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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056385
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】模擬試験システムおよび模擬試験方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/22 20060101AFI20230412BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20230412BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230412BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230412BHJP
【FI】
G06F11/22 673R
G07B15/00 510
G08G1/09 F
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165706
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 知子
【テーマコード(参考)】
3E127
5B048
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127FA18
5B048DD17
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181EE07
5H181EE10
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】車線サーバの動作テストを容易に実施することができる模擬試験システムおよび模擬試験方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、模擬試験システムは、データ生成部とアンテナシミュレータと車両挙動シミュレータとを有する。データ生成部は、レーンにおける車両の挙動を示す一群のレコードを含む車両挙動データとレーンを通行する車両に関する車両データとを生成する。アンテナシミュレータは、データ生成部が生成する車両データに基づいてレーンを通行する車両に搭載される車載器と無線通信するアンテナが出力する信号をシミュレートした信号を車線サーバに送信する。車両挙動シミュレータは、データ生成部が生成する車両挙動データの各レコードのデータに基づいてレーンにおける車両を検知する路側装置が出力する信号をシミュレートした信号を車線サーバに送信する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーンを通行する車両から料金を収受する処理を行う車線サーバの動作テストを実行する模擬試験システムにおいて、
前記レーンにおける車両の挙動を示す一群のレコードを含む車両挙動データと前記レーンを通行する車両に関する車両データとを生成するデータ生成部と、
前記データ生成部が生成する前記車両データに基づいて前記レーンを通行する車両に搭載される車載器と無線通信するアンテナが出力する信号をシミュレートした信号を前記車線サーバに送信するアンテナシミュレータと、
前記データ生成部が生成する車両挙動データの各レコードのデータに基づいて前記レーンにおける車両を検知する路側装置が出力する信号をシミュレートした信号を前記車線サーバに送信する車両挙動シミュレータと、
を備える模擬試験システム。
【請求項2】
前記データ生成部は、前記レーンにおける車両を検知する複数の車両検知器による車両の検知結果を示すレコードを順番に並べたシナリオを車両挙動データとして生成する、
請求項1に記載の模擬試験システム。
【請求項3】
前記データ生成部は、前記複数の車両検知器が1台の車両を検知した結果となる複数のレコードを順番に並べたシナリオを車両挙動データとして生成する、
請求項2に記載の模擬試験システム。
【請求項4】
前記データ生成部は、前記複数の車両検知器が複数台の車両を検知した結果となる複数のレコードを順番に並べたシナリオを車両挙動データとして生成する、
請求項2に記載の模擬試験システム。
【請求項5】
前記データ生成部は、前記車両挙動データに対する繰り返し回数を設定し、
前記車両挙動シミュレータは、前記車両挙動データに対する繰り返し回数に応じて前記車両挙動データの各レコードのデータに基づく信号の前記車線サーバへの送信を繰り返し実行する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の模擬試験システム。
【請求項6】
前記データ生成部は、さらに、前記車両データに指定情報を設定し、
前記アンテナシミュレータは、前記車両データに設定された指定情報に応じて車両データを設定する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の模擬試験システム。
【請求項7】
前記アンテナシミュレータは、前記指定情報において前記アンテナが前記車載器に書き込み要求した書込データを反映することが指定されている場合、前記書込データを反映した車両データを生成する、
請求項6に記載の模擬試験システム。
【請求項8】
前記アンテナシミュレータは、前記車線サーバから異常処理の指定を受けた場合、指定された異常処理を実行した結果を示す応答を前記車線サーバへ送信する、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の模擬試験システム。
【請求項9】
レーンを通行する車両から料金を収受する処理を行う車線サーバの動作テストを実行する模擬試験方法であって、
前記レーンにおける車両の挙動を示す一群のレコードを含む車両挙動データと前記レーンを通行する車両に関する車両データとを生成し、
前記車両データに基づいて前記レーンを通行する車両に搭載される車載器と無線通信するアンテナが出力する信号をシミュレートした信号を前記車線サーバに送信し、
前記車両挙動データの各レコードのデータに基づいて前記レーンにおける車両を検知する路側装置が出力する信号をシミュレートした信号を前記車線サーバに送信する、
模擬試験方法。
【請求項10】
さらに、前記車両挙動データに対する繰り返し回数を設定し、
前記車両挙動データに対する繰り返し回数に応じて前記車両挙動データの各レコードのデータに基づく信号の前記車線サーバへの送信を繰り返し実行する、
請求項9に記載の模擬試験方法。
【請求項11】
さらに、前記車両データに指定情報を設定し、
前記車線サーバからの要求に応じて前記車両データに設定された指定情報に基づいて前記車線サーバへ送信する車両データを設定する、
請求項9又は10の何れか1項に記載の模擬試験方法。
【請求項12】
さらに、前記指定情報において前記アンテナが前記車載器に書き込み要求した書込データを反映することが指定されている場合、前記書込データを反映した車両データを生成する、
請求項11に記載の模擬試験方法。
【請求項13】
さらに、前記車線サーバから異常処理の指定を受けた場合、指定された異常処理を実行した結果を示す応答を前記車線サーバへ送信する、
請求項9乃至12の何れか1項に記載の模擬試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、模擬試験システムおよび模擬試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路などの有料道路において通行する車両から通行料金を収受するETCシステムが実用化されている。ETCシステムは、入口又は出口において車両から通行料金を収受するための車線サーバを備える。車線サーバは、複数のアンテナやセンサなどの種々の機器を通じて車両の位置および車載器からのデータなどを取得し、車両に対する料金を収受する処理を実行する。
【0003】
従来のETCシステムでは、有料道路の入口又は出口を閉鎖してテスト用の車両を通行させることにより車線サーバの動作テストを実施する。実際にテスト用の車両を通行させて車線サーバの動作テストを実施するのは、多大な労力が必要となる。このため、実際にテスト用の車両を走行させる試験を最小限とするため、コンピュータ上で車線サーバの動作を検証する模擬試験システムが提案されている。
