IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タカラベルモント株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056201
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20230412BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230412BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20230412BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/92
A61Q5/08
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165389
(22)【出願日】2021-10-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年1月22日に、毛髪処理剤が記載されたパンフレットの納品を依頼することにより配布
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 高志
(72)【発明者】
【氏名】白石 晃
(72)【発明者】
【氏名】武鹿 直樹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AB012
4C083AB082
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC552
4C083AC782
4C083AC892
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD172
4C083AD511
4C083AD512
4C083AD642
4C083BB01
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD06
4C083EE03
4C083EE21
4C083EE26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な染色力を有するとともに、毛髪処理に起因する刺激臭を低減することができ、更に、すすぎ時における毛髪の指通りと仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)を向上することができる毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】リン酸系界面活性剤と、ラノリンまたはその誘導体とを含有する毛髪処理剤であって、リン酸系界面活性剤の含有量が0.1~10質量%であり、ラノリンまたはその誘導体の含有量が0.05~8質量%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸系界面活性剤と、ラノリンまたはその誘導体とを含有する毛髪処理剤であって、
前記リン酸系界面活性剤の含有量が0.1~10質量%であり、前記ラノリンまたはその誘導体の含有量が0.05~8質量%であることを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
シリコーン化合物を含有し、
前記シリコーン化合物の含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
前記リン酸系界面活性剤が、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、及びポリオキシエチレンベヘニルエーテルリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
前記ラノリンまたはその誘導体が、ラノリン、液状ラノリン、硬質ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンラノリン、ラノリン脂肪酸エステル、及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の毛髪処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色処理や脱色処理等の毛髪の処理において使用する毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2剤型の酸化染毛剤は、酸化染料及びアンモニア等のアルカリ剤を含有する第一剤と、酸化剤を含有する第二剤とから構成され、第一剤はアルカリ性に、第二剤は酸性に、それぞれ調整されており、第一剤と第二剤とが混合して使用される。
【0003】
そして、第一剤と第二剤とを混合すると、アルカリ性に調整された第一剤が、第二剤の酸化剤、例えば過酸化水素を活性化させ、この混合物を毛髪に塗布すると、第一剤のアルカリ剤が毛髪のキューティクルを開き、第一剤及び第二剤の双方の薬剤が毛髪内に浸透する。薬剤が浸透した毛髪内では、活性化した第二剤の酸化剤により、第一剤に含まれる酸化染料の酸化重合が進行して色素が形成され、当該色素による毛髪の発色が進行する。また、染料を含まない毛髪処理剤は、上述の機構により、脱色剤として作用する。
【0004】
ここで、これらの反応を促進して、染色性を向上させる手段として、アンモニア等のアルカリ剤の配合量を多くする方法があるが、アンモニアは強い刺激臭があるとともに、毛髪にダメージを与え、ツヤ等の仕上がり感を低下させるという問題があった。
【0005】
そこで、アンモニア等のアルカリ剤とリン酸エステル系化合物と高級脂肪酸と炭素数12~14の高級アルコールを含有する染毛剤が提案されている。そして、このような構成により、毛髪に十分なツヤを付与することができるとともに、染毛後の毛髪の感触が良好になると記載されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、アンモニア等のアルカリ剤とリン酸系アニオン性界面活性剤とカチオン性高分子とを含有する染毛剤が提案されている。そして、このような構成により、染毛力が向上するとともに、染毛処理後の毛髪になめらかな感触を保持させることができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4080443号公報
