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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056245
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】オンライン会議スペース構築システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20230412BHJP
   H04N 7/15 20060101ALI20230412BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20230412BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20230412BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
H04N7/18 U
H04N7/15
A47B96/04 B
A47C7/62 Z
A47C7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165485
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】新居 貴志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】高村 恵花
(72)【発明者】
【氏名】水谷 悠紀
【テーマコード(参考)】
3B084
5C054
5C164
【Fターム(参考)】
3B084JC00
3B084JD06
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA09
5C054FC12
5C054FD07
5C054HA25
5C164FA10
5C164GA07
5C164VA05P
5C164VA06P
(57)【要約】
【課題】共有執務スペース内の参加者と共有執務スペース外の外部参加者との間でオンライン会議を行うのに適したオンライン会議スペース構築システムを提供することを目的とする
【解決手段】複数の執務者Pが執務を行う共有執務スペース10に配置されるオンライン会議スペース構築システム20であって、移動可能な椅子32と、水平方向において椅子の周りの一部を遮蔽するパネル36とを有し、パネルが前記椅子と共に移動可能なように椅子と一体化された、複数のパネル付椅子30と、前記複数のパネル付椅子のうちの少なくとも1つに着座した執務者を撮影するカメラ56を有するカメラユニット50と、を備え、共有執務スペースの少なくとも一部において、パネルによってオンライン会議を行うためのスペース10Sを構築できるように、複数のパネル付椅子を配置可能である、オンライン会議スペース構築システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の執務者が執務を行う共有執務スペースに配置されるオンライン会議スペース構築システムであって、
移動可能な什器と、水平方向において前記什器の周りの一部を遮蔽するパネルとを有し、前記パネルが前記什器と共に移動可能なように前記什器と一体化された、複数のパネル付什器と、
前記複数のパネル付什器のうちの少なくとも1つを利用する執務者を撮影するカメラを有するカメラユニットと、
を備え、
前記共有執務スペースの少なくとも一部において、前記パネルによってオンライン会議を行うためのスペースを構築できるように、前記複数のパネル付什器を配置可能である、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項2】
請求項1に記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記パネル付什器が、前記什器と共に移動可能なように前記什器と一体化されたスピーカをさらに有する、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項3】
請求項1記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記什器を利用する執務者に対して指向性を有する指向性スピーカをさらに備える、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記共有執務スペース外からのオンライン会議への外部参加者に関する画像を表示する表示装置をさらに備える、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項5】
請求項4に記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記表示装置は、投影媒体に画像を投影するプロジェクタ装置を含む、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記カメラは、前記カメラユニットの周りに位置する複数のパネル付什器のうちの少なくとも2つを撮像する広角カメラである、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記カメラユニットは、前記カメラと、マイクと、オンライン会議用端末装置とが一体化されたユニットである、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記カメラよりも上に位置する覆い部をさらに備える、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
マイクをさらに備えるオンライン会議スペース構築システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記什器は椅子であり、
前記パネルは、前記椅子の背面側に固定される、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記什器を利用する執務者の上方に位置する庇部をさらに備える、オンライン会議スペース構築システム。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載のオンライン会議スペース構築システムであって、