【0004】
しかしながら、従来の車線サーバの動作を検証する模擬試験システムは、試験準備および実施の負荷が大きいという問題点がある。例えば、試験に使用する車両挙動データと車両データとは、1台の車両および1つの車両挙動ごとに手動で準備する必要がある。このため、長時間で複数の車両を連続して走行することを想定した試験は、試験準備や実施するための負荷が大きくなる。
【0005】
また、車両データは、試験パターンにあわせて細かく準備する必要がある。例えば、ETCシステムでは入口又は出口に複数のアンテナが設けられる。このため、各アンテナが取得する車両データは、車両に搭載した車載器によるETCカードへの処理状況や車両の通過状況に応じて設定する必要がある。さらに、異常処理の試験を実施する場合、車線サーバからの要求に対する各種の異常処理や応答などは手動で設定して試験を実施しなければいけないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003ー347990号公報
【特許文献2】特開2018ー207303号公報
【特許文献3】特開2003ー307000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の課題を解決するため、車線サーバの動作テストを容易に実施することができる模擬試験システムおよび模擬試験方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、模擬試験システムは、データ生成部とアンテナシミュレータと車両挙動シミュレータとを有する。データ生成部は、レーンにおける車両の挙動を示す一群のレコードを含む車両挙動データとレーンを通行する車両に関する車両データとを生成する。アンテナシミュレータは、データ生成部が生成する車両データに基づいてレーンを通行する車両に搭載される車載器と無線通信するアンテナが出力する信号をシミュレートした信号を車線サーバに送信する。車両挙動シミュレータは、データ生成部が生成する車両挙動データの各レコードのデータに基づいてレーンにおける車両を検知する路側装置が出力する信号をシミュレートした信号を車線サーバに送信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る模擬試験システムが試験対象とする車線サーバが設置されるETCシステムにおける要部の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る模擬試験システムと車線サーバとを備える模擬試験環境の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る模擬試験システムにおける制御系の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る模擬試験システムにおいて車両挙動シミュレータに供給される車両挙動データの第1の構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る模擬試験システムにおいて車両挙動シミュレータに供給される車両挙動データの第2の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る模擬試験システムにおいて車両挙動シミュレータに供給される車両挙動データの第3の構成例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る模擬試験システムが異なる複数の車両が同じ車両挙動パターンで繰り返し連続走行を行う事象を模式的に示す図である。
図8図8は、実施形態に係る模擬試験システムが同じ車両が異なる複数の車両挙動パターンで連続走行を行う事象を模式的に示す図である。
図9図9は、実施形態に係る模擬試験システムの全体的な動作の流れを説明するためのフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る模擬試験システムにおける表示部に表示する車両データの設定画面の例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る模擬試験システムにおける表示部に表示する車両データの編集画面の例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る模擬試験システムにおける表示部に表示する車両挙動データの設定画面の例を示す図である。
図13図13は、実施形態に係る模擬試験システムにおける表示部に表示する車両挙動データの設定画面の例を示す図である。
図14図14は、実施形態に係る模擬試験システムにおいてデータ生成部から車両挙動シミュレータへのデータ送信処理を説明するためのフローチャートである。
図15図15は、実施形態に係る模擬試験システムにおけるデータ生成部からアンテナシミュレータへのデータ送信処理を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、実施形態に係る模擬試験システムにおける車両挙動シミュレータによる処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
図17図17は、実施形態に係る模擬試験システム2におけるアンテナシミュレータによる処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
図18図18は、実施形態に係る模擬試験システムにおけるアンテナシミュレータによる車両データ送信処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る模擬試験装置としての模擬試験システムが検証の対象とする車線サーバ1について説明する。
実施形態に係る模擬試験装置としての模擬試験システムは、高速道路などの有料道路の入口又は出口などにおいて車両から通行料金を収受する車線サーバ1の動作をテストするためのシステムである。模擬試験システムは、車線サーバ1に接続する種々の機器をシミュレートする機能を備える。
【0011】
図1は、実施形態に係る模擬試験装置が試験対象とする車線サーバ1を実際にレーンに設置する場合のETCシステム(Electronic Toll Collection System)の要部の構成例を示す図である。
図1に示すように、車線サーバ1は、入口叉は出口に設けられた車両が所定の進入方向aに通行するためのレーンに設置した複数の車両検知器と複数のアンテナとに接続される。車線サーバ1は、インターフェース(IF)集約部を介して複数の車両検知器と複数のアンテナとに接続される。
【0012】
車線サーバ1は、通行制御部と監視制御部とを有する。車線サーバ1の監視制御部は、複数の車両検知器などの路側装置が接続され、レーンにおける車両の通行を監視する。車線サーバ1の通行制御部には、複数のアンテナが接続され、車両に搭載された車載器との通信に基づく処理を実行する。
【0013】
図1に示す例において、3つの車両検知器S1、S2、S4は、車載器を搭載した車両の所定の進入方向aに対して、車両検知器S1、車両検知器S2、車両検知器S4の順に設置されているものとする。また、3つのアンテナA1、Ar、A2は、車両の所定の進入方向aに対して、第1アンテナA1、再通信アンテナAr、第2アンテナA2の順に設置されているものとする。
【0014】
第1アンテナA1は、レーンに進入してきた車両の車載器と通信し、車載器にセットされているETCカードに車線サーバ1が指定するデータを書き込む。再通信アンテナArは、第1アンテナA1と車載器との通信によるETCカードへの書き込み処理が未了となった場合に当該ETCカードへの書き込み処理をリトライする。
【0015】
以下の実施形態の説明では、図1に示すような3つの車両検知器と3つのアンテナとを備えるレーンに設けられる車線サーバ1の模擬試験を実施することを想定した模擬試験システムについて説明する。
【0016】
次に、実施形態に係る模擬試験装置としての模擬試験システム2の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る模擬試験装置としての模擬試験システム2の構成例を概略的に示す図である。
図2に示すように、模擬試験システム2は、データ生成部3とシミュレータ4とを備える。模擬試験システム2におけるシミュレータ4は、アンテナシミュレータ5および車両挙動(路側)シミュレータ6を有する。
