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特開2023-56374情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056374
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20230412BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B23K26/38 A
G05B19/4093 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165687
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 健児
【テーマコード(参考)】
3C269
4E168
【Fターム(参考)】
3C269AB11
3C269BB08
3C269CC02
3C269EF02
3C269EF59
3C269EF71
3C269QA06
3C269QB02
3C269QC01
3C269QC03
3C269QD02
4E168AD07
4E168CB03
4E168CB15
4E168DA02
4E168FB01
4E168HA05
4E168HA06
(57)【要約】
【課題】レーザ加工機において、ワークからノッチ領域を適切に除去させる加工データを生成する。
【解決手段】情報処理装置20は、板状のワークWからレーザ加工により切り出される製品Pを包含する最小の矩形領域Rを算出する算出部202と、矩形領域Rと、製品Pの外周で表される製品領域PAとの差分を抽出する抽出部203と、差分の少なくとも一部であるノッチ領域Nを細断の対象として決定する決定部204と、製品Pの切り出しに関する情報、及びノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する生成部205と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークからレーザ加工により切り出される製品を包含する最小の矩形領域を算出する算出部と、
前記矩形領域と、前記製品の外周で表される製品領域との差分を抽出する抽出部と、
前記差分の少なくとも一部であるノッチ領域を細断の対象として決定する決定部と、
前記製品の切り出しに関する情報、及び前記ノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成する生成部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
隣接する複数の前記製品が前記ワークから切り出される場合、
前記算出部は、複数の前記製品を包含する最小の矩形領域を算出し、
前記抽出部は、前記矩形領域と、複数の前記製品をまとめて1つとしたときの外周で表される製品領域との差分を抽出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記差分の全てを前記ノッチ領域として決定する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記差分のうち前記ノッチ領域としない除外箇所の指定を受け付けて、前記差分のうち前記除外箇所を除いた部分を前記ノッチ領域として決定する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記ノッチ領域を、前記ワークから落下可能な所定寸法以下に細断させる情報を含む前記加工データを生成する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
板状のワークからレーザ加工により切り出される製品を包含する最小の矩形領域を算出することと、
前記矩形領域と、前記製品の外周で表される製品領域との差分を抽出することと、
前記差分の少なくとも一部であるノッチ領域を細断の対象として決定することと、
前記製品の切り出しに関する情報、及び前記ノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を含む情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
板状のワークからレーザ加工により切り出される製品を包含する最小の矩形領域を算出することと、
前記矩形領域と、前記製品の外周で表される製品領域との差分を抽出することと、
前記差分の少なくとも一部であるノッチ領域を細断の対象として決定することと、
前記製品の切り出しに関する情報、及び前記ノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
