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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056204
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165396
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】溝上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】林崎 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】奥 康夫
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353CC26
5E353EE40
5E353GG01
5E353HH01
5E353HH11
5E353HH23
5E353HH71
5E353JJ22
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】生産性の向上を図ることができる部品実装システムを提供する。
【解決手段】部品実装システム100は、キャリアテープ15に収納されている複数の部品Pを供給するテープフィーダ5と、テープフィーダ5による供給によって部品吸着位置に配置された部品Pを吸着して基板3に実装する部品実装装置Mと、キャリアテープの継目が部品吸着位置に到達する場合に、テープフィーダ5のモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えるモード切替部51aとを備え、テープフィーダ5は、モードがフィード許可モードである場合には、部品実装装置Mからのフィードコマンドに応じてフィードを実行することによって、部品Pを供給し、モードがフィード禁止モードである場合には、部品実装装置Mからのフィードコマンドに応じたフィードを禁止することによって、部品Pの供給を停止する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キャリアテープに収納されている複数の部品を供給するテープフィーダと、
前記テープフィーダによる供給によって部品吸着位置に配置された部品を吸着して基板に実装する部品実装装置と、
前記第1キャリアテープと第2キャリアテープとが継ぎ合わされた継目が前記部品吸着位置に到達する場合に、前記テープフィーダのモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えるモード切替部とを備え、
前記テープフィーダは、
前記モードが前記フィード許可モードである場合には、前記部品実装装置からのフィードコマンドに応じて、前記第1キャリアテープおよび前記第2キャリアテープのうちの少なくとも一方のフィードを実行することによって、部品を供給し、
前記モードが前記フィード禁止モードである場合には、前記部品実装装置からのフィードコマンドに応じた前記第1キャリアテープおよび前記第2キャリアテープのフィードを禁止することによって、部品の供給を停止する、
部品実装システム。
【請求項2】
前記部品実装システムは、さらに、
前記テープフィーダの前記モードが前記フィード許可モードであるか前記フィード禁止モードであるかを判定するモード判定部を備え、
前記テープフィーダは、
前記モード判定部による判定結果に基づいて、前記部品の供給を実行または停止する、
請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記モード切替部は、
前記継目が前記部品吸着位置に到達したときに、フラグの状態をオフからオンに切り替えることによって、前記テープフィーダの前記モードを前記フィード許可モードから前記フィード禁止モードに切り替え、
前記モード判定部は、
前記フラグの状態がオフの場合に、前記モードが前記フィード許可モードであると判定し、
前記フラグの状態がオンの場合に、前記モードが前記フィード禁止モードであると判定する、
請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記部品実装システムは、さらに、
前記モードが前記フィード禁止モードである場合に、記憶部に格納されているテープ管理データに示されている、現時点で実装に用いられているキャリアテープを、前記第1キャリアテープから前記第2キャリアテープに切り替えるデータ切替部を備える、
請求項3に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記部品実装システムは、さらに、
前記テープフィーダの前記モードを示すモード通知信号を、前記部品実装装置に送信する通信部を備える、
請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記部品実装システムは、さらに、
前記第1キャリアテープが上流側から下流側にフィードされる場合に、前記部品吸着位置よりも前記上流側にある検出位置に配置された前記継目を検出する継目検出部を備え、
前記モード切替部は、
前記継目が検出されてから前記テープフィーダによってフィードされた前記第1キャリアテープの長さに応じて、前記継目が前記部品吸着位置に到達したか否かを判定し、
前記継目が到達したと判定したときに、前記テープフィーダの前記モードを前記フィード許可モードから前記フィード禁止モードに切り替える、
請求項1~5の何れか1項に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記部品実装システムは、さらに、
前記部品吸着位置に配置された前記継目を検出する継目検出部を備え、
前記モード切替部は、
前記継目検出部によって前記継目が検出されたときに、前記テープフィーダの前記モードを前記フィード許可モードから前記フィード禁止モードに切り替える、
請求項1~5の何れか1項に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記データ切替部は、
前記モードとして前記フィード禁止モードを示す前記モード通知信号が前記部品実装装置に受信される場合に、前記テープ管理データに示されているキャリアテープを切り替える、
請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記モード切替部は、
前記テープ管理データに示されているキャリアテープの切り替えが前記データ切替部によって実行された後に、前記フラグの状態をオンからオフに切り替える、
請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記データ切替部は、
前記テープフィーダに対応する第1データ切替部と、前記部品実装装置に対応する第2データ切替部とを備え、
前記記憶部は、
前記テープフィーダに対応する第1記憶部と、前記部品実装装置に対応する第2記憶部とを備え、
前記第1データ切替部は、
前記モードが前記フィード禁止モードである場合に、前記第1記憶部に格納されている前記テープ管理データに示されているキャリアテープを切り替え、
前記第2データ切替部は、
前記モードとして前記フィード禁止モードを示す前記モード通知信号が前記部品実装装置に受信された場合に、前記第2記憶部に格納されている前記テープ管理データに示されているキャリアテープを切り替える、
請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項11】
部品実装システムに含まれるコンピュータによって実行される部品実装方法であって、
前記部品実装システムは、
第1キャリアテープに収納されている複数の部品を供給するテープフィーダと、
前記テープフィーダによる供給によって部品吸着位置に配置された部品を吸着して基板に実装する部品実装装置とを備え、
前記部品実装方法は、
前記第1キャリアテープと第2キャリアテープとが継ぎ合わされた継目が前記部品吸着位置に到達する場合に、前記テープフィーダのモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替える第1ステップと、
前記モードが前記フィード許可モードである場合には、前記テープフィーダが、前記部品実装装置からのフィードコマンドに応じて、前記第1キャリアテープおよび前記第2キャリアテープのうちの少なくとも一方のフィードを実行することによって、部品を供給する第2ステップと、
前記モードが前記フィード禁止モードである場合には、前記テープフィーダが、前記部品実装装置からのフィードコマンドに応じた前記第1キャリアテープおよび前記第2キャリアテープのフィードを禁止することによって、部品の供給を停止する第3ステップとを含む、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品を基板に実装する部品実装システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置のヘッドは、テープフィーダから供給される部品を吸着して基板まで移動し、その基板に部品を実装する。テープフィーダは、リールに巻回されているキャリアテープをそのリールから引き出し、そのキャリアテープに収納されている部品を部品実装装置に供給する。具体的には、テープフィーダは、キャリアテープのピッチ送りを繰り返すことによって、複数の部品を部品実装装置に供給する。
【0003】
ここで、キャリアテープがテープフィーダによって引き出されて、キャリアテープに収納されている部品の数が少なくなると、そのキャリアテープの後端には、新たなキャリアテープの先端が継ぎ合わされる。つまり、キャリアテープのスプライシングが行われる。このスプライシングは、テープスプライシングとも呼ばれる。
【0004】
キャリアテープのスプライシングが行われると、キャリアテープの乗り移りが生じる。その乗り移りでは、吸着によって部品が取り出されるキャリアテープが、既存のキャリアテープから新しいキャリアテープに切り替わる。このキャリアテープの乗り移りが生じると、その乗り移りをトレース情報に反映させる必要がある。トレース情報は、例えば、基板上における各実装点と、その実装点に実装された部品、またはその部品が取り出されたキャリアテープとの対応付けを示す情報である。
【0005】
特許文献1の電子部品実装装置は、そのトレース情報を部品使用履歴データとして保持し、キャリアテープの乗り移りが生じると、テープ切替履歴情報を部品使用履歴データに反映させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4458015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の電子部品実装装置では、生産性の向上を図ることが難しいという課題がある。
【0008】
