(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056429
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】断熱材、断熱材を備える機器類が縦積み格納されたサーバーラック及び断熱材の設置方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20230412BHJP
F16L 59/065 20060101ALI20230412BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20230412BHJP
H05K 7/20 20060101ALN20230412BHJP
【FI】
H05K7/18 K
F16L59/065
G06F1/20 B
G06F1/20 C
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165804
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】518088211
【氏名又は名称】積水ソフランウイズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬柳 博
(72)【発明者】
【氏名】下西 弘二
(72)【発明者】
【氏名】神野 昌洋
【テーマコード(参考)】
3H036
5E322
【Fターム(参考)】
3H036AA09
3H036AB33
3H036AB44
3H036AC03
3H036AE04
5E322AA03
5E322FA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】断熱材、断熱材を備える機器類が縦積み格納されたサーバーラック及び断熱材の設置方法を提供する。
【解決手段】断熱材10は、サーバーラック30に縦積み格納される機器類40に設置される機器類用断熱材であって、中空部12を有し、中空部12の圧力が大気圧未満である。断熱材は、上部シート11a及び下部シート11bから構成され、上部シート及び下部シートの間に中空部12を有し、上部シートと下部シートとの間に支柱が設けられており、上部シート及び下部シートが樹脂製であり、厚さが2.0mm以下であり、熱抵抗値が0.5m2・K/W以上であり、UL94規格でV-0を満たす材料により構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーラックに縦積み格納される機器類に設置される、機器類用断熱材であって、
中空部を有し、該中空部の圧力が大気圧未満である、断熱材。
【請求項2】
上部シート及び下部シートから構成され、前記上部シート及び前記下部シートの間に前記中空部を有する請求項1に記載の断熱材。
【請求項3】
前記上部シートと下部シートとの間に支柱が設けられている、請求項2に記載の断熱材。
【請求項4】
前記上部シート及び下部シートが樹脂製である、請求項2又は3に記載の断熱材。
【請求項5】
厚さが2.0mm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の断熱材。
【請求項6】
熱抵抗値が0.5m2・K/W以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の断熱材。
【請求項7】
UL94規格でV-0を満たす材料により構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の断熱材。
【請求項8】
前記機器類の内部に設置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の断熱材。
【請求項9】
前記機器類の内部に設置される基板の上面側及び下面側の少なくともいずれかに設置される、請求項8に記載の断熱材。
【請求項10】
前記機器類の外部の上面及び下面の少なくともいずれかに設置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の断熱材。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の断熱材を備える機器類が縦積み格納された、サーバーラック。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の断熱材を用意する工程と、
前記断熱材をサーバーラックに縦積み格納される機器類に設置する工程とを含む、断熱材の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材、断熱材を備える機器類が縦積み格納されたサーバーラック及び断熱材の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信等を集約した専用施設であるデータセンタで使用される機器類は、サーバーラックと呼ばれる収納棚に格納され施設内に多数配置されている。これら機器類はサーバーラック用の規格に準拠した寸法で構成され、サーバーラックには縦積みで格納されており密接な状態で運転されている。
