(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056247
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】オンライン会話用処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20230412BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20230412BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G08B21/24
G06F3/01 560
G06F3/16 620
G06F3/16 680
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165487
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】新居 貴志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】石塚 美晴
(72)【発明者】
【氏名】水谷 悠紀
【テーマコード(参考)】
5C086
5E555
【Fターム(参考)】
5C086AA60
5C086CA06
5C086CA09
5C086CA28
5C086CB26
5C086CB36
5C086DA19
5C086FA06
5C086FA18
5C086FA20
5E555AA46
5E555AA71
5E555AA76
5E555BA13
5E555BA88
5E555BB13
5E555BC01
5E555BD06
5E555CA47
5E555CB64
5E555DA13
5E555DA23
5E555DA24
5E555DB41
5E555DB53
5E555DC13
5E555DD06
5E555DD08
5E555EA09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】オンライン会話が行われる際に、会話者と同じスペースに居合わせる他者に与える不快感を抑制することを目的とする。
【解決手段】会話者が他の会話者とオンラインで会話を行う際に実行されるオンライン会話用処理システムであって、会話者の音声の大きさに応じた物理量を検出する検出部と、物理量に基づく評価値を、会話者が存在する周囲への影響度に関して設定される条件と比較する処理部と、会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、会話者に対して報知を行う報知部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会話者が他の会話者とオンラインで会話を行う際に実行されるオンライン会話用処理システムであって、
前記会話者の音声の大きさに応じた物理量を検出する検出部と、
前記物理量に基づく評価値を、前記会話者が存在する周囲への影響度に関して設定される条件と比較する処理部と、
前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、前記会話者に対して報知を行う報知部と、
を備えるオンライン会話用処理システム。
【請求項2】
請求項1記載のオンライン会話用処理システムであって、
前記報知部は、前記会話者に対して報知情報を視覚によって認識可能に報知する表示部を含む、オンライン会話用処理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のオンライン会話用処理システムであって、
前記報知部は、前記会話者に対して報知情報を聴覚によって認識可能に報知する音報知部を含む、オンライン会話用処理システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のオンライン会話用処理システムであって、
前記報知部は、前記会話者に対して報知情報を振動によって報知する振動報知部を含む、オンライン会話用処理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のオンライン会話用処理システムであって、
前記報知部は、前記会話者に対して報知情報を発光によって報知する発光報知部を含む、オンライン会話用処理システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のオンライン会話用処理システムであって、
前記報知部は、少なくとも2つの時点における前記物理量に基づいて前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、前記会話者に対して報知を行う、オンライン会話用処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、オンライン会話用処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、音声情報から話し方に関する会話情報を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された前記会話情報に基づいて、前記ユーザに対して通知を行う通知手段とを備える情報処理システムを開示している。通知手段が通知する会話支援情報内容として、ユーザの発声音量が対話者の発声音量よりも大きい場合に、ユーザの発声音量を小さくすることが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オンラインにおける会話は、公共スペース又は複数人によって共有される共有執務スペースにおいてなされることがある。このようなスペースには、会話への参加者ではない他者が居合わせることが考えられる。オンライン会話における発声音量が大きすぎると、そのような他者に不快感を与える可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、オンライン会話が行われる際に、会話者と同じスペースに居合わせる他者に与える不快感を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、オンライン会話用処理システムは、会話者が他の会話者とオンラインで会話を行う際に実行されるオンライン会話用処理システムであって、前記会話者の音声の大きさに応じた物理量を検出する検出部と、前記物理量に基づく評価値を、前記会話者が存在する周囲への影響度に関して設定される条件と比較する処理部と、前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、前記会話者に対して報知を行う報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
オンライン会話が行われる際に、会話者と同じスペースに居合わせる他者に与える不快感を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1はオンライン会議スペース構築システムを示す説明図である。
【
図2】