【特許文献2】特開2008-137958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に記載の染毛剤においては、pHの高い染毛剤の中に高級脂肪酸を配合しているため、アニオン性の性質による電荷の反発が高まり、毛髪が絡んで、指通りの滑らかさ等が低下し、染色性と仕上がり感が十分に向上しないという問題があった。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の染毛剤においては、リン酸系アニオン性界面活性剤とカチオン性高分子がコンプレックスを形成するため、リン酸系アニオン性界面活性剤の浸透性が低下してしまい、結果として、染色性とツヤ等の仕上がり感が十分に向上しないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、良好な染色力を有するとともに、毛髪処理に起因する刺激臭を低減することができ、更に、すすぎ時における毛髪の指通りと仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)を向上することができる毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の毛髪処理剤は、リン酸系界面活性剤と、ラノリンまたはその誘導体とを含有する毛髪処理剤であって、リン酸系界面活性剤の含有量が0.1~10質量%であり、ラノリンまたはその誘導体の含有量が0.05~8質量%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、良好な染色力を有するとともに、毛髪処理に起因する刺激臭を低減することができ、更に、すすぎ時における毛髪の指通りと仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)を向上することができる毛髪処理剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜、変更して適用することができる。
【0014】
本発明の毛髪処理剤は、染毛用または脱色用の毛髪処理剤である。より具体的には、例えば、2剤型の酸化染毛剤において、酸化染料及びアルカリ剤を含有する第一剤として使用されるものであり、リン酸系界面活性剤と、ラノリンまたはその誘導体とを含有する。
【0015】
(リン酸系界面活性剤)
リン酸系界面活性剤は、毛髪に対する染料とアンモニアの浸透を促進させて、染色力を向上するとともに、アンモニアをマスキングすることにより、刺激臭を低減するものである。
【0016】
リン酸系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、及びポリオキシエチレンベヘニルエーテルリン酸が使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
また、刺激臭を抑制して、十分な毛髪染色効果を得るとの観点から、毛髪処理剤の全体に対するリン酸系界面活性剤の含有量は、0.1~10質量%である。リン酸系界面活性剤の含有量が0.1質量%未満の場合は、上述の染色力の向上と刺激臭の低減が不十分になる場合があり、10質量%よりも多い場合は、すすぎ時における毛髪の指通りや、染毛処理や脱色処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)が低下する場合があるためである。
【0018】
(ラノリンまたはその誘導体)
ラノリンまたはその誘導体は、毛髪の構成成分と類似のステロール骨格を有しており、毛髪表面及び内部に対する親和性・浸透性が高いため、すすぎ時における毛髪の指通りを向上するとともに、染毛処理や脱色処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)を向上するものである。
【0019】
ラノリンまたはその誘導体としては、ラノリン、液状ラノリン、硬質ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンラノリン、ラノリン脂肪酸エステル、及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムが使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
また、すすぎ時における毛髪の指通りと染毛処理や脱色処理による仕上がり感を十分に向上させるとの観点から、毛髪処理剤の全体に対するラノリンまたはその誘導体の含有量は、0.05~8質量%である。ラノリンまたはその誘導体の含有量が0.05質量%未満の場合は、上述の指通りの向上と仕上がりの向上が不十分になる場合があり、8質量%よりも多い場合は、毛髪表面に過剰吸着して過度な油膜を形成し、毛髪に対するリン酸系界面活性剤の内部浸透力が低下するため、上述のリン酸系界面活性剤による染色力の向上効果と刺激臭の低減効果が低下する場合があるためである。
【0021】
(シリコーン化合物)
また、本発明の毛髪処理剤は、シリコーン化合物を含有してもよい。シリコーン化合物は、毛髪に吸着して、表面をコーティングすることで、毛髪の凹凸により感じるざらつきを低減するため、シリコーン化合物を含有することにより、上述のすすぎ時における毛髪の指通りがより一層向上するとともに、染毛処理や脱色処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)がより一層向上する。
【0022】
シリコーン化合物としては、シクロペンタシロキサン等の環状ジメチルシリコーン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、PCAジメチコン等が使用される。なお、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
また、毛髪処理剤の全体に対するシリコーン化合物の含有量は、1質量%以下である。シリコーン化合物の含有量が1質量%よりも多い場合は、シリコーン化合物が毛髪に過剰に吸着するため、上述の染色力の向上と刺激臭の低減が不十分になるとともに、毛髪の指通りと仕上がり感が低下する場合があるためである。
【0024】
(アルカリ剤)
アルカリ剤は、無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤を用いることができる。無機アルカリ剤としては、例えば、アンモニア;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩;炭酸グアニジンなどのグアニジウム塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭酸水素塩;酒石酸カリウムナトリウムなどの酒石酸塩;クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムなどのクエン酸塩;リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどのリン酸塩;ピロリン酸ナトリウムなどのピロリン酸塩;ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩;メタケイ酸ナトリウムなどのメタケイ酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ塩類が挙げられる。また、有機アルカリ剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノブタノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールなどの有機アミン類が挙げられる。
【0025】
(酸化染料)