機器類は稼働に伴って多くの熱を発するが、機器類の部品は熱に弱いため熱対策として、放熱や通風により発生した熱は機器外部へ排出されている。そして、データセンタは、日々安定的な運転が求められることから、常時空調により温度が管理されている。
【0003】
前述の通り、各々の機器類は各々の熱を機器外部へ排出しているが、機器類がサーバーラックに格納されている状態であることから、一部の発生熱は機器類の金属製ケースを熱橋とし隣接する機器類へ伝導してしまう。この場合、断熱材を用いることで熱の遮断をすることが有効であるが、サーバーラックに縦積み格納される機器類は、規格化による限られた寸法で設計および構成されていることから、特許文献1、2で開示されているような真空断熱材は、厚さが過剰であるため採用することはできない。また、機器類は、精密な電子機器等であるため、特許文献1、2で開示されているようなグラスウール等の繊維質材を用いる断熱材は、破損した際に塵および埃等を出す虞があるため採用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-200106号公報
【特許文献2】特開平9-138058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、断熱材、断熱材を備える機器類が縦積み格納されたサーバーラック及び断熱材の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]サーバーラックに縦積み格納される機器類に設置される、機器類用断熱材であって、中空部を有し、該中空部の圧力が大気圧未満である、断熱材。
[2]上部シート及び下部シートから構成され、前記上部シート及び前記下部シートの間に前記中空部を有する[1]に記載の断熱材。
[3]前記上部シートと下部シートとの間に支柱が設けられている、[2]に記載の断熱材。
[4]前記上部シート及び下部シートが樹脂製である、[2]又は[3]に記載の断熱材。
[5]厚さが2.0mm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の断熱材。
[6]熱抵抗値が0.5m2・K/W以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の断熱材。
[7]UL94規格でV-0を満たす材料により構成される、[1]~[6]のいずれかに記載の断熱材。
[8]前記機器類の内部に設置される、[1]~[7]のいずれかに記載の断熱材。
[9]前記機器類の内部に設置される基板の上面側及び下面側の少なくともいずれかに設置される、[8]に記載の断熱材。
[10]前記機器類の外部の上面及び下面の少なくともいずれかに設置される、[1]~[9]のいずれかに記載の断熱材。
[11][1]~[10]のいずれかに記載の断熱材を備える機器類が縦積み格納された、サーバーラック。
[12][1]~[10]のいずれかに記載の断熱材を用意する工程と、前記断熱材をサーバーラックに縦積み格納される機器類に設置する工程とを含む、断熱材の設置方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、断熱材、断熱材を備える機器類が縦積み格納されたサーバーラック及び断熱材の設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る断熱材がサーバーラックに縦積み格納される機器類に設置されることを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る断熱材の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る断熱材を機器類の内部に設置されることを示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る断熱材を基板の下面側に設置されることを示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る断熱材を機器類の外部の上面及び下面の少なくともいずれかに設置されることを示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る断熱材を製造するための断熱材形成用成形体の概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る断熱材の中空部の圧力を調整する方法を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る断熱材の実施例として、サーバーラックに縦積み格納される機器類の使用状態を指標としての試験モデルの斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る断熱材の実施例として、サーバーラックに縦積み格納される機器類の使用状態を指標としての試験モデルの断面図である。