そこで、本開示は、生産性の向上を図ることができる部品実装システムなどを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る部品実装システムは、第1キャリアテープに収納されている複数の部品を供給するテープフィーダと、前記テープフィーダによる供給によって部品吸着位置に配置された部品を吸着して基板に実装する部品実装装置と、前記第1キャリアテープと第2キャリアテープとが継ぎ合わされた継目が前記部品吸着位置に到達する場合に、前記テープフィーダのモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えるモード切替部とを備え、前記テープフィーダは、前記モードが前記フィード許可モードである場合には、前記部品実装装置からのフィードコマンドに応じて、前記第1キャリアテープおよび前記第2キャリアテープのうちの少なくとも一方のフィードを実行することによって、部品を供給し、前記モードが前記フィード禁止モードである場合には、前記部品実装装置からのフィードコマンドに応じた前記第1キャリアテープおよび前記第2キャリアテープのフィードを禁止することによって、部品の供給を停止する。
【0010】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)などの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の部品実装システムは、生産性の向上を図ることができる。
【0012】
なお、本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施の形態における部品実装システムの平面図である。
図2図2は、図1におけるII-II断面の一例を部分的に示す図である。
図3図3は、実施の形態におけるテープフィーダを説明するための図である。
図4図4は、実施の形態におけるテープスプライシングの一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態におけるテープフィーダの下流部分の拡大図である。
図6図6は、実施の形態におけるデータ切替のタイミングを説明するための図である。
図7図7は、実施の形態におけるテープフィーダおよび部品実装装置のそれぞれの機能構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、実施の形態におけるヘッドによる部品の吸着を説明するための図である。
図9図9は、実施の形態におけるテープフィーダのモードとフィードとの関係の一例を示す図である。
図10図10は、実施の形態におけるテープフィーダおよび部品実装装置の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図11図11は、実施の形態におけるテープフィーダの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施の形態における部品実装装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施の形態の変形例におけるテープフィーダの第1モードフラグおよび第2モードフラグとフィードとの関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1の電子部品実装装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0015】
特許文献1の電子部品実装装置は、1つの部品を基板に実装するごとに、キャリアテープの継目が検出されたか否かを判定する。そして、電子部品実装装置は、継目が検出された場合に、キャリアテープの乗り移りを示すテープ切替履歴情報を作成して部品使用履歴データに反映する。
【0016】
したがって、特許文献1の電子部品実装装置では、ヘッドが1つのテープフィーダから供給される複数の部品を連続して吸着して共に保持し、そのヘッドが移動してそれらの部品を基板に実装する作業が考慮されていない。したがって、特許文献1の電子部品実装装置では、複数の部品の吸着スピードを優先させることができず、生産性の向上を図ることが難しい。
【0017】
このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る部品実装システムは、第1キャリアテープに収納されている複数の部品を供給するテープフィーダと、前記テープフィーダによる供給によって部品吸着位置に配置された部品を吸着して基板に実装する部品実装装置と、前記第1キャリアテープと第2キャリアテープとが継ぎ合わされた継目が前記部品吸着位置に到達する場合に、前記テープフィーダのモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えるモード切替部とを備え、前記テープフィーダは、前記モードが前記フィード許可モードである場合には、前記部品実装装置からのフィードコマンドに応じて、前記第1キャリアテープおよび前記第2キャリアテープのうちの少なくとも一方のフィードを実行することによって、部品を供給し、前記モードが前記フィード禁止モードである場合には、前記部品実装装置からのフィードコマンドに応じた前記第1キャリアテープおよび前記第2キャリアテープのフィードを禁止することによって、部品の供給を停止する。例えば、前記部品実装システムは、さらに、前記テープフィーダの前記モードが前記フィード許可モードであるか前記フィード禁止モードであるかを判定するモード判定部を備え、前記テープフィーダは、前記モード判定部による判定結果に基づいて、前記部品の供給を実行または停止してもよい。
【0018】
これにより、継目が部品吸着位置に到達する場合には、テープフィーダのモードはフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えられる。したがって、部品実装装置が、複数の部品を連続して吸着して共に保持するために、フィードコマンドを複数回送信しても、継目が部品吸着位置に到達すると、フィードが禁止されるため、部品実装装置は、第2キャリアテープの部品を吸着することができない。その結果、部品実装装置が複数の部品を連続して吸着しようとする動作である部品吸着が行われる間に、キャリアテープの乗り移りが生じることを抑えることができる。なお、キャリアテープの乗り移りは、部品実装装置による部品の実装に用いられているキャリアテープ、すなわち、吸着によって部品が取り出されるキャリアテープが、第1キャリアテープから第2キャリアテープに移る事象である。したがって、部品実装装置は、1以上の部品が連続して吸着されている間は、そのキャリアテープの乗り移りを監視または管理する必要がなく、それらの部品の吸着スピードを速めることができる。その結果、複数の部品の基板への実装によって生産される実装基板の生産性を向上することができる。
【0019】
また、前記モード切替部は、前記継目が前記部品吸着位置に到達したときに、フラグの状態をオフからオンに切り替えることによって、前記テープフィーダの前記モードを前記フィード許可モードから前記フィード禁止モードに切り替え、前記モード判定部は、前記フラグの状態がオフの場合に、前記モードが前記フィード許可モードであると判定し、前記フラグの状態がオンの場合に、前記モードが前記フィード禁止モードであると判定してもよい。
【0020】
これにより、テープフィーダのモードがフラグによって管理されるため、モードの切り替えと、そのモードの判定とを、簡単な構成で、かつ適切に行うことができる。
【0021】
また、前記部品実装システムは、さらに、前記モードが前記フィード禁止モードである場合に、記憶部に格納されているテープ管理データに示されている、現時点で実装に用いられているキャリアテープを、前記第1キャリアテープから前記第2キャリアテープに切り替えるデータ切替部を備えてもよい。
【0022】
これにより、継目が部品吸着位置に到達すると、テープフィーダのモードがフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えられ、そのモードがフィード禁止モードである場合に、テープ管理データに示されているキャリアテープが切り替えられる。つまり、第1キャリアテープに収納されている全ての部品が部品実装装置によって取り出された場合、言い換えれば、部品実装装置が第1キャリアテープの部品を全て使い切った場合に、テープ管理データに示されているキャリアテープが切り替えられる。つまり、データ切替が実行される。したがって、このテープ管理データに示されているキャリアテープを、現時点で実装に用いられているキャリアテープに適切に同期させることができる。その結果、このテープ管理データを用いれば、基板上の各実装点と、その実装点に実装された部品、またはその部品が取り出されたキャリアテープとを関連付けて示すトレース情報を、適切に生成することができる。つまり、正確なトレーサビリティを確保することができる。
【0023】
また、前記部品実装システムは、さらに、前記テープフィーダの前記モードを示すモード通知信号を、前記部品実装装置に送信する通信部を備えてもよい。
【0024】
これにより、部品実装装置は、テープフィーダからモード通知信号を受信することによって、テープフィーダのモードを判定することができる。したがって、テープフィーダのモードがフィード禁止モードである場合に、部品実装装置がデータ切替を行うことができる。
【0025】
また、前記部品実装システムは、さらに、前記第1キャリアテープが上流側から下流側にフィードされる場合に、前記部品吸着位置よりも前記上流側にある検出位置に配置された前記継目を検出する継目検出部を備え、前記モード切替部は、前記継目が検出されてから前記テープフィーダによってフィードされた前記第1キャリアテープの長さに応じて、前記継目が前記部品吸着位置に到達したか否かを判定し、前記継目が到達したと判定したときに、前記テープフィーダの前記モードを前記フィード許可モードから前記フィード禁止モードに切り替えてもよい。
【0026】
これにより、部品吸着位置で継目を直接的に検出する必要がなく、部品吸着位置よりも上流側にある任意の検出位置で継目が検出されればよいため、テープフィーダの構成の自由度を高めることができる。
【0027】
また、前記部品実装システムは、さらに、前記部品吸着位置に配置された前記継目を検出する継目検出部を備え、前記モード切替部は、前記継目検出部によって前記継目が検出されたときに、前記テープフィーダの前記モードを前記フィード許可モードから前記フィード禁止モードに切り替えてもよい。
【0028】
これにより、部品吸着位置で継目が検出されるため、継目が部品吸着位置に到達したか否かを正確に判定することができる。
【0029】
また、前記データ切替部は、前記モードとして前記フィード禁止モードを示す前記モード通知信号が前記部品実装装置に受信される場合に、前記テープ管理データに示されているキャリアテープを切り替えてもよい。
【0030】
これにより、部品実装装置が、適切なタイミングでデータ切替を行うことができる。
【0031】
また、前記モード切替部は、前記テープ管理データに示されているキャリアテープの切り替えが前記データ切替部によって実行された後に、前記フラグの状態をオンからオフに切り替えてもよい。
【0032】
これにより、テープフィーダのモードがフィード禁止モードからフィード許可モードに切り替えられるため、部品実装装置は、次の部品吸着では、第2キャリアテープから複数の部品を連続して吸着することができる。
【0033】
