(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056315
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】磁気センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20230412BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20230412BHJP
【FI】
G01R33/02 V
H02K11/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165601
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】牧 晃司
【テーマコード(参考)】
2G017
5H611
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AC07
2G017AD00
2G017CB01
2G017CB10
2G017CB20
5H611AA01
5H611BB01
5H611PP05
5H611QQ00
5H611QQ01
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】筐体から外部に漏洩する漏洩磁界が増加させられ、磁気センサの検出感度が増大できる磁気センサ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】磁気センサ装置(10)は、回転機を組み込んだ機器の筐体(8)からの運転中の漏洩磁界(RG)を計測し、回転機の運転状態を現すパラメータを抽出する。磁気センサ装置(10)は、筐体(8)からの運転中の漏洩磁界(RG)を検出する磁気センサ(4)と、筐体(8)の表面に近接させて筐体(8)を周方向磁界(SG)によって磁気飽和させる永久磁石(7a、7b)と、永久磁石(7a、7b)の磁束(G1)が磁気センサ(4)に入射することを抑制する軟磁性体ヨーク(6)と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機又は前記回転機を組み込んだ機器の筐体からの運転中の漏洩磁界を計測し、前記回転機の運転状態を現すパラメータを抽出する磁気センサ装置であって、
前記筐体からの運転中の漏洩磁界を検出する磁気センサと、
前記筐体の表面に近接させて前記筐体を周方向磁界によって磁気飽和させる永久磁石と、
前記永久磁石の磁束が前記磁気センサに入射することを抑制する軟磁性体ヨークと、
を備える
磁気センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記永久磁石は、着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位を、周方向に一定間隔離間させて配置されている
磁気センサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気センサ装置であって、
前記軟磁性体ヨークは、前記磁気センサを中心として前記磁気センサよりも軸方向及び周方向において長く、
前記永久磁石は、着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位を、前記磁気センサの周方向における長さ以上の距離を離して配置されている
磁気センサ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記筐体は、軟磁性体によって構成されている
磁気センサ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気センサ装置であって、
前記永久磁石は、前記筐体の表面に吸着している
磁気センサ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記軟磁性体ヨークは、前記筐体の曲率に合わせて湾曲している
磁気センサ装置。
【請求項7】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記磁気センサが検出した漏洩磁界から直流成分を除去する直流成分除去部を備える
磁気センサ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記磁気センサが検出した漏洩磁界から前記回転機の回転角度位置、回転角速度、回転角加速度又は出力の少なくともいずれか1つを抽出する回転機情報抽出部を備える
磁気センサ装置。
【請求項9】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記軟磁性体ヨークは、前記筐体の方向に凹ませた凹部を有し、
前記磁気センサは、前記凹部に配置されている 磁気センサ装置。
【請求項10】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記永久磁石における着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位の周方向両外側から、前記磁気センサに向かう程軸方向幅が狭くなり、前記筐体からの運転中の漏洩磁界を磁気センサに向かう程集束させる1対の軟磁性体補助ヨークを備える