前記パネル付什器は、前記什器を支えた状態で床上を移動するキャスタを有する、オンライン会議スペース構築システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オンライン会議のためのスペースを構築する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、通信ネットワークを介した会議の端末として、ユーザの身体に装着されるウェアラブル端末装置等のコンピュータを用いることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-024556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、会社等の組織体における打合せは、複数の執務者によって共有される共有執務スペースにおいてなされることがある。共有執務スペースにおいて打合せがなされることで、組織体内における雰囲気を感じつつ打合せを行うことができる。また、スペースの有効利用も可能となる。
【0005】
近年、オンライン会議が普及しており、共有執務スペース内の参加者と共有執務スペース外の参加者との間でオンライン会議を行う場合においても、同様のメリットを享受できるようにすることが望まれる。
【0006】
そこで、本開示は、共有執務スペース内の参加者と共有執務スペース外の外部参加者との間でオンライン会議を行うのに適したオンライン会議スペース構築システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、オンライン会議スペース構築システムは、複数の執務者が執務を行う共有執務スペースに配置されるオンライン会議スペース構築システムであって、移動可能な什器と、水平方向において前記什器の周りの一部を遮蔽するパネルとを有し、前記パネルが前記什器と共に移動可能なように前記什器と一体化された、複数のパネル付什器と、前記複数のパネル付什器のうちの少なくとも1つに着座した執務者を撮影するカメラを有するカメラユニットと、を備え、前記共有執務スペースの少なくとも一部において、前記パネルによってオンライン会議を行うためのスペースを構築できるように、前記複数のパネル付什器を配置可能とされている。
【発明の効果】
【0008】
このオンライン会議スペース構築システムによると、共有執務スペース内の参加者と共有執務スペース外の外部参加者との間でオンライン会議を行うのに適したオンライン会議スペース構築システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1はオンライン会議スペース構築システムを示す説明図である。
図2図2はオンライン会議システムの電気的構成を示すブロック図である。
図3図3は共有執務スペースにおけるオンライン会議スペースの構築例を示す説明図である。
図4図4は広角カメラによる撮像画像の一例である。
図5図5は変形例に係るパネル付椅子を示す斜視図である。
図6図6はパネル付椅子及びセンターユニットの配置例を示す説明図である。
図7図7はセンターユニットの配置例を示す説明図である。
図8図8はパネル付椅子及びセンターユニットの配置例を示す説明図である。
図9図9はパネル付椅子の配置例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
{実施形態}
以下、実施形態に係るオンライン会議スペース構築システムについて説明する。
【0011】
<全体構成>
オンライン会議スペース構築システムの全体構成について説明する。図1はオンライン会議スペース構築システム20を示す説明図である。なお、図1において、共有執務スペース外からのオンライン会議への外部参加者Peが図示されている。
【0012】
オンライン会議スペース構築システム20は、複数の執務者が執務を行う共有執務スペース10に配置される。ここで、共有執務スペース10は、複数の執務者の共用執務設備が配置され、複数部署の執務者が多用途で共用執務設備及びスペースを分け合って使うスペースである。共用執務設備としては、共用机、共用椅子等が想定される。共用設備が配置される代りに、共有執務スペースには、執務者の専用設備、例えば、執務者の専用机、椅子が無いことが考えられる。共有執務スペース10においてなされる執務としては、大小多様な人数の会議、発表会、少人数の面談、休憩等が考えられる。共有執務スペース10に配置される共用机、共用椅子が移動可能であれば、集合人数、集合グループ数に応じて、共用机、共用椅子を移動させることができる。これにより、共有執務スペース内において、スペース及び設備を分け合って、複数のグループがグループ毎に執務を行うことができる。共有執務スペース10は、壁によって仕切られた部屋では無く、通路又は他の執務スペースに対して開放された空間であってもよい。
【0013】
上記執務は、職業又は営業上の業務だけではなく、学校又は図書館等における学習、実技、読書等を含む広い活動全般を指す。例えば、執務は、机上での作業、座ったまま又は立ち止ったままなされ得る各種活動全般を意味する。
【0014】
上記のような共有執務スペース10は、営利、非鋭利を問わず各種団体において複数人が執務を行うオフィススペース、待合ロビーに設けられることがある。また、共有執務スペース10は、教育施設における教室、図書館に設けられることも考えられる。
【0015】
オンライン会議スペース構築システム20は、複数のパネル付椅子30(パネル付什器)と、センターユニット50とを備える。
【0016】
パネル付椅子30は、椅子32と、パネル36とを有する。
【0017】
椅子32は、執務者Pが着座可能な椅子である。椅子32は、床12には固定されておらず、分離可能である。このため、椅子32は、共有執務スペース10内において移動可能である。
【0018】
パネル36は、重力方向に直交する水平方向において椅子32の周りの一部を遮蔽する板状部分である。パネル36は、椅子32と共に移動可能なように当該椅子32と一体化されている。
【0019】
センターユニット50は、カメラ56を有している。カメラ56は、複数のパネル付椅子30のうちの少なくとも1つに着座した執務者Pを撮影する。本実施形態において、センターユニット50は、カメラユニットの一例である。
【0020】
上記パネル付椅子30は、椅子32とパネル36とが一体化された状態で移動可能である。このため、共有執務スペース10の少なくとも一部において、パネル36によって共有執務スペース10を仕切った状態で、オンライン会議を行うためのスペース10Sを構築できるように、複数のパネル付椅子30を配置することができる。例えば、センターユニット50の周りに複数のパネル付椅子30を配置することができる。この際、パネル36を椅子32に着座した執務者Pの後方に配置することができる。これにより、センターユニット50の周りに、複数のパネル36によって仕切られたオンライン会議スペース10Sを構築できる。
【0021】
