(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005643
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】バッテリ充電装置、保護装置、及び保護方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230111BHJP
H02J 7/14 20060101ALI20230111BHJP
H02H 7/06 20060101ALI20230111BHJP
H02H 7/122 20060101ALI20230111BHJP
H02H 7/125 20060101ALI20230111BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/14 E
H02H7/06 A
H02H7/122
H02H7/125
H02M7/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107681
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】細田 享
【テーマコード(参考)】
5G053
5G060
5G503
5H006
【Fターム(参考)】
5G053AA04
5G053BA04
5G053CA02
5G053EA01
5G053EB01
5G053EB02
5G053EB04
5G053EB05
5G053EC01
5G053EC03
5G053FA05
5G060AA01
5G060DA01
5G060DA03
5G060DB07
5G060DB08
5G060DB09
5G503AA07
5G503BB01
5G503CC02
5G503FA14
5G503GA01
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5H006AA04
5H006CA02
5H006CB01
5H006CB08
5H006DA04
5H006DB01
5H006DB07
5H006DC02
5H006DC05
5H006FA04
(57)【要約】
【課題】発電中に電源電圧の供給が停止した場合に、スイッチング素子を保護する。
【解決手段】バッテリ充電装置は、導通状態を制御されることで、発電機が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリに供給するスイッチング素子と、前記バッテリから出力される電源電圧を昇圧した制御電圧により、前記スイッチング素子の制御信号を生成する制御信号生成部と、前記バッテリに接続されている電源線であって、前記スイッチング素子の前記バッテリ側の端子に接続されている電源線の電圧を基準にした前記制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、前記制御信号生成部に前記制御電圧の供給を停止させて、前記スイッチング素子を非導通状態にする保護処理部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導通状態を制御されることで、発電機が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリに供給するスイッチング素子と、
前記バッテリから出力される電源電圧を昇圧した制御電圧により、前記スイッチング素子の制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記バッテリに接続されている電源線であって、前記スイッチング素子の前記バッテリ側の端子に接続されている電源線の電圧を基準にした前記制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、前記制御信号生成部に前記制御電圧の供給を停止させて、前記スイッチング素子を非導通状態にする保護処理部と
を備えることを特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項2】
前記保護処理部は、
前記制御電圧が供給される信号線と、前記制御信号生成部との間に接続された遮断スイッチを備え、
前記差分電圧が、前記所定の閾値電圧以下になった場合に、前記遮断スイッチの導通を遮断する
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ充電装置。
【請求項3】
前記所定の閾値電圧には、第1の閾値電圧と、前記第1の閾値電圧より低い第2の閾値電圧とが含まれ、
前記保護処理部は、
前記差分電圧が、前記第2の閾値電圧以下になった場合に、前記遮断スイッチの導通を遮断し、前記差分電圧が、前記第1の閾値電圧より高くなった場合に、前記遮断スイッチを導通させる
ことを特徴とする請求項2に記載のバッテリ充電装置。
【請求項4】
前記保護処理部は、
