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特開2023-5632覚醒装置、覚醒システム、及び覚醒プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005632
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】覚醒装置、覚醒システム、及び覚醒プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230111BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107668
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 理恵
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB12
5H181CC04
5H181FF10
5H181FF13
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL20
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】覚醒刺激を用いて運転者をより確実に覚醒させることが可能な覚醒装置、覚醒システム、及び覚醒プログラムを提供する。
【解決手段】覚醒装置10は、検出部19、判定部21及び実行部23を備える。判定部が、検出部によって検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定すると、実行部は、覚醒手段を用いて、車両内に覚醒刺激を発生させる。判定部が、検出部によって再検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定すると、実行部は、運転者が覚醒しているか否かを確認することを車両の外部に指示する。実行部は、運転者が覚醒していることを確認した旨を車両の外部から通知されると、覚醒手段を用いた覚醒刺激の発生を停止する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の覚醒状態を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記覚醒状態が覚醒実行条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、検出された前記覚醒状態が前記覚醒実行条件を満たすと判定すると、覚醒手段を用いて、前記車両内に覚醒刺激を発生させる実行部と、
を備え、
前記検出部は、前記覚醒刺激が発生すると、前記運転者の覚醒状態を再検出し、
前記判定部は、前記検出部によって再検出された前記覚醒状態が前記覚醒実行条件を満たすか否かを判定し、
前記判定部が、再検出された前記覚醒状態が前記覚醒実行条件を満たさないと判定すると、前記実行部は、前記運転者が覚醒しているか否かを確認することを前記車両の外部に指示し、
前記実行部は、前記運転者が覚醒していることを確認した旨を前記車両の外部から通知されると、前記覚醒手段を用いた前記覚醒刺激の発生を停止する覚醒装置。
【請求項2】
前記実行部は、前記運転者が覚醒しているか否かを確認することを前記車両の外部に指示する際に、リアルタイムの前記運転者の映像信号を前記車両の外部に送信する請求項1に記載の覚醒装置。
【請求項3】
前記実行部は、前記覚醒刺激として、聴覚刺激、視覚刺激、嗅覚刺激、及び体性感覚刺激のうち、少なくとも1つを発生させる請求項1又は2に記載の覚醒装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記運転者の状態、前記車両の走行状態、及び前記運転者の運転操作に基づいて、前記覚醒状態を検出する請求項1から3のいずれか一項に記載の覚醒装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記覚醒状態の検出を補完するために、前記車両が走行している道路状態を検出し、
前記判定部は、前記検出部によって検出された前記覚醒状態と前記道路状態との組み合わせが、前記覚醒実行条件を満たすか否かを判定し、
前記判定部が、検出された前記覚醒状態と前記道路状態との組み合わせが、前記覚醒実行条件を満たすと判定すると、前記実行部は、前記覚醒手段を用いて、前記覚醒刺激を発生させる請求項4に記載の覚醒装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の覚醒装置と、
無線通信を介して前記覚醒装置に接続された外部装置と、
を備え、
前記外部装置は、前記覚醒装置が、前記運転者が覚醒しているか否かを確認することを前記車両の外部に指示する指示情報を受信し、
前記外部装置は、前記指示情報の受信に応じて、応答要求を前記車両に送信し、
前記外部装置は、前記応答要求に対する前記運転者からの応答を前記車両から受信すると、前記運転者が覚醒していることを確認した旨を、前記覚醒装置に通知する覚醒システム。
【請求項7】
前記外部装置は、前記運転者からの応答として、前記運転者の音声信号、前記運転者による前記覚醒装置の操作信号、及び前記運転者の応答動作を含む前記運転者の映像信号のうち、少なくとも1つを受信する請求項6に記載の覚醒システム。
【請求項8】
車両の運転者の覚醒状態を検出する第1検出ステップと、
前記第1検出ステップによって検出された前記覚醒状態が覚醒実行条件を満たすか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップが、検出された前記覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定すると、覚醒手段を用いて、前記車両内に覚醒刺激を発生させる実行ステップと、
前記覚醒刺激が発生すると、前記運転者の覚醒状態を再検出する第2検出ステップと、
前記第2検出ステップによって再検出された前記覚醒状態が前記覚醒実行条件を満たすか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップが、再検出された前記覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定すると、前記運転者が覚醒しているか否かを確認することを前記車両の外部に指示する指示ステップと、
前記運転者が覚醒していることを確認した旨を前記車両の外部から通知されると、前記覚醒手段を用いた覚醒刺激の発生を停止する停止ステップと、
をコンピュータに実行させる覚醒プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、覚醒装置、覚醒システム、及び覚醒プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者の状態に基づいて、運転者の眠気レベルを検出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された装置は、運転者の眠気レベルが閾値を超えたと判定すると、運転者の眠気レベルに応じた覚醒刺激を車内に発生させる。
【0004】
当該装置は、覚醒刺激を車内に発生させると、運転者の眠気レベルを再検出する。再検出の結果、運転者の眠気レベルが閾値以下になったと判定すると、当該装置は、覚醒刺激を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-52482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した装置が、運転者の眠気レベルが閾値以下になったと判定したとしても、運転者が実際に覚醒しているとは限らない。
【0007】
運転者が実際に覚醒していないにもかかわらず、当該装置が、運転者の眠気レベルが閾値以下になったと判定すると、覚醒刺激は直ちに停止される。この場合、当該装置は、覚醒刺激を用いて、運転者を覚醒させることができなくなる。
【0008】
このため、覚醒刺激を用いて運転者をより確実に覚醒させるためには、更なる改善が望まれていた。