オンライン会議のためのオンライン会議端末60は、パネル付椅子30又はセンターユニット50が有していてもよいし、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の装置として準備されてもよい。本実施形態では、センターユニット50がオンライン会議端末60を有する例が説明される。
【0022】
オンライン会議のためのマイクは、パネル付椅子30又はセンターユニット50が有していてもよいし、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の装置として準備されてもよい。本実施形態では、センターユニット50がマイク58を有する例が説明される。
【0023】
オンライン会議のためのスピーカは、パネル付椅子30又はセンターユニット50が有していてもよいし、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の装置として準備されてもよい。本実施形態では、パネル付椅子30がスピーカ40を有する例が説明される。
【0024】
オンライン会議のための表示装置は、パネル付椅子30又はセンターユニット50が有していてもよいし、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の装置として準備されてもよい。本実施形態では、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の表示装置70が準備される。当該表示装置70に、外部参加者Peに関する画像が表示される。外部参加者Peに関する画像は、例えば、当該外部参加者Peを撮像した画像である。外部参加者Peに関する画像は、当該外部参加者Peが提供する会議資料であってもよい。オンライン会議のための表示装置は、必須ではなく、省略されてもよい。
【0025】
なお、外部参加者Peは、共有執務スペース10から離れた場所からオンライン会議に参加する。例えば、外部参加者Peは、共有執務スペース10とは別のオフィス、自宅等からオンライン会議に参加する。外部参加者Peは、例えば、ノートパソコン等のパーソナルコンピュータ又はスマートフォンを、オンライン会議端末90として利用して、オンライン会議に参加する。
【0026】
パネル付椅子30、センターユニット50及び表示装置70についてより具体的に説明する。
【0027】
<パネル付椅子>
パネル付椅子30は、椅子32とパネル36とを有する。
【0028】
椅子32は、例えば、座部33と背もたれ部34とを有する。座部33上に執務者Pが座ることができる。背もたれ部34は、座部33の周囲の一部に鉛直方向又は鉛直方向に対して斜め姿勢で延びる板状部分である。執務者Pは、背中を背もたれ部34に向けた姿勢で、座部33に着座することができる。
【0029】
本実施形態では、パネル付椅子30は、椅子32を支えた状態で床12の上を移動するキャスタ35を有する。例えば、3つ以上のキャスタ35が椅子32の底部に取付けられる。キャスタ35は、車輪又は球体等の転動体を有している。キャスタ35の転動体が床12を転がることによって、パネル付椅子30が床12上を容易に移動することができる。キャスタ35は、省略されてもよい。
【0030】
パネル36は、水平方向においてオンライン会議スペース10Sとその周りとを仕切る板状部分である。つまり、パネル36は、一種の簡易的な間仕切である。パネル36は、例えば、椅子32の背面側に固定される。本実施形態では、パネル36は、背もたれ部34の背面側に鉛直姿勢で固定される。背もたれ部34は、斜め姿勢であってもよい。背もたれ部34は、背もたれ部34の上側延長上に支持されていてもよい。
【0031】
パネル36は、多孔質な材料等によって形成された吸音パネルであることが好ましい。パネル36が吸音パネルであれば、パネル36によって仕切られたオンライン会議スペース10Sとその周りとの間で音漏れがより効果的に抑制される。また、オンライン会議スペース10S内で音の反響が抑制される。なお、パネル36が吸音パネルであることは必須ではない。
【0032】
本実施形態において、パネル付椅子30は、庇部38を有する。庇部38は、椅子32に着座する執務者Pの上方に位置する。庇部38は、水平姿勢又は当該水平姿勢から傾いた姿勢で延在し、当該執務者Pが存在する空間とその上の空間とを仕切る。パネルは、椅子32の一方側方又は両側方に設けられてもよい。この場合、背面側に位置するパネル36は省略されてもよい。
【0033】
本実施形態では、庇部38は、パネル36の上端部から椅子32の前側に向けて延出している。庇部38は、吸音パネルであってもよいし、吸音パネルでなくてもよい。庇部がパネルによって支持されることは必須ではない。別の支持柱が設けられ、当該支持柱によって庇部が支持されていてもよい。庇部38は、省略されてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、パネル付椅子30は、スピーカ40を有する。スピーカ40は、椅子32と共に移動可能なように当該椅子32と一体化されている。本実施形態では、スピーカ40は庇部38に取付けられており、庇部38及びパネル36を介して椅子32に支持される。
【0035】
本実施形態では、スピーカ40は、椅子32に着座する執務者Pに対して指向性を有する指向性スピーカである。例えば、スピーカ40は、椅子32に着座した執務者Pだけがスピーカ40からの音を聞くことができ、その周りの者、特に、パネル36によって仕切られた外側の領域に居る者には音が聞えない(又は執務の邪魔にならない程度の音が聞える)指向性を有することが好ましい。かかるスピーカ40としては、例えば、間の耳には聞こえずかつ指向性が高い超音波を搬送波として、可聴域の音を伝送するパラメトリックスピーカを利用することができる。スピーカ40は、例えば、庇部38から下方に向けた指向性を示すように、庇部38に支持される。この場合、椅子32に着座する執務者Pの身長が変っても、当該執務者Pの頭部は、スピーカ40が示す指向性の範囲F内に位置することが考えられるため、各種体格の執務者Pに対して音を伝送し易い。なお、スピーカは、背もたれ部34、座部33、パネル36等に支持されてもよい。スピーカが指向性スピーカであることは必須ではない。
【0036】
<センターユニット>
センターユニット50は、上記したように、カメラ56を有するカメラユニットの一例である。
【0037】
本実施形態では、センターユニット50は、センターユニット本体52と、カメラ56とを有する。本実施形態では、センターユニット50は、さらに、覆い部54と、マイク58と、オンライン会議端末60とを有する。
【0038】
