(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005642
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20230111BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107680
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123375
【弁理士】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】矢田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】塙 大
(72)【発明者】
【氏名】村中 庸志
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA28
2H270LD03
2H270MB04
2H270MC23
2H270MC24
2H270MD05
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EF02
2H300EF06
2H300EG02
2H300EH34
2H300EH35
2H300EH36
2H300FF05
2H300GG27
2H300RR38
2H300RR39
2H300RR40
2H300RR50
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】印刷画像の高い品質を確保することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置(1)は、第1の画像形成部(10K)と、第2の画像形成部(10C、10M、10Y)と、転写ベルトユニット(70)と、検出部(74)とを備え、制御部(90)は、第1の画像形成部に調整パターンを形成させ(S11)、検出部による検出の結果に基づいて、第1の色ずれ補正パターンの位置を決定する(S12、S13)処理と、第1の画像形成部に第1の色ずれ補正パターンを形成させ(S14)、第2の画像形成部に第2の色ずれ補正パターンを第1の色ずれ補正パターンに重なるように形成させ(S14)、検出部による第1の色ずれ補正パターン及び第2の色ずれ補正パターンの検出の結果に基づいて色ずれ量を算出する(S15)処理と、を行い、色ずれ量に基づいて第1の画像形成部及び第2の画像形成部による印刷動作を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の像担持体上に第1のトナーで第1のトナー画像を形成する第1の画像形成部と、
第2の像担持体上に前記第1のトナーとは異なる第2のトナーで第2のトナー画像を形成する第2の画像形成部と、
所定のベルト走行方向に走行する転写ベルトを有し、前記第1のトナー画像及び前記第2のトナー画像を前記転写ベルト上に転写する転写ベルトユニットと、
前記転写ベルト上に転写された前記第1のトナー画像及び前記第2のトナー画像を検出する検出部と、
前記第1の画像形成部、前記第2の画像形成部、及び前記転写ベルトユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の画像形成部に前記第1の像担持体に基づいて予め決められた調整パターンを前記転写ベルト上に形成させ、前記検出部による前記調整パターンの検出の結果に基づいて、前記第1のトナーからなる所定の第1の色ずれ補正パターンの位置を決定する処理と、
前記第1の画像形成部に前記第1の色ずれ補正パターンを前記転写ベルト上に形成させ、前記第2の画像形成部に前記第2のトナーからなる所定の第2の色ずれ補正パターンを前記第1の色ずれ補正パターンに重なるように前記転写ベルト上に形成させ、前記検出部による前記第1の色ずれ補正パターン及び第2の色ずれ補正パターンの検出の結果に基づいて、前記第1の色ずれ補正パターンと第2の色ずれ補正パターンとの間の色ずれ量を算出する処理と
を行い、
前記色ずれ量に基づいて前記第1の画像形成部及び前記第2の画像形成部による印刷動作を制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記調整パターンは、前記第1の像担持体の1周期をN等分(Nは2以上の整数)して得られたN個の位相のそれぞれに対応する前記ベルト走行方向の位置に配置された複数のトナー領域を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
第1の像担持体上に第1のトナーで第1のトナー画像を形成する第1の画像形成部と、
第2の像担持体上に前記第1のトナーとは異なる第2のトナーで第2のトナー画像を形成する第2の画像形成部と、
所定のベルト走行方向に走行する転写ベルトと前記転写ベルトを走行させる駆動ローラと駆動ローラを駆動させる駆動ギアとを有し、前記第1のトナー画像及び前記第2のトナー画像を前記転写ベルト上に転写する転写ベルトユニットと、
前記転写ベルト上に転写された前記第1のトナー画像及び前記第2のトナー画像を検出する検出部と、
前記第1の画像形成部、前記第2の画像形成部、及び前記転写ベルトユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の画像形成部に前記第1の像担持体に基づいて予め決められた第1の調整パターンを前記転写ベルト上に形成させ、前記検出部による前記第1の調整パターンの検出の結果に基づいて、前記第1のトナーからなる所定の第1の色ずれ補正パターンの位置を決定する処理と、
