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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056208
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】結束材料
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/10 20060101AFI20230412BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20230412BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230412BHJP
   B29C 55/04 20060101ALI20230412BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B65D63/10 M
C08L23/02
C08K3/013
B29C55/04
C08J5/00 CES
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165403
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000198802
【氏名又は名称】積水成型工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】稲津 明
(72)【発明者】
【氏名】島田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】入江 孝介
【テーマコード(参考)】
3E085
4F071
4F210
4J002
【Fターム(参考)】
3E085BD08
3E085BE10
4F071AA16
4F071AA18
4F071AA19
4F071AA82
4F071AA88
4F071AB21
4F071AE17
4F071AF01
4F071AF15Y
4F071AF21Y
4F071AF52
4F071AG26
4F071AH04
4F071BB05
4F071BB07
4F071BC01
4F071BC07
4F071BC12
4F210AA03
4F210AG01
4F210AH81
4F210QC01
4F210QG01
4F210QW21
4F210QW50
4J002BB021
4J002BB051
4J002BB061
4J002BB121
4J002BB141
4J002BB151
4J002DA016
4J002DA036
4J002DE076
4J002DE086
4J002DE106
4J002DE136
4J002DE146
4J002DE236
4J002DE266
4J002DJ006
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD040
4J002FD050
4J002FD060
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD100
4J002FD130
4J002FD200
4J002GC00
4J002GG02
(57)【要約】
【課題】本発明は、ポリオレフィン系樹脂よりなり、焼却際に灰分の発生が抑制されおり、表面が平滑で表面性優れると共に機械的強度の優れた結束材料を提供する。
【解決手段】バイオポリオレフィン系樹脂からなり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されてなることを特徴とする結束材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオポリオレフィン系樹脂からなり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されてなることを特徴とする結束材料。
【請求項2】
バイオポリオレフィン系樹脂100重量部に対し無機充填剤5重量部以下を含むことを特徴とする請求項1記載の結束材料。
【請求項3】
太さあたりの最大引張強度{(N/デニール)×100}が2.5以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の結束材料。
【請求項4】
破断伸び率が35%以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の結束材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた引張特性(強度)と結束性を備えると共に環境への負荷が低減された結束材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、新聞紙、雑誌等の比較的軽量な被結束物を結束するための結束材料として、延伸オレフィン系樹脂テープ及びそれを撚った延伸オレフィン系樹脂紐等が広く使用されている。オレフィン系樹脂は、軽量であり、耐食性、耐水性、衛生性、ガスバリアー性、透明性等が優れている。また、機械的強度が大きく且つ製造が容易である等の特徴を有しており、広い用途に使用されているが、大量に使用されるため廃棄の際に多くの問題が発生するようになってきている。特に、焼却して処分する際には大量の残渣が排出され、地球環境汚染の原因となっている。
【0003】