【
図10】本発明の実施例で作製した断熱材形成用成形体の概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る断熱材の比較例として、サーバーラックに縦積み格納される機器類の使用状態を指標としての試験モデルの断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る断熱材の実施例および比較例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分は同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
[断熱材]
本発明の実施形態に係る断熱材10は、
図1に示すように、サーバーラック30に縦積み格納される機器類40に設置される、機器類用断熱材であって、中空部12を有し、中空部12の圧力が大気圧未満である。
【0011】
本発明の断熱材10を、図面を用いて説明する。
図2は、本発明の断熱材10の一実施形態の断面図を示している。
図2(b)は断熱材10の正面の断面図を表し、
図2(a)は、
図2(b)の矢視A-Aからみた上面断面図を表す。
断熱材10は、上部シート11a及び下部シート11bから構成された平板状の断熱材である。上部シート11a及び下部シート11bは、それぞれの周縁が溶接又は接着などの手段で密着し、これにより断熱材10の内部は密閉され、中空部12が形成されている。
中空部12の圧力は大気圧未満である。中空部12が大気圧未満の圧力であるため、断熱材10の厚み方向の熱伝導率が低くなり、これにより断熱性能が向上する。断熱材10の厚み方向の熱伝導率をより低くし、より断熱性能を向上させる観点から、中空部12の圧力は、好ましくは1,300Pa以下、より好ましくは500Pa以下、さらに好ましくは100Pa以下、よりさらに好ましくは10Pa以下、特に好ましくは5Pa以下である。
【0012】
断熱材10は、上記したとおり、中空部12を有している。より具体的には、断熱材10の内部全体が中空部12である。そして、後述する支柱13などの上部シート11a及び下部シート11bを支持することが可能な支持部材が設けられていない場合は、上部シート11aと下部シート11bの間に何も存在せず、上記支持部材が設けられている場合は、上部シート11aと下部シート11bとの間に上記支持部材以外は何も存在しない。
したがって、断熱材10は、その内部にグラスウールなどの芯材を有していない。すなわち、断熱材10は、発塵及び材料離脱しない材料で構成される。そのため、断熱材10は、仮に破損したり、経年劣化などにより圧力が開放されたりした場合であっても、内部が中空であり、芯材を有していないため、断熱材10を構成する材料から塵および埃等を出すことがなく、安全性にも優れる。また、断熱材10は、その内部に芯材を有していないため、仮に破損した場合であっても、芯材の膨張及び変化が生じることがないので、断熱材10の形状を保持できるため、2次災害を防ぐことができる。
【0013】
上部シート11aと下部シート11bの間には、これらを連結する支柱13が設けられている。上部シート11a及び下部シート11bが、曲げ弾性率が低く柔らかい材料により構成されている場合は、断熱材10の製造時に、減圧又は真空にすることにより、両シートが内向きに撓み、接触して断熱性能を悪化させることが懸念される。これに対して、本発明のように、支柱13を設けることで、上部シート11a及び下部シート11bが柔らかい材料で構成されている場合であっても、両者が撓んで接触することを防ぎ断熱性能の悪化を防止することができる。
なお、
図2では上部シート11aと下部シート11bとの間に支柱13を設ける態様を示したが、本発明はこれに限定されず、上部シート11aと下部シート11bとを支持することが可能な支持部材が設けられていればよい。
支持部材としては、上記した支柱以外にも、板状部材、球状部材、バネ状部材などが挙げられるが、断熱材の断熱性を良好にする観点から、支柱が好ましい。
【0014】
支柱13の形状は、円柱、角柱など特に制限はないが、円柱が好ましい。
また、支柱13は、複数設けられることが好ましい。該複数の支柱13は、断熱材10の強度等の物性のバラつきを小さくする観点から、規則的に配列されていることが好ましい。
複数の支柱13の配列は、特に限定されないが、断熱材を上部方向から見た場合に、支柱の端面が、正多角形を形成するように配列されることが好ましく、中でもハニカム構造を形成するように配列されることがより好ましい。ハニカム構造とは、
図2(a)の破線で示すような正六角形が隙間なく並べられた構造である。なお、
図2(a)の破線は説明のために付した線であり、支柱同士が連結されているなどのことを表しているものではない。
