脂100重量部に対し無機充填剤5重量部以下を含むことを特徴とする請求項1記載の結束材料。
【請求項3】
オレフィン系樹脂が、石油由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるポリオレフィン5~95重量部とバイオマス由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるポリオレフィン95~5重量部からなることを特徴とする請求項1又は2記載の結束材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却しても二酸化炭素排出量が少ない結束材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、新聞紙、雑誌等の比較的軽量な被結束物を結束するための結束材料として、延伸オレフィン系樹脂テープ及びそれを撚った延伸オレフィン系樹脂紐等が広く使用されている。オレフィン系樹脂は、軽量である、耐食性、耐水性、衛生性、ガスバリアー性、透明性等が優れている、機械的強度が大きく且つ製造が容易である等の特徴を有しており、広い用途に使用されているが、大量に使用されるため廃棄の際に多くの問題が発生するようになってきている。特に、焼却して処分する際には大量の二酸化炭素が排出され、地球温暖化の原因となっている。
【0003】
焼却際に、二酸化炭素の発生を抑える方法としては、オレフィン系樹脂に、炭酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、水酸化カルシウム、ゼオライト、ココナツ中果皮繊維等を添加することが提案されている(例えば、特許文献1、2又は3参照。)。
【0004】
しかしながら、オレフィン系樹脂にこれらの添加物を添加しても二酸化炭素の発生抑止効果は小さく、発生抑止効果を向上させるために多量に添加すると、オレフィン系樹脂組成物の成形性が低下し、成形された成形体の機械的強度及び表面性が低下するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―106171号公報
【特許文献2】特開平7―188487号公報
【特許文献3】特開2006-77058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、オレフィン系樹脂よりなり、焼却際に、二酸化炭素の発生が抑制されており、機械的強度及び表面性が優れている結束材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
[1]オレフィン系樹脂100重量部と、リン脂質93~97重量%及び略同重量の二酸化炭素吸収剤と該オレフィン系樹脂の結晶核剤よりなる添加剤7~3重量%からなる添加剤組成物を超臨界逆相蒸発法により形成したリポソーム1~10重量部からなる樹脂組成物からなる長尺体であり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されていることを特徴とする結束材料、
[2]樹脂組成物が、オレフィン系樹脂100重量部に対し無機充填剤5重量部以下を含むことを特徴とする上記[1]記載の結束材料、及び、
[3]オレフィン系樹脂が、石油由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるポリオレフィン系樹脂5~95重量部とバイオマス由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるポリオレフィン系樹脂95~5重量部からなることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の結束材料
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の結束材料の構成は上述の通りであり、オレフィン系樹脂よりなり、焼却際に、二酸化炭素の発生が抑制されており、機械的強度及び表面性が優れている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の結束材料は、オレフィン系樹脂100重量部と、リン脂質93~97重量%及び略同重量の二酸化炭素吸収剤と該オレフィン系樹脂の結晶核剤よりなる添加剤7~3重量%からなる添加剤組成物を超臨界逆相蒸発法により形成したリポソーム1~10重量部からなる樹脂組成物からなる長尺体であり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されていることを特徴とする。
【0010】
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、目的の物性に応じて、2種類以上ブレンドしてもよく、柔軟性に富んだ容器を得る場合には、低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が好ましく、又、機械的強度の高い結束材料を得るには高密度ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0011】