酸化染料を構成する染料中間体としては、例えば、p-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、N-メチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-2-メチル-p-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、クロル-p-フェニレンジアミン、2-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-5-アミノトルエン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、メトキシ-p-フェニレンジアミン、2,6-ジクロル-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-ブロム-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-メチル-p-フェニレンジアミン、6-メトキシ-3-メチル-p-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノアニソール、N-(2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N-2-メトキシエチル-p-フェニレンジアミンなどの、1種又は2種以上の-NH基、-NHR基及び/又は-NR基(Rは、炭素数1~4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基)を有するp-フェニレンジアミン類;2,5-ジアミノピリジン誘導体;p-アミノフェノール、2-メチル-4-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-クロロ-4-アミノフェノール、3-クロロ-4-アミノフェノール、2,6-ジメチル-4-アミノフェノール、3,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,3-ジメチル-4-アミノフェノール、2,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、5-アミノサリチル酸などのp-アミノフェノール類及びo-アミノフェノール類;o-フェニレンジアミン類が挙げられる。
【0026】
また、酸化染料を構成するカップラーとしては、例えば、α-ナフトール、o-クレゾール、m-クレゾール、2,6-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、ベンズカテキン、ピロガロール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノ-2-メチルフェノール、5-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-4-メトキシ-2-メチルフェノール、ヒドロキノン、2,4-ジアミノアニソール、m-トルイレンジアミン、4-アミノフェノール、レゾルシン、レゾルシンモノメチルエーテル、m-フェニレンジアミン、1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン、1-フェニル-3-アミノ-5-ピラゾロン、1-フェニル-3,5-ジケトピラゾリジン、1-メチル-7-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシ-2-キノロン、m-アミノフェノール、4-クロロレゾルシン、2-メチルレゾルシン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、3,5-ジアミノトリフロロメチルベンゼン、2,4-ジアミノフロロベンゼン、3,5-ジアミノフロロベンゼン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,6-トリアミノピリミジン、2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシピリミジン、4,6-ジアミノ-2-ヒドロキシピリミジンが挙げられる。
【0027】
(溶媒)
また、本発明の毛髪処理剤において使用される溶媒(分散媒)は特に限定されず、例えば、水(精製水等)が使用されるが、必要に応じて、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒を、人体に接触しても無害な濃度で、水に含有させてもよい。
【0028】
なお、本発明の毛髪処理剤の態様は、溶液に限定されず、必要に応じて添加する成分が懸濁ないし乳化されているものであってもよい。
【0029】
(pH調整剤)
また、本発明の毛髪処理剤は、pH調整剤を含有してもよい。このpH調整剤は、特に限定されず、通常、毛髪化粧料に用いられるものであればよい。例えば、ピロリン酸ナトリウム、乳酸、リン酸、炭酸グアニジン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、セスキ炭酸塩、アルギニン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、アンモニア、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、及び、リン酸水素二アンモニウムなどが挙げられる。そして、本発明の毛髪処理剤は、これらのpH調整剤により、pHを8.0~11.5に設定することができる。
【0030】
(その他の成分)
本発明の毛髪処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を配合することができる。例えば、油性成分(例えば、スフィンゴ脂質、セラミド類、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、リン脂質、パーフルオロポリエーテル等)、植物油(例えば、オリーブ油、シア脂、マカデミアナッツ油等)、ロウ類(例えば、ホホバ種子油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等)、炭化水素(例えば、軽質流動イソパラフィン、パラフィン、スクワラン、ワセリン、イソドデカン、イソヘキサデカン等)、高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、分岐脂肪酸(C(炭素数)14-28)、ヒドロキシステアリン酸等)、アルコール類(例えば、セタノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、水添ナタネ油アルコール、コレステロール、シトステロール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ヘキサンジオール等)、糖及びその誘導体類(例えば、ブドウ糖、ショ糖、D-ソルビトール、マルトース、トレハロース、