また、前記データ切替部は、前記テープフィーダに対応する第1データ切替部と、前記部品実装装置に対応する第2データ切替部とを備え、前記記憶部は、前記テープフィーダに対応する第1記憶部と、前記部品実装装置に対応する第2記憶部とを備え、前記第1データ切替部は、前記モードが前記フィード禁止モードである場合に、前記第1記憶部に格納されている前記テープ管理データに示されているキャリアテープを切り替え、前記第2データ切替部は、前記モードとして前記フィード禁止モードを示す前記モード通知信号が前記部品実装装置に受信された場合に、前記第2記憶部に格納されている前記テープ管理データに示されているキャリアテープを切り替えてでもよい。
【0034】
これにより、テープフィーダおよび部品実装装置のそれぞれでデータ切替を適切に行うことができる。
【0035】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0036】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0037】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0038】
(実施の形態)
[部品実装システム]
図1は、本実施の形態における部品実装システムの平面図である。つまり、図1は、部品実装システムの内部構成を上方から見た状態を示す。なお、本開示において、鉛直方向をZ軸方向または上下方向と称し、鉛直方向に対して垂直な面における一方向をY軸方向または奥行き方向と称し、その垂直な面においてY軸方向と垂直な方向をX軸方向、左右方向または横方向と称す。また、本開示において、Z軸方向の正側は、上向きまたは上であり、Z軸方向の負側は、下向きまたは下である。また、本開示において、Y軸方向の正側は、奥側または奥であり、Y軸方向の負側は、手前側または手前である。また、本開示において、X軸方向の正側は、右側または右であり、X軸方向の負側は左側または左である。
【0039】
本実施の形態における部品実装システム100は、部品実装装置Mと、2つの部品供給部4とを備える。部品実装装置Mは、基台1と、基板搬送機構2と、Y軸テーブル6Aおよび6Bと、X軸テーブル7Aおよび7Bと、2つのヘッド64と、2つの基板認識カメラ9と、2つの部品認識カメラ10と、2つのノズル保持部11とを備える。
【0040】
基台1は、基板搬送機構2と、Y軸テーブル6Aおよび6Bと、X軸テーブル7Aおよび7Bと、2つの部品認識カメラ10と、2つのノズル保持部11とを配設するための台である。
【0041】
基板搬送機構2は、X軸方向に沿う2つのレールを備え、基台1のY軸方向中央に配設される。基板搬送機構2は、上流側(例えばX軸方向負側)から搬入された基板3を搬送し、部品実装作業を実行するための位置である実装ステージにその基板3を位置決めして保持する。
【0042】
2つの部品供給部4は、基板搬送機構2をY軸方向に挟むように配置されている。部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX軸方向に沿って並列に配置されている。テープフィーダ5は、単にフィーダとも呼ばれ、部品を供給する。具体的には、テープフィーダ5は、部品を収納したキャリアテープをテープ送り方向にピッチ送りすることによってその部品を供給する。
【0043】
Y軸テーブル6Aおよび6Bは、基台1上面におけるX軸方向の両端側(図1に示す例では左端および右端)に、Y軸方向に沿うように配設されている。
【0044】
X軸テーブル7Aおよび7Bは、X軸方向に沿った状態で、Y軸方向に移動自在にY軸テーブル6Aおよび6Bに架設されている。例えば、X軸テーブル7Aは、Y軸テーブル6Aの駆動機構による駆動によって、Y軸方向に水平移動し、X軸テーブル7Bは、Y軸テーブル6Bの駆動機構による駆動によって、Y軸方向に水平移動する。
【0045】
ヘッド64は、X軸テーブル7Aおよび7Bのそれぞれに、X軸方向に移動自在に装着されている。したがって、ヘッド64は、Y軸テーブル6Aおよび6Bと、X軸テーブル7Aおよび7Bとによって、X軸方向およびY軸方向に移動する。ヘッド64には、部品を吸着して保持し昇降可能な複数のノズルが着脱自在に装着されている。ヘッド64は、X軸方向およびY軸方向に移動することによって、部品供給部4から供給される部品をノズルによって吸着し、基板搬送機構2によって位置決めされている基板3の実装点にその部品を実装する。
【0046】
2つの基板認識カメラ9のそれぞれは、その基板認識カメラ9に対応するヘッド64に取り付けられている。基板認識カメラ9は、基板搬送機構2によって位置決めされている基板3上にヘッド64と共に移動し、その基板3の位置および種別などを認識するために、その基板3を撮像する。
【0047】
2つの部品認識カメラ10は、基板搬送機構2をY軸方向に挟むように基台1上に配設されている。2つの部品認識カメラ10のそれぞれは、その部品認識カメラ10に対応するヘッド64が部品を吸着した状態でその部品認識カメラ10上を移動するときに、その部品をZ軸方向負側から撮像する。この撮像によって得られた画像に対して認識処理が行われることによって、ヘッド64に吸着保持されている部品の位置および種類が識別される。
【0048】
2つのノズル保持部11は、2つの部品認識カメラ10と同様、基板搬送機構2をY軸方向に挟むように基台1上に配設されている。これらのノズル保持部11は、ノズルチェンジャとも呼ばれ、そのノズル保持部11には少なくとも1つのノズルが載置されている。これらのノズル保持部11に載置されている少なくとも1つのノズルは、ヘッド64に装着されているノズルとの交換に用いられる。
【0049】
図2は、図1におけるII-II断面の一例を部分的に示す図である。
【0050】
部品供給部4は、図2に示すように、フィーダベース4aと、そのフィーダベース4aに装着された複数のテープフィーダ5と、フィーダベース4aを支持する台車12とを備える。
【0051】
台車12は、基台1に対して着脱自在に構成されている。また、台車12は、キャリアテープ15を巻回状態で収納したテープリール14を保持するための複数のリール保持部13を備えている。リール保持部13は、テープリール14を回転自在に保持するための保持ローラを備えている。そして、リール保持部13によって保持されるテープリール14から引き出されたキャリアテープ15は、テープフィーダ5に装着される。その結果、テープフィーダ5によってキャリアテープ15のピッチ送りが行われると、テープリール14が回転しながら、そのテープリール14からキャリアテープ15が順次引き出される。なお、本実施の形態では、テープフィーダ5がキャリアテープ15をテープリール14から引き出して下流側(例えばY軸方向正側)に送る動作は、テープ送りとも呼ばれる。また、予め定められた長さだけキャリアテープが下流側に送られるテープ送りは、ピッチ送りとも呼ばれる。また、ピッチ送りは、フィードとも呼ばれる。
【0052】
また、X軸テーブル7Aまたは7Bに装着されているヘッド64には、図2に示すように、複数のノズル64aが取り付けられている。それらのノズル64aは、テープフィーダ5から供給される部品を吸着する。そして、ヘッド64は、それらのノズル64aが部品を吸着保持した状態で、基板3上に移動し、ノズル64aを下降させることによって、ノズル64aに吸着保持されている部品を基板3に実装する。なお、部品は、基板3に実装される電子部品であればどのような部品であってもよい。
【0053】
図3は、テープフィーダ5を説明するための図である。具体的には、図3は、テープフィーダ5、フィーダベース4aおよびノズル64aをX軸方向正側から見た状態を示す。
【0054】
テープフィーダ5は、図3に示すように、フレーム部材5a、テープ回収部5c、上ガイド部18、回転駆動機構20、およびスプロケット21を備える。フレーム部材5aは、フィーダベース4aに装着される。また、そのフレーム部材5aには、キャリアテープ15が走行するテープ走行路5bが設けられている。テープリール14から引き出されたキャリアテープ15は、フレーム部材5aの後尾(例えばY軸方向負側の端)から導入され、テープ走行路5bの上面に添って下流側(例えばY軸方向正側)に送られる。
【0055】
また、キャリアテープ15は、ベーステープ16と、ベーステープ16の上面に貼り付けられるトップテープ17とを有する。ベーステープ16には、複数の部品ポケット16aが互いに一定のピッチだけ離れて形成されている。これらの部品ポケット16aには、部品Pが収納されている。部品Pは、例えばチップ形電子部品である。このような部品ポケット16aの上面は、トップテープ17によって覆われている。
【0056】
回転駆動機構20は、スプロケット21を駆動する。スプロケット21は、フレーム部材5aの下流端の上部に配設されている。スプロケット21は、回転駆動機構20による駆動によって回転し、キャリアテープ15を下流側へ送る。
【0057】
上ガイド部18は、フレーム部材5aの下流部分の上面において、キャリアテープ15の上方を覆って、そのキャリアテープ15のテープ送りをガイドする。上ガイド部18には、吸着開口部18aが設けられている。この吸着開口部18aは、ノズル64aによって部品Pが吸着される位置、すなわち部品吸着位置に設けられている。
【0058】
キャリアテープ15が上ガイド部18の下方を走行する過程において、トップテープ17は、上ガイド部18の剥離部によって剥離され、上流側(例えばY軸方向負側)へ折り返される。トップテープ17が剥離されることによって、キャリアテープ15の部品ポケット16aが、上ガイド部18の吸着開口部18aから露出する。ノズル64aは、その部品ポケット16aから部品Pを吸着する。テープ回収部5cは、その折り返されたトップテープ17を回収するためのボックスである。
【0059】
ここで、例えば、キャリアテープ15をテープ送りしながら部品Pを連続的に供給する部品供給動作において、テープリール14に巻回されたキャリアテープ15が消費される。このとき、テープスプライシングが行われる。つまり、テープフィーダ5に既に装着されているキャリアテープ15の末尾部に、新たに装着されるキャリアテープ15Aの先頭部が、継目部Jを介して継ぎ合わされる。
【0060】
図4は、テープスプライシングの一例を示す図である。
【0061】
図4の(a)に示すように、テープスプライシングでは、テープフィーダ5に既に装着されているキャリアテープ15の末尾部と、新たに装着されるキャリアテープ15Aの先頭部とが、突合せ線Eを介して継ぎ合わされる。なお、突合せ線Eは、継目とも呼ばれる。
【0062】
なお、図4の(a)および(b)に示すように、ベーステープ16には、上述の複数の部品ポケット16aがベーステープ16の長手方向に沿って配列された状態で形成されている。さらに、ベーステープ16の短手方向の一端側には、キャリアテープ15または15Aをスプロケット21によってテープ送りするための複数の送り孔16bが、ベーステープ16の長手方向に沿って配列された状態で形成されている。上述のトップテープ17は、ベーステープ16の複数の送り孔16bを塞ぐことなく、複数の部品ポケット16aの開口を塞ぐようにベーステープ16に貼り付けられている。
