(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056383
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】エンドレス二重筒、および、エンドレス二重筒のセットアップ方法
(51)【国際特許分類】
B08B 9/027 20060101AFI20230412BHJP
F17D 3/14 20060101ALI20230412BHJP
B08B 9/032 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B08B9/027
F17D3/14
B08B9/032 326
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165704
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】後藤 順一
【テーマコード(参考)】
3B116
3J071
【Fターム(参考)】
3B116AA12
3B116AA15
3B116AB54
3B116BA03
3B116BA08
3B116BA23
3B116BA32
3J071AA12
3J071BB05
3J071BB14
3J071CC19
3J071DD23
3J071FF13
(57)【要約】
【課題】筒状体の内部に挿入した二重筒本体に対して流体の注入および流体の封止を容易に行うことが可能なエンドレス二重筒、および、エンドレス二重筒のセットアップ方法を提供する。
【解決手段】両端において相互に連続する内筒2aおよび外筒2bからなり、内筒2aと外筒2bとの間に流体が封入された際には、内筒2aと外筒2bとが交互に入れ代わるように転動可能な二重筒本体2と、二重筒本体2に一端が接続された管体3と、管体3の他端に二重筒本体2から突出した状態でワンタッチ継手4aを介して接続された逆止弁を備え、流体を供給するチューブを接続可能な逆止弁部材4と、を有する。逆止弁部材4の逆止弁は、逆止弁部材4から管体3の方に向かう方向にのみ流体の流れを許容する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端において相互に連続する内筒および外筒からなり、前記内筒と前記外筒との間に流体が封入された際には、前記内筒と前記外筒とが交互に入れ代わるように転動可能な二重筒本体と、
前記二重筒本体に一端が接続された管体と、
前記管体の他端に一端が接続された逆止弁と、
前記逆止弁の他端に前記二重筒本体から突出した状態で接続され、前記流体を供給するチューブを接続可能な接続部材と、
を有し、
前記逆止弁は、前記接続部材から前記管体の方に向かう方向にのみ前記流体の流れを許容することを特徴とするエンドレス二重筒。
【請求項2】
前記管体がその途中に屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のエンドレス二重筒。
【請求項3】
前記管体の他端は、前記二重筒本体の転動方向の後ろ側を向いていることを特徴とする請求項2に記載のエンドレス二重筒。
【請求項4】
前記二重筒本体が、内側部材と、前記内側部材の外側に配置された外側部材との2層構造であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエンドレス二重筒。
【請求項5】
前記管体の一端は、前記内側部材に接続されており、
前記外側部材には、前記管体が挿通する穴が形成されており、
前記穴の径は、前記逆止弁および前記接続部材の径よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載のエンドレス二重筒。
【請求項6】
前記管体、前記逆止弁、および、前記接続部材を覆うように前記二重筒本体に取り付けられた保護部材を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のエンドレス二重筒。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のエンドレス二重筒のセットアップ方法であって、
前記チューブを前記接続部材に接続する接続ステップと、
前記内筒と前記外筒との間に前記流体が封入される前の状態の前記二重筒本体を筒状体の内部に挿入する挿入ステップと、
前記接続ステップおよび前記挿入ステップの後に、前記内筒と前記外筒との間に前記流体を封入する封入ステップと、
前記封入ステップの後に、前記チューブを切断することで、前記チューブと前記接続部材との接続を解除する解除ステップと、
