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特開2023-56363フランジ接合装置及びフランジの接合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056363
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】フランジ接合装置及びフランジの接合方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 23/036 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
F16L23/036
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165670
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】東海林 卓也
【テーマコード(参考)】
3H016
【Fターム(参考)】
3H016AC01
3H016AC04
3H016AD05
3H016AE02
(57)【要約】
【課題】既存の密封部材に対して押圧による過度な負荷をかけずに、一対のフランジに広い領域に亘って安定した押圧力を与えることのできるフランジ接合装置及びフランジの接合方法を提供する。
【解決手段】一方の管路構成部材1におけるフランジ1aと、他方の管路構成部材1’におけるフランジ1a’との接合を補強するフランジ接合装置10であって、フランジ1a,1a’の貫通孔1b,1b’に挿通されて締結される締結具31と、締結具31の締結作用によってフランジ面1d,1d’に当接する周方向に延びる延出部13,14,23,24と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の管路構成部材におけるフランジと、他方の管路構成部材におけるフランジとの接合を補強するフランジ接合装置であって、
前記フランジの貫通孔に挿通されて締結される締結具と、
前記締結具の締結作用によって前記フランジ面に当接する周方向に延びる延出部と、を備えることを特徴とするフランジ接合装置。
【請求項2】
前記延出部は、周方向両側に均等に延びていることを特徴とする請求項1に記載のフランジ接合装置。
【請求項3】
前記延出部は、前記フランジに係止される回転防止手段を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のフランジ接合装置。
【請求項4】
前記延出部は、周方向に延びるリブを有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフランジ接合装置。
【請求項5】
前記延出部は、前記フランジ面に当接する突起を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフランジ接合装置。
【請求項6】
一方の管路構成部材におけるフランジと、他方の管路構成部材におけるフランジとの接合を補強するフランジ接合装置による一対のフランジの接合方法であって、
既設のボルトナットを取り外す工程と、
前記フランジの貫通孔に、前記フランジの周方向に配置した延出部を介して締結具を挿通する工程と、
前記締結具の締結作業を開始し、前記延出部において前記締結具により押圧される位置と、当該締結具より離間した位置と、を前記フランジ面に当接させた状態で前記締結作業を完了する工程と、を含むことを特徴とするフランジ接合装置による一対のフランジの接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管同士のフランジに装着するフランジ接合装置及びフランジの接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水やガス等が流れる管路を構成する管路構成部材には、隣接する管路構成部材の間に密封部材を配置し、対向配置される一対のフランジをボルトナットにより接合することで、連結されるものが知られている。
【0003】
このような管路構成部材同士の接続箇所においては、長期間の使用により管路構成部材そのものの劣化、ボルトナットによる接合の弛み等が生じる場合がある。そのため、既設のボルトナットを新規のボルトナットに更新する保全措置が行われる。この保全措置において、一対のフランジの接合を補強するために、フランジ接合装置が用いられる場合もある。
【0004】
例えば、特許文献1のフランジ接合装置は、対向配置される一対のフランジそれぞれの貫通孔に挿通されて締結される新規のボルトナットと、隣り合うボルトナットの間に配置されて一対のフランジを締結する補強具と、から構成されている。補強具は、各フランジよりも外径側に設けられた締結具を増し締めすることで、一対のフランジを挟圧可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-101289号公報(第8,9頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような特許文献1のフランジ接合装置にあっては、フランジの周方向において、新規のボルトナットによって一対のフランジを接合することに加え、補強具によっても一対のフランジを接合することができる。すなわち、周方向の広い領域において一対のフランジを近接方向に押圧することで、一対のフランジの接合を補強することができる。
【0007】
