(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056324
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】ロータ、回転電機、およびポンプ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/28 20060101AFI20230412BHJP
H02K 1/276 20220101ALI20230412BHJP
【FI】
H02K1/28 A
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165614
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】長田 佐智
(72)【発明者】
【氏名】本間 和博
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601BB11
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE12
5H601EE19
5H601GA02
5H601GA23
5H601GA33
5H601GA40
5H601GC02
5H601GC12
5H601JJ05
5H601KK08
5H601KK13
5H601KK21
5H601KK26
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CA14
5H622CB05
5H622PP20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】軸方向の寸法が異なる他のロータコアに対しても使用可能なシャフトを備えるロータ、回転電機、およびポンプを提供する。
【解決手段】中心軸Jを中心として回転可能なロータ10であって、ロータコア12と、ロータコアに固定され、ロータコアよりも軸方向一方側に突出する第1シャフト20と、ロータコアに固定され、ロータコアよりも軸方向他方側に突出する第2シャフト30と、を備える。ロータコアは、ロータコアを軸方向に貫通する中央孔14を有する。第1シャフトの軸方向他方側の端部は、中央孔に挿入される。第2シャフトの軸方向一方側の端部は、中央孔に挿入される。軸方向において、第1シャフトと、第2シャフトとは離れて設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なロータであって、
ロータコアと、
前記ロータコアに固定され、前記ロータコアよりも軸方向一方側に突出する第1シャフトと、
前記ロータコアに固定され、前記ロータコアよりも軸方向他方側に突出する第2シャフトと、
を備え、
前記ロータコアは、前記ロータコアを軸方向に貫通する中央孔を有し、
前記第1シャフトの軸方向他方側の端部は、前記中央孔に挿入され、
前記第2シャフトの軸方向一方側の端部は、前記中央孔に挿入され、
軸方向において、前記第1シャフトと、前記第2シャフトとは離れて設けられる、ロータ。
【請求項2】
前記ロータコアは、複数枚の板部材が軸方向に積層されて構成される、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記第1シャフトおよび前記第2シャフトは、それぞれ、前記中央孔に圧入されて、前記ロータコアに固定される、請求項1または2に記載のロータ。
【請求項4】
前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの少なくとも一方は、前記中央孔に圧入された部分の外周面に、複数の凸部および複数の凹部を有する、請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記ロータコアは、前記中央孔における前記第1シャフトが圧入された部分の内周面および前記第2シャフトが圧入された部分の内周面の少なくとも一方に、複数の凸部および複数の凹部を有する、請求項3または4に記載のロータ。
【請求項6】
前記第1シャフトは、前記ロータコアの軸方向一方側を向く面と接触する第1接触部を有し、前記第2シャフトは、前記ロータコアの軸方向他方側を向く面と接触する第2接触部を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項7】
前記ロータコアに固定された樹脂部材を備え、
前記ロータコアは、前記ロータコアを軸方向に貫通する複数の貫通孔を有し、
複数の前記貫通孔は、周方向に沿って間隔をあけて設けられ、
前記第1接触部の径方向外端部および前記第2接触部の径方向外端部は、複数の前記貫通孔よりも径方向外側に位置し、
前記第1接触部は、複数の前記貫通孔と対向する部分に、前記第1接触部を軸方向に貫通する複数の第1開口を有し、
前記第2接触部は、複数の前記貫通孔と対向する部分に、前記第2接触部を軸方向に貫通する複数の第2開口を有し、
前記樹脂部材は、
前記第1接触部の軸方向一方側を向く面上に設けられる第1板状部と、
前記第2接触部の軸方向他方側を向く面上に設けられる第2板状部と、
各前記貫通孔の内部、各前記第1開口の内部、および各前記第2開口の内部を介して、前記第1板状部と前記第2板状部とを軸方向に接続する複数の連結部と、
を有する、請求項6に記載のロータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のロータと、
前記ロータと隙間を介して対向するステータと、
を備える、回転電機。
【請求項9】
請求項8に記載の回転電機と、
前記ロータに接続されたポンプ機構と、