板状のワークに対して切断加工を行うレーザ加工機が知られている。レーザ加工機は、加工順序等を含む加工データをもとに、ワークに対してレーザ光を照射しつつ、レーザヘッドをワークに対して相対的に移動させることにより、ワークの切断加工を行う。加工データは、CAD等の設計装置によって生成された設計データをもとに、CAM等の情報処理装置によって生成される。レーザ加工機によりワークから製品を切り出した後、製品以外の部分であるスケルトンが製品から分離される。ワークから切り出す製品の形状によっては、製品の切り欠き形状に応じたノッチ領域がスケルトンに形成される場合がある。特許文献1では、ノッチ領域に対応する工具を割り付けてこのノッチ領域を工具で打ち抜く技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2636666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ加工機による加工後において、製品からスケルトンを分離する場合、ノッチ領域が垂れることにより、スケルトンを製品から適切に分離できない場合がある。このような場合、スケルトン分離後に製品の位置が変わる可能性があり、その後の製品ピックアップに支障が生じてしまう。また、特許文献1のように、加工後にノッチ領域を工具で打ち抜くには、加工後のワークをレーザ加工機からパンチ機械に搬送する必要があり面倒な作業が必要となる。従って、レーザ加工機においては、ワークから製品の切り出しに加えて、ノッチ領域を除去することが望まれている。
【0005】
本発明は、レーザ加工機において、ワークからノッチ領域を適切に除去させる加工データを生成することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る情報処理装置は、板状のワークからレーザ加工により切り出される製品を包含する最小の矩形領域を算出する算出部と、矩形領域と、製品の外周で表される製品領域との差分を抽出する抽出部と、差分の少なくとも一部であるノッチ領域を細断の対象として決定する決定部と、製品の切り出しに関する情報、及びノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成する生成部と、を備える。
【0007】
本発明の態様に係る情報処理方法は、板状のワークからレーザ加工により切り出される製品を包含する最小の矩形領域を算出することと、矩形領域と、製品の外周で表される製品領域との差分を抽出することと、差分の少なくとも一部であるノッチ領域を細断の対象として決定することと、製品の切り出しに関する情報、及びノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を含む。
【0008】
本発明の態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、板状のワークからレーザ加工により切り出される製品を包含する最小の矩形領域を算出することと、矩形領域と、製品の外周で表される製品領域との差分を抽出することと、差分の少なくとも一部であるノッチ領域を細断の対象として決定することと、製品の切り出しに関する情報、及びノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記態様の情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムによれば、矩形領域と製品領域との差分の少なくとも一部をノッチ領域とするので、ノッチ領域を容易に決定することができ、ノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを簡易に生成することができる。また、この加工データが供給されたレーザ加工機においては、加工後、製品からスケルトンを分離する際に垂れる可能性があるノッチ領域が除去されているので、製品からスケルトンを適切に分離することができる。
【0010】
また、上記態様の情報処理装置において、隣接する複数の製品がワークから切り出される場合、算出部は、複数の製品を包含する最小の矩形領域を算出し、抽出部は、矩形領域と、複数の製品をまとめて1つとしたときの外周で表される製品領域との差分を抽出してもよい。この態様によれば、ワークから複数の製品を切り出す場合であってもノッチ領域を決定できる。また、上記態様の情報処理装置において、決定部は、差分の全てをノッチ領域として決定してもよい。この態様によれば、矩形領域と製品領域との差分の全てをノッチ領域として決定するので、ノッチ領域を簡単に決定できる。
【0011】