磁気センサ装置。
【請求項11】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記磁気センサは、前記軟磁性体ヨークに対して前記筐体側に配置されている
磁気センサ装置。
【請求項12】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記永久磁石は、前記筐体の内部にて前記回転機の軸芯が伸びる軸方向に対して前記軸方向周りの周方向における前記回転機の回転中における複数の円弧状の漏洩磁界を周方向磁界によって磁気飽和させる
磁気センサ装置。
【請求項13】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記磁気センサが検出した漏洩磁界を計測する漏洩磁界計測部を備える
磁気センサ装置。
【請求項14】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記永久磁石は、前記筐体を吸着して前記筐体の表面に配置され、
前記軟磁性体ヨークは、前記永久磁石に対して前記筐体とは反対側にて、前記永久磁石における着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位を橋渡しして配置され、
前記磁気センサは、前記永久磁石における着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位の間に配置されている
磁気センサ装置。
【請求項15】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって、
前記磁気センサは、前記永久磁石における着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位の間における磁束経路を妨げない径方向に投影された位置に配置されている
磁気センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータや発電機といった回転機を組み込んだ機器を制御するには、回転機の運転状態を現すパラメータの時々刻々の情報が必要である。同期回転機の場合には、回転子の磁極位置に合わせて固定子に回転磁界を発生させるために、回転子の角度位置をエンコーダやレゾルバのような角度センサを用いて検出し、その検出情報を機器の制御にフィードバックしている。しかし、通常、検出情報の詳細が機器の使用者には開示されていない。また、センサを用いないで角度位置を推定している場合も、外部からその推定結果を知ることが困難である。
【0003】
ところで、複数の回転機を協調制御したいという要望が存在する。例えば大規模な工場において、複数の産業用ロボットや工作機械などの機器が連携して動作していることが多い。ここで、これら複数の機器の協調制御が実現すれば、急な計画変更に対しても柔軟に対応でき、生産ラインの稼働率を向上させられる。
【0004】
しかし、工場にて使用されている産業用ロボットや工作機械などの機器は、製造元がそれぞれ異なり、各機器の制御の詳細が開示されていない。そのため、複数の機器の協調制御を実現するには、協調制御に必要な情報を各々の機器の外部から収集する必要がある。
【0005】
機器の外部から回転機の角度位置の情報を得る方法として最も一般的な手法は、何らかの角度センサを設置する方法である。しかし、この方法では、多くの場合に機器の改造を伴い、実現が困難である。
【0006】
そこで、回転機の筐体からの漏洩磁界を検出して、回転機の運転状態を推定する技術が開発されている。例えば特許文献1では、回転機の筐体の表面に磁気センサを含む各種センサを貼り付け、回転機の状態を監視する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、産業用ロボットや工作機械などの機器では、回転機の筐体が機器の外部に露出していない場合が多く、機器の筐体越しの漏洩磁界を検出することになる。このような機器の筐体越しの漏洩磁界を検出する場合には、機器の筐体が鉄などの軟磁性体によって製造されているため、機器の筐体の外部に漏洩する漏洩磁界が大きく減衰し、磁気センサの検出感度が不足する課題がある。
【0009】