焼却時に、地球環境汚染を抑える方法としては、オレフィン系樹脂に、炭酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、水酸化カルシウム、ゼオライト、ココナツ中果皮繊維等を添加することが提案されている(例えば、特許文献1、2又は3参照。)。
【0004】
しかしながら、オレフィン系樹脂にこれらの添加物を添加しても二酸化炭素の発生抑止効果は小さく、発生抑止効果を向上させるために多量に添加すると、オレフィン系樹脂組成物の成形性が低下すると共に、焼却時に多量の残灰が残り、地球環境に負荷が少ないとはいいがたいものであった。又、成形された結束材料の機械的強度及び表面性等が低下するという欠点があり、結束性が低下するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―106171号公報
【特許文献2】特開平7―188487号公報
【特許文献3】特開2006-77058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、オレフィン系樹脂よりなり、焼却の際に灰分の発生が抑制されており、地球環境汚染が少なく且つ機械的強度及び表面性が優れている結束材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
[1]バイオポリオレフィン系樹脂からなり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されてなることを特徴とする結束材料、
[2]バイオポリオレフィン系樹脂100重量部に対し無機充填剤5重量部以下を含むことを特徴とする上記[1]記載1の結束材料、
[3]太さあたりの最大引張強度{(N/デニール)×100}が2.5以上であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の結束材料、及び、
[4]破断伸び率が35%以下であることを特徴とする上記[1]、[2]又は[3]記載の結束材料
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の結束材料の構成は上述の通りであり、バイオオレフィン系樹脂よりなり、焼却時に、二酸化炭素及び灰分の発生が抑制されており地球環境汚染が少なく、機械的強度及び表面性が優れており結束しやすく、結束効果が優れている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の結束材料は、バイオポリオレフィン系樹脂からなり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されてなることを特徴とする。
【0010】
上記バイオポリオレフィン系樹脂とは、バイオマス由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるオレフィン系樹脂であって、バイオ(例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、マニオク等)から製造されたエタノールを原料とし、化学的に反応精製したエチレン、プロピレン等のα―オレフィンを(共)重合したポリマーである。
【0011】
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、目的の物性に応じて、2種類以上ブレンドしてもよく、機械的強度の高い結束材料を得るには高密度ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0012】
上記バイオポリオレフィン系樹脂は、現在一般に使用されている石油由来のオレフィンを含むモノマーを重合してなるポリオレフィン系樹脂(石油由来のポリオレフィン系樹脂)が併用されてもよく、その配合比率は、必要とされる引張強度等の物性に応じて、バイオポリオレフィン系樹脂100重量部に対し石油由来のポリオレフィン系樹脂は100重量部以下が好ましく、より好ましくは75重量部である。
【0013】
又、上記バイオポリオレフィン系樹脂には、結束材料がすべりにくく、被結束物をより強固に結束できるように無機充填剤が添加されているのが好ましい。上記無機充填剤としては、従来から一般に使用されている無機充填剤であればよく、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカアルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられ、炭酸カルシウムが好ましい。
【0014】
上記無機充填剤の添加量は、特に限定されないが、添加量が多くなると、得られた結束材料の引張強度、引張弾性率、伸び率等の機械的強度が低下したり、焼却した際に灰分の発生が多くなるので、バイオポリオレフィン系樹脂又はバイオポリオレフィン系樹脂と石油由来のポリオレフィン系樹脂よりなるオレフィン系樹脂組成物100重量部に対し無機充填剤は5重量部以下を含むように添加されるのが好ましい。
【0015】
又、更に、従来からポリオレフィン系樹脂の成形の際に一般に使用されている、熱安定剤、耐熱向上剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、衝撃改良剤、防曇剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、顔料等の添加剤が、必要に応じて、添加されてもよい。
【0016】
本発明の結束材料は、上記樹脂組成物からなる長尺体であり、長さ方向に4~7倍に1軸延伸されている。長尺体は広幅のフィルム(シート)であってもよいし、それを長さ方向に沿って切断した幅狭のフィルム(シート)であってもよい。又、これらのフィルム(シート)を折り畳んだり、撚った紐状の長尺体であってもよい。