センターユニット本体52は、カメラ56、覆い部54、マイク58、オンライン会議端末60等を支持するベースとなる部分である。センターユニット本体52は、例えば、執務者Pの膝から胸の高さ程度の立体形状に形成される。図1では、センターユニット本体52は、上方に向けて徐々に縮径する円錐台形状に形成されている。センターユニット本体52の上面は、水平面であり、当該上面に物体を載置できることが好ましい。センターユニット本体52は、床12上を容易に移動できるように、キャスタを有していてもよい。
【0039】
センターユニット本体52内にオンライン会議端末60が収納される。センターユニット本体52上にカメラ56、マイク58が載置される。センターユニット本体52に覆い部54を支持するための支柱54Pが支持されている。センターユニット本体52が各部を支持する構成は上記例に限られない。センターユニット本体52上にオンライン会議端末60が載置されていてもよい。センターユニット本体52に、カメラ56又はマイク58が分離困難な状態で組込まれていてもよい。
【0040】
センターユニット本体52の構成例は上記例に限られない。例えば、センターユニット本体は、1つ又は複数の支柱によって天板が支持された机であってもよい。
【0041】
カメラ56は、複数のパネル付椅子30のうちの少なくとも1つに着座した執務者Pを撮影するカメラである。本実施形態では、カメラ56は、センターユニット50の周りに位置する複数のパネル付椅子30のうちの少なくとも2つを撮像する広角カメラである。例えば、カメラ56は、魚眼カメラ、又は、当該カメラ56を中心として水平方向において周囲360度の全体を撮影できる360度カメラであってもよい。カメラ56が広角であればあるほど、オンライン会議スペース10Sにおいてオンライン会議に参加する複数の執務者Pをより多く撮像できる。また、カメラ56が広角であればあるほど、共有執務スペース10のうちオンライン会議スペース10Sの周り様子を撮像できる。カメラ56が広角カメラであることは必須ではない。
【0042】
センターユニット50は、カメラ56と、マイク58と、オンライン会議端末60とが一体化されたユニットであることが好ましい。ここで、カメラ56と、マイク58と、オンライン会議端末60とが一体化されているとは、カメラ56と、マイク58と、オンライン会議端末60とをひとまとまりの集合体として、収納したり、移動させたり、利用できる形態とされていることをいう。このため、上記のように、センターユニット本体52にオンライン会議端末60が収納され、カメラ56及びマイク58がセンターユニット本体52上に載置支持されている形態も、センターユニット50が、カメラ56と、マイク58と、オンライン会議端末60とが一体化されたユニットの一例である。センターユニット50に対してカメラ56及びマイク58がネジ止、嵌込構造、クリップ構造等によって支持されていてもよい。
【0043】
覆い部54は、カメラ56よりも上に位置している。より具体的には、センターユニット本体52によって上下方向に沿う姿勢で支柱54Pが支持されている。支柱54Pの上部に覆い部54が支持されている。覆い部54は、例えば、平面視においてセンターユニット本体52の周囲に広がっている。本実施形態では、覆い部54は、平面視において円又は多角形状であり、上記支柱54Pを中心としてその周囲に広がっている。
【0044】
覆い部54によって上方を経由した音もれを抑制できる。この点からすると、覆い部54は、吸音パネルによって構成されていてもよいが、吸音パネルによって構成されることは必須ではない。また、覆い部54によって、オンライン会議スペース10Sを上方において仕切ることができる。
【0045】
マイク58は、オンライン会議スペース10S内の音を集めるマイクである。本実施形態では、マイク58は、範囲制限マイクである。範囲制限マイクとは、集音範囲を制限できるマイクである。範囲制限マイクは、マイク又はセンターユニット50を集音中心として、当該集音中心から所定の距離内を集音範囲Eとし得るマイクであってもよい。集音範囲Eは、センターユニット50周りに複数のパネル付椅子30を配置した場合に、パネル付椅子30に着座する執務者Pの顔が含まれる範囲に設定されるとよい。かかる範囲制限マイクとしては、例えば、複数のマイクと当該複数のマイクからの音声信号に基づいて音源の距離を推定するコンピュータとを含み、推定された音源の距離に基づいて所定の集音範囲の音を集めるマイクユニットを利用することができる。マイク58が範囲制限マイクであることは必須ではない。
【0046】
なお、範囲制限マイクは、カメラユニットに設けられる必要は無く、椅子32に設けられてもよいし、表示装置70に設けられてもよい。
【0047】
カメラユニットがセンターユニット50の形態とされることは必須ではない。カメラユニットは、表示装置と一体化されたり、椅子32と一体化されたり、執務者Pが所持するオンライン会議端末と一体化された形態であってもよい。
【0048】
<表示装置>
表示装置70は、共有執務スペース10外からのオンライン会議への外部参加者Peに関する画像を表示する。表示装置70は、液晶表示装置、有機EL(electro-luminescence)表示装置、ブラウン管表示装置、プロジェクタ表示装置等である。本実施形態では、表示装置70は、プロジェクタ装置72を有する構成である例が示される。プロジェクタ装置72は、投影媒体に画像を投影する装置である。図1では、表示装置70が投影媒体として透過型スクリーン74を有している。プロジェクタ装置72による投影画像が透過型スクリーン74の裏面側から投影される。これにより、透過型スクリーン74の正面側から、投影画像を観察することができる。プロジェクタ装置72を用いることによって、大きい画像を表示することができる。表示装置70がプロジェクタ装置72を有する場合、投影媒体は、正面から光が投影される反射型のスクリーンであってもよい。投影媒体は、表示装置70としてプロジェクタ装置72と一体化されていてもよいし、プロジェクタ装置72とは別体であってもよい。例えば、投影媒体は、スクリーンとして準備された専用品であってもよいし、壁であってもよい。
【0049】
外部参加者Peに関する画像は、例えば、外部参加者Peを撮像した画像である。表示装置70における表示領域74Eは、椅子32に着座した執務者Pの頭部と同程度の高さ領域を含むことが好ましい。換言すれば、表示装置70における表示領域74Eは、外部参加者Peの頭部を、椅子32に着座した執務者Pの頭部と同程度の高さに表示可能な領域であることが好ましい。表示装置70における表示領域74Eは、頭だけで無く、肩、胸、腰等を表示可能な領域であってもよい。これにより、椅子32に着座した執務者Pが、表示装置70における表示領域に表示された外部参加者Peを、同じ程度の目線高さで視認することができる。例えば、表示装置70における表示領域74Eは、パネル付椅子30の背中型のパネル36と同程度の高さ及び幅に広がる領域であってもよい。