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、グリセリルグルコシド等)、エステル類(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセリル、コハク酸ジエトキシエチル、乳酸セチル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル等)、アミノ酸及びその誘導体類(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、セリン、メチオニン、トリメチルグリシン、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、N-ラウロイル-L-リジン等)、PPT及びタンパク類(例えば、加水分解シルク、加水分解コムギ、加水分解ダイズ、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、シリル化加水分解シルク、シリル化加水分解コムギ、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、ケラチン等)、天然高分子類(例えば、アルギン酸塩、マンナン、アラビアゴム、タマリンドガム、キトサン、カラギーナン、ムチン、セラック、ヒアルロン酸塩、カチオン化ヒアルロン酸、キサンタンガム、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、グァーガム、カチオン化グァーガム、ハチミツ等)、合成高分子(例えば、アニオン性高分子、カチオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等)、カチオン性界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩等)、両性界面活性剤(例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテルおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、新油型モノステアリン酸グリセリル等)、染料(例えば、タール色素、天然色素等)、植物エキス類(例えば、カミツレエキス、コンフリーエキス、セージエキス、ローズマリーエキス、カキタンニン、チャ乾留液、銅クロロフィリンナトリウム等)、ビタミン類(例えば、L-アスコルビン酸、DL-α-トコフェロール、D-パンテノール、天然ビタミンE等)、紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、フェルラ酸等)、防腐剤(例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等)、金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸等)、その他無機化合物(例えば、酸化チタン、銀、白金、塩化鉄、酸化鉄、臭素酸ナトリウム、過酸化水素等)、その他有機化合物(例えば、尿素、ヒドロキシエチル尿素、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グルコン酸銅等)、溶剤(例えば、ベンジルアルコール等)、噴射剤(例えば、LPG(液化石油ガス)、DME(ジメチルエーテル)窒素ガス、炭酸ガス等)、及び香料等の公知の化粧品各成分を配合することができる。
【0031】
また、本発明の毛髪処理剤の剤型は、例えば、クリーム状が挙げられる。第一剤である本発明の毛髪処理剤がクリーム状であると、酸化剤を含有する第二剤との混合が容易になるため好ましい。また、長期にわたって良好な保存安定性が可能になる。さらに、塗布時に垂れ落ちしにくく、毛髪への付着性やなじみに優れ、毛髪のコンディショニング効果に優れるとともに、良好な染色性、又は脱色性を得ることが可能になる。
【0032】
なお、ここで言う「クリーム状」とは、吐出口が5~7mmφのチューブ状容器に本発明の毛髪処理剤を充填し、25℃の条件のもと、本発明の毛髪処理剤を吐出したときに1時間以上吐出した状態を保つ状態のことをいう。
【0033】
(第二剤)
本発明の毛髪処理剤(第一剤)と混合される第二剤としては、特に限定されず、主剤である酸化剤を含有するものであればよい。
【0034】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、アルカリ金属の臭素酸塩、アルカリ金属の過酸塩(例えば、過臭素酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩)などが挙げられる。なお、酸化剤の含有量は、特に限定されず、例えば、第二剤の全体に対して、0.5~12.0質量%であってもよく、1.0~6.0質量%であってもよい。
【0035】
また、本発明の毛髪処理剤(アルカリ剤を含有する第一剤)と酸化剤を含有する第二剤とを混合して染毛剤として使用する場合、第一剤と第二剤の質量比は、例えば、第一剤:第二剤=1:1~1:3の範囲とすることができる。
【実施例0036】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0037】
(実施例1~20及び比較例1~15)
<毛髪処理剤(第一剤)の製造>
水(精製水)と各原料を配合して、表1~4に示す組成(質量%)を有する実施例1~20及び比較例1~15の毛髪処理剤(第一剤)を製造した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
<酸化剤を含有する第二剤の製造>
水(精製水)と各原料を配合して、表5に示す組成(質量%)を有する第二剤を製造した。
【0043】
【表5】
【0044】
<サンプル用の毛髪の準備>
長さ30cmの直毛の毛髪からなる毛束(5g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーを用いて、2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、パーマネントウェーブ処理を行った。その後、処理を行った毛髪を、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬させ、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした。
【0045】
<染毛処理>
次に、準備した毛髪に対して、下記(A)~(C)の染色処理を行った。
【0046】
(A)まず、サンプル用の毛髪5gに対して、実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)と上述の第二剤を用意し、質量比で第一剤:第二剤=1:1の比率(どちらも10gの使用)により、毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して、染毛剤を調製した。
【0047】
(B)次に、調製した染毛剤を毛髪全体に均一に塗布し、25分放置した。
【0048】
