(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056375
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20230412BHJP
G05B 19/4093 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B23K26/38 A
G05B19/4093 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165688
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 健児
【テーマコード(参考)】
3C269
4E168
【Fターム(参考)】
3C269AB11
3C269BB08
3C269CC02
3C269EF02
3C269EF59
3C269EF71
3C269QA06
3C269QB02
3C269QC01
3C269QC03
3C269QD02
4E168AD07
4E168CB03
4E168CB15
4E168DA02
4E168FB01
4E168HA05
4E168HA06
(57)【要約】
【課題】製品からスケルトンを分離する際に垂れる可能性があるノッチ領域をワークから適切に除去させる加工データを生成する。
【解決手段】ワークWから切り出される製品Pの位置情報から、製品Pを包含する最小の矩形を示す第1矩形領域R1を算出する第1算出部202と、第1矩形領域R1と製品領域PAとの差分をノッチ領域Nとして抽出する抽出部203と、ワークWの一辺に平行な第1方向D1と、第1方向に直交する第2方向D2とに辺を有し、かつ製品Pを包含する最小の矩形を示す第2矩形領域R2を算出する第2算出部204と、第2矩形領域R2の各辺から、第1方向及び第2方向におけるノッチ領域Nまでの距離に応じて、細断の対象とするノッチ領域Nを選定する選定部205と、製品Pの切り出しに関する情報、及びノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する生成部206と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークからレーザ加工により切り出される製品の位置情報から、前記製品を包含する最小の矩形を示す第1矩形領域を算出する第1算出部と、
前記第1矩形領域と前記製品の外周で表される製品領域との差分をノッチ領域として抽出する抽出部と、
前記ワークの一辺に平行な第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とに辺を有し、かつ前記製品を包含する最小の矩形を示す第2矩形領域を算出する第2算出部と、
前記第2矩形領域の各辺から、前記第1方向及び前記第2方向における前記ノッチ領域までの距離に応じて、細断の対象とする前記ノッチ領域を選定する選定部と、
前記製品の切り出しに関する情報、及び前記ノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成する生成部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記選定部は、前記第2矩形領域の各辺から前記ノッチ領域までのそれぞれの距離のうち、短い距離に応じて、予め設定された閾値以上の距離を有する前記ノッチ領域を選定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記閾値の入力を受け付ける受付部を備え、
前記選定部は、受け付けられた前記閾値を用いて前記ノッチ領域を選定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2算出部は、前記ワークから切り出される複数の前記製品を包含する前記第2矩形領域を算出する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
板状のワークからレーザ加工により切り出される製品の位置情報から、前記製品を包含する最小の矩形を示す第1矩形領域を算出することと、
前記第1矩形領域と前記製品の外周で表される製品領域との差分をノッチ領域として抽出することと、
前記ワークの一辺に平行な第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とに辺を有し、かつ前記製品を包含する最小の矩形を示す第2矩形領域を算出することと、
前記第2矩形領域の各辺から、前記第1方向及び前記第2方向における前記ノッチ領域までの距離に応じて、細断の対象とする前記ノッチ領域を選定することと、
前記製品の切り出しに関する情報、及び前記ノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を含む情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
板状のワークからレーザ加工により切り出される製品の位置情報から、前記製品を包含する最小の矩形を示す第1矩形領域を算出することと、
前記第1矩形領域と前記製品の外周で表される製品領域との差分をノッチ領域として抽出することと、
前記ワークの一辺に平行な第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とに辺を有し、かつ前記製品を包含する最小の矩形を示す第2矩形領域を算出することと、
前記第2矩形領域の各辺から、前記第1方向及び前記第2方向における前記ノッチ領域までの距離に応じて、細断の対象とする前記ノッチ領域を選定することと、
前記製品の切り出しに関する情報、及び前記ノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