前記遮断スイッチの前記制御電圧の供給側における前記差分電圧が、前記第1の閾値電圧以下になった場合、且つ、前記遮断スイッチの前記制御信号生成部側における前記差分電圧が、前記第2の閾値電圧以下になった場合に、前記遮断スイッチの導通を遮断し、
前記遮断スイッチの前記制御電圧の供給側における前記差分電圧が、前記第1の閾値電圧より高くなった場合、又は、前記遮断スイッチの前記制御信号生成部側における前記差分電圧が、前記第2の閾値電圧より高くなった場合に、前記遮断スイッチを導通させる
ことを特徴とする請求項3に記載のバッテリ充電装置。
【請求項5】
前記保護処理部は、
ツェナーダイオードを利用して、前記差分電圧が、前記所定の閾値電圧以下になったことを検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項6】
導通状態を制御されることで、発電機が発電した交流電圧を整流して、高電位側の電源線に供給するスイッチング素子を保護する保護装置であって、
前記スイッチング素子に接続されている前記高電位側の電源線の電圧を基準にした、電源電圧を昇圧した制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、前記制御電圧により前記スイッチング素子の制御信号を生成する制御信号生成部に、前記制御電圧の供給を停止させて、前記スイッチング素子を非導通状態にする保護処理部を備える
ことを特徴とする保護装置。
【請求項7】
導通状態を制御されることで、発電機が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリに供給するスイッチング素子と、前記バッテリから出力される電源電圧を昇圧した制御電圧により、前記スイッチング素子の制御信号を生成する制御信号生成部とを備えるバッテリ充電装置の保護方法であって、
保護処理部が、前記バッテリに接続されている電源線であって、前記スイッチング素子の前記バッテリ側の端子に接続されている電源線の電圧を基準にした前記制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、前記制御信号生成部に前記制御電圧の供給を停止させて、前記スイッチング素子を非導通状態にする保護処理ステップを含む
ことを特徴とする保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ充電装置、保護装置、及び保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源電圧より高い電圧のスイッチングを行う場合に、電源電圧を昇圧して、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのスイッチング素子のスイッチングの制御信号に使用することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。例えば、従来のバッテリ充電装置では、発電機が発電した交流電圧をバッテリの充電電圧に変換するためのスイッチング素子を、バッテリから出力される電源電圧から昇圧した制御電源を用いて制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、二輪車などに搭載するバッテリ充電装置では、発電機の発電中に、メインスイッチがオフされて、バッテリの電源電圧が遮断されることがある。このように、発電中に電源電圧の供給が停止した場合に、従来のバッテリ充電装置では、制御電圧が低下し、MOSFETなどのスイッチング素子が、飽和領域から外れた領域である不飽和領域でスイッチングされる。この場合、制御電圧の低下により、スイッチング素子の抵抗が増大するため、スイッチング素子が発熱し、スイッチング素子の劣化や故障が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、発電中に電源電圧の供給が停止した場合に、スイッチング素子を保護することができるバッテリ充電装置、保護装置、及び保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、導通状態を制御されることで、発電機が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリに供給するスイッチング素子と、前記バッテリから出力される電源電圧を昇圧した制御電圧により、前記スイッチング素子の制御信号を生成する制御信号生成部と、前記バッテリに接続されている電源線であって、前記スイッチング素子の前記バッテリ側の端子に接続されている電源線の電圧を基準にした前記制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、前記制御信号生成部に前記制御電圧の供給を停止させて、前記スイッチング素子を非導通状態にする保護処理部とを備えることを特徴とするバッテリ充電装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