(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056310
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/045 20180101AFI20230412BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F25C1/045 A
F25D23/00 302M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165595
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 奈美
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA25
3L345BB06
3L345GG17
3L345GG19
3L345GG28
3L345KK02
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】内部を清潔に保つことができる製氷機を提供する。
【解決手段】製氷機1は、製氷機構部2と、製氷機構部2内に設けられ、氷を生成する氷生成部30と、製氷機構部2内において、気体を、少なくとも氷生成部30の上面30Tに沿って循環させるように送るファン55と、気体を殺菌可能な光触媒装置50と、を備え、光触媒装置50は、氷生成部30の上方であってファン55によって循環される気体の循環経路P上に設けられていること。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体と、
前記箱体内に設けられ、氷を生成する氷生成部と、
前記箱体内において、気体を、少なくとも前記氷生成部の上面に沿って循環させるように送るファンと、
前記気体を殺菌可能な殺菌装置と、を備え、
前記殺菌装置は、前記氷生成部の上方であって前記ファンによって循環される気体の循環経路上に設けられている、製氷機。
【請求項2】
前記氷生成部の上方に設けられた取付部を備え、
前記殺菌装置は、前記取付部の上側に取り付けられており、
前記取付部と前記氷生成部の前記上面との間には、空間が設けられている、請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記殺菌装置は、前記箱体を構成する複数の壁部のうち上側に位置する上壁部と前記氷生成部の前記上面との間において前記気体が流れる方向における下流側に配されている、請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記殺菌装置は、前記箱体を構成する複数の壁部のうち上側に位置する上壁部と前記氷生成部の側方に位置する側壁部とが交わる角部に設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項5】
前記殺菌装置は、
光触媒を含む光触媒部と、
前記光触媒部に光を照射する光照射部と、
前記光触媒部と前記光照射部とを内部に収容する収容部と、を備え、
前記気体を前記収容部の内部に流通させる構成とされる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項6】
前記殺菌装置は、前記箱体を構成する複数の壁部のうち上側に位置する上壁部と前記氷生成部の側方に位置する側壁部とが交わる角部に設けられており、
前記収容部は、
水平方向に開口し前記気体が内部に流入する第1開口部と、
下方に開口し前記気体が外部に流出する第2開口部と、を備える、請求項5に記載の製氷機。
【請求項7】
前記ファンは、前記収容部の内部において、前記光触媒部と前記第2開口部との間に設けられている、請求項6に記載の製氷機。
【請求項8】
前記氷生成部は、
下方に開口する箱状の製氷小室と、
前記製氷小室の下方に配され、前記製氷小室内側に向けて水を噴射する噴射部と、
前記製氷小室の上方に設けられ、前記製氷小室を冷却する冷却部と、を備え、
前記製氷小室内側に氷を生成するものとされ、