図2はオンライン会議システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は会話用処理プログラムによる処理例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は評価値を基準値と比較する処理例を説明するための図である。
【
図5】
図5は評価値を基準値と比較する他の処理例を説明するための図である。
【
図6】
図6は表示装置に表示される報知表示の一例を示す図である。
【
図7】
図7はパネル付椅子における報知の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は共有執務スペースにおけるオンライン会議の開催例を示す説明図である。
【
図9】
図9は変形例に係るパネル付椅子を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
{実施形態}
以下、実施形態に係るオンライン会話用処理システムについて説明する。本実施形態では、オンライン会話用処理システムが、下記に説明するオンライン会議スペース構築システムに適用される例が説明される。
【0010】
<オンライン会議スペース構築システムについて>
オンライン会議スペース構築システムの全体構成について説明する。
【0011】
オンライン会議スペース構築システムの全体構成について説明する。
図1はオンライン会議スペース構築システム20を示す説明図である。なお、
図1において、共有執務スペース外からのオンライン会議への外部参加者Peが図示されている。
【0012】
オンライン会議スペース構築システム20は、複数の執務者が執務を行う共有執務スペース10に配置される。ここで、共有執務スペース10は、複数の執務者の共用執務設備が配置され、複数部署の執務者が多用途で共用執務設備及びスペースを分け合って使うスペースである。共用執務設備としては、共用机、共用椅子等が想定される。共用設備が配置される代りに、共有執務スペースには、執務者の専用設備、例えば、執務者の専用机、椅子が無いことが考えられる。共有執務スペース10においてなされる執務としては、大小多様な人数の会議、発表会、少人数の面談、休憩等が考えられる。共有執務スペース10に配置される共用机、共用椅子が移動可能であれば、集合人数、集合グループ数に応じて、共用机、共用椅子を移動させることができる。これにより、共有執務スペース内において、スペース及び設備を分け合って、複数のグループがグループ毎に執務を行うことができる。共有執務スペース10は、壁によって仕切られた部屋では無く、通路又は他の執務スペースに対して開放された空間であってもよい。
【0013】
上記執務は、職業又は営業上の業務だけではなく、学校又は図書館等における学習、実技、読書等を含む広い活動全般を指す。例えば、執務は、机上での作業、座ったまま又は立ち止ったままなされ得る各種活動全般を意味する。
【0014】
上記のような共有執務スペース10は、営利、非鋭利を問わず各種団体において複数人が執務を行うオフィススペース、待合ロビーに設けられることがある。また、共有執務スペース10は、教育施設における教室、図書館に設けられることも考えられる。
【0015】
オンライン会議スペース構築システム20は、複数のパネル付椅子30と、センターユニット50とを備える。
【0016】
パネル付椅子30は、椅子32と、パネル36とを有する。
【0017】
椅子32は、執務者Pが着座可能な椅子である。椅子32は、床12には固定されておらず、分離可能である。このため、椅子32は、共有執務スペース10内において移動可能である。
【0018】
パネル36は、重力方向に直交する水平方向において椅子32の周りの一部を遮蔽する板状部分である。パネル36は、椅子32と共に移動可能なように当該椅子32と一体化されている。
【0019】
センターユニット50は、カメラ56を有している。カメラ56は、複数のパネル付椅子30のうちの少なくとも1つに着座した執務者Pを撮影する。本実施形態において、センターユニット50は、カメラユニットの一例である。
【0020】
上記パネル付椅子30は、椅子32とパネル36とが一体化された状態で移動可能である。このため、パネル36によって共有執務スペース10を仕切った状態で、共有執務スペース10の少なくとも一部において、オンライン会議を行うためのスペース10Sを構築できるように、複数のパネル付椅子30を配置することができる。例えば、センターユニット50の周りに複数のパネル付椅子30を配置することができる。この際、パネル36を椅子32に着座した執務者Pの後方に配置することができる。これにより、センターユニット50の周りに、複数のパネル36によって仕切られたオンライン会議スペース10Sを構築できる。
【0021】
オンライン会議のためのオンライン会議端末60は、パネル付椅子30又はセンターユニット50が有していてもよいし、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の装置として準備されてもよい。本実施形態では、センターユニット50がオンライン会議端末60を有する例が説明される。
【0022】
オンライン会議のためのマイクは、パネル付椅子30又はセンターユニット50が有していてもよいし、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の装置として準備されてもよい。本実施形態では、センターユニット50がマイク58を有する例が説明される。
【0023】
オンライン会議のためのスピーカは、パネル付椅子30又はセンターユニット50が有していてもよいし、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の装置として準備されてもよい。本実施形態では、パネル付椅子30がスピーカ40を有する例が説明される。
【0024】
オンライン会議のための表示装置は、パネル付椅子30又はセンターユニット50が有していてもよいし、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の装置として準備されてもよい。本実施形態では、パネル付椅子30及びセンターユニット50とは別の表示装置70が準備される。当該表示装置70に、外部参加者Peに関する画像が表示される。外部参加者Peに関する画像は、例えば、当該外部参加者Peを撮像した画像である。外部参加者Peに関する画像は、当該外部参加者Peが提供する会議資料であってもよい。オンライン会議のための表示装置は、必須ではなく、省略されてもよい。
【0025】
なお、外部参加者Peは、共有執務スペース10から離れた場所からオンライン会議に参加する。例えば、外部参加者Peは、共有執務スペース10とは別のオフィス、自宅等からオンライン会議に参加する。外部参加者Peは、例えば、ノートパソコン等のパーソナルコンピュータ又はスマートフォンを、オンライン会議端末90として利用して、オンライン会議に参加する。
【0026】
本実施形態では、上記オンライン会議スペース構築システム20に、オンライン会話用処理システム80が組込まれる。
【0027】
パネル付椅子30、センターユニット50及び表示装置70についてより具体的に説明する。
【0028】
<パネル付椅子>