【0009】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、覚醒刺激を用いて運転者をより確実に覚醒させることが可能な覚醒装置、覚醒システム、及び覚醒プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る覚醒装置は、車両の運転者の覚醒状態を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記覚醒状態が覚醒実行条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部が、検出された前記覚醒状態が前記覚醒実行条件を満たすと判定すると、覚醒手段を用いて、前記車両内に覚醒刺激を発生させる実行部と、を備え、前記検出部は、前記覚醒刺激が発生すると、前記運転者の覚醒状態を再検出し、前記判定部は、前記検出部によって再検出された前記覚醒状態が前記覚醒実行条件を満たすか否かを判定し、前記判定部が、再検出された前記覚醒状態が前記覚醒実行条件を満たさないと判定すると、前記実行部は、前記運転者が覚醒しているか否かを確認することを前記車両の外部に指示し、前記実行部は、前記運転者が覚醒していることを確認した旨を前記車両の外部から通知されると、前記覚醒手段を用いた前記覚醒刺激の発生を停止する。
【0011】
本発明の一態様に係る覚醒システムは、上述した覚醒装置と、無線通信を介して前記覚醒装置に接続された外部装置と、を備え、前記外部装置は、前記覚醒装置が、前記運転者が覚醒しているか否かを確認することを前記車両の外部に指示する指示情報を受信し、前記外部装置は、前記指示情報の受信に応じて、応答要求を前記車両に送信し、前記外部装置は、前記応答要求に対する前記運転者からの応答を前記車両から受信すると、前記運転者が覚醒していることを確認した旨を、前記覚醒装置に通知する。
【0012】
本発明の一態様に係る覚醒プログラムは、車両の運転者の覚醒状態を検出する第1検出ステップと、前記第1検出ステップによって検出された前記覚醒状態が覚醒実行条件を満たすか否かを判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップが、検出された前記覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定すると、覚醒手段を用いて、前記車両内に覚醒刺激を発生させる実行ステップと、前記覚醒刺激が発生すると、前記運転者の覚醒状態を再検出する第2検出ステップと、前記第2検出ステップによって再検出された前記覚醒状態が前記覚醒実行条件を満たすか否かを判定する第2判定ステップと、前記第2判定ステップが、再検出された前記覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定すると、前記運転者が覚醒しているか否かを確認することを前記車両の外部に指示する指示ステップと、前記運転者が覚醒していることを確認した旨を前記車両の外部から通知されると、前記覚醒手段を用いた覚醒刺激の発生を停止する停止ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、覚醒刺激を用いて運転者をより確実に覚醒させることが可能な覚醒装置、覚醒システム、及び覚醒プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る覚醒システムの全体概略構成図である。
図2図2は、本実施形態に係る覚醒装置の機能ブロック構成図である。
図3図3は、本実施形態に係る覚醒実行条件の一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る覚醒装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る運行記録計のブロック構成図である。
図6図6は、本実施形態に係る事務所PCのブロック構成図である。
図7図7は、本実施形態に係る覚醒装置及び事務所PCによる覚醒手順におけるシーケンスを示す図である。
図8図8は、本実施形態の変形例に係る覚醒実行条件の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本実施形態に係る覚醒装置、覚醒システム、及び覚醒プログラムについて詳細に説明する。なお、同一の機能や構成には、同一又は類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0016】
[覚醒システムの全体概略構成]
最初に、本実施形態に係る覚醒システム1の構成を説明する。覚醒システム1は、覚醒刺激を用いて、車両3の運転者(図示略)を覚醒させるために利用される。
【0017】
図1は、覚醒システム1の全体概略構成図である。図1に示すように、覚醒システム1は、覚醒装置10、運行記録計100、端末機器200、車内カメラ210、車外カメラ220、及び事務所PC(PERSONAL COMPUTER)300を備える。覚醒装置10、運行記録計100、車内カメラ210、及び車外カメラ220は、車両3に搭載される。
【0018】
覚醒装置10は、運行記録計100、端末機器200、車内カメラ210、及び車外カメラ220に通信可能に接続される。覚醒装置10は、運行記録計100、車内カメラ210、及び車外カメラ220からの情報に基づいて、運転者の覚醒状態を検出する。覚醒装置10は、検出された運転者の覚醒状態が、後述する覚醒実行条件を満たすと、後述する覚醒手段25を用いて、車両3内に覚醒刺激を継続して発生させる。このように、覚醒装置10は、運転者の覚醒状態に応じて、当該運転者に覚醒刺激で警報する。
【0019】
覚醒装置10は、ネットワーク7(インターネット網)を介して、事務所PC300に通信可能に接続される。覚醒装置10は、覚醒刺激を発生させた後、運転者の覚醒状態を再検出する。再検出された運転者の覚醒状態が、覚醒実行条件を満たさなくなると、当該運転者が覚醒しているか否かを確認することを、事務所PC300に指示する。覚醒装置10は、車両3の運転者が覚醒していることを確認した旨を、事務所PC300から通知されると、覚醒手段25を用いた覚醒刺激の発生を停止する。
【0020】
覚醒装置10は、運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと、端末機器200を用いて、車両3内に覚醒刺激を継続して発生させることができる。この場合、覚醒装置10は、車両3の運転者が覚醒していることを確認した旨を、事務所PC300から通知されると、端末機器200を用いた覚醒刺激の発生を停止する。
【0021】
運行記録計100は、一定の時間間隔で、車両3の運行及び車両3の運転操作に関連する運行情報を記録する。運行記録計100は、デジタルタコグラフとも呼称される。運行記録計100は、覚醒装置10からの送信指示に基づいて、運行情報のうち、指定された運行データを覚醒装置10に継続して送信する。なお、運行記録計100が記録する運行情報には、例えば、次の運行データD1~D9が含まれる。
・運行データD1:現在時刻(日時)
・運行データD2:車両3の現在位置(経度/緯度)
・運行データD3:車両3の走行時間
・運行データD4:車両3の走行距離
・運行データD5:車両3の速度
・運行データD6:車両3の加速度
・運行データD7:車両3のエンジン回転数
・運行データD8:ブレーキ操作のオンオフ
・運行データD9:アクセル操作のオンオフ
【0022】
端末機器200は、スマートフォンなどの携帯型の電子機器である。端末機器200は、車両3の運転者に所有されており、例えば、当該運転者のポケットに保持される。端末機器200は、覚醒装置10からの指示によって、覚醒刺激を発生する。
【0023】
車内カメラ210は、車両3の内部における、車両3の運転者に対面する位置に設置されている。車内カメラ210は、一定の時間間隔で、車両3の運転者を撮像して、運転者の画像データを生成する。車内カメラ210は、覚醒装置10からの送信指示に基づいて、運転者の画像データを覚醒装置10に継続して送信する。車内カメラ210は、運転者の画像データを覚醒装置10に送信する際に、当該画像データを生成した時刻情報を覚醒装置10に送信する。
【0024】
車外カメラ220は、車両3の外部に設置されている。車外カメラ220は、一定の時間間隔で、車両3の周辺(例えば、車両3の前方)を撮像して、車両3の周辺の画像データを生成する。車外カメラ220は、覚醒装置10からの送信指示に基づいて、車両3の周辺の画像データを覚醒装置10に継続して送信する。車外カメラ220は、車両3の周辺の画像データを覚醒装置10に送信する際に、当該画像データを生成した時刻情報を覚醒装置10に送信する。
【0025】