板状のワークに対して切断加工を行うレーザ加工機が知られている。レーザ加工機は、加工順序等を含む加工データをもとに、ワークに対してレーザ光を照射しつつ、レーザヘッドをワークに対して相対的に移動させることにより、ワークの切断加工を行う。加工データは、CAD等の設計装置によって生成された設計データをもとに、CAM等の情報処理装置によって生成される。レーザ加工機によりワークから製品を切り出した後、製品以外の部分であるスケルトンが製品から分離される。ワークから切り出す製品の形状によっては、製品の切り欠き形状に応じたノッチ領域がスケルトンに形成される場合がある。特許文献1では、ノッチ領域に対応する工具を割り付けてこのノッチ領域を工具で打ち抜く技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ加工機による加工後において、製品からスケルトンを分離する場合、ノッチ領域が垂れることにより、スケルトンを製品から適切に分離できない場合がある。このような場合、スケルトン分離後に製品の位置が変わる可能性があり、その後の製品ピックアップに支障が生じてしまう。また、特許文献1のように、加工後にノッチ領域を工具で打ち抜くには、加工後のワークをレーザ加工機からパンチ機械に搬送する必要があり面倒な作業が必要となる。従って、レーザ加工機においては、ワークから製品の切り出しに加えて、ノッチ領域を除去することが望まれている。
【0005】
本発明は、製品からスケルトンを分離する際に垂れる可能性があるノッチ領域をワークから適切に除去させる加工データを生成することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る情報処理装置は、板状のワークからレーザ加工により切り出される製品の位置情報から、製品を包含する最小の矩形を示す第1矩形領域を算出する第1算出部と、第1矩形領域と製品の外周で表される製品領域との差分をノッチ領域として抽出する抽出部と、ワークの一辺に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とに辺を有し、かつ製品を包含する最小の矩形を示す第2矩形領域を算出する第2算出部と、第2矩形領域の各辺から、第1方向及び第2方向におけるノッチ領域までの距離に応じて、細断の対象とするノッチ領域を選定する選定部と、製品の切り出しに関する情報、及びノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成する生成部と、を備える。
【0007】
本発明の態様に係る情報処理方法は、板状のワークからレーザ加工により切り出される製品の位置情報から、製品を包含する最小の矩形を示す第1矩形領域を算出することと、第1矩形領域と製品の外周で表される製品領域との差分をノッチ領域として抽出することと、ワークの一辺に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とに辺を有し、かつ製品を包含する最小の矩形を示す第2矩形領域を算出することと、第2矩形領域の各辺から、第1方向及び第2方向におけるノッチ領域までの距離に応じて、細断の対象とするノッチ領域を選定することと、製品の切り出しに関する情報、及びノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を含む。
【0008】
本発明の態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、板状のワークからレーザ加工により切り出される製品の位置情報から、製品を包含する最小の矩形を示す第1矩形領域を算出することと、第1矩形領域と製品の外周で表される製品領域との差分をノッチ領域として抽出することと、ワークの一辺に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とに辺を有し、かつ製品を包含する最小の矩形を示す第2矩形領域を算出することと、第2矩形領域の各辺から、第1方向及び第2方向におけるノッチ領域までの距離に応じて、細断の対象とするノッチ領域を選定することと、製品の切り出しに関する情報、及びノッチ領域の細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記態様の情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムによれば、第1矩形領域と製品領域との差分をノッチ領域として抽出し、ワークの一辺に平行な第1方向と第2方向とに辺を有し、かつ製品を包含する最小の矩形を示す第2矩形領域を算出し、第2矩形領域の各辺から、第1方向及び第2方向におけるノッチ領域までの距離に応じて細断の対象とするノッチ領域を選定するので、製品からスケルトンを分離する際に垂れる可能性があるノッチ領域を細断の対象として選定できる。その結果、スケルトンの分離時に支障となるノッチ領域を細断の対象として、それ以外のノッチ領域については細断の対象としないので、加工データにおける情報量を低減でき、加工データの生成に要する処理負担を軽減できる。また、この加工データが供給されたレーザ加工機においては、全てのノッチ領域を細断する場合と比較して加工効率が向上し、さらに、レーザ加工後において、製品からスケルトンを分離する際に垂れる可能性があるノッチ領域が除去されているので、製品からスケルトンを適切に分離することができる。
【0010】