パネル付椅子30は、椅子32とパネル36とを有する。
【0029】
椅子32は、例えば、座部33と背もたれ部34とを有する。座部33上に執務者Pが座ることができる。背もたれ部34は、座部33の周囲の一部に鉛直方向又は鉛直方向に対して斜め姿勢で延びる板状部分である。執務者Pは、背中を背もたれ部34に向けた姿勢で、座部33に着座することができる。
【0030】
本実施形態では、パネル付椅子30は、椅子32を支えた状態で床12の上を移動するキャスタ35を有する。例えば、3つ以上のキャスタ35が椅子32の底部に取付けられる。キャスタ35は、車輪又は球体等の転動体を有している。キャスタ35の転動体が床12を転がることによって、パネル付椅子30が床12上を容易に移動することができる。キャスタ35は、省略されてもよい。
【0031】
パネル36は、水平方向においてオンライン会議スペース10Sとその周りとを仕切る板状部分である。つまり、パネル36は、一種の簡易的な間仕切である。パネル36は、例えば、椅子32の背面側に固定される。本実施形態では、パネル36は、背もたれ部34の背面側に鉛直姿勢で固定される。背もたれ部34は、斜め姿勢であってもよい。背もたれ部34は、背もたれ部34の上側延長上に支持されていてもよい。
【0032】
パネル36は、多孔質な材料等によって形成された吸音パネルであることが好ましい。パネル36が吸音パネルであれば、パネル36によって仕切られたオンライン会議スペース10Sとその周りとの間で音漏れがより効果的に抑制される。また、オンライン会議スペース10S内で音の反響が抑制される。なお、パネル36が吸音パネルであることは必須ではない。
【0033】
本実施形態において、パネル付椅子30は、庇部38を有する。庇部38は、椅子32に着座する執務者Pの上方に位置する。庇部38は、水平姿勢又は当該水平姿勢から傾いた姿勢で延在し、当該執務者Pが存在する空間とその上の空間とを仕切る。パネルは、椅子32の一方側方又は両側方に設けられてもよい。この場合、背面側に位置するパネル36は省略されてもよい。
【0034】
本実施形態では、庇部38は、パネル36の上端部から椅子32の前側に向けて延出している。庇部38は、吸音パネルであってもよいし、吸音パネルでなくてもよい。庇部がパネルによって支持されることは必須ではない。別の支持柱が設けられ、当該支持柱によって庇部が支持されていてもよい。庇部38は、省略されてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、パネル付椅子30は、スピーカ40を有する。スピーカ40は、椅子32と共に移動可能なように当該椅子32と一体化されている。本実施形態では、スピーカ40は庇部38に取付けられており、庇部38及びパネル36を介して椅子32に支持される。
【0036】
本実施形態では、スピーカ40は、椅子32に着座する執務者Pに対して指向性を有する指向性スピーカである。例えば、スピーカ40は、椅子32に着座した執務者Pだけがスピーカ40からの音を聞くことができ、その周りの者、特に、パネル36によって仕切られた外側の領域に居る者には音が聞えない(又は執務の邪魔にならない程度の音が聞える)指向性を有することが好ましい。かかるスピーカ40としては、例えば、人間の耳には聞こえずかつ指向性が高い超音波を搬送波として、可聴域の音を伝送するパラメトリックスピーカを利用することができる。スピーカ40は、例えば、庇部38から下方に向けた指向性を示すように、庇部38に支持される。この場合、椅子32に着座する執務者Pの身長が変っても、当該執務者Pの頭部は、スピーカ40が示す指向性の範囲F内に位置することが考えられるため、各種体格の執務者Pに対して音を伝送し易い。スピーカ40は、会話者である執務者Pに対して報知情報を聴覚によって認識可能に報知する音報知部の一例である。なお、スピーカは、背もたれ部34、座部33、パネル36等に支持されてもよい。スピーカが指向性スピーカであることは必須ではない。
【0037】
本実施形態において、パネル付椅子30は、発光部39aを有する。発光部39aは、例えば、発光ダイオード、蛍光灯等の発光装置であり、視認可能な光を発する。発光部39aは、例えば、椅子32の下部から床面に向けた照明光を発する。このため、椅子32の下方を観察すれば、発光光が観察され得る。発光部39aは、会話者である執務者Pに対して報知情報を発光によって報知する発光報知部の一例である。発光による報知は、発光が無い状態と発光している状態との間で切り替って報知情報を報知してもよいし、発光色、発光パターン(例えば、継続的な発光パターン、断続的な発光パターン等)又は照度が変って報知情報を報知してもよい。
【0038】
発光部39aは、その他の場所に設けられてもよく、例えば、椅子32の肘掛部分、背もたれ部分又は座部に設けられてもよいし、パネル36又は庇部38に設けられてもよい。
【0039】
また、本実施形態において、パネル付椅子30は、振動用モータ39bを有する。振動用モータ39bは、椅子32において当該椅子32に着座した執務者Pが感知可能な振動を発生させる。振動用モータ39bは、会話者である執務者Pに対して報知情報を振動によって報知する振動報知部の一例である。
【0040】
<センターユニット>
センターユニット50は、上記したように、カメラ56を有するカメラユニットの一例である。
【0041】
本実施形態では、センターユニット50は、センターユニット本体52と、カメラ56とを有する。本実施形態では、センターユニット50は、さらに、覆い部54と、マイク58と、オンライン会議端末60とを有する。
【0042】
センターユニット本体52は、カメラ56、覆い部54、マイク58、オンライン会議端末60等を支持するベースとなる部分である。センターユニット本体52は、例えば、執務者Pの膝から胸の高さ程度の立体形状に形成される。
図1では、センターユニット本体52は、上方に向けて徐々に縮径する円錐台形状に形成されている。センターユニット本体52の上面は、水平面であり、当該上面に物体を載置できることが好ましい。センターユニット本体52は、床12上を容易に移動できるように、キャスタを有していてもよい。
【0043】
センターユニット本体52内にオンライン会議端末60が収納される。センターユニット本体52上にカメラ56、マイク58が載置される。センターユニット本体52に覆い部54を支持するための支柱54Pが支持されている。センターユニット本体52が各部を支持する構成は上記例に限られない。センターユニット本体52上にオンライン会議端末60が載置されていてもよい。センターユニット本体52に、カメラ56又はマイク58が分離困難な状態で組込まれていてもよい。
【0044】
センターユニット本体52の構成例は上記例に限られない。例えば、センターユニット本体は、1つ又は複数の支柱によって天板が支持された机であってもよい。
【0045】
カメラ56は、複数のパネル付椅子30のうちの少なくとも1つに着座した執務者Pを撮影するカメラである。本実施形態では、カメラ56は、センターユニット50の周りに位置する複数のパネル付椅子30のうちの少なくとも2つを撮像する広角カメラである。例えば、カメラ56は、魚眼カメラ、又は、当該カメラ56を中心として水平方向において周囲360度の全体を撮影できる360度カメラであってもよい。カメラ56が広角であればあるほど、オンライン会議スペース10Sにおいてオンライン会議に参加する複数の執務者Pをより多く撮像できる。また、カメラ56が広角であればあるほど、共有執務スペース10のうちオンライン会議スペース10Sの周り様子を撮像できる。カメラ56が広角カメラであることは必須ではない。