記のバッテリ充電装置において、前記保護処理部は、前記制御電圧が供給される信号線と、前記制御信号生成部との間に接続された遮断スイッチを備え、前記差分電圧が、前記所定の閾値電圧以下になった場合に、前記遮断スイッチの導通を遮断することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記のバッテリ充電装置において、前記所定の閾値電圧には、第1の閾値電圧と、前記第1の閾値電圧より低い第2の閾値電圧とが含まれ、前記保護処理部は、前記差分電圧が、前記第2の閾値電圧以下になった場合に、前記遮断スイッチの導通を遮断し、前記差分電圧が、前記第1の閾値電圧より高くなった場合に、前記遮断スイッチを導通させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記のバッテリ充電装置において、前記保護処理部は、前記遮断スイッチの前記制御電圧の供給側における前記差分電圧が、前記第1の閾値電圧以下になった場合、且つ、前記遮断スイッチの前記制御信号生成部側における前記差分電圧が、前記第2の閾値電圧以下になった場合に、前記遮断スイッチの導通を遮断し、前記遮断スイッチの前記制御電圧の供給側における前記差分電圧が、前記第1の閾値電圧より高くなった場合、又は、前記遮断スイッチの前記制御信号生成部側における前記差分電圧が、前記第2の閾値電圧より高くなった場合に、前記遮断スイッチを導通させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記のバッテリ充電装置において、前記保護処理部は、ツェナーダイオードを利用して、前記差分電圧が、前記所定の閾値電圧以下になったことを検出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、導通状態を制御されることで、発電機が発電した交流電圧を整流して、高電位側の電源線に供給するスイッチング素子を保護する保護装置であって、前記スイッチング素子に接続されている前記高電位側の電源線の電圧を基準にした、電源電圧を昇圧した制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、前記制御電圧により前記スイッチング素子の制御信号を生成する制御信号生成部に、前記制御電圧の供給を停止させて、前記スイッチング素子を非導通状態にする保護処理部を備えることを特徴とする保護装置である。
【0012】
また、本発明の一態様は、導通状態を制御されることで、発電機が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリに供給するスイッチング素子と、前記バッテリから出力される電源電圧を昇圧した制御電圧により、前記スイッチング素子の制御信号を生成する制御信号生成部とを備えるバッテリ充電装置の保護方法であって、保護処理部が、前記バッテリに接続されている電源線であって、前記スイッチング素子の前記バッテリ側の端子に接続されている電源線の電圧を基準にした前記制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、前記制御信号生成部に前記制御電圧の供給を停止させて、前記スイッチング素子を非導通状態にする保護処理ステップを含むことを特徴とする保護方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保護処理部が、スイッチング素子のバッテリ側の端子に接続されている電源線の電圧を基準にした制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、制御信号生成部に制御電圧の供給を停止させて、スイッチング素子を非導通状態にする。これにより、バッテリ充電装置は、スイッチング素子が飽和領域から外れた領域である不飽和領域において導通状態になることを抑制することができ、スイッチング素子の発熱を低減することができる。よって、バッテリ充電装置は、発電中に電源電圧の供給が停止した場合に、スイッチング素子を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態によるバッテリ充電装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態における保護処理部の構成例を説明する回路図である。
【
図3】本実施形態によるバッテリ充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態による保護処理部の動作の一例を説明するタイミングチャーとである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態によるバッテリ充電装置、保護装置、及び保護方法について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態によるバッテリ充電装置1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、バッテリ充電装置1は、ダイオード11と、コンデンサ(12、15~17)と、DC/DCコンバータ13と、レギュレータ14と、スイッチング素子(21~23、31~33)と、ゲートドライバ40と、抵抗(18、42~44)と、保護処理部50とを備えている。