上記オレフィン系樹脂は、循環型社会を構築するため、現在一般に使用されている石油由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるオレフィン系樹脂にバイオマス由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるオレフィン系樹脂が併用されてもよく、オレフィン系樹脂が、石油由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるオレフィン系樹脂5~95重量部とバイオマス由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるオレフィン系樹脂95~5重量部からなるのが好ましい。
【0012】
上記バイオマス由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるオレフィン系樹脂とは、所謂、バイオマス由来のオレフィン系樹脂であって、再生可能な天然原料(例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、マニオク等)から製造されたエタノールを原料とし、化学的に反応精製したエチレン及び/又はプロピレン等のα―オレフィンを(共)重合したポリマーである。
【0013】
又、上記オレフィン系樹脂には、結束材料がすべりにくく、被結束物をより強固に結束できるように無機充填剤が添加されているのが好ましい。上記無機充填剤としては、従来から一般に使用されている無機充填剤であればよく、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカアルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられ、炭酸カルシウムが好ましい。
【0014】
上記無機充填剤の添加量は、特に限定されないが、添加量が多くなると、得られた結束材料の引張強度、引張弾性率、伸び率等の機械的強度が低下するので、オレフィン系樹脂100重量部に対し無機充填剤5重量部以下を含むように添加されるのが好ましい。
【0015】
又、更に、従来からオレフィン系樹脂の成形の際に一般に使用されている、熱安定剤、耐熱向上剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、衝撃改良剤、防曇剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、顔料等の添加剤が、必要に応じて、添加されてもよい。
【0016】
上記リポソームは、リン脂質93~97重量%及び略同重量の二酸化炭素吸収剤と該オレフィン系樹脂の結晶核剤よりなる添加剤7~3重量%からなる添加剤組成物からなり超臨界逆相蒸発法により形成される。
【0017】
上記リン脂質は、リポソームにおけるカプセル膜成分であり、二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤を内包し得るが、オレフィン系樹脂粉末やペレットと混合し加熱・撹拌すると崩壊して分散剤として働くものであり、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質等を挙げられる。
【0018】
上記二酸化炭素吸収剤は、二酸化炭素を化学的または物理的に吸着する物質であればよく、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、非晶質アルミノシリケート、天然ゼオライト、合成ゼオライト等アルミノケイ酸塩、チタン酸バリウム、オルソチタン酸バリウム等のチタン酸化合物、リチウムシリケート、シリカゲル、アルミナ、活性炭等が挙げられる。
【0019】
オレフィン系樹脂の結晶核剤は、オレフィン系樹脂に分散されオレフィン系樹脂の結晶の核となる物質、又は、オレフィン系樹脂の結晶化温度又は融点以上で結晶化し、その結晶がオレフィン系樹脂の結晶の核となる物質であり、例えば、ナトリウム 2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート、アルミニウム ヒドロキシビス[2,2-メチレンビス(4,6-ジーt-ブチルフェニル)ホスフェート]、ナトリウム ビス(4-t-ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩系の物質、ジベンジリデンソルビトール、ビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール等のソルビトール系の物質、ヒドロキシージーt-ブチル安息香酸アルミニウム等の安息香酸アルミニウム系の物質等が挙げられる。
【0020】
上記リポソームは、リン脂質と、二酸化炭素吸収剤及び該オレフィン系樹脂の結晶核剤よりなる添加剤組成物からなる。又、添加剤組成物は二酸化炭素吸収剤と略同重量のオレフィン系樹脂の結晶核剤よりなり、超臨界逆相蒸発法により形成されるが、超臨界逆相蒸発法は従来公知の超臨界逆相蒸発法が採用されればよく、例えば、前記二酸化炭素吸収剤と前記結晶核剤とイオン交換水との混合物を、温度が臨界温度30.98℃以上で圧力が臨界圧力7.3773MPa以上の超臨界状態にある二酸化炭素と攪拌混合することにより、カプセル膜成分であるリン脂質内に前記二酸化炭素吸収剤と、前記結晶核剤とを内包させることにより、リポソームを形成する。
【0021】