支柱13は、その数が多いほど、上部シート11a及び下部シート11bの撓みを抑制しやすいものの、支柱13が熱橋となり、断熱材10の断熱性が低下することが懸念される。したがって、支柱13の数を少なくしたうえで、上部シート11a及び下部シート11bの撓みを効果的に抑制して両シートの接触を防止することが好ましく、そのような観点から、支柱13は、上記したように、その端面がハニカム構造を形成するように配置されることが好ましい。
【0015】
支柱13がその端面がハニカム構造を形成されるように配置されている場合は、該ハニカム構造(正六角形)の半径は、5~20mmが好ましく、8~15mmがより好ましく、10~12mmがさらに好ましい。半径がこのような範囲であると、熱橋による断熱性の低下を抑えつつ、上部シート11a及び下部シート11bの撓みを抑制して両シートの接触を防止することができる。
支柱13の数は、熱橋による断熱性の低下を抑えつつ、両シートの撓みを抑制して接触を防止する観点から、シート面積100cm2あたり、10~200個が好ましく、20~80個がより好ましく、30~70個がさらに好ましい。
支柱13の直径は、特に制限されないが、熱橋による断熱性の低下を抑えつつ、上部シート11a及び下部シート11bの撓みを抑制して両シートの接触を防止する観点から、0.2~10mmが好ましく、0.5~5mmがより好ましく、0.7~2mmがさらに好ましい。
【0016】
上部シート11a及び下部シート11bの曲げ弾性率は、それぞれ1,350MPa以上が好ましく、3,000MPa以上がより好ましい。上部シート及び下部シートの曲げ弾性率が上記下限値以上であると、シートの撓みが抑制され、これに基づく断熱性低下を防止し易くなる。なお、上記シートの曲げ弾性率は、大きければ大きい値であるほど、撓みが抑制され両シートの接触を防止しやすいが、断熱材の常温付近での加工性などを考慮すると、3,500MPa以下であることが好ましい。
【0017】
なお、
図2には、断熱材10が、複数の支柱13を備える実施態様を示しているが、支柱13は、必ずしも設けなくてもよい。すなわち、断熱材10が上部シート11a及び下部シート11bのみから構成されていてもよい。この場合、断熱材10の製造時に、内部を減圧又は真空にする際に、上部シート11a及び下部シート11bが撓みにくい材料を選択することが好ましい。
【0018】
断熱材10の大きさは、特に限定されないが、縦方向及び横方向の長さがそれぞれ、好ましくは10~500mmであり、より好ましくは50~333mmである。
また、断熱材10を複数連結してよりサイズの大きな断熱材を製造してもよい。断熱材10を連結する手段としては、例えば、接着剤による接着、粘着剤による粘着、高周波ウェルダー、超音波ウェルダー等による溶着や溶接などが挙げられる。また、テープ類を用いて断熱材10を連結して、面積を拡大させてもよい。
【0019】
断熱材10の厚さは、サーバーラックに縦積み格納される機器類に断熱材10を設置する場合、サーバーラックに縦積み格納される機器類は、規格化による限られた寸法で設計および構成されていることから、薄いものであることが好ましい。サーバーラックに縦積み格納される機器類における断熱材10を設置可能な箇所のクリアランスが2.0mm程度であることから、断熱材10厚さが2.0mm以下であることが好ましく、1.8mm以下であることがより好ましく、1.6mm以下であることがさらに好ましい。
断熱層10の厚さを薄くするためには、上部シート11a及び下部シート11bを薄くしたり、該シート間の距離を短くしたりすることが考えられる。しかし、シートを薄くし過ぎると、シートが撓みやすくなり、またシート間の距離を短くすると、シート同士が接触しやすくなり、断熱性能の低下が懸念される。これらを勘案し、検討した結果、上部シート11aと下部シート11bの厚さと、シート間距離(クリアランス)との合計値、すなわち言い換えれば、断熱材10の厚さ(上部シート11a及び下部シート11bの厚みとクリアランスの合計値)は、少なくとも1.1mmであるとよい。特に、支柱の端面がハニカム構造を形成するように配置されている場合、断熱材10の厚さを1.1mm以上とすることが好ましい。よって、このような知見に基づけば、後述するシートの樹脂の種類に応じて、厚さを極力薄くしつつ、断熱性を良好に保つことができる断熱材の厚さ範囲を設定できる。断熱材10の厚さは好ましくは1.1mm以上、より好ましくは1.2mm以上であり、さらに好ましくは1.3mm以上である。
【0020】
上部シート11a及び下部シート11bの厚さは、それぞれ好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、そして好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。
【0021】
上部シート11a、下部シート11b及び支柱13は、金属製であっても樹脂製であってもよいが、断熱材の加工性を良好にする観点から、樹脂製であることが好ましい。なお、上部シート11a、下部シート11b及び支柱13は同一の材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよいが、製造の容易性の観点から、同一の材料で形成されていることが好ましい。