【0017】
バッテリ充電装置1は、発電機2と接続されるとともに、メインスイッチ部6を介して、バッテリ3と接続されている。バッテリ充電装置1は、例えば、自動二輪車などの車両に搭載され、発電機2で発電した交流電力を整流して、バッテリ3に充電する装置である。なお、メインスイッチ部6は、メインスイッチ4と、メインリレー5とを備え、バッテリ充電装置1へのバッテリ3の電圧(電源電圧)の供給を制御する。
【0018】
発電機2は、例えば、スターターモーターとACG(交流発電機)を一体化させクランクと直結したACGスターターである。ここで、クランクシャフトは、例えば、自動二輪車の内燃機関(エンジン)の回転軸に接続された回転子である。
【0019】
バッテリ3は、例えば、鉛蓄電池であり、-(マイナス)電極(負極)が、グランド端子(グランド線L1)に接続されており、+(プラス)電極(正極)が、電源線L2に接続されている。バッテリ3の+電極は、電源線L2を介して、メインスイッチ4及びメインリレー5に接続されている。なお、本実施形態において、バッテリ3の出力電圧を電圧VBATと定義する。
【0020】
メインスイッチ4は、例えば、自動二輪車などの車両のメインスイッチであり、第1端がバッテリ3の+電極(電源線L2)に、第2端が内部電源を供給するノードN1に、それぞれ接続されている。メインスイッチ4は、利用者の手動によるオン状態(接続状態)とオフ状態(非接続状態)とに切り替えられる。
【0021】
メインリレー5(メインスイッチの一例)は、電源線L2と、電源線L3との間に接続されている。メインスイッチ4がオン状態されて、ノードN1が、電圧VBATになることで、メインリレー5は、オン状態になり、電源線L2と、電源線L3とが接続される。また、メインスイッチ4がオフ状態されることにより、メインリレー5は、オフ状態になり、電源線L2と、電源線L3とが切断される。なお、本実施形態において、電源線L3の電圧を、電圧VPと定義する。
このように、メインスイッチ部6は、バッテリ3と電源線L3(後述するスイッチング素子21~スイッチング素子23)との接続、及びバッテリ3とノードN1(後述するDC/DCコンバータ13)との接続を制御する。
【0022】
ダイオード11は、アノード端子がノードN1に、カソード端子がノードN2にそれぞれ接続されている。ダイオード11は、バッテリ3の出力電圧VBATをDC/DCコンバータ13に供給し、DC/DCコンバータ13からバッテリ3への電流の逆流を防止する。
【0023】
コンデンサ12は、ノードN1とグランド線L1との間に接続され、DC/DCコンバータ13に供給するバッテリ3の出力電圧VBATを平滑化する平滑コンデンサである。
【0024】
DC/DCコンバータ13は、例えば、バッテリ3の出力電圧VBATから、高電圧と低電圧とを生成する電源装置である。DC/DCコンバータ13は、バッテリ3の出力電圧VBATを昇圧して、電圧VBATよりも高い電圧VHを、制御電圧として生成し、信号線L4に出力する。また、DC/DCコンバータ13は、バッテリ3の出力電圧VBATから、電圧VHよりも低い電圧を生成し、ノードN3に出力する。なお、電圧VBAT(電源電圧)は、メインスイッチ4を介して、DC/DCコンバータ13に供給される。
【0025】
レギュレータ14は、例えば、ECU(Engine Control Unit)用の電圧VLを生成する降圧型のレギュレータである。レギュレータ14は、生成した電圧VLの電源を、ECUなどの内部電源として供給する。
【0026】
コンデンサ15は、ノードN3とグランド線L1との間に接続され、DC/DCコンバータ13が出力する出力電圧を平滑化する平滑コンデンサである。
コンデンサ16は、レギュレータ14の出力線とグランド線L1との間に接続され、レギュレータ14が出力する出力電圧VLを平滑化する平滑コンデンサである。
【0027】
コンデンサ17は、電源線L3とグランド線L1との間に接続され、バッテリの出力電圧又はを発電機2が発電した交流電圧を整流した電圧である電圧VPを平滑化する平滑コンデンサである。
【0028】
スイッチング素子21~スイッチング素子23は、例えば、N型MOSFETであり、発電機2をスターターモーターとして使用する場合に、スターターモーターを駆動するハイサイド(ハイ側)のスイッチング素子である。なお、本実施形態において、スイッチング素子21~スイッチング素子23は、バッテリ充電装置1が備える任意のハイサイドのスイッチング素子を示す場合、又は特に区別しない場合に、スイッチング素子20として説明する。
