IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社石野製作所の特許一覧

<>
  • 特開-洗浄装置 図1
  • 特開-洗浄装置 図2
  • 特開-洗浄装置 図3
  • 特開-洗浄装置 図4
  • 特開-洗浄装置 図5
  • 特開-洗浄装置 図6
  • 特開-洗浄装置 図7
  • 特開-洗浄装置 図8
  • 特開-洗浄装置 図9
  • 特開-洗浄装置 図10
  • 特開-洗浄装置 図11
  • 特開-洗浄装置 図12
  • 特開-洗浄装置 図13
  • 特開-洗浄装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005634
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/24 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A47L15/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107670
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 直志
(72)【発明者】
【氏名】渡部 賢二
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 岳
(72)【発明者】
【氏名】北村 鉄二
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA03
3B082AA04
(57)【要約】
【課題】本願は、積み重なった洗浄物を装置内で横移動させながら洗浄する洗浄装置において、複数種類の大きさの洗浄物に対応可能にすることを解決課題とする。
【解決手段】発明は、洗浄装置であって、筐体の上方へ向けて開口しており、所定の大きさの洗浄物を積み重ね可能な開口部と、筐体内に設けられており、開口部の下側から又は下側へ向かって横移動する洗浄物を洗浄する洗浄部と、開口部内において洗浄部に対し近位側に設けられており、開口部に積み重なる洗浄物を側方から支持する近位側支持部と、開口部内において洗浄部に対し遠位側に設けられており、開口部に積み重なる洗浄物を側方から支持する遠位側支持部と、近位側支持部と遠位側支持部のうち少なくとも何れかの位置を、洗浄物の大きさに応じて変更可能な位置変更部と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の上方へ向けて開口しており、所定の大きさの洗浄物を積み重ね可能な開口部と、
前記筐体内に設けられており、前記開口部の下側から又は下側へ向かって横移動する洗浄物を洗浄する洗浄部と、
前記開口部内において前記洗浄部に対し近位側に設けられており、前記開口部に積み重なる洗浄物を側方から支持する近位側支持部と、
前記開口部内において前記洗浄部に対し遠位側に設けられており、前記開口部に積み重なる洗浄物を側方から支持する遠位側支持部と、
前記近位側支持部と前記遠位側支持部のうち少なくとも何れかの位置を、洗浄物の大きさに応じて変更可能な位置変更部と、を備える、
洗浄装置。
【請求項2】
前記開口部は、洗浄前の洗浄物を積み重ねる受入口であり、
前記洗浄部は、前記受入口の下側から横移動する洗浄物を洗浄し、
前記洗浄装置は、前記受入口内において前記洗浄部に対し近位側に設けられており、前記受入口に積み重なる洗浄物を下から順に前記受入口の下側へ繰り落とす繰り落とし手段を更に備え、
前記位置変更部は、前記遠位側支持部の位置を、洗浄物の大きさに応じて変更可能である、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記繰り落とし手段は、
前記受入口に積み重なる洗浄物の端部を、横長に配置された円柱状棒材の外周面によって下側から支持可能であり、モータの動力で中心軸周りに回転駆動される可動支持部と、
前記外周面において前記円柱状棒材の長手方向沿いに形成されており、前記回転駆動によって前記端部が進入可能な凹状の溝と、を有する、
請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記受入口は、物品載置用の底板部分と、前記底板部分の縁から外側へ斜めに立設される壁部とを有するトレイを、上下逆向きの状態で積み重ね可能であり、
前記可動支持部は、前記外周面が前記壁部の上端に接触することにより、前記トレイを支持し、
前記溝は、前記回転駆動によって前記壁部の上端が進入可能である、
請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記受入口は、飲食用の食器皿を積み重ね可能であり、
前記可動支持部は、前記外周面が前記食器皿の縁に接触することにより、前記食器皿を支持し、
前記溝は、前記回転駆動によって前記食器皿の縁が進入可能である、
請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記位置変更部は、前記遠位側支持部を取り付ける取付部分を複数箇所に有する、