前記第1の画像形成部に前記駆動ギアに基づいて予め決められた第2の調整パターンを前記転写ベルト上に形成させ、前記検出部による前記第2の調整パターンの検出の結果に基づいて、前記第1のトナーからなる前記第1の色ずれ補正パターンの位置を決定する処理と、
前記第1の画像形成部に前記第1の色ずれ補正パターンを前記転写ベルト上に形成させ、前記第2の画像形成部に前記第2のトナーからなる所定の第2の色ずれ補正パターンを前記第1の色ずれ補正パターンに重なるように前記転写ベルト上に形成させ、前記検出部による前記第1の色ずれ補正パターン及び第2の色ずれ補正パターンの検出の結果に基づいて、前記第1の色ずれ補正パターンと第2の色ずれ補正パターンとの間の色ずれ量を算出する処理と
を行い、
前記色ずれ量に基づいて前記第1の画像形成部及び前記第2の画像形成部による印刷動作を制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の調整パターンは、前記第1の像担持体の1周期をN等分(Nは2以上の整数)して得られたN個の位相のそれぞれに対応する前記ベルト走行方向の位置に配置された複数のトナー領域を含み、
前記第2の調整パターンは、前記駆動ギアの1周期をQ等分(Qは2以上の整数)して得られたQ個の位相のそれぞれに対応する前記ベルト走行方向の位置に配置された複数のトナー領域を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記Nは、8以上の整数であることを特徴とする請求項2又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記Nは、8以上の整数であり、前記Qは、4以上の整数であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の色ずれ補正パターンは、前記ベルト走行方向に並ぶ複数の第1のトナー領域を含み、
前記第2の色ずれ補正パターンは、前記ベルト走行方向に並ぶ複数の第2のトナー領域を含む
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記色ずれ量に基づく前記印刷動作の制御は、第1の露光装置によって前記第1の像担持体に画像データに基づいて光を照射する露光タイミング及び第2の露光装置によって前記第2の像担持体に前記画像データに基づいて光を照射する露光タイミングとの制御を含む
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー画像を形成する画像形成装置では、複数の画像形成部(印刷機構)によって媒体上に形成された複数のトナー画像の間の位置ずれ(色ずれ)を補正するための処理である色ずれ補正が行われる。色ずれ補正では、各画像形成部によって転写ベルト上に各色のトナー画像である色ずれ補正パターンが形成され、反射強度センサによって色ずれ補正パターンからの反射光の強度が検出され、この検出の結果に基づいて各画像形成部における画像形成動作のタイミングが補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記画像形成装置では、各種の要因(例えば、感光体ドラムの偏心)によって、色ずれ量に周期的変動が生じ、ベルト上に転写された色ずれ補正パターンの範囲内で相対的な位置ずれを起こしてしまう場合がある。この場合、色ずれ補正が適切に行われず、印刷画像の品質が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、印刷画像の高い品質を確保することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、第1の像担持体上に第1のトナーで第1のトナー画像を形成する第1の画像形成部と、第2の像担持体上に前記第1のトナーとは異なる第2のトナーで第2のトナー画像を形成する第2の画像形成部と、所定のベルト走行方向に走行する転写ベルトを有し、前記第1のトナー画像及び前記第2のトナー画像を前記転写ベルト上に転写する転写ベルトユニットと、前記転写ベルト上に転写された前記第1のトナー画像及び前記第2のトナー画像を検出する検出部と、前記第1の画像形成部、前記第2の画像形成部、及び前記転写ベルトユニットを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の画像形成部に前記第1の像担持体に基づいて予め決められた調整パターンを前記転写ベルト上に形成させ、前記検出部による前記調整パターンの検出の結果に基づいて、前記第1のトナーからなる所定の第1の色ずれ補正パターンの位置を決定する処理と、前記第1の画像形成部に前記第1の色ずれ補正パターンを前記転写ベルト上に形成させ、前記第2の画像形成部に前記第2のトナーからなる所定の第2の色ずれ補正パターンを前記第1の色ずれ補正パターンに重なるように前記転写ベルト上に形成させ、前記検出部による前記第1の色ずれ補正パターン及び第2の色ずれ補正パターンの検出の結果に基づいて、前記第1の色ずれ補正パターンと第2の色ずれ補正パターンとの間の色ずれ量を算出する処理とを行い、前記色ずれ量に基づいて前記第1の画像形成部及び前記第2の画像形成部による印刷動作を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷画像の高い品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る画像形成装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る画像形成装置の位相差調整動作を示すフローチャートである。