本発明は、筐体から外部に漏洩する漏洩磁界を増加させ、磁気センサの検出感度を増大できる磁気センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による磁気センサ装置は、回転機又は前記回転機を組み込んだ機器の筐体からの運転中の漏洩磁界を計測し、前記回転機の運転状態を現すパラメータを抽出する磁気センサ装置であって、前記筐体からの運転中の漏洩磁界を検出する磁気センサと、前記筐体の表面に近接させて前記筐体を周方向磁界によって磁気飽和させる永久磁石と、前記永久磁石の磁束が前記磁気センサに入射することを抑制する軟磁性体ヨークと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体から外部に漏洩する漏洩磁界を増加させ、磁気センサの検出感度を増大できる磁気センサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置を設置した機器を示す説明図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置を設置した機器の回転機搭載部分を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置を設置した機器の回転機搭載部分を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置を示す説明図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態に係る筐体に吸着した磁気センサ装置の磁束経路を示す説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置によって筐体の外部に漏洩する漏洩磁界を示す説明図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1実施形態の変形例1に係る筐体に吸着した磁気センサ装置の磁束経路を示す説明図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1実施形態の変形例1に係る磁気センサ装置を示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1実施形態の変形例2に係る筐体に吸着した磁気センサ装置の磁束経路を示す説明図である。
【
図12】
図12は、本発明の第1実施形態の変形例3に係る筐体に吸着した磁気センサ装置の磁束経路を示す説明図である。
【
図13】
図13は、本発明の第1実施形態の変形例4に係る筐体に吸着した磁気センサ装置の磁束経路を示す説明図である。
【
図14】
図14は、本発明の第1実施形態の変形例4に係る磁気センサ装置を示す分解斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の第1実施形態の変形例5に係る筐体に吸着した磁気センサ装置の磁束経路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態が説明されている。ただし、本発明は、下記の実施形態に限定解釈されるものではなく、公知の他の構成要素を組み合わせて本発明の技術思想が実現されてもよい。なお、各図において同一要素については同一の符号が記載され、重複する説明が省略される。
【0014】
<第1実施形態>
<機器30の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置10を設置した機器30を示す説明図である。ここで、X矢印の方向とは、回転機2の軸芯2aが伸びる軸方向Yに対して軸方向Y周りの周方向Xである。Y矢印の方向とは、X矢印の方向と直交し、回転機2の軸芯2aが伸びる軸方向Yである。Z矢印の方向とは、周方向X及び軸方向Yと直交した径方向Zである。特に、径方向Zは、機器30の筐体8の表面に磁気センサ装置10が設置された箇所での径方向Zである。
【0015】
図1に示されるように、産業用ロボットなどの機器30の場合には、多数の関節の駆動にそれぞれ回転機2が使用されている。
【0016】
機器30における複数の回転機2のそれぞれが搭載された回転機搭載部分には、磁気センサ装置10、10a、10bが設置されている。磁気センサ装置10、10a、10bから得られる情報は、サーバ20に集約される。このようにして、通常、入手困難な回転機2の運転状態を現すパラメータを抽出し、機器30と他の機器との協調制御に必要な回転機2の角度位置などの情報を機器30の外部から収集する。
【0017】
以下、磁気センサ装置10が具体的に説明されている。なお、磁気センサ装置10a、10bも磁気センサ装置10と同様な構成である。
【0018】
<磁気センサ装置10を設置した機器30の回転機搭載部分>
図2は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置10を設置した機器30の回転機搭載部分を示す斜視図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置10を設置した機器30の回転機搭載部分を示す縦断面図である。
【0019】
図2、
図3に示されるように、機器30の筐体8の表面には、磁気センサ装置10が設置されている。機器30の筐体8の表面から筐体8内部の回転機筐体2bまでには、距離がある場合がある。磁気センサ装置10は、回転機2を組み込んだ機器30の筐体8からの運転中の漏洩磁界を計測し、回転機2の運転状態を現すパラメータを抽出する。なお、磁気センサ装置10は、回転機筐体2bからの運転中の漏洩磁界を計測し、回転機2の運転状態を現すパラメータを抽出してもよい。
【0020】
つまり、磁気センサ装置10は、筐体8の内部にて回転機2の軸芯2aが伸びる軸方向Yに対して軸方向Y周りの周方向Xにおける回転機2の回転中における複数の円弧状の漏洩磁界RGを周方向磁界SG(