請求項1から5の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記開口部は、洗浄後の洗浄物を積み重ねる排出口である、
請求項1に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店においては、食器皿を自動的に洗浄する食器皿洗浄装置が用いられている。回転寿司店のように飲食物を載せた皿をコンベアで搬送する飲食店においては、同じ形状の皿が大量に用いられているため、これらの皿を効率的に洗浄する連続式の洗浄装置が利用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-8319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積み重ねられた食器皿を自動洗浄する食器皿洗浄装置では、皿投入口に積まれた食器皿を装置内へ順に繰り落とす動作が行われる。そして、皿投入口から装置内部へ繰り落とされた食器皿は、横方向へ1枚ずつスライドしながら回転ブラシと洗浄水によって洗浄される。食器皿には、通常、糸切と呼ばれる脚部のような部位が存在するため、食器皿を積み重ねても、各食器皿の縁同士は間隔が空いた状態になる。このため、皿投入口に積まれた食器皿を装置内へ順に繰り落とす場合は、食器皿の縁の部分に機械の部材を係合させると、食器皿同士を分離しやすい。
【0005】
食器皿をこのように分離する機構の場合、複数種類の大きさのものに対応可能であることが望ましい。近年は、外食産業においても機械化が進んでいるため、回転寿司店の皿のみならず、大小様々な大きさの皿やトレイを洗浄できることが有用である。
【0006】
そこで、本願は、積み重なった洗浄物を装置内で横移動させながら洗浄する洗浄装置において、複数種類の大きさの洗浄物に対応可能にすることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、所定の大きさの洗浄物を積み重ね可能な開口部内において洗浄部に対し近位側と遠位側にそれぞれ設けられる支持部のうち少なくとも何れかの位置を、洗浄物の大きさに応じて変更可能にした。
【0008】
詳細には、本発明は、洗浄装置であって、筐体の上方へ向けて開口しており、所定の大きさの洗浄物を積み重ね可能な開口部と、筐体内に設けられており、開口部の下側から又は下側へ向かって横移動する洗浄物を洗浄する洗浄部と、開口部内において洗浄部に対し近位側に設けられており、開口部に積み重なる洗浄物を側方から支持する近位側支持部と、開口部内において洗浄部に対し遠位側に設けられており、開口部に積み重なる洗浄物を側方から支持する遠位側支持部と、近位側支持部と遠位側支持部のうち少なくとも何れかの位置を、洗浄物の大きさに応じて変更可能な位置変更部と、を備える。
【0009】
ここで、所定の大きさの洗浄物とは、洗浄装置で洗浄可能な大きさの洗浄物であり、少なくとも幅方向の大きさが互いに同じで且つ積み重ね可能な洗浄物をいう。
【0010】
このような洗浄装置であれば、積み重なった洗浄物を装置内で横移動させながら洗浄す
るものでありながら、洗浄物が積み上がる開口部において洗浄物を側方から支持する近位側支持部と遠位側支持部のうちの少なくとも何れかの位置を、洗浄物の大きさに応じて変更可能である。よって、この洗浄装置であれば、近位側支持部と遠位側支持部のうちの少なくとも何れかの位置を、洗浄物の大きさに応じて変更することにより、複数種類の大きさの洗浄物に対応可能である。
【0011】
なお、開口部は、洗浄前の洗浄物を積み重ねる受入口であり、洗浄部は、受入口の下側から横移動する洗浄物を洗浄し、洗浄装置は、受入口内において洗浄部に対し近位側に設けられており、受入口に積み重なる洗浄物を下から順に受入口の下側へ繰り落とす繰り落とし手段を更に備え、位置変更部は、遠位側支持部の位置を、洗浄物の大きさに応じて変更可能であってもよい。この場合、繰り落とし手段は、受入口に積み重なる洗浄物の端部を、横長に配置された円柱状棒材の外周面によって下側から支持可能であり、モータの動力で中心軸周りに回転駆動される可動支持部と、外周面において円柱状棒材の長手方向沿いに形成されており、回転駆動によって端部が進入可能な凹状の溝と、を有するものであってもよい。
【0012】
積み重なった洗浄物を繰り落とし手段で下から順に繰り落とす場合、繰り落とす洗浄物が適切な位置で支持されていることが望ましい。この点、本洗浄装置であれば、近位側支持部と遠位側支持部のうちの少なくとも何れかの位置を、洗浄物の大きさに応じて変更することにより、複数種類の大きさの洗浄物に対応できるため、適切な位置で支持されている洗浄物を繰り落とし手段で繰り落とすことができる。したがって、洗浄物を繰り落とし手段で適正に繰り落として洗浄部で洗浄することが可能となる。
【0013】
また、受入口は、物品載置用の底板部分と、底板部分の縁から外側へ斜めに立設される壁部とを有するトレイを、上下逆向きの状態で積み重ね可能であり、可動支持部は、外周面が壁部の上端に接触することにより、トレイを支持し、溝は、回転駆動によって壁部の上端が進入可能であってもよい。このようなトレイを上下逆向きの状態で受入口に積み重ねると、トレイの壁部は、トレイ全体を俯瞰してみた場合に末広がり状になる。よって、トレイの壁部の上端、換言すると、上下逆向きの状態におけるトレイの壁部の下端は、トレイの側方へ向かって突き出た状態になっていると言える。したがって、この部分が外周面で摺動している円柱状の棒材に、外周面から窪む凹部が形成されている場合、トレイの壁部の上端が凹部へ進入しやすい。このため、受入口に積み重なったトレイであっても、下から順に1枚ずつ取り込み可能となる。そして、取り込んだトレイを洗浄部で洗浄することができる。