【
図4】感光体ドラムの1周期を8等分して得られた位相i(i=0,…,7)を示す図である。
【
図5】ベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域を有する位相差調整パターンと、位相差調整パターンからの反射光の強度を検出する反射強度センサの出力の例を示す図である。
【
図6】位相差調整パターンを構成するトナー領域の検出予定時刻と実際の検出時刻との差を示す図である。
【
図7】位相差に基づく色ずれ補正パターンの調整動作を示す図である。
【
図8】(a)から(d)は、基準色及び計測色の色ずれ補正パターンの一部を示し、(e)は、基準色及び計測色の色ずれ補正パターン及び転写ベルトの反射率を示す。
【
図9】色ずれ量の周期変動が小さい画像形成装置でベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる基準色の色ずれ補正パターンとベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる計測色の色ずれ補正パターンとが転写ベルト上に形成された例を示す図である。
【
図10】色ずれ量の周期変動が大きい画像形成装置でベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる基準色の色ずれ補正パターンとベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる計測色の色ずれ補正パターンとが転写ベルト上に形成された例を示す図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る画像形成装置の位相差調整動作を示すフローチャートである。
【
図12】転写ベルトの駆動ローラの駆動ギアの1周期を4等分して得られた位相q(q=0,…,3)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、各実施の形態を適宜変更すること及び実施の形態の構成を適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
《1》第1の実施の形態
《1-1》構成
〈画像形成装置〉
図1は、第1の実施の形態に係る画像形成装置1の構成を概略的に示す断面図である。画像形成装置1は、電子写真方式によって用紙などの記録媒体上に画像を形成する装置である。画像形成装置1は、カラー画像を形成することができるカラープリンタである。
【0011】
図1に示されるように、画像形成装置1は、現像剤(トナー)によってトナー画像を形成する4つの画像形成部(印刷機構)、すなわち、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の画像をそれぞれ形成する画像形成部10K、10C、10M、10Yを有している。画像形成部10K、10C、10M、10Yは、用紙60の搬送方向D71の上流側から順に1列に配置されている。また、画像形成部10K、10C、10M、10Yの各々には、露光装置(印刷ヘッド)であるLED(Light Emitting Diode)ヘッド21が備えられている。また、画像形成部10K、10C、10M、10Yの下部には転写ベルトユニット70が備えられている。
【0012】
画像形成装置1は、複数の用紙60が積載される給紙カセット61と、複数の用紙60から1枚ずつ用紙60を搬送路に送り出すピックアップローラである給紙ローラ62と、給紙ローラ62によって送り出された用紙60を画像形成部10K、10C、10M、10Yに向けて搬送する搬送ローラ63とを有している。
【0013】
転写ベルトユニット70は、駆動ローラ72と、従動ローラ73と、これらに張架された無端状の転写ベルト71とを有している。転写ベルト71は、画像形成部10K、10C、10M、10Yにおける位相差調整時に位相差調整パターン(「調整パターン」ともいう)が形成され、色ずれ補正動作時に色ずれ補正パターンが形成される媒体である。駆動ローラ72は、駆動ギアを備えており、ベルト駆動モータ27(後述の
図2に示される。)から駆動ギアに伝達される駆動力によって回転する。転写ベルト71は、用紙60を静電吸着する。転写ベルト71の回転(すなわち、搬送方向D71の移動)に伴い、用紙60は搬送される。転写ベルトユニット70は、転写ベルト71を挟んで感光体ドラム12の反対側に配置された転写ローラ18を有している。また、転写ベルトユニット70は、転写ベルト71の外周面に接して、転写ベルト71の外周面に残るトナーを除去する転写クリーニング部としてのベルトクリーニングブレード75と、これによって掻き取られたトナーを収容する廃トナー回収容器76とを有している。また、転写ベルトユニット70は、転写ベルト71に対向する位置には、位相差調整及び色ずれ補正などに使用される反射光の検出部である反射強度センサ74を有している。第1の実施の形態では、2台の反射強度センサ74が主走査方向に間隔を開けて予め決められた位置に配置されている。ただし、反射強度センサ74の台数は、2台に限定されず、1台でもよく、又は3台以上であってもよい。
【0014】