を備える、ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、回転電機、およびポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータコアとシャフトを備えるロータを有する電動のモータおよびポンプが知られている。例えば、特許文献1には、モータのロータコアとシャフトの締結構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモータのロータコアとシャフトの締結構造においては、1本のモータシャフトをロータコアに圧入して組付けるため、モータの機種によってロータコアの軸方向の寸法が異なると、軸方向の寸法が異なるシャフトを使用する必要があった。そのため、ロータコアの軸方向の寸法が異なるモータの機種ごとに異なるシャフトを用意する必要があり、モータの製造コストが増加することが問題であった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、軸方向の寸法が異なる他のロータコアに対しても使用可能なシャフトを備えるロータ、回転電機、およびポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロータの一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータであって、ロータコアと、前記ロータコアに固定され、前記ロータコアよりも軸方向一方側に突出する第1シャフトと、前記ロータコアに固定され、前記ロータコアよりも軸方向他方側に突出する第2シャフトと、を備える。前記ロータコアは、前記ロータコアを軸方向に貫通する中央孔を有する。前記第1シャフトの軸方向他方側の端部は、前記中央孔に挿入される。前記第2シャフトの軸方向一方側の端部は、前記中央孔に挿入される。軸方向において、前記第1シャフトと、前記第2シャフトとは離れて設けられる。
【0007】
本発明の回転電機の一つの態様は、上記のロータと、上記のロータと隙間を介して対向するステータと、を備える。
【0008】
本発明のポンプの一つの態様は、上記の回転電機と、上記のロータに接続されたポンプ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、ロータ、回転電機、およびポンプにおいて、軸方向の寸法が異なるロータコアにおいて、シャフトを共通して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態のポンプを示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のシャフトとロータコアを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のシャフトとロータコアを示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のロータコアを示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のシャフトとロータコアを示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態のロータコアを示す断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態のシャフトとロータコアを示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態のシャフトとロータコアを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態のシャフトとロータコアを示す断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態のシャフトとロータコアを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明において図には、適宜、Z軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態のロータの中心軸Jが延びる方向を示している。各図に示す中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明においては、中心軸Jが延びる方向、つまりZ軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「軸方向一方側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。
【0012】
周方向は、各図において矢印θで示されている。周方向のうち矢印θが向く側を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と逆側を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、軸方向一方側から見て中心軸J回りに時計回りに進む側である。周方向他方側は、軸方向一方側から見て中心軸J回りに反時計回りに進む側である。
【0013】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態のポンプ90は、車両に搭載される機器に取り付けられる電動ポンプである。ポンプ90が取り付けられる機器は、自動変速機であってもよいし、車両の車軸を駆動する駆動装置であってもよい。ポンプ90は、例えば、車両に搭載される機器にオイルを供給する電動オイルポンプである。
【0014】
ポンプ90は、回転電機80と、ポンプ機構60と、を備える。本実施形態において回転電機80は、モータである。回転電機80は、ハウジング40と、ロータ10と、ステータ71と、ベアリング75,76と、オイルシール77と、を備える。
【0015】
ハウジング40は、ロータ10、ステータ71、ベアリング75,76、オイルシール77、およびポンプ機構60を内部に収容している。ハウジング40は、本体カバー41と、ポンプカバー42とを有する。本体カバー41とポンプカバー42とは、互いに別部材である。ポンプカバー42は、本体カバー41の軸方向他方側に固定されている。
【0016】