を有することを特徴とするエンドレス二重筒のセットアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体内を転動可能なエンドレス二重筒、および、エンドレス二重筒のセットアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油コンビナートなどで火災が発生した場合、その火勢が非常に強いため、大量の水を火災現場に供給する必要がある。そこで、大径(例えば、直径200~400mm)のホースが数百m用いられる。このホースは、使用後に巻き取られて回収される。しかし、ホースが敷設された路面等に傾斜や段差があると、ホースの内部に大量の水が残留する場合がある。この場合、残留水の重量でホースをうまく巻き取ることができない場合がある。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されたエンドレス二重筒を用いてホース内の残留水を除去することが考えられる。エンドレス二重筒の二重筒本体は、両端において相互に連続する内筒および外筒からなる。内筒と外筒とは、直径が同じであって、それぞれ柔軟な素材からなる。二重筒本体は、内筒と外筒との間に流体が封入されると、ホース内において内筒と外筒とが交互に入れ代わるように転動可能になる。
【0004】
特許文献2には、エンドレス二重筒を管内に挿入し、管の一端から他端に向かってエンドレス二重筒を転動させることで、管内の液体を管外に押し出す、管内の液体を除去する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭51-66376号公報
【特許文献2】特開昭56-117000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、エンドレス二重筒を使用可能な状態にするには、まず、流体を封入前の萎んだ状態の二重筒本体を筒状体(例えば、ホース、配管)内に挿入する。そして、二重筒本体に設けられた注入口から内筒と外筒との間に流体を注入して、二重筒本体を膨らませる。
【0007】
しかしながら、特許文献1の
図3に開示されている注入口は、例えば浮き輪に多用されているエア注入口である。このような注入口には、通常、注入口の開口よりも奥側に逆止弁が設けられている。そのため、注入口を摘まんで、流体を供給するチューブを逆止弁よりも奥に挿入する必要がある。このチューブ挿入作業を、配管の外部から配管内の二重筒本体に対して行うのは困難である。
【0008】
また、特許文献1の
図3に開示されている注入口は、流体の注入時に二重筒本体から突出している。そのため、流体の封入後に注入口を二重筒本体の内側に没入させる必要がある。流体が封入された二重筒本体は、少し押しただけでホース等の筒状体の奥側(内部)に向かって転動するので、二重筒本体が動かないようにしながら注入口の没入作業を行うのは困難である。
【0009】
また、特許文献1の
図4に開示されている注入口は、小ねじをねじ穴にねじ込むことで密閉する構造である。流体が封入された二重筒本体は、少し押しただけでホース等の筒状体の奥側(内部)に向かって転動するので、二重筒本体が動かないようにしながら小ねじをねじ込む作業を行うのは困難である。
【0010】
本発明の目的は、ホース等の筒状体内に挿入した二重筒本体に対して流体の注入および流体の封止を容易に行うことが可能なエンドレス二重筒、および、エンドレス二重筒のセットアップ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のエンドレス二重筒は、両端において相互に連続する内筒および外筒からなり、前記内筒と前記外筒との間に流体が封入された際には、前記内筒と前記外筒とが交互に入れ代わるように転動可能な二重筒本体と、前記二重筒本体に一端が接続された管体と、前記管体の他端に一端が接続された逆止弁と、前記逆止弁の他端に前記二重筒本体から突出した状態で接続され、前記流体を供給するチューブを接続可能な接続部材と、を有し、前記逆止弁は、前記接続部材から前記管体の方に向かう方向にのみ前記流体の流れを許容することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のエンドレス二重筒のセットアップ方法は、上記のエンドレス二重筒のセットアップ方法であって、前記チューブを前記接続部材に接続する接続ステップと、前記内筒と前記外筒との間に前記流体が封入される前の状態の前記二重筒本体を筒状体の内部に挿入する挿入ステップと、前記接続ステップおよび前記挿入ステップの後に、前記内筒と前記外筒との間に前記流体を封入する封入ステップと、前記封入ステップの後に、前記チューブを切断することで、前記チューブと前記接続部材との接続を解除する解除ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、外筒と内筒とからなる二重筒本体に管体が接続され、この管体に逆止弁が接続され、この逆止弁に接続部材が接続されている。