【0017】
上記長尺体は、長さ方向に4~7倍に一軸延伸されている。一軸延伸倍率が小さいと、長さ方向に伸ばした時の引張強度が小さくなり、伸び易くなり過ぎて被結束物を結束しにくくなり、一軸延伸倍率が大きくなると長さ方向に伸ばした時の最大引張強度が大きくなりすぎると共に強度が大きくなり、伸びにくくなり被結束物を強固に結束しにくくなるので一軸延伸倍率は4~7倍であり、好ましくは4~6倍である。
【0018】
又、紐状の長尺体の太さは、細くなると長さ方向に伸ばした時の引張強度が小さくなり、太くなりすぎると長さ方向に少し(10%程度)引き伸ばした際の引張強度及び長さ方向の最大引張強度が大きくなりすぎるので、6000~18000デニール(d)が好ましい。
【0019】
そして、本発明の結束材料は新聞等の被結束材料を結束するのであるから、機械的強度、特に、最大引張強度が大きいほうが好ましいが、太過ぎると使用しにくくなるので、太さあたりの最大引張強度は2.5以上が好ましい。尚、本発明における引張試験はJIS K 7124に準拠して行い、最大(破断)引張強度を測定する。単位はニュートン(N)である。太さは上述のデニール(d)であり、太さあたりの最大(破断)引張強度は(最大引張強度/デニール)×100で示した。
【0020】
また、本発明の結束材料は新聞等の被結束材料を結束する際に、伸び易いと結束しにくくなるので、破断伸び率は35%以下である。尚、本発明における破断伸び率もJIS K 7124に準拠して引張試験を行って測定した。
【0021】
本発明の結束材料の製造方法は特に限定されないが、一般に、バイオポリオレフィン系樹脂又はバイオポリオレフィン系樹脂100重量部と無機充填剤5重量部以下よりなるオレフィン系樹脂組成物を溶融押出し、シート状又は紐状の長尺体を製造し、次に、長さ方向に延伸倍率が4~7倍になるように一軸延伸すればよい。又、シート状の長尺体を長さ方向に延伸倍率が4~7倍になるように一軸延伸した後、紐状に撚ってもよい。
【0022】
溶融押出し、シート状又は紐状の長尺体を製造する方法は、従来公知の溶融押出成型方法が採用されてよく、例えば、バイオポリオレフィン系樹脂又はバイオポリオレフィン系樹脂100重量部と無機充填剤5重量部以下よりなるオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給してバイオポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度で溶融し、押出しして成型する方法であり、従来公知のインフレーション法、Tダイ法等が挙げられる。
【0023】
上記1軸延伸方法は、特に限定されず、従来公知の任意の一軸延伸方法が採用されればよく、例えば、ロール延伸法、ゾーン延伸法、圧延延伸法、熱板延伸法等が挙げられる。
【0024】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0025】
(実施例1~5、比較例1~3)
表1及び表2に示した、所定量のバイオポリオレフィン系樹脂、石油由来のポリオレフィン系樹脂及び炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社製、商品名「Maxシリーズ」)よりなる樹脂組成物をスクリュー径50mmの一軸混錬押出機に供給し、210℃で溶融混錬押出して幅100mm、厚さ50μmの長尺のシートを得た。実施例1~5で得られた長尺のシートの表面にはぶつぶつがなく滑らかであった。得られた長尺シートをスリッターにより、任意の巾に加工し、熱板延伸により、所定の倍率で延伸して幅50mm、厚さ25μの延伸フィルムを成形し、撚って結束材料を得た。
【0026】
尚、使用したオレフィン系樹脂は以下の通りである。
バイオオレフィン系樹脂
・バイオ高密度ポリエチレン樹脂:Braskem社製、MFR=1.0g/10min、密度=0.948g/cm
・バイオ線状低密度ポリエチレン:Braskem社製、MFR=1.0g/10min、密度=0.916g/cm
・バイオ低密度ポリエチレン樹脂::Braskem社製、MFR=0.32g/10min、密度=0.923g/cm
石油由来のポリオレフィン系樹脂
・高密度ポリエチレン樹脂:京葉ポリエチレン社製、延伸グレード、MFR=1.0g/10min、密度=0.958g/cm
【0027】
得られた結束材料の太さを測定すると共に焼却時の灰分量及び機械的強度(最大引張強度、破断伸び)等を測定し、結果を表1及び2に示した。尚、測定は以下の通りである。
【0028】
焼却時の灰分量の測定
得られた結束材料の灰分は、熱分析装置(DTG-50M、(株)島津製作所製)を使用して、試料量10mg、昇温速度10℃/分(最高到達温度500℃)、空気中、流量20mL/分の条件で測定した。また、灰分率は「(灰分量/試料量)×100」とし、算出した。
【0029】
機械的強度の測定
得られた結束材料の太さ(デニール)を測定し、JIS K 7124に準拠し、引張試験を行い、最大(破断)引張強度、太さあたりの最大(破断)引張強度{(最大引張強度/デニール)×100}及び破断伸び率を測定した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明における結束材料は、焼却際に灰分の発生が抑制されているので環境への負荷が少なく、新聞紙、雑誌等の比較的軽量な被結束物を好適に結束し運搬するのに適しており、包装資材分野において好適に使用される。