本体カバー41は、モータ収容部41aと、ポンプ収容部41bと、を有する。本実施形態において、モータ収容部41aと、ポンプ収容部41bとは、互いに同一の単一部材の一部である。モータ収容部41aは、ロータ10、ステータ71、ベアリング75,76、およびオイルシール77を内部に収容している。本実施形態において、モータ収容部41aは、軸方向に延びる円筒状である。モータ収容部41aの軸方向一方側の端部は、本体カバー41の軸方向一方側の端部である。モータ収容部41aの軸方向他方側の端部は、軸方向他方側に開口する孔部41cを有する。孔部41cは、中心軸Jを中心とする円形状である。孔部41cの軸方向他方側の端部は、ポンプ収容部41bの内部と繋がっている。
【0017】
ロータ10は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転可能である。ロータ10は、第1シャフト20と、第2シャフト30と、ロータ本体11と、樹脂部材50と、を有する。第1シャフト20および第2シャフト30はロータ本体11に固定されている。ロータ10は、第1シャフト20を支持するベアリング75と、第2シャフト30を支持するベアリング76とによって、中心軸J回りに回転可能に支持されている。
【0018】
ステータ71は、ロータ10と隙間を介して対向している。ステータ71は、ロータ10の径方向外側に位置している。ステータ71は、ステータコア72と、インシュレータ73と、複数のコイル74と、を有する。ステータ71は、モータ収容部41aの内面に固定されている。
【0019】
孔部41cには、孔部41cの内周面と第2シャフト30の外周面との間をシールするオイルシール77が保持されている。また、孔部41cには、オイルシール77の軸方向一方側にベアリング76が保持されている。モータ収容部41aは、ロータ10およびステータ71よりも軸方向一方側に、ベアリング保持部41eを有する。ベアリング保持部41eには、ベアリング75が保持されている。
【0020】
本実施形態においてベアリング75,76は、転がり軸受である。ベアリング75,76は、ボールベアリングである。ベアリング75は、第1シャフト20のうちロータ本体11よりも軸方向一方側に位置する部分を回転可能に支持している。ベアリング76は、第2シャフト30のうちロータ本体11よりも軸方向他方側に位置する部分を回転可能に支持している。
【0021】
ポンプ収容部41bは、モータ収容部41aの軸方向他方側に繋がっている。ポンプ収容部41bは、ポンプ機構60を内部に収容している。ポンプ収容部41bは、軸方向他方側に開口している。ポンプ収容部41bの軸方向他方側の開口は、ポンプカバー42によって塞がれている。
【0022】
ポンプ機構60は、インナーロータ61と、アウターロータ62と、を有している。インナーロータ61は、第2シャフト30のうちポンプ収容部41bの内部に突出した部分と接続されている。これにより、ポンプ機構60は、ロータ10に接続されている。インナーロータ61は、第2シャフト30を囲む環状である。アウターロータ62は、インナーロータ61を囲む環状である。インナーロータ61とアウターロータ62とは、互いに噛み合っている。したがって、ロータ10によってインナーロータ61が回転させられることで、アウターロータ62も回転する。
【0023】
図3に示すように、ロータ本体11は、ロータコア12と、複数のマグネット13と、を有している。ロータコア12は、中心軸Jを中心として、軸方向に延びる略円筒状である。ロータコア12は、中心軸Jを中心とする略円環状の複数の板部材12aが軸方向に積層されて構成される。板部材12aは磁性体によって構成される。板部材12aを構成する磁性体は、特に限定されない。本実施形態の板部材12aは、電磁鋼板である。
【0024】
図4に示すように、ロータコア12は、中央孔14と、複数の貫通孔15と、複数のマグネット収容孔16と、複数の外コア部17と、を有している。中央孔14は、ロータコア12を軸方向に貫通している。中央孔14は、中心軸Jを中心とする円形状の孔である。貫通孔15は、ロータコア12を軸方向に貫通している。貫通孔15は、円形状の孔である。貫通孔15は、中央孔14よりも径方向外側、かつ、マグネット収容孔16よりも径方向内側に、周方向に沿って間隔をあけて等間隔に設けられている。本実施形態では、貫通孔15は、8個設けられている。本実施形態では、内径が大きい貫通孔15と内径が小さい貫通孔15とが、周方向に沿って交互に設けられている。なお、全ての貫通孔15の内径は同じであってもよい。
【0025】
マグネット収容孔16は、ロータコア12を軸方向に貫通している。マグネット収容孔16は、矩形状の孔である。マグネット収容孔16は、2つの内側面が径方向を向いている。本実施形態では、マグネット収容孔16は、径方向と直交する方向の寸法の方が、径方向の寸法よりも大きい。マグネット収容孔16は、ロータコア12の径方向外側の縁部に、周方向に沿って間隔をあけて等間隔に設けられている。本実施形態では、マグネット収容孔16は、8個設けられている。
【0026】
外コア部17は、各マグネット収容孔16の径方向外側にそれぞれ設けられている。外コア部17は、軸方向に見て、径方向外側に突出する円弧形状である。外コア部17は、周方向に沿って間隔をあけて等間隔に設けられている。本実施形態では、外コア部17は、8個設けられている。
【0027】
マグネット13は、各マグネット収容孔16内にそれぞれ収容されている。マグネット13は、軸方向に延びる板状である。マグネット13は、軸方向に見て矩形状である。マグネット13の軸方向一方側の端部は、ロータコア12の軸方向一方側の端部と、軸方向において同じ位置に配置されている。マグネット13の軸方向他方側の端部は、ロータコア12の軸方向他方側の端部と、軸方向において同じ位置に配置されている。マグネット13は、永久磁石である。
【0028】
図2および