画像形成装置1は、画像形成部10K、10C、10M、10Yから用紙60に転写された現像剤画像であるトナー画像を、加熱及び加圧することによって用紙60上に定着する定着器19を有している。定着器19は、加熱ローラ19a及び加圧ローラ19bを有している。また、画像形成装置1は、トナー画像が定着された用紙60を画像形成装置1の外部に排出する排出ローラ77と、排出された用紙60が積載されるスタッカ部78とを有している。給紙ローラ62、搬送ローラ63、転写ベルトユニット70、及び排出ローラ77などは、用紙搬送部を構成している。なお、用紙搬送部の構成は、図示の例に限定されない。また、画像形成部の数は、2台以上であればよい。
【0015】
画像形成部10K、10C、10M、10Yは、トナーカートリッジ11から供給されるトナー11aの種類以外については、互いに同じ構造を有している。したがって、画像形成部10K、10C、10M、10Yの各々を、「画像形成部10」とも表記する。画像形成部10は、像担持体としての感光体ドラム12と、帯電部材としての帯電ローラ13と、現像剤担持体としての現像ローラ16と、感光体ドラム12用のクリーニング部としてのクリーニングブレード17と、現像剤供給部材としての供給ローラ15と、現像剤規制部材としての現像ブレード14とを有している。
【0016】
感光体ドラム12は、ドラム駆動モータ28(後述の
図2に示される。)によって付与される駆動力によって回転する。感光体ドラム12の表面には静電潜像が形成される。帯電ローラ13、LEDヘッド21、及び現像ローラ16は、感光体ドラム12の周囲に配置されている。
【0017】
帯電ローラ13には、帯電ローラ用電源29(後述の
図2に示される。)によって所定のバイアス電圧が印加されている。帯電ローラ13は、感光体ドラム12の回転に伴って従動回転し、感光体ドラム12の表面を一様に帯電する。
【0018】
LEDヘッド21は、例えば、画像形成装置1の本体構造又は本体構造に対して開閉するカバー部材の下面に取り付けられている。LEDヘッド21は、感光体ドラム12に向き合う所定位置に配置される。LEDヘッド21は、感光体ドラム12の回転軸方向である主走査方向に配列された複数のLEDを有するLEDアレイと、LEDアレイと感光体ドラム12との間に配置されたロッドレンズアレイとを有している。ロッドレンズアレイは、例えば、正立等倍結像レンズアレイである。印刷時には、LEDヘッド21の複数のLEDは、印刷データに応じて発光又は消灯する。LEDから出射された光は、ロッドレンズアレイによって感光体ドラム12の表面に結像する。LEDヘッド21によって、一様に帯電している感光体ドラム12の表面が露光されると、感光体ドラム12の表面に印刷データに対応する静電潜像が形成される。
【0019】
現像ローラ16には、現像ローラ用電源30(後述の
図2に示される。)から所定のバイアス電圧が印加される。供給ローラ15は、現像ローラ16の表面にトナーを供給する。現像ブレード14は、現像ローラ16の表面に押圧されるように配置される。現像ブレード14は、現像ローラ16の表面に対する押圧力によって、現像ローラ16の表面に担持されるトナー層の厚さを規制する。クリーニングブレード17は、感光体ドラム12の表面に接触しており、トナー画像の転写後に感光体ドラム12の表面に残存するトナーを除去する。
【0020】
印刷動作時には、LEDヘッド21により、負の電圧に印加された感光体ドラム12上にLED光が照射され、感光体ドラム12上に静電潜像が形成させる。供給ローラ15及び現像ローラ16に負の電圧を印加することにより、トナーは感光体ドラム12に付与される。感光体ドラム12上に形成されたトナー画像は、転写ベルトユニット70の転写ローラ18による正の電圧により、搬送された用紙60上に転写される。また、位相差補正動作時、色ずれ補正動作時、又は濃度補正動作時には、感光体ドラム12上に形成されたトナー画像は、所定方向に走行する転写ベルト71上に転写される。感光体ドラム12に残った残トナーは、クリーニングブレード17によって掻き取られる。
【0021】
トナー画像が転写された用紙60は、定着器19の加熱ローラ19aと加圧ローラ19bとにより熱と圧力を付与される。このとき、トナー画像は用紙60に定着される。スタッカ部78には、搬送された用紙60が積載される。
【0022】
〈制御系〉
図2は、画像形成装置1の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示されるように、画像形成装置1は、各種の制御を司る制御部90と、記憶部40と、タッチパネル、キーボード、及び操作ボタンなどの入力部51と、液晶表示パネルなどの表示部52と、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータなど)から印刷データなどを受信する通信部53と、転写ベルト71上のトナー画像を検出する反射強度センサ74とを有している。
【0023】
また、画像形成装置1は、帯電ローラ13に所定の電圧を印加する帯電ローラ用電源29と、現像ローラ16に所定の電圧を印加する現像ローラ用電源30と、供給ローラ15と現像ブレード14とに所定の電圧を印加する供給ローラ用電源31と、転写ローラ18に所定の電圧を印加する転写ローラ用電源32と、これらの各電源を制御する高圧制御部81と、LEDヘッド21の発光を制御する露光制御部82とを有している。さらに、画像形成装置1は、加熱ローラ19aと加圧ローラ19bの動作を制御する定着制御部83と、給紙ローラ62と搬送ローラ63を駆動する搬送駆動モータ26と、駆動ローラ72を駆動するベルト駆動モータ27と、感光体ドラム12を駆動するドラム駆動モータ28の各モータを制御する駆動制御部84とを有している。
【0024】