【0046】
センターユニット50は、カメラ56と、マイク58と、オンライン会議端末60とが一体化されたユニットであることが好ましい。ここで、カメラ56と、マイク58と、オンライン会議端末60とが一体化されているとは、カメラ56と、マイク58と、オンライン会議端末60とをひとまとまりの集合体として、収納したり、移動させたり、利用できる形態とされていることをいう。このため、上記のように、センターユニット本体52にオンライン会議端末60が収納され、カメラ56及びマイク58がセンターユニット本体52上に載置支持されている形態も、センターユニット50が、カメラ56と、マイク58と、オンライン会議端末60とが一体化されたユニットの一例である。センターユニット50に対してカメラ56及びマイク58がネジ止、嵌込構造、クリップ構造等によって支持されていてもよい。
【0047】
覆い部54は、カメラ56よりも上に位置している。より具体的には、センターユニット本体52によって上下方向に沿う姿勢で支柱54Pが支持されている。支柱54Pの上部に覆い部54が支持されている。覆い部54は、例えば、平面視においてセンターユニット本体52の周囲に広がっている。本実施形態では、覆い部54は、平面視において円又は多角形状であり、上記支柱54Pを中心としてその周囲に広がっている。
【0048】
覆い部54によって上方を経由した音もれを抑制できる。この点からすると、覆い部54は、吸音パネルによって構成されていてもよいが、吸音パネルによって構成されることは必須ではない。また、覆い部54によって、オンライン会議スペース10Sを上方において仕切ることができる。
【0049】
マイク58は、オンライン会議スペース10S内の音を集めるマイクである。本実施形態では、マイク58は、範囲制限マイクである。範囲制限マイクとは、集音範囲を制限できるマイクである。範囲制限マイクは、マイク又はセンターユニット50を集音中心として、当該集音中心から所定の距離内を集音範囲E(
図8参照)とし得るマイクであってもよい。集音範囲Eは、センターユニット50周りに複数のパネル付椅子30を配置した場合に、パネル付椅子30に着座する執務者Pの顔が含まれる範囲に設定されるとよい。かかる範囲制限マイクとしては、例えば、複数のマイクと当該複数のマイクからの音声信号に基づいて音源の距離を推定するコンピュータとを含み、推定された音源の距離に基づいて所定の集音範囲の音を集めるマイクユニットを利用することができる。マイク58が範囲制限マイクであることは必須ではない。
【0050】
本実施形態では、マイク58が、会話者である執務者Pの音声の大きさに応じた物理量を検出する検出部の一例である。
【0051】
なお、範囲制限マイクは、カメラユニットに設けられる必要は無く、椅子32に設けられてもよいし、表示装置70に設けられてもよい。
【0052】
カメラユニットがセンターユニット50の形態とされることは必須ではない。カメラユニットは、表示装置と一体化されたり、椅子32と一体化されたり、執務者Pが所持するオンライン会議端末と一体化された形態であってもよい。
【0053】
<表示装置>
表示装置70は、共有執務スペース10外からのオンライン会議への外部参加者Peに関する画像を表示する。表示装置70は、液晶表示装置、有機EL(electro-luminescence)表示装置、ブラウン管表示装置、プロジェクタ表示装置等である。本実施形態では、表示装置70は、プロジェクタ装置72を有する構成である例が示される。プロジェクタ装置72は、投影媒体に画像を投影する装置である。
図1では、表示装置70が投影媒体として透過型スクリーン74を有している。プロジェクタ装置72による投影画像が透過型スクリーン74の裏面側から投影される。これにより、透過型スクリーン74の正面側から、投影画像を観察することができる。プロジェクタ装置72を用いることによって、大きい画像を表示することができる。表示装置70がプロジェクタ装置72を有する場合、投影媒体は、正面から光が投影される反射型のスクリーンであってもよい。投影媒体は、表示装置70としてプロジェクタ装置72と一体化されていてもよいし、プロジェクタ装置72とは別体であってもよい。例えば、投影媒体は、スクリーンとして準備された専用品であってもよいし、壁であってもよい。
【0054】
外部参加者Peに関する画像は、例えば、外部参加者Peを撮像した画像である。表示装置70における表示領域74Eは、椅子32に着座した執務者Pの頭部と同程度の高さ領域を含むことが好ましい。換言すれば、表示装置70における表示領域74Eは、外部参加者Peの頭部を、椅子32に着座した執務者Pの頭部と同程度の高さに表示可能な領域であることが好ましい。表示装置70における表示領域74Eは、頭だけで無く、肩、胸、腰等を表示可能な領域であってもよい。これにより、椅子32に着座した執務者Pが、表示装置70における表示領域に表示された外部参加者Peを、同じ程度の目線高さで視認することができる。例えば、表示装置70における表示領域74Eは、パネル付椅子30の背中型のパネル36と同程度の高さ及び幅に広がる領域であってもよい。
【0055】
本実施形態では、表示装置70は、会話者である執務者Pに対して報知情報を視覚によって認識可能に報知する表示部の一例である。
【0056】
<オンライン会議システムのブロック図>
図2はオンライン会話用処理システムを備えるオンライン会議システムの電気的構成を示すブロック図である。オンライン会議システムは、オンライン会議スペース10Sに設置されたオンライン会議端末60を備える。オンライン会議端末60は、例えば、プロセッサ61と、記憶装置62等を備えるコンピュータによって構成される。プロセッサ61は、プログラムに従って演算処理を実行する電気回路を備える。記憶装置62は、磁気記録媒体、フラッシュメモリ等の不揮発メモリである。記憶装置62に、オンライン会議端末60がオンライン会議を行うための手順を定める会議用プログラム62aと、オンライン会議端末60がオンライン会話用処理を行うための手順を定める会話用処理プログラム62bとが記憶されている。プロセッサ61が会議用プログラム62aに基づいて演算処理を実行することで、オンライン会議端末60が広角カメラ56、範囲制限マイク58、指向性スピーカ40及び表示装置70をマンマシンインターフェースとしてオンライン会議のための処理を実行する。プロセッサ61が会話用処理プログラム62bに基づいて演算処理を実行することで、オンライン会議端末60が、広角カメラ56を検出部とし、プロセッサ61を処理部とし、表示装置70、指向性スピーカ40及び振動用モータ39bを報知部として、オンライン会話用の処理を実行する。
【0057】