前記殺菌装置は、前記冷却部の上方に設けられている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製氷機として、特許文献1に記載のものが知られている。具体的に、特許文献1には、金属板で構成した筐体の内部上方に設けられ氷塊を製造する製氷機構と、製氷機構の下方に設けられ製氷機構で製造された氷塊を内部に貯留するストッカと、筐体前部に設けられストッカの内部を開放可能な扉と、を備える自動製氷機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、ストッカよりも上方に位置する製氷機構の周辺部分は、比較的複雑な構成であることや、清掃に手間がかかること等の理由により、ユーザーによる定期的な清掃の対象外とされることがある。また、筐体の内部への外気の流入が完全に遮断されていない場合には、その流入した気体が製氷機構の周辺部分に流れる可能性も考えられる。従って、製氷機構の周辺部分に埃や菌等が生ずることを抑制し、製氷機の内部を清潔に保つことが望まれる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、内部を清潔に保つことができる製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、箱体と、前記箱体内に設けられ、氷を生成する氷生成部と、前記箱体内において、気体を、少なくとも前記氷生成部の上面に沿って循環させるように送るファンと、前記気体を殺菌可能な殺菌装置と、を備え、前記殺菌装置は、前記氷生成部の上方であって前記ファンによって循環される気体の循環経路上に設けられている、製氷機である。
【0007】
このような製氷機によると、箱体内を循環する気体を殺菌装置によって殺菌することが可能となり、箱体の内壁や氷生成部等における菌等の繁殖を抑制することができる。これにより、製氷機の内部を清潔に保つことができる。また、殺菌装置が氷生成部の上方に設けられているので、氷生成部において生ずる水や氷が殺菌装置に付着して殺菌装置が故障することを抑制することができる。
【0008】
上記構成において、当該製氷機は、前記氷生成部の上方に設けられた取付部を備え、前記殺菌装置は、前記取付部の上側に取り付けられており、前記取付部と前記氷生成部の前記上面との間には、空間が設けられていてもよい。
【0009】
このような製氷機によると、殺菌装置が氷生成部の上面から離間する位置に取り付けられるので、氷生成部において生ずる結露や着霜により殺菌装置が故障することを抑制することができる。
【0010】
上記構成において、前記殺菌装置は、前記箱体を構成する複数の壁部のうち上側に位置する上壁部と前記氷生成部の前記上面との間において前記気体が流れる方向における下流側に配されている、請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【0011】
このような製氷機によると、氷生成部の上面付近を流れる気体を、その流れの下流に位置する殺菌装置に向かわせることができ、当該気体を効果的に殺菌することができる。
【0012】
上記構成において、前記殺菌装置は、前記箱体を構成する複数の壁部のうち上側に位置する上壁部と前記氷生成部の側方に位置する側壁部とが交わる角部に設けられていてもよい。
【0013】
このような製氷機によると、氷生成部の上面付近を流れる気体の流れの方向が変わる(例えば、水平方向から下方に変わる)部分において、当該気体を殺菌することができる。
【0014】
上記構成において、前記殺菌装置は、光触媒を含む光触媒部と、前記光触媒部に光を照射する光照射部と、前記光触媒部と前記光照射部とを内部に収容する収容部と、を備え、前記気体を前記収容部の内部に流通させる構成とされていてもよい。
【0015】
このような製氷機によると、光が照射された光触媒部から生ずる物質により、箱体内を循環する気体を殺菌することができる。
【0016】
上記構成において、前記殺菌装置は、前記箱体を構成する複数の壁部のうち上側に位置する上壁部と前記氷生成部の側方に位置する側壁部とが交わる角部に設けられており、前記収容部は、水平方向に開口し前記気体が内部に流入する第1開口部と、下方に開口し前記気体が外部に流出する第2開口部と、を備えていてもよい。
【0017】
このような製氷機によると、箱体内の気体の流れが殺菌装置によって妨げられることを抑制し、当該気体を効果的に殺菌することができる。
【0018】
上記構成において、前記ファンは、前記収容部の内部において、前記光触媒部と前記第2開口部との間に設けられていてもよい。
【0019】
このような製氷機によると、氷生成部の上面付近を流れる気体を第1開口部から収容部の内部に流入させ易くし、当該気体を光触媒部付近に流れ込ませて効果的に殺菌することができる。
【0020】
上記構成において、前記氷生成部は、下方に開口する箱状の製氷小室と、前記製氷小室の下方に配され、前記製氷小室内側に向けて水を噴射する噴射部と、前記製氷小室の上方に設けられ、前記製氷小室を冷却する冷却部と、を備え、前記製氷小室内側に氷を生成するものとされ、前記殺菌装置は、前記冷却部の上方に設けられていてもよい。
