(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056255
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】色素斑形成抑制剤、メラノソーム貪食亢進抑制剤及び表皮分化能改善剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/44 20060101AFI20230412BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230412BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230412BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20230412BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230412BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20230412BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20230412BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20230412BHJP
【FI】
A61K31/44
A61P17/00
A61P43/00 105
A61K31/4415
A61Q19/00
A61Q19/02
A61K8/67
A23L33/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165498
(22)【出願日】2021-10-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年3月5日 「日本薬学会 第141年会 Web要旨集、28P02-L005、公益社団法人 日本薬学会」にて発表 (2)令和3年3月28日 「日本薬学会 第141年会」にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】000102496
【氏名又は名称】エスエス製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檜山 浩一
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD18
4B018MD23
4B018ME14
4C083AD631
4C083AD632
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC03
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC18
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB21
(57)【要約】
【課題】色素斑の形成を抑制する新たな技術を提供すること。
【解決手段】ビタミンB6類を有効成分とする、色素斑形成抑制剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンB6類を有効成分とする、色素斑形成抑制剤。
【請求項2】
ビタミンB6類を有効成分とする、メラノソーム貪食亢進抑制剤。
【請求項3】
ビタミンB6類を有効成分とする、表皮分化能改善剤。
【請求項4】
前記ビタミンB6類が、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミン並びにそれらの塩から選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素斑形成抑制剤、メラノソーム貪食亢進抑制剤及び表皮分化能改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
色素斑(シミ)は、加齢による代謝の低下や皮膚への紫外線暴露によりメラニンが増大することで形成され、表皮角化細胞のメラノソーム貪食亢進や表皮分化能低下によってその形成が加速される(例えば、非特許文献1)。そのため、色素斑形成を抑制するためには、メラノソーム貪食亢進抑制や表皮分化能改善が重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J. Soc. Cosmet. Chem.Jpn. 51(2): 134-141
【非特許文献2】ビタミンB6錠30mg「F」医薬品インタビューフォーム 富士製薬工業株式会社 2018年4月改訂(改訂第6版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、ピリドキシンに代表されるビタミンB6類は、口角炎、口唇炎、舌炎、急・慢性湿疹、脂漏性湿疹、接触皮膚炎等の諸症状の緩和に有効ということが知られているが(例えば、非特許文献2)、メラノソーム貪食亢進抑制効果や表皮分化能改善効果、色素斑形成抑制効果があるか否かを検討したという報告はない。
【0005】
本発明の課題は、色素斑の形成を抑制する新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、以下の<1>~<13>の手段により解決された。
<1> ビタミンB6類を有効成分とする、色素斑形成抑制剤(以下、本発明の色素斑形成抑制剤ともいう。)。
<2> ビタミンB6類を有効成分とする、メラノソーム貪食亢進抑制剤(以下、本発明のメラノソーム貪食亢進抑制剤ともいう。)。
<3> ビタミンB6類を有効成分とする、表皮分化能改善剤(以下、本発明の表皮分化能改善剤ともいう。)。
<4> 前記ビタミンB6類が、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミン並びにそれらの塩から選ばれる1種以上である、<1>~<3>のいずれかに記載の剤。
【0007】
<5> 色素斑形成抑制剤の製造のための、ビタミンB6類の使用。