事務所PC300は、事務所5に設置されて、車両3の運行状況、車両3の運転状況、車両3の運転者の状態などを管理する。事務所PC300は、覚醒装置10からの指示に基づいて、車両3の運転者が覚醒しているか否かを確認するために、応答要求を車両3に送信する。事務所PC300は、応答要求に対する車両3の運転者からの応答を車両3から受信すると、車両3の運転者が覚醒していることを確認した旨を、覚醒装置10に通知する。なお、事務所PC300は、外部装置とも呼称される。
【0026】
[覚醒装置の機能ブロック構成]
次に、覚醒装置10の機能ブロック構成について説明する。図2は、覚醒装置10の機能ブロック構成図である。図2に示すように、覚醒装置10は、受信部11、送信部13、制御部15、記憶部17、検出部19、判定部21、実行部23、及び覚醒手段25を備える。
【0027】
受信部11及び送信部13は、覚醒装置10と運行記録計100との間で通信を実行する。送信部13は、送信指示を運行記録計100に送信して、運行情報のうち、指定された運行データの送信を運行記録計100に指示する。受信部11は、指定された運行データを運行記録計100から受信する。送信指示は、指定対象の運行データの識別情報を含む。
【0028】
受信部11及び送信部13は、覚醒装置10と車内カメラ210との間で通信を実行する。送信部13は、送信指示を車内カメラ210に送信して、運転者の画像データの送信を車内カメラ210に指示する。受信部11は、運転者の画像データを車内カメラ210から受信する。
【0029】
受信部11及び送信部13は、覚醒装置10と車外カメラ220との間で通信を実行する。送信部13は、送信指示を車外カメラ220に送信して、車両3の周辺の画像データの送信を車外カメラ220に指示する。受信部11は、車両3の周辺の画像データを車外カメラ220から受信する。
【0030】
受信部11及び送信部13は、覚醒装置10と端末機器200との間で無線通信を実行する。受信部11は、接続要求を端末機器200から受信する。覚醒装置10が、接続要求に応じて端末機器200と接続すると、送信部13は、接続完了を端末機器200に送信する。
【0031】
送信部13は、警報信号及び警報停止信号を、端末機器200に送信可能である。端末機器200は、警報信号を受信すると、覚醒刺激を発生する。端末機器200は、警報停止信号を受信すると、覚醒刺激の発生を停止する。
【0032】
受信部11及び送信部13は、覚醒装置10と事務所PC300との間において、ネットワーク7を介した無線通信を実行する。送信部13は、車両3の運転者が覚醒しているか否かを確認することを指示する指示情報を、事務所PC300に送信する。受信部11は、車両3の運転者が覚醒していることを確認した旨を、事務所PC300から受信する。運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと、送信部13は、警報発生を事務所PC300に通知する。覚醒手段25又は端末機器200を用いた覚醒刺激の発生が停止されると、送信部13は、警報終了を事務所PC300に通知する。
【0033】
制御部15は、覚醒装置10における処理全体を制御する。具体的には、制御部15は、受信部11、送信部13、記憶部17、検出部19、判定部21、実行部23、及び覚醒手段25の各々の動作を制御する。
【0034】
記憶部17は、受信部11によって受信された、指定された運行データ、運転者の画像データ、及び車両3の周辺の画像データを記憶する。記憶部17は、覚醒実行条件を予め記憶する。なお、後述するように、覚醒刺激として、スピーカ230から家族の肉声などを出力する場合、記憶部17は、予め録音した家族の肉声などの音声データを記憶する。
【0035】
検出部19は、記憶部17に記憶された、同一期間内における、指定された運行データ、運転者の画像データ、及び車両3の周辺の画像データに基づいて、運転者の覚醒状態を検出する。検出部19は、一定の時間間隔で、当該検出を行う。
【0036】
運転者の覚醒状態は、運転者の運転操作、運転者の状態、及び車両の走行状態から、直接検出することができる。このため、本実施形態では、検出部19は、運転者の覚醒状態として、指定された運行データ、運転者の画像データ、及び車両3の周辺の画像データから、次の情報を検出する。
【0037】
検出部19は、指定された運行データである運行データD5から車両3の速度を検出する。検出部19は、運転者の画像データを画像解析して、運転者の瞼の状態及び運転者の体の傾きを検出する。検出部19は、車両3の周辺の画像データを画像解析して、車両3の車線逸脱の有無及び車両3の車線変更の回数を検出する。
【0038】
なお、指定された運行データは、運行データD5には限定されず、後述する危険走行状態で特徴的に表れる運転者の運転操作を検出できるデータであればよい。運転者の画像データから検出される情報は、運転者の瞼の状態及び運転者の体の傾きには限定されず、危険走行状態で特徴的に表れる運転者の状態を検出できる情報であればよい。車両3の周辺の画像データから検出される情報は、車両3の車線逸脱の有無及び車両3の車線変更の回数には限定されず、危険走行状態で特徴的に表れる車両3の状態を検出できる情報であればよい。
【0039】
判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が、覚醒実行条件を満たすか否かを判定する。判定部21は、一定の時間間隔で、当該判定を行う。
【0040】
本実施形態では、覚醒装置10が覚醒刺激を発生させる必要がある覚醒状態として、危険走行状態が設定される。危険走行状態は、居眠り運転などの危険兆候運転が行われている可能性がある、注意力が著しく低下した覚醒状態である。
【0041】
図3は、覚醒実行条件の一例を示す図である。図3に示した条件A1~A5は、運転者の覚醒状態が、危険走行状態であるか否かを判定するのに用いられる覚醒実行条件である。
【0042】
判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が、条件A1~A4、又は条件A1~A3,A5を満たすと、運転者の覚醒状態は、危険走行状態であると判定する。
【0043】
判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が、条件A1~A5を満たさない場合、運転者の覚醒状態は、覚醒実行条件を満たさないと判定する。なお、覚醒実行条件は、図3に示した条件A1~A5に限定されず、適宜変更可能である。
【0044】
判定部21が、運転者の覚醒状態が危険走行状態であると判定すると、実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つを用いて、車両3内に覚醒刺激を継続して発生させる。具体的には、実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つに対して、警報信号を送信して、覚醒刺激を継続して発生させる。
【0045】
覚醒手段25は、警報信号の受信に基づいて、覚醒刺激として、警報音、警報光、警報臭、及び警報風のうちの少なくとも1つを継続して発生する。覚醒手段25は、警報音として、例えば、不規則なブザー音、又は家族の肉声などの音声を出力する。覚醒手段25は、警報光として、例えば、ブルーライトを点灯又は点滅する。覚醒手段25は、警報臭として、例えば、覚醒効果を有するミスト状のアロマオイルを拡散する。覚醒手段25は、警報風として、例えば、冷風を出力する。
【0046】
端末機器200は、警報信号の受信に基づいて、警報音、警報光、及び警報振動のうちの少なくとも1つを継続して発生する。端末機器200は、警報音として、例えば、不規則なブザー音を出力する。端末機器200は、警報光として、例えば、ブルーライトを点灯又は点滅する。端末機器200は、警報振動として、例えば、バイブレーションを発生する。
【0047】
なお、警報音、警報光、警報臭は、それぞれ聴覚刺激、視覚刺激、及び嗅覚刺激とも呼称される。警報振動及び警報風は、体性感覚刺激とも呼称される。
【0048】
実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200を連動させて、警報音及び警報光のうち、同じ覚醒刺激を発生させることができる。実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200を連動させて、警報音、警報光、警報臭、警報風、及び警報振動のうち、異なる覚醒刺激を発生させることができる。
【0049】