【0050】
<オンライン会議システムのブロック図>
図2はオンライン会議システムの電気的構成を示すブロック図である。オンライン会議システムは、オンライン会議スペース10Sに設置されたオンライン会議端末60を備える。オンライン会議端末60は、例えば、プロセッサ61と、記憶装置62等を備えるコンピュータによって構成される。プロセッサ61は、プログラムに従って演算処理を実行する電気回路を備える。記憶装置62は、磁気記録媒体、フラッシュメモリ等の不揮発メモリである。記憶装置62に、オンライン会議端末60がオンライン会議を行うための手順を定める会議用プログラム62aが記憶されている。プロセッサ61が会議用プログラム62aに基づいて演算処理を実行することで、オンライン会議端末60が広角カメラ56、範囲制限マイク58、指向性スピーカ40及び表示装置70をマンマシンインターフェースとしてオンライン会議のための処理を実行する。
【0051】
上記したように、オンライン会議端末60は、センターユニット50に組込まれる。センターユニット50に一体化される広角カメラ56及び範囲制限マイク58がオンライン会議端末60に接続される。パネル付椅子30に組込まれた指向性スピーカ40及び表示装置70におけるプロジェクタ装置72も、オンライン会議端末60に接続される。オンライン会議端末60と、広角カメラ56、範囲制限マイク58、指向性スピーカ40及び表示装置70との接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。有線接続としては、汎用性が高いUSB規格、専ら映像信号に向けられたHDMI(登録商標)規格、音声信号に向けられた音声入力端子の規格等、接続先となる機器に応じて各種有線接続方式を採用することができる。無線接続としては、Bluetooth(登録商標)規格、Wi-Fi(登録商標)規格等に基づく接続方式を採用することができる。
【0052】
オンライン会議端末60は、ネットワーク98を介して外部参加者Pe側のオンライン会議端末90に通信可能に接続される。ネットワーク98は、中継装置及びインターネット等が含まれる。ネットワーク98には、公衆回線が含まれてもよいし、専用回線が含まれてもよい。ネットワーク98には、Wi-Fi(商標)等の無線LAN(Local Area Network)が含まれてもよい。
【0053】
オンライン会議端末90も、オンライン会議端末60と同様に、プロセッサ91と、会議用プログラム92aを記憶した記憶装置92とを備えるコンピュータによって構成される。オンライン会議端末90は、カメラ93、表示装置94、マイク95及びスピーカ96を備えている。カメラ93、表示装置94、マイク95及びスピーカ96は、オンライン会議端末90に内蔵された構成であってもよいし、無線又は有線によってオンライン会議端末90に接続される構成であってもよい。
【0054】
<使い方の一例>
図3は共有執務スペース10におけるオンライン会議スペース10Sの構築例を示す説明図である。共有執務スペース10は、複数の執務者Pが執務を行うスペースであることから、当該共有執務スペース10に、オンライン会議に参加する参加者と、オンライン会議に参加しない執務者とが存在することが考えられる。図3において、オンライン会議に参加する参加執務者Paと、オンライン会議に参加しない非参加執務者Pbとに区別する。
【0055】
参加執務者Paがオンライン会議スペース10Sを構築するにあたって、1つ又は複数のパネル付椅子30をセンターユニット50の周りに配置する。パネル付椅子30は、参加執務者Paの数に応じて準備されるとよい。センターユニット50の周りには、表示装置70も配置される。パネル付椅子30及び表示装置70は、センターユニット50の周りに均等間隔で配置されてもよい。パネル付椅子30が表示装置70に対してなるべく正面を向くように配置されてもよい。表示装置70の表示領域74Eは、センターユニット50を向くように配置される。パネル付椅子30は、パネル36がセンターユニット50から遠い方を向くように配置される。これにより、センターユニット50の周りにおいてパネル36よりも内側の領域がオンライン会議スペース10Sとして構築される。パネル付椅子30が複数であれば、複数のパネル36によってオンライン会議スペース10Sを囲むことができる。
【0056】
パネル付椅子30は移動可能であるため、1つ又は複数のパネル付椅子30を参加人数に応じた適切な位置に配置することができる。また、周りの非参加執務者Pbの配置に応じて、パネル36による仕切が適した位置となるように、パネル付椅子30を配置することもできる。
【0057】
共有執務スペース10内であってオンライン会議スペース10Sの外側領域に、非参加執務者Pbが存在することが考えられる。非参加執務者Pbは、机200を挟む椅子202に座ったり、机210に向って立っていたりすることが考えられる。非参加執務者Pbは、打合せを行ったり、休憩していたりする。
【0058】
共有執務スペース10内に参加執務者Paと非参加執務者Pbとが混在していても、参加執務者Paの周りの少なくとも一部、本実施形態では、背中側はパネル36によって仕切られている。参加執務者Paと非参加執務者Pbとの間で音もれがし難い。また、オンライン会議スペース10Sの内外がパネル36に視覚的に仕切られるため、周囲の状況が気になり難く、参加執務者Pa及び非参加執務者Pbのいずれも、それぞれの執務に集中し易い。
【0059】
図4は広角カメラ56による撮像画像の一例である。本撮像画像は、外部参加者Peの表示装置94に表示される。撮像画像には、パネル付椅子30に着座する複数の参加執務者Paが表示される。参加執務者Paの後側はパネル36によって遮られているため、参加執務者Paの周辺状況が気になり難い。しかりながら、パネル36は、オンライン会議スペース10Sの周囲を部分的に仕切る。このため、パネル36の周り又は複数のパネル36の隙間には、共有執務スペース10内であってオンライン会議スペース10Sの状態が部分的に写り込む。例えば、パネル付椅子30の後で打合せを行っている非参加執務者Pbが部分的に写り込むことが考えられる。
【0060】
このため、外部参加者Peは、共有執務スペース10における雰囲気を味わいながら、共有執務スペース10内におけるオンライン会議スペース10Sにおけるオンライン会議に参加することができる。
【0061】
<効果等>