ところで、新規のボルトナット及び補強具を用いてフランジを接合するにあたっては、一対のフランジに作用するそれぞれの締め付けトルクを所定の値に揃える必要がある。そのためには、まず既設のボルトナットを新規のボルトナットに取り換え、新規のボルトナットの締め付けトルクを所定の値に到達させる。続けて補強具を配置し、その締め付けトルクを所定の値に到達させる。
【0008】
このように、予め締結が想定されている新規のボルトナットとは別に補強具による締結が加わることで、一対のフランジにおいて、補強具の締め付けトルクが隣接する新規のボルトナット周辺の領域に作用する。これにより、当該ボルトナットの締め付けトルクが低下するため、再び締め付けトルクを所定の値に到達させる必要がある。すなわち、所定のボルトナット及び補強具それぞれの締め付けトルクが所定の値に揃うまで、新規のボルトの増し締めと、補強具の増し締めを交互に繰り返し行う必要がある。
【0009】
しかしながら、密封部材は、経年劣化により密封部材に硬化、亀裂等が生じている場合があり、特許文献1のフランジ接合装置のように増し締めを繰り返すことで、密封部材が過度に押圧され、密封部材の破断、粉状化等が生じて、流体漏洩のさらなる原因となる虞があった。
【0010】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、既存の密封部材に対して押圧による過度な負荷をかけずに、一対のフランジに広い領域に亘って安定した押圧力を与えることのできるフランジ接合装置及びフランジの接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明のフランジ接合装置は、
一方の管路構成部材におけるフランジと、他方の管路構成部材におけるフランジとの接合を補強するフランジ接合装置であって、
前記フランジの貫通孔に挿通されて締結される締結具と、
前記締結具の締結作用によって前記フランジ面に当接する周方向に延びる延出部と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、締結具の締結作用と同時に延出部がフランジ面に当接し、締結具による締め付けトルクが、締結具の位置からフランジの周方向に分散されるため、既存の密封部材に対して押圧による過度な負荷をかけずに、一対のフランジに広い領域に亘って安定した押圧力を与えることができる。
【0012】
前記延出部は、周方向両側に均等に延びていることを特徴としている。
この特徴によれば、締結具による締め付けトルクが周方向両側に均等に分散されやすくなるため、締結具で延出部をフランジ面に対して押圧させる効率がよい。
【0013】
前記延出部は、前記フランジに係止される回転防止手段を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、フランジ接合装置の取り付けが容易である。
【0014】
前記延出部は、周方向に延びるリブを有していることを特徴としている。
この特徴によれば、締結具の締付力を締結具よりも離間した位置に及ぼすことができる。
【0015】
前記延出部は、前記フランジ面に当接する突起を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、締結具の締め付けトルクを締結具よりも離間した位置に確実に及ぼすことができる。
【0016】
一方の管路構成部材におけるフランジと、他方の管路構成部材におけるフランジとの接合を補強するフランジ接合装置による一対のフランジの接合方法であって、
既設のボルトナットを取り外す工程と、
前記フランジの貫通孔に、前記フランジの周方向に配置した延出部を介して締結具を挿通する工程と、
前記締結具の締結作業を開始し、前記延出部において前記締結具により押圧される位置と、当該締結具より離間した位置と、を前記フランジ面に当接させた状態で前記締結作業を完了する工程と、を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、締結具の締結作用と同時に延出部がフランジ面に当接し、締結具による締め付けトルクが、締結具の位置からフランジの周方向に分散されるため、既存の密封部材に対して押圧による過度な負荷をかけずに、一対のフランジに広い領域に亘って安定した押圧力を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1における管路構成部材のフランジ同士を既設のボルトナットで接合している様子を示す正面図である。
図2】管路構成部材のフランジ同士を接合しているフランジ接合装置を示す正面図である。
図3】管路構成部材のフランジ同士を接合しているフランジ接合装置を示す平面図である。
図4】フランジ接合装置を構成する1つのフランジ接合ユニットの分解斜視図である。
図5】フランジ接合装置の取り付けを説明するための正面図である。
図6】フランジ接合装置により一対のフランジを押圧する様子を模式的に示す平面図である。
図7】実施例2におけるフランジ接合装置を示す正面図である。
図8】(a)は、取り付け途中の実施例2におけるフランジ接合装置の要部を拡大して示す正面図であり、(b)は、取り付け後の実施例2におけるフランジ接合装置の要部を拡大して示す正面図である。
図9】実施例2におけるフランジ接合装置により一対のフランジを押圧する様子を概略的に示す平面図である。
図10】実施例3におけるフランジ接合装置を示す正面図である。
図11】(a)は、取り付け途中の実施例3におけるフランジ接合装置の要部を拡大して示す正面図であり、(b)は、取り付け後の実施例3におけるフランジ接合装置の要部を拡大して示す正面図である。
図12】実施例3におけるフランジ接合装置により一対のフランジを押圧する様子を概略的に示す平面図である。