スイッチング素子20は、オン状態を制御されることで、発電機2が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリ3に供給する。
【0029】
また、スイッチング素子20は、N型MOSFETであるため、オン抵抗を低減させうために、ゲート端子に供給する制御信号の電圧は、ソース端子とドレイン端子との間の電圧であるソース-ドレイン電圧より高い電圧を供給する必要がある。スイッチング素子20は、ソース-ドレイン電圧に比べてゲート電圧が低下した場合に、飽和領域での導通動作(不飽和動作)となり、スイッチング素子20のオン抵抗が増大して、発熱の原因となる。
【0030】
スイッチング素子21は、ドレイン端子が電源線L3(高電位側の電源線)に、ソース端子がノードN6に、制御端子(ゲート端子)が、ノードN5に接続されている。なお、ノードN6は、発電機2をスターターモーターとして駆動する際の駆動信号Wの信号線である。また、ノードN5は、ゲートドライバ40が出力する制御信号であり、制御電圧VHにより駆動される制御信号の信号線である。
【0031】
スイッチング素子22は、ドレイン端子が電源線L3に、ソース端子がノードN7に、制御端子(ゲート端子)が、ノードN5と同様のゲートドライバ40の制御信号の出力線に接続されている。なお、ノードN7は、発電機2をスターターモーターとして駆動する際の駆動信号Vの信号線である。また、スイッチング素子22のゲート端子は、ゲートドライバ40が出力する制御信号により、制御電圧VHにより駆動される。
【0032】
スイッチング素子23は、ドレイン端子が電源線L3に、ソース端子がノードN8に、制御端子(ゲート端子)が、ノードN5と同様のゲートドライバ40の制御信号の出力線に接続されている。なお、ノードN8は、発電機2をスターターモーターとして駆動する際の駆動信号Uの信号線である。また、スイッチング素子23のゲート端子は、ゲートドライバ40が出力する制御信号により、制御電圧VHにより駆動される。
【0033】
スイッチング素子31~スイッチング素子33は、例えば、N型MOSFETであり、発電機2をスターターモーターとして使用する場合に、スターターモーターを駆動するロウサイド(ロウ側)のスイッチング素子である。なお、本実施形態において、スイッチング素子31~スイッチング素子33は、バッテリ充電装置1が備える任意のロウサイドのスイッチング素子を示す場合、又は特に区別しない場合に、スイッチング素子30として説明する。
【0034】
スイッチング素子31は、ドレイン端子がノードN6に、ソース端子が抵抗18を介してグランド線L1(低電位側の電源線)に、制御端子(ゲート端子)が、ゲートドライバ40の制御信号の出力線に接続されている。なお、ノードN6は、発電機2をスターターモーターとして駆動する際の駆動信号Wの信号線である。
【0035】
スイッチング素子32は、ドレイン端子がノードN7に、ソース端子が抵抗18を介してグランド線L1に、制御端子(ゲート端子)が、ゲートドライバ40の制御信号の出力線に接続されている。なお、ノードN7は、発電機2をスターターモーターとして駆動する際の駆動信号Vの信号線である。
【0036】
スイッチング素子33は、ドレイン端子がノードN8に、ソース端子が抵抗18を介してグランド線L1に、制御端子(ゲート端子)が、ゲートドライバ40の制御信号の出力線に接続されている。なお、ノードN8は、発電機2をスターターモーターとして駆動する際の駆動信号Uの信号線である。
【0037】
スイッチング素子20(21~23)とスイッチング素子30(31~33)とは、発電機2をスターターモーターとして駆動する際に、インバータ回路として機能する。また、スイッチング素子20(21~23)とスイッチング素子30(31~33)とは、発電機2からバッテリ3を充電する場合に、発電機2が発電した交流電圧を整流する整流回路として機能する。
【0038】
抵抗18は、スイッチング素子30(31~33)と、グランド線L1との間に接続されている。抵抗18は、例えば、シャント抵抗であり、発電機2をスターターモーターとして駆動する際に、インバータ回路を流れる電流を検出する際に利用される。
【0039】
ゲートドライバ40(制御信号生成部の一例)は、バッテリ3から出力される電源電圧(電圧VBAT)を昇圧した制御電圧(電圧VH)により、スイッチング素子20の制御信号を生成する。なお、説明の都合上、図示を省略しているが、スイッチング素子22、スイッチング素子23、及びスイッチング素子31~スイッチング素子33のそれぞれのゲート端子に制御信号を出力する。ゲートドライバ40は、不図示の制御部による制御に基づいて、スイッチング素子20の制御信号を生成する。
また、ゲートドライバ40は、制御スイッチ41と、抵抗42~抵抗44とを備える。
【0040】