以上のように構成されたオンライン会議スペース構築システム20によると、複数のパネル付椅子30が移動することによって、オンライン会議の参加執務者Pa、共有執務スペース10の利用状況等に応じて、共有執務スペース10の少なくとも一部において、オンライン会議を行うためのスペース10Sを構築できる。この際、パネル36によって共有執務スペース10を区切ることによって、共有執務スペース10におけるオンライン会議スペース10Sと周囲スペースを仕切ることができ、パネル36によって周囲スペースへの音もれを抑制できる。また、広角カメラ56によってパネル36越しの風景を撮像することができ、外部参加者Peはパネル36越しの周囲スペースを観察することができる。これにより、外部参加者Peに共有執務スペース10における周囲の雰囲気を感じさせつつ、部分的に仕切られたオンライン会議スペース10Sを形成できる。これにより、共有執務スペース10内の参加執務者Paと共有執務スペース10外の外部参加者Peとの間でオンライン会議を行うのに適したオンライン会議スペース構築システム20を提供できる。
【0062】
例えば、共有執務スペース10においては、執務者が、会議、相談目的等で、目的に応じたグループ単位で集って執務を行うことが一般的である。共有執務スペース10を利用することには、利用目的が自由で気軽な利用が可能であること、利用のための設備(椅子、机等)の配置が自由であること、周りの執務雰囲気を感じながら執務を行えるといった特徴がある。実空間において共有執務スペース10を利用する際には、共有執務スペース10における状況に合わせて、体の向き、姿勢、相手との距離、声の大きさを調整することが可能である。しかしながら、オンライン会議では、外部参加者Peからは周囲の状況が分り難いし、周囲の状況に合わせて、体の向き、姿勢、相手との距離、声の大きさ等を調整することも困難である。
【0063】
本実施形態によると、パネル36によってオンライン会議スペース10Sとその周囲を区切ることによって、音もれを抑制することができるため、体の向き、姿勢、相手との距離、声の大きさ等を調整することが困難であっても、外部参加者Peとの間でオンライン会議を行うために適したオンライン会議スペース10Sを容易に構築できる。また、外部参加者Peがパネル36越しに周囲の雰囲気を感じることで、周囲の状況に応じた発声をし易く、また、共有執務スペース10に所在する執務者Pとの間で仕事上の仲間意識を感じ易い。
【0064】
また、パネル付椅子30がスピーカ40を有していれば、パネル付椅子30に着座する参加執務者Pa毎に、スピーカ40によってオンライン会議中の音声が再生されるため、再生音量が大きくなり過ぎることが抑制される。
【0065】
また、スピーカ40が指向性スピーカ40であれば、周囲スペースへの音もれがより効果的に抑制される。
【0066】
また、本システム20は、外部参加者Peに関する画像を表示する表示装置70を備えるため、参加執務者Paは、外部参加者Peを表示装置70で視認しながらオンライン会議を実行できるため、より臨場感のあるオンライン会議を実行できる。
【0067】
この際、センターユニット50を中心として、参加執務者Paが着座するパネル付椅子30と、外部参加者Peを表示する表示装置70とが配置される。このため、外部参加者Pe及び参加執務者Paがセンターユニット50を中心として会議に参加する臨場感を高めることができる。また、センターユニット50は、オンライン会議を行うための集合目印となる機能を果すこともできる。
【0068】
表示装置70がプロジェクタ装置72を含めば、より大きい画像をオンライン会議スペース10Sに映し出すことができる。
【0069】
また、カメラ56が、少なくとも2つのパネル付椅子30を撮像可能な広角カメラ56であれば、少なくとも2つのパネル付椅子30が写り込んだ撮像画像を外部参加者Peに提供できる。これにより、外部参加者Peは、共有執務スペース10の雰囲気を感じ易い。
【0070】
カメラユニットが、カメラ56とオンライン会議端末60とが一体化されたセンターユニット50であれば、当該センターユニット50を中心に複数のパネル付椅子30のうちの一部又は全部を任意に配置してオンライン会議スペース10Sを構築できる。このため、種々態様のオンライン会議スペース10Sの構築が容易である。
【0071】
また、カメラユニットとしてのセンターユニット50が覆い部54を有していれば、当該覆い部54によって音もれを抑制できる。また、オンライン会議スペース10Sを上からも仕切ることによって、会議室として閉じられた空間を演出することができ、会議場所としての臨場感を高めたり、より収集し易い会議空間を形成したりできる。
【0072】
また、マイクが範囲制限マイク58であれば、オンライン会議スペース10Sの音を集音し、周囲スペースからの雑音を抑制でき、オンライン会議スペース10Sに居る参加執務者Paと外部参加者Peとの間で円滑なオンライン会議を実行できる。
【0073】
また、パネル付椅子30のパネル36が椅子32の背面側に固定されていれば、椅子32に着座する参加執務者Paの後方をパネル36で仕切ることができる。これにより、参加執務者Paの後方を周囲スペースとし、当該参加執務者Paの前方にオンライン会議スペース10Sを構築し易い。
【0074】
パネル付椅子30が庇部38を有していれば、椅子32の上方からの音もれを抑制できる。また、椅子32の上方が仕切られるため、会議に没入しやすい空間を形成し易い。
【0075】
また、パネル付椅子30がキャスタ35を有していれば、パネル付椅子30を容易に移動させることができ、参加人数、周りの状況等に応じて、各種態様のオンライン会議スペース10Sを容易に構築できる。
【0076】
{変形例}
<パネル付椅子、センターユニット及び表示装置に関する変形例>
上記オンライン会議スペース構築システム20を構成するパネル付椅子30、センターユニット50及び表示装置70は、当該システム20における使用を前提として、又は、当該システム20における使用を前提とせず、様々な変形が可能である。
【0077】
例えば、センターユニット50における覆い部54は省略されてもよい。この場合、覆い部54は、センターユニット50とは別のスタンドによって支持された構成であってもよい。
【0078】
センターユニット50におけるマイク58は省略されてもよい。この場合、参加執務者Paのそれぞれに対応してマイクが設けられてもよい。この場合、マイクは、参加執務者Paのそれぞれに供与されたマイクであってもよいし、参加執務者Paのそれぞれが所持するコンピュータに付属するマイクであってもよい。参加執務者Paのそれぞれに供与されるマイクは、マイク単独の形態であってもよいし、ヘッドホンとマイクとが一体化されたヘッドセット、又は、インナーイヤーホンとマイクとが一体化された形態であってもよい。
【0079】