図13】実施例4におけるフランジ接合装置を示す平面図である。
図14】実施例5におけるフランジ接合装置を示す平面図である。
図15】実施例5におけるフランジ接合装置を示す正面図である。
図16】実施例6におけるフランジ接合装置を示す平面図である。
図17】実施例6におけるフランジ接合装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るフランジ接合装置及びフランジの接合方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0019】
実施例1に係るフランジ接合装置につき、図1から図6を参照して説明する。図1を参照して、地中に埋設される流体管路は、複数の流体管1,1’,…を互いに接続することにより構成されている。なお、流体管1,1’内の流体は、例えば、上水や工業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。また、一方又は両方の管路構成部材は、流体管に限らず、補修弁等の構造部材であってもよく、その他バルブや継手などであってもよい。
【0020】
流体管1,1’は、ダクタイル鋳鉄管であって、断面視略円筒状に形成されている。なお、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらになお、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0021】
流体管1,1’は、端部に管軸に対して直交する径方向に張り出す円形のフランジ1a,1a’をそれぞれ有している。また、フランジ1a,1a’には、その軸方向と略平行に貫通する貫通孔1bまたは貫通孔1bが’周方向に4等配されている。また、フランジ1aは、フランジ1a’に対向配置される端部に、流体管1の管軸方向に沿ってわずかに突出している環状突出部が形成されている、いわゆるRF(Raised Face)フランジである。これは、フランジ1a’についても同様である。
【0022】
流体管1,1’は、互いの環状突出部の間に弾性を有するガスケットP(密封部材)を介在させた状態でフランジ1a,1a’の貫通孔1b,1b’に接続ボルト2aを挿通し、接続ボルト2aにナット2bを取り付け、接続ボルト2a及びナット2bによってフランジ1a,1a’を締め付けることで接続されている。
【0023】
このような流体管1,1’の接続態様にあっては、ガスケットPの弾性変形により生じる復元力、流体管1,1’内の流体の圧力、地震等の不測の外力、老朽化による錆の発生等により、複数の接続ボルト2a及びナット2bに弛みや劣化が生じる場合がある。そのため、所定期間以上が経過することで、既設の接続ボルト2a及びナット2bを新規の接続ボルト及びナットに取り換える保全措置が必要となってくる。
【0024】
図2及び図3に示されるように、本発明のフランジ接合装置10は、新規の接続ボルト及びナットの替りにフランジ1a,1a’を接合するために取り付けられるものである。以降、フランジ接合装置10について説明する。
【0025】
図2及び図3に示されるように、フランジ接合装置10は、本実施例では一対のフランジ1a,1a’に対して周方向に4等配されているフランジ接合ユニット10A,10B,10C,10Dから構成されている。なお、各フランジ接合ユニット10A~10Dは、図3において、12時方向にあるものがフランジ接合ユニット10C、3時方向にあるものがフランジ接合ユニット10B、6時方向にあるものがフランジ接合ユニット10A、9時方向にあるものがフランジ接合ユニット10Dである。また、説明の便宜上異なる符号を付しているが、共に同一構成であるため、以下の説明においては、特に断らない限り、フランジ接合ユニット10Aを例に説明する。
【0026】
図2図4に示されるように、フランジ接合ユニット10Aは、流体管1のフランジ1a側に配置される第1補強具11と、流体管1’のフランジ1a’側に配置される第2補強具21と、第1補強具11及び第2補強具21を接合するための締結ボルト31及びナット32(締結具)と、から主に構成されている。
【0027】
第1補強具11は、締結ボルト31が挿通される貫通孔12aが形成された円筒状の基部12と、図3において基部12より時計回り方向に延びる第1延出部13と、図3において基部12より反時計回り方向に延びる第2延出部14と、から主に構成されている。
【0028】
第1延出部13は、フランジ1aの外周面1cに沿って湾曲しながら延びる平板状である。また、フランジ1aに対向する対向面13aは直線状に延びる平坦面となっており、基部12の対向面12bと同一平面状を成している。
【0029】
また、第1延出部13には、対向面13aとは反対側の端面に、その幅方向中心に沿って延びるリブ13bが形成されている。これにより、第1延出部13の構造強度を確保しつつ、軽量化がなされている。
【0030】
また、第1延出部13には、その幅方向外側、すなわちフランジ1aの外径側に、対向面13aより下方に突出している板状の係止片13c(回転防止手段)が形成されている。
【0031】
第2延出部14は、第1延出部13に対して周方向に対称形状に形成されており、第1延出部13と同様に、基部12の対向面12bと同一平面状に形成された対向面14a、リブ14b及び係止片14c(回転防止手段)を有している。
【0032】