図3に示すように、第1シャフト20は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。第1シャフト20は、ロータコア12に固定されている。本実施形態において、第1シャフト20は、軸方向他方側の部分がロータコア12の中央孔14に圧入して固定されている。
図1に示すように、第1シャフト20は、軸方向一方側の部分が、ロータコア12よりも軸方向一方側に突出している。第1シャフト20の軸方向一方側の部分は、ベアリング75に支持されている。
図3および
図5に示すように、第1シャフト20は、第1被挿入部21と、第1接触部22と、本体部23と、を有している。本実施形態において、第1被挿入部21と、第1接触部22と、本体部23とは、同一の単一部材の一部である。
【0029】
第1被挿入部21は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。第1被挿入部21は、第1シャフト20の軸方向他方側の部分である。第1被挿入部21の軸方向他方側の端部は、第1シャフト20の軸方向他方側の端部である。第1被挿入部21は、中央孔14の軸方向一方側の部分と圧入して固定されている。つまり、第1シャフト20の軸方向他方側の端部は、中央孔14に挿入される。第1被挿入部21は、外周面に軸方向に沿って延びる複数の凸部25と複数の凹部26とを有する。複数の凸部25と複数の凹部26とは、周方向に沿って交互に設けられている。本実施形態では、複数の凸部25および複数の凹部26は、ローレット加工によって設けられている。つまり、第1シャフト20は、中央孔14に圧入された部分の外周面に、複数の凸部25および複数の凹部26を有する。そのため、圧入によって、第1被挿入部21の外周面が中央孔14の内周面から受ける応力は、凸部25が周方向に変形して逃げることで吸収され、圧入する際の圧力を低減できる。
【0030】
第1接触部22は、第1被挿入部21の軸方向一方側の縁部に位置している。第1接触部22は、中心軸Jを中心とする円板状である。第1接触部22の板面は、軸方向を向いている。第1接触部22は、第1被挿入部21の外周面から径方向外側に突出している。第1接触部22の外径は、第1被挿入部21の外径よりも大きい。第1接触部22の径向外側の端部は、貫通孔15よりも径方向内側に位置している。第1接触部22の軸方向他方側を向く面は、ロータコア12の軸方向一方側を向く面と接触している。つまり、第1シャフト20は、ロータコア12の軸方向一方側を向く面と接触する第1接触部22を有する。
【0031】
本体部23は、第1被挿入部21の軸方向一方側を向く面から軸方向一方側に延びている。本体部23は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。本体部23は、第1本体部23aと、第2本体部23bと、第3本体部23cと、を有している。第1本体部23aは、第1被挿入部21の軸方向一方側に繋がっている。第1本体部23aの外径は、第1接触部22の外径よりも小さい。
【0032】
第2本体部23bは、第1本体部23aの軸方向一方側に繋がっている。第2本体部23bの外径は、第1本体部23aの外径よりも大きく、第1接触部22の外径よりも小さい。図示は省略するが、第2本体部23bの外周面は、ベアリング75によって支持されている。これにより、ベアリング75は、第1シャフト20を回転可能に支持している。
【0033】
第3本体部23cは、第2本体部23bの軸方向一方側に繋がっている。第3本体部23cの外径は、第1本体部23aの外径、および第2本体部23bの外径よりも小さい。第3本体部23cの軸方向一方側の端部は、第1シャフト20の軸方向一方側の端部である。
【0034】
図2および
図3に示すように、第2シャフト30は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。第2シャフト30は、ロータコア12に固定されている。本実施形態において、第2シャフト30は、軸方向一方側の部分がロータコア12の中央孔14に圧入して固定されている。
図1に示すように、第2シャフト30は、軸方向において、モータ収容部41aの内部から、孔部41cを介して、ポンプ収容部41bの内部に突出している。第2シャフト30の軸方向他方側の部分は、ベアリング76に支持されている。第2シャフト30の軸方向他方側の部分は、オイルシール77と接触している。第2シャフト30の軸方向他方側の部分は、インナーロータ61と連結されている。
図3および
図5に示すように、第2シャフト30は、第2被挿入部31と、第2接触部32と、本体部33と、を有している。本実施形態において、第2被挿入部31と、第2接触部32と、本体部33とは、同一の単一部材の一部である。
【0035】
第2被挿入部31は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。第2被挿入部31は、第2シャフト30の軸方向一方側の部分である。第2被挿入部31の軸方向一方側の端部は、第2シャフト30の軸方向一方側の端部である。第2被挿入部31は、中央孔14の軸方向他方側の部分と圧入して固定されている。つまり、第2シャフト30の軸方向一方側の端部は、中央孔14に挿入される。第2被挿入部31は、外周面に軸方向に沿って延びる複数の凸部35と複数の凹部36とを有する。複数の凸部35と複数の凹部36とは、周方向に沿って交互に設けられている。本実施形態では、複数の凸部35および複数の凹部36は、ローレット加工によって設けられている。つまり、第2シャフト30は、中央孔14に圧入された部分の外周面に、複数の凸部35および複数の凹部36を有する。そのため、圧入によって、第2被挿入部31の外周面が中央孔14の内周面から受ける応力は、凸部35が周方向に変形して逃げることで吸収され、圧入する際の圧力を低減できる。
【0036】
軸方向において、第2被挿入部31の軸方向一方側の端部は、第1被挿入部21の軸方向他方側の端部から軸方向他方側に離れて配置されている。つまり、軸方向において、第1シャフト20と、第2シャフト30とは離れて設けられている。本実施形態では、中央孔14の内部のうち第1シャフト20と第2シャフト30との間の部分は空洞である。