【0017】
模擬試験システム2は、模擬試験(動作テスト)の対象とする車線サーバ1に対応して設ける。動作テストの対象とする車線サーバ1は、通信制御部シミュレータ8と監視制御部9とを備える。模擬試験システム2のアンテナシミュレータ5は、車線サーバ1における通信制御部シミュレータ8に接続する。模擬試験システム2の車両挙動シミュレータ6は、車線サーバ1における監視制御部9に接続する。
【0018】
データ生成部3は、車線サーバ1の動作をテストするための信号(データ)を生成する。例えば、データ生成部3は、プロセッサ、メモリ、通信部および操作部などを有するコンピュータで実現される。本実施形態において、データ生成部3は、車両データおよび車両挙動データを生成する。データ生成部3は、オペレータの操作などに従って指定される情報に基づいて車両データおよび車両挙動データを生成する。
【0019】
車両データは、各アンテナA1、Ar、A2の動作をシミュレートするためのデータである。データ生成部3は、車線サーバ1をテストするための信号(データ)として生成する車両データをアンテナシミュレータ5へ送信する。車両データは、ETCカードが挿入される車載器から取得するデータに相当するデータを含む。
【0020】
例えば、車両データは、正常なETCカードが挿入されている車載器との通信、異常なETCカードが挿入されている車載器との通信、ETCカードが未挿入の車載器との通信、および、異常な車載器との通信をシミュレートするためのデータである。また、車両データは、アンテナとの通信においてタイムアウトおよびリトライオーバーなどをシミュレートするためのデータであってもよい。
【0021】
また、データ生成部3は、車線サーバ1をテストするための信号(データ)として生成する車両挙動データを車両挙動シミュレータ6へ送信する。車両挙動データは、車両を検出する路側装置の動作をシミュレートするためのデータである。データ生成部3は、レーンにおける車両の車両挙動パターンを示すレコードを纏めたシナリオとして車両挙動データを生成する。
【0022】
例えば、車両挙動データは、各車両検知器S1、S2、S4による車両の検知結果をシミュレートするデータである。車両挙動データは、レーンにおける車両の前進、停止および後退をシミュレートするためのデータである。また、車両挙動データは、車両の未検出又はイレギュラーな走行(レーン内での追い越しなど)などをシミュレートするためのデータであってもよい。
【0023】
アンテナシミュレータ5は、ETCシステムにおける入口又は出口のレーンに設置される複数のアンテナA1、Ar、A2の動作をシミュレートする。アンテナシミュレータ5は、データ生成部3および車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8に接続する。
【0024】
アンテナシミュレータ5は、データ生成部3が生成した車両データおよび車両データの指定情報などを基に車線サーバ1へ送信する車両データを設定する。アンテナシミュレータ5が車線サーバ1へ送信する車両データは、各アンテナA1、Ar、A2とレーンを通行する車両に搭載された車載器との通信に関するデータである。
【0025】
車両挙動シミュレータ6は、ETCシステムにおける入口又は出口に設置される路側装置の動作をシミュレートする。車両挙動シミュレータ6は、データ生成部3および車線サーバ1の監視制御部9に接続する。例えば、車両挙動シミュレータ6は、図示しないインターフェース変換装置および路側インターフェース集約部などを介して監視制御部9に接続されるように構成する。
【0026】
車両挙動シミュレータ6は、データ生成部3が生成した車両挙動データに含まれるレコードから車線サーバ1へ送信するデータを設定する。車両挙動シミュレータ6は、車線サーバ1へ送信するレコードのデータを車線サーバ1の監視制御部9が路側装置から取得する信号に準ずる車検接点データに変換して車線サーバ1へ送信する。
【0027】
次に、シミュレータ4を備える模擬試験システム2が動作テストの対象とする車線サーバ1について説明する。
図2に示すように、車線サーバ1は、有料道路の入口又は出口などのレーンを通行する車両から通行料金を収受する処理を実行する。実地における運用において、車線サーバ1は、車両を検知するための車両検知器などを含む路側装置、および、車両に搭載されている車載器と無線通信を行う複数のアンテナなどに接続する。
【0028】
車線サーバ1は、車両検知器などを含む路側装置からレーンを通行する車両の挙動を示す車両挙動データを取得し、アンテナを通じて処理対象とする車両の車両データを取得する。車両データは、車両に搭載された車載器のセットアップ内容および当該車載器にセットされたETCカードの情報を含む。車線サーバ1は、アンテナから取得する車両データなどに基づいて通行料金を収受する処理を実行する。
【0029】
図2に示す例において、車線サーバ1は、模擬試験システム2に接続され、通信制御部として動作する通信制御部シミュレータ8と監視制御部9とを備える。ただし、実際に運用される車線サーバ1は、認証又は暗号化のための鍵を生成および管理するモジュールであるSAM(Secure Application Module)、通行料金を収受するモジュールであるETC処理部および動作ログを格納するログ蓄積部などを備える。
【0030】
通信制御部シミュレータ8は、アンテナシミュレータ5とデータを送受信する。通信制御部シミュレータ8は、実地に設置される車線サーバ1が備える通信制御部として動作するシミュレータである。実地の車線サーバ1が備える通信制御部は、車両の車載器と無線で通信する各アンテナA1、Ar、A2に接続するためのインターフェースである。通信制御部シミュレータ8は、実地の車線サーバ1が備える通信制御部と同様に動作するものであり、車両の車載器と無線で通信するアンテナに接続するためのインターフェース(例えば、光通信をサポートするインターフェース)である。
【0031】
監視制御部9は、複数の車両検知器S1、S2、S4の検知結果などの路側装置からのデータに基づいてレーンを走行する車両を監視する。監視制御部9は、プロセッサおよびメモリなどから構成されるコンピュータで実現される。監視制御部9は、プロセッサがメモリに格納されるプログラムを実行することで種々の機能を実現する。
【0032】
なお、模擬試験システム2は、シミュレータ4として、路側表示器シミュレータ、ナンバープレート読取装置シミュレータ、料金収受機シミュレータ、料金所サーバシミュレータ、あるいは、車線監視制御装置シミュレータなどを備えるものであっても良い。
【0033】
次に、実施形態に係る模擬試験装置としての模擬試験システム2の構成例について説明する。
図3は、データ生成部3、アンテナシミュレータ5、および、車両挙動シミュレータ6として機能する装置の構成例を示すブロックである。
本実施形態において、データ生成部3、アンテナシミュレータ5、および、車両挙動シミュレータ6は、図3に示すような構成のコンピュータによって実現されるものとする。ただし、データ生成部3、アンテナシミュレータ5、および、車両挙動シミュレータ6は、それぞれを図3に示すような構成のコンピュータで実現して通信接続した模擬試験システムとしても良い。
【0034】
図3が示す構成例において、模擬試験システム2は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、データメモリ24、通信部25、操作部26、および、表示部27などを備える。
プロセッサ21は、ROM22、RAM23、データメモリ24、通信部25、操作部26および表示部27とデータバスなどを介して接続する。プロセッサ21は、模擬試験システム2全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ21は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ21は、内部メモリ、ROM22又はデータメモリ24が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0035】
例えば、プロセッサ21は、データ生成用のプログラムを実行することによりデータ生成部3として動作する。また、プロセッサ21は、アンテナシミュレート用のプログラムを実行することによりアンテナシミュレータ5として動作する。プロセッサ21は、車両挙動シミュレート用のプログラムを実行することにより車両挙動シミュレータ6として動作する。