図2に示されるように、第2補強具21は、第1補強具11に対してフランジ1a,1a’の軸方向に対称形状に形成されており、第1補強具11と同様に、基部22と、第1延出部23と、第2延出部24と、から主に構成されている。なお、第1延出部23は、第1補強具11の第1延出部13に対向配置され、第2延出部24は、第1補強具11の第2延出部14に対向配置される。
【0033】
基部22には、貫通孔22aが形成されている。第1延出部23は、第1補強具11の第1延出部13と同様に、基部22の対向面22bと同一平面状に形成された対向面23a、リブ23b及び係止片23cを有している。第2延出部24は、第1補強具11の第2延出部14と同様に、基部22の対向面22bと同一平面状に形成された対向面24a、リブ24b及び係止片24cを有している。
【0034】
次に、フランジ接合装置10による一対のフランジ1a,1a’の接合方法について説明する。本説明を行うにあたって、図1に示されるように、フランジ1a,1a’は、各貫通孔1b,1b’を通じて取り付けられている既設の接続ボルト2a及びナット2bによって接合されているものとする。
【0035】
まず、図1図6を参照して、周方向に4等配されている接続ボルト2a及びナット2bのうち、図3における6時方向に位置する接続ボルト2a及びナット2bのみを取り外す。
【0036】
次いで、図5に示されるように、接続ボルト2a及びナット2bを取り外した貫通孔1b,1b’(図1参照)に、第1補強具11の基部12の貫通孔12aに挿通させた締結ボルト31の雄ネジ部31aを挿通させる。続けて、第2補強具21の基部22の貫通孔22aを通じて、第2補強具21を流体管1’側から締結ボルト31の雄ネジ部31aに外嵌する。
【0037】
次いで、ナット32の雌ネジ部32a(図4参照)を締結ボルト31の雄ネジ部31aに螺合させ、締結作業を開始する。締結作業では、締結ボルト31の回り止めをした状態で、例えばトルクレンチ(図示略)等の締結治具を用いて、締め付けトルクが所定の値に到達するまでナット32を回転させ、フランジ1a,1a’を締め付ける。なお、締結作業では、ナット32の回り止めをした状態で、締結ボルト31を回転させてもよい。
【0038】
この間、締結ボルト31やナット32の回転によって補強具11,21が共回りしようとしても、係止片13c,23cまたは係止片14c,24cがフランジ1a,1a’の外周面1c,1c’に当接し、補強具11,21のフランジ1a,1a’に対する補強具11,21の共回りが防止されるため、締結ボルト31及びナット32の締結作業が容易である。なお、フランジ接合装置10を取り外すにあたっては、係止片13c,23cまたは係止片14c,24cがフランジ1a,1a’の外周面1c,1c’に当接するため、取外作業も容易である。
【0039】
なお、係止片13c,23c,14c,24cは、フランジ1a,1a’外周面1c,1c’との接触箇所が弾性力を有するゴム板や樹脂材等の緩衝部材によって構成されていてもよい。このような構成であれば、フランジ1a,1a’に係止片13c,23c,14c,24cが接触しても、フランジ1a,1a’に傷が生じることを防止することができる。
【0040】
締結ボルト31及びナット32の締め付けトルクが所定の値に到達することで、フランジ接合ユニット10Aの締付作業が終了する。これにより、図6にてドット柄で示されるように、第1補強具11の基部12及び第2補強具21の基部22がフランジ1aのフランジ面1dまたはフランジ1a’のフランジ面1d’に圧接される。加えて、第1補強具11の延出部13,14及び第2補強具21の延出部23,24も、フランジ1aのフランジ面1dまたはフランジ1a’のフランジ面1d’に圧接される。
【0041】
すなわち、締結ボルト31及びナット32の締め付けトルクが、補強具11,21の基部12,22、延出部13,14,23,24に分散される。これにより、単に接続ボルト2a及びナット2bで接合した場合と比較して、一つのフランジ接合装置10で、フランジ1a,1a’における周方向の広い領域に、フランジ1a,1a’同士を近接させる方向に押圧力を及ぼすことができるとともに、締め付けトルクがガスケットPの局所に集中して作用しにくくなる。
【0042】
次いで、フランジ接合ユニット10Aとはフランジ1a,1a’における径方向反対側、すなわち図3における12時方向に位置する接続ボルト2a及びナット2bのみを取り外す。そして、フランジ接合ユニット10Aと同様に、フランジ接合ユニット10Cを取り付ける。
【0043】
次いで、残り二組のうち、図3における3時方向に位置する接続ボルト2a及びナット2bのみを取り外し、フランジ接合ユニット10A,10Cと同様に、フランジ接合ユニット10Bを取り付ける。
【0044】
最後に、図3における9時方向に位置する接続ボルト2a及びナット2bのみを取り外し、フランジ接合ユニット10A,10B,10Cと同様に、フランジ接合ユニット10Dを取り付ける。
【0045】
すなわち、先に取り付けたフランジ接合ユニットに対して対角線上に位置する貫通孔1b,1b’に、次のフランジ接合ユニットを取り付けていく。これにより、例えば時計回り順にフランジ接合ユニットを取付ける構成と比較して、一対のフランジ1a,1a’同士の相対的な傾動、締め付けトルクの偏りが生じにくくなることから、略均一に各フランジ接合ユニットの締め付けトルクを所定の値に揃えやすくすることができる。なお、フランジ接合ユニット10A,10Cを取り付けた後、フランジ接合ユニット10Dを先に取り付けてもよい。
【0046】