上記したように、カメラユニットは、センターユニット50の形態に組込まれる必要は無い。オンライン会議スペース構築システム20において、センターユニット50が存在することは必須ではない。
【0080】
例えば、オンライン会議端末60は、椅子32、表示装置70、コンピュータ支持用の台等に組込まれていてもよいし、参加執務者Paのそれぞれが所持するコンピュータであってもよい。
【0081】
カメラは、参加執務者Paを別々に撮像してもよい。この場合、カメラは、椅子32のそれぞれにアーム等を介して取付けられていてもよいし、参加執務者Paのそれぞれが所持するコンピュータに組込まれたカメラであってもよい。
【0082】
椅子32におけるスピーカ40は、庇部38ではなく、背もたれ部34等の他の部分に組込まれていてもよい。スピーカ40が省略され、参加執務者Paは、ヘッドホン又はインナーイヤーホンによって会議音声を聞いてもよい。
【0083】
図5に示すように、椅子32がマイク100を有していてもよい。図5では、椅子32のパネル36から着座する参加執務者Paの前方に向けてアーム102が延び出ている。アーム102は、背もたれ部34に支持されていてよい。アーム102の先端部にマイク100が支持されている。アーム102によってマイクが椅子32に着座する参加執務者Paの口前方位置に支持される。
【0084】
パネル付椅子30は、上記した各部の全てを必須の構成としない、次の構成として把握可能である。
【0085】
例えば、椅子32の上方に位置する庇部38にスピーカ40が組込まれた上部スピーカ付椅子として把握可能である。この場合において、パネル36、キャスタ35等は必須ではないし、スピーカ40が指向性スピーカであることは必須ではない。この椅子によると、椅子32毎に上から下方に向けて音を再生することができ、かつ、庇部38によって上方への音もれを抑制することができる。
【0086】
また、スピーカを有する椅子、例えば、無指向性スピーカを有する椅子又は指向性スピーカを有する椅子として把握可能である。スピーカは、庇部38に支持されてもよいし、背もたれ部34に支持されてもよいし、追加されたアーム等によって支持されてもよい。この場合において、パネル36、庇部38、キャスタ35等は必須ではない。スピーカが椅子32に着座する執務者Pの近くで音を発するため、椅子32の周囲への音もれがより有効に抑制される。
【0087】
椅子32の後側のパネル36及びキャスタ35を有するオンライン会議スペース構築用の椅子としても把握可能である。この椅子によって、椅子32の後をパネル36で仕切ったオンライン会議スペース10Sを容易に構築できる。
【0088】
表示装置70は、本システム20専用の装置であってもよいし、汎用的なモニタであってもよい。表示装置70は、他のパネル付椅子30の背もたれ部34又はパネル36に組込まれていてもよい。表示装置70がプロジェクタ装置72である場合、プロジェクタ装置72は、背もたれ部34又はパネル36に像を投影してもよい。
【0089】
スピーカについては、必ずしも椅子に配置される必要はなく、他の什器(例えばパネルや、テーブル、台、スタンドなど)に配置されてもよい。また、スピーカは、天井などの利用者の上部空間や、床などの利用者の下部空間に、独立して配置されてもよい。
【0090】
庇部38については、必ずしも椅子に配置される必要はなく、他の什器(例えばパネルや、テーブル、台、スタンドなど)に配置されてもよい。また、庇部は、天井などの利用者の上部空間に、独立して配置されてもよい。
【0091】
覆い部54は、必ずしもセンターユニットに配置される必要はなく、他の什器(例えばパネルや、椅子、テーブル、台、スタンドなど)に配置されてもよい。また、覆い部は、天井などの利用者の上部空間に、独立して配置されてもよい。
【0092】
上記実施形態では、パネル付什器の一例としてパネル付椅子30について説明したが、パネル付什器については、必ずしも椅子である必要はない。例えば、パネル付什器の他の例として、パネル付の机や台が用いられてもよい。また、パネル付什器の他の例として、板書が可能なボードパネルやディスプレイパネルを備えた什器スタンド等が用いられてもよい。これらの場合、パネルについては、音漏れ抑制の観点から、吸音素材があるものが用いられることが好ましい。
【0093】
<パネル付椅子、センターユニット及び表示装置の利用方法に関する変形例>
上記パネル付椅子30、センターユニット50及び表示装置70は、必ずしもそれらが揃った状態で使用される必要は無い。また、オンライン会議以外の目的で利用されてもよい。
【0094】
例えば、図6に示すように、複数のパネル付椅子30がセンターユニット50周りに配置され、かつ、各パネル付椅子30のパネル36がセンターユニット50を向いた姿勢とされていてもよい。この場合、執務者Pは、センターユニット50に背中を向け、センターユニット50の外周囲に向けた姿勢で、パネル付椅子30に着座する。図6に示す例では、表示装置70は省略されてもよい。
【0095】
この配置例は、各執務者Pが個別の執務を行うのに適する。各執務者Pは、パソコン等を利用してオンライン会議を行ってもよいし、オンライン会議ではない執務を行ってもよい。この場合でも、各執務者Pの背中側がパネル36によって仕切られるため、各執務者Pが集中し易いスペースを形成し易い。
【0096】
図3に示す配置例をオンライン会議モードと称し、図6に示す配置例を個別執務モードと称してもよい。
【0097】
例えば、図7に示すように、センターユニット50の周りに複数の執務者Pが立って集合してもよい。センターユニット50の周りに集合した執務者Pは、オンライン会議を行ってもよいし、センターユニット50周りの執務者Pだけで会議を行ってもよい。オンライン会議を行う場合、センターユニット50周りの執務者Pがオンライン会議を行うために、各執務者Pがヘッドホン又はインナーイヤーを装着してもよいし、センターユニット50にスピーカを設置してもよい。センターユニット50の周りに表示装置70を配置してもよいし、配置しなくてもよい。表示装置70が配置されない場合、外部参加者Peは、声のみでオンライン会議に参加してもよい。この場合、パネル付椅子30を移動したりせず、センターユニット50を利用して気軽に会議を開くことができる。
【0098】
また、例えば、図8に示すように、図3に示す配置例において、表示装置70が省略されてもよい。図8に示す例において、オンライン会議が行われてもよいし、センターユニット50周りの執務者Pだけで会議が行われてもよい。外部参加者Peは、執務者Pが所持するパソコンのモニタに表示されてもよいし、声のみでオンライン会議に参加してもよい。
【0099】