【0022】
上部シート11a、下部シート11b及び支柱13などの断熱材10を構成する材料は、UL94規格でV-0の難燃性を満たすことが好ましく、5VBの難燃性を満たすことがより好ましく、5VAの難燃性を満たすことがさらに好ましい。断熱材10が高い難燃性を満たす材料によって構成されることによって、仮にサーバーラック30に縦積み格納される機器類40において短絡及び爆発等により燃焼が生じたとしても、燃焼の広がりを抑制することができる。
【0023】
断熱材10を構成する材料として使用される金属としては、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、チタン、非鉄金属類などが挙げられる。
【0024】
断熱材10を構成する材料として使用される樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよく、樹脂の種類は、例えば、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
汎用プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
汎用エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンエーテル(PPE)などが挙げられる。
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、四フッ化エチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。
また、上部シート11a、下部シート11b及び支柱13などの断熱材を構成する樹脂には、難燃剤を適宜含有させてもよい。
【0025】
上記の中でも、UL94規格でV-0の難燃性を満たしやすい樹脂を使用することが好ましく、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、四フッ化エチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリフッ化ビニリデンなどが好適な材料として挙げられる。
【0026】
上部シート11a及び下部シート11bは、それぞれ単層であってもよいし、多層であってもよい。例えば、上部シート11a及び下部シート11bはそれぞれ、表面層に熱伝導率が比較的高いポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド系ナイロン類などからなる樹脂層を備えた多層構造であってもよい。
このように、表面に熱伝導率の高い樹脂層を設けることで、断熱材の平面方向に放熱しやすくなり、かつ断熱材の厚み方向の熱伝導率は低いため、断熱材の断熱性をより向上させることが可能となる。
【0027】
上部シート11a及び下部シート11bには、その表面に金属層を形成されていることが好ましく、例えば、樹脂製の上部シート11a及び下部シート11bの少なくとも一方の表面に金属層を形成することがより好ましい。金属層が形成されることで、大気や水蒸気などがシートを透過するのを抑制し、断熱材の断熱性が低下するのを防止できる。さらに、熱伝導性の高い金属よりなる金属層を用いた場合には、熱を平面方向に放熱し、これにより断熱材10の断熱性をより向上させることが可能となる。
金属層の厚みは、好ましくは0.001μm~20μmであり、より好ましくは10μm~16μmである。
金属層を形成する金属の種類としては、アルミニウム、銀、金、チタン、ニッケル、銅、クロムなどが挙げられ、熱伝導性が高く、熱を平面方向に放散させやすいため、一般的にアルミニウムが好ましい。また、金属層は、金属を蒸着することにより形成されていることが好ましく、中でもアルミニウム蒸着膜であることが好ましい。
【0028】
断熱材10の中空部12は、互いに連通しない複数のブロックに分割されてもよい。中空部12が互いに連通しない複数のブロックに分割されていることで、経年劣化や外部衝撃等により一部のブロックが破損した場合であっても、残りのブロックは減圧又は真空の状態を維持しているため、断熱材10全体としての断熱性は保たれる。さらに、断熱材10の一部を切断などし、所望の形状に加工して使用することも可能となる。
ブロックは、例えば、
図2で示す断熱材10を形成させた後、断熱材10を複数箇所で溶接することにより形成される。より詳細には、ブロックは、上部シート11aと下部シート11bが溶接された細長状の溶接部を周囲に有しており、溶接部が形成されていることにより、隣接するブロックとは連通せず、独立した空間を有するブロックとなっている。
【0029】
断熱材10の熱抵抗値は、0.5m2・K/W以上であることが好ましく、1.0m2・K/W以上であることがより好ましく、1.5m2・K/W以上であることがさらに好ましい。断熱材10の熱抵抗値が上記下限値以上であることで、熱を通しにくくなり、サーバーラックに縦積み格納される機器類間での熱の伝導を防ぐことができる。
