(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056200
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】収納ラック
(51)【国際特許分類】
A47B 96/02 20060101AFI20230412BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
A47B96/02 G
F16B5/02 F
A47B96/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165388
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】591171851
【氏名又は名称】平安伸銅工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一紘
(72)【発明者】
【氏名】平井 淳也
(72)【発明者】
【氏名】梁 雅蔚
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA03
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA09
3J001JA10
3J001KB03
(57)【要約】
【課題】ラック部材を容易に着脱可能な収納ラックを提供する。
【解決手段】収納ラックは、表面を含むベース板と、上記表面の一部に設けられるとともに上記表面に垂直な法線方向に所定の厚さを有するスペーサと、を含むベース部材と、ベース板の厚さ以上の幅を有するスリットが形成されるラック部材とを備える。ラック部材は、第1端部および第2端部を有する第1板部と、第1端部から第1板部に交差する方向に延びる第2板部と、第2端部から第1板部に交差する方向に延びる第3板部と、を含む。上記スリットは、第2板部および第3板部が第1板部と同一平面内に位置するように開かれた仮想の展開状態において、第1板部、第2板部および第3板部に亘って形成される。上記スリットは、上記展開状態において、第1方向に垂直な第2方向におけるラック部材の端部から上記所定の厚さ以下の距離だけ第2方向に離間して形成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を含むベース板と、前記表面の一部に設けられるとともに前記表面に垂直な法線方向に所定の厚さを有するスペーサと、を含むベース部材と、
前記ベース板の厚さ以上の幅を有するスリットが形成されるラック部材と、を備え、
前記ラック部材は、
第1端部および第1方向において前記第1端部と反対の第2端部を有する第1板部と、
前記第1端部に繋がる第2板部と、
前記第2端部に繋がり、前記第1方向において前記第2板部に対向する第3板部と、を含み、
前記スリットは、
前記第1板部に形成される第1スリット部と、
前記第1端部において前記第1スリット部に繋がり、前記第2板部に形成される第2スリット部と、
前記第2端部において前記第1スリット部に繋がり、前記第3板部に形成される第3スリット部と、を含み、
前記スリットは、前記第2板部および前記第3板部が前記第1板部と同一平面内に位置するように前記第1端部および前記第2端部を中心に開かれた仮想の展開状態において、前記第1板部、前記第2板部および前記第3板部に亘って形成されており、
前記スリットは、前記展開状態において、前記第1方向に垂直な第2方向における前記ラック部材の端部から前記所定の厚さ以下の距離だけ前記第2方向に離間して形成されている、収納ラック。
【請求項2】
前記第2スリット部と前記第3スリット部とは、前記展開状態において、前記第1方向に同じ長さを有する、請求項1に記載の収納ラック。
【請求項3】
樹脂材料からなり、前記第1板部の上に配置されるトレー部材をさらに備えた、請求項1または請求項2に記載の収納ラック。
【請求項4】
前記スペーサは、前記ベース板とは別体の部材であり、
前記スペーサは、前記表面側を向く平面である第1スペーサ面と、前記第1スペーサ面と反対の平面である第2スペーサ面と、を含み、
前記第1スペーサ面は、前記スペーサの前記法線方向における厚さが変わるように、前記第2スペーサ面に対して傾いている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の収納ラック。
【請求項5】
前記スペーサを前記ベース板に固定する固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、
前記法線方向に延びる第1ネジ部材と、
前記第1ネジ部材と噛み合う第2ネジ部材と、を含み、
前記ベース板には、前記第1ネジ部材が貫通する貫通穴が形成されている、請求項4に記載の収納ラック。
【請求項6】
前記スペーサには、前記法線方向に貫通する貫通穴が形成されている、請求項4または請求項5に記載の収納ラック。
【請求項7】