尚、超臨界逆相蒸発法は、例えば、再表02/032564号公報、特開2003-119120号公報、特開2005-298407号公報、特開2008-063284号公報等に開示されている。
【0022】
二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤の添加量は少なくなると分散効果がなくなり、多くなるとリポソームの粒径が大きくなり、分散効果が低下する。又、二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤の添加量の比率も同一であるのが最も効果が高く、一方の比率が多くなると効果が低下するので、リポソームは、リン脂質93~97重量%及び略同重量の二酸化炭素吸収剤と該オレフィン系樹脂の結晶核剤よりなる添加剤7~3重量%からなる添加剤組成物を超臨界逆相蒸発法により形成される。
【0023】
尚、リポソームの粒径は、オレフィン系樹脂中に均一に分散されるのが好ましいので、小さいほうが好ましいが、超臨界逆相蒸発法により形成するのであるから、一般に、100~300nmである。
【0024】
オレフィン系樹脂中のリポソームの添加量が少なくなると、結束材料に含まれるリポソームの含有量が少なくなり、焼却時の二酸化炭素の発生抑止効果が低下し、逆に、多くなりすぎると二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤が製造された結束材料の表面に露出し、平滑性及びクリーン性が低下するので、オレフィン系樹脂100重量部に対し、リポソームは1~10重量部添加される。
【0025】
本発明の結束材料は、上記樹脂組成物からなる長尺体であり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されている。長尺体は広幅のフィルム(シート)であってもよいし、それを長さ方向に沿って切断した幅狭のフィルム(シート)であってもよい。又、これらのフィルム(シート)を折り畳んだり、撚った紐状の長尺体であってもよい。
【0026】
上記長尺体は、長さ方向に4~7倍に一軸延伸されている。一軸延伸倍率が小さいと、長さ方向に伸ばした時の引張強度が小さくなり、伸び易くなり過ぎて被結束物を結束しにくくなり、一軸延伸倍率が大きくなると長さ方向に伸ばした時の最大引張強度が大きくなりすぎると共に強度が大きくなり、伸びにくくなり被結束物を強固に結束しにくくなるので一軸延伸倍率は4~7倍であり、好ましくは4~5倍である。又、紐状の長尺体の太さは、細くなると長さ方向に伸ばした時の引張強度が小さくなり、太くなりすぎると長さ方向に10%伸ばした時の引張強度及び長さ方向の最大引張強度が大きくなりすぎるので、太さ6000~18000デニール(d)が好ましい。
【0027】
本発明の結束材料の製造方法は特に限定されないが、一般に、オレフィン系樹脂100重量部と、リポソーム1~10重量部からなる樹脂組成物を溶融押出し、シート状又は紐状の長尺体を製造し、次に、長さ方向に延伸倍率が4~7倍になるように一軸延伸すればよい。
【0028】
オレフィン系樹脂とリポソームからなる樹脂組成物を溶融押出することにより、オレフィン系樹脂を溶融させると共に撹拌してオレフィン系樹脂中にリポソームを均一に分散させる。この撹拌が行われると、オレフィン系樹脂内においてリポソームが均一に分散し、その後にリポソームのカプセル膜成分であるリン脂質が崩壊して内包されている二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤とが露出分散することにより、相溶性が悪い二酸化炭素吸収剤とポリオレフィン系樹脂の結晶核剤が凝集されずにオレフィン系樹脂内において均一に分散される。
【0029】
従って、オレフィン系樹脂100重量部と、リポソーム1~10重量部からなる樹脂組成物を溶融押出し、オレフィン系樹脂粒子を製造し、得られたオレフィン系樹脂粒子又はオレフィン系樹脂とオレフィン系樹脂粒子よりなる樹脂組成物を溶融押出してシート状又は紐状の長尺体を製造してもよい。
【0030】
又、オレフィン系樹脂とリポソームからなる樹脂組成物を溶融押出してオレフィン系樹脂粒子を製造する際に、オレフィン系樹脂粒子を構成するオレフィン系樹脂内においてリポソームが均一に分散し、その後にリポソームのカプセル膜成分であるリン脂質が崩壊して内包されている二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤とが露出分散することにより、相溶性が悪い二酸化炭素吸収剤とポリオレフィン系樹脂の結晶核剤が凝集されずにオレフィン系樹脂粒子を構成するオレフィン系樹脂内において均一に分散され、更に、このオレフィン系樹脂粒子とオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物を溶融混錬し、シート成型やインフレーション成型し、シート状に成形する際にオレフィン系樹脂粒子内に分散された二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤とが、再度、結束材料を構成するオレフィン系樹脂内に分散されるので、製造された結束材料においては、二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤は結束材料を構成するオレフィン系樹脂内においてより均一に分散されており、焼却際における二酸化炭素の発生が抑制されおり、且つ、表面の平滑性及び機械的強度が優れている。