【0063】
テープスプライシングは、専用治具を用いて行われ、突合せ線Eを挟んだ2つの部品ポケット16a間のピッチpaが、ベーステープ16における既定のピッチpbに等しくなるように、2つのキャリアテープ15および15Aの位置合わせが行われる。そして、キャリアテープ15の末尾部と、キャリアテープ15Aの先頭部とには、突合せ線Eを跨ぐように、2枚のスプライステープ28と2枚のスプライステープ29とが張り付けられる。2枚のスプライステープ28は、ベーステープ16の部品ポケット16aに対応する位置に、キャリアテープ15の末尾部およびキャリアテープ15Aの先頭部を上下方向から挟み込むように貼り付けられる。2枚のスプライステープ29は、ベーステープ16の送り孔16bに対応する位置に、キャリアテープ15の末尾部およびキャリアテープ15Aの先頭部を上下方向から挟み込むように貼り付けられる。また、スプライステープ29には、スプロケット21によるテープ送りに支障がないように、スプライステープ29の長手方向に沿うスリット29aが設けられている。なお、図4の(a)では、ベーステープ16からトップテープ17を剥離した状態を示しているが、テープスプライシングにおいては、スプライステープ28はトップテープ17の上側から貼り付けられる。これにより、図4の(b)に示すように、キャリアテープ15とキャリアテープ15Aとは、継目部Jによって継ぎ合わされて1つの連続したキャリアテープとなる。
【0064】
なお、図4の(a)では、すべての部品ポケット16aに部品Pが収納されているが、キャリアテープ15の末尾部およびキャリアテープ15Aの先頭部のそれぞれにある部品ポケット16aには、部品Pが収納されていなくてもよい。
【0065】
図5は、テープフィーダ5の下流部分の拡大図である。具体的には、図5の(a)は、テープフィーダ5の下流部分をZ軸方向正側から見た状態を示し、図5の(b)は、テープフィーダ5の下流部分をX軸方向正側から見た状態を示す。
【0066】
図5の(a)に示すように、上ガイド部18は、吸着開口部18aの上流側(例えばY軸方向負側)に形成された第1開口部18bと、吸着開口部18aの下流側(例えばY軸方向正側)に形成された第2開口部18cとを有する。なお、吸着開口部18aからは、部品ポケット16aが露呈されている。
【0067】
また、図5の(b)に示すように、スプロケット21には複数の送りピン21aが設けられている。これらの送りピン21aは、吸着開口部18aの下流側において、キャリアテープ15における送り孔16bの周囲に係合する。このように送りピン21aが送り孔16bの周囲に係合し、スプロケット21が回転することによって、キャリアテープ15は下流側にテープ送りされる。例えば、テープ送りは、1回以上のピッチ送りの繰り返しで行われ、そのピッチ送りでは、ベーステープ16における互いに隣り合う部品ポケット16aの間のピッチ(すなわちピッチpb)だけキャリアテープ15が下流側に送られる。
【0068】
ここで、スプロケット21の送りピン21aが、スプライステープ29で覆われた送り孔16bに下方から嵌合する際には、その送りピン21aは、スプライステープ29のスリット29aを介して上方に突出する。これにより、キャリアテープ15および15Aは、スプロケット21から浮くことなく、テープ送りされる。また、上ガイド部18には、上述の第2開口部18cが形成されている。したがって、送り孔16bおよびスプライステープ29のスリット29aから上側に突出した送りピン21aは、上ガイド部18と干渉することなく、その第2開口部18cから露出する。
【0069】
また、テープフィーダ5は、図5の(b)に示すように、センサ54と、継目検出部53とを備える。第1開口部18bは、キャリアテープ15および15Aの継目部Jを検出するために用いられる。センサ54は、反射型の光学センサであって、フレーム部材5aにおける第1開口部18bに対応する位置に、下方から挿入されている。センサ54は、光を出射して反射光を検出し、その検出結果に基づく検出信号を継目検出部53に出力する。継目検出部53は、センサ54の検出信号に基づいて継目部Jを検出する。
【0070】
すなわち、キャリアテープ15の継目部Jでない部分がセンサ54の上方を通過する場合に、送り孔16bがセンサ54と第1開口部18bとの間に配置されると、センサ54から上方に向けて出射された光は、送り孔16bと第1開口部18bを透過する。したがって、このタイミングでは、センサ54は、反射光を検出しないため、送り孔16bが検出されたことを示す検出信号を継目検出部53に出力する。そして、継目検出部53は、送り孔16bが検出されたことを示す検出信号を、複数の送り孔16bのピッチに対応する周期で受信すると、センサ54の上方に継目部Jがないと判断する。
【0071】
一方、図5の(b)に示すように、キャリアテープ15の継目部Jがセンサ54の上方を通過する場合には、継目部Jのスプライステープ29がセンサ54の上方に配置される。したがって、スプライステープ29がセンサ54と第1開口部18bとの間に位置したタイミングでセンサ54から上方に向けて出射された光は、送り孔16bおよび第1開口部18bを透過することなく、スプライステープ29によって反射される。その結果、このタイミングでは、センサ54は、反射光を検出するため、送り孔16bが検出されたことを示す検出信号を継目検出部53に出力しない。継目検出部53は、送り孔16bが検出されたことを示す検出信号を、所定時間継続して受信しない場合に、センサ54の上方に継目部Jが存在すると判断する。つまり、継目検出部53は、継目部Jを検出する。また、継目検出部53は、その検出信号を受信していない状態が開始されたタイミングから、テープ送りされたキャリアテープ15の長さなどに基づいて、継目(すなわち突合せ線E)を検出してもよい。
【0072】
このように本実施の形態における継目検出部53は、キャリアテープ15が上流側から下流側にフィードされる場合に、部品吸着位置にある吸着開口部18aよりも上流側にある検出位置に配置された継目を検出する。なお、本実施の形態における検出位置は、図5における第1開口部18bの位置である。
【0073】
[データ切替のタイミング]
図6は、本実施の形態におけるデータ切替のタイミングを説明するための図である。
【0074】
部品実装装置Mは、部品吸着、部品認識、および部品実装を含む処理動作を繰り返し実行する。このような部品吸着、部品認識、および部品実装を含む一連の処理動作は、ターンとも呼ばれる。部品吸着では、部品実装装置Mのヘッド64は、テープフィーダ5から供給される1つ以上の部品Pを連続して吸着して共に保持する。部品認識では、ヘッド64は、テープフィーダ5から基板3への移動中に、部品認識カメラ10の上方を通過する。このとき、部品認識カメラ10は、そのヘッド64の1つ以上のノズル64aのそれぞれに吸着されている部品Pを撮像する。このような部品Pの撮像結果に基づいて、その部品Pが認識される。部品実装では、ヘッド64は、基板3の上方まで移動し、1つ以上のノズル64aのそれぞれに吸着されている部品Pを、その基板3に実装する。言い換えれば、1ターンは、部品実装装置Mのヘッド64がテープフィーダ5と基板3との間を移動しながら、1つ以上の部品Pの吸着、認識および実装を含む処理動作を繰り返し行う場合における、1回分のその処理動作である。
【0075】
ここで、各ターンにおいてヘッド64によってテープフィーダ5から連続して吸着される部品Pの個数は、例えば生産データなどによって規定数として予め定められている。しかし、本実施の形態では、1ターンにおいてヘッド64に吸着される部品Pの個数である吸着数は、規定数未満に制限される場合がある。つまり、本実施の形態では、継目検出部53によって検出された継目が部品吸着位置に到達したときには、そのターンにおける吸着数が、規定数未満に制限される場合がある。
【0076】
さらに、そのターンでは、部品実装装置Mおよびテープフィーダ5のそれぞれは、部品吸着後の部品認識および部品実装が行われるときに、データ切替を実行する。データ切替は、テープフィーダ5の第1メモリ56bおよび部品実装装置Mの第2メモリ62のそれぞれに格納されているテープ管理データに示されているキャリアテープの識別情報を切り替える処理である。具体的には、データ切替では、既存のキャリアテープの識別情報が、新たなキャリアテープの識別情報に書き換えられる。
【0077】
このように、本実施の形態における部品実装装置Mおよびテープフィーダ5は、部品実装装置Mによる1つ以上の部品Pの認識および実装が行われている間に、テープ管理データに示されているキャリアテープを切り替える。つまり、テープ管理データに示されているキャリアテープの切り替えであるデータ切替と、部品認識および部品実装とが、並列に実行される。したがって、例えば、データ切替、部品認識、部品実装の順に各処理が実行される場合と比べて、1ターンにかかる時間を短縮することができ、複数の部品Pの基板3への実装によって生産される実装基板の生産性の向上を図ることができる。
【0078】
[機能構成]
図7は、テープフィーダ5および部品実装装置Mのそれぞれの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0079】
テープフィーダ5は、上述のように、キャリアテープ15および15Aのそれぞれに収納されている複数の部品Pを供給する。なお、キャリアテープ15は、本実施の形態における第1キャリアテープの一例であり、キャリアテープ15Aは、本実施の形態における第2キャリアテープの一例である。このようなテープフィーダ5は、モード切替部51a、第1モード判定部51b、第1データ切替部52、継目検出部53、センサ54、第1制御部55、フラグ記憶部56a、第1メモリ56b、第1通信部57、およびフィード機構部58を備える。第1制御部55は、テープフィーダ5に含まれる第1制御部55を除く上述の各構成要素を制御する。また、上述のように、センサ54は、反射型の光学センサである。また、継目検出部53は、センサ54からの検出信号に基づいて、キャリアテープ15とキャリアテープ15Aとの継目を上述の検出位置で検出する。
【0080】
モード切替部51aは、テープフィーダ5のモード、すなわちフィード機構部58のモードを、フィード禁止モードとフィード許可モードとに切り替える。具体的には、モード切替部51aは、キャリアテープ15とキャリアテープ15Aとが継ぎ合わされた継目が部品吸着位置に到達する場合に、テープフィーダ5のモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替える。なお、部品吸着位置は、上ガイド部18の吸着開口部18aの位置である。より具体的には、モード切替部51aは、フラグ記憶部56aに格納されているモードフラグの状態をオンとオフとに切り替えることによって、そのモードを切り替える。つまり、モード切替部51aは、継目が部品吸着位置に到達したときに、モードフラグの状態をオフからオンに切り替えることによって、テープフィーダ5のモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替える。より具体的には、モード切替部51aは、継目検出部53によって継目が検出されてからフィード機構部58によってフィードされたキャリアテープ15の長さに応じて、継目が部品吸着位置に到達したか否かを判定する。そして、モード切替部51aは、その継目が到達したと判定したときに、テープフィーダ5のモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替える。