【0036】
なお、プロセッサ21がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウェア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ21は、ハードウェア回路により実行される機能を制御する。
【0037】
ROM22は、制御プログラムおよび制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。
RAM23は、揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM23は、プロセッサ21からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM23は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータおよびアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0038】
データメモリ24は、データの書き込みおよび書き換えが可能な不揮発性のメモリである。データメモリ24は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。データメモリ24は、制御プログラム、種々の設定データ、および、各種のログデータなどを格納する。
【0039】
通信部25は、車線サーバ1などと通信するためのインターフェースである。例えば、通信部25は、ネットワークを通じて車線サーバ1などとデータを送受信するためのインターフェースである。例えば、通信部25は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースである。
【0040】
ただし、データ生成部3とアンテナシミュレータ5とを別々の装置で実現する場合、通信部25は、データ生成部3とアンテナシミュレータ5とが通信するためのインターフェースを含むものとしても良い。また、データ生成部3と車両挙動シミュレータ6とを別々の装置で実現する場合、通信部25は、データ生成部3と車両挙動シミュレータ6とが通信するためのインターフェースを含むものとしても良い。
【0041】
操作部26は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部26は、入力された操作を示す信号をプロセッサ21へ送信する。操作部26は、タッチパネルから構成されてもよい。
【0042】
表示部27は、プロセッサ21からの画像データを表示する。例えば、表示部27は、液晶モニタから構成される。操作部26がタッチパネルから構成される場合、表示部27は、操作部26と一体的に形成されてもよい。
【0043】
次に、実施形態に係る模擬試験システム2におけるデータ生成部3が生成する車両挙動データの例を説明する。
図4乃至6は、模擬試験システム2におけるデータ生成部3が生成する車両挙動データの構成例を示す図である。
図4は、模擬試験システム2におけるデータ生成部3が生成する車両挙動データの第1の構成例を示す図である。
図4に示す第1の構成例の車両挙動データは、レーンにおける車両1台分の車両挙動パターンAの車両挙動を示すシナリオとして設定される。図4に示す車両挙動パターンAは、車長が車両検知器S1と車両検知器S2との検知間隔よりも長い車両(例えば、普通車両)が正常にレーンを通行する場合の車両挙動を想定した車両挙動データの例である。
【0044】
図4に示す車両挙動データは、車両挙動パターンAを示す複数のレコード00~05が一かたまりのシナリオとして設定されたデータである。
図4に示す例において、レコード00は、車両検知器S1が車両を検知したことを示すデータである。レコード00の次のレコード01は、車両検知器S2が車両を検知したことを示すデータである。レコード01の次のレコード02は、車両検知器S1が車両の通過を検知し、当該車両が2軸であることを検知したことを示すデータである。レコード02の次のレコード03は、車両検知器S2が車両の通過を検知したことを示すデータである。レコード03の次のレコード04は、車両検知器S4が車両を検知したことを示すデータである。レコード04の次のレコード05は、車両検知器S4が車両の通過を検知したことを示すデータである。
【0045】
図5は、模擬試験システム2におけるデータ生成部3が生成する車両挙動データの第2の構成例を示す図である。
図5に示す第2の構成例としての車両挙動データは、レーンにおける車両1台分の車両挙動パターンBの車両挙動を示すシナリオとして設定される。図5に示す車両挙動パターンBは、車長が車両検知器S1と車両検知器S2との検知間隔よりも短い車両(例えば、軽車両)が正常にレーンを通行する場合の車両挙動を想定した車両挙動データの例である。
【0046】
図5に示す車両挙動データは、車両挙動パターンBを示す複数のレコード00~05が一かたまりのシナリオとして設定されたデータである。
図5に示す例において、レコード00は、車両検知器S1が車両を検知したことを示すデータである。レコード00の次のレコード01は、車両検知器S1が車両の通過を検知したことを示すデータである。レコード01の次のレコード02は、車両検知器S2が車両を検知したことを示すデータである。レコード02の次のレコード03は、車両検知器S2が車両の通過を検知したことを示すデータである。レコード03の次のレコード04は、車両検知器S4が車両を検知したことを示すデータである。レコード04の次のレコード05は、車両検知器S4が車両の通過を検知したことを示すデータである。
【0047】
図6は、模擬試験システム2におけるデータ生成部3が生成する車両挙動データの第3の構成例を示す図である。
図6に示す第3の構成例の車両挙動データは、レーンにおける2台の車両の挙動を示すシナリオ(追従走行のシナリオ)として設定される。図6に示す車両挙動データは、レーンにおける各車両検知器S1、S2、S4で2台の車両が検知される順番を含む検知結果を示す複数のレコード00~11が一かたまりのシナリオとして設定されたデータである。
【0048】
図6に示す例において、レコード00は、車両検知器S1が車両を検知(1台目の車両の進入)したことを示すデータである。レコード00の次のレコード01は、車両検知器S2が車両(1台目の車両)を検知したことを示すデータである。レコード01の次のレコード02は、車両検知器S1が車両(1台目の車両)の通過を検知したことを示すデータである。レコード02の次のレコード03は、車両検知器S2が車両(1台目の車両)の通過を検知したことを示すデータである。
【0049】
レコード03の次のレコード04は、車両検知器S1が車両を検知したこと(2台目の車両の進入)を示すデータである。レコード04の次のレコード05は、車両検知器S2が車両(2台目の車両)を検知したことを示すデータである。レコード05の次のレコード06は、車両検知器S1が車両(2台目の車両)の通過を検知したことを示すデータである。レコード06の次のレコード07は、車両検知器S4が車両(1台目の車両)を検知したことを示すデータである。ここで、車両検知器S2を通過した1台目の車両が車両検知器S4を検知されるまでの間に、レーンに進入した2台目の車両が車両検知器S1を通過することを示す。
【0050】
レコード07の次のレコード08は、車両検知器S2が車両(2台目の車両)の通過を検知したことを示すデータである。レコード08の次のレコード09は、車両検知器S4が車両(1台目の車両)の通過(1台目の車両の退出)を検知したことを示すデータである。レコード09の次のレコード10は、車両検知器S4が車両(2台目の車両)を検知したことを示すデータである。レコード10の次のレコード11は、車両検知器S4が車両(2台目の車両)の通過(2台目の車両の退出)を検知したことを示すデータである。
【0051】
次に、実施形態に係る模擬試験システム2が試験する事象として複数の車両が連続して走行する例について説明する。
図7および図8は、模擬試験システム2が試験する事象の例として複数の車両が連続して走行することを模式的に示す図である。
図7は、模擬試験システム2が異なる複数の車両が同じ車両挙動パターンで繰り返し連続走行を行う事象を模式的に示す図である。