図2に示される制御系の機能又は制御系の一部の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの処理回路によって実現可能である。また、制御系の機能又は制御系の一部の機能は、ソフトウェアとしての制御プログラムを格納する記憶装置としてのメモリと、この制御プログラムを実行する処理回路であるCPU(Central Processing Unit)などによって実現可能である。
【0025】
記憶部40は、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを有している。記憶部40は、ソフトウェアとしての制御プログラムを記憶するメモリを有することができる。
【0026】
画像形成装置1は、第1の実施の形態に係る制御方法を実施することができる装置である。第1の実施の形態に係る制御方法では、制御部90は、位相差調整動作、色ずれ補正動作、濃度補正動作、及び用紙60への印刷動作を制御する。
【0027】
反射強度センサ74は、例えば、赤外発光ダイオードとフォトトランジスタとを有する反射型の反射強度センサである。反射強度センサ74は、転写ベルトユニット70の転写ベルト71の表面に向き合う位置(
図1の例では下側)のベルトクリーニングブレード75の上流側に設置されている。色ずれ量は、転写ベルト71上に形成されたKトナーのトナー画像の光反射率、カラートナーのトナー画像の光反射率、又は転写ベルト71の光反射率を用いて算出される。
【0028】
画像形成装置1のウォーミングアップ動作時、又は印刷中においてある規定枚数の印刷が行われたタイミングで、制御部90は、画像形成部10K、10C、10M、10Yのうちの2つの画像形成部10に、予め決められた色ずれ補正パターンを転写ベルト71上に形成させて色ずれ補正処理を行う。色ずれ補正処理は、例えば、トナーの組み合わせ(例えば、KとMの組み合わせ、KとCの組み合わせ、KとYの組み合わせ)について行う。制御部90は、色ずれ補正パターンを検出した結果が示すずれ量に基づいて、印刷データに基づくLEDヘッド21の発光タイミングを調整する。
【0029】
第1の実施の形態では、色ずれ補正処理が行われる前に位相差調整動作が行われる。位相差調整動作は、画像形成部10の感光体ドラム12の偏心、転写ベルト71の駆動ローラ72の駆動ギアの偏心、画像形成部10の交換による位置の変化、転写ベルトユニット70の交換による位置の変化、環境温度の変動に伴う感光体ドラム12若しくは転写ベルトの膨張・収縮による影響、などによって発生し得る色ずれ量の周期変動が、色ずれ補正処理に影響しないようにするための処理である。また、画像形成装置1が、画像形成部10K、10C、10M、10Yが転写ベルト71から離れるアップ状態と転写ベルト71に接触するダウン状態とを切り替える機構を有する場合、このアップ状態とダウン状態の切り替えの後に、位相差調整動作を行ってもよい。
【0030】
《1-2》動作
まず、動作の概要を説明する。第1の実施の形態に係る画像形成装置1は、感光体ドラム12の偏心などの影響によって、転写ベルト71上においてベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる色ずれ補正パターンがパターンの範囲内で相対的な位置ずれを起こしてしまう場合があることに鑑み、感光体ドラム12の偏心などの影響を低減するための位相差調整処理を行い、位相差調整処理で得られた調整値に基づいて色ずれ補正パターンの位置を決定する色ずれ補正パターン決定処理を行い、ここで得られた色ずれ量に基づいて基準色の画像形成部(第1の画像形成部)及び計測色の画像形成部(第2の画像形成部)による印刷動作を制御する。
【0031】
例えば、制御部90は、位相差調整処理において、画像形成部10Kに、その感光体ドラム12に基づいて予め決められた位相差調整パターンを転写ベルト71上に形成させ、反射強度センサ74による位相差調整パターンの検出の結果に基づいて、ブラックトナーからなる所定の第1の色ずれ補正パターンの位置を決定する。制御部90は、補正パターン決定処理において、画像形成部10Kに第1の色ずれ補正パターンを転写ベルト71上に形成させ、画像形成部10Mに第2のトナーからなる第2の色ずれ補正パターンを第1の色ずれ補正パターンに重なるように転写ベルト上に形成させ、反射強度センサ74による第1の色ずれ補正パターン及び第2の色ずれ補正パターンの検出の結果に基づいて、第1の色ずれ補正パターンと第2の色ずれ補正パターンとの間の色ずれ量を算出する。
【0032】
次に、動作の詳細を説明する。
図3は、画像形成装置1の位相差調整動作を示すフローチャートである。第1の実施の形態では、感光体ドラム12の位相ごとに計算された位相差調整値に基づいて、色ずれ補正パターンの出力を調整する。
【0033】
まず、位相差調整動作は、色ずれ補正処理における色ずれ量の計測の前に開始される。色ずれ量の計測は、画像形成装置1の電源オン時、画像形成装置1の筐体のトップカバーの開閉時、画像形成装置1の入力部51である操作パネルにおけるユーザ操作によって色ずれ補正の実行が指示されたとき、色ずれ補正の動作モードの設定をマニュアルからオートに変更したとき、などのいずれかの条件が成立したときに開始される。ただし、色ずれ量の計測は、他の時点に開始されてもよい。
【0034】
〈ステップS11〉
最初に、制御部90は、色ずれ補正パターンを調整するために感光体ドラム12の位相ごとの位相差調整値を算出する。この算出に際し、制御部90は、感光体ドラム12上に所定の複数のトナー領域からなる位相差調整パターンを形成し、これを転写ベルト71上に転写し、転写ベルト71上の位相差調整パターンを反射強度センサ74で読み取るための制御を行う。