図4参照)によって磁気飽和させる。そして、磁気センサ装置10は、機器30の筐体8からの運転中の漏洩磁界RGを計測する。
【0021】
<磁気センサ装置10>
図4は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置10を示す説明図である。ここで、
図4(a)が磁気センサ装置10の設置状態を示す説明図である。
図4(b)が磁気センサ装置10を示す上視図である。
図4(c)が磁気センサ装置10を示す縦断面図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係る筐体8に吸着した磁気センサ装置10の磁束(Wb)経路を示す説明図である。
図6は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置10を示すブロック図である。
図7は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置10を示す分解斜視図である。
【0022】
図4~
図7に示されるように、磁気センサ装置10は、電力変換装置1に接続され、負荷機械3を駆動する回転機2を内蔵した機器30の筐体8の表面に設置されている。磁気センサ装置10は、磁気センサ4と、永久磁石7a、7bと、軟磁性体ヨーク6と、プリント基板5と、漏洩磁界計測部11と、直流成分除去部12と、回転機情報抽出部13と、通信部14と、を備える。
【0023】
磁気センサ4は、筐体8からの運転中の漏洩磁界RGを検出する。磁気センサ4は、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位の間に配置されている。磁気センサ4は、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位の間における磁束G1の経路を妨げない径方向Zに投影された位置に配置されている。
【0024】
永久磁石7a、7bは、筐体8の表面に近接させて筐体8を周方向磁界SGによって磁気飽和させる。永久磁石7a、7bは、着磁の向きが互いに逆である2個の部位を、周方向Xに一定間隔離間させて配置されている。具体的には、永久磁石7a、7bは、着磁の向きが互いに逆である2個の部位を、磁気センサ4の周方向Xにおける長さ以上の距離を離して配置されている。
【0025】
ここで、2個の永久磁石7a、7bは、着磁の向きを互いに逆向きで径方向Zに向けている。つまり、2個の永久磁石7a、7bのうち一方は、N極を径方向Zにて筐体8に近づけてS極を径方向Zにて筐体8から離して配置されている。2個の永久磁石7a、7bのうち他方は、S極を径方向Zにて筐体8に近づけてN極を径方向Zにて筐体8から離して配置されている。
【0026】
これにより、
図5に示されるように、永久磁石7a、7bの磁束G1の経路は、一方の永久磁石7bから軟磁性体ヨーク6を経て他方の永久磁石7aに向かい、他方の永久磁石7aから筐体8中を経て一方の永久磁石7bに向かう経路を形成している。
【0027】
永久磁石7a、7bは、筐体8の内部にて回転機2の軸芯2aが伸びる軸方向Yに対して軸方向Y周りの周方向Xにおける回転機2の回転中における複数の円弧状の漏洩磁界RGを周方向磁界SGによって磁気飽和させる。筐体8が鉄などの軟磁性体によって構成されているので、永久磁石7a、7bがプリント基板5及び磁気センサ4を搭載した軟磁性体ヨーク6を筐体8の表面に吸着させている。つまり、永久磁石7a、7bは、磁気センサ装置10を吸着して筐体8の表面に配置されている。
【0028】
軟磁性体ヨーク6は、永久磁石7a、7bの磁束G1が磁気センサ4に入射することを抑制する。軟磁性体ヨーク6は、磁気センサ4を中心として磁気センサ4よりも軸方向Y及び周方向Xにおいて長い。軟磁性体ヨーク6は、永久磁石7a、7bに対して筐体8とは反対側にて、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位を橋渡しして配置されている。軟磁性体ヨーク6は、径方向Zにおいて一定の厚みを有する。
【0029】
ここで、軟磁性体ヨーク6は、鉄などの材料で構成されている。つまり、軟磁性体ヨーク6は、機械的硬度が小さいということではない。軟磁性体ヨーク6は、磁界が印加されると磁化され易く、磁界を取り去ると元に戻り易い又は逆向きの磁界により磁化が反転され易い。すなわち、軟磁性体ヨーク6は、透磁率が大きく、磁力の保持力が小さい材料で構成されている。
【0030】
プリント基板5は、磁気センサ4に給電したりセンサ信号をA/D変換したりする電気電子回路を実装している。プリント基板5には、漏洩磁界計測部11と、直流成分除去部12と、回転機情報抽出部13と、通信部14と、が機能的に実装されている。
【0031】
漏洩磁界計測部11は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界を計測する。すなわち、漏洩磁界計測部11は、筐体8からの漏洩磁界RGと永久磁石7a、7bの磁束G1とが重畳した磁界を検出できる。
【0032】