実行部23は、車両3内に覚醒刺激を発生させる度に、覚醒手段25を用いて、警報音、警報光、警報臭、及び警報風のうちの少なくとも1つをランダムに発生させることができる。実行部23は、車両3内に覚醒刺激を発生させる度に、端末機器200を用いて、警報音、警報光、及び警報振動のうちの少なくとも1つをランダムに発生させることができる。
【0050】
判定部21が、運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定すると、実行部23は、
送信部13を介して、警報発生を事務所PC300に通知する。
【0051】
覚醒刺激が発生した後、判定部21が、運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定すると、実行部23は、送信部13を介して、運転者が覚醒しているか否かを確認することを、事務所PC300に指示する。この際、実行部23は、送信部13を介して、リアルタイムの運転者の映像信号を、事務所PC300に送信する。
【0052】
実行部23は、受信部11を介して、運転者が覚醒していることを確認した旨を、事務所PC300から通知されると、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つを用いた、覚醒刺激の発生を停止する。具体的には、実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つに対して、警報停止信号を送信して、覚醒刺激の発生を停止する。
【0053】
実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つに対して、警報停止信号を送信すると、送信部13を介して、警報終了を事務所PC300に通知する。
【0054】
[覚醒装置のハードウェア構成]
次に、覚醒装置10のハードウェア構成の一例について説明する。図4は、覚醒装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示すように、覚醒装置10は、CPU(Central Processing Unit)51、不揮発性メモリ53、揮発性メモリ55、及びハードディスク57を備える。
【0055】
CPU51は、不揮発性メモリ53に記憶されたプログラムを実行する。CPU51は、当該プログラムに従って、揮発性メモリ55にロードされたデータを演算処理して、覚醒装置10の各部を統括的に制御する。
【0056】
不揮発性メモリ53は、CPU51が実行するプログラム等を記憶する。揮発性メモリ55は、CPU51が不揮発性メモリ53に記憶されたプログラムを実行する際に、演算データを一時的に保持する。
【0057】
ハードディスク57は、OS(Operating System)などの基本ソフトウェア、アプリケーションプログラム、及びこれらに関連したデータを記憶する。ハードディスク57は、運行情報、運転者の画像データ、車両3の周辺の画像データ、覚醒実行条件を記憶する。なお、覚醒刺激として、スピーカ230から家族の肉声などを出力する場合、ハードディスク57は、予め録音した家族の肉声などの音声データを記憶する。
【0058】
図4に示すように、覚醒装置10は、通信装置59、入力装置61、表示装置63、RTC(REAL-TIME CLOCK)65、スピーカ230、発光装置240、ディフューザ250、及びエアコン260を備える。
【0059】
通信装置59は、覚醒装置10と端末機器200との間で無線通信を実行する。通信装置59は、覚醒装置10と事務所PC300との間において、ネットワーク7を介した無線通信を実行する。
【0060】
入力装置61は、ボタン、タッチパネルなどで構成され、車両3の運転者等からの入力操作を受け入れる。表示装置63は、液晶ディスプレイなどで構成され、各種情報を表示する。RTC65は、時刻情報を生成する。
【0061】
覚醒刺激として警報音を発生させる場合、スピーカ230には、CPU51から警報信号が入力される。警報信号が入力されると、スピーカ230は、覚醒刺激として、警報音を継続して発生する。スピーカ230は、警報音として、例えば、不規則なブザー音を出力する。スピーカ230は、CPU51から警報停止信号が入力されると、警報音の発生を停止する。なお、警報音として、家族の肉声などの音声を出力する場合、スピーカ230は、CPU51から、予め録音した家族の肉声などの音声を含む警報信号を継続して受信する。なお、スピーカ230は、車両3に搭載されたものである。
【0062】
覚醒刺激として警報光を発生させる場合、発光装置240には、CPU51から警報信号が入力される。警報信号が入力されると、発光装置240は、覚醒刺激として、警報光を継続して発生する。発光装置240は、警報光として、例えば、ブルーライトを点灯又は点滅する。発光装置240は、CPU51から警報停止信号が入力されると、警報光の発生を停止する。
【0063】
覚醒刺激として警報臭を発生させる場合、ディフューザ250には、CPU51から警報信号が入力される。警報信号が入力されると、ディフューザ250は、覚醒刺激として、警報臭を継続して発生する。ディフューザ250は、警報臭として、例えば、ミスト状のアロマオイルを拡散する。ディフューザ250は、CPU51から警報停止信号が入力されると、警報臭の発生を停止する。
【0064】
覚醒刺激として警報風を発生させる場合、エアコン260には、CPU51から警報信号が入力される。警報信号が入力されると、エアコン260は、覚醒刺激として、警報風を継続して発生する。エアコン260は、警報風として、例えば、冷風を出力する。エアコン260は、CPU51から警報停止信号が入力されると、警報風の発生を停止する。なお、エアコン260は、車両3に搭載されたものである。
【0065】
図4に示すように、覚醒装置10は、インタフェースとして、カメラI/F67及び外部I/F69を備える。
【0066】
カメラI/F67には、車内カメラ210及び車外カメラ220が接続される。カメラI/F67には、運転者の画像データが、車内カメラ210から入力される。カメラI/F67には、車両3の周辺の画像データが、車外カメラ220から入力される。
【0067】
外部I/F69には、運行記録計100が接続される。外部I/F69には、指定された運行データが、運行記録計100から入力される。
【0068】
なお、図2に示した受信部11及び送信部13は、通信装置59、カメラI/F67、及び外部I/F77によって実現される。図2に示した制御部15は、CPU51、不揮発性メモリ53、及び揮発性メモリ55によって実現される。図2に示した記憶部17は、ハードディスク57によって実現される。
【0069】
図2に示した検出部19、判定部21、及び実行部23の各々は、CPU51が、不揮発性メモリ53又はハードディスク57に記憶された、対応するプログラムを実行することにより実現される。図2に示した覚醒手段25は、スピーカ230、発光装置240、ディフューザ250、及びエアコン260によって実現される。
【0070】
[運行記録計の構成]
次に、運行記録計100の構成について説明する。図5は、運行記録計100のブロック構成図である。図5に示すように、運行記録計100は、CPU101、不揮発性メモリ103、揮発性メモリ105、ハードディスク107、通信装置109、入力装置111、表示装置113、及びRTC115を備える。
【0071】
CPU101は、不揮発性メモリ103に記憶されたプログラムを実行する。CPU101は、当該プログラムに従って、揮発性メモリ105にロードされたデータを演算処理して、運行記録計100の各部を統括的に制御する。
【0072】
不揮発性メモリ103は、CPU101が実行するプログラム等を記憶する。揮発性メモリ105は、CPU101が不揮発性メモリ103に記憶されたプログラムを実行する際に、演算データを一時的に保持する。
【0073】
ハードディスク107は、OSなどの基本ソフトウェア、アプリケーションプログラム、及びこれらに関連したデータを記憶する。ハードディスク107は、運行情報を記憶してもよい。
【0074】
通信装置109は、運行記録計100と事務所PC300との間において、ネットワーク7を介した無線通信を実行する。通信装置109は、運行情報を事務所PC300に送信してもよい。通信装置109は、運行記録計100とGPS(GLOBAL POSITIONING SATELLITE)(図示略)との間において、通信を実行する。
【0075】
入力装置111は、ボタン、タッチパネルなどで構成され、車両3の運転者等からの入力操作を受け入れる。表示装置113は、液晶ディスプレイなどで構成され、各種情報を表示する。RTC115は、時刻情報を生成する。