前記スペーサは、樹脂材料からなる、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の収納ラック。
【請求項8】
複数の前記ラック部材を備え、
複数の前記ラック部材は、前記第1板部の前記第1方向の長さがそれぞれ異なる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の収納ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、石膏ボードやコンクリートなどからなる壁面に取り付けられる収納ラックが知られている。この種の技術が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、2枚の合板が側面視L字状に組み付けられた壁掛け式のラック部材が開示されている。このラック部材は、以下の手順で壁面に取り付けられる。まず、円筒状の取付具本体がピンにより壁面に固定される。次に、ラック部材の背板に形成された穴に上記取付具本体を挿入することにより、ラック部材が壁面に仮設置される。その後、取付具頭部の雄ネジを上記取付具本体の雌ネジ穴に噛み合わせることにより、ラック部材が壁面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、使用目的に応じてラック部材を壁面から着脱する際に、以下のように煩雑な手順が必要になる。まず、取付具頭部の雄ネジが取付具本体の雌ネジ穴から取り外される。次に、ラック部材が取付具本体から取り外される。その後、別途準備されたサイズが異なるラック部材が、取付具本体に取り付けられる。そして、取付具頭部の雄ネジを取付具本体の雌ネジ穴に噛み合わせることにより、サイズ変更後のラック部材が壁面などの被取付面に固定される。このように、従来では、ラック部材の着脱において煩雑な作業が必要になるという課題がある。
【0006】
本開示の目的は、ラック部材を容易に着脱することが可能な収納ラックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った収納ラックは、表面を含むベース板と、上記表面の一部に設けられるとともに上記表面に垂直な法線方向に所定の厚さを有するスペーサと、を含むベース部材と、ベース板の厚さ以上の幅を有するスリットが形成されるラック部材と、を備えている。ラック部材は、第1端部および第1方向において第1端部と反対の第2端部を有する第1板部と、第1端部に繋がる第2板部と、第2端部に繋がり、第1方向において第2板部に対向する第3板部と、を含む。上記スリットは、第1板部に形成される第1スリット部と、第1端部において第1スリット部に繋がり、第2板部に形成される第2スリット部と、第2端部において第1スリット部に繋がり、第3板部に形成される第3スリット部と、を含む。上記スリットは、第2板部および第3板部が第1板部と同一平面内に位置するように第1端部および第2端部を中心に開かれた仮想の展開状態において、第1板部、第2板部および第3板部に亘って形成されている。上記スリットは、上記展開状態において、第1方向に垂直な第2方向におけるラック部材の端部から上記所定の厚さ以下の距離だけ第2方向に離間して形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ラック部材を容易に着脱することが可能な収納ラックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る収納ラックの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1におけるベース部材の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1におけるベース部材を
図2と反対から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1におけるスペーサの構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1におけるスペーサを
図4と反対から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1におけるラック部材の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1におけるラック部材の構成を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る収納ラックの全体構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、その他実施の形態に係る収納ラックの全体構成を示す正面図である。
【
図10】
図10は、その他実施の形態に係る収納ラックの全体構成を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、その他実施の形態に係る収納ラックの全体構成を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、その他実施の形態における第1ラック部材を示す平面図である。