図7に示す例は、異なる複数の車両データの車両A、B、Cが同じ車両挙動パターンAで無限に繰り返して連続走行する例を示す。すなわち、図7に示す連続走行は、車両Aが車両挙動パターンAで走行した後に車両Bが車両挙動パターンAで走行し、車両Bが車両挙動パターンAで走行した後に車両Cが車両挙動パターンAで走行し、車両Cが車両挙動パターンAで走行した後に車両Aが車両挙動パターンAで走行することを繰り返す。
【0052】
模擬試験システム2は、図7に示すような連続走行の試験を行う場合、車両A、B、Cの車両データと車両挙動パターンAの車両挙動データとをデータ生成部3により生成する。模擬試験システム2は、データ生成部3により生成した車両A、B、Cの車両データをアンテナシミュレータ5に供給し、データ生成部3により生成した車両挙動パターンAの車両挙動データを車両挙動シミュレータ6に供給する。
【0053】
模擬試験システム2のアンテナシミュレータ5は、車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8に各アンテナの動作として車両A、B、Cの車両データを供給する。また、模擬試験システム2の車両挙動シミュレータ6は、車両検知器の検知結果などを含む路側装置の動作として、車線サーバ1の監視制御部9に車両挙動パターンAの車両の挙動を示すデータを供給する。これにより、模擬試験システム2は、図7に示すような車両A、車両B、車両Cが順番に車両挙動パターンAで無限に繰り返して連続走行する場合の車線サーバ1の動作テストを実行できる。
【0054】
図8は、模擬試験システム2が同じ車両が異なる複数の車両挙動パターンで連続走行を行う事象を模式的に示す図である。
図8は、同じ車両データの車両Aが異なる車両挙動パターンA、B、Cで3回の連続走行を行う例を模式的に示す。図8に示す例では、同じ車両データの車両Aが車両挙動パターンAの走行し、車両挙動パターンBの走行し、車両挙動パターンAの走行することを順に繰り返す。模擬試験システム2は、車両Aの車両データの車両が、車両挙動パターンA、車両挙動パターンB、車両挙動パターンCの順番に走行した場合の試験を実行する。
【0055】
模擬試験システム2は、図8に示すような連続走行の試験を行う場合、車両Aの車両データと車両挙動パターンA、B、Cの車両挙動データとをデータ生成部3により生成する。模擬試験システム2は、データ生成部3により生成した車両Aの車両データをアンテナシミュレータ5に供給し、データ生成部3により生成した車両挙動パターンA、B、Cの3つの車両挙動データを車両挙動シミュレータ6に供給する。
【0056】
模擬試験システム2のアンテナシミュレータ5は、車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8に各アンテナの動作として車両Aの車両データを順次供給する。また、模擬試験システム2の車両挙動シミュレータ6は、車両検知器の検知結果などを含む路側装置の動作として、車線サーバ1の監視制御部9に車両挙動パターンAの車両挙動データと車両挙動パターンBの車両挙動データと車両挙動パターンCの車両挙動データとを順番に供給する。これにより、模擬試験システム2は、図8に示すような車両Aが順番に車両挙動パターンA、B、Cで連続して走行する場合の車線サーバ1の動作テストを実行できる。
【0057】
次に、実施形態に係る模擬試験システム2の動作について説明する。
まず、実施形態に係る模擬試験システム2による車線サーバ1に対する模擬試験の全体的な動作の流れについて説明する。
図9は、実施形態に係る模擬試験システム2の全体的な動作の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、ステップST11において、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データ生成部3により車両データおよび車両挙動データを生成するデータ生成処理を実行する。ここで、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データ生成用のプログラムを実行することによりデータ生成部3として動作して、試験に使用する車両データ、車両挙動データおよび繰り返し回数などを設定する。
【0058】
図10は、車両データの設定画面の例を示す図である。
【0059】
模擬試験システム2のプロセッサ21は、図10に示すような車両データの設定画面を表示部27に表示させて、データ生成部3による車両データの生成(登録)処理を実行する。ここで、プロセッサ21は、図10に示すような設定画面で指定する車両データをアンテナごとに設定するものとする。例えば、第1アンテナのシミュレータに対しては、第1アンテナが車載器から取得するデータを想定した車両データが設定される。プロセッサ21は、操作部26により第1アンテナに対する車両データの設定が指示された場合、第1アンテナに対する車両データの設定画面として図10に示すような設定画面を表示部27に表示する。
【0060】
図10に示す車両データの設定画面を表示した状態において、プロセッサ21は、操作部26による特定の車両に対応する編集の指示を受け付ける。特定の車両に対する編集ボタンが指示されると、プロセッサ21は、図11に示す車両データの編集画面を表示部27に表示する。
【0061】
図11は、車両データの編集画面の表示例を示す図である。
図11に示す車両データの編集画面では、指定された車両に対する車両データとして、処理種別、当該車両に搭載する車載器のセットアップ内容、および、当該車載器にセットされるETCカードの内容などの情報が指定(設定)される。
【0062】
図11に示す車両データの編集画面において、プロセッサ21は、処理種別として、「正常車」、「非ETC(車載器が未搭載の車両)」、「ICカード未挿入」、「異常処理の指定(路車間通信中の各通信タイミングにおけるタイムアウト、電文内容の異常)」、あるいは、「使用するデータの指定(自アンテナでETCカードに書き込んだデータの使用、第1又は再通信アンテナでETCカードに書き込んだデータの使用)」などの指定を受け付ける。
【0063】
また、図12および図13は、車両挙動データの設定画面の例を示す図である。
模擬試験システム2のプロセッサ21は、図12又は図13に示すような車両挙動データの設定画面を表示部27に表示させて、データ生成部3による車両挙動データの生成(登録)処理を実行する。プロセッサ21は、車両挙動データを複数レコードからなるシナリオとして設定する。さらに、プロセッサ21は、試験に使用する車両挙動データのシナリオと繰り返し回数とを設定する。
【0064】
図12又は図13に示す車両挙動データの設定画面において指定するフォルダからのデータの読み込みを指示されると、プロセッサ21は、指定されたフォルダに存在するデータファイル(DATファイル)を読み込む。プロセッサ21は、図12又は図13に示すように、読み込んだデータファイルの一覧を表示させる。ここで、指定のフォルダから読み込まれるデータファイルは、車両挙動データのシナリオを構成するパーツとして指定可能なレコード又はレコードの集合を格納するファイルである。例えば、「S1前進進入.dat」のデータファイルには、「車両検知器S1のオン」、「軸検知等のレコード」、および、「信号のタイミング」が含まれる。
【0065】
また、図12又は図13に示す設定画面において「シナリオ保存」ボタンが指示されると、プロセッサ21は、当該設定画面で指定されたデータファイル群(手動で作成した走行パターン)をシナリオファイルとして保存する。例えば、図12に示す「S1前進進入.dat」、「S2前進進入.dat」、および、「S1前進退出.dat」が順番に追加された状態で「シナリオ保存」が指示されると、プロセッサ21は、「S1前進進入.dat」、「S2前進進入.dat」および「S1前進退出.dat」を1つのシナリオファイルとして保存する。
【0066】
また、図12又は図13における「シナリオ読込」ボタンが指示されると、プロセッサ21は、指定されたシナリオファイルを読み込み、読み込んだシナリオファイルに含まれるデータファイル(dat)群を画面の右側の表示エリア(再生・編集データの表示エリア)に表示する。
【0067】