【0076】
図5に示すように、運行記録計100は、インタフェースとして、カメラI/F117、速度I/F119、回転数I/F121、センサI/F123、車両信号I/F125、カードI/F127、及び外部I/F129を備える。
【0077】
カメラI/F117には、車外カメラ220が接続される。車両3の走行状態を記録する指示が入力装置111に入力される場合、カメラI/F117には、車両3の周辺の画像データが、車外カメラ220から入力される。
【0078】
速度I/F119には、速度センサ270が接続される。速度I/F119には、速度パルスが速度センサ270から入力される。回転数I/F121には、タイヤ回転数センサ(図示略)からのタイヤ回転パルスが入力される。
【0079】
センサI/F123には、加速度センサ280が接続される。センサI/F123には、加速度センサ280からの信号が入力される。車両信号I/F125には、ブレーキ操作センサ(図示略)から、ブレーキ操作のオンオフを示す信号が入力される。車両信号I/F125には、アクセル操作センサ(図示略)から、アクセル操作のオンオフを示す信号が入力される。
【0080】
カードI/F127には、メモリカード290が挿抜自在に装着される。メモリカード290には、運行情報が記録される。メモリカード290は、例えば、車両3の出庫時に、車両3の運転者によって、カードI/F127に挿入される。メモリカード290は、例えば、車両3の入庫時に、車両3の運転者によって、カードI/F127から抜かれて、事務所PC300に装着される。これにより、メモリカード290に記録された運行情報が、事務所PC300に読み込まれてデータ処理される。これにより、事務所PC300は、車両3の運行状況、車両3の運転状況、車両3の運転者の状態などを管理することができる。
【0081】
CPU301は、例えば、運行情報として、上述した運行データD1~D9を、次の方法で取得して、メモリカード290に記録する。
・運行データD1:CPU301は、RTC115から、現在時刻(日時)を取得する。
・運行データD2:CPU301は、GPSから、車両3の現在位置(経度/緯度)を取得する。
・運行データD3:CPU301は、RTC115の時刻情報を用いて、車両3の走行時間を取得する。
・運行データD4:CPU301は、回転数I/F121に入力されるタイヤ回転パルスを用いて、車両3の走行距離を取得する。
・運行データD5:CPU301は、速度I/F119に入力される速度パルスを用いて、車両3の速度を取得する。
・運行データD6:CPU301は、センサI/F123に入力される、加速度センサ280からの信号を用いて、車両3の加速度を取得する。
・運行データD7:CPU301は、エンジンI/F(図示略)に入力されるエンジン回転パルスを用いて、車両3のエンジン回転数を取得する。
・運行データD8:CPU301は、車両信号I/F125に入力される、ブレーキ操作のオンオフを示す信号を用いて、ブレーキ操作のオンオフを取得する。
・運行データD9:CPU301は、車両信号I/F125に入力される、アクセル操作のオンオフを示す信号を用いて、アクセル操作のオンオフを取得する。
【0082】
なお、運行データD1~D9を取得する方法は、上述した方法には限定されず、適切な値を取得できれば、別の方法でもよい。
【0083】
外部I/F129には、覚醒装置10が接続される。外部I/F129には、覚醒装置10から、指定対象の運行データの識別情報を含む送信指示が入力される。送信指示が入力されると、CPU101は、送信指示に含まれる識別情報に関連付けられた運行データを、外部I/F129から覚醒装置10に出力する。
【0084】
なお、覚醒装置10は、運行記録計100の機能を含んでもよい。この場合、覚醒装置10には、速度I/F119、回転数I/F121、センサI/F123、車両信号I/F125、カードI/F127が、更に設けられる。
【0085】
[事務所PCの構成]
次に、事務所PC300の構成について説明する。図6は、事務所PC300のブロック構成図である。図6に示すように、事務所PC300は、CPU301、不揮発性メモリ303、揮発性メモリ305、ハードディスク307、通信装置309、入力装置311、表示装置313、カードI/F315、及びオーディオI/F317を備える。
【0086】
CPU301は、不揮発性メモリ303に記憶されたプログラムを実行する。CPU301は、当該プログラムに従って、揮発性メモリ305にロードされたデータを演算処理して、事務所PC300の各部を統括的に制御する。
【0087】
不揮発性メモリ303は、CPU301が実行するプログラム等を記憶する。揮発性メモリ305は、CPU301が不揮発性メモリ303に記憶されたプログラムを実行する際に、演算データを一時的に保持する。
【0088】
ハードディスク307は、OSなどの基本ソフトウェア、アプリケーションプログラム、及びこれらに関連したデータを記憶する。ハードディスク107は、メモリカード290に記録された運行情報を記憶する。なお、ハードディスク307は、運行記録計100から運行情報が送信される場合、当該運行情報を記憶してもよい。
【0089】
通信装置309は、覚醒装置10と事務所PC300との間において、ネットワーク7を介した無線通信を実行する。通信装置309は、車両3の運転者が覚醒しているか否かを確認することを指示する指示情報を覚醒装置10から受信する。この際、通信装置309は、リアルタイムの運転者の映像信号を受信する。通信装置309は、車両3の運転者が覚醒していることを確認した旨を覚醒装置10に送信する。
【0090】
運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たす場合、通信装置309は、警報発生の通知を覚醒装置10から受ける。覚醒刺激の発生が停止される場合、通信装置309は、警報終了の通知を覚醒装置10から受ける。
【0091】
通信装置309は、車両3と事務所PC300との間において、ネットワーク7を介した無線通信を実行する。通信装置309は、車両3の運転者が覚醒しているか否かを確認するために、応答要求を車両3に送信する。通信装置309は、応答要求に対する車両3の運転者からの応答を車両3から受信する。通信装置309は、運転者からの応答として、運転者の音声信号、運転者による覚醒装置10の操作信号、及び運転者の応答動作を含む運転者の映像信号のうち、少なくとも1つを受信する。
【0092】
通信装置309は、運行記録計100と事務所PC300との間において、ネットワーク7を介した無線通信を実行する。運行記録計100から運行情報が送信される場合、通信装置309は、当該運行情報を受信する。
【0093】
入力装置311は、ボタン、タッチパネルなどで構成され、車両3の運転者等からの入力操作を受け入れる。表示装置313は、液晶ディスプレイなどで構成され、各種情報を表示する。
【0094】
カードI/F315には、メモリカード290が挿抜自在に装着される。メモリカード290は、例えば、車両3の入庫時に、車両3の運転者によって、カードI/F315に挿入される。これにより、メモリカード290に記録された運行情報が、事務所PC300に読み込まれてデータ処理される。
【0095】
オーディオI/F317には、マイク319が接続される。車両3の運転者が覚醒しているか否かを確認するために、応答要求を車両3に送信する場合、事務所5の管理者は、マイク319を用いて呼びかけを行う。この場合、管理者の音声信号は、マイク319からオーディオI/F317に入力される。管理者の音声信号は、応答要求として通信装置309によって車両3に送信される。
【0096】
オーディオI/F317には、スピーカ320が接続される。事務所PC300からの応答要求に対して、運転者が声で応答する場合、運転者の音声信号は、車両3から通信装置309に送信される。この場合、運転者の音声信号は、オーディオI/F317からスピーカ320に出力される。これにより、運転者の声がスピーカ320から出力される。
【0097】
[覚醒システムの動作]
次に、覚醒システム1の動作を説明する。具体的には、覚醒装置10及び事務所PC300による覚醒手順を説明する。図7は、覚醒装置10及び事務所PC300による覚醒手順におけるシーケンスを示す図である。
【0098】
なお、1回目の覚醒手順は、車両3のイグニッションスイッチがオンされることで開始される。2回目以降の覚醒手順は、前回の覚醒手順が終了したことで開始される。このように、覚醒手順は、車両3のイグニッションスイッチがオンされてから、イグニッションスイッチがオフされるまで継続して実行される。