【0081】
なお、モードフラグは、例えば0または1をそのモードフラグの状態として示す。モードフラグが0を示す場合には、そのモードフラグの状態はオフであり、モードフラグが1を示す場合には、そのモードフラグの状態はオンである。以下、説明を簡略化するために、モードフラグの状態は、単に、モードフラグとも呼ばれる。
【0082】
フラグ記憶部56aは、上述のモードフラグを格納している記録媒体である。なお、フラグ記憶部56aは、例えば、ハードディスクドライブ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、または半導体メモリなどである。また、フラグ記憶部56aは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0083】
フィード機構部58は、上述の回転駆動機構20およびスプロケット21を含み、第1制御部55による制御に応じて、キャリアテープ15および15Aのテープ送りを行う。フィード機構部58は、上述のモードがフィード許可モードである場合には、部品実装装置Mからのフィードコマンドに応じて、キャリアテープ15およびキャリアテープ15Aのうちの少なくとも一方のフィードを実行することによって、部品Pを供給する。一方、フィード機構部58は、上述のモードがフィード禁止モードである場合には、部品実装装置Mからのフィードコマンドに応じたキャリアテープ15およびキャリアテープのフィードを禁止することによって、部品Pの供給を停止する。
【0084】
第1モード判定部51bは、上述のモードを判定する。つまり、第1モード判定部51bは、テープフィーダ5のモードがフィード許可モードであるかフィード禁止モードであるかを判定する。具体的には、第1モード判定部51bは、フラグ記憶部56aに格納されているフラグモードがオンであるかオフであるかを判定することによって、上述のモードを判定する。つまり、第1モード判定部51bは、モードフラグの状態がオフの場合に、モードがフィード許可モードであると判定し、モードフラグの状態がオンの場合に、モードがフィード禁止モードであると判定する。上述のフィード機構部58は、第1モード判定部51bによる判定結果に基づいて、部品Pの供給を実行または停止する。
【0085】
第1通信部57は、部品実装装置Mと通信する。例えば、第1通信部57は、テープフィーダ5のモードを示すモード通知信号を、部品実装装置Mに送信する。この第1通信部57による通信は、無線または有線を介して行われてもよい。また、無線通信は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、または特定小電力無線で行われてもよい。
【0086】
第1メモリ56bは、テープフィーダ5に対応する第1記憶部の一例であって、上述のテープ管理データを格納している記録媒体である。テープ管理データは、フィード機構部58によって部品吸着位置へ現在供給されている部品Pを有する既存のキャリアテープの識別情報を示す。また、テープスプライシングが行われた場合には、テープ管理データは、既存のキャリアテープの識別情報だけでなく、そのキャリアテープに継ぎ合わされた新たなキャリアテープの識別情報も示す。具体的には、既存のキャリアテープの識別情報は、キャリアテープ15の識別情報であり、新たなキャリアテープの識別情報は、キャリアテープ15Aの識別情報である。なお、第1メモリ56bは、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、第1メモリ56bは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0087】
第1データ切替部52は、テープフィーダ5に対応する構成要素であって、上述のモードがフィード禁止モードである場合に、上述のデータ切替を実行する。このデータ切替では、第1データ切替部52は、第1メモリ56bのテープ管理データに示されているキャリアテープの識別情報を切り替える。つまり、第1データ切替部52は、既存のキャリアテープの識別情報として示されているキャリアテープ15の識別情報を、キャリアテープ15Aの識別情報に書き換え、そのキャリアテープ15の識別情報を削除する。言い換えれば、第1データ切替部52は、上述のモードがフィード禁止モードである場合に、第1メモリ56bに格納されているテープ管理データに示されている、現時点で実装に用いられているキャリアテープを、キャリアテープ15からキャリアテープ15Aに切り替える。
【0088】
部品実装装置Mは、上述のように、テープフィーダ5による供給によって部品吸着位置に配置された部品Pを吸着して基板3に実装する。このような部品実装装置Mは、第2制御部61、第2メモリ62、第2通信部63、ヘッド64、第2モード判定部66、および第2データ切替部67を備える。第2制御部61は、部品実装装置Mに含まれる第2制御部61を除く上述の各構成要素を制御する。
【0089】
第2メモリ62は、部品実装装置Mに対応する第2記憶部の一例であって、第1メモリ56bと同様、上述のテープ管理データを格納している記録媒体である。なお、第2メモリ62は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、第2メモリ62は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。また、テープフィーダ5の第1メモリ56bおよび部品実装装置Mの第2メモリ62のそれぞれに格納されているテープ管理データは、トレース情報に反映される。トレース情報は、例えば、基板3上における各実装点と、その実装点に実装された部品P、またはその部品Pが取り出されたキャリアテープとの対応付けを示す情報である。
【0090】
第2通信部63は、テープフィーダ5の第1通信部57と通信する。例えば、第2通信部63は、テープフィーダ5のモードを示すモード通知信号を第1通信部57から受信する。
【0091】
第2モード判定部66は、テープフィーダ5の第1通信部57から部品実装装置Mの第2通信部63に送信されたモード通知信号に基づいて、テープフィーダ5のモードを判定する。つまり、第2モード判定部66は、第1モード判定部51bと同様、テープフィーダ5のモードがフィード許可モードであるかフィード禁止モードであるかを判定する。
【0092】
ヘッド64は、テープフィーダ5によって供給される1以上の部品Pを連続して吸着して共に保持し、それらの部品Pを基板3に実装する。
【0093】
第2データ切替部67は、部品実装装置Mに対応する構成要素であって、第1データ切替部52と同様、データ切替を実行する。具体的には、第2データ切替部67は、上述のモードとしてフィード禁止モードを示すモード通知信号が部品実装装置Mの第2通信部63に受信された場合に、第2メモリ62に格納されているテープ管理データに示されているキャリアテープを切り替える。このようなデータ切替では、第2データ切替部67は、テープ管理データに示されている、現時点で実装に用いられているキャリアテープを、キャリアテープ15からキャリアテープ15Aに切り替える。つまり、第2データ切替部67は、既存のキャリアテープの識別情報として示されているキャリアテープ15の識別情報を、キャリアテープ15Aの識別情報に書き換え、そのキャリアテープ15の識別情報を削除する。
【0094】
[処理動作]
図8は、ヘッド64による部品Pの吸着を説明するための図である。
【0095】
部品実装装置Mの第2制御部61は、1ターンでヘッド64に吸着させる部品Pの個数だけ、すなわち上述の規定数だけ、キャリアテープ15のフィードを指示するフィードコマンドを、第2通信部63からテープフィーダ5に送信させる。例えば、図8の(a)に示すように、テープフィーダ5のモードがフィード許可モードであるときには、テープフィーダ5は、部品実装装置Mの第2通信部63から送信されるフィードコマンドに応じて、キャリアテープ15のフィードを実行する。つまり、テープフィーダ5の第1制御部55は、第1通信部57が第2通信部63からそのフィードコマンドを受信するたびに、フィード機構部58に対してキャリアテープ15のフィードを実行させる。このとき、第1制御部55は、テープフィーダ5のモードがフィード許可モードであると第1モード判定部51bによって判定さていることを確認したうえで、フィード機構部58にフィードを実行させる。
【0096】
ここで、例えば、図8の(a)に示すように、継目検出部53は、センサ54からの検出信号に基づいて継目部J(すなわち継目)を検出位置で検出する。その結果、モード切替部51aは、その継目が部品吸着位置に到達するか否かを判定する到達判定処理を開始する。この到達判定処理では、モード切替部51aは、その継目が検出位置で検出されてからフィード機構部58によってフィードされたキャリアテープ15の長さに応じて、その継目が部品吸着位置に到達したか否かを判定する。例えば、モード切替部51aは、フィード機構部58によってフィードが行われるたびに、継目が検出されたときから、フィード機構部58によってフィードされたキャリアテープ15の長さを特定する。具体的には、モード切替部51aは、継目が検出されたときから、フィード機構部58によって行われたフィード(すなわちピッチ送り)の回数をカウントする。そして、モード切替部51aは、ピッチ送りの送り幅をその回数に乗算することによって、フィード機構部58によってフィードされたキャリアテープ15の長さを特定する。次に、モード切替部51aは、その特定された長さが規定距離に達したか否かに応じて、継目が部品吸着位置に到達したか否かを判定する。その規定距離は、センサ54の上方にある検出位置から、部品吸着位置にある吸着開口部18aまで距離である。なお、継目が部品吸着位置に到達したときには、キャリアテープ15の末尾部にある部品ポケット16aは、吸着開口部18aから露出された状態になる。
【0097】
ここで、図8の(b)に示すように、その特定された長さが規定距離に達すると、モード切替部51aは、継目が部品吸着位置に到達したと判定する。このとき、モード切替部51aは、テープフィーダ5のモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替える。つまり、モード切替部51aは、フラグ記憶部56aに格納されているモードフラグをオフからオンに切り替える。
【0098】
その結果、図8の(c)に示すように、第1制御部55は、第1通信部57が部品実装装置Mの第2通信部63からフィードコマンドを受信しても、フィード機構部58によるフィードを禁止する。つまり、第1制御部55は、第1モード判定部51bにテープフィーダ5のモードを判定させる。そして、第1制御部55は、テープフィーダ5のモードがフィード禁止モードであると第1モード判定部51bによって判定されるため、フィード機構部58によるフィードを禁止する。
【0099】