また、上記態様の情報処理装置において、選定部は、第2矩形領域の各辺からノッチ領域までのそれぞれの距離のうち、短い距離に応じて、予め設定された閾値以上の距離を有するノッチ領域を選定してもよい。この態様によれば、第2矩形領域の各辺からの距離が長いノッチ領域はスケルトンの分離時に垂れる可能性が高いので、このようなノッチ領域を細断の対象として適切に選定できる。また、上記態様の情報処理装置において、閾値の入力を受け付ける受付部を備え、選定部は、受け付けられた閾値を用いてノッチ領域を選定してもよい。この態様によれば、オペレータによる閾値の設定が可能となり、細断の対象とするノッチ領域を容易に変更できる。また、上記態様の情報処理装置において、また、上記態様の情報処理装置において、第2算出部は、ワークから切り出される複数の製品を包含する第2矩形領域を算出してもよい。この態様によれば、ワークから複数の製品が切り出される場合において、スケルトンの分離時に垂れる可能性が高いノッチ領域を適切に選定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る情報処理装置を含むレーザ加工システムの構成例を示す図である。
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】ワークに対する製品の配置の一例を示す図である。
【
図5】第1矩形領域を算出した一例を示す図である。
【
図7】第2矩形領域を算出した一例を示す図である。
【
図8】第2矩形領域の一辺からノッチ領域までの距離の一例を示す図である。
【
図9】第2矩形領域の他の辺からノッチ領域までの距離の他の例を示す図である。
【
図10】ノッチ領域を選定する一例を示す図である。
【
図11】第2矩形領域の他の辺からノッチ領域までの距離の一例を示す図である。
【
図12】第2矩形領域の他の辺からノッチ領域までの距離の他の例を示す図である。
【
図13】ノッチ領域を選定する他の例を示す図である。
【
図14】ワークにおいて細断の対象とするノッチ領域の一例を示す図である。
【
図15】第2矩形領域を算出した他の例を示す図である。
【
図16】ノッチ領域を抽出した他の例を示す図である。
【
図17】第2矩形領域を算出した一例を示す図である。
【
図18】第2矩形領域の一辺からノッチ領域までの距離の一例を示す図である。
【
図19】第2矩形領域の一辺からノッチ領域までの距離の他の例を示す図である。
【
図20】ノッチ領域を選定する一例を示す図である。
【
図21】実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、以下で説明する形態に限定されない。また、図面では、実施形態を説明するために、一部分を拡大、縮小、又は強調して記載する等、縮尺を適宜変更して表現されており、実際の部材、製品とは寸法、大きさが異なる場合がある。図面においては、XYZ直交座標系を用いて図中の方向を説明する。XYZ直交座標系において、鉛直方向をZ方向とし、水平方向の一方向をX方向とし、水平方向の他の方向をY方向とする。また、各方向においては、矢印の指す向きを+方向と称し、矢印の指す向きとは反対の方向を-方向と称する。
【0013】
図1は、実施形態に係る情報処理装置20を含むレーザ加工システム1の一例を示す図である。
図1に示すように、レーザ加工システム1は、設計装置10と、情報処理装置20と、レーザ加工機30とを有する。設計装置10は、板状のワークWから切り出す製品Pの形状に関する情報(形状情報)を生成する。設計装置10は、例えば、三次元のCAD(Computer Aided Design)が実装されたコンピュータシステムである。設計装置10は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、及びDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のワーキングメモリが設けられる本体部を備える。
【0014】
設計装置10の本体部には、HDD(Hard Disk Drive)等の大容量記憶デバイス、液晶ディスプレイ等の表示デバイス、マウス、キーボード等の入力デバイスが接続される。CAD等で用いられる設計プログラムは、例えば、大容量記憶デバイスに記憶されており、本体部は、設計プログラムを大容量記憶デバイスから読み出して、各種処理を実行する。設計プログラムは、市場に流通している汎用品でもよいし、レーザ加工システム1の専用品でもよい。設計装置10は、レーザ加工システム1によって製造される製品を、三次元形状から平面的に展開した二次元情報に相当するXML(Extensible Markup Language)で表された設計データを外部へ出力可能である。
【0015】
情報処理装置20は、設計データ取得部201と、第1算出部202と、抽出部203と、第2算出部204と、選定部205と、生成部206と、出力部207と、受付部208と、記憶部209とを有する。情報処理装置20は、例えばCAM(Computer Aided Manufacturing)であり、設計装置10で生成された設計データ(形状データ)をもとに、レーザ加工機30に供給するための加工データを生成する。なお、設計装置10と情報処理装置20とは、一体のCAD/CAMとして構成されてもよい。
【0016】
設計データ取得部201は、設計装置10によって出力された設計データを取得し、情報処理装置20に入力する。第1算出部202は、情報処理装置20に入力された設計データをもとに、板状のワークWにおける製品P(
図4参照)の位置情報から、製品Pを包含する最小の第1矩形領域R1(
図5参照)を算出する。抽出部203は、第1矩形領域R1と製品Pの外周(最外輪郭)で表される製品領域PAとの差分をノッチ領域Nとして抽出する。第2算出部204は、矩形状のワークWの一辺に平行な第1方向D1(
図4参照)と、第1方向D1に直交する第2方向D2(
図4参照)とに辺を有し、かつ製品Pを包含する最小の矩形を示す第2矩形領域R2を算出する。選定部205は、第2矩形領域R2の各辺から、第1方向D1及び第2方向D2におけるノッチ領域Nまでの距離に応じて、細断の対象とするノッチ領域Nを選定する。
【0017】