直流成分除去部12は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界から直流成分を除去する。永久磁石7a、7bの磁束G1が変動しない。これにより、筐体8からの漏洩磁界RGと永久磁石7a、7bの磁束G1とが重畳していても、直流成分除去部12は、直流成分除去処理によって永久磁石7a、7bの磁束G1を除去できる。具体的な直流成分除去方法としては、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタを通してもよいし、FFT(高速フーリエ変換)などを用いて周波数スペクトルを算出してから直流成分を除去してもよい。
【0033】
回転機情報抽出部13は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界RGから回転機2の回転角度位置、回転角速度、回転角加速度又は出力の少なくともいずれか1つを抽出する。回転機情報抽出部13は、直流成分除去部12の直流成分除去処理後に、漏洩磁界RGの変動成分から、回転機2の回転角度位置、回転角速度、回転角加速度又は出力といった、回転機2の運転状態を現すパラメータを抽出する。
【0034】
通信部14は、回転機情報抽出部13が抽出した抽出情報をサーバ20に送信する。通信部14の通信方式は、無線LANやブルートゥース(登録商標)などの無線通信が望ましい。
【0035】
<磁気センサ装置10の計測原理>
回転機2が駆動されると、回転機2内部には回転磁界が発生し、回転磁界が筐体8外部にまで漏洩して漏洩磁界RGを形成する。同期回転機の場合には、回転子の磁極が回転磁界と共に回転する。このため、漏洩磁界RGを計測すれば、回転子の固定子に対する相対的な回転角度位置を知ることができる。一方、誘導回転機の場合には、すべりの分だけ回転子の回転が回転磁界よりも遅れるため、回転角度位置を知るのは困難である。しかし、漏洩磁界RGの大きさから出力の情報は得られる。なお、産業用ロボットや工作機械などの機器30においては、同期回転機が使用されることがほとんどである。
【0036】
産業用ロボットの機器30の場合には、各関節を駆動する回転機2の周囲を囲む回転機筐体2bが外部に露出していない場合が多い。回転機筐体2bが外部に露出していない場合には、磁気センサ装置10は、機器30の筐体8越しに漏洩磁界RGを計測する。ここで、機器30の筐体8は、通常、鉄製の軟磁性体である。このため、回転機2の漏洩磁界RGは、機器30の筐体8にて大きく減衰し、磁気センサ装置10の計測感度が不足する。
【0037】
そこで、磁気センサ装置10は、機器30の筐体8から漏れて来る漏洩磁界RGを増加させて計測する。具体的には、磁気センサ装置10は、磁気センサ装置10自体が備える永久磁石7a、7bによって機器30の筐体8を磁気飽和させ、漏洩磁界を漏れ易くする。
【0038】
図8は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ装置10によって筐体8の外部に漏洩する漏洩磁界RGを示す説明図である。
図8の太線矢印では、筐体8が永久磁石7a、7bの磁束G1(周方向磁界SG)によって磁気飽和したときの筐体8からの漏洩磁界RGの概略分布が示されている。
【0039】
機器30の筐体8を磁気飽和させる永久磁石7a、7bからの周方向磁界SGは、回転機2からの漏洩磁界RGと磁束の伸びる方向を合わせる必要がある。回転磁界は、機器30の筐体8にて主に周方向Xに発生する。このため、磁気飽和させる永久磁石7a、7bの周方向磁界も周方向Xに発生させている。
【0040】
永久磁石7a、7bの磁束G1の経路は、一方の永久磁石7bから軟磁性体ヨーク6を経て他方の永久磁石7aに向かい、他方の永久磁石7aから筐体8中を経て一方の永久磁石7bに向かう経路を形成している。このため、永久磁石7a、7bは、着磁の向きが互いに逆である2個を周方向Xに一定間隔を置いて配置されている。これにより、2個の永久磁石7a、7bに挟まれた範囲では、2個の永久磁石7a、7bを橋渡しした軟磁性体ヨーク6と、機器30の筐体8と、が永久磁石7a、7bの周方向磁界SGの影響を受ける。よって、機器30の筐体8は、2個の永久磁石7a、7bの周方向磁界SGによって磁気飽和を起こす。
【0041】
以上により、磁気センサ装置10は、回転機2が軟磁性体の機器30の筐体8に囲まれていても、回転機2から機器30の筐体8の外部に漏洩する漏洩磁界RGを増加させて計測できる。そして、磁気センサ装置10は、回転機2の運転状態を現すパラメータを抽出できる。
【0042】
<その他>
以下、第1実施形態の変形例が説明されている。ここでは、上記第1実施形態と同じ事項には同符号が付されて説明が省略され、その特徴部分が説明されている。
【0043】
<変形例1>
図9は、本発明の第1実施形態の変形例1に係る筐体8に吸着した磁気センサ装置10の磁束G1の経路を示す説明図である。
図10は、本発明の第1実施形態の変形例1に係る磁気センサ装置10を示す分解斜視図である。
【0044】
永久磁石7cは、着磁の向きが互いに逆である1個における2箇所の部位を、周方向Xに一定間隔離間させて配置されている。磁気センサ4は、永久磁石7cにおける着磁の向きが互いに逆である1個における2箇所の部位の間における磁束G1の経路を妨げない径方向Zに投影された位置に配置されている。