【0021】
このような製氷機によると、製氷小室内側において生成される氷に不純物が混ざりにくく、比較的純度の高い氷を生成可能な氷生成部を備える製氷機において、その内部を清潔に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、内部を清潔に保つことができる製氷機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】製氷機構部の断面図(
図6のII-II線断面)
【
図3】製氷機の一部の構成を概略的に示すブロック図
【
図6】氷生成部付近を右上方から視た斜視図(上壁部を取り外した状態の図)
【
図7】光触媒装置の断面図(
図6のVII-VII線断面)
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態>
本開示の実施形態を
図1から
図7によって説明する。本実施形態では、セル式の製氷機1を例示する。尚、各図において矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方、矢印方向Fを前方、矢印方向Bを後方、矢印方向Tを上方、矢印方向Uを下方として説明する。
【0025】
図1に示すように、製氷機1は、氷を内部に貯蔵する箱状のストッカ3と、ストッカ3の上方に設けられた箱状の製氷機構部(箱体)2と、を備える。ストッカ3は、前側の壁部3Fにおいて、左右方向にスライド可能な2つのスライド窓4A,4Bと、スライド窓4A,4Bの下方に設けられ、下端部5Uを軸として前方に回動可能な回動扉5と、を備える。ストッカ3は、スライド窓4A,4Bのスライドや回動扉5の回動により、当該ストッカ3の内部に貯蔵された氷を外部に取り出すことが可能とされる。
【0026】
製氷機構部2は、上側に位置する上壁部2T、左側に位置する左壁部(側壁部)2L、及び右側に位置する右壁部2R等、板状の複数の壁部を含んで構成されており、全体として左右方向を長辺とする直方体をなしている。製氷機構部2の左上側部分であって上壁部2Tと左壁部2Lとが交わる部分は、角部2TLとされる。
【0027】
図2に示すように、製氷機構部2は、左右方向における中央よりもやや右側に位置し、上下前後方向に広がる板状の仕切壁部2Cを備える。製氷機構部2は、その内部側部分が、仕切壁部2Cから左方の部分である第1室20と、仕切壁部2Cよりも右方の部分である第2室29と、に区分される。第1室20の容積は、第2室29の容積よりも大きい。第2室29には、凝縮器42(
図3参照)や凝縮器42を冷却する凝縮器ファン等が設けられている。
【0028】
第1室20は、氷を生成する氷生成部30と、角部2TLの内側に設けられ、気体を殺菌可能な光触媒装置(殺菌装置)50と、光触媒装置50(後述する収容部51)の内部に設けられたファン55と、を備える。また、
図2及び
図6に示すように、第1室20は、左壁部2Lと仕切壁部2Cとに架橋する形で左右方向に延び、前後に2つ並んだ第1架橋部21と、氷生成部30の左上方において2つの第1架橋部21に架橋する形で前後方向に延びた第2架橋部(取付部)22と、を備える。
【0029】
一方、
図2に示すように、製氷機構部2は、第1室20の下側の壁部を構成し、右方に向かうほどやや上方に傾いた形の下壁部2Uを備える。下壁部2Uは、右側端部において下方(ストッカ3の内部の方向)に開口した下壁開口部2U1を備える。左壁部2Lは、氷生成部30の左方(側方)に位置する側壁部とされる。
【0030】
ファン55は、第1室20の気体(例えば空気)を、氷生成部30の外周であって氷生成部30の上面30Tを含む外周に沿って正面視反時計回りの流れで循環させるように送る。
図2では、ファン55によって循環される気体の循環経路を、一点鎖線で描かれた矢印Pで示す。循環経路Pは、ファン55を始点とした場合、氷生成部30と左壁部2Lとの間、氷生成部30と下壁部2Uとの間、氷生成部30と仕切壁部2Cとの間、氷生成部30と上壁部2Tとの間をこの順で通り、ファン55に再び戻る経路とされる。尚、ファン55により送られる気体は、その一部が、下壁開口部2U1や第1室20を構成する壁部に設けられた排気口(不図示)等から第1室20の外部に排出されていてもよい。
【0031】