抵抗42は、第1端が、後述する保護処理部50に出力信号線(制御電圧VHの制御信号線)に接続され、第2端が、ノードN4に接続されている。また、抵抗43は、第1端が、ノードN4に接続され、第2端が、ノードN5(スイッチング素子21のゲート端子)に接続されている。また、抵抗44は、第1端が、ノードN5に接続され、第2端が、駆動信号Wの信号線に接続されている。
抵抗42と、抵抗43と、抵抗44とは、保護処理部50に出力信号線(制御電圧VHの制御信号線)と、駆動信号Wの信号線との間に、直列に接続されている。
【0041】
制御スイッチ41は、スイッチング素子21を制御するスイッチであり、例えば、N型MOSFETである。制御スイッチ41は、ソース端子がノードN6に、ドレイン端子がノードN4に、ゲート端子がゲートドライバ40内の制御信号線に、それぞれ接続されている。制御スイッチ41は、オン状態である場合に、スイッチング素子21のゲート端子であるノードN5を、駆動信号Wの信号線であるノードN6と同電位にして、スイッチング素子21をオフ状態にする。また、制御スイッチ41は、オフ状態である場合に、スイッチング素子21のゲート端子であるノードN5を、高電圧にして、スイッチング素子21をオン状態にする。
【0042】
なお、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、オン状態を制御されることで、発電機2が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリ3に供給するスイッチング素子20を保護する保護装置10を備えている。保護装置10は、保護処理部50を備える。
【0043】
保護処理部50は、電源線L3の電圧を基準にした制御電圧を示す差分電圧(例えば、差分電圧ΔV1)が、所定の閾値電圧以下(例えば、閾値電圧Vth1以下)になった場合に、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を停止させて、スイッチング素子21をオフ状態にする。ここで、電源線L3は、メインスイッチ部6(メインリレー5)を介してバッテリ3に接続されている電源線であって、スイッチング素子21のバッテリ3側の端子(ドレイン端子)に接続されている。また、差分電圧ΔV1及び閾値電圧Vth1の詳細については後述する。
【0044】
ここで、
図2を参照して、保護処理部50の詳細な構成について説明する。
図2は、本実施形態における保護処理部50の構成例を説明する回路図である。
【0045】
図2に示すように、保護処理部50は、遮断スイッチ51と、スイッチ(52、61、63)と、抵抗(53~56、59、60、64、65、68)と、ダイオード(58、62、67)と、ツェナーダイオード(57、66)とを備えている。
【0046】
遮断スイッチ51は、例えば、PNPのバイポーラトランジスタであり、制御電圧VHが供給される信号線L4と、ゲートドライバ40との間に接続されている。遮断スイッチ51は、エミッタ端子が信号線L4に、コレクタ端子が信号線L5に、ベース端子がノードN14に、それぞれ接続されている。
【0047】
スイッチ52は、例えば、PNPのバイポーラトランジスタであり、エミッタ端子が信号線L4に、コレクタ端子がノードN12に、ベース端子がノードN11に、それぞれ接続されている。
【0048】
抵抗53と抵抗54とは、ノードN12とノードN16との間に直列に接続されている。抵抗53は、第1端がノードN12に、第2端がノードN13(スイッチ61のベース端子)に接続されている。また、抵抗54は、第1端がノードN13に、第2端がノードN16に接続されている。
【0049】
抵抗55と抵抗56とは、電源線L3と信号線L4との間に、ツェナーダイオード57及びダイオード58を介して、直列に接続されている。抵抗55は、第1端が信号線L4に、第2端がノードN11に接続されている。また、抵抗56は、第1端がノードN11に、第2端がツェナーダイオード57のカソード端子に接続されている。
【0050】
ツェナーダイオード57は、差分電圧ΔV1が閾値電圧Vth1(第1の閾値電圧)より高くなると、オン状態になり、差分電圧ΔV1が閾値電圧Vth1以下になると、オフ状態になる。ツェナーダイオード57は、アノード端子がダイオード58のアノード端子に、カソード端子が抵抗56の第2端に接続されている。ここで、差分電圧ΔV1は、スイッチング素子20のバッテリ3側の端子に接続されている電源線L3の電圧を基準にした制御電圧VHを示す差分電圧であり、信号線L4の電圧VPから電圧VHを減算した値(電圧VP-電圧VH)である。すなわち、差分電圧ΔV1は、遮断スイッチ51のDC/DCコンバータ13側における差分電圧である。
【0051】
なお、ツェナーダイオード57がオン状態である場合に、上述したスイッチ52が、オン状態になり、ツェナーダイオード57がオフ状態である場合に、上述したスイッチ52が、オフ状態になる。
【0052】
ダイオード58は、アノード端子がツェナーダイオード57のアノード端子に、カソード端子が電源線L3に接続されている。ダイオード58は、電源線L3の電圧VPが信号線L4に逆流するのを防止する。