【
図13】
図13は、その他実施の形態における第1ラック部材を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
本開示に従った収納ラックは、表面を含むベース板と、上記表面の一部に設けられるとともに上記表面に垂直な法線方向に所定の厚さを有するスペーサと、を含むベース部材と、ベース板の厚さ以上の幅を有するスリットが形成されるラック部材と、を備えている。ラック部材は、第1端部および第1方向において第1端部と反対の第2端部を有する第1板部と、第1端部に繋がる第2板部と、第2端部に繋がり、第1方向において第2板部に対向する第3板部と、を含む。上記スリットは、第1板部に形成される第1スリット部と、第1端部において第1スリット部に繋がり、第2板部に形成される第2スリット部と、第2端部において第1スリット部に繋がり、第3板部に形成される第3スリット部と、を含む。上記スリットは、第2板部および第3板部が第1板部と同一平面内に位置するように第1端部および第2端部を中心に開かれた仮想の展開状態において、第1板部、第2板部および第3板部に亘って形成されている。上記スリットは、上記展開状態において、第1方向に垂直な第2方向におけるラック部材の端部から上記所定の厚さ以下の距離だけ第2方向に離間して形成されている。ここで、「第2方向」は、上記展開状態の平面内において第1方向に垂直な方向を意味する。
【0011】
上記収納ラックは、以下の手順により被取付面(例えば壁面)に取り付けることができる。まず、ベース部材が、ベース板の表(おもて)面を被取付面に向けた状態で、当該被取付面に取り付けられる。ここで、ベース板の表面の一部には、当該表面に垂直な法線方向に厚さを有するスペーサが設けられている。このため、ベース部材が被取付面に取り付けられた状態において、ベース板の表面のうちスペーサが設けられていない部分と被取付面との間に隙間が形成される。この状態で、ラック部材のスリットにベース板が挿入されることにより、ラック部材がベース部材に設置される。ラック部材を交換する場合には、設置済みのラック部材がベース板から取り外され、別のラック部材のスリットにベース板が挿入される。このように、本開示に従った収納ラックによれば、ラック部材のスリットに対してベース板を挿抜することにより、ラック部材をベース部材に対して容易に着脱することができる。
【0012】
上記収納ラックにおいて、第2スリット部と第3スリット部とは、上記展開状態において、第1方向に同じ長さを有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、鉛直方向に延びる被取付面にベース板が取り付けられ、当該ベース板に対してラック部材が設置される際に、第1板部を第1方向において水平に維持することが容易になる。
【0014】
上記収納ラックは、樹脂材料からなり、第1板部の上に配置されるトレー部材をさらに備えていてもよい。
【0015】
この構成によれば、軽量な樹脂材料を採用することにより、トレー部材の持ち運びが容易になり、トレー部材をラック部材から取り外して容易に洗浄することができる。
【0016】
上記収納ラックにおいて、スペーサは、ベース板とは別体の部材であってもよい。スペーサは、上記表面側を向く平面である第1スペーサ面と、第1スペーサ面と反対の平面である第2スペーサ面と、を含んでいてもよい。第1スペーサ面は、スペーサの上記法線方向における厚さが変わるように、第2スペーサ面に対して傾いていてもよい。
【0017】
この構成によれば、鉛直方向に延びる被取付面に第2スペーサ面が接触するとともにスペーサの厚さが鉛直方向上側に向かって小さくなるようにベース部材が被取付面に固定され、当該ベース部材にラック部材が設置される場合に、第1板部の前端が後端よりも鉛直方向上側に位置するように、当該第1板部が水平方向に対して傾いた状態になる。これにより、第1板部の上に設置される物がラック部材から落下するのを抑制することができる。
【0018】
上記収納ラックは、スペーサをベース板に固定する固定部材をさらに備えていてもよい。固定部材は、上記法線方向に延びる第1ネジ部材と、第1ネジ部材と噛み合う第2ネジ部材と、を含んでいてもよい。ベース板には、第1ネジ部材が貫通する貫通穴が形成されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、第1ネジ部材をベース板の貫通穴に貫通させ、当該第1ネジ部材と第2ネジ部材とを噛み合わせるだけで、スペーサをベース板に対して容易に取り付けることができる。
【0020】
上記収納ラックにおいて、スペーサには、上記法線方向に貫通する貫通穴が形成されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、スペーサの貫通穴に取付ピンやボルトなどの固定具を挿入することにより、ベース部材を被取付面に対して容易に取り付けることができる。
【0022】