生成部206は、製品Pの切り出しに関する情報、及び選定部205により選定されたノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する。出力部207は、生成部206で生成された加工データを外部(例、レーザ加工機30)に出力する。受付部208は、選定部205でノッチ領域Nを選定するための閾値の入力を受け付ける。記憶部209は、設計データ取得部201で取得した設計データや、生成部206によって生成された加工データ、各部の処理に要する各種データ等を記憶(一時記憶)する。なお、これら設計データ取得部201、第1算出部202と、抽出部203と、第2算出部204と、選定部205と、生成部206と、出力部207と、受付部208と、記憶部209による処理の詳細については後述する。
【0018】
図2は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置20は、例えば、汎用のコンピュータと同様のハードウェア構成により実現される。情報処理装置20は、所定の情報処理プログラムを実行することにより、設計データをもとに、製品Pの切り出しに関する情報、及び選定部205により選定されたノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する。
【0019】
情報処理装置20のハードウェア構成としては、CPU21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM23と、入力装置24と、出力装置25と、通信装置26と、記憶装置27とを有する。上記各部は、データバス28により接続される。CPU21は、各種処理を実行するプロセッサであり、記憶装置27等に記憶された情報処理プログラムをRAM23に展開して実行し、各部を制御してデータの入出力、加工を行う。CPU21は、1つ又は複数のプロセッサにより構成される。ROM22は、起動用プログラムを記憶装置27からRAM23に読み出すスタートプログラムを記憶する。RAM23は、CPU21の作業領域として各種データを記憶する。
【0020】
入力装置24は、例えば、マウスやキーボード等の入力デバイスであり、操作入力された情報を信号として受け付けてCPU21に出力する。出力装置25は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、CPU21からの信号に基づいて各種情報を表示出力する。通信装置26は、ネットワークを介して外部の装置と情報を送受信する。記憶装置27は、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等である。記憶装置27は、情報処理装置20で実行される情報処理プログラム、及びオペレーティングシステムを記憶する。
【0021】
情報処理装置20で実行される情報処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供される。また、情報処理装置20で実行される情報処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供する構成としてもよい。また、情報処理装置20で実行される情報処理プログラムを、ネットワーク経由で提供又は配布する構成としてもよい。また、情報処理装置20で実行される情報処理プログラムを、ROM22等に予め組み込んで提供する構成としてもよい。
【0022】
情報処理プログラムは、少なくとも、第1算出部202として機能する第1算出モジュールと、抽出部203として機能する抽出モジュールと、第2算出部204として機能する第2算出モジュールと、選定部205として機能する選定モジュールと、生成部206として機能する生成モジュールと、を含む。情報処理装置20は、プロセッサとしてのCPU21が記憶装置27等から情報処理プログラムを読み出して実行することにより、各モジュールがRAM23上にロードされ、CPU21が、第1算出部202、抽出部203、第2算出部204、選定部205、及び生成部206として機能する。なお、各機能は、一部又は全てがプロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
【0023】
図3は、レーザ加工機30の一例を示す図である。レーザ加工機30は、レーザ光Lを照射して、加工対象である板状のワークWから製品Pを切り出し可能である。
図3に示すように、レーザ加工機30は、レーザヘッド40と、加工パレット50と、ヘッド駆動部60と、制御装置70とを備える。レーザヘッド40は、ヘッド本体41と、ノズル42とを有し、ヘッド駆動部60によりX方向、Y方向、及びZ方向に移動可能である。レーザヘッド40は、制御装置70の制御により、ワークWに対してノズル42から加工用のレーザ光Lを照射しつつ、レーザ光L(ヘッド本体41)を製品Pの切断線に沿って移動させることによりワークWから製品Pを切り出す。レーザ光Lとしては、例えば赤外レーザ光などが用いられる。また、ノズル42は、不図示のアシストガス供給部に接続され、レーザ光Lを照射する領域に向けて、アシストガス供給部からのアシストガスをワークWに供給する。
【0024】
ヘッド本体41は、ヘッド駆動部60により、X方向、Y方向、及びZ方向にワークWに対して相対的に移動する。なお、ワークWの切断加工においては、ヘッド本体41の移動に代えて、ワークWを移動させてもよい。ヘッド駆動部60は、制御装置70の制御により、ヘッド本体41をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させることが可能な任意の構成が適用される。
【0025】