【0014】
また、受入口は、飲食用の食器皿を積み重ね可能であり、可動支持部は、外周面が食器皿の縁に接触することにより、食器皿を支持し、溝は、回転駆動によって食器皿の縁が進入可能であってもよい。このような食器皿を受入口に積み重ねると、食器皿の縁は、食器皿の側方へ向かって突き出た状態になっていると言える。したがって、この部分が外周面で摺動している円柱状の棒材に、外周面から窪む凹部が形成されている場合、食器皿の縁が凹部へ進入しやすい。このため、受入口に積み重なった食器皿であっても、下から順に1枚ずつ取り込み可能となる。そして、取り込んだ食器皿を洗浄部で洗浄することができる。
【0015】
また、位置変更部は、遠位側支持部を取り付ける取付部分を複数箇所に有するものであってもよい。これによれば、遠位側支持部を付け替えることにより、遠位側支持部の位置を変更することができる。
【0016】
また、開口部は、洗浄後の洗浄物を積み重ねる排出口であってもよい。これによれば、排出口に排出される洗浄物について、大小様々な大きさのものに対応することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る洗浄装置であれば、積み重なった洗浄物を装置内で横移動させながら洗浄させつつ、複数種類の大きさの洗浄物に対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態に係るトレイ洗浄装置の外観を示した斜視図である。
図2図2は、トレイの動きの一例を示した図である。
図3図3は、トレイ洗浄装置の内部構成図である。
図4図4は、トレイ洗浄装置のシステム構成図である。
図5図5は、トレイ洗浄装置におけるトレイの動きを示した第1の図である。
図6図6は、トレイ洗浄装置におけるトレイの動きを示した第2の図である。
図7図7は、トレイ受入口における回転支持棒とトレイとの相対的な位置関係を詳細に示した図である。
図8図8は、支持棒が取り付けられている支持部材を示した図である。
図9図9は、支持棒の取付位置の変更方法の一例を示した図である。
図10図10は、支持棒の位置を互い違いにしたトレイ洗浄装置を比較可能に示した図である。
図11図11は、トレイをトレイ受入口内でトレイ洗浄装置の正面側と背面側から支持するガイドの一例を示した図である。
図12図12は、支持棒と支持部材をトレイ排出口に設けた場合のトレイ洗浄装置を例示する。
図13図13は、トレイ洗浄装置を食器皿洗浄装置に改変した場合の、皿受入口における回転支持棒と食器皿との相対的な位置関係を詳細に示した図である。
図14図14は、支持棒の位置を食器皿の大きさに合わせた様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げ、天ぷら、焼肉といった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0020】
図1は、実施形態に係るトレイ洗浄装置の外観を示した斜視図である。トレイ洗浄装置1は、図1に示すように、略直方体の筐体2の正面側に操作パネル3を有し、筐体2の上面にトレイ受入口4とトレイ排出口6を備えた装置である。トレイ洗浄装置1は、トレイ受入口4に置かれたトレイをトレイ洗浄室5内で洗浄し、トレイ排出口6から排出する。トレイ受入口4は、トレイ洗浄装置1で洗浄したい使用済みのトレイを、上下逆向きの状態で積み重ね可能である。このため、トレイ受入口4には、積み重なったトレイが横倒しになるのを防ぐために、トレイを側方から支持するための支持棒7(本願でいう「遠位側支持部」の一例である)が設けられている。そして、トレイ洗浄装置1を取り扱う者は、トレイ洗浄装置1が設置されている店内で使用された食器(本願でいう「物品」の一例である)用のトレイを複数枚まとめてトレイ受入口4へセットすることが可能である。また、トレイ排出口6には、洗浄済のトレイが下から積み上がる。このため、トレイ排出口6には、積み上がったトレイが横倒しになるのを防ぐために、トレイを側方から支持するための支持板8が設けられている。そして、トレイ洗浄装置1を取り扱う者は、トレイ洗浄装置1で洗浄されてトレイ排出口6に積み上がったトレイをトレイ排出口6から取り出すことができる。
【0021】
図2は、トレイの動きの一例を示した図である。トレイ洗浄装置1は、トレイ受入口4