上記収納ラックにおいて、スペーサは、樹脂材料からなっていてもよい。
【0023】
この構成によれば、スペーサが金属材料からなる場合と異なり、ベース部材を被取付面に取り付ける際に、当該被取付面に傷が生じるのを抑制することができる。
【0024】
上記収納ラックは、複数のラック部材を備えていてもよい。複数のラック部材は、第1板部の第1方向の長さがそれぞれ異なっていてもよい。
【0025】
この構成によれば、第1板部の長さが異なる複数のラック部材により、使用目的に応じた種々の大きさの収納スペースを設けることができる。
【0026】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の収納ラックの具体的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る収納ラック1の構成を、
図1~
図7に基づいて説明する。
図1は、収納ラック1の全体構成を示す斜視図である。
図2は、収納ラック1の構成部材であるベース部材10の構成を示す斜視図である。
図3は、ベース部材10を
図2の視点と異なる視点から見た斜視図である。
図4は、ベース部材10の構成部材であるスペーサ12の構成を示す斜視図である。
図5は、スペーサ12を
図4の視点と異なる視点から見た斜視図である。
図6は、収納ラック1の構成部材である第1ラック部材21の構成を示す斜視図である。
図7は、第1ラック部材21の構成を示す平面図である。
図1に示すように、収納ラック1は、壁面100に設置されるものである。収納ラック1は、ベース部材10と、複数のラック部材(第1ラック部材21、第2ラック部材22および第3ラック部材23)とを主に備えている。以下、これらの構成部材をそれぞれ詳細に説明する。
【0028】
図3に示すように、ベース部材10は、ベース板11と、複数(本実施の形態では2つ)のスペーサ12とを含む。ベース板11は、長方形の板本体15と、当該板本体15の2つの短辺に沿って設けられる一対の第1突出部13と、当該板本体15の一方の長辺に沿って設けられる第2突出部14とを含む。
【0029】
板本体15は、第1面15A(表面、
図3)と、当該板本体15の厚さ方向において第1面15Aと反対の第2面15B(
図2)とを含む。第1面15Aは、当該第1面15Aに垂直な方向に見て略長方形である。同様に、第2面15Bは、当該第2面15Bに垂直な方向に見て略長方形である。
図2に示すように、板本体15のうち長手方向の両端部には、当該板本体15を厚さ方向に貫通する複数(本実施の形態では2つ)の貫通穴15Cが、短手方向に並べて形成されている。貫通穴15Cを取り囲む内周面には、ネジ溝が形成されていない。
【0030】
図3に示すように、第1突出部13は、板本体15の長手方向の両端部(両短辺部)から第1面15Aに垂直な法線方向に突出する。第2突出部14は、板本体15の短手方向の一方の端部(長辺部)から上記法線方向に突出する。第1突出部13および第2突出部14は、いずれも板本体15の端部から第1面15A側へ突出する。本実施の形態では、第1突出部13および第2突出部14のそれぞれの突出長さが略同じであるが、これに限定されない。
【0031】
本実施の形態では、板本体15、一対の第1突出部13および第2突出部14は、一体に形成されている。すなわち、一対の第1突出部13は、長方形の平板の長手方向の両端部(両短辺部)を、第1面15A側へ折り曲げることにより形成されている。一方、第2突出部14は、当該平板の短手方向の一方の端部(長辺部)を、第1面15A側へ折り曲げることにより形成されている。別の観点から説明すると、第1突出部13は、板本体15の長手方向の両端部から垂直に立ち上がる板状の部分である。第2突出部14は、板本体15の短手方向の端部から垂直に立ち上がる板状の部分である。
【0032】
本実施の形態では、ベース板11の厚さは、全体に亘って一定である。ベース板11がスチール板である場合には、ベース板11の厚さは、0.8mm以上1.6mm以下であることが好ましい。ベース板11がアルミニウム板である場合には、ベース板11の厚さは、1mm以上2mm以下であることが好ましい。ベース板11が樹脂板である場合には、ベース板11の厚さは、3mm以上4mm以下であることが好ましい。ベース板11の材質は特に限定されないが、例えばアルミニウムやステンレスなどの金属材料を採用することができる。ベース板11の表面には、例えばクロムめっきや塗装などの処理が施されていてもよい。
【0033】
スペーサ12は、ベース板11とは別体の部材である。
図3に示すように、スペーサ12は、ベース板11(板本体15)の第1面15Aの一部に設けられるとともに、上記法線方向(第1面15Aに垂直な方向)に所定の厚さを有している。より具体的には、スペーサ12は、略直方体形状を有しており、貫通穴15C(
図2)と重なるように板本体15の長手方向の両端部にそれぞれ配置されている。
【0034】