加工パレット50は、ワークWを載置してワークWをレーザ加工機30内の加工領域に配置する。加工パレット50は、例えば、不図示の駆動装置により、ワークWを載置した状態でX方向等に移動可能であってもよい。加工パレット50は、枠部51と支持プレート52とを有する。支持プレート52は、枠部51の内側空間においてY方向に延び、かつX方向に複数並んだ状態で設けられ、ワークWの下面を支持する。各支持プレート52は、鋸歯状に形成された複数の上端部52aを有しており、上端部52aにワークWが載置される。上端部52aが鋸歯状に形成されているため、上端部52aとワークWとの間の接触面積は小さくなる。なお、支持プレート52は、鋸歯状とすることに限定されず、例えば、剣山状、波形状、ピン状であってもよい。なお、加工パレット50を用いるか否かは任意である。例えば、加工パレット50に代えて、レーザ加工機30の加工領域に剣山状等のワーク載置部が設けられてもよい。
【0026】
制御装置70は、レーザ加工機30を統括制御し、レーザヘッド40、ヘッド駆動部60等の動作を制御する。制御装置70は、情報処理装置20から加工データを取得し、この加工データに基づいてレーザヘッド40、ヘッド駆動部60の動作を制御することにより、ワークW上の所定経路に沿ってレーザ光Lを照射させつつレーザヘッド40を移動させる。
【0027】
図4は、ワークWに対する製品Pの配置の一例を示す図である。
図4に示すように、板状のワークWは、1つ以上の製品P(
図4に示す例では3つ)が配置されている。ワークWは、X方向に平行な第1方向D1の2辺と、Y方向に平行な第2方向D2の2辺とを有する矩形状である。なお、以下の説明では、3つの製品P1、P2、P3について特に区別しない場合は単に「製品P」と称する。設計データ取得部201は、板状のワークWにおける製品P1、P2、P3の形状情報、位置情報等を含む設計データを、設計装置10から取得する。情報処理装置20では、設計データからレーザ加工機30に供給する加工データを生成する。また、レーザ加工機30では、情報処理装置20から供給された加工データに基づいて、製品P1、P2、P3の外周に沿って切断加工が施される。なお、ワークWにおいて製品P以外の部分はスケルトンSkであり、例えば、レーザ加工後、製品Pを搬送する際(製品Pを仕分けする際)に、製品PからスケルトンSkが分離される。
【0028】
図5は、第1矩形領域R1を算出した一例を示す図である。なお、
図5では、製品P1、P2、P3のうち、1つの製品Pを例に挙げており、製品P1、P2、P3のそれぞれに対して同様の処理が行われる。情報処理装置20の第1算出部202は、設計データ取得部201によって取得されたワークWにおける製品Pの形状情報、位置情報等を含む設計データをもとに、複数の製品Pの外周(最外輪郭)から製品領域PAを求める。なお、ワークWのうち、製品領域PAの外側はスケルトンSkとなる。続いて、第1算出部202は、この製品領域PAに外接する第1矩形領域R1を算出する。すなわち、第1算出部202は、製品領域PAを含んで最小となる第1矩形領域R1を算出する。第1算出部202は、製品P1、P2、P3のそれぞれに対して第1矩形領域R1を算出する。第1算出部202が算出した製品領域PA、第1矩形領域R1に関する情報は、記憶部209に記憶されてもよい。
【0029】
図6は、ノッチ領域Nを抽出した一例を示す図である。情報処理装置20の抽出部203は、第1算出部202によって算出された第1矩形領域R1と、製品領域PAとの差分をノッチ領域Nとして抽出する。
図6では、第1矩形領域R1と製品領域PAとの差分を網掛けで示している。なお、本実施形態では、第1矩形領域R1と製品領域PAとの差分の全てをノッチ領域Nとして抽出しているが、差分の一部をノッチ領域Nとして抽出してもよい。抽出部203が抽出したノッチ領域Nに関する情報は、記憶部209に記憶されてもよい。
【0030】
図7は、第2矩形領域R2を算出した一例を示す図である。情報処理装置20の第2算出部204は、矩形状である板状のワークWの一辺に平行な第1方向D1と、第1方向D1に直交する第2方向D2とに辺を有し、かつ製品Pを包含する最小の矩形を示す第2矩形領域R2を算出する。なお、
図7に示す例では、製品Pの製品領域PAが第1方向D1と第2方向D2とにそれぞれ平行な2辺を有する矩形状であるため、第2矩形領域R2は、製品領域PAと一致している。第2算出部204は、第1方向D1及び第2方向D2に平行な辺を有することを条件として、製品Pの外周(最外輪郭)に外接する矩形状の第2矩形領域R2を算出する。第2算出部204が算出した第2矩形領域R2に関する情報は、記憶部209に記憶されてもよい。なお、本実施形態では、第2算出部204が1つの製品Pに対して第2矩形領域R2を算出しているが、この形態に代えて、複数の製品Pを含む外周(最外輪郭)に外接する第2矩形領域R2を算出する形態であってもよい。この形態については
図15を参照して後述する。
【0031】
図8から
図13は、情報処理装置20の選定部205によりノッチ領域Nを選択する手順について説明している。
図8は、第2矩形領域R2の辺S1からノッチ領域Nまでの距離の一例を示す図である。
図8に示すように、情報処理装置20の選定部205は、先ず、第2矩形領域R2の-X側の辺S1から、第1方向D1におけるノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離A、B、C、Dを算出する。なお、
図8では、第2矩形領域R2の-Y側にある複数のノッチ領域Nについて辺S1からの距離を算出しているが、選定部205は、第2矩形領域R2の+Y側にある複数のノッチ領域Nについても同様にそれぞれ距離を算出する。
【0032】
図9は、第2矩形領域R2の辺S2からノッチ領域Nまでの距離の他の例を示す図である。