また、上記態様の情報処理装置において、決定部は、差分のうちノッチ領域としない除外箇所の指定を受け付けて、差分のうち除外箇所を除いた部分をノッチ領域として決定してもよい。この態様によれば、矩形領域と製品領域との差分の全てをノッチ領域として細断するよりも、レーザ加工機による加工処理時間を短縮できる。また、上記態様の情報処理装置において、生成部は、ノッチ領域を、ワークから落下可能な所定寸法以下に細断させる情報を含む前記加工データを生成してもよい。この態様によれば、ノッチ領域を細断して生じたスラグを確実にワークから除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る情報処理装置を含むレーザ加工システムの一例を示す図である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】レーザ加工機の一例を示す図である。
図4】ワークに対する製品の配置の一例を示す図である。
図5】ワークにおいて製品の内側に存在する細断の対象となる領域を示す図である。
図6】矩形領域を算出した一例を示す図である。
図7】矩形領域と製品領域との差分の一例を示す図である。
図8】レーザ加工機による細断の対象とする一例を示す図である。
図9】ノッチ領域の他の例を示す図である。
図10】製品領域と矩形領域との差分のうち除外箇所の一例を示す図である。
図11】実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
図12】情報処理方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、以下で説明する形態に限定されない。また、図面では、実施形態を説明するために、一部分を拡大、縮小、又は強調して記載する等、縮尺を適宜変更して表現されており、実際の部材、製品とは寸法、大きさが異なる場合がある。図3においては、XYZ直交座標系を用いて図中の方向を説明する。XYZ直交座標系において、鉛直方向をZ方向とし、水平方向の一方向をX方向とし、水平方向の他の方向をY方向とする。また、各方向においては、矢印の指す向きを+方向と称し、矢印の指す向きとは反対の方向を-方向と称する。
【0014】
図1は、実施形態に係る情報処理装置を含むレーザ加工システムの一例を示す図である。図1に示すように、レーザ加工システム1は、設計装置10と、情報処理装置20と、レーザ加工機30とを有する。設計装置10は、板状のワークWから切り出す製品Pの形状に関する情報(形状情報)を生成する。設計装置10は、例えば、三次元のCAD(Computer Aided Design)が実装されたコンピュータシステムである。設計装置10は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、及びDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のワーキングメモリが設けられる本体部を備える。
【0015】
設計装置10の本体部には、HDD(Hard Disk Drive)等の大容量記憶デバイス、液晶ディスプレイ等の表示デバイス、マウス、キーボード等の入力デバイスが接続される。CAD等で用いられる設計プログラムは、例えば、大容量記憶デバイスに記憶されており、本体部は、設計プログラムを大容量記憶デバイスから読み出して、各種処理を実行する。設計プログラムは、市場に流通している汎用品でもよいし、レーザ加工システム1の専用品でもよい。設計装置10は、レーザ加工システム1によって製造される製品を、三次元形状から平面的に展開した二次元情報に相当するXML(Extensible Markup Language)で表された設計データを外部へ出力可能である。
【0016】
情報処理装置20は、設計データ取得部201と、算出部202と、抽出部203と、決定部204と、生成部205と、出力部206と、記憶部207と、入力部208とを有する。情報処理装置20は、例えばCAM(Computer Aided Manufacturing)であり、設計装置10で生成された設計データ(形状データ)をもとに、レーザ加工機30に供給するための加工データを生成する。なお、設計装置10と情報処理装置20とは、一体のCAD/CAMとして構成されてもよい。
【0017】
設計データ取得部201は、設計装置10によって出力された設計データを取得し、情報処理装置20に入力する。算出部202は、情報処理装置20で入力された設計データをもとに、板状のワークWにおける製品P(図4参照)の位置情報から、製品Pを包含する最小の矩形領域R(図6参照)を算出する。抽出部203は、矩形領域Rと製品Pの外周(最外輪郭)で表される製品領域PAとの差分を抽出する。決定部204は、抽出された差分の少なくとも一部であるノッチ領域N(図7参照)を細断の対象として決定する。生成部205は、製品Pの切り出しに関する情報、及び決定部204により決定されたノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する。