【0035】
図4は、感光体ドラム12の1周期(=2π[rad])を8等分して得られる8つの位相を示す図である。8つの位相は、π/4[rad]間隔の位相i(i=0,1,…,7)である。8つの位相は、位相差調整パターンの形成に使用される。8つの位相は、位相0(=0[rad])、位相1(=π/4[rad])、位相2(=π/2[rad])、位相3(=3π/4[rad])、位相4(=π[rad])、位相5(=5π/4[rad])、位相6(=3π/2[rad])、及び位相7(=7π/4[rad])である。感光体ドラム12の1周期の分割数Nは、8に限定されず、2以上の他の数(整数)であってもよい。ただし、位相差調整の精度を上げるためには、1周期の分割数Nは、8以上であることが望ましい。
【0036】
なお、位相差調整パターンを構成するベルト走行方向に並ぶ隣合うトナー領域の配列間隔は、感光体ドラム12の周長LをNで除した、L/Nであるので、L=75.3mmの場合には、隣合うトナー領域の配列間隔は、L/N=9.4mm以下であることが望ましい。
【0037】
また、隣合うトナー領域の配列間隔は、反射強度センサ74から照射される光スポットの直径φの2倍以上であることが望ましい。この直径φは1mm~1.2mmであるから、隣合うトナー領域の配列間隔は、2mm以上であることが望ましい。
【0038】
図5は、位相i(i=0,1,…,7)に対応する転写ベルト71上の8つの位置に形成された8つのトナー領域(パターン領域)から構成される位相差調整パターンと、位相差調整パターンが形成された転写ベルト71からの反射光を検出する反射強度センサ74のセンサ出力とを示す図である。8つのトナー領域は、転写ベルト71のベルト走行方向に並んで形成される。
【0039】
画像形成部10の感光体ドラム12の周長をL[dot]とすると、
図5に示されるように、画像形成部10は、位相i(i=0,1,…,7)のトナー領域から構成される位相差調整パターンを転写ベルト71上に形成する。
図5は、K色の位相差調整パターンの例であるが、K色に続きC色、M色、Y色の各々においても順に同様のパターン形成を行う。なお、
図5には、8つのKトナー領域(位相0~7)と1つのCトナー領域(位相0)との例が示されている。
【0040】
〈ステップS12〉
次に、位相差調整値を算出する。
図6に示される位相差調整パターンが転写ベルト71上に形成され、反射光の強度を検出する反射強度センサ74に検出される検出予定時刻は、xを対象の色(K、Y、M、C)、iを位相を示すインデックス(
図5の例では、i=0,1,…,7)とすると、t
x[i]と表記される。また、反射強度センサ74が実際に位相差調整パターンを検出した時刻である検出時刻をt′
x[i]と表記される。感光体ドラム12の周長をL[dot]、色ずれ補正時の転写ベルト71の走行速度をV[dot/秒]、位相の分割数をN(
図5の例では、N=8)とすると、位相差調整パターンの検出予定時刻t
x[i]と実際の検出時刻t′
x[i]との差T
x[i][秒]は、以下の式(1)で表される。
【0041】
【0042】
式(1)から、位相i(i=0,1,…,7)における対象色xにおける色ずれ量Dx[i][dot]は、以下の式(2)で表される。
【0043】
【0044】
位相j(j=0,1,…,N-1)における対象色xにおける色ずれ量Dx[j][dot]の平均値からの、位相iにおける対象色xにおける色ずれ量Dx[i][dot]の相対的な色ずれ量である位相差調整値Cx[i][dot]は、以下の式(3)で計算される。
【0045】
【0046】
〈ステップS13〉
図7は、式(3)で計算された位相差調整値C
x[i][dot]を用いた色ずれ補正パターンの調整を示す図である。位相差調整値C
x[i][dot]が決定された後は、位相に応じて色ずれ補正パターンを調整する。
図7に示されるように、上記の位相差調整値C
x[i][dot]を用いて、色ずれ補正パターンを位相0である先頭位置からシフトさせる。色ずれ補正パターンの先頭位置からの距離をd[dot]、色ずれ補正パターンの先頭位置からの距離の位相を示す整数をn
x[d]と表記すると、色ずれ補正パターンの先頭位置からの距離のシフト量s
x(d)[dot]は、以下の式(4)で表わされる。
【0047】
【0048】
ここで、nx[d]の算出方法は、以下の式(5)で表わされる。ここで、int(数値A)は、括弧内の数値Aの小数点以下を切り捨てて得られた整数を示す。また、mod(数値B,除数C)は、数値Bを除数Cで割ったときの剰余を示す。
【0049】
【0050】
また、上記のシフト量sx(d)[dot]の算出式である式(4)は、任意の位相nの開始位置から色ずれ補正パターンが出力される場合であるが、出力の開始が位相の開始位置と次の位相の開始位置との間にある場合には、線形補完を用いる以下の式(6)でシフト量を計算する。
【0051】
【0052】
ここで、dxp[dot]は、対象の色の位相差調整パターンの出力開始から色ずれ補正パターンの出力開始までの距離に相当する、印字ドットの数(すなわち、dot数)を表す。
【0053】
〈ステップS14、S15〉
制御部90は、以上により求められたシフト量sx(d)[dot]だけ、色ずれ補正パターンをシフトし、感光体ドラム12から転写ベルト71上へトナー画像が転写されるように、LEDヘッド21の動作タイミングを制御する。そして、上記色ずれ補正パターンを反射強度センサで読み取り、色ずれ量を算出することで色ずれ計測を終了する。
【0054】
図8(a)から(d)は、色ずれ補正パターンの一部を示し、