逆止弁は、接続部材から管体の方に向かう方向にのみ流体の流れを許容するので、流体を供給するチューブを接続部材に接続すれば、内筒と外筒との間に流体を注入することができる。そして、接続部材は、二重筒本体の外側に突出した状態で配置されているので、二重筒本体を配管内に挿入した状態で、チューブを接続部材に容易に接続することができる。一方、逆止弁は、管体から接続部材の方に向かう方向の流体の流れを許容しないので、チューブを接続部材から取り外せば、内筒と外筒との間に注入された流体を封止することができる。そして、接続部材は、二重筒本体の外側に突出した状態で配置されているので、二重筒本体を配管内に挿入した状態で、チューブを接続部材から容易に取り外すことができる。以上のように、ホース等の筒状体内に挿入した二重筒本体に対して流体の注入および流体の封止を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】内側部材の斜視図であり、円筒状の内側部材を示す図である。
【
図4】内側部材の斜視図であり、内側部材の右端から裏返している状態を示す図である。
【
図6】内側部材および外側部材の斜視図であり、内側部材に外側部材を挿通させた状態示す図である。
【
図7】内側部材および外側部材の斜視図であり、外側部材の右端から裏返している状態を示す図である。
【
図9】エンドレス二重筒の斜視図であり、保護部材を示す図である。
【
図10】ホースの斜視図であり、二重筒本体をホース内に挿入した状態を示す図である。
【
図11】ホースの斜視図であり、内筒と外筒との間に空気を封入した状態を示す図である。
【
図12】ホースの斜視図であり、チューブを切断した後の状態を示す図である。
【
図13】ホースの斜視図であり、ホースの開口を蓋で閉じた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(エンドレス二重筒の構成)
本発明の実施形態によるエンドレス二重筒は、ホース等の筒状体内を転動可能なものである。エンドレス二重筒1の斜視図である
図1に示すように、エンドレス二重筒1は、二重筒本体2と、管体3と、逆止弁部材4と、保護部材と、を有している。なお、
図1では、保護部材を図示していない。また、
図1では、二重筒本体2内に空気が封入された状態を図示している。
【0017】
二重筒本体2は、エンドレス二重筒1の本体である。二重筒本体2の断面図である
図2に示すように、二重筒本体2は、内筒2aおよび外筒2bからなる。
図1に示すように、内筒2aおよび外筒2bは、その両端において相互に連続している。
図2に示すように、内筒2aと外筒2bとの間には、空気(流体)が封入される。なお、内筒2aと外筒2bとの間に封入される流体は、空気に限定されない。
【0018】
二重筒本体2は、内筒2aと外筒2bとの間に空気が封入された際には、ホース等の筒状体内において内筒2aと外筒2bとが交互に入れ代わるように転動可能になる。内筒2aと外筒2bとが交互に入れ代わるとは、それまで内筒2aであった部分が二重筒本体2の軸方向に動いてUターンして外筒2bとなり、それまで外筒2bであった部分が二重筒本体2の内側に動いてUターンしながら入り込み内筒2aとなることを意味する。内筒2aと外筒2bとの入れ代わりが繰り返されることで、二重筒本体2は無限軌道のような動きをする。
【0019】
図1では、二重筒本体2は、ホース等の筒状体内を左から右に転動する。その際に、内筒2aは、点線で示すように、左から右に動く。一方、外筒2bは、内筒2aの動きに連動して、実線で示すように、右から左に動く。
【0020】
本実施形態において、二重筒本体2は、内側部材と、内側部材の外側に配置された外側部材との2層構造である。つまり、内筒2aおよび外筒2bが、それぞれ内側部材と外側部材との2層構造である。内側部材、外側部材の素材は、軟質樹脂シートや、織布に軟質樹脂を被覆したシートが用いられ、例えば内側部材がウレタン等であり、外側部材が塩ビターポリン等である。内側部材と外側部材との2層構造にすることで、ホース等の筒状体内で転動する二重筒本体2を破れにくくすることができる。なお、二重筒本体2は、内側部材だけの1層構造であってもよい。
【0021】
ここで、二重筒本体2の作成手順を説明する。まず、内側部材11の斜視図である
図3に示すように、樹脂シートを円筒状にして端部同士を溶着することで、円筒状の内側部材11を作成する。次に、内側部材11の斜視図である