そして、全てのフランジ接合ユニット10A,10B,10C,10Dを取付けた後、再度トルクレンチにて締め付けトルクを確認する。このとき、フランジ接合ユニット10A~10Dにおいては、上述したように、既設の接続ボルト2a及びナット2bと同様に、締結ボルト31及びナット32による締め付けトルクを所定の値に揃えるだけでよいため、特許文献1のフランジ接合装置のように、新規のボルトナットと補強具を併用し、交互に増し締めを行う構成と比較して、既設のガスケットPに対して押圧による過度な負荷が及ぶことを防止することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施例のフランジ接合装置10は、締結ボルト31及びナット32の締結作用と同時に各延出部13,14がフランジ面1d,1d’に当接し、締結ボルト31及びナット32による締め付けトルクが、締結ボルト31及びナット32の位置からフランジ1a,1a’の周方向に分散されるため、既存のガスケットPに対して押圧による過度な負荷をかけずに、一対のフランジ1a,1a’に広い領域に亘って安定した押圧力を与えることができる。
【0048】
また、延出部13,14は、基部12を境とする対称形状であり、周方向に略均等に延びていることから、例えば延出部13だけを有する構成や、延出部13,14の周方向の長さが異なっている構成と比較して、締結ボルト31及びナット32による締め付けトルクが周方向両側に均等に分散されやすくなるため、締結ボルト31及びナット32で延出部13,14をフランジ1a,1a’に対して押圧させる効率がよい。
【0049】
また、延出部13,14は、リブ13b,14bを有しているため、締結ボルト31及びナット32の締付力を締結ボルト31及びナット32よりも離間した位置に及ぼすことができる。
【0050】
また、補強具11,21は、同一形状であるため、フランジ接合ユニット10Aを取り付けるにあたって、フランジ1a側に補強具21が配置されてもよく、取り付ける向きや対応する部材が限定されないことから、取付作業が容易である。
【0051】
なお、基部12には、締結ボルト31またはナット32の回り止めを成すための回止部材が設けられていてもよい。このような構成であれば、締結ボルト31及びナット32の締結作業を容易に行うことができる。
【0052】
また、既設の接続ボルト2a及びナット2bを取り外すにあたって、必要に応じて接続ボルト2a及びナット2bの近傍にシャコ万力等を取り付け、接続ボルト2a及びナット2bを取り外すことで失われる押圧力を補ってもよい。このようにシャコ万力等を取り付けることを想定して、隣り合うフランジ接続ユニットの間に隙間が形成されるように各延出部の長さが調整されていてもよく、または補強具11,21にはシャコ万力等との干渉を避けるための切欠部が形成されていてもよい。
【実施例0053】
次に、実施例2に係るフランジ接合装置につき、図7図9を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0054】
図7図9に示されるように、フランジ接合装置110は、フランジ接合ユニット110A~110Dによって構成されている。これらのフランジ接合ユニット110A~110Dは、共に同一構成である。
【0055】
取り付け前の第1補強具111の延出部113,114は、周方向の端部側がフランジ1aに近接するように湾曲している板バネ状に弾性を有して形成されている。なお、図7では、延出部113,114の形状を明確にするべく、係止片13c,14c,23c,24cを二点鎖線で図示している。
【0056】
また、図8(a)に示されるように、基部112は、延出部113,114における基部112との接続部分よりも、フランジ面1d側に突出しているとともに、延出部113,114における周方向端よりもフランジ面1dから離間している。
【0057】
第2補強具121は、第1補強具111とフランジ1a,1a’の軸方向に対称形状であり、フランジ面1d側に突出している基部122、板バネ状の延出部123,124を有している。
【0058】
これにより、フランジ接合ユニット110Aを取り付けるにあたって、締結ボルト31及びナット32の締結作業を開始することで、先に第1補強具111の延出部113,114及び第2補強具121の延出部123,124それぞれの対向面113a,114a,123a,124aの周方向端が、対応するフランジ1aまたはフランジ1a’に当接する。
【0059】
図8(b)に示されるように、締結作業を続けることで、補強具111,121それぞれの基部112,122同士が近接するように、各延出部113,114,123,124が弾性変形し、補強具111,121の基部112,122の対向面112b,122bが、対応するフランジ1aのフランジ面1dまたはフランジ1a’のフランジ面1d’に当接する。
【0060】
このような当接により、図9にてドット柄で示されるように、基部112,122、及び延出部113,114,123,124それぞれの周方向端部がフランジ面1d,1d’に圧接される。
【0061】
このとき、締結ボルト31及びナット32の締め付けトルクが基部112,122及び延出部113,114,123,124それぞれの周方向端部にそれぞれ分散される。さらに、延出部113,114,123,124が弾性復帰しようとする復元力がフランジ1a,1a’に対し加わる。これらにより、前記実施例と比較して、各所においてフランジ1a,1a’を押圧する力が高められている。そのため、図9のドット柄は、図6のドット柄よりも高い密度で図示している。
【0062】