これにより、1ターンにおけるヘッド64による部品Pの吸着では、キャリアテープ15からキャリアテープ15Aへの乗り移り、すなわちキャリアテープの乗り移りは行われない。その結果、実装基板の生産性を向上することができる。つまり、部品実装装置Mは、1以上の部品Pが連続して吸着されている間は、キャリアテープの乗り移りを監視または管理する必要がなく、それらの部品Pの吸着スピードを速めることができる。
【0100】
図9は、本実施の形態におけるテープフィーダ5のモードとフィードとの関係の一例を示す図である。
【0101】
例えば、部品実装装置Mは、時刻t1において、フィードコマンドをテープフィーダ5に送信する。このとき、テープフィーダ5のフラグ記憶部56aに格納されているモードフラグは、オフである。つまり、テープフィーダ5は、フィード許可モードである。したがって、テープフィーダ5は、そのフィードコマンドに応じてフィードを実行する。部品実装装置Mのヘッド64は、そのフィードによって部品吸着位置に配置された部品Pを吸着する。
【0102】
ここで、時刻t2において、キャリアテープ15とキャリアテープ15Aとの継目が部品吸着位置に到達する。このとき、テープフィーダ5のモード切替部51aは、フラグ記憶部56aに格納されているモードフラグをオフからオンに切り替える。これにより、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードからフィード禁止モードに切り替わる。その後、部品実装装置Mは、時刻t3において、フィードコマンドをテープフィーダ5に送信する。このとき、テープフィーダ5は、フィード禁止モードである。したがって、テープフィーダ5は、そのフィードコマンドに応じたフィードを禁止する。言い換えれば、テープフィーダ5は、部品実装装置Mからのフィードコマンドを無視する。その結果、フィードが実行されないため、新しいキャリアテープ15Aの部品Pは、部品吸着位置に配置されない。したがって、部品実装装置Mのヘッド64は、部品Pを吸着しようとしても、新しいキャリアテープ15Aからその部品Pを吸着することができない。さらに、時刻t4においも、時刻t3と同様の処理が繰り返される。つまり、部品実装装置Mがフィードコマンドをテープフィーダ5に送信しても、テープフィーダ5は、フィード禁止モードであるため、そのフィードコマンドに応じたフィードを禁止する。したがって、このときにも、部品実装装置Mのヘッド64は、新しいキャリアテープ15Aからその部品Pを吸着することができない。
【0103】
これにより、部品実装装置Mのヘッド64は、時刻t1~t4に行われるターンの部品吸着では、送信されたフィードコマンドの数よりも少ない個数の部品Pを連続して吸着して共に保持する。そして、部品実装装置Mは、ヘッド64に保持されているそれらの部品Pに対する部品認識と部品実装とを行う。このときに、テープフィーダ5および部品実装装置Mでは、データ切替が行われる。そして、部品実装装置Mは、データ切替が終了すると、時刻t5において、モード切替コマンドをテープフィーダ5に送信する。つまり、部品実装装置Mの第2制御部61は、モード切替コマンドを第2通信部63からテープフィーダ5の第1通信部57に送信させる。テープフィーダ5のモード切替部51aは、そのモード切替コマンドが第1通信部57によって受信されると、フラグ記憶部56aに格納されているモードフラグをオンからオフに切り替える。その結果、テープフィーダ5のモードは、フィード禁止モードからフィード許可モードに切り替わる。このように、本実施の形態では、モード切替部51aは、テープ管理データに示されているキャリアテープの切り替えが第1データ切替部52および第2データ切替部67によって実行された後に、モードフラグの状態をオンからオフに切り替える。これにより、部品実装装置Mは、次の部品吸着では、キャリアテープ15Aから複数の部品Pを連続して吸着することができる。
【0104】
つまり、次のターンでは、部品実装装置Mは、時刻t6において、フィードコマンドをテープフィーダ5に送信する。このとき、テープフィーダ5は、フィード許可モードである。したがって、テープフィーダ5は、そのフィードコマンドに応じたフィードを実行する。さらに、時刻t7でも、時刻t6と同様、部品実装装置Mは、フィードコマンドをテープフィーダ5に送信する。このときにも、テープフィーダ5は、フィード禁止モードであるため、そのフィードコマンドに応じたフィードを実行する。
【0105】
このように本実施の形態では、テープフィーダ5は、継目が部品吸着位置に到達することによって、フィード禁止モードになると、部品実装装置Mからフィードコマンドを受けても、そのフィードコマンドに応じたフィードを行わない。その結果、1ターンにおけるヘッド64による部品吸着において、キャリアテープの乗り移りを抑制することができる。
【0106】
図10は、テープフィーダ5および部品実装装置Mの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0107】
第1ターンでは、部品実装装置Mは、フィードコマンドをテープフィーダ5にN回(Nは例えば2以上の整数)送信することによって、テープフィーダ5から供給されるN個の部品Pをヘッド64によって吸着する(ステップS11)。つまり、このときには、テープフィーダ5は、フィード許可モードであって、そのモードの切り替えがないため、N回のフィードコマンドの受信に応じてN回のフィードを実行する(ステップS12)。その結果、キャリアテープ15のN個の部品Pが順に部品吸着位置に配置され、部品実装装置Mのヘッド64は、そのN個の部品Pを連続して吸着して共に保持する。そして、部品実装装置Mは、そのN個の部品Pに対する部品認識および部品実装を行う(ステップS13)。
【0108】
第2ターンでも、例えば、部品実装装置Mは、フィードコマンドをテープフィーダ5にN回送信する。しかし、この第2ターンでは、部品吸着位置に継目が到達するため、部品実装装置Mは、テープフィーダ5から供給されるキャリアテープ15のK個(Kは例えば1以上N未満の整数)の部品Pのみをヘッド64で吸着する(ステップS21)。つまり、このときには、テープフィーダ5は、K回のフィードコマンドの受信に応じてK回のフィードを実行し(ステップS22)、このK回のフィードが実行されたタイミングで、部品吸着位置に継目が到達したと判定する(ステップS23)。その結果、テープフィーダ5は、モードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替える(ステップS24)。したがって、テープフィーダ5は、K回のフィードコマンドを受信した後に、さらに、フィードコマンドを部品実装装置Mから受信しても、そのフィードコマンドに応じたフィードを実行しない。そのため、第2ターンでは、部品実装装置Mのヘッド64は、キャリアテープ15Aの部品Pを吸着することなく、キャリアテープ15のK個の部品Pのみを吸着する。
【0109】
次に、部品実装装置Mは、ヘッド64に保持されているK個の部品Pに対する部品認識および部品実装を行う。このとき、部品実装装置Mは、テープフィーダ5への問い合わせによって、そのテープフィーダ5がフィード禁止モードであると判定すると、部品認識および部品実装と並行して、データ切替を実行する(ステップS25)。なお、データ切替は、第2データ切替部67によって実行される。また、テープフィーダ5も、モードがフィード禁止モードに切り替えられると、第1データ切替部52によってデータ切替を実行する(ステップS26)。
【0110】
そして、部品実装装置Mは、第2データ切替部67によるデータ切替が終了すると、モード切替コマンドをテープフィーダ5に送信する(ステップS27)。テープフィーダ5は、部品実装装置Mからモード切替コマンドを受信すると、モードをフィード禁止モードからフィード許可モードに切り替える(ステップS28)。これにより、第2ターンの次のターンでは、部品実装装置Mのヘッド64は、新しいキャリアテープ15Aから複数の部品Pを連続して吸着して共に保持することができる。
【0111】
図11は、テープフィーダ5の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0112】
テープフィーダ5の第1制御部55は、部品実装装置Mから送信されたフィードコマンドが第1通信部57に受信されたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、第1制御部55は、フィードコマンドが受信されていないと判定すると(ステップS101のNo)、ステップS101の処理を繰り返し実行する。一方、フィードコマンドが第1通信部57によって受信されたと第1制御部55によって判定されると(ステップS101のYes)、第1モード判定部51bは、フラグ記憶部56aのモードフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS102)。
【0113】
ここで、第1制御部55は、モードフラグがオンであると第1モード判定部51bによって判定されると(ステップS102のYes)、フィード機構部58によるフィードを禁止する(ステップS103)。つまり、第1制御部55は、テープフィーダ5のモードがフィード禁止モードであるため、フィードコマンドに応じたフィード機構部58によるフィードを禁止する。
【0114】
一方、第1制御部55は、モードフラグがオフであると第1モード判定部51bによって判定されると(ステップS102のNo)、フィード機構部58にフィードを実行させる(ステップS104)。つまり、第1制御部55は、テープフィーダ5のモードがフィード許可モードであるため、フィードコマンドに応じたフィードをフィード機構部58に実行させる。そして、モード切替部51aは、部品吸着位置に継目が到達したか否かを判定する(ステップS105)。ここで、モード切替部51aは、部品吸着位置に継目が到達したと判定すると(ステップS105のYes)、フラグ記憶部56aのモードフラグをオフからオンに切り替える(ステップS106)。これにより、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えられる。一方、部品吸着位置に継目が到達していないとステップS105で判定されたときには(ステップS105のNo)、第1制御部55は、部品実装装置Mから送信された問い合わせ信号を第1通信部57が受信したか否かを判定する(ステップS107)。この問い合わせ信号は、テープフィーダ5のモードを問い合わせるための信号である。ステップS103の処理またはステップS106の処理が実行された後にも、第1制御部55は、その問い合わせ信号を第1通信部57が受信したか否かを判定する。
【0115】
ここで、第1制御部55は、部品実装装置Mからの問い合わせ信号を第1通信部57が受信していないと判定すると(ステップS107のNo)、ステップS101からの処理を繰り返し実行する。一方、第1制御部55は、部品実装装置Mからの問い合わせ信号を第1通信部57が受信したと判定すると(ステップS107のYes)、モード通知信号の部品実装装置Mへの送信を第1通信部57に実行させる(ステップS108)。つまり、第1制御部55は、フラグ記憶部56aに格納されているモードフラグの現時点の状態を示す信号をモード通知信号として第1通信部57に送信させる。このモード通知信号は、モードフラグがオフかオンか、すなわち、テープフィーダ5のモードがフィード許可モードであるかフィード禁止モードであるかを示す。