<6> 色素斑形成抑制のための、ビタミンB6類の使用。
<7> ビタミンB6類を使用する工程を含む、色素斑形成抑制方法。
<8> メラノソーム貪食亢進抑制剤の製造のための、ビタミンB6類の使用。
<9> メラノソーム貪食亢進抑制のための、ビタミンB6類の使用。
<10> ビタミンB6類を使用する工程を含む、メラノソーム貪食亢進抑制方法。
<11> 表皮分化能改善剤の製造のための、ビタミンB6類の使用。
<12> 表皮分化能改善のための、ビタミンB6類の使用。
<13> ビタミンB6類を使用する工程を含む、表皮分化能改善方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のメラノソーム貪食亢進抑制剤は、優れたメラノソーム貪食亢進抑制効果を有する。
本発明の表皮分化能改善剤は、優れた表皮分化能改善効果を有する。
したがって、本発明によれば、色素斑形成抑制効果に優れる色素斑形成抑制剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ピリドキシンのメラノソーム貪食亢進抑制効果(UVB照射)を示す図。
【
図2】ピリドキシンのメラノソーム貪食亢進抑制効果(BSO処理)を示す図。
【
図3】ピリドキシンの表皮分化能改善効果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の色素斑形成抑制剤、本発明のメラノソーム貪食亢進抑制剤及び本発明の表皮分化能改善剤は、ビタミンB6類を有効成分とするものである。
【0011】
ビタミンB6類としては、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミン並びにそれらの塩(例えば、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;塩酸塩、リン酸塩等の無機酸塩)から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、メラノソーム貪食亢進抑制効果、表皮分化能改善効果及び色素斑形成抑制効果の観点から、ピリドキシン及びその塩から選ばれる1種以上が好ましく、ピリドキシン及びピリドキシン塩酸塩から選ばれる1種以上がより好ましい。
ビタミンB6類は、市販品を用いても公知の方法で合成したものを用いてもよい。
【0012】
そして、後記実施例に示すように、ビタミンB6類は、メラノソーム貪食亢進抑制効果、表皮分化能改善効果に優れる。
したがって、ビタミンB6類は、表皮角化細胞のメラノソーム貪食亢進を抑制でき、また、表皮分化能を改善でき、色素斑形成抑制剤として有用である。また、ビタミンB6類は、メラノソーム貪食亢進抑制剤、表皮分化能改善剤及び色素斑形成抑制剤となり得、メラノソーム貪食亢進抑制、表皮分化能改善及び色素斑形成抑制のために使用することができる。また、メラノソーム貪食亢進抑制剤、表皮分化能改善剤及び色素斑形成抑制剤を製造するために使用できる。
また、メラノソーム貪食亢進抑制剤、表皮分化能改善剤及び色素斑形成抑制剤は、メラノソーム貪食亢進抑制、表皮分化能改善及び色素斑形成抑制に有効な医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは食品として、又は医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは食品に配合する素材として使用可能である。
ここで、「メラノソーム貪食亢進抑制」は、表皮角化細胞のメラノソーム貪食亢進を抑制することをいい、「表皮分化能改善」は、表皮分化能の低下(特にメラノソーム貪食亢進による表皮分化能の低下)を改善することをいう。また、「色素斑形成抑制」とは、皮膚の色素斑の形成(特にメラノソーム貪食亢進及び/又は表皮分化能の低下による皮膚色素斑形成)を抑制することをいう。
【0013】
また、上記「使用」は、ヒト若しくは非ヒト動物への投与又は摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。なお、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には、医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
【0014】
なお、食品は、メラノソーム貪食亢進抑制や表皮分化能改善、色素斑形成抑制をコンセプトとし、その旨を表示した保健機能食品、例えば機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品等とすることが可能である。具体的な形態としては、メラノソーム貪食亢進抑制や表皮分化能改善、色素斑形成抑制等を目的とした錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル及びハードカプセル)、顆粒剤、ドリンク剤、菓子類(ゼリー、グミ、チョコレート等)等が挙げられ、また、液体や粉末の形でサプリメントや食品へ添加する素材とすることも可能である。
【0015】
本発明のメラノソーム貪食亢進抑制剤、表皮分化能改善剤及び色素斑形成抑制剤の適用手段は、経口、注射、皮膚外用等のいずれでもよいが、経口又は皮膚外用が好ましい。なお、「皮膚」は、顔や身体、手足の皮膚、及び頭皮を包含する概念である。
本発明のメラノソーム貪食亢進抑制剤、表皮分化能改善剤及び色素斑形成抑制剤を経口投与する場合、その剤形としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤;半固形製剤;液状製剤等が挙げられる。医薬品、医薬部外品、食品のいずれの場合においても、これらの剤形にしてよい。また、経口投与用組成物とする場合には、上記の有効成分に加えて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等の添加剤を含有せしめることができる。