図9に示すように、図8に示す例において、センターユニット50が省略されてもよい。パネル付椅子30に着座する執務者Pは、オンライン会議を行ってもよいし、パネル付椅子30に着座する執務者Pだけで会議を行ってもよい。オンライン会議が行われる場合、パネル付椅子30に着座する執務者Pが所持するコンピュータをオンライン会議端末60としてオンライン会議が行われてもよい。
【0100】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0101】
本開示は下記の各態様を開示する。
【0102】
第1の態様は、複数の執務者が執務を行う共有執務スペースに配置されるオンライン会議スペース構築システムであって、移動可能な什器と、水平方向において前記什器の周りの一部を遮蔽するパネルとを有し、前記パネルが前記什器と共に移動可能なように前記什器と一体化された、複数のパネル付什器と、前記複数のパネル付什器のうちの少なくとも1つを利用する執務者を撮影するカメラを有するカメラユニットと、を備え、前記共有執務スペースの少なくとも一部において、前記パネルによってオンライン会議を行うためのスペースを構築できるように、前記複数のパネル付什器を配置可能である、オンライン会議スペース構築システムである。
【0103】
第1の態様に係るオンライン会議スペース構築システムによると、複数のパネル付き什器が移動することによって、オンライン会議の参加者、共有執務スペースの利用状況等に応じて、共有執務スペースの少なくとも一部において、オンライン会議を行うためのスペースを構築できる。この際、パネルによって共有執務スペースを区切ることによって、共有執務スペースにおけるオンライン会議スペースと周囲スペースを仕切ることができ、パネルによって周囲スペースへの音もれを抑制できる。また、パネル越しに周囲スペースを観察可能とすることによって、共有執務スペースにおける周囲の雰囲気を感じつつ、部分的に仕切られたオンライン会議スペースを形成できる。これにより、共有執務スペース内の参加者と共有執務スペース外の参加者との間でオンライン会議を行うのに適したオンライン会議スペース構築システムを提供できる。
【0104】
第2の態様は、第1の態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記パネル付什器が、前記什器と共に移動可能なように前記什器と一体化されたスピーカをさらに有するものである。これにより、パネル付き什器を利用する執務者毎に、スピーカによってオンライン会議中の音声が再生されるため、再生音量が大きくなり過ぎることが抑制される。
【0105】
第3の態様は、第1の態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記什器を利用する執務者に対して指向性を有する指向性スピーカをさらに備える、この場合、パネル付き什器を利用する執務者毎に、指向性スピーカによってオンライン会議中の音声が再生されるため、周囲スペースへの音もれを抑制できる。
【0106】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記共有執務スペース外からのオンライン会議への外部参加者に関する画像を表示する表示装置をさらに備える。この場合、表示装置に外部参加者に関する画像が表示されるため、より臨場感のある会議スペースを構築できる。
【0107】
第5の態様は、第4の態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記表示装置は、投影媒体に画像を投影するプロジェクタ装置を含む。これにより、大きい画像をオンライン会議スペースに映し出すことができる。
【0108】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記カメラは、前記カメラユニットの周りに位置する複数のパネル付什器のうちの少なくとも2つを撮像する広角カメラとされている。この場合、カメラユニットによってカメラユニット周りの少なくとも2つのパネル付什器を撮像し、撮像画像を外部参加者に提供できる。外部参加者は、共有執務スペースの雰囲気を感じ易い。
【0109】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記カメラユニットは、前記カメラと、マイクと、オンライン会議用端末装置とが一体化されたユニットとされている。この場合、カメラユニットを中心に複数のパネル付什器のうちの一部又は全部を任意に配置してオンライン会議スペースを構築できる。このため、種々態様のオンライン会議スペースの構築が容易である。
【0110】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記カメラよりも上に位置する覆い部をさらに備える。これにより、覆い部によって音もれを抑制できる。
【0111】
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、マイクをさらに備える。この場合、マイクによって、オンライン会議スペースの音を集音し、周囲スペースからの雑音を抑制できる。
【0112】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記什器は椅子であり、前記パネルは、前記椅子の背面側に固定されるものである。これにより、椅子に着座する執務者の後方を、パネルで仕切ることができる。
【0113】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記什器を利用する執務者の上方に位置する庇部をさらに備えるこれにより、執務者の上方からの音もれを抑制できる。
【0114】
第12の態様は、第1から第11のいずれか1つの態様に係るオンライン会議スペース構築システムであって、前記パネル付什器は、前記什器を支えた状態で床上を移動するキャスタを有する。これにより、パネル付什器を容易に移動させることができ、各種態様のオンライン会議スペース構築システムを容易に構築できる。
【0115】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0116】
10 共有執務スペース
10S オンライン会議スペース
20 オンライン会議スペース構築システム
30 パネル付椅子(パネル付什器)
32 椅子
35 キャスタ
36 パネル
38 庇部
40 スピーカ
50 センターユニット
54 覆い部
56 カメラ
58 マイク
60 オンライン会議端末
70 表示装置
72 プロジェクタ装置
74 透過型スクリーン
P 執務者(Pa 参加執務者、Pb 非参加執務者)
Pe 外部参加者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9