【0116】
次に、第1データ切替部52は、部品実装装置Mから送信されたデータ切替コマンドが第1通信部57に受信されたか否かを判定する(ステップS109)。ここで、第1データ切替部52は、データ切替コマンドが受信されたと判定すると(ステップS109のYes)、データ切替を実行する(ステップS110)。また、ステップS109において、データ切替コマンドが受信されていないと判定されたときには(ステップS109のNo)、第1制御部55は、1ターンにおけるテープフィーダ5の処理動作を終了する。
【0117】
また、ステップS110の処理の後には、モード切替部51aは、部品実装装置Mから送信されたモード切替コマンドが第1通信部57に受信されたか否かを判定する(ステップS111)。ここで、モード切替部51aは、モード切替コマンドが受信されていないと判定すると(ステップS111のNo)、ステップS111の処理を繰り返し実行する。つまり、モード切替部51aは、モード切替コマンドが受信されるまで待機する。一方、モード切替部51aは、モード切替コマンドが受信されたと判定すると(ステップS111のYes)、フラグ記憶部56aのモードフラグをオンからオフに切り替える(ステップS112)。これにより、テープフィーダ5のモードは、フィード禁止モードからフィード許可モードに切り替えられる。そして、第1制御部55は、1ターンにおけるテープフィーダ5の処理動作を終了する。
【0118】
図12は、部品実装装置Mの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0119】
部品実装装置Mの第2制御部61は、例えば、部品実装システム100を管理するための管理装置などによって生成された生産データなどから、1ターン分の規定数(例えば、N)を取得する(ステップS201)。そして、第2制御部61は、ステップS202およびステップS203の処理をN回繰り返し実行する。つまり、第2制御部61は、テープフィーダ5へのフィードコマンドの送信を第2通信部63に実行させる(ステップS202)。そして、第2制御部61は、部品Pの吸着動作をヘッド64に実行させる(ステップS203)。なお、その部品Pの吸着動作では、フィードコマンドに応じたフィードがテープフィーダ5によって実行されていれば、部品Pがヘッド64のノズル64aに吸着される。しかし、フィードコマンドに応じたフィードがテープフィーダ5によって実行されていなければ、ヘッド64によって部品Pの吸着動作が行われても、部品Pはヘッド64のノズル64aに吸着されない。また、このステップS202およびS203の処理がN回繰り返し実行されることによって、1ターン分の部品吸着が完了する。
【0120】
次に、部品実装装置Mの第2制御部61は、テープフィーダ5にモードを問い合わせる(ステップS204)。つまり、第2制御部61は、上述の問い合わせ信号のテープフィーダ5への送信を第2通信部63に実行させる。そして、第2通信部63は、その問い合わせ信号に応じてテープフィーダ5から送信されたモード通知信号を受信する。第2モード判定部66は、テープフィーダ5のモードフラグがオンであることがそのモード通知信号によって示されているか否かを判定する(ステップS205)。つまり、第2モード判定部66は、テープフィーダ5がフィード禁止モードであるか否かを判定する。
【0121】
ここで、モードフラグがオンであることがモード通知信号に示されている場合(ステップS205のYes)、すなわち、テープフィーダ5がフィード禁止モードである場合、部品実装装置Mは、ステップS206~S210の処理を実行する。つまり、第2制御部61は、テープフィーダ5へのデータ切替コマンドの送信を第2通信部63に実行させ(ステップS206)、データ切替を第2データ切替部67に実行させる(ステップS207)。そして、第2制御部61は、そのデータ切替が終了すると、テープフィーダ5へのモード切替コマンドの送信を第2通信部63に実行させる(ステップS208)。また、第2制御部61は、ヘッド64に吸着されている1以上の部品Pに対する部品認識をヘッド64および部品認識カメラ10に対して実行させ(ステップS209)、その1以上の部品Pの部品実装をヘッド64に実行させる(ステップS210)。第2制御部61は、ステップS206~S208の処理が行われているときに、そのステップS207の部品認識と、ステップS208の部品実装とを実行する。例えば、ステップS207では、第2データ切替部67は、ステップS209の部品認識と、ステップS210の部品実装との間に、データ切替を実行する。
【0122】
また、モードフラグがオフであることがモード通知信号に示されている場合(ステップS205のNo)、すなわち、テープフィーダ5がフィード許可モードである場合、部品実装装置Mは、ステップS209~S210と同様に、ステップS211~S212の処理を実行する。つまり、第2制御部61は、ヘッド64に吸着されている1以上の部品Pに対する部品認識をヘッド64および部品認識カメラ10に対して実行させ(ステップS211)、その1以上の部品Pの部品実装をヘッド64に実行させる(ステップS212)。このステップS211およびS212の処理が行われるときには、ステップS206~S208の処理は実行されない。
【0123】
[効果など]
以上のように、本実施の形態では、継目が部品吸着位置に到達する場合には、テープフィーダ5のモードはフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えられる。したがって、部品実装装置Mが、複数の部品Pを連続して吸着して共に保持するために、フィードコマンドを複数回送信しても、継目が部品吸着位置に到達すると、フィードが禁止されるため、部品実装装置Mは、キャリアテープ15Aの部品Pを吸着することができない。その結果、部品実装装置Mが複数の部品Pを連続して吸着しようとする動作である部品吸着が行われる間に、キャリアテープの乗り移りが生じることを抑えることができる。したがって、部品実装装置Mは、1以上の部品Pが連続して吸着されている間は、そのキャリアテープの乗り移りを監視または管理する必要がなく、それらの部品Pの吸着スピードを速めることができる。その結果、複数の部品Pの基板3への実装によって生産される実装基板の生産性を向上することができる。
【0124】
また、本実施の形態では、テープフィーダ5のモードがモードフラグによって管理されるため、モードの切り替えと、そのモードの判定とを、簡単な構成で、かつ適切に行うことができる。
【0125】
また、本実施の形態では、継目が部品吸着位置に到達すると、テープフィーダ5のモードがフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えられ、そのモードがフィード禁止モードである場合に、テープ管理データに示されているキャリアテープが切り替えられる。つまり、キャリアテープ15に収納されている全ての部品Pが部品実装装置Mによって取り出された場合、言い換えれば、部品実装装置Mがキャリアテープ15の部品Pを全て使い切った場合に、テープ管理データに示されているキャリアテープが切り替えられる。つまり、データ切替が実行される。したがって、このテープ管理データに示されているキャリアテープを、現時点で実装に用いられているキャリアテープに適切に同期させることができる。その結果、このテープ管理データを用いれば、基板3上の各実装点と、その実装点に実装された部品P、またはその部品Pが取り出されたキャリアテープとを関連付けて示すトレース情報を、適切に生成することができる。つまり、正確なトレーサビリティを確保することができる。
【0126】
また、本実施の形態では、第1通信部57は、テープフィーダ5のモードを示すモード通知信号を、部品実装装置Mに送信する。その結果、部品実装装置Mは、テープフィーダ5からそのモード通知信号を受信することによって、テープフィーダ5のモードを判定することができる。したがって、テープフィーダ5のモードがフィード禁止モードである場合に、部品実装装置Mがデータ切替を行うことができる。
【0127】
また、本実施の形態では、継目検出部53は、部品吸着位置よりも上流側にある検出位置に配置された継目を検出する。そして、モード切替部51aは、その継目の検出結果に基づいて、継目が部品吸着位置に到達したか否かを判定する。したがって、部品吸着位置で継目を直接的に検出する必要がなく、部品吸着位置よりも上流側にある任意の検出位置で継目が検出されればよいため、テープフィーダ5の構成の自由度を高めることができる。
【0128】
また、本実施の形態では、第2データ切替部67は、モードとしてフィード禁止モードを示すモード通知信号が部品実装装置Mに受信される場合に、テープ管理データに示されているキャリアテープを切り替える。これにより、部品実装装置Mでは、適切なタイミングでデータ切替を行うことができる。
【0129】
また、本実施の形態では、テープフィーダ5が第1メモリ56bおよび第1データ切替部52を備え、部品実装装置Mが第2メモリ62および第2データ切替部67を備える。したがって、テープフィーダ5および部品実装装置Mのそれぞれでデータ切替を適切に行うことができる。
【0130】
(変形例1)
上記実施の形態では、テープフィーダ5は、モードフラグである1つのフラグを有するが、さらに他のフラグを有していてもよい。例えば、テープフィーダ5は、第1モードフラグおよび第2モードフラグを有していてもよい。
【0131】
第1モードフラグは、上記実施の形態におけるモードフラグと同様に扱われる。一方、第2モードフラグは、その第1モードフラグによるモードの切り替えが有効であるか無効であるかを示すフラグである。第2モードフラグがオフの場合には、その第2モードフラグは、第1モードフラグによるモードの切り替えを無効とする。つまり、第2モードフラグがオフの場合には、第1モードフラグがオフであってもオンであっても、テープフィーダ5のモードは、切り替わることなく、フィード許可モードに維持される。第2モードフラグがオンの場合には、その第2モードフラグは、第1モードフラグによるモードの切り替えを有効とする。つまり、第2モードフラグがオンの場合には、上記実施の形態と同様、第1モードフラグがオフからオンに切り替えられると、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えられる。また、第1モードフラグがオンからオフに切り替えられると、テープフィーダ5のモードは、フィード禁止モードからフィード許可モードに切り替えられる。言い換えれば、第1モードフラグおよび第2モードフラグが共にオンの場合に、テープフィーダ5のモードは、フィード禁止モードとなり、それ以外の場合に、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードとなる。
【0132】
図13は、本変形例におけるテープフィーダ5の第1モードフラグおよび第2モードフラグとフィードとの関係の一例を示す図である。