【0037】
第2接触部32は、第2被挿入部31の軸方向他方側の縁部に位置している。第2接触部32は、中心軸Jを中心とする円板状である。第2接触部32の板面は、軸方向を向いている。第2接触部32は、第2被挿入部31の外周面から径方向外側に突出している。第2接触部32の外径は、第2被挿入部31の外径よりも大きい。第2接触部32の径向外側の端部は、貫通孔15よりも径方向内側に位置している。第2接触部32の軸方向一方側を向く面は、ロータコア12の軸方向他方側を向く面と接触している。つまり、第2シャフト30は、ロータコア12の軸方向他方側を向く面と接触する第2接触部32を有する。
【0038】
本体部33は、第2被挿入部31の軸方向他方側を向く面から軸方向他方側に延びている。本体部33は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。本体部33は、基部33aと、出力部33bと、を有する。
【0039】
基部33aは、第2被挿入部31の軸方向他方側に繋がっている。基部33aの外径は、第2接触部32の外径よりも小さい。図示は省略するが、基部33aの外周面は、ベアリング76によって支持されている。これにより、ベアリング76は、第2シャフト30を回転可能に支持している。また、図示は省略するが、基部33aの外周面は、ベアリング76よりも軸方向他方側において、オイルシール77と接触している。これにより、オイルシール77は、孔部41cの内周面と第2シャフト30の外周面との間をシールしている。
【0040】
出力部33bは、基部33aの軸方向他方側に繋がっている。出力部33bの外径は、基部33aの外径よりも小さい。出力部33bの軸方向他方側の端部は、第2シャフト30の軸方向他方側の端部である。出力部33bの外周面には、スプライン溝が設けられている。出力部33bは、インナーロータ61の内側に挿入されて、インナーロータ61に連結されている。これにより、第2シャフト30と、インナーロータ61とが連結されている。より詳細には、インナーロータ61の内周面に設けられたスプライン溝が、出力部33bのスプライン溝に嵌め合わされることで、第2シャフト30と、インナーロータ61とが連結されている。インナーロータ61には、第2シャフト30を介してロータ10の駆動力が伝達される。これにより、回転電機80は、インナーロータ61およびアウターロータ62を中心軸J回りに回転させる。
【0041】
図2および
図3に示すように、樹脂部材50は、ロータコア12に固定されている。樹脂部材50は、樹脂製である。樹脂部材50は、例えば、第1シャフト20および第2シャフト30をロータコア12の中央孔14に圧入した後に、第1シャフト20と、第2シャフト30と、ロータ本体11と、をインサート部材とするインサート成形によって作られている。樹脂部材50は、第1板状部51、第2板状部52、複数の連結部53、および複数の側面連結部54を有している。
【0042】
第1板状部51は、中心軸Jを中心とする円環板状である。第1板状部51の板面は、軸方向を向いている。第1板状部51は、ロータコア12の軸方向一方側を向く面上に設けられている。本実施形態では、第1板状部51の径方向外側の端部は、ロータコア12の径方向外側の端部と、径方向において同じ位置に配置されている。第1板状部51は、第1接触部22を囲んでいる。本実施形態では、第1板状部51の内縁は、第1接触部22の外縁と接触している。なお、第1板状部51と第1接触部22とは、接触していなくてもよい。
【0043】
第2板状部52は、中心軸Jを中心とする円環板状である。第2板状部52の板面は、軸方向を向いている。第2板状部52は、ロータコア12の軸方向他方側を向く面上に設けられている。本実施形態では、第2板状部52の径方向外側の端部は、ロータコア12の径方向外側の端部と、径方向において同じ位置に配置されている。第2板状部52は、第2接触部32を囲んでいる。本実施形態では、第2板状部52の内縁は、第2接触部32の外縁と接触している。なお、第2板状部52と第2接触部32とは、接触していなくてもよい。
【0044】
図3および
図4に示すように、複数の連結部53は、それぞれ、貫通孔15の内部に設けられている。各連結部53は、軸方向に延びる円柱形状である。各連結部53の外周面は、軸方向の全体に亘って、各貫通孔15の内周面と接触している。各連結部53の軸方向一方側の端部は、第1板状部51の軸方向他方側を向く面と接続されている。各連結部53の軸方向他方側の端部は、第2板状部52の軸方向一方側を向く面と接続されている。本実施形態では、連結部53は、8個設けられている。また、本実施形態では、外径が大きい連結部53と外径が小さい連結部53とが、周方向に沿って交互に設けられている。
【0045】
図2および
図4に示すように、複数の側面連結部54は、ロータコア12の外周面に沿って、軸方向に延びる略三角柱形状である。各側面連結部54は、軸方向に見て、略三角形状である。各側面連結部54は、ロータコア12の外周面に設けられている。各側面連結部54は、周方向に互いに隣り合う外コア部17同士の間に設けられている。各側面連結部54は、周方向に沿って間隔をあけて等間隔に設けられている。本実施形態では、側面連結部54は、8個設けられている。各側面連結部54の軸方向一方側の端部は、第1板状部51の径方向外側の端部と接続されている。各側面連結部54の軸方向他方側の端部は、第2板状部52の径方向外側の端部と接続されている。
【0046】