図8(e)は、ブラックトナー(Kトナー)、カラートナー(C、M、Yトナー)、転写ベルト71の反射率を示す。
図8(a)から(d)は、それぞれ縞状のカラーのパターンと、縞状のブラックのパターンとの重なり具合が異なって印刷された4種類のブロックを示している。また、
図8(e)は、それぞれカラーのトナー領域の反射率Rc、転写ベルト71の反射率Rb、ブラックのトナー領域の反射率Rkが、Rb>Rc>Rkの関係にあるものとして、反射強度センサ74によって検出される濃度レベルの変化を示している。ここで、横軸は転写ベルト71に対する反射強度センサ74の濃度検出位置に対応しており、縦軸は反射光の検出結果に対応する反射率(濃度レベル)を示している。
【0055】
主走査方向、副走査方向、及び斜め方向での色ずれ量を検出するには、色ずれ検出用の色ずれ補正パターンにおいて、カラーのトナー領域とブラックのトナー領域が最もずれているブロック(例えば、
図8(d)に示すブロック)の印刷位置を特定すればよい。その場合に、縞状のパターンのうち、後から上に重ねて印刷されたカラーのトナー領域の面積は常に一定であって変化しないが、ブロック毎にブラックのトナー領域の占める面積、及び転写ベルト71の露出面積は、縞状のパターンの重なり具合に応じて変化する。したがって、
図8(e)に示すように、各ブロックからの光の反射強度を測定して、それぞれの濃度レベルの相対値が分かればブロックが、
図8(a)から(d)のいずれであるかを特定でき、そこから色ずれ量を検出することができる。
【0056】
図9は、色ずれ量の周期変動が小さい画像形成装置でベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる基準色(例えば、K色)の色ずれ補正パターンとベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる計測色(例えば、C、M、Y色)の色ずれ補正パターンとが転写ベルト71上に形成された例を示す図である。
図10は、色ずれ量の周期変動が大きい画像形成装置でベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる基準色の色ずれ補正パターンとベルト走行方向に並ぶ複数のトナー領域からなる計測色の色ずれ補正パターンとが転写ベルト上に形成された例を示す図である。
【0057】
従来の画像形成装置では、位相差調整を行わないので、感光体ドラム12の偏心などの影響によって、
図10に示されるように、転写ベルト71上の色ずれ補正パターンがパターンの範囲内で相対的な位置ずれを起こしてしまう場合がある。
図10の場合には、矢印で示される最小反射率の位置のほかに、最小反射率の位置と誤検出されやすい位置が2か所存在する。このため、色ずれ補正が適切に行われず、印刷画像の品質が低下することがある。
【0058】
これに対し、第1の実施の形態に係る画像形成装置1では、位相差調整を行い、感光体ドラム12の偏心などにより色ずれ補正パターンが受ける影響を低減している。このため、
図9に示されるように、色ずれ補正パターンが転写ベルト71上のベルト走行方向に相対的な位置ずれが小さく形成される。
図9の場合には、最小反射率の位置が1か所だけ現れる。このため、色ずれ補正が適切に行われる。
【0059】
《1-3》効果
以上に説明したように、第1の実施の形態によれば、色ずれ補正パターンにおける最小反射率の位置を誤検出することが無くなり、適切な色ずれ補正が可能となるので、印刷品質が向上するという効果が得られる。
【0060】
また、感光体ドラム12の径が小さい画像形成装置では、感光体ドラム12の偏心に基づく画質への悪影響が大きいが、第1の実施の形態によれば、適切な色ずれ補正が可能であるので、印刷品質の低下の抑制効果が顕著である。
【0061】
上記説明では、位相差調整動作を画像形成部10K、10C、10M、10Yに対してすべて行った例で説明したが、色ずれ量の周期変動が小さいと判断した色に対し位相差調整動作を割愛するなど、一部の色に対してのみ位相差調整動作を行ってもよい。
【0062】
《2》第2の実施の形態
第1の実施の形態では、感光体ドラム12の偏心などに起因する位相差を調整する位相差調整動作を行い、位相差が調整された色ずれ補正パターンに基づいて色ずれ補正動作を行う例を説明した。しかし、転写ベルト71の駆動ローラの駆動ギアの偏心によるベルト走行速度の変動によって、色ずれ補正パターンの出力位置が変わる場合がある。そこで、第2の実施の形態では、第1の実施の形態の位相差調整動作に加えて、転写ベルトユニット70の駆動ローラの駆動ギアの偏心などに起因する位相差を調整する位相差調整動作を行う例を説明する。第2の実施の形態では、上記の影響を考慮した補正を行うことにより、より正確な色ずれ補正を行うことが可能となる。
【0063】
第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成は、第1の実施の形態に係る画像形成装置のものと同様である。第2の実施の形態の説明では、
図1から
図10を参照する。
【0064】
まず、動作の概要を説明する。第2の実施の形態に係る画像形成装置は、感光体ドラム12の偏心などの影響を低減するための位相差調整処理を行い、位相差調整処理で得られた調整値に基づいて、転写ベルトユニット70の偏心などの影響を低減するための位相差調整処理を行い、位相差調整処理で得られた2つの調整値に基づいて、色ずれ補正パターンの位置を決定する色ずれ補正パターン決定処理を行い、ここで得られた色ずれ量に基づいて基準色の画像形成部(第1の画像形成部)及び計測色の画像形成部(第2の画像形成部)による印刷動作を制御する。