上記したように、オンライン会議端末60は、センターユニット50に組込まれる。センターユニット50に一体化される広角カメラ56及び範囲制限マイク58がオンライン会議端末60に接続される。パネル付椅子30に組込まれた指向性スピーカ40、発光部39a及び振動用モータ39b、表示装置70におけるプロジェクタ装置72も、オンライン会議端末60に接続される。オンライン会議端末60と、広角カメラ56、範囲制限マイク58、指向性スピーカ40及び表示装置70との接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。有線接続としては、汎用性が高いUSB規格、専ら映像信号に向けられたHDMI(登録商標)規格、音声信号に向けられた音声入力端子の規格等、接続先となる機器に応じて各種有線接続方式を採用することができる。無線接続としては、Bluetooth(登録商標)規格、Wi-Fi(登録商標)規格等に基づく接続方式を採用することができる。
【0058】
オンライン会議端末60は、ネットワーク98を介して外部参加者Pe側のオンライン会議端末90に通信可能に接続される。ネットワーク98は、中継装置及びインターネット等が含まれる。ネットワーク98には、公衆回線が含まれてもよいし、専用回線が含まれてもよい。ネットワーク98には、Wi-Fi(商標)等の無線LAN(Local Area Network)が含まれてもよい。
【0059】
オンライン会議端末90も、オンライン会議端末60と同様に、プロセッサ91と、会議用プログラム92aを記憶した記憶装置92とを備えるコンピュータによって構成される。オンライン会議端末90は、カメラ93、表示装置94、マイク95及びスピーカ96を備えている。カメラ93、表示装置94、マイク95及びスピーカ96は、オンライン会議端末90に内蔵された構成であってもよいし、無線又は有線によってオンライン会議端末90に接続される構成であってもよい。
【0060】
<オンライン会話用処理例について>
図3は上記会話用処理プログラム62bによる処理例を示すフローチャートである。会話用処理プログラム62bによる処理は、オンライン会議のための処理と並行して実行される。会話用処理プログラム62bによる処理と、オンライン会議のための処理とは、別々のプロセッサによって実行されてもよいし、同じプロセッサによって擬似的に並行処理されておよい。
【0061】
例えば、オンライン会議の会議開始と同時に会話用処理プログラム62bによる処理が開始される。
【0062】
ステップS1において、プロセッサ61は、検出部としてのマイク58に基づく検出値を取得する。マイク58は会話者である執務者Pの音声の大きさに応じた物理量を検出し、当該物理量(音声の大きさ)に応じた信号を出力する。つまり、執務者Pの音声が大きければ大きい値の音声信号が出力され、執務者Pの音声が小さければ小さい値の音声信号が出力される。マイク58から出力される信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。プロセッサ61は、マイク58からの出力信号から直接検出値を取得してもよい。マイク58の出力信号に基づく検出値が、所定のサンプリング周期に対応付けられてテーブルの形式で記憶装置62に格納され、プロセッサ61が当該テーブルを読出して検出値を取得してもよい。
【0063】
次ステップS2において、プロセッサ61は、検出値に基づいて評価値を算出する。評価値は、検出値そのものであってもよいし、1つ又は複数の検出値に基づいて所定の演算を経て算出された値であってもよい。例えば、マイク58は、音声による空気振動を電気信号に変換する装置であるため、空気振動に応じた大きさの電気信号を出力する。当該空気振動に応じた電気信号の大きさそのものを評価値としてもよいし、当該大きさをデジベル変換した変換値を評価値としてもよい。また、空気振動に応じた電気信号の大きさを、人の聴覚の特性に応じて変換した変換値を評価値としてもよい。評価値の算出処理は、マイク58と一体化された音声処理回路によってなされてもよい。
【0064】
評価値は、所定のサンプリング時点における1つの検出値に基づいて算出されてもよいし、少なくとも2つのサンプリング時点における少なくとも2つの検出値に基づいて算出されてもよい。例えば、少なくとも2つのサンプリング時点におけるそれぞれの検出値そのもの、又は、各検出値に基づくそれぞれの上記のような変換値を、少なくとも2つのサンプリング値とする。そして、少なくとも2つのサンプリング値の平均値を評価値としたり、少なくとも2つのサンプリング値の最大値又は最小値を評価値としたり、少なくとも2つのサンプリング値の積分演算値を評価値としたりすることができる。
【0065】
ステップS2によって、検出部としてのマイク58によって検出された物理量に基づく評価値が演算される。
【0066】
次ステップS3において、評価値を基準値と比較する。基準値は、会話者である執務者Pが存在する周囲への影響度に関して設定される条件の一例である。例えば、基準値は、音声の大きさが大きすぎて、オンライン会議に参加する者の周囲に居る者の執務又は会話の邪魔になる程度の値に設定される。基準値は、周囲のパーティションの有無、遮音性能、会議エリアの広さ、隣に存在する他者との距離等を考慮して設定され得る。
【0067】
かかる基準値は、実験的、経験的に人の判断によって設定された値であってもよい。また、基準値は、マイク58を通じて得られた検出値に基づく過去の評価値に基づいて設定された値であってもよい。例えば、過去のオンライン会議において、マイク58を通じて得られた検出値に基づく過去の評価値の平均値を算出し、当該平均値よりも一定値又は一定割合大きい値として基準値が設定されてもよい。
【0068】
また、基準値は、予め設定された固定値であってもよいし、周辺の状況等に応じて設定される変動値であってもよい。基準値が変動値である場合、利用者によって任意に設定変更されてもよい。また、会議進行中において、周囲の会話の状況、雑音の状況、周辺の人の数等に応じて設定変更されてもよい。例えば、オンライン会議に参加する者の周囲(特に背中側)に追加のマイクを設置し、当該追加のマイクによる検出値の大小に基づいて基準値を設定してもよい。より具体的には、追加のマイクによって周囲の会話又は雑音の大きさを判断し、周囲の会話又は雑音が大きい場合には基準値を大きくし、周囲の会話又は雑音が小さい場合には基準値を小さくしてもよい。
【0069】
ステップS3において、評価値が基準値よりも大きければステップS4に進み、評価値が基準値よりも小さければステップS5に進む。評価値が基準値と同じである場合、ステップS4に進んでもよいし、ステップS5に進んでもよい。
【0070】
ステップS4では、報知処理を実行する。報知処理は、上記報知部を通じてなされる。本実施形態では、報知部は、音報知部としてのスピーカ40、発光報知部としての発光部39a、振動報知部としての振動用モータ39b、表示部としての表示装置70である。報知処理は、スピーカ40、発光部39a、振動用モータ39b及び表示装置70の全てによってなされる必要は無く、そのうちの一部によってなされてもよい。報知処理は、会議参加者全員に対して認識可能なようになされてもよいし、検出された会話の発話者を含む一部の会議参加者に対して認識可能なようになされてもよい。報知処理終了後、ステップS5に進む。
【0071】