【0018】
出力部206は、生成部205で生成された加工データを外部(例、レーザ加工機30)に出力する。記憶部207は、設計データ取得部201で取得した設計データや、生成部205によって生成された加工データ、各部の処理に要する各種データ等を記憶(一時記憶)する。入力部208は、オペレータ等による各種指令を受け付ける。なお、これら設計データ取得部201、算出部202、抽出部203、決定部204、生成部205、出力部206、記憶部207、及び入力部208による処理の詳細については後述する。
【0019】
図2は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置20は、例えば、汎用のコンピュータと同様のハードウェア構成により実現される。情報処理装置20は、所定の情報処理プログラムを実行することにより、設計データをもとに、製品Pの切り出しに関する情報、及び決定部204により決定されたノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する。
【0020】
情報処理装置20のハードウェア構成としては、CPU21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM23と、入力装置24と、出力装置25と、通信装置26と、記憶装置27とを有する。上記各部は、データバス28により接続される。CPU21は、各種処理を実行するプロセッサであり、記憶装置27等に記憶された情報処理プログラムをRAM23に展開して実行し、各部を制御してデータの入出力、加工を行う。CPU21は、1つ又は複数のプロセッサにより構成される。ROM22は、起動用プログラムを記憶装置27からRAM23に読み出すスタートプログラムを記憶する。RAM23は、CPU21の作業領域として各種データを記憶する。
【0021】
入力装置24は、例えば、マウスやキーボード等の入力デバイスであり、操作入力された情報を信号として受け付けてCPU21に出力する。出力装置25は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、CPU21からの信号に基づいて各種情報を表示出力する。通信装置26は、ネットワークを介して外部の装置と情報を送受信する。記憶装置27は、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等である。記憶装置27は、情報処理装置20で実行される情報処理プログラム、及びオペレーティングシステムを記憶する。
【0022】
情報処理装置20で実行される情報処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供される。また、情報処理装置20で実行される情報処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供する構成としてもよい。また、情報処理装置20で実行される情報処理プログラムを、ネットワーク経由で提供又は配布する構成としてもよい。また、情報処理装置20で実行される情報処理プログラムを、ROM22等に予め組み込んで提供する構成としてもよい。
【0023】
情報処理プログラムは、少なくとも、算出部202として機能する算出モジュールと、抽出部203として機能する抽出モジュールと、決定部204として機能する決定モジュールと、生成部205として機能する生成モジュールとを含む。情報処理装置20は、プロセッサとしてのCPU21が記憶装置27等から情報処理プログラムを読み出して実行することにより、各モジュールがRAM23上にロードされ、CPU21が、算出部202、抽出部203、決定部204、及び生成部205として機能する。なお、各機能は、一部又は全てがプロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
【0024】
図3は、レーザ加工機30の一例を示す図である。レーザ加工機30は、レーザ光Lを照射して、加工対象である板状のワークWから製品Pを切り出し可能である。図3に示すように、レーザ加工機30は、レーザヘッド40と、加工パレット50と、ヘッド駆動部60と、制御装置70とを備える。レーザヘッド40は、ヘッド本体41と、ノズル42とを有し、ヘッド駆動部60によりX方向、Y方向、及びZ方向に移動可能である。レーザヘッド40は、ヘッド本体41と、ノズル42とを有し、制御装置70の制御により、ワークWに対してノズル42から加工用のレーザ光Lを照射しつつ、レーザ光L(ヘッド本体41)を製品Pの切断線に沿って移動させることによりワークWから製品Pを切り出す。レーザ光Lとしては、例えば赤外レーザ光などが用いられる。また、ノズル42は、不図示のアシストガス供給部に接続され、レーザ光Lを照射する領域に向けて、アシストガス供給部からのアシストガスをワークWに供給する。