(C)そして、25分の染毛処理後、毛髪を洗い流し、シャンプーとトリートメントを行い、その後、ドライヤーを用いて毛髪を乾燥させた。
【0049】
<染色力評価>
上述の染色処理を行った毛髪に対して、実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)を含有する上述の染毛剤が、染色処理の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。
【0050】
毛髪が深く色付き、染色力が非常にある:◎
毛髪がやや深く色付き、染色力がある:〇
毛髪がやや浅く色付き、染色力がややない:△
毛髪が浅く色付き、染色力がない:×
【0051】
<刺激臭に関する評価>
毛髪処理剤(第一剤)と第二剤とを混合して、染毛剤を調製した際の刺激臭の有無を下記評価基準に従って評価した。
【0052】
刺激臭が全くない:◎
刺激臭がほぼない:○
刺激臭を少し感じる:△
刺激臭を強く感じる:×
【0053】
<指通りに関する評価>
染色処理後の最終水洗(すすぎ)時の毛髪の指通り(すべり感)を、下記評価基準に従って評価した。
【0054】
抵抗感がなく、指通りが非常によい:◎
抵抗感が少なく、指通りがよい:○
抵抗感がややあり、指通りがやや悪い:△
抵抗感があり、指通りが悪い:×
【0055】
<仕上がり感に関する評価>
次に、上述の染色処理を行った毛髪に対して、上述の実施例及び比較例の各毛髪処理剤(第一剤)を含有する上述の染毛剤が、ドライ後(仕上がり後)の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、(1)ツヤ、(2)やわらかさ、及び(3)すべり感の3項目について、専門パネラー10名による評価を行った。各評価項目における評価基準を以下に示す。
【0056】
(1)ツヤ
染色処理後の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした後、ツヤの有無を下記評価基準に従って評価した。
【0057】
ツヤが非常にある:◎
ツヤがある:○
ツヤがややない:△
ツヤがない:×
【0058】
(2)やわらかさ
染色処理後の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の手触りのやわらかさを、下記評価基準に従って評価した。
【0059】
非常にやわらかい:◎
やわらかい:○
硬さがややある:△
硬さがある:×
【0060】
(3)すべり感
染色処理後の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の指通り(すべり感)を、下記評価基準に従って評価した。
【0061】
すべり感が非常によい:◎
すべり感がよい:○
すべり感がやや悪い:△
すべり感が悪い:×
【0062】
なお、上述の各評価において、専門パネラー10名が、「◎」、「〇」、「△」、及び「×」から選択した最も多い評価基準を最終評価とした。また、「◎」は特に優れていると評価し、「○」は優れていると評価した。また、「△」と「×」は不十分であると評価した。以上の結果を表1~表6に示す。
【0063】
表1~2に示すように、0.1~10質量%のリン酸系界面活性剤と、0.05~8質量%のラノリンまたはその誘導体とを含有する実施例1~16の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色力を向上することができるとともに、刺激臭を低減することができることが分かる。また、すすぎ時における毛髪の指通りを向上することができるとともに、染毛処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)を向上することができることが分かる。
【0064】
特に、1質量%以下のシリコーン化合物を含有する実施例17~20の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、すすぎ時における毛髪の指通りをより一層向上することができるとともに、染毛処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)をより一層向上することができることが分かる。
【0065】
一方、表3に示すように、リン酸系界面活性剤を含有しない比較例1~4,6~7の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色力が乏しく、刺激臭を低減することができないことが分かる。
【0066】
また、表3に示すように、ラノリンまたはその誘導体を含有しない比較例5,7の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、すすぎ時における毛髪の指通りと、染毛処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)に乏しいことが分かる。
【0067】
また、表4に示すように、リン酸系界面活性剤の含有量が0.1質量%未満(0.01質量%)である比較例8の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色力が乏しく、刺激臭を低減することができないことが分かる。
【0068】
また、表4に示すように、リン酸系界面活性剤の含有量が10質量%よりも多い(15質量%、20質量%)である比較例9~10の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、すすぎ時における毛髪の指通りと、染毛処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)に乏しいことが分かる。
【0069】
また、表4に示すように、ラノリンまたはその誘導体の含有量が0.05質量%未満(0.01質量%)である比較例11の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、すすぎ時における毛髪の指通りと、染毛処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)に乏しいことが分かる。
【0070】
また、表4に示すように、ラノリンまたはその誘導体の含有量が8質量%よりも多い(10質量%、15質量%)である比較例12~13の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、染色力が乏しく、刺激臭を低減することができないことが分かる。
【0071】
また、表4に示すように、シリコーン化合物の含有量が1質量%よりも多い(2質量%、10質量%)比較例14~15の毛髪処理剤(第一剤)を使用した染毛剤は、シリコーン化合物が毛髪に過剰に吸着するため、染色力が乏しく、刺激臭を低減することができず、更にすすぎ時における毛髪の指通りと、染毛処理による仕上がり感(ツヤ、やわらかさ、すべり感)に乏しいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明は、染色処理や脱色処理等の毛髪の処理において使用する毛髪処理剤として、特に有用である。