ステップS5では、監視周期が経過したか否かが判断される。監視周期は、ステップS1からステップS5の処理を繰返す周期であり、例えば、予め設定された一定周期である。例えば、ステップS1において検出値を取得した時間からの経過時間が監視周期を超えた場合に、監視周期が経過したと判断される。前記経過時間が監視周期と同じである場合、監視周期が経過していないと判断されてもよいし、監視周期が経過したと判断されてもよい。監視周期が経過していないと判断されるとステップS5の処理を繰返し、監視周期が経過したと判断されると、ステップS6に進む。なお、監視周期は、本処理を繰返す周期であり、上記サンプリング周期はマイク58を通じて音の大きさに応じた物理量を検出値として取得する周期である。監視周期はサンプリング周期と同じであることもあるし、異なることもある。
【0072】
ステップS6では会議用プログラム62aに基づくオンライン会議が終了したか否かが判断される。オンライン会議が終了していないと判断されると、ステップS1に戻ってステップS1からステップS6の処理を繰返す。オンライン会議が終了したと判断されると、処理を終了する。
【0073】
具体的な処理例を説明する。1つのサンプリング値に基づく評価値を基準値と比較する処理例を、
図4を参照して説明する。
図4には、時間に対する音の大きさの変化が示される。音の大きさは、マイク58の検出値に基づく評価値の一例である。
【0074】
図3に示す処理が繰返されることによって、監視周期t1、t2・・・のそれぞれにおいて、順次、音の大きさである評価値と基準値とが比較される。そして、音の大きさが基準値を超えた期間において、報知処理がなされる。
図4では2つの期間で、報知がなされる。
【0075】
報知部は、少なくとも2つの時点における物理量(検出値)に基づいて会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、会話者に対して報知を行ってもよい。この場合の処理例を、
図5を参照して説明する。
図5には、時間に対する音の大きさの変化が示される。
図5に示される波形は、
図4に示される波形と同じである。
【0076】
例えば、
図3に示すステップS1において、監視時点及び監視時点よりも前の時点の検出値が取得され、ステップS2において、それぞれの検出値に対する評価値が算出される。ステップS3において、各評価値が基準値と比較され、両方の評価値が基準値よりも大きい場合に、報知処理を実行し、両方の評価値が基準値よりも大きいと判断されない場合には報知処理を実行しない。
【0077】
この場合、評価値が基準値よりも大きい期間がごく短時間であれば報知処理が実行されない。例えば、時間sにおける評価値a2が基準値よりも大きくても、その前の時間s-dにおける評価値a1が基準値よりも小さければ報知処理はなされない。
【0078】
これに対して、評価値が基準値よりも大きい期間が継続すれば報知処理が実行される。例えば、時間tにおける評価値a4が基準値よりも大きく、かつ、その前の時間t-dにおける評価値a3が基準値よりも大きければ報知処理が実行される。
【0079】
よって、瞬間的又はごく短時間、偶々音が大きくなったような場合には、報知処理はなされず、音が大きい状態がある程度継続している場合に、報知処理がなされる。
【0080】
少なくとも2つの時点における物理量(検出値)に基づいて会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きいかどうかを判断する処理は、上記処理でなくてもよい。例えば、上記したように、少なくとも2つの時点の評価値サンプリング値の平均値を評価値としたり、少なくとも2つのサンプリング値の最大値又は最小値を評価値としたり、少なくとも2つのサンプリング値を含む期間におけるサンプリング値の積分演算値を評価値としたりすることができる。
【0081】
なお、上記会話用処理プログラム62bは、会話者の音声の大きさに応じた物理量を検出する検出部と、処理部と、報知部とを備えるコンピュータに、前記物理量に基づく評価値を、前記会話者が存在する周囲への影響度に関して設定される条件と比較する処理と、前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、報知部を通じて前記会話者に対して報知を行わせる処理とを実行させるプログラムであると把握可能である。また、記憶装置62は、当該会話用処理プログラム62bを記憶した記憶媒体の一例である。当該会話用処理プログラム62bは、磁気ディスク、光ディスク等の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0082】
<報知例>
報知部による報知の具体的な例について説明する。
【0083】
図6は表示装置70に表示される報知表示100の一例である。報知表示100は、例えば、表示装置70の一部に表示される。当該報知表示はアイコン102とメッセージ104とを含む。アイコン102は、音が大きいという報知内容を記号化した図形である。アイコン102は、静かにすることを示すジェスチャを図形として表現したものである。メッセージ104は、音が大きいことに応じた報知内容を文字によって示す表示である。音が大きいことに応じた報知内容としては、「音量を抑えましょう!」、「声が大きいです」、「熱量が入りすぎです!」等が考えられる。その他、音が大きいことに応じた報知内容は直接的な意味を包含している必要は無い。例えば、表示装置70に表示される図形の大きさ又は色を変えてもよい。この場合、表示図形の変化の意味を、執務者Pに予め説明しておくとよい。
【0084】
図7はパネル付椅子30における報知の一例である。
図7に示すように、スピーカ40を通じて報知内容が報知される。スピーカ40から発せられるメッセージとしては、例えば、上記メッセージと同様に、「音量を抑えましょう!」、「声が大きいです」、「熱量が入りすぎです!」等が考えられる。スピーカ40から音声メッセージが発せられることは必要では無い。例えば、スピーカ40から音楽、パターン音、自然の音等を発してもよい。この場合、各音の意味を執務者Pに予め説明しておくとよい。
【0085】
また、振動用モータ39bが動作することによって椅子32が振動する。この振動によって執務者Pは音の大きさに関する報知がなされたことを知ることができる。執務者Pには、音の大きさに応じて椅子32が振動することを知らせておくとよい。
【0086】
また、発光部39aが発光することによって、執務者Pは音の大きさに関する報知がなされたことを知ることができる。執務者Pには、音の大きさに応じて発光部39aが発光することを知らせておくとよい。発光部39aは、発光色を変えることによって、発光パターンを変えることによって(例えば、点灯状態から点滅状態に変る)、又は、照度を変えること等によって、音が大きすぎることを報知してもよい。
【0087】
<使い方の一例>
図8は共有執務スペース10におけるオンライン会議の開催例を示す説明図である。共有執務スペース10は、複数の執務者Pが執務を行うスペースであることから、当該共有執務スペース10に、オンライン会議に参加する参加者と、オンライン会議に参加しない執務者とが存在することが考えられる。
図8において、オンライン会議に参加する参加執務者Paと、オンライン会議に参加しない非参加執務者Pbとに区別する。