データファイルの一覧において指定されたデータファイルの追加が指示されると、プロセッサ21は、指定されたデータファイルを車両挙動データのシナリオを構成するパーツとして設定する。これにより、プロセッサ21は、順番に追加されるデータファイルに格納されているレコードを順番に並べた車両挙動データのシナリオを設定(生成)する。例えば、「S1前進進入.dat」、「S2進入.dat」、「S1前進退出.dat」、「S2退出.dat」、「S4前進進入.dat」、「S4前進退出.dat」が順番に追加されると、プロセッサ21は、図4に示すような車両挙動データを生成する。
【0068】
また、プロセッサ21は、図12又は図13に示す車両挙動データの設定画面において連続回数の指定を受け付ける。プロセッサ21は、車両挙動データの設定画面において繰り返し回数が指定されると、当該設定画面で設定する車両挙動データのシナリオに対する指定情報として繰り返し回数を設定する。
【0069】
データ生成部3により車両データおよび車両挙動データを生成すると、模擬試験システム2のプロセッサ21は、車線サーバ1とシミュレータ4とを接続する。例えば、プロセッサ21は、アンテナシミュレータ5と車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8とを接続し、車両挙動シミュレータ6と車線サーバ1の監視制御部9とを接続する。
【0070】
図9に戻り、ステップST12において、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データ生成部3からアンテナシミュレータ5へ車両データを送信し、データ生成部3から車両挙動シミュレータ6へ車両挙動データを送信させる送信処理を実行する。プロセッサ21は、車両データおよび車両挙動データの送信が成功したか否かを監視する。
【0071】
ステップST13において、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データ生成部3からの各データの送信が成功した場合(ST12でYESの場合)、アンテナシミュレータ5および車両挙動シミュレータ6によるシミュレータ処理を実行する。例えば、模擬試験システム2のプロセッサ21は、アンテナシミュレータ5によりデータ生成部3から取得した車両データによってアンテナの動作をシミュレートし、車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8と通信する。また、模擬試験システム2のプロセッサ21は、車両挙動シミュレータ6によりデータ生成部3から取得した車両挙動データに基づいて路側装置の動作をシミュレートした出力信号を車線サーバ1の監視制御部9へ供給する。
【0072】
ステップST14において、模擬試験システム2のプロセッサ21は、アンテナシミュレータ5および車両挙動シミュレータ6の動作による処理結果を示すログデータをデータメモリ24などのメモリに保存する。例えば、プロセッサ21は、各シミュレータおよび車線サーバ1などにおいて生成された動作ログをデータメモリ24に保存する。また、模擬試験システム2のプロセッサ21は、ログデータなどを表示部27に表示することによりオペレータに提示するものであってもよい。また、模擬試験システム2のプロセッサ21は、ログデータを外部装置に送信するようにしても良い。
【0073】
次に、模擬試験システム2においてデータ生成部3から車両挙動シミュレータ6へデータを送信するデータ送信処理について説明する。
図14は、模擬試験システム2においてデータ生成部3から車両挙動シミュレータ6へのデータ送信処理の動作例について説明するためのフローチャートである。
ここで、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データメモリ24などに記憶したデータ生成用のプログラムを実行することによりデータ生成部3として動作するものとする。
【0074】
まず、ステップST21において、模擬試験システム2のデータ生成部3は、車両挙動シミュレータ6へ供給すべき全ての車両挙動データを登録する。データ生成部3は、上述したような車両挙動データの設定画面を用いてオペレータが指定する車両挙動データを生成する。車両挙動データは、複数のレコードを並べたシナリオとして生成される。また、データ生成部3は、車両挙動データのシナリオに対してオペレータが指定する繰り返し回数を設定する。
【0075】
ステップST22において、データ生成部3は、車両挙動シミュレータ6へのデータ送信処理として、オペレータに指示に応じて登録された車両挙動データのシナリオを送信する。
【0076】
ステップST23において、と繰り返し回数とを車両挙動シミュレータ6へ送信する。
【0077】
ステップST24において、データ生成部3は、車両挙動シミュレータ6へ車両挙動データと繰り返し回数とを供給するデータ送信が成功したか失敗したかを監視する。
【0078】
ステップST25において、データ生成部3は、車両挙動シミュレータ6へのデータ送信が失敗した場合(ST24、NO)、データ送信の失敗回数が所定回数であるか否かをチェックする(ST25)。データ送信の失敗回数が所定回数でなければ(ST25、NO)、データ生成部3は、ステップST23へ戻って車両挙動シミュレータ6へのデータ送信をリトライする。
【0079】
ステップST26において、データ生成部3は、車両挙動シミュレータ6へのデータ送信が成功した場合(ST24、YES)、車両挙動シミュレータ6へのデータ送信結果を成功とし、データ送信処理を終了する。
【0080】
ステップST27において、データ生成部3は、データ送信の失敗回数が所定回数に達した場合(ST25、YES)、車両挙動シミュレータ6へのデータ送信結果を失敗とし、車両挙動シミュレータ6へのデータ送信処理を終了する。
【0081】
次に、模擬試験システム2におけるデータ生成部3からアンテナシミュレータ5へのデータ送信処理について説明する。
図15は、模擬試験システム2におけるデータ生成部3からアンテナシミュレータ5に対するデータ送信処理の動作例について説明するためのフローチャートである。
ここで、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データメモリ24などに記憶したデータ生成用のプログラムを実行することによりデータ生成部3として動作するものとする。
【0082】
ステップST31において、模擬試験システム2のデータ生成部3は、アンテナシミュレータ5へ供給すべき車両データを登録する。データ生成部3は、上述したような車両データの設定画面を用いてオペレータが指定する車両データを生成して登録する。データ生成部3は、車両データとして、車載器のセットアップ内容とETCカードの内容とに加えて処理種別などの指定情報を設定する。上述したように、車両データの指定情報には、アンテナが車線サーバ1へ出力するデータを指定する情報が含まれる。例えば、車両データの指定情報には、「オペレータが指定した車両データ」、「自アンテナでETCカードに書き込んだデータ」、あるいは、「他のアンテナでETCカードに書き込んだデータ」を使用することを指定する情報が含まれる。
【0083】
ステップST32において、データ生成部3は、アンテナシミュレータ5へのデータ送信処理として、オペレータが登録した車両データを送信する。
【0084】
ステップST33において、車両データの指定情報をアンテナシミュレータ5へ送信する。
【0085】
ステップST34において、データ生成部3は、アンテナシミュレータ5へ車両データと車両データの指定情報とを供給するデータ送信が成功したか失敗したかを監視する。
【0086】
ステップST35において、データ生成部3は、アンテナシミュレータ5へのデータ送信が失敗した場合(ST34、NO)、データ送信の失敗回数が所定回数であるか否かをチェックする。データ生成部3は、データ送信の失敗回数が所定回数でなければ(ST35、NO)、ステップST33へ戻ってアンテナシミュレータ5へのデータ送信をリトライする。
【0087】
ステップST36において、データ生成部3は、アンテナシミュレータ5へのデータ送信が成功した場合(ST34、YES)、アンテナシミュレータ5へのデータ送信結果を成功とし、データ送信処理を終了する。
【0088】
ステップST37において、データ生成部3は、データ送信の失敗回数が所定回数に達した場合(ST35、YES)、アンテナシミュレータ5へのデータ送信結果を失敗とし、アンテナシミュレータ5へのデータ送信処理を終了する。