図9に示すように、選定部205は、第2矩形領域R2の+X側の辺S2から、第1方向D1におけるノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離A’、B’、C’、D’を算出する。辺S2は、矩形状の第2矩形領域R2において辺S1と対向する辺である。辺S1からノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離と、辺S2からノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離との大小関係は、「A<A’」、「B<B’」、「C>C’」、「D>D’」となっている。選定部205は、第2矩形領域R2の辺S1、S2からノッチ領域Nまで距離うち、短い方の距離を用いて、予め設定された閾値Th以上の距離を有するノッチ領域Nを選定する。
【0033】
図8及び
図9に示す例では、選定部205は、第2矩形領域R2の辺S1、S2から、第1方向D1におけるノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでのより短い距離A、B、C’、D’を用いて、閾値Th以上の距離を有するノッチ領域Nを選定する。なお、閾値Thは、設計データ取得部201が取得した設計データから自動的に設定される値であってもよいし、オペレータによって設定される値であってもよい。閾値Thが設計データから設定される場合、選定部205は、例えば、ワークWのX方向(第1方向D1)及びY方向(第2方向D2)の全長に対する1/3の長さを閾値Thとしてもよい。また、閾値Thがオペレータによる設定される場合、選定部205は、オペレータが設定して受付部208によって受け付けられた長さを閾値Thとしてもよい。
【0034】
図10は、ノッチ領域Nを選定する一例を示す図である。
図10に示すように、選定部205は、辺S1、S2からノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離A、B、C’、D’について、閾値Th1以上の距離を有するノッチ領域Ncを選定する。すなわち、選定部205は、ノッチ領域Na、Nb、Ndは選定しない。また、第2矩形領域R2の+Y側の複数のノッチ領域Nについても同様の処理が行われ、閾値Th1以上の距離を有するノッチ領域Nxを選定し、他のノッチ領域Nは選定しない。
【0035】
図11は、第2矩形領域R2の辺S3からノッチ領域Nまでの距離の一例を示す図である。
図11に示すように、選定部205は、第2矩形領域R2の+Y側の辺S3から、第2方向D2におけるノッチ領域Ne、Nfまでの距離E、Fを算出する。
図12は、第2矩形領域R2の辺S4からノッチ領域Nまでの距離の他の例を示す図である。
図12に示すように、選定部205は、第2矩形領域R2の-Y側の辺S4から、第2方向D2におけるノッチ領域Ne、Nfまでの距離E’、F’を算出する。辺S3からノッチ領域Ne、Nfまでの距離と、辺S4からノッチ領域Ne、Nfまでの距離との大小関係は、「E<E’」、「F<F’」となっている。
【0036】
図10及び
図11に示す例では、選定部205は、第2矩形領域R2の辺S3、S4から、第2方向D2におけるノッチ領域Ne、Nfまでのより短い距離E、Fを用いて、閾値Th以上の距離を有するノッチ領域Nを選定する。なお、閾値Thは、上記と同様に、設計データから自動的に設定される値であってもよいし、オペレータによって設定される値であってもよい。
【0037】
図13は、ノッチ領域Nを選定する他の例を示す図である。
図13に示すように、選定部205は、辺S3、S4からノッチ領域Ne、Nfまでの距離E、Fについて、閾値Th2以上の距離を有していないことを確認する。すなわち、選定部205は、ノッチ領域Ne、Nfのいずれも選定しない。また、第2矩形領域R2の+X側の複数のノッチ領域Nについても同様の処理が行われ、閾値Th2以上の距離を有するノッチ領域Nがないことを確認し、ノッチ領域Nのいずれも選定しない。
【0038】
図14は、ワークWにおいて細断の対象とするノッチ領域Nの一例を示す図である。
図14では、細断の対象であるノッチ領域Nc、Nxを網掛けして示している。情報処理装置20の生成部206は、選定部205によって選定されたノッチ領域Ne、Nxの細断に関する情報を含めた加工データを生成する。なお、生成部206が生成する加工データには、製品P1、P2、P3の切り出しに関する情報を含んでいる。また、加工データには、例えば、レーザヘッド40(レーザ光L)の移動経路に関する座標情報、レーザ光Lの出力、ワークWとレーザヘッド40との相対速度、ワークWの厚さや材質等の加工条件等に関する情報も含んでいる。さらに、加工データには、ノッチ領域Ne、Nxにおける細断の順序に関する情報を含んでいる。生成部206が生成した加工データは、記憶部209に記憶されてもよい。
【0039】
続いて、情報処理装置20の出力部207は、生成部206で生成された加工データをレーザ加工機30に出力する。レーザ加工機30は、出力部207から出力された加工データに従って、ワークWに対する切断加工を行う。レーザ加工機30は、レーザ光Lによる製品Pの切り出し後、製品Pの切り出し途中、又は製品Pの切り出し前に、レーザ光Lによるノッチ領域Ne、Nxの細断を行う。また、ノッチ領域Ne、Nxの細断に際して、レーザ加工機30は、所定寸法以下となるような細断を行う。所定寸法は、細断された各片が、支持プレート52間の隙間を介して落下することが可能な寸法に設定されている。なお、レーザ加工後において、製品P1と製品P2との間、製品P2と製品P3との間には、スケルトンSkの一部として、Y方向の幅小さくかつX方向に長い細長部分Sk1が生じる。
【0040】
図15は、第2矩形領域R2を算出した他の例を示す図である。