【0045】
軟磁性体ヨーク6は、永久磁石7cに対して筐体8とは反対側にて、永久磁石7cにおける着磁の向きが互いに逆である1個における2箇所の部位を橋渡しして配置されている。
【0046】
<変形例2>
図11は、本発明の第1実施形態の変形例2に係る筐体8に吸着した磁気センサ装置10の磁束G1の経路を示す説明図である。
【0047】
軟磁性体ヨーク6は、筐体8の曲率に合わせて湾曲している。つまり、軟磁性ヨーク6は、ゴム状部材などで構成され、筐体8の曲率に合わせて湾曲可能である。なお、軟磁性体ヨーク6は、筐体8の曲率に合わせて湾曲している剛性部材であってもよい。
【0048】
<変形例3>
図12は、本発明の第1実施形態の変形例3に係る筐体8に吸着した磁気センサ装置10の磁束G1の経路を示す説明図である。
【0049】
軟磁性体ヨーク6は、筐体8の方向に凹ませた凹部6aを有する。磁気センサ4は、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位の間における磁束G1の経路を妨げない凹部6aの位置に配置されている。かつ、磁気センサ4は、軟磁性体ヨーク6の凹部6a以外の箇所よりも筐体8の表面に近い径方向Zに投影された凹部6aの位置に配置されている。軟磁性体ヨーク6は、凹部6aを形成するために屈曲していても一定の厚みを有する。
【0050】
<変形例4>
図13は、本発明の第1実施形態の変形例4に係る筐体8に吸着した磁気センサ装置10の磁束G1の経路を示す説明図である。
図14は、本発明の第1実施形態の変形例4に係る磁気センサ装置10を示す分解斜視図である。
【0051】
磁気センサ装置10は、1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bを備える。1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bは、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位の周方向X両外側から、磁気センサ4に向かう程軸方向Yの幅が狭くなっている。これにより、1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bは、筐体8からの運転中の漏洩磁界RGを磁気センサ4に向かう程集束させている。
【0052】
1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bにおいては、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位の周方向X両外側の軸方向Yの幅が最も長い。そして、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位の周方向X両外側では径方向Zに向かっていた形状は、途中にて磁気センサ4に向けて周方向Xに湾曲する。さらに、磁気センサ4に向かう程軸方向Yの幅が狭くなり、磁気センサ4を間に挟む1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bを通過する漏洩磁界RGが磁気センサ4を中心に集束する。
【0053】
ここで、永久磁石7a、7bの磁束G1が1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bに入射されている可能性がある。しかし、永久磁石7a、7bの磁束G1が変動しないので、筐体8からの漏洩磁界RGと永久磁石7a、7bの磁束G1とが重畳していても、磁気センサ装置10の直流成分除去部12は、直流成分除去処理によって永久磁石7a、7bの磁束G1を除去できる。
【0054】
以上により、1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bは、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位の周方向Xの両外側に配置されていればよい。つまり、軟磁性体補助ヨーク9a、9bと永久磁石7a、7bとは、直接接触してもよいし、双方の間に非磁性体を介在させてもよい。
【0055】
<変形例5>
図15は、本発明の第1実施形態の変形例5に係る筐体8に吸着した磁気センサ装置10の磁束G1の経路を示す説明図である。
【0056】
磁気センサ4は、軟磁性体ヨーク6に対して筐体8側に配置されている。つまり、磁気センサ4は、永久磁石7a、7bにおける着磁の向きが互いに逆である2個の部位の間における磁束G1の経路を妨げない位置に配置されている。かつ、磁気センサ4は、軟磁性体ヨーク6に対して筐体8に近い径方向Zに投影された位置に配置されている。
【0057】
簡単に言えば、径方向Zにおいて軟磁性体ヨーク6と筐体8との間には、永久磁石7a、7bの厚みによって隙間Lが形成されている。磁気センサ4は、径方向Zにおいて永久磁石7a、7bの厚みによって形成された隙間Lに配置されている。磁気センサ4は、軟磁性体ヨーク6の筐体8側の表面に固定されている。
【0058】