本実施形態によれば、ロータ10は第1シャフト20および第2シャフトの2本のシャフトを備えている。第1シャフト20は、軸方向他方側の端部が中央孔14に挿入され、ロータコア12に固定されている。第2シャフト30は、軸方向一方側の端部が中央孔14に挿入され、ロータコア12に固定されている。また、軸方向において、第1シャフト20と、第2シャフト30とは離れて設けられている。そのため、本実施形態のロータコア12とは軸方向の寸法が異なるロータコアに対しても、本実施形態の第1シャフト20および第2シャフト30を用いることができる。具体的には、本実施形態のロータコア12よりも軸方向の寸法が大きなロータコアに対しては、当然に、本実施形態の第1シャフト20および第2シャフト30を用いることができる。また、本実施形態のロータコア12よりも軸方向の寸法が小さなロータコアに対しても、ロータコアの軸方向の寸法が、第1被挿入部21の軸方向の寸法と第2被挿入部31の軸方向の寸法とを足し合わせた軸方向の寸法よりも小さければ、本実施形態の第1シャフト20および第2シャフト30を用いることができる。したがって、軸方向の寸法が異なる他のロータコアに対しても、第1シャフト20および第2シャフト30を使用できる。そのため、例えば、ロータコア12の軸方向の寸法が異なる複数機種の回転電機80を製造する場合に、各回転電機80に設けるシャフトを、第1シャフト20および第2シャフト30として共通化することができる。これにより、ロータコア12の軸方向の寸法が異なる複数機種の回転電機80を製造する場合に、各回転電機80の製造コストを低減できる。また、ロータコア12の軸方向の寸法が変更される場合であっても、第1シャフト20および第2シャフト30を変更する必要がないため、回転電機80の設計変更によって生じるコストを低減できる。
【0047】
本実施形態によれば、ロータコア12は、複数枚の板部材12aが軸方向に積層されて構成されている。そのため、板部材12aの数を変更することで、ロータコア12の軸方向の寸法を容易に変更できる。したがって、回転電機80の設計変更によって生じるコストをより低減できる。このようにロータコア12の軸方向の寸法を比較的変更しやすいロータコア12に対して、第1シャフト20および第2シャフト30を適用することで、ロータコア12の軸方向の寸法の変更を容易に行いつつ、回転電機80の製造コストを好適に低減できる。
【0048】
本実施形態によれば、第1シャフト20および第2シャフト30は、それぞれ、ロータコア12の中央孔14に圧入されて、ロータコア12に固定されている。そのため、第1シャフト20および第2シャフト30を容易かつ軸精度よくロータコア12に固定できる。したがって、ロータ10が回転する際に、中心軸Jに対する第1シャフト20および第2シャフト30の偏心を抑制できるため、ロータ10が回転する際の騒音を抑制できる。
【0049】
本実施形態によれば、第1シャフト20は、中央孔14に圧入された部分、すなわち、第1被挿入部21の外周面に、複数の凸部25および複数の凹部26を有している。また、第2シャフト30は、中央孔14に圧入された部分、すなわち第2被挿入部31の外周面に、複数の凸部35および複数の凹部36を有している。よって、第1シャフト20および第2シャフト30を中央孔14に圧入する際に、第1被挿入部21の外周面および第2被挿入部31の外周面が、ロータコア12の中央孔14の内周面から受ける応力は、凸部25および凸部35が周方向に変形して逃げることで吸収され、各シャフトを圧入する際の圧力を低減できる。そのため、ロータコア12の中央孔14に、第1シャフト20および第2シャフト30を容易に圧入して固定できる。したがって、ロータ10の組立性が向上するため、ロータ10、回転電機80、およびポンプ90の組立工数および組立時間を低減できる。
【0050】
本実施形態によれば、第1シャフト20は、ロータコア12の軸方向一方側を向く面と接触する第1接触部22を有している。また、第2シャフト30は、ロータコア12の軸方向他方側を向く面と接触する第2接触部32を有している。そのため、ロータコア12の中央孔14に第1シャフト20および第2シャフト30を圧入する際に、容易にロータコア12に対する第1シャフト20および第2シャフト30の軸方向の位置決めができる。したがって、ロータ10の組立性が向上するため、ロータ10、回転電機80、およびポンプ90の組立工数および組立時間をより低減できる。
【0051】
本実施形態によれば、ロータコア12の軸方向一方側を向く面に設けられる第1板状部51と、ロータコア12の軸方向他方側を向く面に設けられる第2板状部52とは、複数の連結部53および複数の側面連結部54を介して接続されている。よって、樹脂部材50がロータコア12に対して軸方向に移動することを抑制できる。また、樹脂部材50がロータコア12に対して周方向に相対回転することを抑制できる。これにより、樹脂部材50をロータコア12に対してより強固に固定できる。
【0052】
<第2実施形態>
図6に示すように、本実施形態のロータ210において、ロータ本体211のロータコア212は中央孔214の内周面に、軸方向に延びる凸部218と、凹部219と、を有している。本実施形態では、凸部218は、中央孔214の内周面から、径方向内側に突出する矩形状である。凸部218は、周方向に沿って間隔をあけて等間隔に設けられている。凹部219は、互いに隣り合う凸部218の間に位置している。凹部219は、中央孔214の内周面の一部である。本実施形態において、凸部218および凹部219は、それぞれ8個ずつ設けられている。本実施形態では、凸部218および凹部219それぞれの軸方向一方側の端部の位置は、ロータコア212の軸方向一方側の端部の位置と同じである。また、本実施形態では、凸部218および凹部219それぞれの軸方向他方側の端部の位置は、ロータコア212の軸方向他方側の端部の位置と同じである。したがって、ロータコア212は、第1シャフト220が圧入される中央孔214の内周面、および第2シャフト230が圧入される中央孔214の内周面それぞれに、複数の凸部218および複数の凹部219を有している。ロータコア212のその他の構成は、第1実施形態のロータコア12のその他の構成と同様である。
【0053】
図7に示すように、本実施形態の第1シャフト220において、軸方向に見て、第1被挿入部221の外周は、中心軸Jを中心とする円周状である。すなわち、本実施形態では、第1被挿入部221の外周面に、凸部および凹部が設けられていない。第1シャフト220のその他の構成は、第1実施形態の第1シャフト20のその他の構成と同様である。