に積み重なったトレイTを下から順に1枚ずつ機内へ取り込む。そして、トレイ洗浄装置1は、図4から機内に取り込んだトレイTをトレイ洗浄室5で洗浄し、トレイ排出口6で下から積み上げるようにトレイTを排出する。このため、図2(A)に示すように、トレイ受入口4にトレイTが複数枚積み上げられた状態でトレイ洗浄装置1が作動すると、図2(B)に示すように、トレイ受入口4に積み上がっているトレイTが徐々に減り、トレイ排出口6にトレイTが積み上がる。そして、図2(C)に示すように、トレイ受入口4のトレイTが所定枚数になり、トレイ洗浄装置1の機内に取り込まれたトレイTがトレイ排出口6へ全て排出されると、トレイ洗浄装置1は、洗浄済のトレイTをトレイ排出口6へ積み上げた状態で自動停止する。なお、トレイ洗浄装置1は、操作パネル3で適宜の操作が行われると、トレイ受入口4のトレイTが全て無くなるまで洗浄動作を続けるようにしてもよい。また、トレイ洗浄装置1は、トレイ排出口6に積み上がるトレイTが所定枚数に達すると、洗浄動作を一時停止するようにしてもよい。
【0022】
図3は、トレイ洗浄装置1の内部構成図である。図3に示すように、トレイ洗浄装置1には様々な部品が備わっている。トレイ洗浄装置1の内部構成について、以下、トレイ受入口4に取り込まれたトレイTがトレイ排出口6へ移動する経路の順に沿って説明する。
【0023】
トレイ受入口4には、上述したように、支持棒7が備わっている。この支持棒7は、図1等に示すように、上向きに立設された棒状の部材である。支持棒7の中腹には、固定支持片11(本願でいう「固定支持部」の一例である)が設けられている。固定支持片11は、トレイ受入口4に置かれるトレイTを支持する部材である。固定支持片11は、トレイTの片側を支持する。よって、固定支持片11は、トレイT全体を支持することはできない。そこで、トレイ洗浄装置1のトレイ受入口4には、支持棒7の他に、回転支持棒13(本願でいう「可動支持部」の一例である)が備わっている。回転支持棒13は、トレイTを固定支持片11の反対側で支持する。回転支持棒13は、モータによって回転駆動される円柱状の棒材であり、外周面14と、外周面14から窪む凹部15と、を有している。凹部15は、回転支持棒13の長手方向に沿って延在する筋状の窪みである。凹部15は、回転支持棒13の長手方向に直交する断面で扇状の形態を呈する窪みである。そして、凹部15の長手方向沿いにおける長さは、トレイTに対応する長さを有している。例えば、トレイ洗浄装置1が、トレイTの長辺と回転支持棒13の長手方向とが沿うような向きでトレイTをトレイ受入口4に置く形態の場合であれば、凹部15の長手方向沿いにおける長さは、トレイTの長辺の長さ以上とされる。また、例えば、トレイ洗浄装置1が、トレイTの短辺と回転支持棒13の長手方向とが沿うような向きでトレイTをトレイ受入口4に置く形態の場合であれば、凹部15の長手方向沿いにおける長さは、トレイTの短辺の長さ以上とされる。凹部15は、様々な方法で形成可能であるが、例えば、金属製の丸棒に、長手方向に沿った切削加工を施して形成すれば、回転支持棒13を比較的安価に製作可能である。
【0024】
また、トレイ洗浄装置1には、支持部材12が設けられている。支持部材12は、トレイ洗浄装置1の作動により、トレイ受入口4に置かれて固定支持片11と回転支持棒13に支持されていたトレイTが、固定支持片11と回転支持棒13から落ちると、落ちたトレイTを支持する。また、トレイ洗浄装置1には、トレイTをトレイ洗浄室5経由でトレイ排出口6へ送るための回転ローラ22が設けられている。回転ローラ22は、モータによって回転駆動されるローラである。回転ローラ22は、図3に示すように、トレイ洗浄装置1の機内において、トレイ受入口4からトレイ排出口6までの間に適当な間隔で複数設けられている。このため、回転ローラ22は、トレイ洗浄装置1の機内へ取り込まれたトレイTを、トレイ受入口4からトレイ排出口6へ搬送することが可能である。トレイ洗浄装置1には、回転ローラ22に搬送されるトレイTが洗浄水の圧力で浮き上がるのを防ぐための抑えローラ30が設けられているため、トレイTは、トレイ受入口4からトレイ排出口6へ回転ローラ22上をスムーズに移動することができる。抑えローラ30は、自
重でトレイTを抑える。
【0025】
また、トレイ洗浄装置1には、洗浄ノズル16と水切りノズル17が設けられている。洗浄ノズル16と水切りノズル17は、トレイ洗浄室5内に設けられている。洗浄ノズル16は、回転ローラ22によって搬送されるトレイTへ洗浄水を吹き付けるノズルである。また、水切りノズル17は、回転ローラ22によって搬送されるトレイTへ空気を吹き付けるノズルである。これにより、回転ローラ22によってトレイ受入口4からトレイ排出口6へ向けて搬送されるトレイTは、トレイ洗浄室5内において、洗浄ノズル16から吹き出る洗浄水で洗浄され、水切りノズル17から吹き出る風で水分が除去される。
【0026】
そして、トレイ洗浄装置1には、遊転ローラ18がトレイ排出口6に設けられている。遊転ローラ18は、回転ローラ22に搬送されたトレイTをトレイ排出口6の下部で一時的に支持するローラである。遊転ローラ18は、トレイ排出口6の下部に複数設けられており、トレイTが自重で図3の紙面右側へ移動するように、各遊転ローラ18が徐々に右下へ下がる下り勾配の搬送路を形成するように配置されている。このため、回転ローラ22から遊転ローラ18へ乗り移ったトレイTは、遊転ローラ18の上を自重で移動する。
【0027】
そして、トレイ洗浄装置1には、遊転ローラ18に支持されているトレイTを下から突き上げるための突き上げ部材19及び昇降装置20が、トレイ排出口6の下部に設けられている。突き上げ部材19は、トレイTの下面に接触してトレイTを突き上げる部材である。昇降装置20は、突き上げ部材19をモータで昇降する装置である。