図3に示すように、スペーサ12は、当該スペーサ12の長手方向が板本体15の長手方向に対して直交するように配置されており、第1面15Aに接触している。スペーサ12の上記法線方向の厚さは、第1突出部13および第2突出部14の突出長さよりも大きい。このため、第1面15Aを壁面100(
図1)側に向けてベース部材10を壁面100に取り付ける際に、第1突出部13および第2突出部14の各先端は壁面100に接触せず、スペーサ12が壁面100に接触する。本実施の形態では、スペーサ12が例えばポリプロピレンなどの樹脂材料からなるが、これに限定されない。例えば、スペーサ12は、金属製や木製のものでもよいし、陶器や磁器などでもよい。
【0035】
スペーサ12は、ベース板11の第1面15A側を向く平面である第1スペーサ面12A(
図4)と、当該第1スペーサ面12Aと反対の平面である第2スペーサ面12B(
図5)とを含む。第1スペーサ面12Aは、スペーサ12の上記法線方向における厚さが変わるように、第2スペーサ面12Bに対して傾いている。スペーサ12は、当該スペーサ12の上記法線方向における厚さが第2突出部14から離れるに従って小さくなるように、第1スペーサ面12Aを第1面15A側に向けた状態でベース板11(板本体15)に固定される。
【0036】
スペーサ12には、上記法線方向に貫通する複数(本実施の形態では2つ)のピン貫通穴16(
図4)と、上記法線方向に貫通する複数(本実施の形態では2つ)のボルト貫通穴17(
図5)とがそれぞれ形成されている。
図5に示すように、ボルト貫通穴17は、例えば六角形などの多角形の穴であり、スペーサ12の長手方向においてピン貫通穴16を挟むように形成されている。ピン貫通穴16およびボルト貫通穴17は、スペーサ12の長手方向において一列に並べて形成されている。
【0037】
図5に示すように、ピン貫通穴16は、ボルト貫通穴17よりも小径の円形の穴である。ピン(図示しない)を第1スペーサ面12A(
図4)側からピン貫通穴16に挿入し、第2スペーサ面12B(
図5)から突き出るピンの先端を壁面100(
図1)に差し込むことにより、ベース部材10(スペーサ12)が壁面100に取り付けられる。
図4に示すように、ピン貫通穴16の周囲には長穴状の凹部12Cが形成されており、ピン貫通穴16に挿入されるピンの頭部が当該凹部12Cに収容される。なお、ピン貫通穴16およびボルト貫通穴17は、いずれも本開示の収納ラックにおける必須の構成ではなく、省略されてもよい。
【0038】
収納ラック1は、スペーサ12をベース板11に固定する固定部材30をさらに備えている(
図2)。
図2に示すように、本実施の形態における固定部材30は、第1ネジ部材31と、当該第1ネジ部材31と噛み合う第2ネジ部材32とを含む。本実施の形態では、1つのスペーサ12に対して複数(2つ)の固定部材30が設けられているが、これに限定されない。また貫通穴15C(
図2)を取り囲む内周面に、第1ネジ部材31と噛み合うネジ溝が形成されていてもよい。この場合、第2ネジ部材32を省略することができる。
【0039】
第1ネジ部材31は、例えば六角形などの多角形の頭部を有するボルトである。第1ネジ部材31は、第2スペーサ面12B側からボルト貫通穴17に挿入されており(
図5)、円柱状の軸部が第1スペーサ面12Aから突出している(
図4)。第1ネジ部材31の軸部は、上記法線方向に延びるとともに外周面に雄ネジが形成されており、板本体15に形成された貫通穴15Cを貫通する(
図2)。これにより、
図2に示すように、第1ネジ部材31の軸部が板本体15の第2面15Bから突出し、当該突出部分に第2ネジ部材32が取り付けられる。第2ネジ部材32の内周面には、第1ネジ部材31の雄ネジが噛み合う雌ネジが形成されている。
【0040】
図1に示すように、複数のラック部材(第1ラック部材21、第2ラック部材22および第3ラック部材23)のそれぞれは、ベース板11に引っ掛けられる。以下、第1ラック部材21の構成を、
図6および
図7に基づいて詳細に説明する。
【0041】
第1ラック部材21には、ベース板11(板本体15)の厚さ以上の幅W1(
図7)を有するスリット40が形成されている。
図6に示すように、第1ラック部材21は、第1板部51と、第2板部52と、第3板部53とを含む。
【0042】
第1板部51は、第1方向D1に長い長方形状を有する。第1板部51は、第1端部51Aと、第1方向D1において第1端部51Aと反対の第2端部51Bとを有する。
図6に示すように、第1板部51には、ベース板11(板本体15)の厚さ以上の幅を有する第1スリット部41が、第1方向D1の全体に亘って直線状に形成されている。
【0043】
第2板部52は、例えば略長方形状や台形などの略四辺形状を有しており、第1端部51Aに繋がっている。本実施の形態では、第2板部52は、第1端部51Aから第1板部51に交差(直交)する方向に延びている。
図6に示すように、第2板部52には、第1端部51Aにおいて第1スリット部41に繋がるとともにベース板11(板本体15)の厚さ以上の幅を有する第2スリット部42が、直線状に形成されている。なお、第2板部52は、第1板部51に対して直交する場合に限定されず、第1板部51に対して鋭角または鈍角を成していてもよい。なお、第2板部52は、略四辺形状を有するものに限定されず、例えば丸形でもよい。