【0054】
本実施形態の第2シャフト230において、軸方向から見て、第2被挿入部231の外周は、中心軸Jを中心とする円周状である。すなわち、本実施形態では、第2被挿入部231の外周面に、凸部および凹部が設けられていない。第2シャフト230のその他の構成は、第1実施形態の第2シャフト30のその他の構成と同様である。
【0055】
本実施形態によれば、ロータコア212は、第1シャフト220の第1被挿入部221および第2シャフト230の第2被挿入部231が圧入された部分、すなわち、中央孔214の内周面に、複数の凸部218よび複数の凹部219を有している。よって、第1シャフト220および第2シャフト230を中央孔214に圧入する際に、ロータコア212の内周面が、第1被挿入部221の外周面および第2被挿入部231の外周面から受ける応力は、凸部218が周方向に変形して逃げることで吸収され、各シャフトを圧入する際の圧力を低減できる。そのため、ロータコア212の中央孔214に、第1シャフト220および第2シャフト230を容易に圧入して固定できる。したがって、ロータ210の組立性が向上するため、ロータ210、回転電機280、およびポンプ290の組立工数および組立時間を低減できる。
【0056】
なお、本実施形態において、凸部218および凹部219の位置および形状などは、ロータコア212に第1シャフト220および第2シャフト230を圧入して固定できるならば、特に限定されない。例えば、凸部218は、中央孔214の内周面から径方向内側に突出する三角形状や半円形状などであってもよい。また、凸部218および凹部219の個数は、それぞれ8個に限定されず、例えば、それぞれ4個ずつ設けられてもよい。
【0057】
<第3実施形態>
図8、
図9、および
図10に示すように、本実施形態のロータ310において、第1シャフト320の第1接触部322は、中心軸Jを中心として、ロータコア12が有する貫通孔15の径方向外側まで延びる円板状である。本実施形態において、第1接触部322の外径は、ロータコア12の外径と同じである。すなわち、第1接触部322の径方向外端部は、複数の貫通孔15よりも径方向外側に配置されている。なお、第1接触部322に、後述する第1開口325を好適に設けることができれば、第1接触部322の径方向外側の端部は、貫通孔15とロータコア12の径方向外側の端部との間に配置されてもよい。
【0058】
第1接触部322は、ロータコア12が有する複数の貫通孔15と対向する部分に、第1接触部322を軸方向に貫通する複数の第1開口325を有している。各第1開口325は、円形状の孔である。本実施形態では、各第1開口325の内径は、各第1開口325が対向する貫通孔15の内径と同じである。各第1開口325は、周方向に沿って間隔をあけて等間隔に設けられている。第1開口325は、8個設けられている。本実施形態では、内径が大きい第1開口325と内径が小さい第1開口325とが、周方向に沿って交互に設けられている。なお、各第1開口325の内径は、貫通孔15の内径より大きくてもよい。第1シャフト320のその他の構成は、第1実施形態の第1シャフト20のその他の構成と同様である。
【0059】
本実施形態のロータ310において、第2シャフト330の第2接触部332は、中心軸Jを中心として、ロータコア12が有する貫通孔15の径方向外側まで延びる円板状である。本実施形態において、第2接触部332の外径は、ロータコア12の外径と同じである。すなわち、第2接触部332の径方向外端部は、複数の貫通孔15よりも径方向外側に配置されている。なお、第2接触部332に、後述する第2開口335を好適に設けることができれば、第2接触部332の径方向外側の端部は、貫通孔15とロータコア12の径方向外側の端部との間に配置されてもよい。
【0060】
第2接触部332は、ロータコア12が有する複数の貫通孔15と対向する部分に、第2接触部332を軸方向に貫通する複数の第2開口335を有している。各第2開口335は、円形状の孔である。本実施形態では、各第2開口335の内径は、各第2開口335が対向する貫通孔15の内径と同じである。各第2開口335は、周方向に沿って間隔をあけて等間隔に設けられている。第2開口335は、8個設けられている。本実施形態では、内径が大きい第2開口335と内径が小さい第2開口335とが、周方向に沿って交互に設けられている。なお、各第2開口335の内径は、貫通孔15の内径より大きくてもよい。第2シャフト330のその他の構成は、第1実施形態の第2シャフト30のその他の構成と同様である。
【0061】
図8および
図9に示すように、本実施形態のロータ310において、樹脂部材350の第1板状部351は、中心軸Jを中心として、第1開口325の径方向外側まで延びる円環板状である。第1板状部351の板面は、軸方向を向いている。第1板状部351は、第1接触部322の軸方向一方側を向く面上に設けられている。本実施形態では、第1板状部351の径方向外側の端部は、第1接触部322の径方向外側の端部と、径方向において同じ位置に配置されている。第1板状部351は、第1シャフト320の第1本体部23aを囲んでいる。本実施形態では、第1板状部351の内縁は、第1本体部23aの外縁と接触している。なお、第1板状部351と第1本体部23aとは、接触していなくてもよい。
【0062】
本実施形態のロータ310において、樹脂部材350の第2板状部352は、中心軸Jを中心として、第2開口335の径方向外側まで延びる円環板状である。第2板状部352の板面は、軸方向を向いている。第2板状部352は、第2接触部332の軸方向他方側を向く面上に設けられている。本実施形態では、第2板状部352の径方向外側の端部は、第2接触部332の径方向外側の端部と、径方向において同じ位置に配置されている。第2板状部352は、第2シャフト330の基部33aを囲んでいる。本実施形態では、第2板状部352の内縁は、基部33aの外縁と接触している。なお、第2板状部352と基部33aとは、接触していなくてもよい。