図4に示すように、内側部材11を扁平に折り畳み、内側部材11の右端から外向きに裏返すことで、内側部材11を二重にする。
【0022】
次に、内側部材11の断面図である
図5に示すように、内側部材11の外面に穴を開け、管体3を接続する。内側部材11の内部と管体3の内部とは連通する。なお、樹脂シートを円筒状にする前に予め穴を開けておいてもよい。
【0023】
次に、内側部材11の左側の端部を周方向の全周にわたって溶着する。具体的には、内側部材11の裏返されていない部分の外面と、内側部材11の裏返された部分の内面とを溶着する。よって、内側部材11の裏返されていない部分の内面同士は溶着されない。内側部材11の左端から溶着部までの距離は、例えば17mm程度である。
【0024】
次に、内側部材11と同様に、樹脂シートを円筒状にして端部同士を溶着することで、円筒状の外側部材12を作成する。そして、内側部材11および外側部材12の斜視図である
図6に示すように、外側部材12を扁平に折り畳み、内側部材11に挿通させる。次に、内側部材11および外側部材12の斜視図である
図7に示すように、外側部材12の右端から外向きに裏返すことで、外側部材12を二重にする。
【0025】
次に、内側部材11および外側部材12の断面図である
図8に示すように、外側部材12の管体3に対向する部分に穴を開け、その穴から管体3を露出させる。この穴の径は、管体3の直径よりもわずかに大きい。なお、樹脂シートを円筒状にする前に予め穴を開けておいてもよい。
【0026】
また、外側部材12の左端部に当て布13を当てて、縫製する。具体的には、外側部材12の裏返されていない部分の内面と、外側部材12の裏返された部分の外面とにわたって当て布13を当てて、当て布13で挟まれた外側部材12の左端部および内側部材11の左端部を縫製する。外側部材12の左端から当て布13の右端までの距離は、8mm程度であり、外側部材12の左端から縫製箇所までの距離は7mm程度である。以上により、二重筒本体2が作成される。このようにして製作された二重筒本体2の寸法は、例えば口径400mmのホース排水用の場合、空気封入時では、外径φ=400mm×軸方向長さL=850mm、扁平状態ではL=1000mmである。
【0027】
図1に戻って、管体3は、その一端が二重筒本体2に接続されている。詳しくは、管体3は、二重筒本体2の内側部材11に一端が接続されており、二重筒本体2の外側部材12に形成された穴から露出している。管体3の外径は4mm程度である。管体3の他端には、逆止弁部材4が接続されている。なお、管体3の他端にウレタンチューブ等を介して逆止弁部材4が接続されていてもよい。
【0028】
本実施形態において、管体3は、樹脂製であり、その途中に屈曲部を有する。具体的には、管体3は、その中央部で90度屈曲されることで、L字状に形成されている。管体3の端から中央部までの距離は10mm程度である。管体3を屈曲させることで、逆止弁部材4が二重筒本体2から突出する突出量を抑えることができる。これにより、二重筒本体2の転動が逆止弁部材4で阻害されるのを抑えることができる。
【0029】
管体3の他端は、逆止弁部材4が接続される側である。管体3の他端は、二重筒本体2の転動方向の後ろ側を向いている。よって、二重筒本体2を転動させた際に、転動方向の上流側から下流側に向かって、管体3、逆止弁部材4の順番に並ぶことになる。これにより、転動方向の上流側から下流側に向かって、逆止弁部材4、管体3の順番に並ぶ場合に比べて、管体3および逆止弁部材4が二重筒本体2の転動を阻害しない。よって、二重筒本体2を好適に転動させることができる。
【0030】
逆止弁部材4は、その一端が管体3の他端に接続されている。このため、逆止弁部材4は、二重筒本体2の表面から少しだけ突出した位置に設けられている。逆止弁部材4の内部には、逆止弁が設けられている。逆止弁部材4の他端側は、所謂ワンタッチ継手4aになっている。このワンタッチ継手(接続部材)4aには、空気を供給するチューブ40(
図10参照)を接続可能である。つまり、本実施形態の逆止弁部材4は、管体3の他端に一端が接続された逆止弁と、逆止弁の他端に接続された接続部材とが一体になった部材である。ワンタッチ継手4aは、二重筒本体2の表面から少し突出しているので、空気を供給するチューブ40の接続、解除が行いやすい。逆止弁部材4の外径は、11mm程度である。なお、逆止弁部材4に代えて、逆止弁と接続部材とをそれぞれ設けてもよい。
【0031】