ここで、熱抵抗値[m2・K/W]とは、断熱材10の厚さ[m]を断熱材10の熱伝導率[W/m・K]で除した値をいい、値が大きいほど熱が通りにくいことを示す。なお、断熱材10の熱伝導率は、断熱材10の厚み方向に関するものであり、熱伝導率測定装置(例えば、英弘精機株式会社製「HC-10」)を用いて、24℃における断熱材10の厚み方向の熱伝導率を測定し、10回の測定を行って算出した平均値を採用する。
【0030】
断熱材10は、
図3に示すように、機器類40の内部に設置する形態とすることができる。断熱材10を機器類40の内部に設置する形態とすることで、機器類40の内部で発生した熱を、ラックフレーム31で構成されるサーバーラック30に縦積み格納される他の機器類40への熱の伝導を防ぐことができる。機器類40の内部で発生した熱は、機器類40の内部に設置された基板43に搭載された電子部品(図示せず)、機器類40の内部に設置された電源部品45などを発生源とするものである。基板43に搭載された電子部品としては、例えば、集積回路(IC)、メモリ、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、抵抗及びコイル等が挙げられる。
【0031】
各機器類40は、ビスなどの固定部材によりラックフレーム31に固定され、それにより、複数の機器類40は、サーバーラックにおいて縦積みされている。各機器類40の間は、隙間があってもよいし、隙間がなくてもよい。
【0032】
機器類40は、例えば、サーバー機器、通信機器、その他の電気又は電子機器等である。機器類40は、一例として、下部筐体部41及び上部筐体部42より構成される筐体を備え、筐体の内部に機器類40を構成する各部品が格納される。下部筐体部41は、機器類40の下面を構成する底面41Dと、機器類40の前面、背面及び両側面を構成する側壁41Sを備える。上部筐体部42は、底面41Dに対向し、機器類40の上面を構成する天面42Uを備える(
図3参照)。ただし、側壁41Sの一部又は全部は、上部筐体部42に設けられてもよいし、下部筐体部41及び上部筐体部42とは別部材として設けられてもよい。
【0033】
機器類40は、機器類40の前面を構成する前面部40Aに、通風孔40aが設けられ(
図1参照)、背面を構成する背面部40Bには、通風孔40bが設けられ(
図3参照)、通風孔40a,40bを通風させることにより機器類40の内部で発生した熱は外部へ排出される。機器類40の内部には、内部で発生した熱の外部への排出を促進するためにファン44を備えることが好ましい。
【0034】
断熱材10は、
図3に示すように、機器類40の内部に設置される基板43の上面43a側及び下面43b側の少なくともいずれかに設置する形態とすることができる。ここで、基板43は、マザーボードとも呼ばされるものであり、基板43の上面43aには集積回路(IC)、メモリ、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、抵抗及びコイル等の電子部品が搭載されている。
したがって、機器類40の内部に設置される基板43の上面43a側及び下面43b側の少なくともいずれかに断熱材10を設置する形態とすることで、基板43に搭載された電子部品で発生した熱を、サーバーラック30に縦積み格納される他の機器類40への熱の伝導を防ぐことができる。断熱材10は、
図3に示すとおり、基板43の上方及び下方の両側に設置する形態としてもよいし、基板43の上方又は下方の片側に設置する形態としてもよい。
【0035】
基板43の上面43a側に断熱材10を設置する形態としては、基板43に搭載された電子部品と上部筐体部42との間隙に断熱材10を設置すればよく、例えば、上部筐体部42の天面42Uに両面テープ等により接着して設置することができるが、他の態様により上部筐体部42の天面42Uに設置されてもよい。本形態は、例えば、基板43の上面43aに搭載された電子部品が例えば放熱部材などを介して上部筐体部42に接触しておらず、基板43と上部筐体部42の間に間隙がある場合に有効である。
【0036】
一方で、基板43の上面43aに搭載された電子部品と上部筐体部42とを、例えば放熱部材を介して接触させて、電子部品で発生した熱を放熱している機器類40においては、基板43の上方には断熱材10を設置する間隙がない。そのため、基板43の下面43b側に断熱材10を設置する形態を採用することが好ましい。
基板43の下面43b側に断熱材10を設置する形態としては、基板43に搭載される電子部品と下部筐体部41との間隙に断熱材10を設置すればよく、下部筐体部41の底面41Dに両面テープ等により接着して設置することができるが、他のいかなる態様により下部筐体部41の底面41Dに設置されてもよい。一般的に、基板43に搭載される電子部品と下部筐体部41の底面41Dとの間には、
図4に示すように、電子部品の短絡防止のためのスペーサ46が固定部材47によって固定されることで基板43の下方に間隙が形成されるので、断熱材10は、この間隙に設置すればよい。
