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特開2023-56226複数列縦型充填包装機および複数列包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056226
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】複数列縦型充填包装機および複数列包装体
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/207 20120101AFI20230412BHJP
   B65D 75/40 20060101ALI20230412BHJP
   B65B 41/00 20060101ALI20230412BHJP
   B26D 1/14 20060101ALI20230412BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20230412BHJP
   B26D 1/24 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B65B9/207
B65D75/40
B65B41/00 502Z
B26D1/14 G
B26D3/08 Z
B26D1/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165446
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】307028493
【氏名又は名称】株式会社悠心
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瀬 克規
【テーマコード(参考)】
3C027
3E050
3E067
【Fターム(参考)】
3C027XX01
3C027XX09
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB05
3E050AB08
3E050BA01
3E050BA02
3E050BA11
3E050CA01
3E050CB01
3E050CC03
3E050DC01
3E050DC08
3E050DD04
3E050DF02
3E050FA01
3E050FA07
3E050FB01
3E050FB07
3E050GA05
3E050GB03
3E067AA01
3E067AB21
3E067AC03
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067EA09
3E067EC02
3E067EC14
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】横シール部に縦シワを発生することなく、被包装物の充填包装体を並列につながったまま製造することのできる複数列充填包装機および該複数列充填包装機によって製造される複数列包装体を提供すること。
【解決手段】被包装物を充填してなる充填包装体を複数列で同時に連続して製造する複数列縦型充填包装機であって、2本の側部縦シール部を形成すると共に、該側部縦シール部間の1以上の位置を、長手方向に沿って連続して縦シールすることにより切り離し縦シール部を連続的に形成する一対の縦シールロールと、前記切り離し縦シール部の幅方向中央位置にそれぞれ、連続して切り離し線を形成する一対のロールカッターと、を備えるものにおいて、前記ロールカッターは、前記切り離し線が、長尺カット部とミシン目状カット部とが交互に連なるように形成するものであること。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を、複数列で同時に連続して製造する複数列縦型充填包装機であって、
長手方向に連続して繰り出され、幅方向に折り返して使用される1枚のプラスチックフィルムの両側部、または、連続して繰り出される2枚のプラスチックフィルムの両側部をそれぞれ長手方向に連続して縦シールして2本の側部縦シール部を形成すると共に、2本の該側部縦シール部間の1以上の位置を、長手方向に沿って連続して縦シールすることにより区画された複数列の筒状充填室を形成する切り離し縦シール部を連続的に形成する一対の縦シールロールと、
前記切り離し縦シール部の幅方向中央位置にそれぞれ、連続して切り離し線を形成する一対のロールカッターと、
区画形成された複数列の前記筒状充填室の全幅に対し、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールすることにより、充填包装体を複数列で同時に製袋していく一対の横シールロールと、