光触媒装置50は、氷生成部30の左上方(より具体的には、後述する製氷板部31(製氷小室32)上に設けられた蒸発管44の左端よりも左上方)であって循環経路P上に設けられている。上壁部2Tと氷生成部30の上面30Tとの間では、ファン55から送られた気体が、左方に向かって流れており、氷生成部30の右側が当該気体の流れの上流側であり、左側が当該気体の流れの下流側とされる。従って、光触媒装置50は、上壁部2Tと氷生成部30の上面30Tとの間において気体が流れる方向における下流側に配されている。
【0032】
図3に示すように、製氷機1は、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁43と、蒸発管(冷却部)44と、を備えるとともに、これらが冷媒管45によって連結された冷凍回路を含んでいる。また、製氷機1は、圧縮機41の駆動や光触媒装置50に含まれる光照射部54及びファン55等の作動を制御する制御部49を備える。圧縮機41は、冷媒管45に含まれる冷媒ガスを圧縮する。凝縮器42は、圧縮した冷媒ガスを凝縮器ファン(不図示)の送風により冷却して液化させる。膨張弁43は、液化した冷媒を膨張させる。蒸発管44は、膨張弁43によって膨張された冷媒を気化させて、製氷板部31の製氷小室32を冷却する。
【0033】
図2に示すように、氷生成部30は、下方に開口する複数の箱状の製氷小室32を有し、全体として前後左右方向に広がる板状の製氷板部31と、製氷板部31の上面に対し蛇行する形で取り付けられた蒸発管44と、大部分が製氷板部31の下方に配された可動部35(実線部分参照)と、を備える。
【0034】
可動部35は、前後左右方向に広がる板状の水皿60と、水皿60の下方に位置し貯水可能な凹状の貯水タンク61と、水皿60の左側に位置し、2つの第1架橋部21に固定された固定部21Dに対し回動可能に取り付けられた可動取付部62と、を備える。可動部35は、水皿60の上面60Tが水平方向に広がる向きとなり当該上面60Tが複数の製氷小室32の下端部32Uに近接した閉状態(実線で示す状態)と、水皿60の上面60Tが右下方向に傾く向きとなり当該上面60Tが複数の製氷小室32の下端部32Uから離間した開状態(二点鎖線で示す状態)と、に状態(水皿60の傾き)を変更可能とされる。
【0035】
図4及び
図5に示すように、水皿60は、左右方向に延びた中空状の複数の水通路部63と、複数の水通路部63の上部にそれぞれ設けられ、水通路部63の内部と水皿60の上面60T側とに連通する孔状の噴射孔(噴射部)64と、複数の噴射孔64の前後両側にそれぞれ設けられ、水皿60の上面60T側と水通路部63の前後側(貯水タンク61側)とに連通する孔状の戻り孔65と、を備える。
【0036】
制御部49は、製氷運転を開始した場合、可動部35を閉状態にし、圧縮機41やポンプ39等の駆動を開始する。氷生成部30は、貯水タンク61に貯められた水を、ポンプ39の駆動により水通路部63の内部に送り、噴射孔64から製氷小室32の内側(上面60Tから上方)に向けて噴射させる。製氷小室32は、蒸発管44によって冷却されることで、噴射孔64から噴射された水を当該製氷小室32の内側において凍結させて、氷として付着させる。戻り孔65は、製氷小室32の内側において凍結しなかった水を上面60T側から貯水タンク61側に流して戻す。
【0037】
例えば、氷が所定の大きさまで成長し生成したことをセンサ等(不図示)が検出すると、制御部49は、除氷運転を開始する。具体的には、制御部49は、ポンプ39の駆動を停止し、噴射孔64からの水の噴射を停止する。そして、制御部49は、可動部35を開状態にし、ホットガス弁(不図示)を開いて圧縮機41から蒸発管44にホットガスを供給することで、製氷小室32を加熱する。これにより、製氷小室32内側から氷が離脱する。離脱した氷は、傾斜した水皿60の上面60T(
図2の二点鎖線で示す上面60T参照)を滑り降りて、下壁開口部2U1から製氷機構部2の下方に排出され、ストッカ3の内部に貯められる。
【0038】
図5及び
図6に示すように、第1架橋部21は、上壁部2Tの下方において上下方向に延びた板状の第1板部21Aと、第1板部21Aの下端内側(光触媒装置50側)において前後方向に延びた板状の第2板部21Bと、第2板部21Bの内部端部上側において上下方向に延びた板状をなしその先端部(上部)が第1板部21A側に折れ曲がった第3板部21Cと、を備え、全体として断面視鉤状をなしている。第1板部21Aの内側(第2板部21Bの上側)には、光触媒装置50の右側面に接続される電源配線等が束ねられたワイヤーハーネス(不図示)が配索されている。第2板部21Bの下側には、氷生成部30や固定部21Dが取り付けられている。