<効果>
(A)磁気センサ装置10は、回転機2又は回転機2を組み込んだ機器30の筐体8からの運転中の漏洩磁界を計測し、回転機2の運転状態を現すパラメータを抽出する。磁気センサ装置10は、筐体8からの運転中の漏洩磁界を検出する磁気センサ4を備える。磁気センサ装置10は、筐体8の表面に近接させて筐体8を周方向磁界によって磁気飽和させる永久磁石7a、7b、7cを備える。磁気センサ装置10は、永久磁石7a、7b、7cの磁束G1が磁気センサ4に入射することを抑制する軟磁性体ヨーク6を備える(
図8参照)。
【0059】
回転機2の回転磁界は、回転機2を組み込んだ筐体8の内部にて主に回転機2の周方向Xに磁束の伸びる方向を沿わせる。このため、回転磁界が筐体8中及び筐体8の外部に漏洩させる漏洩磁界RGも回転機2の周方向Xに磁束の伸びる方向を沿わせている。本実施形態では、回転機2又は回転機2を組み込んだ機器30の筐体8は、永久磁石7a、7bの周方向磁界SGによって磁気飽和させられる。これにより、漏洩磁界RGは、回転機2から筐体8の外部に漏洩し易くなる。このため、磁気センサ4は、より多く漏洩する漏洩磁界RGを検出し易くなる。このように本実施形態によれば、筐体8から外部に漏洩する漏洩磁界RGを増加させ、磁気センサ4の検出感度を増大できる磁気センサ装置10を提供することができる。
【0060】
(B)永久磁石7a、7b、7cは、着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位を、周方向Xに一定間隔離間させて配置されている(
図7、
図10参照)。
【0061】
この構成では、永久磁石7a、7b、7cは、周方向Xに一定間隔離間させて配置された着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位によって、回転機2の周方向Xに磁束G1の伸びる方向を沿わせられる。これにより、永久磁石7a、7b、7cは、筐体8を磁気飽和させる周方向磁界SGを発生させられる。
【0062】
(C)軟磁性体ヨーク6は、磁気センサ4を中心として磁気センサ4よりも軸方向Y及び周方向Xにおいて長い。永久磁石7a、7b、7cは、着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位を、磁気センサ4の周方向Xにおける長さ以上の距離を離して配置されている(
図7、
図10参照)。
【0063】
この構成では、永久磁石7a、7b、7cの磁束G1が磁気センサ4よりも軟磁性体ヨーク6中に入射され易い。これにより、永久磁石7a、7b、7cの磁束G1が磁気センサ4に入射することを抑制できる。
【0064】
(D)筐体8は、軟磁性体によって構成されている(
図8参照)。
【0065】
この構成では、回転機2又は回転機2を組み込んだ機器30の筐体8は、永久磁石7a、7b、7cの周方向磁界SGによって磁気飽和させられる。
【0066】
(E)永久磁石7a、7b、7cは、軟磁性体ヨーク6を筐体8の表面に吸着させている(
図5、
図9参照)。
【0067】
この構成では、永久磁石7a、7b、7cが、磁気センサ装置10を筐体8に固定する機能を有しているため、磁気センサ装置10を筐体8に固定するための他の部品が必要ない。
【0068】
(F)軟磁性体ヨーク6は、筐体8の曲率に合わせて湾曲している(
図11参照)。
【0069】
この構成では、磁気センサ装置10は、筐体8の表面に隙間なく配置できる。これにより、回転機2又は回転機2を組み込んだ機器30の筐体8は、永久磁石7a、7b、7cの周方向磁界SGによってより強く磁気飽和させられる。
【0070】
(G)磁気センサ装置10は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界RGから直流成分を除去する直流成分除去部12を備える(
図6参照)。
【0071】
この構成では、直流成分除去部12は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界RGから直流成分を除去できる。ここで、永久磁石7a、7bの磁束G1が変動しない。これにより、筐体8からの漏洩磁界RGと永久磁石7a、7bの磁束G1とが重畳していても、直流成分除去部12は、直流成分除去処理によって永久磁石7a、7bの磁束G1を除去できる。
【0072】
(H)磁気センサ装置10は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界RGから回転機2の回転角度位置、回転角速度、回転角加速度又は出力の少なくともいずれか1つを抽出する回転機情報抽出部13を備える(
図6参照)。
【0073】
この構成では、回転機情報抽出部13は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界RGから回転機2の回転角度位置、回転角速度、回転角加速度又は出力の少なくともいずれか1つを抽出できる。よって、回転機情報抽出部13は、漏洩磁界RGの変動成分から、回転機2の運転状態を現すパラメータを抽出できる。
【0074】
(I)軟磁性体ヨーク6は、筐体8の方向に凹部6aを有する。磁気センサ4は、凹部6aに配置されている(