【0031】
従って、二酸化炭素吸収剤とオレフィン系樹脂の結晶核剤の分散性がより向上するように、オレフィン系樹脂粒子を構成するオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、二酸化炭素排出量削減樹脂組成物を構成するオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)より大きいほうが好ましい。
【0032】
溶融押出し、シート状又は紐状の長尺体を製造する方法は、従来公知の溶融押出成型方法が採用されてよく、例えば、オレフィン系樹脂とリポソームからなる樹脂組成物を押出機に供給してオレフィン系樹脂の融点以上の温度で溶融し、押出しして成型する方法であり、従来公知のインフレーション法、Tダイ法等が挙げられる。
【0033】
上記1軸延伸方法は、特に限定されず、従来公知の任意の一軸延伸方法が採用されればよく、例えば、ロール延伸法、ゾーン延伸法、圧延延伸法、熱板延伸法等が挙げられる。
【0034】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0035】
リポソームの製造
平均粒径10~50nmのアルミノケイ酸ナトリウム粉末0.125重量部、平均粒径10~50nmのナトリウム 2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェイト粉末0.125重量部及びリン脂質であるホスファチジルコリン5重量部をイオン交換水100重量部と共に60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaになるように二酸化炭素を注入して超臨界状態とし、温度と圧力を保ちながら15分間攪拌混合後、二酸化炭素を排出して大気圧に戻す超臨界処理を行い、リン脂質にアルミノケイ酸ナトリウム及びソジウム 2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェイトが内包されたリポソームを含有する水分散液を得た。
【0036】
又、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する(ただし、もう片方が臨界条件をこえていないものである)。
【0037】
得られたリポソームを含有する水分散液からイオン交換水を除去してリポソームを得た。得られたリポソームの平均粒径を、粒度分布計(Particle Sizing Systems Co.製NICOMP 380ZLS型)を用いて測定したところ、約200nmであった。
【0038】
(実施例1~6、比較例1~5)
表1及び表2に示した、所定量の高密度ポリエチレン樹脂(京葉ポリエチレン社製、延伸グレード、MFR=1.0、密度=0.958g/cm3)、線状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ニポロンL」、MFR=0.67、密度=0.923g/cm3)、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、商品名「プライムポリプロ」、MFR=4.5、密度=0.900g/cm3)、得られたリポソーム及び炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社製、商品名「Maxシリーズ」、充填剤成分80%)よりなる樹脂組成物をスクリュー径50mmの一軸混錬押出機に供給し、210℃で溶融混錬押出して幅100mm、厚さ50μmの長尺のシートを得た。結束材料の表面にはぶつぶつがなく滑らかであった。得られた長尺のシートをテンター延伸機に供給し、表1及び表2に示した、所定の倍率で延伸して幅50mm、厚さ25μmの延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムを長さ方向に沿って裁断し、撚って結束材料を得た。
【0039】
得られた結束材料の太さを測定すると共に焼却時の二酸化炭素排出減量及び機械的強度(最大引張強度、破断伸び)等を測定し、結果を表1及び2に示した。尚、測定は以下の通りである。
【0040】
二酸化炭素排出量削減率の測定
得られた結束材料を1.5cm×5cmの大きさに切断し、JIS K7127(環状炉燃焼方法)に従って,環状炉燃焼測定器(島津製作所社製、CGT7100)に供給し、400℃で燃焼し二酸化炭素排出量を測定した。比較例4及び5における二酸化炭素排出量を1とし、削減された二酸化炭素排出量を%で示した。
【0041】
機械的強度の測定
得られた結束材料の太さ(デニール)を測定し、JIS K 7124に準拠し、引張試験を行い、最大(破断)引張強度、太さあたりの最大(破断)引張強度(最大引張強度/デニール)及び破断伸び率を測定した。
【0042】
【0043】
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明における結束材料は、焼却際に、二酸化炭素の発生が抑制されているので環境への負荷が少なく、新聞紙、雑誌等の比較的軽量な被結束物を好適に結束し運搬するのに適しており、包装資材分野において好適に使用される。