【0044】
第3板部53は、例えば略長方形状や台形などの略四辺形状を有しており、第2板部52と略同じ大きさである。第3板部53は、第2端部51Bに繋がるとともに、第1方向D1において第2板部52に対向している。本実施の形態では、第3板部53は、第2端部51Bから第1板部51に交差(直交)する方向に延びている。
図6に示すように、第3板部53には、第2端部51Bにおいて第1スリット部41に繋がるとともにベース板11(板本体15)の厚さ以上の幅を有する第3スリット部43が、直線状に形成されている。スリット40は、第1スリット部41、第2スリット部42および第3スリット部43を含む。なお、第3板部53は、第1板部51に対して直交する場合に限定されず、第1板部51に対して鋭角または鈍角を成していてもよい。なお、第3板部53は、略四辺形状を有するものに限定されず、例えば丸形でもよい。
【0045】
図6中の一点鎖線は、第2板部52および第3板部53が第1板部51と同一平面内に位置するように第1端部51Aおよび第2端部51Bを中心に開かれた仮想の展開状態を示している。
図6に示すように、スリット40は、上記展開状態において、第1板部51、第2板部52および第3板部53に亘って第1方向D1に直線状に延びるとともに、第2方向D2(上記展開面内において第1方向D1に直交する方向)における第1ラック部材21の端部21Aからスペーサ12(
図3)の厚さ以下の距離L1だけ第2方向D2に離間して形成されている。別の観点から説明すると、第1スリット部41と第2スリット部42と第3スリット部43とは、第1板部51に垂直な仮想の平面P1(
図6中の2点鎖線で示す平面)上に位置している。
図6に示すように、スリット40は、第1ラック部材21の第2方向D2の端部21Aに対して平行である。本実施の形態では、第2スリット部42と第3スリット部43とは、上記展開状態において、第1方向D1に同じ長さを有する。
【0046】
本実施の形態では、第1板部51と第2板部52と第3板部53とは、一体に形成されている。すなわち、第1ラック部材21は、スリット40が形成される長方形の平板を、長手方向の両端部から同じ距離だけ離間する2つの部分において垂直に折り曲げることにより形成されている。なお、第1板部51と第2板部52と第3板部53とは、互いに別体であり、例えば溶接や接着などの方法によって接合されていてもよい。
【0047】
第2ラック部材22および第3ラック部材23(
図1)は、第1ラック部材21と比べて、第1板部51の第1方向D1の長さが異なっている。具体的には、第2ラック部材22および第3ラック部材23の第1板部51の第1方向D1の長さは、第1ラック部材21の第1板部51の第1方向D1の長さよりも小さい。この点を除いて、第2ラック部材22および第3ラック部材23は、基本的に第1ラック部材21と同様の構成を有している。したがって、第2ラック部材22および第3ラック部材23の構成の詳細な説明は省略する。
【0048】
次に、収納ラック1の壁面100への取り付けについて説明する。
【0049】
まず、スペーサ12が壁面100に取り付けられる。具体的には、複数(本実施の形態では2つ)のスペーサ12が、水平方向に互いに間隔を空けるとともに第2スペーサ面12B(
図5)を壁面100側に向けた状態で壁面100に配置される。そして、ネジやピンなどの固定部材を用いて、2つのスペーサ12が壁面100にそれぞれ固定される。このとき、スペーサ12の長手方向は、鉛直方向を向いている。取付後の状態において、各スペーサ12の上端の高さ位置は互いに略同じであり、各スペーサ12の下端の高さ位置も互いに略同じである。
【0050】
次に、ベース板11がスペーサ12に取り付けられる。具体的には、ベース板11の長手方向が水平方向に向けられ、第1ネジ部材31の軸部がベース板11の貫通穴15Cに挿入される。このとき、第1ネジ部材31の軸部が、ベース板11の第2面15Bよりも手前側(壁面100から離れる側)に突き出た状態となる。そして、第1ネジ部材31の軸部に第2ネジ部材32が締め付けられる。これにより、ベース部材10の壁面100への取り付けが完了する。
【0051】
次に、ラック部材がベース部材10に設置される。具体的には、第1~第3ラック部材21~23のそれぞれのスリット40にベース板11が他方の長辺部(第2突出部14が設けられる長辺部と反対の長辺部)から挿入され、各ラック部材の第2板部52および第3板部53がベース板11に引っ掛けられる。
【0052】
ラック部材を交換する際には、設置済みのラック部材がベース板11から取り外され、別のラック部材のスリット40にベース板11が挿入される。このように、本実施の形態に係る収納ラック1によれば、ラック部材のスリット40に対してベース板11を挿抜することにより、ラック部材をベース部材10に対して容易に着脱することができる。
【0053】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る収納ラック2の構成を、