【0039】
第2架橋部22は、前後方向を長辺とする上面視長方形かつ板状の長板部22Aと、長板部22Aの前後両側に位置し山形に折れ曲がった折曲板部22Bと、を備える。2つの折曲板部22Bが2つの第3板部21Cの先端部にそれぞれ嵌まることで、第2架橋部22が、第1架橋部21に取り付けられている。第2架橋部22と氷生成部30の上面30Tとの間には、空間が設けられている。長板部22Aの上側面であって前後方向における中央部分には、光触媒装置50の下側面であって右側部分が取り付けられている。
【0040】
図6及び
図7に示すように、光触媒装置50は、前後方向を長辺とする直方体の箱状である第1収容部(収容部)51と、第1収容部51内に収容されたファン55及び箱状の第2収容部52と、第2収容部52内に収容され、光触媒を含む光触媒フィルター(光触媒部)53と、第2収容部52内に収容され、光触媒フィルター53に光を照射する光照射部54と、を備える。第1収容部51は、右側面に設けられ、左右方向(水平方向)に開口し気体が内部に流入する第1開口部51Aと、下側面の左側部分に設けられ、下方に開口し気体が外部に流出する第2開口部51Bと、を備える。第1開口部51Aは、前後方向において複数設けられている(
図6参照)。第2収容部52は、左右両側面において、気体を左右方向に流通させる開口を備える。光触媒装置50は、これらの開口を通して気体を第1収容部51の内部及び第2収容部52の内部に流通させる。ファン55は、光触媒フィルター53と第2開口部51Bとの間(第2開口部51Bに対し第1収容部51の内部側)に設けられている。ファン55は、光触媒装置50の内部の気体を、第2開口部51Bを通して外部に流出させ、循環経路P(
図2参照)を循環させた後に、第1開口部51Aから再び内部に流入させる。
【0041】
光照射部54は、下側に設けられた基板54Aと、基板54A上に実装された複数のLED54Bと、を備える。光触媒フィルター53は、複数のLED54Bに対向するように上側に設けられている。光触媒フィルター53は、光触媒を含んだ多孔質状や不織布状等の形をなした構成や、板状の基材に光触媒が担持された構成であってもよい。光触媒フィルター53に含まれる光触媒としては、特に限定されず、紫外光、可視光、又は赤外光等の光が照射されることにより、ラジカルやイオンを発生させて少なくとも殺菌作用を発揮するものであればよい。このような光触媒としては、例えば、酸化チタン、タングステン、インジウム、銀、モリブデン、亜鉛、ガリウム、タンタル、及びヒ素等の金属化合物の中から採用することができる。また、LED54Bから照射される光の波長は、採用される光触媒に基づいて適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、光触媒として酸化チタンを採用し、LED54Bからは、480nm以下の波長の可視光が照射されることとする。尚、光照射部54は、LED54Bから生じる光を水平方向に導光し光触媒フィルター53側に向けて面状に出光する導光体を備えていてもよい。
【0042】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、製氷機構部2と、製氷機構部2内に設けられ、氷を生成する氷生成部30と、製氷機構部2内において、気体を、少なくとも氷生成部30の上面30Tに沿って循環させるように送るファン55と、気体を殺菌可能な光触媒装置50と、を備え、光触媒装置50は、氷生成部30の上方であってファン55によって循環される気体の循環経路P上に設けられている、製氷機1を示した。
【0043】
このような製氷機1によると、製氷機構部2内を循環する気体を光触媒装置50によって殺菌することが可能となり、製氷機構部2の内壁や氷生成部30等における菌等の繁殖を抑制することができる。これにより、製氷機1の内部を清潔に保つことができる。また、光触媒装置50が氷生成部30の上方に設けられているので、氷生成部30において生ずる水や氷が光触媒装置50に付着して光触媒装置50が故障することを抑制することができる。
【0044】
製氷機1は、氷生成部30の上方に設けられた第2架橋部22を備え、光触媒装置50は、第2架橋部22の上側に取り付けられており、第2架橋部22と氷生成部30の上面30Tとの間には、空間が設けられている。
【0045】
このような製氷機1によると、光触媒装置50が氷生成部30の上面30Tから離間する位置に取り付けられるので、氷生成部30において生ずる結露や着霜により光触媒装置50が故障することを抑制することができる。