を備えるものにおいて、
前記ロールカッターは、前記切り離し線が、長尺カット部とミシン目状カット部とが交互に連なるように形成したものであることを特徴とする複数列縦型充填包装機。
【請求項2】
前記切り離し線の長尺カット部は、一の前記複数列包装体の全長の3%以上50%以下の長さに形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の複数列縦型充填包装機。
【請求項3】
前記切り離し線のミシン目状カット部は、前記長尺カット部長さの80%以下かつ20mm以下の長さに形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の複数列縦型充填包装機。
【請求項4】
前記切り離し線のミシン目状カット部は、鎖線、破線または点線からなり、線のピッチが0.5~3.0mmの大きさであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の複数列縦型充填包装機。
【請求項5】
一対の前記横シールロールの上流側近傍の位置に、前記切り離し縦シール部の位置に対応して配置された太鼓形ロール対を備える一対のシワ予防ロールを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の複数列縦型充填包装機。
【請求項6】
四方が縦シール部と横シール部とによって囲繞されてなる包装袋内に被包装物が充填されてなるプラスチックフィルム製の充填包装体が幅方向に複数列でつながってなる複数列包装体であって、
この複数列包装体は、前記充填包装体を幅方向に仕切るべく縦方向に設けられた切り離し縦シール部を有し、該切り離し縦シール部は、その幅方向中央部に、縦全長にわたって延在する切り離し線が設けられ、
その切り離し線は、長尺カット部とミシン目状カット部とが交互に複数形成されたものにて構成されていることを特徴とする複数列包装体。
【請求項7】
前記切り離し線の長尺カット部はそれぞれ、前記複数列包装体の全長の3%以上50%以下の長さを有することを特徴とする請求項6に記載の複数列包装体。
【請求項8】
前記切り離し線のミシン目状カット部はそれぞれ、前記カット部長さの80%以下かつ20mm以下であることを特徴とする請求項7に記載の複数列包装体。
【請求項9】
前記切り離し線のミシン目状カット部は、鎖線、破線または点線からなり、線のピッチが0.5~3.0mmであることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の複数列包装体。
【請求項10】
前記切り離し線のミシン目状カット部は、前記切り離し縦シール部が前記横シール部と合流する位置近傍に配置されていることを特徴とする請求6~9のいずれか1項に記載の複数列包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチックフィルムからなる包装袋内に、液状や粘稠状、粉粒状、固形状等、またはそれらの混合物からなる被包装物を、幅方向に並列して区画された領域内にそれぞれ充填包装してなる複数列包装体の縦型充填包装機および複数列包装体に関する。とくに、本発明は、複数の充填包装体を幅方向に仕切るべく縦方向に設けられた切り離し縦シール部に付加された切り離し構造に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数列包装体(画成された複数の充填室を有する包装体)は、シャンプーとコンディショナー、ケチャップとマスタードなど異なる種類のものを一対にして提供する場合や、包装体を複数回分まとめて提供する場合等に多く利用されている。
【0003】
このような複数列包装体は、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されたような、軟質のプラスチックフィルムを袋状に成形しながら複数列で同時に並行して充填包装することのできる縦型の複数列充填包装機によって製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-312685号公報
【特許文献2】実開昭60-193004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1および引用文献2の複数列充填包装機によって、複数の包装体を並列(幅方向)につながったまま製造しようとすると、横シールの際に、隣接し合う包装体の横シール部同士が相互に幅方向に広がろうとするが、干渉し合って横方向に広がることができず、横シール部内に縦シワとなって現れ、被包装物が横シール部内に噛み込まれたり、前記縦シワを通って被包装物が漏れ出すという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明では、横シール部に縦シワを発生することなく、被包装物の充填包装体を並列につながったまま製造することのできる複数列充填包装機および該複数列充填包装機によって製造される複数列包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を、複数列で同時に連続して製造する複数列縦型充填包装機であって、