【0088】
参加執務者Paがオンライン会議スペース10Sを構築するにあたって、1つ又は複数のパネル付椅子30をセンターユニット50の周りに配置する。パネル付椅子30は、参加執務者Paの数に応じて準備されるとよい。センターユニット50の周りには、表示装置70も配置される。パネル付椅子30及び表示装置70は、センターユニット50の周りに均等間隔で配置されてもよい。パネル付椅子30が表示装置70に対してなるべく正面を向くように配置されてもよい。表示装置70の表示領域74Eは、センターユニット50を向くように配置される。パネル付椅子30は、パネル36がセンターユニット50から遠い方を向くように配置される。これにより、センターユニット50の周りにおいてパネル36よりも内側の領域がオンライン会議スペース10Sとして構築される。パネル付椅子30が複数であれば、複数のパネル36によってオンライン会議スペース10Sを囲むことができる。
【0089】
パネル付椅子30は移動可能であるため、1つ又は複数のパネル付椅子30を参加人数に応じた適切な位置に配置することができる。また、周りの非参加執務者Pbの配置に応じて、パネル36による仕切が適した位置となるように、パネル付椅子30を配置することもできる。
【0090】
共有執務スペース10内であってオンライン会議スペース10Sの外側領域に、非参加執務者Pbが存在することが考えられる。非参加執務者Pbは、机210を挟む椅子212に座ったり、机210に向って立っていたりすることが考えられる。非参加執務者Pbは、打合せを行ったり、休憩していたりする。非参加執務者Pbは、別のオンライン会議を行っていることも考えられる。
【0091】
共有執務スペース10内に参加執務者Paと非参加執務者Pbとが混在していても、参加執務者Paの周りの少なくとも一部、本実施形態では、背中側はパネル36によって仕切られている。参加執務者Paと非参加執務者Pbとの間で音もれがし難い。また、オンライン会議スペース10Sの内外がパネル36に視覚的に仕切られるため、周囲の状況が気になり難く、参加執務者Pa及び非参加執務者Pbのいずれも、それぞれの執務に集中し易い。
【0092】
オンライン会議における参加執務者Paの声が大きすぎると、非参加執務者Pbの執務、打合せ、会議等に悪影響を与える可能性がある。例えば、非参加執務者Pbが自己の執務とは関係が無い大音声を聞くと、執務に集中し難くなるし、打合せ又は会議中に相手側の声が聞く難くなる。
【0093】
このような場合に、オンライン会議における参加執務者Paに対して、参加執務者Paに対して報知を行うことができる。これにより、オンライン会議における参加執務者Paによる音声を抑えるように働きかけることができる。
【0094】
これにより、共有執務スペース10におけるオンライン会議と、他の執務とが併存して円滑に実行される。
【0095】
<効果等>
以上のように構成されたオンライン会話用処理及び当該処理システム80は、会話者である参加執務者Paが他の会話者である外部参加者Peとオンラインで会話を行う際に実行される。会話中において、参加執務者Paの音声の大きさに応じた物理量に基づく評価値を、参加執務者Paが存在する周囲(例えば、参加執務者Paの周りにおいて非参加執務者Pbが存在する範囲)への影響度に関して設定される条件と比較し、参加執務者Paの音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、参加執務者Paに対して報知を行う。このため、参加執務者Paの音声が大きくなることが抑制され、オンライン会話が行われる際に、参加執務者Paと同じスペースに居合わせる他者である非参加執務者Pbに与える不快感を抑制できる。
【0096】
また、報知部は、表示部としての表示装置70を含めば、参加執務者Paは、表示装置70を見ることによって、自分の音声が大きいことを知ることができる。表示装置70がドットマトリクス式の表示装置であれば、多様な情報を表示することができる。
【0097】
報知部が音報知部としてのスピーカ40を含めば、参加執務者Paは、聴覚によって自分の音声が大きいことを知ることができる。
【0098】
また、報知部が、振動報知部としての振動用モータ39bを含めば、参加執務者Paは、振動によって自分の音声が大きいことを知ることができる。振動による報知であれば、当該振動がオンライン会話の音声情報及び表示情報に混入し難く、オンライン会話の邪魔となり難い。
【0099】
報知部が、発光報知部として発光部39aを含めば、参加執務者Paは発光による報知によって自分の音声が大きいことを知ることができる。
【0100】
また、報知部が、少なくとも2つの時点における前記物理量に基づいて前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、参加執務者Paに対して報知を行えば、参加執務者Paの音声が大きい状態がある程度継続する場合に、参加執務者Paと同じスペースに居合わせる他の非参加執務者Pbに与える不快感を抑制できる。
【0101】
<変形例>
オンライン会話用処理システムの適用対象は、上記オンライン会議スペース構築システムにおいて実行されるオンライン会議に限定されない。例えば、一般的な会議室、オフィスデスク若しくは家庭用ディスクに設置されたコンピュータ、又は、会話者が携帯するスマートフォン等の携帯端末等をオンライン会議端末として実行されるオンライン会議においても、上記オンライン会話用処理システムが適用され得る。
【0102】
オンライン会話用処理システムは、オンライン会議を行うためのオンライン会議端末に実装されてもよいし、オンライン会議端末とは別のシステムとして構成されてもよい。
【0103】
例えば、オンライン会議端末(パーソナルコンピュータ又はスマートフォン等)には、オンライン会話のためのプログラム(例えば、ZOOM(登録商標)、LINE(登録商標))が実装されることが考えられる。オンライン会話用処理システムを実現するためのプログラムは、上記オンライン会話のためのプログラムに組込まれてもよいし、当該プログラムとは別のプログラムとしてオンライン会議端末に実装されてもよい。後者の場合、オンライン会話のためのプログラム実行と同時に、上記別のプログラムが実行されるとよい。
【0104】
オンライン会話用処理システムのためのプログラムは、オンライン会議端末とは別のコンピュータに実装されてもよい。この場合、オンライン会話用処理システムは、上記パネル付椅子30に組込まれた装置であってもよいし、オンライン会話用処理を行う専用装置として構成されてもよい。
【0105】
マイク58が上記のようにセンターユニット50に備えられていることは必須ではない。例えば、
図9に示すように、椅子32がマイク200を有していてもよい。
図9では、椅子32のパネル36から着座する参加執務者Paの前方に向けてアーム202が延び出ている。アーム202は、背もたれ部34に支持されていてよい。アーム202の先端部にマイク200が支持されている。アーム202によってマイクが椅子32に着座する参加執務者Paの口前方位置に支持される。
【0106】
マイクは、参加執務者Paが着用するイヤホンと一体化されたマイクであってもよいし、各参加執務者Paが利用するオンライン会議端末と一体化されたマイクであってもよい。