図8に基づいて説明する。実施の形態2に係る収納ラック2は、基本的に上記実施の形態1に係る収納ラック1と同様の構成を備え且つ同様の効果を奏するものであるが、トレー部材をさらに備える点で異なっている。以下、上記実施の形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0054】
収納ラック2は、第1~第3ラック部材21~23の第1板部の上に配置される第1~第3トレー部材44~46を備えている。
図8に示すように、第1~第3トレー部材44~46のそれぞれは、四角形の底板と、当該底板の端部から立設される4つの側板とを含む。第3トレー部材46は、第1トレー部材44および第2トレー部材45よりも深く形成されている。
【0055】
各トレー部材は、ラック部材と異なる材料、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料からなる。このトレー部材の上に、様々な物品が載置される。本実施の形態に係る収納ラック2によれば、軽量な樹脂材料を採用することによりトレー部材を容易に持ち運びすることが可能であり、トレー部材をラック部材から取り外して容易に洗浄することができる。
【0056】
(その他実施の形態)
ここで、その他実施の形態について説明する。
【0057】
上記実施の形態1では、第2スリット部42と第3スリット部43とが互いに同じ長さである場合を一例として説明したが、第2スリット部42が第3スリット部43よりも長く形成されていてもよい。この場合、
図9に示すように、第2板部62および第3板部63がベース板11に引っ掛けられた状態において、第1板部61が水平方向に対して傾いた状態となる。この場合、ラック部材は、スリットが形成される長方形の平板を、長手方向の両端部から互いに異なる距離だけ離間する2つの部分において折り曲げることにより形成される。
【0058】
ベース板の形状は長方形に限定されず、例えば正方形などの他の形状であってもよい。板本体15と第1突出部13と第2突出部14とが一体である場合に限定されず、これらが互いに別体であり、例えば溶接や接着などの方法により互いに接合されていてもよい。また第1突出部13および第2突出部14が省略され、板本体15のみによりベース板11が構成されていてもよい。
【0059】
第1スペーサ面12Aが第2スペーサ面12Bに対して傾いている場合に限定されず、これらの面が互いに平行であってもよい。
【0060】
第1ネジ部材31が雄ネジ部材であり且つ第2ネジ部材32が雌ネジ部材である場合に限定されず、第1ネジ部材31が雌ネジ部材であり且つ第2ネジ部材32が雄ネジ部材であってもよい。またスペーサ12が固定部材30によりベース板11に固定される場合に限定されず、例えば接着剤などによりスペーサ12がベース板11に固定されてもよい。この場合、固定部材30は省略され、また板本体15の貫通穴15Cも省略される。
【0061】
第1ラック部材は、
図6に示す形状のものに限定されず、例えば
図10および
図11に示すように、長方形の平板を湾曲させた第1ラック部材71,72を採用することもできる。
図10の第1ラック部材71は、1枚の長方形の平板を複数箇所で湾曲させたものである。また
図11の第1ラック部材72は、1枚の長方形の平板をU字状に湾曲させたものであり、ベース板11に対して複数個(例えば3個)配置されている。また第2ラック部材22および第3ラック部材23も、同様の湾曲形状を有していてもよい。
【0062】
第1板部の形状は、長方形状に限定されず、例えば
図12に示すように、平面視台形の第1板部81を含む第1ラック部材73が採用されてもよい。この場合、
図13に示すように、スリット40は、第2板部82および第3板部83が第1板部81と同一平面内に位置するように第1ラック部材73が開かれた仮想の展開状態において、第1板部81、第2板部82および第3板部83に亘って形成されているが、
図6の場合と異なり、平面視において非直線となる。
【0063】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1,2 収納ラック、10 ベース部材、11 ベース板、12 スペーサ、12A 第1スペーサ面、12B 第2スペーサ面、12C 凹部、13 第1突出部、14 第2突出部、15 板本体、15A 第1面、15B 第2面、15C 貫通穴、16 ピン貫通穴、17 ボルト貫通穴、21,71,72,73 第1ラック部材、21A 端部、22 第2ラック部材、23 第3ラック部材、30 固定部材、31 第1ネジ部材、32 第2ネジ部材、40 スリット、41 第1スリット部、42 第2スリット部、43 第3スリット部、44 第1トレー部材、45 第2トレー部材、46 第3トレー部材、51,61,81 第1板部、51A 第1端部、51B 第2端部、52,62,82 第2板部、53,63,83 第3板部、100 壁面、D1 第1方向、D2 第2方向、L1 距離、P1 平面