図15では、複数の製品P1、P2、P3を含む外周(最外輪郭)に外接する第2矩形領域R2を算出している。第2算出部204は、第1方向D1及び第2方向D2に平行な辺を有することを条件に含み、複数の製品Pを含む外周(最外輪郭)に外接する第2矩形領域R2を算出する。第2算出部204は、第1方向D1及び第2方向D2に平行な辺を有することを条件として、製品P1、P2、P3の外周(最外輪郭)に外接する矩形状の第2矩形領域R2を算出する。続いて、選定部205は、上記と同様に、第2矩形領域R2の辺S1、S2から、第1方向D1におけるノッチ領域Nまでの距離を算出し、より短い距離を用いて、閾値Th1以上の距離を有するノッチ領域Nを選定する。また、選定部205は、第2矩形領域R2の辺S3、S4から、第2方向D2におけるノッチ領域Nまでの距離を算出し、より短い距離を用いて、閾値Th2以上の距離を有するノッチ領域Nを選定する。
【0041】
上記では、第2矩形領域R2の+X側及び-X側のノッチ領域Nが選定部205により選定されていないが、
図15に示す第2矩形領域R2では、+X側及び-X側の複数のノッチ領域Nのうち、ノッチ領域Nyが閾値Th2より辺S3、S4からの距離が大きくなる。その結果、選定部205は、ノッチ領域Nc、Nxとともにノッチ領域Nyを選定する。生成部206は、製品P1、P2、P3の切り出しに関する情報、及びノッチ領域Ne、Nx、Nyの細断に関する情報を含めた加工データを生成する。
【0042】
図16は、ノッチ領域Nを抽出した他の例を示す図である。上記説明では、第1矩形領域R1と第2矩形領域R2とが同一(ほぼ同一)である場合を例に挙げているが、第1矩形領域R1と第2矩形領域R2とが異なる場合もある。なお、
図16から
図20では、第1矩形領域R1と第2矩形領域R2とが異なる場合にノッチ領域を選定する例を示している。
図16に示すように、抽出部203は、上記と同様に、第1算出部202によって第1矩形領域R1と製品領域PAとの差分をノッチ領域Nとして抽出する。
【0043】
図17は、第2矩形領域R2を算出した一例を示す図である。
図17に示すように、第2算出部204は、矩形状である板状のワークWの一辺に平行な第1方向D1と、第1方向D1に直交する第2方向D2とに辺を有し、かつ製品Pを包含する最小の矩形を示す第2矩形領域R2を算出する。
図17に示す例では、ワークWに対して製品Pが傾いて配置されている。従って、第1矩形領域R1と第2矩形領域R2とは、異なる位置に算出される。
【0044】
図18は、第2矩形領域R2の辺S3からノッチ領域Nまでの距離の一例を示す図である。
図18では、製品Pにおける-X側かつ-Y側のノッチ領域Nについて、第2方向D2における距離ついて説明する。なお、製品Pにおける+X側かつ+Y側のノッチ領域Nについて、第2方向D2における距離も同様の処理であるため説明を省略する。
図18に示すように、選定部205は、第2矩形領域R2の+Y側の辺S3から、第2方向D2におけるノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離A、B、C、Dを算出する。
【0045】
図19は、第2矩形領域R2の辺S4からノッチ領域Nまでの距離の一例を示す図である。
図19に示すように、選定部205は、第2矩形領域R2の-Y側の辺S4から、第2方向D2におけるノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離A’、B’、C’、D’を算出する。辺S3からノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離と、辺S4からノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでの距離との大小関係は、「A<A’」、「B<B’」、「C>C’」、「D>D’」となっている。選定部205は、第2矩形領域R2の辺S3、S4からノッチ領域Nまで距離うち、短い方の距離を用いて、予め設定された閾値Th以上の距離を有するノッチ領域Nを選定する。
【0046】
図20は、ノッチ領域Nを選定する一例を示す図である。選定部205は、第2矩形領域R2の辺S3、S4から、第2方向D2におけるノッチ領域Na、Nb、Nc、Ndまでのより短い距離A、B、C’、D’を用いて、閾値Th2以上の距離を有するノッチ領域Ncを選定する。なお、選定部205は、製品Pにおける+X側かつ+Y側のノッチ領域Nxについても、同様の処理により選定する。また、選定部205は、上記と同様に、複数のノッチ領域Nについて辺S1、S2から第1方向D1の距離を用いて、閾値Th1以上の距離を有するノッチ領域Ncを選定する。
図20において、選定部205は、第2方向D2における距離を用いた場合と同様に、閾値Th1以上の距離を有するノッチ領域Nc、Nxを選定する。
【0047】
生成部206は、製品P1、P2、P3の切り出しに関する情報、及び選定部205によって選定されたノッチ領域Nc、Nxの細断に関する情報を含めた加工データを生成する。この加工データが出力部207からレーザ加工機30に供給され、加工データに従ってレーザ加工機30がワークWを切断加工する点は上記のとおりである。なお、本実施形態において、選定部205は、第1方向D1の距離から選定したノッチ領域Nと、第2方向D2の距離から選定したノッチ領域Nとが同一であったが、異なるノッチ領域Nが選定されてもよい。
【0048】
図21は、実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
図21に示すように、先ず、第1算出部202は、第1矩形領域R1を算出する(ステップS101)。このステップS101に先立って、設計データ取得部201によりワークWから切り出す製品Pに関する設計データを取得しており、第1算出部202は、設計データ取得部201が取得した設計データをもとに、複数の製品Pの外周(最外輪郭)である製品領域PAを求め、製品領域PAに外接する(製品Pを包含する最小の)第1矩形領域R1を算出する。
【0049】