【0063】
本実施形態のロータ310において、樹脂部材350の複数の連結部353は、それぞれ、貫通孔15の内部、第1開口325の内部、および第2開口335の内部に跨って設けられている。各連結部353は、軸方向に延びる円柱形状である。各連結部353の外周面は、軸方向の全体に亘って、各貫通孔15の内周面、各第1開口325の内周面、および各第2開口335の内周面と接触している。各連結部353の軸方向一方側の端部は、第1板状部351の軸方向他方側を向く面と接続されている。各連結部353の軸方向他方側の端部は、第2板状部352の軸方向一方側を向く面と接続されている。つまり、樹脂部材350は、貫通孔15、第1開口325、および第2開口335を介して、第1板状部351と第2板状部352とを軸方向に接続する複数の連結部353を有する。本実施形態では、連結部353は、8個設けられている。また、本実施形態では、外径が大きい連結部353と外径が小さい連結部353とが、周方向に沿って交互に設けられている。樹脂部材350のその他の構成は、第1実施形態の樹脂部材50のその他の構成と同様である。
【0064】
本実施形態によれば、樹脂部材350は、ロータコア12の貫通孔15、第1シャフト320の第1開口325、および第2シャフト330の第2開口335に跨って設けられる、複数の連結部353を有している。また、第1シャフト320の第1接触部322の軸方向一方側を向く面に設けられている第1板状部351と、第2シャフト330の第2接触部332の軸方向他方側を向く面に設けられている第2板状部352とは、複数の連結部353および複数の側面連結部54を介して接続されている。よって、樹脂部材350がロータコア12に対して軸方向に移動することを抑制できる。また、樹脂部材350がロータコア12に対して周方向に相対回転することを抑制できる。これにより、樹脂部材350をロータコア12に対してより強固に固定できる。さらに、第1シャフト320および第2シャフト330が、ロータコア12に対して周方向に相対回転することを抑制できる。これにより、第1シャフト320および第2シャフト330をロータコア12に対してより強固に固定できる。
【0065】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。例えば、ロータコアの外コア部は円環形状等であってもよい。ロータコアは外コア部を有しなくてもよい。また、連結部の軸方向両端が第1板状部および第2板状部と接続されるならば、全ての貫通孔は同じ形状でもよいし、全ての貫通孔は異なる形状であってもよい。
【0066】
第1被挿入部の外周面および第2被挿入部の外周面に設けられる凸部および凹部の形状は、第1シャフトおよび第2シャフトがロータコアに圧入して固定されるならば、どのような形状でもよい。例えば、凸部および凹部は周方向に延びる形状でもよく、アヤ目形状等でもよい。また、第1シャフトまたは第2シャフトの一方は、凸部および凹部を有していなくてもよい。第1シャフトおよび第2シャフトとロータコアとは接着固定されてもよい。
【0067】
ロータコアの中央孔の内周面に設けられる凸部および凹部の形状は、第1シャフトおよび第2シャフトがロータコアに圧入して固定されるならば、どのような形状でもよい。例えば、凸部および凹部は周方向に延びる形状でもよく、アヤ目形状等でもよい。また、中央孔の内周面に凸部および凹部を設ける場合においても、第1被挿入部の外周面および第2被挿入面の外周面に、凸部および凹部を設けてもよい。この場合、各シャフトを圧入する際の圧力をより低減できる。そのため、ロータコアの中央孔に、第1シャフトおよび第2シャフトをより容易に圧入して固定できる。また、第1被挿入部の外周面または第2被挿入面の外周面の一方のみが、凸部および凹部を有していてもよい。
【0068】
中央孔の内部のうち第1シャフトと第2シャフトとの間の部分は空洞である必要はなく、例えば、冷却部材を設けることができる。この場合、ロータが連続して回転する際に、ロータの温度上昇を抑制できる。また、磁性材料によって構成される磁性部材を設けることもできる。この場合、ロータの出力トルクを向上できる。中央孔の内部のうち第1シャフトと第2シャフトとの間の部分には、目的に応じてその他の部材等を適宜設けることができる。
【0069】
樹脂部材がロータコアに安定して固定されるならば、樹脂部材はどのような構成であってもよい。連結部は8個設ける必要はなく、例えば、4個でもよい。全ての連結部は同じ形状でもよいし、全ての連結部は異なる形状であってもよい。側面連結部は8個設ける必要なく、例えば、4個でもよい。また、側面連結部は設けられなくてもよい。
【0070】
本発明が適用されるロータを備える回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、ポンプ以外の機器に搭載されてもよい。回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機を備えるポンプの用途は、特に限定されない。ポンプによって送られる流体の種類は、特に限定されず、水などであってもよい。回転電機およびポンプは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0071】
10,210,310…ロータ、12,212…ロータコア、12a…板部材、14,214…中央孔、15…貫通孔、20,220,320…第1シャフト、22,322…第1接触部、25…凸部、26…凹部、30,230,330…第2シャフト、32,332…第2接触部、35…凸部、36…凹部、50,350…樹脂部材、51,351…第1板状部、52,352…第2板状部、53,353…連結部、60…ポンプ機構、71…ステータ、80,280…回転電機、90,290…ポンプ、218…凸部、219…凹部、325…第1開口、335…第2開口、J…中心軸