【0025】
ヘッド本体41は、ヘッド駆動部60により、X方向、Y方向、及びZ方向にワークWに対して相対的に移動する。なお、ワークWの切断加工においては、ヘッド本体41の移動に代えて、ワークWを移動させてもよい。ヘッド駆動部60は、制御装置70の制御により、ヘッド本体41をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させることが可能な任意の構成が適用される。
【0026】
加工パレット50は、ワークWを載置してワークWをレーザ加工機30内の加工領域に配置する。加工パレット50は、例えば、不図示の駆動装置により、ワークWを載置した状態でX方向等に移動可能であってもよい。加工パレット50は、枠部51と支持プレート52とを有する。支持プレート52は、枠部51の内側空間においてY方向に延び、かつX方向に複数並んだ状態で設けられ、ワークWの下面を支持する。各支持プレート52は、鋸歯状に形成された複数の上端部52aを有しており、上端部52aにワークWが載置される。上端部52aが鋸歯状に形成されているため、上端部52aとワークWとの間の接触面積は小さくなる。なお、支持プレート52は、鋸歯状とすることに限定されず、例えば、剣山状、波形状、ピン状であってもよい。なお、加工パレット50を用いるか否かは任意である。例えば、加工パレット50に代えて、レーザ加工機30の加工領域に剣山状等のワーク載置部が設けられてもよい。
【0027】
制御装置70は、レーザ加工機30を統括制御し、レーザヘッド40、ヘッド駆動部60等の動作を制御する。制御装置70は、情報処理装置20から加工データを取得し、この加工データに基づいてレーザヘッド40、ヘッド駆動部60の動作を制御することにより、ワークW上の所定経路に沿ってレーザ光Lを照射させつつレーザヘッド40を移動させる。
【0028】
図4は、ワークWに対する製品Pの配置の一例を示す図である。図4に示すように、板状のワークWは、1つ以上の製品P(図4に示す例では6つ)が配置されている。設計データ取得部201は、板状のワークWにおける製品Pそれぞれの形状情報、位置情報等を含む設計データを、設計装置10から取得する。情報処理装置20では、設計データからレーザ加工機30に供給する加工データを生成する。また、レーザ加工機30では、情報処理装置20から供給された加工データに基づいて、製品Pのそれぞれの外周に沿って切断加工が施される。なお、ワークWにおいて製品Pの外側部分はスケルトンSkであり、例えば、レーザ加工後、製品Pを搬送する際(製品Pを仕分けする際)に、製品PからスケルトンSkが分離される。
【0029】
図5は、ワークWにおいて製品Pの内側に存在する細断の対象となる領域を示す図である。図5では、細断の対象の領域を網掛けで示している。図5に示すように、ワークWには、製品P内又は製品P同士の間に、レーザ加工によって切り離される領域が存在する。この切り離された部分はスラグとなってワークWから落下するが、スラグの大きさによっては加工パレット50の支持プレート52(図3参照)の間を落下できず、ワークWにそのまま残ってしまう場合がある。このような場合、大きいスラグとなる領域Haは、細断(例、スラグカット)の対象となる。例えば、情報処理装置20は、設計装置10から取得した設計データをもとに、板状のワークWにおける製品Pの内側に存在する領域のうち、所定寸法より大きな領域Haを細断の対象とする。所定寸法は、加工パレット50の支持プレート52の間を落下可能な寸法に設定される。
【0030】
また、情報処理装置20は、ワークWにおける製品Pの内側に存在する領域のうち、所定寸法より小さい領域Hbについては細断の対象とはしない。レーザ加工機30において、ワークWは支持プレート52に載置された状態で切断加工され、その際、領域Haについては、スラグとなって支持プレート52間の隙間を介して落下させることで、ワークWから除去される。なお、情報処理装置20は、領域Hbを含めて細断の対象とする加工データを生成してもよい。
【0031】
図6は、矩形領域Rを算出した一例を示す図である。図6に示すように、情報処理装置20の算出部202は、設計データ取得部201によって取得されたワークWにおける製品Pそれぞれの形状情報、位置情報等を含む設計データをもとに、複数の製品Pの外周(最外輪郭)から製品領域PAを求める。なお、ワークWのうち、製品領域PAの外側はスケルトンSkとなる。続いて、算出部202は、この製品領域PAに外接する矩形領域Rを算出する。すなわち、算出部202は、製品領域PAを含んで最小となる矩形領域Rを算出する。矩形領域Rは、例えば、ワークWの四辺とそれぞれ平行な矩形状として算出される。算出部202が算出した製品領域PA、矩形領域Rに関する情報は、記憶部207に記憶されてもよい。