図12参照)。
【0075】
この構成では、磁気センサ4への永久磁石7a、7b、7cの磁束G1の入射を抑制することができる。また、磁気センサ4が、
図5に示される例に比べて、筐体8に近い位置に配置されることになる。これにより、磁気センサ4は、回転機2から筐体8の外部にて筐体8に近い程大きく漏洩する漏洩磁界RGを検出し易くなる。
【0076】
(J)磁気センサ装置10は、永久磁石7a、7b、7cにおける着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位の周方向Xの両外側から、磁気センサ4に向かう程軸方向Yの幅が狭くなり、筐体8からの運転中の漏洩磁界RGを磁気センサ4に向かう程集束させる1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bを備える(
図14参照)。
【0077】
この構成では、1対の軟磁性体補助ヨーク9a、9bは、筐体8における永久磁石7a、7b、7cの周方向磁界SGによって磁気飽和させられる箇所の外側から運転中の漏洩磁界RGを磁気センサ4に向けて集束できる。これにより、磁気センサ4は、磁気センサ4自体に向かってより多く漏洩する漏洩磁界RGを検出し易くなる。
【0078】
(K)磁気センサ4は、軟磁性体ヨーク6に対して筐体8側に配置されている(
図15参照)。
【0079】
この構成では、磁気センサ4は、回転機2から筐体8の外部にて筐体8に近い程大きく漏洩する漏洩磁界RGを検出し易くなる。
【0080】
(L)永久磁石7a、7b、7cは、筐体8の内部にて回転機2の軸芯2aが伸びる軸方向Yに対して軸方向Y周りの周方向Xにおける回転機2の回転中における複数の円弧状の漏洩磁界RGを周方向磁界SGによって磁気飽和させる(
図3参照)。
【0081】
この構成では、回転機2又は回転機2を組み込んだ機器30の筐体8は、永久磁石7a、7b、7cの周方向磁界SGによって磁気飽和させられる。これにより、漏洩磁界RGは、回転機2から筐体8の外部に漏洩し易くなる。このため、磁気センサ4は、より多く漏洩する漏洩磁界RGを検出し易くなる。したがって、筐体8から外部に漏洩する漏洩磁界RGが増加させられ、磁気センサ4の検出感度が増大できる。
【0082】
(M)磁気センサ装置10は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界RGを計測する漏洩磁界計測部11を備える(
図6参照)。
【0083】
この構成では、漏洩磁界計測部11は、磁気センサ4が検出した漏洩磁界RGを計測できる。よって、漏洩磁界計測部11は、筐体8からの漏洩磁界RGと永久磁石7a、7bの磁束G1とが重畳した磁界を検出できる。
【0084】
(N)永久磁石7a、7b、7cは、筐体8の表面に筐体8を吸着して配置されている。軟磁性体ヨーク6は、永久磁石7a、7b、7cに対して筐体8とは反対側にて、永久磁石7a、7b、7cにおける着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位を橋渡しして配置されている。磁気センサ4は、永久磁石7a、7b、7cにおける着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位の間に配置されている(
図7、
図10参照)。
【0085】
この構成では、永久磁石7a、7b、7cが磁気センサ装置10を筐体8に固定する機能を有しているため、磁気センサ装置10を筐体8に固定するための他の部品が必要ない。そして、回転機2又は回転機2を組み込んだ機器30の筐体8は、永久磁石7a、7b、7cの周方向磁界SGによって磁気飽和させられる。また、永久磁石7a、7b、7cの磁束G1が磁気センサ4よりも軟磁性体ヨーク6中に入射され易い。これにより、永久磁石7a、7b、7cの磁束G1が磁気センサ4に入射することを抑制できる。
【0086】
(O)磁気センサ4は、永久磁石7a、7b、7cにおける着磁の向きが互いに逆である2個又は1個における2箇所の部位の間における磁束G1の経路を妨げない径方向Zに投影された位置に配置されている(
図8、
図9、
図11、
図12、
図13、
図15参照)。
【0087】
この構成では、永久磁石7a、7b、7cの磁束G1が磁気センサ4よりも軟磁性体ヨーク6中に入射され易い。これにより、永久磁石7a、7b、7cの磁束G1が磁気センサ4に入射することを抑制できる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0089】
1…電力変換装置、2…回転機、2a…軸芯、2b…回転機筐体、3…負荷機械、4…磁気センサ、5…プリント基板、6…軟磁性体ヨーク、6a…凹部、7a…永久磁石、7b…永久磁石、7c…永久磁石、8…筐体、9a…軟磁性体補助ヨーク、9b…軟磁性体補助ヨーク、10…磁気センサ装置、10a…磁気センサ装置、10b…磁気センサ装置、11…漏洩磁界計測部、12…直流成分除去部、13…回転機情報抽出部、14…通信部、20…サーバ、30…機器、G1…磁束、RG…漏洩磁界、SG…周方向磁界、L…隙間、X…周方向、Y…軸方向、Z…径方向。