また、延出部113,114,123,124は湾曲形状であり、フランジ1a,1a’側に突出する基部112,122を有しているため、平坦形状である前記実施例1と比較して、フランジ面1d,1d’に錆こぶ、塗装の剥がれ等により凹凸が生じていた場合であっても、基部112,122及び延出部113,114,123,124それぞれの周方向端部を集中的に圧接させやすくなっている。すなわち、フランジ面1d,1d’の状態によらず、締結ボルト31及びナット32の締付力を締結ボルト31及びナット32よりも離間した位置に及ぼすことができる。
【0063】
また、延出部113,114,123,124は、リブ113b,114b,123b,124bによって、弾性変形時に生じる復元力が高められている。なお、本実施例における延出部113,114,123,124は、リブ113b,114b,123b,124bを有している構成として説明したが、弾性変形を容易とするべく、リブ113b,114b,123b,124bが形成されていない構成であってもよい。
【実施例0064】
次に、実施例3に係るフランジ接合装置につき、図10図12を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0065】
図10図12に示されるように、フランジ接合装置210は、フランジ接合ユニット210A~210Dによって構成されている。これらのフランジ接合ユニット210A~210Dは、共に同一構成である。
【0066】
取り付け前の第1補強具211の延出部213,214は、実施例2同様に板バネ状に形成されており、その対向面213a,214aそれぞれの周方向端には、フランジ1aに向かって突出する半球状の突起213d,214dが形成されている。
【0067】
また、図11(a)に示されるように、基部212の対向面212bは、対向面213a,214aと同一平面を成して連続している。また、対向面212bには、フランジ1aに向かって突出する突起212cが周方向に4等配されており、各突起212cは、突起213d,214dよりもフランジ面1dから離間している。
【0068】
第2補強具221は、第1補強具211とフランジ1a,1a’の軸方向に対称形状であり、4つの突起222cが形成されている基部222、突起223dまたは突起224dが形成されている板バネ状の延出部223,224を有している。
【0069】
これにより、フランジ接合ユニット210Aを取り付けるにあたって、締結ボルト31及びナット32の締結作業を開始することで、先に補強具211,221の突起213d,214d,223d,224dが、対応するフランジ1aまたはフランジ1a’に当接する。
【0070】
図11(b)に示されるように、締結作業を続けることで、補強具211,221それぞれの基部212,222同士が近接するように、延出部213,214,223,224が弾性変形し、基部212,222の突起212c,222cが、対応するフランジ1aのフランジ面1dまたはフランジ1a’のフランジ面1d’に当接する。
【0071】
このように、図12にてドット柄で示されるように、突起212c,213d,214d,222c,223d,224dがフランジ面1d,1d’に圧接される。
【0072】
このとき、締結ボルト31及びナット32の締め付けトルクが各突起212c,213d,214d,222c,223d,224dにそれぞれ分散される。また、突起212c,213d,214d,222c,223d,224dは、フランジ面1d,1d’に圧接している領域が、前記実施例2よりも狭められている。さらに、延出部213,214,223,224が弾性復帰しようとする復元力が加わる。これらにより、前記実施例2と比較して、各所においてフランジ1a,1a’を押圧する力が高められている。そのため、図12のドット柄は、図6及び図9のドット柄よりも高い密度で図示している。
【0073】
また、延出部213,214,223,224は湾曲形状であり、さらに突起212c,213d,214d,222c,223d,224dを有するため、前記実施例と比較して、フランジ面1d,1d’に錆こぶ、塗装の剥がれ等により凹凸が生じていた場合であっても、基部212,222及び延出部213,214,223,224それぞれの周方向端部を圧接させやすくなっている。すなわち、フランジ面1d,1d’の状態によらず、締結ボルト31及びナット32の締付力を締結ボルト31及びナット32よりも離間した位置に及ぼすことができる。
【0074】
また、突起213dは、延出部213の周方向端かつ幅方向中央、すなわちリブ113bの反対側に形成されていることから、複数の突起が近接している構成と比較して、確実にフランジ面1dに当接させることができる。また、リブ113bによって支持されるため、フランジ面1dに作用する復元力が逃げにくくなっている。これは他の突起214d,223d,224dについても同様である。
【0075】
なお、突起は複数形成されていてもよく、このような構成であれば、いずれかの突起がフランジ面1dに当接するため、より確実に締結ボルト31及びナット32の締め付けトルクを伝達することができる。また、突起の位置は適宜変更されてもよい。
【0076】
また、突起は半球状である構成として説明したが、これに限られず、線接触または面接触可能な形状であってもよく、その形状は適宜変更されてもよい。
【0077】
また、前記実施例1のように、平板状の延出部に各突起が形成されていてもよく、延出部が板バネ状でなくともよい。
【実施例0078】
次に、実施例4に係るフランジ接合装置につき、図13を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0079】
図13に示されるように、フランジ接合装置310は、フランジ接合ユニット310A~310Dによって構成されている。これらのフランジ接合ユニット310A~310Dは、共に同一構成である。