長手方向に連続して繰り出され、幅方向に折り返して使用される1枚のプラスチックフィルムの両側部、または、連続して繰り出される2枚のプラスチックフィルムの両側部をそれぞれ長手方向に連続して縦シールして2本の側部縦シール部を形成すると共に、2本の該側部縦シール部間の1以上の位置を、長手方向に沿って連続して縦シールすることにより区画された複数列の筒状充填室を形成する切り離し縦シール部を連続的に形成する一対の縦シールロールと、
前記切り離し縦シール部の幅方向中央位置にそれぞれ、連続して切り離し線を形成する一対のロールカッターと、
区画形成された複数列の前記筒状充填室の全幅に対し、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールすることにより、充填包装体を複数列で同時に製袋していく一対の横シールロールと、
を備えるものにおいて、
前記ロールカッターは、前記切り離し線が、長尺カット部とミシン目状カット部とが交互に連なるように形成したものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の縦型充填包装機においては、
(1)前記切り離し線の長尺カット部は、一の前記複数列包装体の全長の3%以上50%以下の長さに形成されたものであること、
(2)前記切り離し線のミシン目状カット部は、前記長尺カット部長さの80%以下かつ20mm以下の長さに形成されたものであること、
(3)前記切り離し線のミシン目状カット部は、鎖線、破線または点線からなり、線のピッチが0.5~3.0mmの大きさであること、
(4)一対の前記横シールロールの上流側近傍の位置に、前記切り離し縦シール部の位置に対応して配置された太鼓形ロール対を備える一対のシワ予防ロールを有すること、
が好ましい。
【0009】
また、本発明は、四方が縦シール部と横シール部とによって囲繞されてなる包装袋内に被包装物が充填されてなるプラスチックフィルム製の充填包装体が幅方向に複数列で連なってなる複数列包装体であって、
この複数列包装体は、前記充填包装体を幅方向に仕切るべく縦方向に設けられた切り離し縦シール部を有し、該切り離し縦シール部は、その幅方向中央部に、縦全長にわたって延在する切り離し線が設けられ、
その切り離し線は、長尺カット部とミシン目状カット部とが交互に複数形成されたものにて構成されていることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明の複数列包装体においては、
(1)前記切り離し線の長尺カット部はそれぞれ、前記複数列包装体の全長の3%以上50%以下の長さを有すること、
(2)前記切り離し線のミシン目状カット部はそれぞれ、前記カット部長さの80%以下かつ20mm以下であること、
(3)前記切り離し線のミシン目状カット部は、鎖線、破線または点線からなり、線のピッチが0.5~3.0mmであること、
(4)前記切り離し線のミシン目状カット部は、少なくとも前記切り離し縦シール部が前記横シール部と合流する位置近傍に配置されていること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、重ね合わせたプラスチックフィルムに一対の縦シールロールを使って、両側部にそれぞれ側部縦シール部を形成すると共に、幅方向の1以上の位置に、長手方向に連続的に切り離し縦シール部を形成して複数列からなる筒状充填室を形成し、次いで、その直下位置で、前記切り離し縦シール部の幅方向中央位置に、長手方向に一対のロールカッターによって長尺カット部とミシン目状カット部とが交互に複数、連なる切り離し線を形成することで、その後、複数列からなる前記筒状充填室のそれぞれに被包装物を充填しながら、一対の横シールロールによって横シールする際に、前記長尺カット部が、並列に連なる複数の筒状充填室の相互の拘束を緩和し、幅方向(横方向)への自由な変形を可能とすることで、横シール部内への被包装物の挟み込みと縦シワの発生を効果的に抑制することができる。
【0012】
とくに、本発明によれば、前記長尺カット部がそれぞれ、一の複数列包装体の全長の3%以上50%以下の長さを有することで、複数の並列に連なる筒状充填室の幅方向への自由な変形を可能とし、横シール部内への縦シワの発生をより一層、抑制することができると共に、前記長尺カット部を始点として手指で引っ張ることで、前記ミシン目状カット部を容易に切断して、複数列包装体から、一の充填包装体を簡単に切り離すことができる。