【0089】
次に、模擬試験システム2における車両挙動シミュレータ6による処理について説明する。
図16は、模擬試験システム2における車両挙動シミュレータ6による処理の動作例について説明するためのフローチャートである。
ここで、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データメモリ24などに記憶した車両挙動シミュレータ用のプログラムを実行することにより車両挙動シミュレータ6として動作するものとする。
【0090】
ステップST41において、模擬試験システム2の車両挙動シミュレータ6は、データ生成部3から車両挙動データおよび繰り返し回数などの情報を含むデータを受信する。
【0091】
ステップST42において、模擬試験システム2の車両挙動シミュレータ6は、データ生成部3から受信した車両挙動データおよび繰り返し回数などの情報を含むデータを保存する。例えば、車両挙動シミュレータ6は、RAM23又はデータメモリ24に設定した車両挙動シミュレータ用の記憶領域に車両挙動データおよび繰り返し回数などの情報などのデータを保存する。
【0092】
ステップST43において、車両挙動シミュレータ6は、保存した車両挙動データに対する指定情報を設定する。車両挙動データの指定情報は、保存した車両挙動データから使用するシナリオおよびレコードを指定するための情報である。ここでは、車両挙動シミュレータ6は、シナリオを示す変数として「N」を定義し、レコードを示す変数として「M」を定義するものとする。
【0093】
ステップST44において、車両挙動シミュレータ6は、シナリオを示す変数Nとレコードを示す変数Mとに初期値を設定する。ここで、車両挙動シミュレータ6は、NおよびMの初期値としてN=1およびM=1を設定するものとする。
【0094】
ステップST45において、車両挙動シミュレータ6は、走行開始が実行済み(走行試験開始が実行された状態)であるか否かをチェックする。
走行開始が実行済みでない場合(ST45、NO)、車両挙動シミュレータ6は、走行開始が実行済みかをチェックすることを繰り返すことにより、走行試験開始が実行された状態となるのを待つ。
【0095】
ステップST46において、車両挙動シミュレータ6は、走行開始が実行済みである場合(ST45、YES)、シミュレートした走行回数が指定回数以下であるか否かを判断する。
【0096】
ステップST47において、車両挙動シミュレータ6は、走行回数が指定回数以下である場合(ST46、YES)、保存したデータに含まれるN番目のシナリオにおけるM番目のレコードを実行する。
【0097】
例えば、N=1かつM=1であれば、車両挙動シミュレータ6は、1つ目のシナリオとなる車両挙動データにおける1つ目のレコードのデータを車検接点データに変換する。ここで、車検接点データは、車線サーバ1の監視制御部9が実際の車両検知器などを含む路側装置から入力する形式の信号である。車両挙動シミュレータ6は、指定の車両挙動データから変換した車検接点データをシミュレータ4内に設けた別のシミュレータやIF変換装置などを経由して車線サーバ1へ供給する。
【0098】
ステップST48において、車両挙動シミュレータ6は、N番目のシナリオにおけるM番目のレコードを実行した後、N番目のシナリオにM+1番目のレコードが存在するか否かをチェックする。
【0099】
ステップST49において、車両挙動シミュレータ6は、N番目のシナリオにM+1番目のレコードが存在する場合(ST48、YES)、M=M+1とし、実行対象の次のレコードを設定する。車両挙動シミュレータ6は、M=M+1とした後、ステップST47へ戻って次にレコードに対する上述したような処理を実行する。
【0100】
ステップST50において、車両挙動シミュレータ6は、N番目のシナリオにM+1番目のレコードが存在しない場合(ST48、NO)、保存されたデータにN+1番目のシナリオが存在するか否かをチェックする。
【0101】
ステップST51において、車両挙動シミュレータ6は、N+1番目のシナリオが存在する場合(ST50、YES)、N=N+1かつM=1とし、上述したステップST46へ戻る。これにより、車両挙動シミュレータ6は、データ生成部3から供給された車両挙動データのシナリオにおける次のシナリオを用いた処理を実行することになる。
【0102】
ステップST52において、車両挙動シミュレータ6は、N+1番目のシナリオが存在しない場合(ST50、NO)、N=1かつM=1とし、上述したステップS46へ戻る。
この場合、車両挙動シミュレータ6は、ステップS46において、1番目のシナリオによる走行試験を再び実行するかをチェックする。ここで、車両挙動シミュレータ6は、走行回数が指定回数以下であれば(ST46、YES)、1番目のシナリオによる走行試験を再び実行し、走行回数が指定回数を超えていれば(ST46、NO)、処理を終了する。
【0103】
以上のような処理によって、模擬試験システム2の車両挙動シミュレータ6は、データ生成部3から供給されたN個のシナリオの車両挙動データに基づく走行試験のシミュレートを指定回数分実行することができる。
【0104】
次に、実施形態に係る模擬試験システム2におけるアンテナシミュレータ5による処理について説明する。
図17は、実施形態に係る模擬試験システム2におけるアンテナシミュレータ5による処理の動作例について説明するためのフローチャートである。
ここで、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データメモリ24などに記憶したアンテナシミュレータ用のプログラムを実行することによりアンテナシミュレータ5として動作するものとする。
【0105】
ステップST61において、模擬試験システム2のアンテナシミュレータ5は、データ生成部3から車両データおよび車両データの指定情報などの情報を含むデータを受信する。
【0106】
ステップST62において、模擬試験システム2のアンテナシミュレータ5は、データ生成部3から受信した車両データおよび車両データの指定情報などの情報を含むデータを保存する。例えば、アンテナシミュレータ5は、RAM23又はデータメモリ24に設定したアンテナシミュレータ用の記憶領域に車両データおよび車両データの指定情報などのデータを保存する。
【0107】
ステップST63において、アンテナシミュレータ5は、通信対象の車両を示す変数Nに初期値(N=1)を設定する。これにより、アンテナシミュレータ5は、1台目の車両データを通信対象に指定する。
【0108】
ステップST64において、アンテナシミュレータ5は、通信対象に指定された車両データをセットする。例えば、N=1であれば、アンテナシミュレータ5は、1台目の車両データを通信対象としてセットする。また、アンテナシミュレータは、車両データと共に車両データの指定情報をセットする。
【0109】
ステップST65において、アンテナシミュレータ5は、通信開始実行済みであるか、および、通信制御部シミュレータからの要求を受信したかをチェックする。ここで、通信開始未実行、又は、通信制御部シミュレータからの要求未受信である場合(ST65、NO)、アンテナシミュレータ5は、通信開始の実行、および、通信制御部シミュレータからの要求受信待ちとなる。
【0110】
ステップST66において、アンテナシミュレータ5は、通信開始実行済み、かつ、通信制御部シミュレータからの要求を受信済みである場合(ST65、YES)、車両データ送信処理を実行する。車両データ送信処理については、後で詳細に説明する。
【0111】
ステップST67において、アンテナシミュレータ5は、通信対象にセットしているN台目の車両に関する車両データが通信完了したか否かをチェックする。ここで、N台目の通信が完了していない場合(ST67、NO)、アンテナシミュレータ5は、ステップST65へ戻り、当該車両に対する処理を引き続き実行する。
【0112】
ステップST68において、アンテナシミュレータ5は、N台目の車両データの通信が完了している場合(ST67、YES)、ログデータをデータメモリ24に記録する。
【0113】
ステップST69において、アンテナシミュレータ5は、次の車両(N+1台目の車両)の指定があるか否かをチェックする。
【0114】