【0065】
例えば、制御部90は、位相差調整処理において、画像形成部10Kに、その感光体ドラム12に基づいて予め決められた位相差調整パターンを転写ベルト71上に形成させ、反射強度センサ74による位相差調整パターンの検出の結果に基づいて、ブラックトナーからなる所定の第1の補正パターン位相差調整値を決定する。制御部90は、位相差調整処理において、画像形成部10Kに転写ベルトユニット70の駆動ギアに基づいて予め決められた位相差調整パターンを、感光体ドラム12の位相と先に決定した第1の補正パターン位相差調整値により調整を行ったうえで転写ベルト71上に形成させ、反射強度センサ74による位相差調整パターンの検出の結果に基づいて、ブラックトナーからなる所定の第2の補正パターン位相差調整値を決定する。
【0066】
制御部90は、補正パターン決定処理において、画像形成部10Kにブラックトナーからなる第1の色ずれ補正パターンを、感光体ドラム12の位相と第1の補正パターン位相差調整値、転写ベルト71位相と第2の補正パターン位相差調整値によって調整したうえで、転写ベルト71上に形成させ、画像形成部10Mにマゼンタトナーからなる第2の色ずれ補正パターンを第1の色ずれ補正パターンに重なるように転写ベルト71上に形成させ、反射強度センサ74による第1の色ずれ補正パターン及び第2の色ずれ補正パターンの検出の結果に基づいて、第1の色ずれ補正パターンと第2の色ずれ補正パターンとの間の色ずれ量を算出する。
【0067】
次に、動作の詳細を説明する。以下の説明では、第2の実施の形態に係る画像形成装置の動作を、第1の実施の形態に係る画像形成装置1の動作と異なる点を中心に説明する。
図11は、第2の実施の形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【0068】
〈ステップS21、S22〉
図11におけるステップS21からS22は、
図3におけるステップS11からS12と同じである。つまり、第2の実施の形態では、ステップS21からS22において、第1の位相差調整パターンを形成し、第1の位相差調整値C
x[i]を算出する。
〈ステップS23〉
ステップS23においては、第1のシフト量s
x(d)を算出する。この第1のシフト量s
x(d)は、後述するステップS24における位相差調整および、色ずれ補正パターンの副走査方向の位置調整に使用する。
【0069】
〈ステップS24〉
次に、転写ベルトユニット70の位相ごとの調整値である第2の位相差調整値を算出する。第2の位相差調整値の算出方法は、第1の位相差調整値C
x[i]の算出方法と同様である。
図12は、転写ベルト71の駆動ローラ72の駆動ギアの1周期を8等分して得られた位相q(q=0,…,7)を示す図である。ただし、駆動ギアの1周期の分割数Qは8に限定されない。また、本実施例における感光体ドラム12の周長Lおよび駆動ローラ72の駆動ギアの周長L’は異なる。第2の実施の形態では、ステップS24において、制御部90は、転写ベルトの駆動ローラ72に同軸に備えられた駆動ギアの位相q(q=0,…,Q-1)、Q=8のトナー領域からなる第2の位相差調整パターンの形成を指示する。
【0070】
〈ステップS25〉
制御部90は、転写ベルトユニット70の位相0に一致する位置を第2の位相差調整パターンの位相0の位置として、第2の位相差調整値を算出する。算出方法は、ステップS22における感光体ドラム12についての第1の位相差調整値の算出方法と同様である。
【0071】
〈ステップS26〉
制御部90は、ステップS23と同様の方法によって、位相qごとに第2のシフト量を算出する。
【0072】
〈ステップS27、S28〉
制御部90は、感光体ドラム12における第1のシフト量と転写ベルトユニット70における第2のシフト量を用いた位置の調整がなされた色ずれ補正パターンに基づいて各画像形成部における動作タイミングを制御して、転写ベルト71上に色ずれ補正パターンを形成する。ステップS27、S28の動作は、
図3におけるステップS14、S15の動作と同様である。色ずれ補正パターンの書き出し位置における感光体ドラム12および転写ベルトユニット70のそれぞれの位相から、シフト量を参照して合算して書き出し位置を調整する。
【0073】
第2の実施の形態に係る画像形成装置によれば、第1の実施の形態の場合より、高精度に色ずれ補正を行うことができる。
【0074】
また、上記説明では、感光体ドラム12の位相iのトナー領域からなる第1の位相差調整パターンを用いた位相差調整を先に行い、転写ベルト71の駆動ローラ72の駆動ギアの位相qのトナー領域からなる第2の位相差調整パターンを用いた位相差調整を後に行う例を説明した。しかし、この調整の順番は、逆であってもよいが、調整の順番は周期が短い方を後にすることが望ましい。また、転写ベルト71の駆動ローラ72の駆動ギアの位相qのトナー領域からなる第2の位相差調整パターンを用いた位相差調整のみを行ってもよい。
【0075】
《3》変形例
上記説明では基準色のトナーをKトナーとし、調整色のトナーをC、M、Yトナーとした例を説明したが、基準色のトナーをKトナー以外のトナーとしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置、 10、10K、10C、10M、10Y 画像形成部、 12 感光体ドラム(像担持体)、 18 転写ローラ、 21 LEDヘッド(露光装置)、 70 転写ベルトユニット、 71 転写ベルト、 72 駆動ローラ、 73 従動ローラ、 74 反射強度センサ(検出部)、 90 制御部。