【0046】
光触媒装置50は、製氷機構部2を構成する複数の壁部のうち上側に位置する上壁部2Tと氷生成部30の上面30Tとの間において気体が流れる方向における下流側に配されている。
【0047】
このような製氷機1によると、氷生成部30の上面30T付近を流れる気体を、その流れの下流に位置する光触媒装置50に向かわせることができ、当該気体を効果的に殺菌することができる。
【0048】
光触媒装置50は、製氷機構部2を構成する複数の壁部のうち上側に位置する上壁部2Tと氷生成部30の側方に位置する左壁部2Lとが交わる角部2TLに設けられている。
【0049】
このような製氷機1によると、氷生成部30の上面30T付近を流れる気体の流れの方向が変わる(例えば、水平方向から下方に変わる)部分において、当該気体を殺菌することができる。
【0050】
光触媒装置50は、光触媒を含む光触媒フィルター53と、光触媒フィルター53に光を照射する光照射部54と、光触媒フィルター53と光照射部54とを内部に収容する収容部51と、を備え、気体を収容部51の内部に流通させる構成とされている。
【0051】
このような製氷機1によると、光が照射された光触媒フィルター53から生ずる物質により、製氷機構部2内を循環する気体を殺菌することができる。
【0052】
光触媒装置50は、角部2TLに設けられており、収容部51は、水平方向に開口し気体が内部に流入する第1開口部51Aと、下方に開口し気体が外部に流出する第2開口部51Bと、を備えている。
【0053】
このような製氷機1によると、製氷機構部2内の気体の流れが光触媒装置50によって妨げられることを抑制し、当該気体を効果的に殺菌することができる。
【0054】
ファン55は、収容部51の内部において、光触媒フィルター53と第2開口部51Bとの間に設けられている。
【0055】
このような製氷機1によると、氷生成部30の上面30T付近を流れる気体を第1開口部51Aから収容部51の内部に流入させ易くし、当該気体を光触媒フィルター53付近に流れ込ませて効果的に殺菌することができる。
【0056】
氷生成部30は、下方に開口する箱状の製氷小室32と、製氷小室32の下方に配され、製氷小室32内側に向けて水を噴射する噴射孔64と、製氷小室32の上方に設けられ、製氷小室32を冷却する蒸発管44と、を備え、製氷小室32内側に氷を生成するものとされ、光触媒装置50は、蒸発管44の上方に設けられている。
【0057】
このような製氷機1によると、製氷小室32内側において生成される氷に不純物が混ざりにくく、比較的純度の高い氷を生成可能な氷生成部30を備える製氷機1において、その内部を清潔に保つことが可能となる。
【0058】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0059】
(1)上記実施形態以外にも、殺菌装置の構成は適宜変更可能である。例えば、殺菌装置は、殺菌効果を示す波長の光を照射する殺菌灯やLED等の殺菌部を備え、当該殺菌部から照射される光によって気体を直接殺菌するものであってもよい。また、このような殺菌部は、収容部の内部に収容されていてもよく、収容部の外部に取り付けられていてもよい。さらに、殺菌装置は、収容部を備えていなくてもよい。
【0060】
(2)上記実施形態以外にも、ファンの位置は適宜変更可能である。例えば、ファンは、殺菌装置の外部であって氷生成部の左下方や右上方に設けられていてもよい。他にも、ファンは、仕切壁部に取り付けられていても良い。
【0061】
(3)上記実施形態以外にも、氷生成部の構成や氷を生成する機構等は適宜変更可能である。例えば、氷生成部における製氷小室は、上記実施形態で示した形に限られず、他にも、丸形、三日月形、星形等であってもよい。また、氷生成部は、上下に延びた製氷板に水を流して氷を生成する流下式であってもよい。さらに、制御部による製氷に係る制御の流れは、上記実施形態で示した流れに限らず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…製氷機、2…製氷機構部(箱体)、2L…左壁部(側壁部)、2R…右壁部、2T…上壁部、2TL…角部、2U…下壁部、22…第2架橋部(取付部)、30…氷生成部、30T…上面、32…製氷小室、44…蒸発管(冷却部)、50…光触媒装置(殺菌装置)、51…第1収容部(収容部)、51A…第1開口部、51B…第2開口部、53…光触媒フィルター(光触媒部)、54…光照射部、55…ファン、64…噴射孔(噴射部)、P…循環経路