【0099】
図7に示すように、覚醒装置10において、検出部19は、車両3の運転者の覚醒状態を検出する(ステップS1)。具体的には、記憶部17に記憶された、同一期間内における、指定された運行データ、運転者の画像データ、及び車両3の周辺の画像データに基づいて、運転者の覚醒状態を検出する。本実施形態では、検出部19は、運転者の覚醒状態として、車両3の速度、運転者の瞼の状態、運転者の体の傾き、車両3の車線逸脱の有無、及び車両3の車線変更の回数を検出する。なお、ステップS1は、第1検出ステップとも呼称される。
【0100】
覚醒装置10において、判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が、覚醒実行条件を満たすか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が、図3に示した条件A1~A4、又は条件A1~A3,A5を満たすか否かを判定する。なお、ステップS3は、第1判定ステップとも呼称される。
【0101】
判定部21は、検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定する場合、ステップS1の処理に戻る。一方、判定部21は、検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定する場合、送信部13を介して、警報発生を事務所PC300に通知する(ステップS5)。これにより、覚醒装置10及び事務所PC300は、警報解除状態から警報状態に移行する。
【0102】
覚醒装置10において、判定部21が、検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定すると、実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つを用いて、車両3内に覚醒刺激を継続して発生させる。これにより、実行部23は、運転者に覚醒刺激で警報する(ステップS7)。なお、ステップS7は、実行ステップとも呼称される。
【0103】
具体的には、実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つに対して、警報信号を送信して、覚醒刺激を継続して発生させる。覚醒手段25は、警報信号の受信に基づいて、覚醒刺激として、警報音、警報光、警報臭、及び警報風のうちの少なくとも1つを継続して発生する。端末機器200は、警報信号の受信に基づいて、警報音、警報光、及び警報振動のうちの少なくとも1つを継続して発生する。
【0104】
覚醒装置10において、覚醒刺激が発生すると、検出部19は、運転者の覚醒状態を再検出する(ステップS9)。なお、ステップS9は、第2検出ステップとも呼称される。
【0105】
覚醒装置10において、判定部21は、検出部19によって再検出された覚醒状態が、覚醒実行条件を満たすか否かを判定する(ステップS11)。なお、ステップS11は、第2判定ステップとも呼称される。
【0106】
判定部21が、再検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定する場合、ステップS9の処理に戻る。一方、判定部21が、再検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定する場合、実行部23は、運転者が覚醒しているか否かを確認することを、送信部13を介して、事務所PC300に指示する(ステップS13)。なお、ステップS13は、指示ステップとも呼称される。
【0107】
具体的には、実行部23は、運転者が覚醒しているか否かを確認することを指示する指示情報を、送信部13を介して、事務所PC300に送信する。ステップS13において、実行部23は、送信部13を介して、リアルタイムの運転者の映像信号を事務所PC300に送信する。
【0108】
事務所PC300は、リアルタイムの運転者の映像信号を受信すると、運転者の映像を表示装置313に表示する。これにより、事務所5の管理者は、表示装置313に表示された映像から、運転者の状態を確認することができる。
【0109】
事務所PC300は、覚醒装置10からの指示情報に基づいて、車両3の運転者が覚醒しているか否かを確認するために、応答要求を車両3に送信する(ステップS15)。具体的には、応答要求を車両3に送信する場合、事務所5の管理者は、マイク319を用いて呼びかけを行う。この場合、管理者の音声信号は、マイク319から事務所PC300に入力される。事務所PC300は、応答要求として、管理者の音声信号を車両3に送信する。管理者の音声信号は、車両3内のスピーカに入力される。これにより、管理者からの呼びかけが、車両3内のスピーカから出力される。車両3内のスピーカは、例えば、覚醒装置10のスピーカ230、又は端末機器200のスピーカである。
【0110】
事務所PC300は、応答要求を車両3に送信すると、運転者からの応答があるか否かを判定する(ステップS17)。具体的には、事務所PC300は、運転者からの応答として、運転者の音声信号、運転者による覚醒装置10の操作信号、及び運転者の応答動作を含む運転者の映像信号のうち、少なくとも1つを受信したか否かを判定する。
【0111】
車両3内において、管理者からの呼びかけに対して、運転者が声で応答する場合、事務所PC300は、運転者の音声信号を受信する。この場合、事務所PC300は、スピーカ320から運転者の声を出力する。
【0112】
車両3内において、管理者からの呼びかけに対して、運転者が覚醒装置10を操作することで応答する場合、事務所PC300は、運転者による覚醒装置10の操作信号を受信する。この場合、事務所PC300は、操作信号を受信した旨を、表示装置313に表示する。
【0113】
車両3内において、管理者からの呼びかけに対して、運転者が、車内カメラ210に向かって、手を振るなどの応答動作で応答する場合、事務所PC300は、運転者の応答動作を含む運転者の映像信号を受信する。この場合、事務所PC300は、運転者の映像を表示装置313に表示する。
【0114】
これにより、管理者は、スピーカ320から出力された音声、又は表示装置313に表示された映像から、応答要求に対する運転者の応答を確認することができる。管理者は、応答要求に対する運転者の応答を確認すると、運転者が覚醒していることを確認した旨を、入力装置311に入力する。
【0115】
運転者が覚醒していることを確認した旨が、入力装置311に入力されない場合、事務所PC300は、運転者からの応答がないと判定して、ステップS15に戻る。一方、運転者が覚醒していることを確認した旨が、入力装置311に入力される場合、事務所PC300は、運転者からの応答があると判定して、車両3の運転者が覚醒していることを確認した旨を、覚醒装置10に送信する(ステップS19)。
【0116】
なお、事務所PC300は、運転者の音声信号、運転者による覚醒装置10の操作信号、及び運転者の応答動作を含む運転者の映像信号のうち、少なくとも1つを受信した場合に、車両3の運転者が覚醒していることを確認した旨を、覚醒装置10に送信してもよい。
【0117】
覚醒装置10において、実行部23は、受信部11を介して、運転者が覚醒していることを確認した旨を、事務所PC300から通知されると、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つを用いた、覚醒刺激の発生を停止する(ステップS21)。具体的には、実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つに対して、警報停止信号を送信して、覚醒刺激の発生を停止する。なお、ステップS21は、停止ステップとも呼称される。
【0118】
覚醒装置10において、実行部23は、覚醒手段25又は端末機器200を用いた覚醒刺激の発生が停止されると、警報終了を事務所PC300に通知する(ステップS23)。具体的には、実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つに対して、警報停止信号を送信すると、送信部13を介して、警報終了を事務所PC300に通知する。これにより、覚醒装置10及び事務所PC300は、警報状態から警報解除状態に移行する。
【0119】
なお、上述の「運転者が覚醒しているか否かを確認することを指示する指示情報」という表現は、「警報解除要求」と言い換えることができる。また、上述の「運転者が覚醒していることを確認した旨」という表現は、「警報解除」と言い換えることができる。