【0013】
なお、複数列包装体からの一の充填包装体の、切り離しの容易さは、前記ミシン目状カット部をそれぞれ、一の前記長尺カット部の80%以下かつ20mm以下にした場合により一層、効果的に発揮され、また、この範囲内とすることで、並列に連なる複数の筒状充填室の相互の拘束を効果的に緩和することができ、横シール部内への縦シワの発生を抑制することができる。
【0014】
また、本発明によれば、前記ミシン目状カット部を、鎖線、破線または点線によって構成し、線のピッチ(線の長さと線同士の間隔)を0.5~3.0mmとすることで、複数列包装体からの一の充填包装体の切り離しに際し、引き裂きがミシン目状カット部(鎖線、破線または点線)に沿って行われることになり、引き裂きが不測の方向に伝播することがなく、充填包装体が意図せず破断等するのを阻止することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、前記一対の横シールロール上流の近傍位置に、前記切り離し縦シール部位置に対応して配置されたロール対を備える一対のシワ予防ロールを設けることで、横シールロールに向かう複数列の筒状充填室の、前記切り離し縦シール部を前記太鼓形ロール対によって表裏(前後)から挟持して、該切り離し縦シール部の両縁部およびその近傍を平らに伸ばすことができ、この状態のまま一対の横シールロールに送り出して横シールを行うことができるため、横シール部内への縦シワ、とくに切り離し縦シール部近傍の横シール部内の縦シワの発生を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の複数列縦型充填包装機の一実施形態を示す模式図である。
図2】本発明の複数列縦型充填包装機の他の実施形態を示す(a)部分拡大図、(b)シワ予防ロールを上から見た模式図である。
図3】本発明の複数列包装体の一実施形態を示す図である。
図4】切り離し縦シール部に設けられた切り離し線の実施形態を示す図であり、(a)はミシン目状カット部が二点鎖線、(b)は破線、(c)は点線からなる場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、この発明に係る複数列充填包装機の一実施形態を示す模式図であり、図2は、この発明に係る複数列充填包装機の他の実施形態を示す部分拡大図であり、図3は、本発明の複数列充填包装機によって製造された一の複数列包装体Pを示す図であり、以下、図面に示すところに基づいて、この発明について説明する。
【0018】
図1に示す複数列縦型充填包装機では、例えば、一軸もしくは二軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム層やナイロン樹脂フィルム層等からなるベースフィルム層と、無延伸のポリエチレン層やポリプロピレン層等からなるシーラント層と、アルミ箔等の金属箔層を積層してなるプラスチックフィルムFが巻回されているフィルムロールRから、該プラスチックフィルムFを、上方から下方に向かって連続的に繰り出し走行させながら、その走行中にガイドロッド1で案内しつつ、プラスチックフィルムFを、シーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返し、その両側端部同士を重ね合わせる。
【0019】
次に、前後で1対の縦シールロール2(水平面内で、図の前後方向で平行に延在する。図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)によって上記のように折り返して重ね合わせたプラスチックフィルムFの両側端部および該両側端部の間に所定の間隔をあけて1もしくは複数個所(図では1つ)を挟持しつつ、該縦シールロール2によって加熱、加圧することで、縦シールロール2の回転下で、そのシーラント層どうしを長手方向(縦方向)に連続して融着接合させる。
【0020】
ここで一対の縦シールロール2は、それらを相互に逆向きに等速で回転駆動させる、一の駆動モータおよび歯車機構(図示しない)と、一方(前方側)の縦シールロール2の両端部を軸受け支持する軸受けブロックを、他方(後方側)の縦シールロール2を軸受け支持する軸受けブロックに向けて押圧する一対の、たとえばエアシリンダを備えている。
【0021】
このような一対の縦シールロール2はそれぞれ所定の間隔をおいて外周面に1以上の環状のシールバー2A、2B、2Cを有するとともに、該シールバー2A、2B、2Cの加熱に寄与するヒータを内蔵している。
【0022】