続いて、抽出部203は、第1矩形領域R1と製品領域PAとの差分をノッチ領域Nとして抽出する(ステップS102)。ステップS102において、抽出部203は、第1算出部202によって算出された第1矩形領域R1と、製品領域PAとに基づいて、両者の差分を求め、この差分をノッチ領域Nとして抽出する。抽出部203が抽出したノッチ領域Nは、出力装置25(
図2参照、例えばディスプレイ装置)に表示させてもよい。続いて、第2算出部204は、第2矩形領域R2を算出する(ステップS103)。ステップS103において、第2算出部204は、第1方向D1及び第2方向D2に平行な辺を有し、かつ製品領域PAに外接する第2矩形領域R2を算出する。
【0050】
続いて、選定部205は、細断の対象とするノッチ領域Nを選定する(ステップS104)。ステップS104において、選定部205は、第2矩形領域R2の辺S1、S2から、第1方向D1におけるノッチ領域Nまでの距離を算出する。続いて、選定部205は、辺S1、S2からノッチ領域Nまでの距離について、閾値Th1以上の距離を有するノッチ領域Nを選定する。また、選定部205は、第2矩形領域R2の辺S3、S4から、第2方向D2におけるノッチ領域Nまでの距離を算出する。続いて、選定部205は、辺S3、S4からノッチ領域Nまでの距離について、閾値Th2以上の距離を有するノッチ領域Nを選定する。なお、選定部205は、受付部208によって閾値Th1、Th2が受け付けられている場合、受付部208によって受け付けられた閾値Th1、Th2を用いてノッチ領域Nを選定する。
【0051】
続いて、生成部206は、製品Pの切り出しに関する情報、及びノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成する(ステップS105)。ステップS105において、生成部206は、設計データ取得部201が取得した製品Pに関する設計データに基づいて製品Pの切り出しに関する情報を含む加工データを生成し、この加工データに、選定部205が決定したノッチ領域Nの細断に関する情報を含める。このステップS105が完了することにより、一連の処理が終了する。
【0052】
生成部206により生成された加工データは、レーザ加工機30に供給され、レーザ加工機30は、この加工データに従ってワークWの切断加工を実行する。レーザ加工機30により切断加工されたワークWは、例えば
図14に示すワークWの例によれば、複数の製品Pが切り出され、かつ細断されたノッチ領域Nc、Nxが除去された状態で、加工パレット50(
図3参照)に載置されてレーザ加工機30から搬出される。
【0053】
上記したように、実施形態に係る情報処理装置20、情報処理方法によれば、製品Pを包含する最小の第1矩形領域R1と製品領域PAとの差分をノッチ領域Nとして抽出し、第2矩形領域R2の各辺S1、S2、S3、S4から、第1方向D1及び第2方向D2におけるノッチ領域Nまでの距離を用いて細断の対象とするノッチ領域Nを選定するので、製品PからスケルトンSkが分離される際に垂れる可能性があるノッチ領域Nを除去することができる。また、全てのノッチ領域Nを細断する場合と比較して細断するノッチ領域Nを少なくできるので、加工データの量が多くなることを回避し、情報処理装置20の処理負担が過大になるのを防止できる。さらに、細断するノッチ領域Nが少なくなるので、レーザ加工機30における加工時間が長くなることを防止できる。また、この加工データが供給されたレーザ加工機30では、ワークWに対する製品Pの切り出しとともに、ノッチ領域Nの細断を行うので、レーザ加工機30からワークWが搬出された後、製品PからスケルトンSkを分離する際に製品Pを引っ掛けることを回避できる。
【0054】
上記の実施形態において、情報処理装置20は、例えばコンピュータシステムを含む。情報処理装置20は、記憶部209等に記憶されている情報処理プログラムを読み出し、この情報処理プログラムに従って各種の処理を実行する。この情報処理プログラムは、例えば、コンピュータに、板状のワークWからレーザ加工により切り出される製品Pの位置情報から、製品Pを包含する最小の矩形を示す第1矩形領域R1を算出することと、第1矩形領域R1と製品Pの外周で表される製品領域PAとの差分をノッチ領域Nとして抽出することと、ワークWの一辺に平行な第1方向D1と、第1方向D1に直交する第2方向D2とに辺を有し、かつ製品Pを包含する最小の矩形を示す第2矩形領域R2を算出することと、第2矩形領域R2の各辺から、第1方向D1及び第2方向D2におけるノッチ領域Nまでの距離に応じて、細断の対象とするノッチ領域Nを選定することと、製品Pの切り出しに関する情報、及びノッチ領域Nの細断に関する情報を含む加工データを生成することと、を実行させる。この情報処理プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
【0055】
また、情報処理装置20は、レーザ加工機30の一部として構成されてもよい。この場合、情報処理装置20における各部の機能は、レーザ加工機30の制御装置70(
図3参照)の一部として設けられてもよい。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるものでない限り、任意の順序で実現可能である。また、上述した実施形態における動作に関して、便宜上「先ず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0057】
1・・・レーザ加工システム
10・・・設計装置
20・・・情報処理装置
30・・・レーザ加工機
201・・・設計データ取得部
202・・・第1算出部
203・・・抽出部
204・・・第2算出部
205・・・選定部
206・・・生成部
207・・・出力部
208・・・受付部
209・・・記憶部
N・・・ノッチ領域
P・・・製品
PA・・・製品領域
R1・・・第1矩形領域
R2・・・第2矩形領域
Sk・・・スケルトン
W・・・ワーク