本発明のメラノソーム貪食亢進抑制剤、表皮分化能改善剤及び色素斑形成抑制剤を皮膚外用剤とする場合、その剤形としては、軟膏剤、クリーム剤、乳液、ゲル剤、ペースト剤、ローション等が挙げられる。これらの皮膚外用剤とする場合には、上記の有効成分に加えて、通常の外用剤において基材や添加剤として用いられる各種成分を含有せしめることができる。例えば、天然動植物油脂、半合成油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、フッ素系油剤等の固体、半固体又は液状の油剤;水;低級アルコール、糖アルコール、ステロール等のアルコール類;アラビアゴム、トラガカント等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン等の微生物系高分子;カルボキシメチルデンプン等のデンプン系高分子;カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子;各種アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤等の界面活性剤;金属セッケン、デキストリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の油溶性ゲル化剤;酸化チタン、炭酸マグネシウム、雲母、ヒドロキシアパタイト等の無機粉体;ポリアミドパウダー等の有機粉体;有色顔料;パール顔料;保湿剤;防腐剤;pH調整剤;キレート剤;清涼剤;抗炎症剤;美白剤、細胞賦活剤、血行促進剤等の美肌成分等を使用することができる。
【0016】
本発明のメラノソーム貪食亢進抑制剤、表皮分化能改善剤及び色素斑形成抑制剤中、ビタミンB6類の含有量としては、0.001~90質量%が好ましく、0.01~20質量%がより好ましく、0.1~10質量%が更に好ましい。
本発明のメラノソーム貪食亢進抑制剤、表皮分化能改善剤及び色素斑形成抑制剤は、ビタミンB6類として、成人一日あたり、好ましくは0.1~100mg、より好ましくは1~50mg、更に好ましくは5~50mgを摂取又は塗布される。
【実施例0017】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0018】
〔試験例1 UVB照射による蛍光ビーズ貪食亢進とVB6による貪食亢進抑制効果〕
96ウェルのプレートに培地(HuMedia-KG2:倉敷紡績株式会社製)を0.1mL/well添加し、Normal Human Epidermal Keratinocytes(NHEK)を2.5×10
4cells/wellの密度で播種した後、24時間インキュベートした。これらを第1群~第4群にわけて、第1群(ビタミンB6+UVB群)については、ピリドキシン含有培地(ピリドキシン 1mM)に交換後に24時間培養し、Philips製UVB broadband lampを用いてUVBを20mJ/cm
2照射後、24時間後培養した。また、第2群(ビタミンB6群)については、ピリドキシン含有培地(ピリドキシン 1mM)に交換後、24時間培養し、第3群(UVB群)については、Philips製UVB broadband lampを用いてUVBを20mJ/cm
2照射後、24時間培養し、第4群(無添加無照射群)については、そのまま48時間培養した。
その後、各群のNHEKに、疑似メラノソームとして蛍光ビーズ(Thermo Fisher Scientific製)を4時間取り込ませたのち、単位タンパク質あたりの蛍光ビーズ取り込み量を、マイクロプレートリーダー(Tecan製)にて測定した。結果を
図1に示す。
【0019】
〔試験例2 BSO処理による蛍光ビーズ貪食亢進とVB6による貪食亢進抑制効果〕
96ウェルのプレートに培地(HuMedia-KG2)を0.1mL/well添加し、Normal Human Epidermal Keratinocytes(NHEK)を2.5×10
4cells/wellの密度で播種した後、24時間インキュベートした。これらを第1群~第4群にわけて、第1群(ビタミンB6+BSO群)については、ブチオニンスルホキシイミン(BSO:Sigma-Aldrich製)50μMで24時間処理した後、ピリドキシン含有培地(ピリドキシン 0.25mM、0.5mM又は1mM)に交換後に24時間培養した。また、第2群(ビタミンB6群)については、ピリドキシン含有培地(ピリドキシン 0.25mM、0.5mM又は1mM)に交換後、24時間培養し、第3群(BSO群)については、ブチオニンスルホキシイミン(BSO)50μMで24時間処理した後、KG2培地にて24時間培養し、第4群(無添加群)については、そのまま48時間培養した。
その後、各群のNHEKに、蛍光ビーズ(Thermo Fisher Scientific製)を4時間取り込ませたのち、単位タンパク質あたりの蛍光ビーズ取り込み量を、マイクロプレートリーダー(Tecan製)にて測定した。結果を
図2に示す。
【0020】
〔試験例3 蛍光ビーズ貪食による表皮分化能低下を改善する効果〕
96ウェルのプレートに培地(HuMedia-KG2)を0.1mL/well添加し、Normal Human Epidermal Keratinocytes(NHEK)を2.5×10
4cells/wellの密度で播種した後、24時間インキュベートした。これらを第1群~第3群にわけて、第1群(ビタミンB6+ビーズ群)については、ピリドキシン含有培地(ピリドキシン 1mM)に交換後に24時間培養し、疑似メラノソームとして蛍光ビーズ(Thermo Fisher Scientific製)を4時間取り込ませたのち、さらに新鮮培地(HuMedia-KG2)にて20時間後培養した。また、第2群(ビーズ群)については、24時間培養後、疑似メラノソームとして蛍光ビーズ(Thermo Fisher Scientific製)を4時間取り込ませたのち、さらに新鮮培地(HuMedia-KG2)にて20時間後培養し、第3群(コントロール群)については、そのまま48時間培養した。
その後、各群のNHEKからtotal RNAを抽出し、逆転写反応にてcDNAを作製した。このcDNAをテンプレートとしてリアルタイムPCRを実施し、ケラチン-10、インボルクリン及びロリクリンの遺伝子発現量を検出した。結果を
図3に示す。