一対の縦シールロール2は、図示しない一対のシリンダによって前方側の縦シールロール2を後方側の縦シールロール2に向けて押圧することで、プラスチックフィルムFの重ね合わせ側端部および折返し端部を両シールバー2A、2C間に挟持して加熱、加圧して融着させて側部縦シール部4を形成すると共に、シールバー2BによってプラスチックフィルムFの幅方向略中央位置を挟持して、加熱、加圧して融着させて切り離し縦シール部5を形成し、2列の筒状充填室6、6’を形成する。また、縦シールロール2は、回転に基づいて該筒状充填室6、6’を図の下方側へ繰り出し走行させる。なお、本実施形態では、2列の筒状充填室6、6’を形成する場合を一例として示しているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、シールバーを幅方向に所要の間隔をあけてさらに複数設けて、複数列(3列以上)の筒状充填室を形成してもよい。
【0023】
また、他の実施形態として、筒状充填室6、6’は、上記のように1枚の長尺のプラスチックフィルムFを幅方向に折り返して形成する他、2つのフィルムロールRを使ってそれぞれ繰り出された2枚のプラスチックフィルムFを重ね合わせ、その両側端部を長手方向に加熱および加圧して側部縦シール部4を設けることにより形成してもよい。
【0024】
次に、1対のロールカッター7によって、2列の筒状充填室6、6’を幅方向につなぐ(区画する)切り離し縦シール部5の幅方向中央位置に、切り離し線8を長手方向に連続して形成する。切り離し線8は、図3に拡大して示すように長尺カット部8aと、該長尺カット部8aよりも短尺のミシン目状カット部8bとが交互に連なるように設けられている。
【0025】
1対のロールカッター7は、少なくとも一方がカメロンカッターなどの丸刃からなることが好ましく、カッター刃表面は、切り離し縦シール部5上に長尺カット部8aと、ミシン目状カット部8bとを交互に形成するように複数のスリットが形成されている。
【0026】
続いて、各筒状充填室6、6’の内側へ、それぞれ図示しないタンクから図示しないポンプおよび供給路を介して供給された被包装物Mが、充填ノズル11a、11bから連続的に充填されると共に、1対の横シールロール10によって走行する複数列の筒状充填室6、6’を幅方向につなげたまま全幅にわたって挟持し、該筒状充填室6、6’の長手方向に所定の間隔をおいて、充填された被包装物を絞り出しながら、その絞り出し位置を加熱および加圧して横シール部12を形成する。これにより、複数(図では2つ)の充填包装体20が切り離し縦シール部5によって幅方向につながってなる複数列包装体Pが、プラスチックフィルムFの長手方向につながった状態で連続して製造される。
【0027】
このとき、筒状充填室6、6’は、1対の横シールロール10によって挟持された際に、切り離し縦シール部5に設けられた切り離し線8の長尺カット部8aによって、幅方向(横方向)に変形(広がる)することができ、そのため、横シール部12内への被包装物の挟み込みと、縦シワの発生を効果的に抑制することができる。
【0028】
図2(a)は、本発明の縦型充填包装機の他の実施形態を示す部分拡大図であり、ロールカッター7と横シールロール10との間に、前後で1対のシワ予防ロール9(水平面内で、図の前後方向で平行に延在する。図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)を有している。なお、1対のシワ予防ロール9は、横シールロール10の上流側近傍に位置し、複数列の筒状充填室6、6’の、切り離し縦シール部5に対応する位置に前後で1対の太鼓形ロール対9aを有している。
【0029】
太鼓形ロール対9aは、図2(b)の上から見た模式図から分かるように幅方向(図の左右方向)中央部に向かって大径となる太鼓形からなり、該大径の中央部によって、少なくとも切り離し縦シール部5およびその近傍を前後から挟持するように構成されている。切り離し縦シール部5の両縁部およびその近傍は、太鼓形ロール対9aによって圧し潰されて薄く平坦な形状となり、その形状を維持したまま、一対の横シールロール10へと送り出されて横シールが行われることになる。これは、圧し潰しによって変形された包装用フィルムや被包装物が元の状態(元の位置)に戻るまでに遅れを生じるためと推察される。したがって、1対のシワ予防ロール9を設けることで、切り離し縦シール部5の両縁部およびその近傍を平坦な形状のまま横シールすることができるため、横シール部12内への縦シワ、とくに切り離し縦シール部5近傍の横シール部12内(切り離し縦シール部5と横シール部12の交差位置)の縦シワの発生を効果的に防止することができ、上記切り離し縦シール部5に設けられた切り離し線8(長尺カット部8a)との組み合わせによって、より効果的に横シール部12内への縦シワの発生を防止することができる。