【0028】
また、トレイ洗浄装置1には、トレイ排出口6で突き上げ部材19に突き上げられたトレイTが再び下がるのを止めるための、トレイTを爪で引っ掛けるトレイ支持ストッパ21が設けられている。トレイ支持ストッパ21は、図3において破線の枠線内に示すように、トレイ洗浄装置1の右側から見ると、トレイ排出口6の内壁面から爪状のものを突き出す形態の部材である。トレイ支持ストッパ21は、下から突き上げられたトレイTが接触すると引っ込み、トレイTが下から上へ向かって通過するのを許容する。一方、トレイ支持ストッパ21は、トレイTが上から下へ向かって通過しようとする場合には引っ込まず、トレイTの通過を阻害する。このため、トレイ排出口6においてトレイTが下から突き上げられると、トレイ排出口6においてトレイTがトレイ支持ストッパ21に支持された状態になる。そして、トレイ排出口6においてトレイTが下から繰り返し突き上げられると、トレイ排出口6においてトレイTが積み上がっていくことになる。トレイ支持ストッパ21は、長手方向全体でトレイTを支持する棒状のストッパであってもよいし、或いは、トレイTを4点で支持する4つの爪状のストッパであってもよい。
【0029】
図4は、トレイ洗浄装置1のシステム構成図である。トレイ洗浄装置1は、図4に示すように、モータや電磁弁等の制御を司る制御装置23と、トレイ受入口4にトレイTが置かれたことを検知するトレイセンサ24を備える。制御装置23は、トレイ受入口4にトレイTが置かれていることをトレイセンサ24で検知すると、回転ローラ22や回転支持棒13を回転させるためのモータ25、水切りノズル17へ空気を送るブロワ26、洗浄ノズル16へ水を送るポンプ27、トレイTを突き上げるための昇降装置20を作動させる。また、制御装置23は、ポンプ27の吸込口側に設けられた貯水タンク28が所定の水位を保つように、給水経路に設けられた電磁弁29を開閉する。トレイ洗浄装置1は、ポンプ27や貯水タンク28を省略し、店舗に設けられた水道管に給水経路が直接繋がる形態であってもよい。
【0030】
図5は、トレイ洗浄装置1におけるトレイTの動きを示した第1の図である。トレイ洗浄装置1は、トレイTがトレイ受入口4に積み重ねられたことをトレイセンサ24で検知すると、制御装置23がモータ25等を作動させる。この状態では、図5(A)に示され
るように、トレイTがトレイ受入口4で固定支持片11と回転支持棒13に支持された状態である。そして、モータ25が作動すると、回転支持棒13や回転ローラ22が回転する。
【0031】
トレイTを支持している回転支持棒13が回転すると、図5(B)に示されるように、トレイTの外周面14に接触していた部分が凹部15に入る。これにより、トレイ受入口4に積み重なった複数のトレイTのうち最下段のトレイTが、1つ上のトレイTから離れる。そして、回転支持棒13が回転し続けると、トレイ受入口4に積み重なった複数のトレイTのうち最下段のトレイTが固定支持片11と回転支持棒13の支持を失い、図5(C)に示されるように、固定支持片11と回転支持棒13の間を通り抜けて下へ落ちる。
【0032】
図6は、トレイ洗浄装置1におけるトレイTの動きを示した第2の図である。固定支持片11と回転支持棒13の間を通り抜けて下へ落ちたトレイTは、図6(A)に示されるように、回転ローラ22に載る。そして、トレイTは、図6(B)に示されるように、トレイ受入口4からトレイ洗浄室5を経てトレイ排出口6へ移動する。トレイTは、トレイ排出口6において突き上げ部材19と昇降装置20に突き上げられ、図6(C)に示されるように、トレイ排出口6内のトレイ支持ストッパ21に支持された状態になる。
【0033】
これら一連の動作が繰り返し行われることにより、トレイ排出口6には、トレイTが徐々に積み上がっていく。トレイ洗浄室5では、トレイTの洗浄が行われるので、トレイ排出口6に積み上がるトレイTは、清潔な状態になっている。よって、トレイ排出口6に積み上がったトレイTは、飲食物の運搬等に利用可能な状態である。
【0034】
図7は、トレイ受入口4における回転支持棒13とトレイTとの相対的な位置関係を詳細に示した図である。トレイ洗浄装置1は、トレイ受入口4にトレイTを上下逆向きの状態で積み重ねる設計となっている。トレイ洗浄装置1が洗浄対象とするトレイTは、食器載置用の底板部分である底板部分T1と、底板部分T1の縁T3から外側へ斜めに立設される壁部T2を有するトレイである。壁部T2は、底板部分T1の縁T3の全周部分に渡って立設されている。よって、壁部T2は、食器が載置される底板部分T1の表面を取り囲むような形態となっている。そして、トレイTは、図7に示すように、略長方形のトレイ(お盆)であり、長辺と短辺をそれぞれ2つずつ有している。また、凹部15は、トレイTの長辺と同等の長さを有している。よって、トレイ受入口4に上下逆向きの状態で積み重なったトレイTは、トレイ洗浄装置1が作動すると、トレイ受入口4で以下のように動く。
【0035】