【0032】
図7は、矩形領域Rと製品領域PAとの差分の一例を示す図である。情報処理装置20の抽出部203は、算出部202によって算出された矩形領域Rと製品領域PAとの差分を抽出する。図7では、矩形領域Rと製品領域PAとの差分を網掛けで示している。続いて、情報処理装置20の決定部204は、抽出部203によって抽出された差分の全部又は一部をノッチ領域Nとして、レーザ加工機30による細断の対象とすることを決定する。抽出部203が抽出した差分に関する情報は、記憶部207に記憶されてもよい。
【0033】
本実施形態では、決定部204は、矩形領域Rと製品領域PAとの差分の全てをノッチ領域Nとして決定しているが、この形態に限定されない。例えば、決定部204は、製品PからスケルトンSkを分離した際に垂れる可能性が少ない部分についてはノッチ領域Nとして決定しなくてもよい。決定部204は、例えば、スケルトンSkの内側から延びる長さとその幅とからノッチ領域Nと決定しない部分を判断してもよい。決定部204が決定したノッチ領域Nに関する情報は、記憶部207に記憶されてもよい。
【0034】
図8は、レーザ加工機30による細断の対象とする一例を示す図である。図8では、細断の対象とする部分を網掛けで表している。図8に示すように、情報処理装置20の生成部205は、決定部204によって決定されたノッチ領域Nの細断に関する情報のほか、複数の製品Pの内側における領域Haの細断に関する情報を含めた加工データを生成する。なお、生成部205が生成する加工データには、複数の製品Pの切り出しに関する情報を含んでいる。また、加工データには、例えば、レーザヘッド40(レーザ光L)の移動経路に関する座標情報、レーザ光Lの出力、ワークWとレーザヘッドとの相対速度、ワークWの厚さや材質等の加工条件等に関する情報も含んでいる。さらに、加工データには、ノッチ領域N及び領域Haにおける細断の順序に関する情報を含んでいる。生成部205が生成した加工データは、記憶部207に記憶されてもよい。
【0035】
続いて、情報処理装置20の出力部206は、生成部205で生成された加工データをレーザ加工機30に出力する。レーザ加工機30は、出力部206から出力された加工データに従って、ワークWに対する切断加工を行う。レーザ加工機30は、レーザ光Lによる製品Pの切り出し後、製品Pの切り出し途中、又は製品Pの切り出し前に、レーザ光Lによるノッチ領域N及び領域Haの細断を行う。また、ノッチ領域N及び領域Haの細断に際して、レーザ加工機30は、所定寸法以下となるような細断を行う。所定寸法は、細断された各片が、支持プレート52間の隙間を介して落下することが可能な寸法に設定されている。
【0036】
図9は、ノッチ領域Nの他の例を示す図である。上記した説明では、矩形領域Rと製品領域PAとの差分をノッチ領域Nとして決定しているが、この形態に限定されない。図9に示すように、ノッチ領域Nは、矩形領域Rを超える範囲、すなわちスケルトンSkの領域にはみ出す形態で形成されてもよい。情報処理装置20の決定部204は、抽出部203によって抽出された矩形領域Rと製品領域PAとの差分に対して、矩形領域Rからはみ出る方向に所定値だけ大きくしてノッチ領域Nとしてもよい。
【0037】
すなわち、情報処理装置20は、矩形領域Rの外周よりも外側の領域までをノッチ領域Nとして細断の対象としてもよい。この形態により、例えば、製品領域PAと矩形領域Rとの間隔が狭い場合に、細断する領域を少し広げることで、細断をスムーズに実行させることができる。なお、複数のノッチ領域Nのうち、どのノッチ領域Nを矩形領域Rの外側まで広げるかは、例えば、オペレータが入力部208(図2に示す入力装置24)によりノッチ領域Nを指定することで選択されてもよいし、製品領域PAと矩形領域Rとの間隔が予め定めた値より小さい場合は決定部204の判断により自動的に選択されてもよい。また、ノッチ領域Nにおいて、矩形領域Rからはみ出す値ある所定値は、予め定めた値であってもよいし、オペレータが入力部208により適宜指定してもよい。
【0038】
図10は、製品領域PAと矩形領域Rとの差分のうち除外箇所Exの一例を示す図である。上記した説明では、矩形領域Rと製品領域PAとの差分の全てをノッチ領域Nとして決定しているが、この形態に限定されない。図10に示すように、製品領域PAと矩形領域Rとの差分のうち除外箇所Exを指定することにより、この除外箇所Exをノッチ領域Nから除外してもよい。図10に示す除外箇所Exのように、製品PからスケルトンSkを分離する際に垂れる可能性が少ない部分、すなわちスケルトンSkを持ち上げた際に製品Pを引っ掛ける可能性が少ない部分は、ノッチ領域Nとせずにそのまま放置してもスケルトンSkの分離に際して支障がない。