【0030】
なお、1対の横シールロール10は、図の前後方向に平行に延在させてあり(図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)、歯車組を介してモータで互いに逆向きにかつ等速で回転駆動するものである。例えば、該横シールロール10については、その外周面上に等間隔に位置し、軸線方向へ延在する複数本のヒートシールバー13を有し、対向するヒートシールバー13同士によって筒状充填室6、6’を挟持し、加熱することで、筒状充填室6、6’の走行方向と直交する方向に、その全幅にわたって横シール部12を形成することができる。
【0031】
横シール手段は、1対の横シールロールを2段で設けてもよく、その場合には、1段目で筒状充填室6、6’を加熱、加圧して横シール部12を形成し、2段目で該横シール部12部分を冷却されたシールバーによって押さえ付けることで、横シール部12を定着させて安定化させることができる。
【0032】
横シールロール10において連続して製袋された複数列包装体Pは、ロータリーカッター等による切断装置15によって横シール部12を、走行方向の略中間位置で全幅でカットして一体ずつに切り離し、図3に示す一の複数列包装体Pとして搬出したり、横シール部12にミシン目を入れて複数体を走行方向につなげた状態で搬出することもできる。
【0033】
上記のようにして製造された一の複数列包装体Pは、図3に示すように2つの充填包装体20が切り離し縦シール部5を介して並列してつながった状態からなり、各充填包装体20は、切り離し縦シール部5の幅方向中央位置に全長にわたって設けられた切り離し線8を介して切り離し可能となっている。
【0034】
切り離し線8は、上記したように長尺カット部8aとミシン目状カット部8bとが交互に複数連なって形成されてなり、長尺カット部8aをそれぞれ、一の複数列包装体Pの全長(袋長さ)の3%以上50%以下の長さとした場合に、前記したように横シールロール10による横シールの際に、並列する筒状充填室6、6’の幅方向(横方向)への拘束を緩和することができ、各筒状充填室6、6’を自由に移動させて横シール部12内への縦シワの発生を抑制することができる。
【0035】
また、切り離し線8は、長尺カット部8aを起点として手指で引き裂くことで、複数列包装体Pから一の充填包装体20を簡単に切り取ることができる。
【0036】
一方、ミシン目状カット部8bはそれぞれ、長尺カット部8aの長さの80%以下かつ20mm以下とすることで、並列する筒状充填室6、6’の幅方向への拘束を緩和することができると共に、切り離し線8に沿った引き裂きを容易に行うことができる。なお、ミシン目状カット部8bは、流通時や取り扱い時等において、切り離し線8が不測に切断されることを阻止するため、2mm以上とすることが好ましい。
【0037】
また、切り離し線8は、ミシン目状カット部8bが、少なくとも切り離し縦シール部5の上下端部(横シール12と合流する位置近傍)に位置するように形成することが好ましく、これによれば切り離し線8が意図せず切断されることを防止することができる。
【0038】
また、ミシン目状カット部8bは、図4に示すように(a)二点鎖線、(b)破線、(c)点線とすることができ、いずれも線もピッチ(線の長さおよび線同士の間隔)を0.5~3.0mmとすることで、複数列包装体Pから、一の充填包装体20を切り離す際に、ミシン目状カット部8を所期した方向に引き裂くことができ、該引き裂きが不測の方向に伝播することがなく、複数列包装体P(充填包装体20)が意図せず破断等するのを阻止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の複数列充填包装機および複数列包装体は、飲食物や調味液、医薬品、化学品等の液状物、粘稠物、粉・粒状物、流動性を有する固形物、もしくはそれらの混合物からなる被包装物を充填してなる充填包装体を複数列で並列してつなげたまま製造する際に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ガイドロッド
2 縦シールロール
2A、2B、2C シールバー
4 側部縦シール部
5 切り離し縦シール部
6、6’ 筒状充填室
7 ロールカッター
8 切り離し線
8a 長尺カット部
8b ミシン目状カット部
9 シワ予防ロール
9a 太鼓形ロール対
10 横シールロール
11a、11b 充填ノズル
12 横シール部
13 ヒートシールバー
15 切断装置
20 充填包装体
R フィルムロール
F プラスチックフィルム
P 複数列包装体
M 被包装物
図1
図2
図3
図4