【0120】
これらの言い換えにより、次のことがいえる。
・ステップS13にて、覚醒装置10の判定部21が、再検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定する場合、実行部23は、送信部13を介して、警報解除要求を事務所PC300に送信する。
・ステップS19にて、事務所PC300は、運転者からの応答があると判定すると、警報解除を覚醒装置10に送信する。
・ステップS21にて、覚醒装置10の実行部23は、警報解除を事務所PC300から通知されると、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つを用いた、覚醒刺激の発生を停止する。
・このように、事務所PC300からの指示に基づいて、覚醒装置10は、覚醒刺激の発生を停止する。
【0121】
[作用・効果]
本実施形態によれば、覚醒装置10は、検出部19、判定部21、及び実行部23を備える。検出部19は、車両3の運転者の覚醒状態を検出する。判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすか否かを判定する。判定部21が、検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定すると、実行部23は、覚醒手段25を用いて、車両3内に覚醒刺激を発生させる。
【0122】
検出部19は、覚醒刺激が発生すると、運転者の覚醒状態を再検出する。判定部21は、検出部19によって再検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすか否かを判定する。判定部21が、再検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定すると、実行部23は、運転者が覚醒しているか否かを確認することを車両3の外部に指示する。実行部23は、運転者が覚醒していることを確認した旨を車両3の外部から通知されると、覚醒手段25を用いた覚醒刺激の発生を停止する。
【0123】
このような構成により、覚醒装置10は、運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たさず、かつ、運転者が覚醒していることを確認した旨を車両3の外部から受信した場合に、覚醒手段25を用いた覚醒刺激の発生を停止する。
【0124】
このため、運転者が実際に覚醒していないにもかかわらず、覚醒装置10が、運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たさなくなると判定する場合であっても、覚醒刺激は、直ちに停止されない。覚醒装置10は、運転者が覚醒していることを確認した旨を車両3の外部から受信するまで、覚醒手段25を用いて、覚醒刺激を継続して発生させるため、この間に、運転者を確実に覚醒させることができる。
【0125】
したがって、本実施形態によれば、覚醒装置10は、覚醒刺激を用いて運転者をより確実に覚醒させることができる。
【0126】
本実施形態によれば、実行部23は、運転者が覚醒しているか否かを確認することを車両3の外部に指示する際に、リアルタイムの運転者の映像信号を車両3の外部に送信する。
【0127】
このような構成により、車両3の外部において、リアルタイムの運転者の映像信号を表示装置に表示することにより、運転者の状態を目視で確認することができる。このため、車両3の外部において、運転者が覚醒しているか否かを確実に確認することができる。
【0128】
本実施形態によれば、実行部23は、覚醒刺激として、聴覚刺激、視覚刺激、嗅覚刺激、及び体性感覚刺激のうち、少なくとも1つを発生させる。
【0129】
このような構成により、運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たす場合、覚醒装置10は、運転者の聴覚、視覚、嗅覚、及び体性感覚のうち、少なくとも1つを刺激して、運転者を覚醒させることができる。このため、覚醒装置10は、覚醒刺激を用いて運転者を簡易に覚醒させることができる。
【0130】
本実施形態によれば、検出部19は、運転者の状態、車両3の走行状態、及び運転者の運転操作に基づいて、覚醒状態を検出する。
【0131】
このような構成により、検出部19は、運転者の状態と、車両3の走行状態と、運転者の運転操作とを組み合わせて、運転者の覚醒状態を検出する。このため、検出部19が、運転者の状態、車両3の走行状態、及び運転者の運転操作のうちの1つに基づいて、運転者の覚醒状態を検出する場合と比較して、運転者の覚醒状態に詳細に検出することができる。
【0132】
本実施形態によれば、覚醒システム1は、上述した覚醒装置10と、無線通信を介して覚醒装置10に接続された事務所PC300と、を備える。事務所PC300は、覚醒装置10が、運転者が覚醒しているか否かを確認することを車両3の外部に指示する指示情報を受信する。事務所PC300は、当該指示情報の受信に応じて、応答要求を車両3に送信する。事務所PC300は、当該応答要求に対する運転者からの応答を車両3から受信すると、運転者が覚醒していることを確認した旨を、覚醒装置10に通知する。
【0133】
このような構成により、覚醒システム1において、覚醒装置10は、運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たさず、かつ、運転者が覚醒していることを確認した旨を事務所PC300から受信した場合に、覚醒手段25を用いた覚醒刺激の発生を停止する。
【0134】
このため、運転者が実際に覚醒していないにもかかわらず、覚醒装置10が、運転者の覚醒状態が覚醒実行条件を満たさなくなると判定する場合であっても、覚醒刺激は、直ちに停止されない。覚醒装置10は、運転者が覚醒していることを確認した旨を事務所PC300から受信するまで、覚醒手段25を用いて、覚醒刺激を継続して発生させるため、この間に、運転者を確実に覚醒させることができる。
【0135】
したがって、本実施形態によれば、覚醒システム1は、覚醒刺激を用いて運転者をより確実に覚醒させることができる。
【0136】
本実施形態によれば、事務所PC300は、運転者からの応答として、運転者の音声信号、運転者による覚醒装置10の操作信号、及び運転者の応答動作を含む運転者の映像信号のうち、少なくとも1つを受信する。
【0137】
このような構成により、事務所PC300からの応答要求に対する応答として、運転者は、声での応答、覚醒装置10の操作、及び手を振るなどの応答動作のうち、少なくとも1つの行為を行う必要がある。このため、事務所PC300は、運転者が覚醒していることを確実に確認することができる。
【0138】
本実施形態によれば、事務所PC300は、指示情報を受信する際に、リアルタイムの運転者の映像信号を覚醒装置から受信する。事務所PC300は、リアルタイムの前記運転者の映像信号を表示装置313に表示する。
【0139】
このような構成により、事務所PC300において、リアルタイムの運転者の映像信号を表示装置313に表示することにより、運転者の状態を目視で確認することができる。このため、事務所PC300において、運転者が覚醒しているか否かを確実に確認することができる。
【0140】
本実施形態によれば、覚醒プログラムは、第1検出ステップ、第1判定ステップ、実行ステップ、第2検出ステップ、第2判定ステップ、指示ステップ、及び停止ステップをコンピュータに実行させる。
【0141】
第1検出ステップは、車両3の運転者の覚醒状態を検出する。第1判定ステップは、第1検出ステップによって検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすか否かを判定する。実行ステップは、第1判定ステップが、検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすと判定すると、覚醒手段25を用いて、車両3内に覚醒刺激を発生させる。
【0142】
第2検出ステップは、覚醒刺激が発生すると、運転者の覚醒状態を再検出する。第2判定ステップは、第2検出ステップによって再検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たすか否かを判定する。指示ステップは、第2判定ステップが、再検出された覚醒状態が覚醒実行条件を満たさないと判定すると、運転者が覚醒しているか否かを確認することを車両3の外部に指示する。停止ステップは、運転者が覚醒していることを確認した旨を車両3の外部から通知されると、覚醒手段25を用いた覚醒刺激の発生を停止する。