すなわち、トレイTは、トレイ受入口4では上下逆向きの状態で積み重なっているため、略長方形を構成する2つの長辺のうちの一つの長辺の対する部分において、壁部T2の上端T4が回転支持棒13の外周面14に接触している。そして、回転支持棒13は、トレイ洗浄装置1の作動中、回転している。よって、図7(A)に示されるように、外周面14は、回転支持棒13が回転駆動されている状態において、トレイTの上端T4が摺動している。トレイTの上端T4が、外周面14上を摺動するため、トレイTには回転支持棒13から離れる方向へ向かう摩擦力が外周面14から加わるが、トレイTは、回転支持棒13の反対側が支持棒7に接触している。このため、トレイTは、外周面14から摩擦力を受けても、横方向には移動しない。
【0036】
そして、図7(B)に示されるように、外周面14に窪みを形成する凹部15が上端T4に対向する位置関係になると、上端T4が凹部15に進入する。この時、凹部15に上端T4が進入したトレイTよりも1つ上のトレイTの上端T4は、凹部15よりも上側で外周面14に接触する状態となる。このため、凹部15に上端T4が進入したトレイTよりも1つ上のトレイTは、回転支持棒13の外周面14に支持された状態となる。この結
果、凹部15に上端T4が進入したトレイTは、回転支持棒13が回転し続けることにより、1つ上のトレイTから徐々に離れる。そして、図7(C)に示されるように、回転支持棒13の支持を失って下へ落ちる。
【0037】
トレイ洗浄装置1の作動中、トレイ受入口4における回転支持棒13とトレイTの相対的な位置関係のこのような変化が繰り返されるため、トレイ受入口4に積み重なったトレイTは、1枚ずつトレイ受入口4内の下部へ繰り落とされることになる。また、トレイTが上下逆向きの状態でトレイ受入口4内の下部へ繰り落とされるため、トレイTの表面(上面)に付着していた付着物をトレイTから落とすことができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、略長方形のトレイTを洗浄する形態となっていたが、トレイ洗浄装置1は、このような形態のトレイTの洗浄に限定されるものではない。トレイ洗浄装置1は、例えば、円形、楕円形、台形、三角形、その他各種形態のトレイの洗浄に適用することもできる。その場合、回転支持棒13やその他の構成要素は、トレイの形態に合わせた形状や寸法が採用されることになる。
【0039】
また、トレイTを洗浄する水は、例えば、洗剤を含んだ水、高温の水、その他各種の洗浄水であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、機内でトレイTを回転ローラ22に載せて搬送しているが、トレイ洗浄装置1は、ベルトやチェーン等にトレイTを載せて搬送する形態であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態のトレイ洗浄装置1は、機内を洗浄する内部洗浄装置を備えたり、トレイTをブラッシングする洗浄ブラシを備えたり、その他の各種変更を加えてもよい。また、上記実施形態のトレイ洗浄装置1は、飲食用の食器以外の物品を載せるトレイの洗浄に用いてもよい。
【0042】
ところで、上記実施形態のトレイ洗浄装置1は、支持棒7の位置をトレイTの大きさに応じて変更可能である。図8は、支持棒7が取り付けられている支持部材12を示した図である。支持部材12には、支持棒7の下端を差し込むための差込孔が複数用意されている(これらの差込孔は、本願でいう「位置変更部」の一例である)。図8では、支持部材12に2つの差込孔12H1,12H2が設けられている様子が図示されているが、差込孔は3つ以上であってもよい。
【0043】
上述したように、支持棒7は、トレイ受入口4内においてトレイ洗浄室5に対し遠位側に設けられている。そして、トレイ受入口4内においてトレイ洗浄室5に対し近位側に位置するトレイTの支持部(本願でいう「近位側支持部」の一例である)は、トレイ受入口4内において筐体2に直接固定される樹脂製の部材等であり、図8では図示を省略している。
【0044】
図8では、紙面右側にトレイ洗浄室5が位置する状態をイメージしている。よって、差込孔12H2は、差込孔12H1よりもトレイ洗浄室5寄りに位置していることになる。そして、トレイ洗浄装置1で取り扱うトレイTの大きさを変更したい場合、支持棒7の取付位置を以下のようにして変更する。
【0045】
図9は、支持棒7の取付位置の変更方法の一例を示した図である。例えば、トレイ洗浄装置1で取り扱うトレイTの大きさを小さいものに変更したい場合、トレイ洗浄装置1の取扱者は、差込孔12H1に取り付けられている支持棒7を引き上げる(図9(A)を参照)。支持棒7を引き上げると、支持棒7が差込孔12H1から抜ける(図9(B)を参
照)。トレイ洗浄装置1の取扱者は、差込孔12H1から引き抜いた支持棒7を差込孔12H2へ差し込む。これにより、支持棒7の位置が、差込孔12H1の場合よりもより小さいトレイTに対応する差込孔12H2へ移動する。したがって、トレイ洗浄装置1は、より小さいトレイTを洗浄可能な状態になる。トレイ洗浄装置1で取り扱うトレイTの大きさを大きいものに変更したい場合は、逆の手順となる。
【0046】