【0039】
このように、矩形領域Rと製品領域PAとの差分の一部を除外箇所Exとしてノッチ領域Nから除外することにより、生成部205が生成する加工データにおいて細断に関する情報が減少し、加工データ生成の高速化、又は生成部205の処理負担を軽減できる。また、レーザ加工機30によって細断する箇所が少なくなるので、ワークWの加工効率を向上させることができる。除外箇所Exの指定は、例えば、オペレータが入力部208(図2に示す入力装置24)により除外箇所Exを指定してもよい。この場合、出力装置25(図2参照、例えばディスプレイ装置)は、例えば図7に示すような矩形領域Rと製品領域PAとの差分に関する画像を表示し、オペレータがその画像を見て除外箇所Exを選択することで除外箇所Exの指定を行ってもよい。
【0040】
決定部204は、矩形領域Rと製品領域PAとの差分のうち、ノッチ領域Nとしない除外箇所Exの指定を受け付けて、除外箇所Exを除いたノッチ領域Nを細断の対象として決定する。生成部205は、除外箇所Exを除いたノッチ領域Nの細断に関する情報を含めた加工データを生成する。レーザ加工機30は、この加工データに従い、除外箇所Exについては細断を行わず、決定部204により決定されたノッチ領域Nに対して細断を行う。なお、除外箇所Exの指定は、オペレータが行うことに限定されない。例えば、矩形領域Rと製品領域PAとの差分に関する情報から決定部204が判断してもよい。この場合、決定部204は、例えば、矩形領域Rと製品領域PAとの間隔が予め定めた値より小さい場合は、この部分を除外箇所Exと自動的に選択する形態であってもよい。
【0041】
また、決定部204は、除外箇所Exの指定を受け付けることに代えて、矩形領域Rと製品領域PAとの差分のうち、ノッチ領域Nとする箇所の選択を受け付けてもよい。この場合、例えば、オペレータが出力装置25による矩形領域Rと製品領域PAとの差分に関する画像を見て、ノッチ領域Nとする箇所を選択してもよい。決定部204は、ノッチ領域Nとして選択されなかった箇所について、除外箇所Exの指定があったと受け付ける形態であってもよい。
【0042】
図11は、実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、先ず、算出部202は、製品Pを包含する最小の矩形領域Rを算出する(ステップS101)。このステップS101に先立って、設計データ取得部201によりワークWから切り出す製品Pに関する設計データを取得しており、算出部202は、設計データ取得部201が取得した設計データをもとに、複数の製品Pの外周(最外輪郭)である製品領域PAを求め、製品領域PAに外接する矩形領域Rを算出する。
【0043】
続いて、抽出部203は、矩形領域Rと製品領域PAとの差分を抽出する(ステップS102)。ステップS102において、抽出部203は、算出部202によって算出された矩形領域Rと、製品領域PAとに基づいて、両者の差分を抽出する。抽出部203が抽出した差分は、出力装置25(図2参照、例えばディスプレイ装置)に表示させてもよい。続いて、決定部204は、差分の一部又は全部であるノッチ領域Nを細断の対象として決定する(ステップS103)。ステップS103において、決定部204は、抽出部203によって抽出された差分の一部又は全部をノッチ領域Nとして、レーザ加工機30による細断の対象とすることを決定する。
【0044】
続いて、生成部205は、製品Pの切り出しに関する情報、及びノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する(ステップS104)。ステップS104において、生成部205は、設計データ取得部201が取得した製品Pに関する設計データに基づいて製品Pの切り出しに関する情報を含む加工データを生成し、この加工データに、決定部204が決定したノッチ領域Nの細断に関する情報を含める。また、生成部205は、上記した領域Ha(図8参照)の細断に関する情報を加工データに含めてもよい。このステップS104が完了することにより、一連の処理が終了する。
【0045】
生成部205により生成された加工データは、レーザ加工機30に供給され、レーザ加工機30は、この加工データに従ってワークWの切断加工を実行する。レーザ加工機30により切断加工されたワークWは、例えば図8に示すワークWの例によれば、複数の製品Pが切り出され、かつ細断された領域Ha及びノッチ領域Nが除去され、さらに領域Hbが除去された状態で、加工パレット50(図3参照)に載置されてレーザ加工機30から搬出される。
【0046】