【0143】
このような構成により、上述した覚醒装置10の構成を、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムによって実現することができる。したがって、本実施形態によれば、当該覚醒プログラムをコンピュータに実行させることにより、覚醒刺激を用いて運転者をより確実に覚醒させることができる。
【0144】
[変形例]
上述した実施形態では、覚醒装置10が覚醒刺激を発生させる必要がある覚醒状態として、危険走行状態が設定されたが、これに限定されない。本変形例では、覚醒装置10が覚醒刺激を発生させる必要がある覚醒状態として、覚低走行状態及び危険走行状態が設定される。
【0145】
覚低走行状態は、走行中に視線の変化が少なくなることで、注意力が低下した覚醒状態である。覚低走行状態に陥った運転者は、眠気などの自覚症状はなく、目も見開いているにも関わらず、注意力が低下した状態になる。覚低走行状態は、高速道の直線区間で生じやすい。特に、車両がオートクルーズ機能を有する場合、運転者は、高速道の直線区間では、アクセル操作を行わずに、設定した速度を一定に保って、当該車両を走行させることができるため、覚低走行状態が生じやすい。
【0146】
このように、運転者の覚醒状態は、車両が走行している道路状態から影響を受ける。このため、本実施形態では、検出部19は、運転者の覚醒状態の検出を補完するために、道路状態を検出する。検出部19は、道路状態として、車両3の周辺の画像データから、次の情報を検出する。検出部19は、車両3の周辺の画像データを画像解析して、車両3が走行している道路における、道路形状、信号機の有無、及び横断歩道の有無を検出する。
【0147】
なお、車両3の周辺の画像データから検出される情報は、道路形状、信号機の有無、及び横断歩道の有無には限定されず、高速道に特徴的に表れる道路状態を検出できる情報であればよい。
【0148】
なお、検出部19は、運行記録計100の運行データから、道路状態を検出してもよい。この場合、運行記録計100は、新たな運行データD10として、道路区分を記録する。具体的には、運行記録計100は、ETC(ELECTRONIC TOLL COLLECTION SYSTEM)と連動して、車両3が走行している道路が、一般道及び高速道のうちのどちらであるのかを識別して、道路状態を記録する。
【0149】
また、本実施形態では、検出部19は、運転者の覚醒状態として、指定された運行データ、運転者の画像データ、及び車両3の周辺の画像データから、次の情報を検出する。
【0150】
検出部19は、指定された運行データである運行データD5,D8,D9から、それぞれ車両3の速度、ブレーキ操作のオンオフ、及びアクセル操作のオンオフを検出する。検出部19は、運転者の画像データを画像解析して、運転者の瞼の状態、運転者の視線の動き、及び運転者の体の動き・傾きを検出する。検出部19は、車両3の周辺の画像データを画像解析して、車両3の車線逸脱の有無、及び車両3の車線変更の回数を検出する。
【0151】
なお、指定された運行データは、運行データD5,D8,D9には限定されず、覚低走行状態及び危険走行状態で特徴的に表れる運転者の運転操作を検出できるデータであればよい。運転者の画像データから検出される情報は、運転者の瞼の状態、運転者の視線の動き、及び運転者の体の動き・傾きには限定されず、覚低走行状態及び危険走行状態で特徴的に表れる運転者の状態を検出できる情報であればよい。車両3の周辺の画像データから検出される情報は、車両3の車線逸脱の有無及び車両3の車線変更の回数には限定されず、覚低走行状態及び危険走行状態で特徴的に表れる車両3の状態を検出できる情報であればよい。
【0152】
判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態及び道路状態が、覚醒実行条件を満たすか否かを判定する。
【0153】
図8は、覚醒実行条件の一例を示す図である。図8に示した条件B1~B9は、運転者の覚醒状態が、覚低走行状態であるか否かを判定するのに用いられる覚醒実行条件である。
【0154】
判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が、条件B1~B6を満たし、かつ、検出部19によって検出された道路状態が条件B7~B9を満たすと、運転者の覚醒状態は、覚低走行状態であると判定する。なお、車両3がオートクルーズ機能を有さない場合には、条件B2及びB3は外される。
【0155】
判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が、図3に示した条件A1~A4又は条件A1~A3,A5を満たすと、運転者の覚醒状態は、危険走行状態であると判定する。
【0156】
判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態が、条件A1~A5及び条件B1~B6を満たさず、かつ、検出部19によって検出された道路状態が、条件B7~B9を満たさない場合、運転者の覚醒状態は、覚醒実行条件を満たさないと判定する。
【0157】
判定部21が、運転者の覚醒状態及び道路状態が覚醒実行条件を満たすと判定すると、実行部23は、覚醒手段25及び端末機器200のうちの少なくとも1つを用いて、車両3内に覚醒刺激を継続して発生させる。
【0158】
覚醒刺激が発生した後、判定部21が、運転者の覚醒状態及び道路状態が覚醒実行条件を満たさないと判定すると、実行部23は、送信部13を介して、運転者が覚醒しているか否かを確認することを、事務所PC300に指示する。
【0159】
本実施形態によれば、検出部19は、覚醒状態の検出を補完するために、車両3が走行している道路状態を検出する。判定部21は、検出部19によって検出された覚醒状態と道路状態との組み合わせが、覚醒実行条件を満たすか否かを判定する。判定部21が、検出された覚醒状態と道路状態との組み合わせが、覚醒実行条件を満たすと判定すると、実行部23は、覚醒手段25を用いて、覚醒刺激を発生させる。
【0160】
このような構成により、検出部19は、運転者の覚醒状態が覚低走行状態であることを検出することができる。このため、検出部19は、注意力が低下した異なる覚醒状態を区別可能に検出することができる。
【0161】
本実施形態によれば、検出部19は、覚醒刺激が発生すると、道路状態を再検出する。判定部21は、検出部19によって再検出された覚醒状態と道路状態との組み合わせが、覚醒実行条件を満たすか否かを判定する。判定部21が、再検出された覚醒状態と道路状態との組み合わせが、覚醒実行条件を満たさないと判定すると、実行部23は、運転者が覚醒しているか否かを確認することを車両3の外部に指示する。
【0162】
このような構成により、覚醒装置10は、注意力が低下した異なる覚醒状態を区別可能に検出しつつ、運転者が覚醒しているか否かを確認することを車両3の外部に指示することができる。
【0163】
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、検出部19は、車両3の周辺の画像データを画像解析して、車両3の車線逸脱の有無、及び車両3の車線変更の回数を検出したが、これに限定されない。例えば、運行記録計100が、新たな運行データとして、車外カメラ220からの車両3の周辺の画像データを画像解析して、車両3の車線逸脱の有無、及び車両3の車線変更の回数を検出してもよい。
【0164】
上述した実施形態では、事務所PC300は、所定時間が経過しても、応答要求に対する運転者からの応答を車両3から受信しない場合、応答要求を繰り返して送信するが、これに限定されない。例えば、事務所PC300は、所定時間が経過しても、応答要求に対する運転者からの応答を車両3から受信しない場合、警報を車両3外に発して、車両3外の車両、歩行者などに異常を知らせてもよい。当該警報として、例えば、車両3のホーンを鳴らす、車両3のハザードランプを点滅させるなどが挙げられる。
【0165】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0166】
1 覚醒システム
3 車両
10 覚醒装置
19 検出部
21 判定部
23 実行部
25 覚醒手段
300 事務所PC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8