【0080】
第1補強具311における延出部313は、周方向端部における外径側が切欠かれた逆L字状に形成されている。また、第1補強具311における延出部314は、周方向端部における外径側が切欠かれたL字状に形成されている。直接の図示は省略するが、第2補強具は、第1補強具311に対してフランジ1a,1a’の軸方向に対称形状に形成されている。
【0081】
これにより、フランジ接合ユニット310Aの延出部313の周方向端部と、フランジ接合ユニット310Dの延出部314の周方向端部とが、フランジ1a,1a’の径方向に重複する。また、フランジ接合ユニット310Aの延出部314の周方向端部と、フランジ接合ユニット310Bの延出部313の周方向端部とが、フランジ1a,1a’の径方向に重複する。このように、フランジ接合装置310は、フランジ1a,1a’の周方向に亘って締結ボルト31及びナット32の締め付けトルクを付与することができる。
【実施例0082】
次に、実施例5に係るフランジ接合装置につき、図14及び図15を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0083】
図14及び図15に示されるように、フランジ接合装置410は、フランジ接合ユニット410A~410Dによって構成されている。これらのフランジ接合ユニット410A~410Dは、共に同一構成である。
【0084】
第1補強具411は、フランジ1aにおける外径方向に延出する基部412と、延出部13,14と、フランジ1aの外周面1cよりも外径側に配置される連結部415と、を備えている。
【0085】
連結部415は、フランジ1aの外径側に配置される基部412の縁に略直交して延びる一対の連結片416,417で構成されている。
【0086】
連結片416は、側面視において、基部412から流体管1,1’の管軸方向に延びている平板状に形成されている。また、連結片416は、長手方向中央から周方向端に延び、かつ厚み方向に貫通する長孔416aが形成されている。
【0087】
連結片417は、連結片416と同一形状に形成されており、長孔417aが形成されている。これら長孔416a,417aは、固定ボルト41の雄ネジ部41aを挿通可能に位置合わせがなされている。
【0088】
第2補強具421は、フランジ1a’の径方向に沿って延びる基部422と、延出部23,24と、フランジ1a’の外周面1c’よりも外径側に配置される連結部425と、を備えている。
【0089】
基部422は、平面視平板状に形成されている。また、基部422には、フランジ1a,1a’における径方向端部に、厚み方向に貫通する雌ネジ部422aが形成されている。雌ネジ部422aには、締結ボルト31の雄ネジ部31aを螺合可能となっている。すなわち、締結ボルト31及び第2補強具421は、本実施例における締結具である。
【0090】
連結部425は、側面視平板状に形成されている。また、連結部425は、平面視において、基部422の幅方向中央から、フランジ1a’の径方向に沿うように延びている。また、連結部425は、第1補強具411における連結片416,417間に挿通可能に形成されている。さらに、連結部425には、基部422の幅方向に貫通する貫通孔425aが形成されている。
【0091】
フランジ接合ユニット410Aの取り付けについては、まず締結ボルト31の雄ネジ部31aを、第1補強具411の貫通孔412a、フランジ1a,1a’の貫通孔1b,1b’に挿通させ、第2補強具421の雌ネジ部422aに螺入させる。第2補強具421の連結部425は、第1補強具411における連結片416,417に挟まれているため、締結ボルト31の回転により共回りすることが防止されている。これにより、締結ボルト31及び第2補強具421による締結作業が容易である。
【0092】
なお、前記実施例と同様に、締結ボルト31は、その雄ネジ部31aがナット32に螺合されてもよい。このような構成であれば、第2補強具421の基部422には、雌ネジ422aの代わりに貫通孔22aが形成されていることが好ましい。
【0093】
締結ボルト31及び第2補強具421の締結作業を進めることで、第2補強具421は、フランジ1a’に向かって移動し、フランジ面1d’に当接する。
【0094】
その後、固定ボルト41及びナット42を増し締めし、連結片416,417同士を近接させて、第2補強具421の連結部425を挟圧させる。これにより、締結ボルト31及び第2補強具421の締め付けトルクが所定の値に到達した位置で連結部415,425同士が固定されるため、フランジ1a,1a’間の適正な距離が維持される。そのため、既設のガスケットPに対して押圧による過度な負荷が及ぶことを防止することができる。
【0095】
また、ガスケットPの復元力、流体管1,1’内の流体の圧力、地震等の外力が締結ボルト31及び第2補強具421に対してこれらの離間方向に作用しても、締結ボルト31及び第2補強具421の締結によって接合を維持するばかりでなく、これら締結ボルト31及び第2補強具421の適正な締結位置を、第1補強具411及び第2補強具421によって外力に抗して維持するため、単に既設の接続ボルト2a及びナット2bでフランジ1a,1a’を接合した場合と比較して、フランジ1a,1a’の接合はさらに補強されている。
【0096】
また、第2補強具421は、第1補強具411によって回り止めがなされていることから、接続ボルト2a及びナット2bで締結した場合と比較して、締結ボルト31及び第2補強具421は弛みにくくなっている。
【実施例0097】