図10は、支持棒7の位置を互い違いにしたトレイ洗浄装置1を比較可能に示した図である。図10(A)では、支持棒7が差込孔12H1に位置する場合のトレイ洗浄装置1が図示されている。また、図10(B)では、支持棒7が差込孔12H2に位置する場合のトレイ洗浄装置1が図示されている。図10(A)に示すトレイTと、図10(B)に示すトレイTとの大きさの相違が判りやすいように、図10には破線が示されている。図10に示す破線とトレイTとの位置関係を見ると判るように、図10(A)に示すトレイTは、図10(B)に示すトレイTよりも大きい。本実施形態のトレイ洗浄装置1では、上述したように、トレイTがトレイ受入口4で固定支持片11と回転支持棒13に支持される。そして、モータ25の作動により、回転支持棒13や回転ローラ22が回転すると、トレイTの外周面14に接触していた部分が凹部15に入る。これにより、トレイ受入口4に積み重なった複数のトレイTのうち最下段のトレイTが、1つ上のトレイTから離れる。そして、回転支持棒13が回転し続けると、トレイ受入口4に積み重なった複数のトレイTのうち最下段のトレイTが固定支持片11と回転支持棒13の支持を失い、固定支持片11と回転支持棒13の間を通り抜けて下へ落ちる。よって、このような繰り落とし手段においては、外周面14を摺動しながら凹部15に嵌るトレイTを、トレイTを挟んで回転支持棒13の反対側から支持棒7で支持しておかないと、トレイTが固定支持片11と回転支持棒13との間を通って適正に繰り落とすことができない。したがって、支持棒7の位置がトレイTの大きさに応じて変更できない場合、一種類の大きさのトレイTを洗浄することしかできない。しかし、本実施形態のトレイ洗浄装置1は、支持棒7の位置をトレイTの大きさに応じて変更できるため、複数種類の大きさのトレイTを洗浄することができる。また、支持棒7は、支持部材12に設けられた差込孔12H1,12H2に差し込む位置を変更することにより位置変更されるものであるため、回転支持棒13がトレイTを支持棒7の方へ押圧する荷重にも十分に耐えることができる。よって、回転支持棒13がトレイTを支持棒7の方へ押圧する荷重により、差込孔12H1,12H2よりも上側の部分で支持棒7が撓っても、支持棒7は差込孔12H1,12H2の位置に留まる。したがって、支持棒7は、積み重なったトレイTから最下段のトレイTを回転支持棒13の凹部15で分離する際に必要な反力をトレイTに返すことができる。
【0047】
ところで、大きさの相違するトレイTを見比べた場合、トレイTの大きさは、前後と左右の何れか一方のみが異なる場合に限られない。大きさの相違するトレイTを見比べた場合、トレイTの大きさは、前後の大きさのみならず左右の大きさも異なることが一般的である。そこで、上述したような支持棒7の位置変更を可能にする場合、下記のような機構をトレイ洗浄装置1に設けることが好ましい。
【0048】
図11は、トレイTをトレイ受入口4内でトレイ洗浄装置1の正面側と背面側から支持するガイドの一例を示した図である。固定ガイド41は、トレイTをトレイ受入口4内でトレイ洗浄装置1の背面側から支持するガイドである。また、可動ガイド42は、トレイTをトレイ受入口4内でトレイ洗浄装置1の正面側から支持するガイドである。固定ガイド41は、筐体2に固定された基材43に取り付けられている。また、可動ガイド42は、筐体2に固定された基材44に取り付けられている。可動ガイド42を取り付けるために基材44に設けられているスリット45は、長細い孔になっている。そして、可動ガイド42は、スリット45に挿通される留め具46で固定される。留め具46は、工具を使わずに操作できる留め具であり、留め具46を操作することにより、可動ガイド42をスリット45の長手方向に沿ってスライドさせて適宜の位置に固定することができる。
【0049】
大小様々な大きさのトレイTをトレイ洗浄装置1で洗浄可能にする場合、トレイ受入口4にこのような固定ガイド41と可動ガイド42が設けられていれば、トレイ受入口4に積み上がったトレイTを安定した状態で支持することができる。よって、トレイTがトレイ洗浄装置1の内部で意図しない姿勢になり、例えば、トレイTがトレイ洗浄室5内に詰まるといった予期せぬトラブルを可及的に抑制することができる。固定ガイド41と可動ガイド42をトレイ排出口6に設けた場合も同様である。
【0050】
なお、上述の支持棒7、及び、差込孔12H1,12H2を有する支持部材12は、トレイ排出口6に設けられていてもよい。図12は、支持棒7と支持部材12をトレイ排出口6に設けた場合のトレイ洗浄装置1を例示する。トレイ排出口6では、トレイTを突き上げ部材19で下から突き上げてトレイ支持ストッパ21に支持させる形態を採っているため、支持棒7に設けられている固定支持片11は不要となる。また、トレイ排出口6に設ける場合、支持棒7及び支持部材12は、図12(A)に示すようにトレイ排出口6内においてトレイ洗浄室5に対し近位側に配置されていてもよいし、或いは、図12(B)に示すようにトレイ排出口6内においてトレイ洗浄室5に対し遠位側に配置されていてもよい。本実施形態のトレイ洗浄装置1では、トレイ受入口4に積み重なるトレイTや、トレイ排出口6に積み重なるトレイTは、基本的に筐体2を構成する支持板8等の部材で支持する設計となっている。よって、図12(A)に示すように、支持棒7と支持部材12をトレイ排出口6内においてトレイ洗浄室5に対し近位側に配置する場合、支持板8は本願でいう「遠位側支持部」に相当し、支持棒7と支持部材12は本願でいう「近位側支持部」に相当することになる。また、図12(B)に示すように、支持棒7と支持部材12をトレイ排出口6内においてトレイ洗浄室5に対し遠位側に配置する場合、トレイ排出口6の内面を形成する筐体2の部材は本願でいう「近位側支持部」に相当し、支持棒7と支持部材12は本願でいう「遠位側支持部」に相当することになる。