図12は、情報処理方法の他の例を示すフローチャートである。なお、図12に示すフローチャートは、図11に示すフローチャートのステップS103における処理の詳細に相当し、ステップS102の後であってステップS104の前に実行される。図12に示すように、決定部204は、矩形領域Rと製品領域PAとの差分中に除外箇所Exの指定があるかを判断する(ステップS201)。ステップS201において、決定部204は、例えば、オペレータが入力装置24から除外箇所Exを指定した場合、この除外箇所Exの指定を受け付けて、除外箇所Exの指定ありと判断する。
【0047】
決定部204は、除外箇所Exの指定があると判断した場合(ステップS201:YES)、抽出された差分のうち、除外箇所Exを除いてノッチ領域Nを細断の対象として決定する(ステップS202)。ステップS202において、決定部204は、抽出部203によって抽出された差分のうち、除外箇所Exを除いた部分をノッチ領域Nとして決定し、レーザ加工機30による細断の対象とする。一方、決定部204は、除外箇所Exの指定がないと判断した場合(ステップS201:NO)、抽出された差分であるノッチ領域Nを細断の対象として決定する(ステップS203)。ステップS203において、決定部204は、除外箇所Exの指定を受け付けていない場合、抽出部203によって抽出された差分の一部又は全部であるノッチ領域Nを細断の対象とする。なお、ステップS203は、上記したステップS103と同様である。
【0048】
ステップS203の後、図11に示すフローチャートのステップS104により、生成部205は、製品Pの切り出しに関する情報、及びノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する。このように、矩形領域Rと製品領域PAとの差分において除外箇所Exを指定することにより、ノッチ領域Nが少なくなり、生成部205が生成する加工データにおいて細断に関する情報が減少するので、加工データの生成を高速化でき、又は生成部205の処理負担を軽減できる。
【0049】
上記したように、実施形態に係る情報処理装置20、情報処理方法によれば、ワークWにおける複数の製品Pを包含する最小の矩形領域Rと、複数の製品Pの外周(最外輪郭)で表される製品領域PAとの差分であるノッチ領域Nを細断の対象として決定するので、ノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを容易に生成することができる。この加工データが供給されたレーザ加工機30では、ワークWに対する製品Pの切り出しとともに、ノッチ領域Nの細断を行うので、レーザ加工機30からワークWが搬出された後、製品PからスケルトンSkを分離する際に製品Pを引っ掛けることを回避できる。
【0050】
上記の実施形態において、情報処理装置20は、例えばコンピュータシステムを含む。情報処理装置20は、記憶部207等に記憶されている情報処理プログラムを読み出し、この情報処理プログラムに従って各種の処理を実行する。この情報処理プログラムは、例えば、コンピュータに、 板状のワークWからレーザ加工により切り出される製品Pを包含する最小の矩形領域Rを算出することと、矩形領域Rと、製品Pの外周で表される製品領域PAとの差分を抽出することと、差分の少なくとも一部であるノッチ領域Nを細断の対象として決定することと、製品Pの切り出しに関する情報、及びノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を実行させる。この情報処理プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
【0051】
また、情報処理装置20は、レーザ加工機30の一部として構成されてもよい。この場合、情報処理装置20における各部の機能は、レーザ加工機30の制御装置70(図3参照)の一部として設けられてもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるものでない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「先ず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0053】
1・・・レーザ加工システム
10・・・設計装置
20・・・情報処理装置
30・・・レーザ加工機
201・・・設計データ取得部
202・・・算出部
203・・・抽出部
204・・・決定部
205・・・生成部
206・・・出力部
207・・・記憶部
208・・・入力部
Ha、Hb・・・領域
N・・・ノッチ領域
P・・・製品
PA・・・製品領域
R・・・矩形領域
Sk・・・スケルトン
W・・・ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12