次に、実施例6に係るフランジ接合装置につき、図16及び図17を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0098】
図16及び図17に示されるように、フランジ接合装置510は、フランジ接合ユニット510A~510Dによって構成されている。これらのフランジ接合ユニット510A~510Dは、共に同一構成である。
【0099】
第1補強具511は、基部512及び連結部515を有する連結部材518と、基部512A及び延出部13,14を有する板状の延出部材519と、から構成されている。また、第2補強具521は、基部522及び連結部525を有する連結部材528と、基部522A及び延出部23,24を有する板状の延出部材529と、から構成されている。
【0100】
フランジ接合ユニット510Aの取り付けについては、第1補強具511における連結部材518の基部512とフランジ1aとの間に延出部材519を配置し、締結ボルト531の雄ネジ部531aを各貫通孔512a,512Aa,1b,1b’に挿通させる。
【0101】
続けて、第2補強具521における延出部材529の貫通孔522Aaを通じて、締結ボルト531の雄ネジ部531aに延出部材529を外嵌させる。そして、雄ネジ部531aを第2補強具521における連結部材528の雌ネジ部522aに螺入させ、締結作業を開始する。
【0102】
その後、締結ボルト531及び第2補強具521における連結部材528の締結により、延出部材519,529がフランジ面1d,1d’に圧接される。このように、第1補強具及び第2補強具は、複数の部材から構成されていてもよい。
【0103】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0104】
例えば、前記実施例では、フランジ接合装置は、既設の接続ボルト及びナットの交換にあたり用いられるとして説明したが、これに限られず、新規の管路構成部材を接続するにあたってフランジ接合装置を用いてもよく、既設の接続ボルト及びナットの交換に用いられることに限定されるものではない。
【0105】
また、フランジ接合装置は、一対のフランジの貫通孔に合わせてフランジ接合ユニットが4等配されている構成として説明したが、これに限られず、一対のフランジの貫通孔に合わせてその数は適宜変更されてもよい。また、等配されていなくともよい。
【0106】
また、前記実施例では、各フランジは円形である構成として説明したが、これに限られず、多角形状であってもよく、円形に限定されるものではない。例えば、多角形状であれば、その外周面に沿って延出部が直線状に延びていてもよく、さらに延出部の途中に外周面に沿って形成された角を有していてもよい。すなわち、フランジの外周面に沿って形成されていればその形状は適宜変更されてもよい。
【0107】
また、前記実施例では、延出部は、基部より周方向両側に延びている構成として説明したが、これに限られず、周方向一方側にのみ延びている構成であってもよい。
【0108】
また、前記実施例では、一つの補強具において、周方向両側に延びる一対の延出部は、一体に形成されている構成として説明したが、これに限られず、周方向一方側に延びる延出部と、周方向他方側に延びる延出部とが別体であってもよい。
【0109】
また、前記実施例では、第1補強具の連結部は、フランジの軸方向に沿って延びている構成として説明したが、これに限られず、第2補強具の連結部がフランジの軸方向に沿って延びていてもよく、第1補強具の連結部及び第2補強具の連結部は、交差可能に傾斜して延びていてもよく、交差可能であればその形状は適宜変更されてもよい。
【0110】
また、前記実施例では、第1補強具及び第2補強具を、固定手段である固定ボルト及びナットによって増し締めする構成として説明したが、これに限られず、固定ボルト及びナットによって手決した後、さらに溶接固定してもよく、溶接だけで固定してもよい。すなわち、固定手段による固定方法は適宜変更されてもよい。
【0111】
また、前記実施例では、第1補強具の連結部により、第2補強具の連結部を挟む構成として説明したが、これに限られず、挟んでいなくてもよい。このような構成であっても、例えば固定ボルト及びナットにより、第1補強具及び第2補強具を相対移動可能に連結することで、第1補強具に対する第2補強具の回り止めを成すことができる。さらに、第1補強具の連結部を弾性変形させる必要がなく、弾性変形しにくい剛体でよいため、構造強度を高めることができる。
【符号の説明】
【0112】
1,1’ 流体管(管路構成部材)
1a,1a’ フランジ
1b,1b’ 貫通孔
1c,1c’ 外周面
1d,1d’ フランジ面
2a 接続ボルト(既設のボルト)
2b ナット(既設のナット)
10 フランジ接合装置
13,23 第1延出部
13b,23b リブ
13c,23c 係止片(回転防止手段)
14,24 第2延出部
14b,24b リブ
14c,24c 係止片(回転防止手段)
31 締結ボルト(締結具)
32 ナット(締結具)
110 フランジ接合装置
113,123 第1延出部
113b,123b リブ
114,124 第2延出部
114b,124b リブ
210 フランジ接合装置
213,223 第1延出部
213d,223d 突起
214,224 第2延出部
214d,224d 突起
310 フランジ接合装置
313 第1延出部
314 第2延出部
410 フランジ接合装置
421 第2補強具(締結具)
510 フランジ接合装置
528 連結部材(締結具)
531 締結ボルト(締結具)
P ガスケット(密封部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17