ステップST70において、アンテナシミュレータ5は、N+1台目の車両の指定がある場合(ST69、YES)、N=N+1とし、上記ステップST64へ戻る。これにより、アンテナシミュレータ5は、通信対象とする車両データを更新し、上述した処理を繰り返し実行する。
【0115】
ステップST71において、アンテナシミュレータ5は、N+1台目の車両の指定がない場合(ST69、NO)、N=1とし、上記ステップST64へ戻る。これにより、アンテナシミュレータ5は、通信対象とする車両データを更新し、上述した処理を繰り返し実行する。
【0116】
以上のような処理により、アンテナシミュレータ5は、1台目、2台目、…と指定した複数の車両データを順番に処理するようにできる。また、アンテナシミュレータ5は、指定された台数分の車両データの通信が終わった場合は1台目の車両データから繰り返して処理を実行できる。
【0117】
次に、実施形態に係る模擬試験システム2におけるアンテナシミュレータ5による車両データ送信処理について説明する。
図18は、実施形態に係る模擬試験システム2におけるアンテナシミュレータ5による車両データ送信処理の動作例について説明するためのフローチャートである。
ここで、模擬試験システム2のプロセッサ21は、データメモリ24などに記憶したアンテナシミュレータ用のプログラムを実行することによりアンテナシミュレータ5による車両データ送信処理を実行する。
【0118】
ステップST81において、アンテナシミュレータ5は、車線サーバ1の通信制御部シミュレータからの要求を受信し、受信した要求に対しての異常処理の指定があるか否かをチェックする。異常処理の指定には、路車間通信中の各通信タイミングにおけるタイムアウト、又は、電文内容の異常処理などが含まれる。
【0119】
ステップST82において、アンテナシミュレータ5は、異常処理の指定がある場合(ST81、YES)、指定された異常処理を実行する。例えば、Action1通信異常(タイムアウト)が指定された場合、アンテナシミュレータ5は、Action1の通信要求が来た際に応答を返さない異常処理を実行してタイムアウトを発生させる。
【0120】
ステップST83において、アンテナシミュレータ5は、異常処理の指定がない場合(ST81、NO)、正常処理を実行する。例えば、アンテナシミュレータ5は、生成した車両データを正常送信したり、正常の応答を返したりする。ここで、「生成した車両データ」には、正常ETC車の車両データだけでなく、異常ETC車や非ETC車などのデータ生成部3が生成可能な車両データが含まれる。
【0121】
ステップST84において、アンテナシミュレータ5は、アンテナでの通信が完了済み、かつ、書込データの反映(書込情報の使用)がありか否かをチェックする。ここで、アンテナシミュレータ5は、シミュレートするアンテナに応じて条件をチェックする。
【0122】
例えば、アンテナシミュレータ5は、第1アンテナA1のシミュレータとして動作する場合、「自アンテナ書込データ反映」が指定されていれば、第1アンテナでの通信完了かつ書込データの反映の有無をチェックする。また、アンテナシミュレータ5は、再通信アンテナのシミュレータとして動作する場合、「自アンテナ書込データ反映」が指定されていれば再通信アンテナでの通信完了かつ書込データの反映の有無をチェックし、「第1アンテナ書込データ反映」が指定されていれば第1アンテナでの通信完了かつ書込データの反映の有無をチェックする。また、アンテナシミュレータ5は、第2アンテナのシミュレータとして動作する場合、「自アンテナ書込データ反映」が指定されていれば第2アンテナでの通信完了かつ書込データの反映ありかをチェックし、「第1又は再通信アンテナ書込データ反映」が指定されていれば第1又は再通信アンテナでの通信完了かつ書込データの反映の有無をチェックする。
【0123】
アンテナでの通信が完了していない場合、又は、書込データの反映(書込情報の使用)がなしである場合(ST84、NO)、アンテナシミュレータ5は、車両データをそのままの状態として車両データ送信処理を終了する。
【0124】
ステップST85において、アンテナシミュレータ5は、アンテナでの通信が完了済み、かつ、書込データの反映がありである場合(ST84、YES)、車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8からのDOWNデータを取得する。ここで、DOWNデータは、処理中の車両の車載器にセットされているETCカードに書き込むべきデータに相当する。例えば、DOWNデータは、車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8が第1アンテナに対してETCカードへの書き込みを要求するデータである。
【0125】
ステップST86において、アンテナシミュレータ5は、対象アンテナのN台目(処理中の車両)の車両データに車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8から取得したDOWNデータを上書きする。例えば、再通信アンテナArの処理において車両データの指定情報で「自アンテナでETCカードに書き込んだデータを使用」の指定がされている場合、アンテナシミュレータ5は、再通信アンテナArが取得する車両データとして再通信アンテナArの通信結果(ETCカードへの書込データ)を設定する。
【0126】
なお、書込データの反映(書込情報の使用)の処理は、上述した処理例では第1/再通信/第2アンテナシミュレータで実行する方法を例示したが、データ生成部3で実行するようにしても良い。データ生成部3で書込データを反映させる処理を実行する場合、アンテナシミュレータ5は、車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8から受信するDOWNデータをデータ生成部3に転送する。データ生成部3は、通信制御部シミュレータ8からのDOWNデータを基に書込データを反映した車両データを生成し、アンテナシミュレータ5に送信する。これにより、アンテナシミュレータ5は、データ生成部3がDOWNデータを基に生成した車両データを用いて応答を実行するようにできる。
【0127】
以上のような処理により、アンテナシミュレータ5は、車線サーバ1の通信制御部シミュレータ8からの要求に応じて異常処理又は正常処理を実行できる。また、アンテナシミュレータ5は、車線サーバ1からのDOWNデータに基づいて第1又は再通信アンテナがETCカードに書き込むべき書込データを反映した車両データを自動生成することができる。
【0128】
上述したように、実施形態に係る模擬試験システムによれば、データ生成部が車両挙動データと車両データとを生成することにより、手動による試験準備の手間と試験実施の負荷とが軽減できる。
【0129】
また、実施形態に係る模擬試験システムによれば、データ生成部が連続走行の試験を行うためのデータを設定でき、長時間の複数車両による連続走行の試験が容易に実施可能となる。例えば、実施形態に係る模擬試験システムによれば、同じ車両が同じ車両挙動で連続走行する場合、同じ車両が異なる車両挙動で連続走行する場合、異なる車両が同じ車両挙動で連続走行する場合、あるいは、異なる車両が異なる車両挙動で連続する場合の車両データと車両挙動データとを容易に生成することができる。
【0130】
また、実施形態に係る模擬試験システムによれば、第1、再通信又は第2アンテナでの通信後におけるETCカードへの書込データを反映した車両データの生成を自動化でき、煩雑な手動操作が不要となる。
さらに、実施形態に係る模擬試験システムによれば、路車間通信中の各通信タイミングにおけるタイムアウト又は電文内容の異常などの異常処理を試験する場合の手動操作も不要となり、異常処理を含む模擬試験を容易に実施することができるの。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
1…車線サーバ、2…模擬試験システム、3…データ生成部、4…シミュレータ、5…アンテナシミュレータ、6…車両挙動(路側)シミュレータ、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…データメモリ、25…通信部、26…操作部、27…表示部、S1、S2、S4…車両検知器、A1…第1アンテナ、A2…第2アンテナ、Ar…再通信アンテナ。
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