逆止弁部材4が内蔵する逆止弁は、ワンタッチ継手4aから管体3の方に向かう方向にのみ空気の流れを許容する。よって、空気を供給するチューブ40をワンタッチ継手4aに接続すれば、内筒2aと外筒2bとの間に空気を注入することができる。一方、逆止弁部材4が内蔵する逆止弁は、管体3からワンタッチ継手4aの方に向かう方向の空気の流れを許容しない。よって、チューブ40をワンタッチ継手4aから取り外せば、内筒2aと外筒2bとの間に注入された空気を封止することができる。
【0032】
エンドレス二重筒1の斜視図である
図9に示すように、保護部材5は、管体3および逆止弁部材4を覆うように二重筒本体2に取り付けられる。保護部材5は、ターポリンなどの、軟質樹脂を織布に被覆したシートである。なお、
図9では、二重筒本体2内に空気が封入された状態を図示している。二重筒本体2の周方向における保護部材5の両端部は、両面テープなどで二重筒本体2の表面に貼り付けられる。一方、二重筒本体2の軸方向における保護部材5の両端部は開放されており、保護部材5と二重筒本体2の間には、二重筒本体2の軸方向に延びる空間が形成されている。よって、保護部材5で覆われた逆止弁部材4に、二重筒本体2の軸方向からチューブ40を挿入することが可能である。
【0033】
管体3および逆止弁部材4を保護部材5で覆うことで、二重筒本体2の転動が、管体3および逆止弁部材4で阻害されるのを抑えることができる。
【0034】
(エンドレス二重筒のセットアップ方法)
次に、エンドレス二重筒1を使用可能な状態にする、エンドレス二重筒1のセットアップ方法について説明する。
【0035】
まず、逆止弁部材4のワンタッチ継手4a(
図1参照)にチューブ40を接続する(接続ステップ)。このとき、二重筒本体2の内筒2aと外筒2bとの間には、空気が封入されていない。次に、ホース30の斜視図である
図10に示すように、二重筒本体2をホース(筒状体)30内に挿入する(挿入ステップ)。
【0036】
チューブ40をワンタッチ継手4aに接続した後に、二重筒本体2をホース30内に挿入することで、二重筒本体2をホース30内に挿入した後よりも簡単に、チューブ40をワンタッチ継手4aに接続することができる。
【0037】
なお、二重筒本体2をホース30内に挿入した後に、チューブ40をワンタッチ継手4aに接続してもよい。ワンタッチ継手4aは、二重筒本体2の外側に配置されているので、二重筒本体2をホース30内に挿入した状態で、チューブ40をワンタッチ継手4aに容易に接続することができる。
【0038】
次に、ホース30の斜視図である
図11に示すように、内筒2aと外筒2bとの間に空気を封入する(封入ステップ)。これにより、外筒2bはホース30の内面に当接した状態になる。その後、チューブ40とワンタッチ継手4aとの接続を解除する(解除ステップ)。ここで、ハサミなどでチューブ40を切断することで、チューブ40とワンタッチ継手4aとの接続を解除する。チューブ40の切断位置は、ワンタッチ継手4aにできるだけ近い位置とする。チューブ40を切断した後の状態を
図12に示す。
【0039】
チューブ40を切断することで、チューブをワンタッチ継手4aから取り外すよりも簡単に、チューブ40とワンタッチ継手4aとの接続を解除することができる。
【0040】
なお、チューブ40を切断せずに、ワンタッチ継手4aからチューブ40を取り外してもよい。ワンタッチ継手4aは、二重筒本体2の表面から外側に少し突出して配置されているので、手で掴みやすく、空気を封入した二重筒本体2が転動しやすくなっていても、二重筒本体2をホース30内に挿入した状態で、チューブ40をワンタッチ継手4aから容易に取り外すことができる。
【0041】
次に、ホース30の斜視図である
図13に示すように、ホース30の開口を蓋31で閉じる。この蓋31には、空気送入口32が設けられている。以上で、エンドレス二重筒1のセットアップが完了する。エンドレス二重筒1を用いてホース30内の残留水を除去するには、空気送入口32から圧縮空気をホース30内に送入すればよい。二重筒本体2がホース30内を転動することで、ホース30内の残留水が除去される。
【0042】
(変形例)
なお、
図8において、外側部材12に形成されて、管体3が露出する穴の径は、管体3の直径よりもわずかに大きいものであるが、穴の径を逆止弁部材4(
図1参照)の径よりも大きくしてもよい。この場合、二重筒本体2を転動させた際に、外側部材12の穴から外側部材12の内側に管体3および逆止弁部材4を潜り込ませることができる。よって、保護部材5(
図9参照)を設けなくても、二重筒本体2の転動が、管体3および逆止弁部材4で阻害されるのを抑えることができる。