【0107】
マイク200が各参加執務者Paに対応付けられている場合、複数のマイク200毎に別々に、
図3に示す処理を行ってもよい。この場合、報知処理は、報知を行うべきと判断されたマイクに対応する参加執務者Paを特定して行ってもよい。例えば、報知を行うべき参加執務者Paを特定した情報を標準価格に表示したり、音声メッセージとして発したりしてもよい。また、例えば、報知を行うべき参加執務者Paが着座するパネル付椅子30においてのみ、指向性スピーカ40によって音声メッセージを発したり、振動用モータ39bによる報知を行ったりしてもよい。
【0108】
報知部としての表示部が上記表示装置70であることは必須ではない。報知部としての表示部は、オンライン会議用の画像を表示する表示装置とは別の表示装置であってもよい。この場合の表示装置は、センターユニット50に組付けられてもよいし、パネル付椅子30に組付けられてもよいし、センターユニット50及びパネル付椅子30とは別の独立した表示装置であってもよい。また、報知部としての表示部は、会話者である執務者Pが所持するコンピュータ又はスマートフォンのディスプレイであってもよい。
【0109】
また、表示部は、メッセージ、若しくは、報知内容を記号化したアイコン又は図形等を表示可能であればよく、上記液晶表示装置、有機EL表示装置等のドットマトリクス式の表示装置の他、所定の文字又は図形のみを発光表示するように発光ダイオード等の発光部が配置された電光掲示板であってもよい。
【0110】
報知部としての音報知部が上記スピーカ40であることは必須ではない。報知部としての音報知部は、オンライン会議用の音を発するスピーカ40とは別の音報知部であってもよい。この場合の音報知部は、センターユニット50に組付けられてもよいし、パネル付椅子30に組付けられてもよいし、センターユニット50及びパネル付椅子30とは別の独立した音報知部であってもよい。また、報知部としての音報知部は、会話者である執務者Pが所持するコンピュータ又はスマートフォン等におけるスピーカであってもよいし、会話者である執務者Pが着用するイヤホンであってもよい。報知部としての音報知部は、所定の警告音(例えば、ブザー音)のみを発する発音体(例えば、ブザー)であってもよい。
【0111】
報知部としての振動報知部が、上記椅子32に組付けられたモータ39bであることは必須ではない。報知部としての振動報知部は、会話者である執務者Pが所持するコンピュータ又はスマートフォン等に組込まれた振動発生用のモータであってもよい。
【0112】
報知部としての発光報知部が、上記発光部39aであることは必須ではない。発光報知部は、センターユニット50に組付けられてもよいし、覆い部54に組付けられてもよいし、表示装置70に組付けられてもよいし、センターユニット50、覆い部54及び表示装置70とは別の独立した発光報知装置であってもよい。発光報知部は、会話者である執務者Pが所持するコンピュータ又はスマートフォン等に組込まれた発光部であってもよい。
【0113】
本実施形態では、オンライン会話用処理システムの適用対象がオンライン会議システムである例が説明された。オンライン会話用処理システムの適用例は当該例に限定されず、例えば、オンライン会話用処理システムは、電話による会話システムにも適用可能である。
【0114】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0115】
本開示は下記の各態様を開示する。
【0116】
第1の態様は、会話者が他の会話者とオンラインで会話を行う際に実行されるオンライン会話用処理システムであって、前記会話者の音声の大きさに応じた物理量を検出する検出部と、前記物理量に基づく評価値を、前記会話者が存在する周囲への影響度に関して設定される条件と比較する処理部と、前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、前記会話者に対して報知を行う報知部と、を備えるオンライン会話用処理システムである。
【0117】
これにより、会話者の音声の大きさに応じた物理量に基づく評価値を、前記会話者が存在する周囲への影響度に関して設定される条件と比較し、前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、前記会話者に対して報知を行う。このため、会話者の音声が大きくなることが抑制され、オンライン会話が行われる際に、会話者と同じスペースに居合わせる他者に与える不快感を抑制できる。
【0118】
第2の態様は、第1の態様に係るオンライン会話用処理システムであって、前記報知部は、前記会話者に対して報知情報を視覚によって認識可能に報知する表示部を含むものである。これにより、会話者は、表示部を見ることによって、自分の音声が大きいことを知ることができる。
【0119】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るオンライン会話用処理システムであって、前記報知部は、前記会話者に対して報知情報を聴覚によって認識可能に報知する音報知部を含むものである。これにより、会話者は、聴覚によって自分の音声が大きいことを知ることができる。
【0120】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係るオンライン会話用処理システムであって、前記報知部は、前記会話者に対して報知情報を振動によって報知する振動報知部を含むものである。これにより、会話者は、振動によって自分の音声が大きいことを知ることができる。
【0121】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係るオンライン会話用処理システムであって、前記報知部は、前記会話者に対して報知情報を発光によって報知する発光報知部を含むものである。これにより、会話者は、発光による報知によって自分の音声が大きいことを知ることができる。
【0122】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係るオンライン会話用処理システムであって、前記報知部は、少なくとも2つの時点における前記物理量に基づいて前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、前記会話者に対して報知を行うものである。これにより、少なくとも2つの時点における前記物理量に基づいて、前記会話者の音声について周囲への悪影響が想定される程度に大きい場合に、前記会話者に対して報知を行うため、例えば、会話者の音声が大きい状態がある程度継続する場合に、会話者と同じスペースに居合わせる他者に与える不快感を抑制できる。
【0123】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0124】
39a 発光部(発光報知部)
39b 振動用モータ(振動報知部)
40 スピーカ(音報知部)
58、200 マイク(検出部)
60 オンライン会議端末
61 プロセッサ
62 記憶装置
62a 会議用プログラム
62b 会話用処理プログラム
70 表示装置(表示部)
80 オンライン会話用処理システム
Pa 参加執務者
Pb 非参加執務者