【0037】
断熱材10は、
図5に示すように、機器類40の外部の上面40C及び下面40Dの少なくともいずれかに設置する形態とすることができる。本形態は、縦積みされた機器類40の間に隙間がある場合に有効である。
機器類40の外部の上面40C及び下面40Dの少なくともいずれかに設置する形態とすることで、機器類40の内部で発生した熱を、サーバーラック30に縦積み格納される他の機器類40への熱の伝導を防ぐことができる。断熱材10は、機器類40の外部の上面40C及び下面40Dの両側に設置する形態とすることが好ましいが、機器類40の外部の上面40C又は下面40Dの片側に設置する形態でもよい。
【0038】
なお、断熱材10は、機器類40の外部に設置される場合、縦積みされた機器類40、40の間に設置されれば、機器類40の外面(上面又は下面)上に設置される必要はなく、例えば、ラックフレーム31に固定され、機器類40の外面から離れた位置に配置されてもくい。なお、本発明では、機器類40の外面から離れた位置に配置されていても、機器類40、40の間に配置されているような場合には、機器類に設置されるというものとする。
また、
図5に示す形態において、機器類40の構成は、機器類40の内部に設置される断熱材10が省略される以外は、上記で説明しとおりである。ただし、機器類40の外部に断熱材10が設置される形態でも、
図3、4で示した通り機器類40の内部に断熱材10が設置されてもよい。
【0039】
以上の構成によれば、サーバーラックに縦積み格納される機器類に設置された断熱材が、仮に破損したり、経年劣化などにより圧力が開放されたりした場合であっても、断熱材の内部が中空であり、芯材を有していないため、断熱材を構成する材料から塵および埃等を出すことがなく、機器類の動作を阻害することないので、機器類の動作の安全性を担保することができる。また、サーバーラックに縦積み格納される機器類に設置された断熱材は、その内部に芯材を有していないため、仮に破損した場合であっても、芯材の膨張及び変化が生じることがないので、断熱材の形状を保持できるため、断熱材の変化に伴う機器類の変化等の不良を防ぐことができる。
また、薄型であっても、高い断熱性を確保する上記断熱材は、規格化による限られた寸法で設計および構成されているサーバーラックに縦積み格納される機器類における、狭小なスペースであっても設置することができ、隣接する機器類へ熱を伝導することを良好に防ぐことができる。
【0040】
[断熱材の製造方法]
本発明の断熱材の製造方法は、特に限定されないが、例えば、真空ポンプなどの各種機器に接続可能な連結部材を備える断熱材形成用成形体を準備し、内部を真空にした後、連結部材を溶接する方法が挙げられる。
【0041】
例えば、以下の方法が挙げられる。まず、
図2に示した断熱材10と形状が同じ成形体の両端に、連結部材14及び15を備えた断熱材形成用成形体20(
図6参照)を形成する。連結部材14及び15は、上部シート及び下部シートの間に形成された成形体内部と、成形体外部とを連通させており、そのため、断熱材形成用成形体20は、大気圧となっている。連結部材14及び15は、樹脂又は金属で形成させることができ、これらの種類は、例えば上述したものが挙げられる。上部シート、下部シート、支柱、及び連結部材は、それぞれ異なる材料で形成させてもよいが、同種の材料で形成させることが好ましい。
【0042】
連結部材14及び15に、断熱材形成用成形体20の内部を減圧又は真空にするための各種機器を接続して、内部の圧力を調整することができる。
例えば、
図7に示すように、真空ポンプ16を圧力調整ユニット17を介して連結部材15に接続し、その逆側において、圧力調整ユニット18を備えた圧力ゲージ19を連結部材14に接続する。そして、真空ポンプ16を稼働させ、成形体20の内部圧力を圧力ゲージ19で確認しつつ、必要に応じて、圧力調整ユニット17及び18により圧力を調整する。このようにして、中空部の圧力を所望の値に調節できる。所望の圧力に調整した後は、連結部材14とシートとが接続されている連結端部14aと、連結部材15とシートとが接続されている連結端部15aとをそれぞれ溶接することにより、
図2に示した断熱材10を得ることができる。溶接は、公知の手段で行うことができ、例えば熱板方式、ヒートシール方式、レーザー溶接などが挙げられる。
【0043】
図6では、連結部材14及び連結部材15の両方を備える態様を示したが、連結部材はどちらか一方でよく、例えば連結部材15のみでもよい。この場合、連結部材15に真空ポンプを接続して、中空部を減圧又は真空にし、その後、連結端部15aを溶接して、断熱材を作製することができる。
さらに、連結部材15の形状は、図面の内容に限定されず、断熱材と真空ポンプを連結できる形状であれば如何なる形状であってもよい。
【0044】
断熱材形成用成形体は、例えば、連結部材を設けた上部シートと、下部シートを公知の手段で別々に成形して、上部シート成形体と下部シート成形体を準備し、両者を貼り合せる方法が挙げられる。断熱材に支柱を設ける場合は、上部シート成形体及び下部シート成形体の少なくともいずれか一方に支柱を有するように成形し、両者を貼り合せればよい。