【0051】
また、支持棒7の位置を変更可能にする機構は、支持部材12に差込孔12H1,12H2を設けた形態に限定されるものでなく、例えば、支持部材12自体がスクリューネジ等により無段階で位置変更可能な形態であってもよいし、支持部材12が固定されている代わりに回転支持棒13が位置変更可能な形態であってもよいし、その他各種の形態に変形することも可能である。また、支持棒7は、2本が別体の形態に限定されるものでなく、例えば、金物等により一体的に連結されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、トレイTを洗浄するトレイ洗浄装置1を例示したが、様々な大きさの洗浄物に対応可能にするための上記機構は、トレイT以外の物を洗浄する装置においても適用可能である。支持棒7や支持部材12、固定ガイド41、可動ガイド42は、例えば、食器皿を洗浄する食器皿洗浄装置に適用することも可能である。
【0053】
図13は、トレイ洗浄装置1を食器皿洗浄装置に改変した場合の、皿受入口(トレイ受入口4に相当)における回転支持棒13と食器皿との相対的な位置関係を詳細に示した図である。食器皿洗浄装置の場合においても、トレイ洗浄装置1の場合と同様に、食器皿Dを上下逆向きで積み重ねる。食器皿Dには、通常、飲食物を載せる部分の下側に、糸切と呼ばれる部位が設けられている。よって、トレイ洗浄装置1の場合におけるトレイTと同様、食器皿Dの縁が回転支持棒13の外周面14に接触している状態で、回転支持棒13が回転すると、図13(A)に示されるように、外周面14は、回転支持棒13が回転駆動されている状態において、食器皿Dの縁が摺動している。食器皿Dの縁が、外周面14上を摺動するため、食器皿Dには回転支持棒13から離れる方向へ向かう摩擦力が外周面14から加わるが、食器皿Dは、回転支持棒13の反対側が支持棒7に接触している。このため、食器皿Dは、外周面14から摩擦力を受けても、横方向には移動しない。
【0054】
そして、図13(B)に示されるように、外周面14に窪みを形成する凹部15が食器皿Dの縁に対向する位置関係になると、食器皿Dの縁が凹部15に進入する。この時、凹部15に縁が進入した食器皿Dよりも1つ上の食器皿Dの縁は、凹部15よりも上側で外周面14に接触する状態となる。このため、凹部15に縁が進入した食器皿Dよりも1つ上の食器皿Dは、回転支持棒13の外周面14に支持された状態となる。この結果、凹部15に縁が進入した食器皿Dは、回転支持棒13が回転し続けることにより、1つ上の食器皿Dから徐々に離れる。そして、図13(C)に示されるように、回転支持棒13の支持を失って下へ落ちる。
【0055】
これにより、皿受入口に積み重なった食器皿Dは、1枚ずつ皿受入口内の下部へ繰り落とされることになる。また、食器皿Dが上下逆向きの状態で皿受入口内の下部へ繰り落とされるため、食器皿Dの表面(上面)に付着していた付着物を食器皿Dから落とすことができる。
【0056】
このような食器皿洗浄装置において、支持棒7の位置変更を可能にする機構が備わっていれば、大小様々な大きさの食器皿Dに対応可能である。図14は、支持棒7の位置を食器皿Dの大きさに合わせた様子を示した図である。図14(A)では比較的小さい食器皿Dに支持棒7の位置を合わせた様子が例示され、図14(B)では比較的大きい食器皿Dに支持棒7の位置を合わせた様子が例示されている。支持棒7の位置変更が可能な場合、このように、大小様々な食器皿Dに対応することが可能となる。
【0057】
なお、図13図14では、食器皿Dを上下逆向きの状態で図示していたが、食器皿洗浄装置の場合には、上下が正しい向きであってもよい。回転支持棒13の回転で食器皿Dを下から1枚ずつ繰り落とすことが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1・・トレイ洗浄装置
2・・筐体
3・・操作パネル
4・・トレイ受入口
5・・トレイ洗浄室
6・・トレイ排出口
7・・支持棒
8・・支持板
T・・トレイ
D・・食器皿
11・・固定支持片
12・・支持部材
13・・回転支持棒
14・・外周面
15・・凹部
16・・洗浄ノズル
17・・水切りノズル
18・・遊転ローラ
19・・突き上げ部材
20・・昇降装置
21・・トレイ支持ストッパ
22・・回転ローラ
23・・制御装置
24・・トレイセンサ
25・・モータ
26・・ブロワ
27・・ポンプ
28・・貯水タンク
29・・電磁弁
30・・抑えローラ
41・・固定ガイド
42・・可動ガイド
43,44・・基材
45・・スリット
46・・留め具
T1・・底板部分
T2・・壁部
T3・・縁
T4・・上端
12H1,12H2・・差込孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14