【0043】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るエンドレス二重筒1によれば、外筒2bと内筒2aとからなる二重筒本体2に管体3が接続され、この管体3に逆止弁部材4が接続されている。逆止弁部材4の逆止弁は、逆止弁部材4から管体3の方に向かう方向にのみ空気(流体)の流れを許容するので、空気を供給するチューブを逆止弁部材4のワンタッチ継手4aに接続すれば、内筒2aと外筒2bとの間に空気を注入することができる。そして、ワンタッチ継手4aは、二重筒本体2の外側に突出した状態で配置されているので、二重筒本体2をホース30内に挿入した状態で、チューブをワンタッチ継手4aに容易に接続することができる。一方、逆止弁部材4の逆止弁は、管体3から逆止弁部材4の方に向かう方向の空気の流れを許容しないので、チューブをワンタッチ継手4aから取り外せば、内筒2aと外筒2bとの間に注入された空気を封止することができる。そして、ワンタッチ継手4aは、二重筒本体2の外側に突出した状態で配置されているので、二重筒本体2をホース30内に挿入した状態で、チューブをワンタッチ継手4aから容易に取り外すことができる。以上のように、ホース30内に挿入した二重筒本体2に対して空気の注入および空気の封止を容易に行うことができる。
【0044】
また、管体3がその途中に屈曲部を有している。よって、逆止弁部材4が二重筒本体2から突出する突出量を抑えることができる。これにより、二重筒本体2の転動が逆止弁部材4で阻害されるのを抑えることができる。
【0045】
また、逆止弁部材4が接続された管体3の他端は、二重筒本体2の転動方向の後ろ側を向いている。よって、二重筒本体2を転動させた際に、転動方向の上流側から下流側に向かって、管体3、逆止弁部材4の順番に並ぶことになる。これにより、転動方向の上流側から下流側に向かって、逆止弁部材4、管体3の順番に並ぶ場合に比べて、管体3および逆止弁部材4が二重筒本体2の転動を阻害しない。よって、二重筒本体2を好適に転動させることができる。
【0046】
また、二重筒本体2が、内側部材11と、内側部材11の外側に配置された外側部材12との2層構造である。これにより、ホース30内で転動する二重筒本体2を破れにくくすることができる。
【0047】
また、管体3および逆止弁部材4が保護部材5で覆われている。これにより、二重筒本体2の転動が、管体3および逆止弁部材4で阻害されるのを抑えることができる。
【0048】
また、変形例によれば、外側部材12に形成され、管体3が挿通する穴の径は、逆止弁部材4の径よりも大きい。これにより、二重筒本体2を転動させた際に、外側部材12の穴から外側部材12の内側に管体3および逆止弁部材4を潜り込ませることができる。よって、二重筒本体2の転動が、管体3および逆止弁部材4で阻害されるのを抑えることができる。
【0049】
また、本実施形態に係るエンドレス二重筒のセットアップ方法によれば、チューブを逆止弁部材4のワンタッチ継手4aに接続した後に、二重筒本体2をホース30内に挿入し、内筒2aと外筒2bとの間に空気が封入される。逆止弁部材4の逆止弁は、逆止弁部材4から管体3の方に向かう方向にのみ空気の流れを許容するので、空気を供給するチューブをワンタッチ継手4aに接続すれば、内筒2aと外筒2bとの間に空気を注入することができる。そして、逆止弁部材4は、二重筒本体2の外側に突出した状態で配置されているので、二重筒本体2をホース30内に挿入した状態で、チューブをワンタッチ継手4aに容易に接続することができる。また、内筒2aと外筒2bとの間に空気を封入した後に、チューブとワンタッチ継手4aとの接続が解除される。逆止弁部材4の逆止弁は、管体3から逆止弁部材4の方に向かう方向の空気の流れを許容しないので、チューブをワンタッチ継手4aから取り外せば、内筒2aと外筒2bとの間に注入された空気を封止することができる。そして、逆止弁部材4は、二重筒本体2の外側に突出した状態で配置されているので、空気を注入して転動しやすくなっている二重筒本体2をホース30内に挿入した状態で、チューブをワンタッチ継手4aから容易に取り外すことができる。以上のように、ホース30内に挿入した二重筒本体2に対して空気の注入および空気の封止を容易に行うことができる。
【0050】
また、チューブが切断されることで、チューブとワンタッチ継手4aとの接続が解除される。これにより、チューブをワンタッチ継手4aから取り外すよりも簡単に、チューブとワンタッチ継手4aとの接続を解除することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 エンドレス二重筒
2 二重筒本体
2a 内筒
2b 外筒
3 管体
4 逆止弁部材
4a ワンタッチ継手(接続部材)
5 保護部材
11 内側部材
12 外側部材
13 当て布
30 ホース(配管)
31 蓋
32 空気送入口
40 チューブ