【0133】
例えば、時刻t1より前では、テープフィーダ5のフラグ記憶部56aに格納されている第1モードフラグおよび第2モードフラグはオフである。したがって、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードである。
【0134】
そして、部品実装装置Mは、時刻t1において、第2フラグ切替コマンドをテープフィーダ5に送信する。これにより、テープフィーダ5のフラグ記憶部56aに格納されている第2モードフラグは、モード切替部51aによってオフからオンに切り替えられる。しかし、第1モードフラグはオフであるため、時刻t1以降であっても、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードである。
【0135】
ここで、部品実装装置Mは、時刻t2において、フィードコマンドをテープフィーダ5に送信する。このとき、テープフィーダ5は、上述のようにフィード許可モードである。したがって、テープフィーダ5は、そのフィードコマンドに応じてフィードを実行する。部品実装装置Mのヘッド64は、そのフィードによって部品吸着位置に配置された部品Pを吸着する。
【0136】
次に、時刻t3において、キャリアテープ15とキャリアテープ15Aとの継目が部品吸着位置に到達する。このとき、テープフィーダ5のモード切替部51aは、フラグ記憶部56aに格納されている第1モードフラグをオフからオンに切り替える。これにより、第1モードフラグおよび第2モードフラグは共にオンになる。その結果、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードからフィード禁止モードに切り替えられる。その後、部品実装装置Mは、時刻t4において、フィードコマンドをテープフィーダ5に送信する。このとき、テープフィーダ5は、フィード禁止モードである。したがって、テープフィーダ5は、そのフィードコマンドに応じたフィードを禁止する。言い換えれば、テープフィーダ5は、部品実装装置Mからのフィードコマンドを無視する。その結果、フィードが実行されないため、新しいキャリアテープ15Aの部品Pは、部品吸着位置に配置されていない。したがって、部品実装装置Mのヘッド64は、部品Pを吸着しようとしても、新しいキャリアテープ15Aからその部品Pを吸着することができない。さらに、時刻t5においも、時刻t4と同様の処理が繰り返される。つまり、部品実装装置Mがフィードコマンドをテープフィーダ5に送信しても、テープフィーダ5は、フィード禁止モードであるため、そのフィードコマンドに応じたフィードを禁止する。したがって、このときにも、部品実装装置Mのヘッド64は、新しいキャリアテープ15Aからその部品Pを吸着することができない。
【0137】
そして、部品実装装置Mは、1ターン分の部品吸着を行い、データ切替が終了すると、時刻t6において、第1フラグ切替コマンドをテープフィーダ5に送信する。つまり、部品実装装置Mの第2制御部61は、第1フラグ切替コマンドを第2通信部63からテープフィーダ5の第1通信部57に送信させる。テープフィーダ5のモード切替部51aは、その第1フラグ切替コマンドが第1通信部57によって受信されると、フラグ記憶部56aに格納されている第1モードフラグをオンからオフに切り替える。その結果、テープフィーダ5のモードは、フィード禁止モードからフィード許可モードに切り替えられる。
【0138】
次のターンでは、部品実装装置Mは、時刻t7において、フィードコマンドをテープフィーダ5に送信する。このとき、テープフィーダ5は、フィード許可モードである。したがって、テープフィーダ5は、そのフィードコマンドに応じたフィードを実行する。その結果、新しいキャリアテープ15Aの部品Pが部品吸着位置に配置され、部品実装装置Mのヘッド64は、その部品Pを吸着することができる。
【0139】
ここで、部品実装装置Mは、時刻t8において、第2フラグ切替コマンドをテープフィーダ5に送信する。これにより、テープフィーダ5のフラグ記憶部56aに格納されている第2モードフラグは、モード切替部51aによってオンからオフに切り替えられる。したがって、時刻t8以降、第1モードフラグがオフであってもオンであっても、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードに維持される。
【0140】
そして、時刻t9においても、キャリアテープ15Aと次の新たなキャリアテープの継目が部品吸着位置に到達する。このとき、テープフィーダ5のモード切替部51aは、フラグ記憶部56aに格納されている第1モードフラグをオフからオンに切り替える。しかし、上述のように、第2モードフラグはオフであるため、テープフィーダ5のモードは、フィード許可モードに維持される。その結果、時刻t10でも、時刻t7と同様、テープフィーダ5は、部品実装装置Mから送信されるフィードコマンドに応じてフィードを実行する。
【0141】
このように本変形例では、部品実装装置Mが、第2モードフラグの状態を切り替えることによって、第1モードフラグによるモードの切り替えを制御することができる。その結果、部品実装装置Mのセットアップが行われているとき、または、部品実装装置Mの調整が行われているときには、その第2モードフラグをオフにすることによって、適切なセットアップおよび調整を行うことができる。また、部品実装装置Mおよびテープフィーダ5による実装基板の生産が行われているときには、その第2モードフラグをオンにすることによって、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0142】
(変形例2)
上記実施の形態では、継目検出部53は、テープフィーダ5の上流側にある検出位置に配置された継目を検出するが、部品吸着位置に配置された継目を検出してもよい。この場合、センサ54は、部品吸着位置にある吸着開口部18aの下方に取り付けられてもよい。また、テープフィーダ5は、センサ54の代わりに、部品吸着位置を撮像するカメラを備えてもよい。この場合、継目検出部53は、そのカメラによる撮像によって得られた画像に対して画像認識を行うことによって、部品吸着位置に配置された継目を検出する。そして、モード切替部51aは、継目検出部53によって継目が検出されたときに、テープフィーダ5のモードをフィード許可モードからフィード禁止モードに切り替える。これにより、部品吸着位置で継目が検出されるため、継目が部品吸着位置に到達したか否かを正確に判定することができ、モードの切り替えを適切なタイミングに実行することができる。
【0143】
(その他の形態)
以上、本開示に係る部品実装システムおよびその部品実装方法などについて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0144】
例えば、上記実施の形態のテープフィーダ5に含まれる1つ以上の構成要素は、テープフィーダ5以外の装置に備えられていてもよく、部品実装装置Mに含まれる1つ以上の構成要素は、部品実装装置M以外の装置に備えられていてもよい。例えば、テープフィーダ5および部品実装装置Mを管理するための管理装置が部品実装システム100に含まれていれば、その管理装置が上述の1つ以上の構成要素を備えていてもよい。具体的には、管理装置は、モード切替部51a、第1モード判定部51b、第1データ切替部52、第1制御部55、フラグ記憶部56a、第1メモリ56b、および第1通信部57のうちの少なくとも1つを備えていてもよい。また、管理装置は、第2制御部61、第2メモリ62、第2モード判定部66、および第2データ切替部67のうちの少なくとも1つを備えていてもよい。なお、管理装置は、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータである。
【0145】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態の部品実装装置Mおよびテープフィーダ5などを実現するソフトウェアは、図10または図11に示すフローチャートに含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
【0146】
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0147】
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0148】
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0149】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0150】
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0151】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0152】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0153】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0154】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0155】
(5)上記実施の形態及びその他の形態を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本開示は、部品を基板に実装する部品実装システムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0157】
1 基台
2 基板搬送機構
3 基板
4 部品供給部
4a フィーダベース
5 テープフィーダ
5a フレーム部材
5b テープ走行路
5c テープ回収部
6A Y軸テーブル
6B Y軸テーブル
7A X軸テーブル
7B X軸テーブル
9 基板認識カメラ
10 部品認識カメラ
11 ノズル保持部
12 台車
13 リール保持部
14 テープリール
15 キャリアテープ
15A キャリアテープ
16 ベーステープ
16a 部品ポケット
16b 送り孔
17 トップテープ
18 上ガイド部
18a 吸着開口部
18b 第1開口部
18c 第2開口部
20 回転駆動機構
21 スプロケット
21a 送りピン
28 スプライステープ
29 スプライステープ
29a スリット
51a モード切替部
51b 第1モード判定部
52 第1データ切替部
53 継目検出部
54 センサ
55 第1制御部
56a フラグ記憶部
56b 第1メモリ
57 第1通信部
58 フィード機構部
61 第2制御部
62 第2メモリ
63 第2通信部
64 ヘッド
64a ノズル
66 第2モード判定部
67 第2データ切替部
100 部品実装システム
E 突合せ線
J 継目部
M 部品実装装置
P 部品
pa ピッチ
pb ピッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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