別の方法としては、断熱材形成用成形体は、例えば3Dプリンターを用いて一体的に成形することもできる。3Dプリンターを用いる成形方式としては、特に限定されないが、気密性を重視すると、光造形(SLA、DLP、CLIP)方式が好ましい。
【0045】
断熱材10の中空部12が、互いに連通しない複数のブロックに分割されている場合、得られた断熱材10を更に複数箇所で溶接してブロックに分割することで得られる。
【0046】
[サーバーラック]
本発明のサーバーラックは、上述の断熱材10を備える機器類が縦積み格納されたものである。断熱材10を備える機器類が縦積み格納されたサーバーラックであることで、縦積み格納される機器類のいずれかで発生した熱を、他の機器類への熱の伝導を防ぐことができる。
【0047】
[断熱材の設置方法]
本発明の断熱材の設置方法は、上述の断熱材を用意する工程と、断熱材をサーバーラックに縦積み格納される機器類に設置する工程とを含む。
断熱材をサーバーラックに縦積み格納される機器類に設置する工程において、機器類における断熱材の設置位置は、機器類の内部であってもよく、機器類の内部に設置される基板の上面側及び下面側の少なくともいずれかであってもよい。また、機器類における断熱材の設置位置は、機器類の外部の上面及び下面の少なくともいずれかであってもよい。
本発明の断熱材の設置方法によれば、機器類に上述の断熱材を設置することができ、
断熱材が設置された機器類をサーバーラックに縦積み格納することで、縦積み格納される機器類のいずれかで発生した熱を、他の機器類への熱の伝導を防ぐことができる。
【実施例0048】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0049】
(実施例)
データセンタで使用されるサーバーラックに縦積み格納される機器類の使用状態を指標として、
図8に示すような試験モデル50をポリスチレンフォームで作製した。試験モデル50の内部は、
図8の矢視B-Bからみた断面図である
図9に示す。試験モデル50は、
図9に示すように、想定下段機器類401と想定上段機器類402の2段縦積み格納された機器類の指標である。想定下段機器類401と想定上段機器類402の高さは、実際の機器類の標準高さに併せて各々50mmとした。想定下段機器類401には、発熱モジュール53の温度を測定する第1温度センサ51を備え、想定上段機器類402には、想定上段機器類402の内部の温度を測定する第2温度センサ52を備える。想定下段機器類401と想定上段機器類402の界面には、実際の筐体を擬似するためにアルミ板54(厚さ0.6mm)と、下記で作製した断熱材10(厚さ約1.5mm)とを設置した。
想定下段機器類401である下段側の底部には発生熱を再現する発熱モジュール53を設置し、第1温度センサ-51にて試験中の発熱モジュール53の温度を測定した。なお、発熱モジュール53の温度は60℃に固定して、試験を開始した。
JIS Z 8703:1983に準拠し、測定環境をJIS標準状態として、第2温度センサ52にて、試験開始から2時間までの想定上段機器類402の内部の温度を測定した。結果を
図11のグラフに示す。
【0050】
〔断熱材の作製〕
原料として硬質塩化ビニル樹脂板を用いて、多軸切削加工機により加工後、上下加工物を貼り合わせ、
図10に示す形状の断熱材形成用成形体20を得た。次いで、得られた断熱材形成用成形体20に設けられた連結部材15に真空ポンプを接続し、真空ポンプを稼働させることで、中空部の圧力が5Pa以下の平板状の断熱材(縦200mm×横200mm)を得た。中空部の圧力の調整は、圧力ゲージで圧力を確認しつつ行った。得られた断熱材は、上部シート及び下部シートの厚みがそれぞれ0.5mmであり、シート間の距離(クリアランス)が0.5mmであり、断熱材の厚み(総厚み)が1.5mmであった。また該断熱材には上部シートと下部シートを連結する複数の支柱13が設けられており、その支柱はその端面がハニカム構造を形成するように配置されていた。支柱13は直径が1.0mmの円柱状であり、上記ハニカム構造(正六角形)の半径は11.0mmであった。支柱13の数は、シート面積400cm
2あたり、210個であった。
断熱材の熱抵抗値は、0.56m
2・K/Wであった。
【0051】
(比較例)
図11に示すように、想定下段機器類401と想定上段機器類402の界面には、実際の筐体を擬似するためにアルミ板54(厚さ0.6mm)のみを設置した以外は、実施例と同様とした。第2温度センサ52にて、試験開始から2時間までの想定上段機器類402の内部の温度を測定した。結果を
図12のグラフに示す。
【0052】
図12のグラフの結果より、想定下段機器類401と想定上段機器類402の界面に断熱材を設置することで温度上昇を約5℃緩和し、機器類が熱による異常が起こる頻度の高い40℃以上への到達も約27分間遅延可能となった。