【0053】
スイッチ63は、例えば、PNPのバイポーラトランジスタであり、エミッタ端子が信号線L5に、コレクタ端子がノードN12に、ベース端子がノードN17に、それぞれ接続されている。
【0054】
抵抗64と抵抗65とは、電源線L3と信号線L5との間に、ツェナーダイオード66及びダイオード67を介して、直列に接続されている。抵抗64は、第1端が信号線L5に、第2端がノードN17に接続されている。また、抵抗65は、第1端がノードN17に、第2端がツェナーダイオード66のカソード端子に接続されている。
【0055】
ツェナーダイオード66は、差分電圧ΔV2が閾値電圧Vth2(第2の閾値電圧)より高くなると、オン状態になり、差分電圧ΔV2が閾値電圧Vth2以下になると、オフ状態になる。ツェナーダイオード66は、アノード端子がダイオード67のアノード端子に、カソード端子が抵抗65の第2端に接続されている。ここで、差分電圧ΔV2は、スイッチング素子20のバッテリ3側の端子に接続されている電源線L3の電圧を基準にした制御電圧VHを示す差分電圧であり、信号線L5の電圧VPから電圧VHを減算した値(電圧VP-電圧VH)である。すなわち、差分電圧ΔV2は、遮断スイッチ51のゲートドライバ40側における差分電圧である。また、閾値電圧Vth2は、閾値電圧Vth1より低い(小さい値)である。
【0056】
なお、ツェナーダイオード66がオン状態である場合に、上述したスイッチ63が、オン状態になり、ツェナーダイオード66がオフ状態である場合に、上述したスイッチ63が、オフ状態になる。
【0057】
ダイオード67は、アノード端子がツェナーダイオード66のアノード端子に、カソード端子が電源線L3に接続されている。ダイオード67は、電源線L3の電圧VPが信号線L5に逆流するのを防止する。
【0058】
抵抗59は、第1端が信号線L4に接続され、第2端がノードN14に接続されている。
抵抗60は、第1端がノードN14に接続され、第2端がノードN15に接続されている。
【0059】
スイッチ61は、例えば、NPNのバイポーラトランジスタであり、エミッタ端子がノードN16に、コレクタ端子がノードN15に、ベース端子がノードN13に、それぞれ接続されている。スイッチ61は、スイッチ52とスイッチ63とのいずれかがオン状態になった場合に、オン状態になり、スイッチ52とスイッチ63との両方がオフ状態になった場合に、オフ状態になる。
【0060】
また、スイッチ61がオン状態である場合に、上述した遮断スイッチ51は、オン状態になる。また、スイッチ61がオフ状態である場合に、上述した遮断スイッチ51は、オフ状態になり、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を停止する。
【0061】
ダイオード62は、アノード端子がノードN16に、カソード端子がグランド線L1に接続されている。ダイオード67は、グランド線L1の電圧VPが信号線L4に逆流するのを防止する。
【0062】
抵抗68は、信号線L5とグランド線L1との間に接続される。抵抗68は、遮断スイッチ51がオフ状態になった場合に、スイッチング素子20のゲート端子をグランド線L1の電位に固定するプルダウン抵抗として機能する。ゲート端子が、グランド線L1の電位に固定されることで、スイッチング素子20は、オフ状態になる。
【0063】
次に、図面を参照して、本実施形態によるバッテリ充電装置1の動作について説明する。
まず、
図3を参照して、本実施形態におけるバッテリ充電装置1の動作の一例について説明する。
【0064】
図3は、本実施形態によるバッテリ充電装置1の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、バッテリ充電装置1の保護処理部50の処理の概要について説明する。
本実施形態によるバッテリ充電装置1の保護処理部50は、電源線L3の電圧VPを基準にした制御電圧VHを示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を停止させて、スイッチング素子20をオフ状態にする。
【0065】
ここで、差分電圧には、遮断スイッチ51のDC/DCコンバータ13側の信号線L4に基づく差分電圧ΔV1と、遮断スイッチ51のゲートドライバ40側の信号線L5に基づく差分電圧ΔV1とが含まれる。また、所定の閾値電圧には、ツェナーダイオード57による閾値電圧Vth1(第1の閾値電圧)と、ツェナーダイオード66による閾値電圧Vth2(第2の閾値電圧)とが含まれる。
【0066】
また、所定の閾値電圧は、スイッチング素子20が飽和領域での導通動作(不飽和動作)にならないように設定されている。また。閾値電圧Vth1は、閾値電圧Vth2よりも高く設定されている。(Vth1>Vth2)
【0067】
図3に示すように、保護処理部50は、スイッチング素子20を保護する処理において、まず、差分電圧ΔV1が閾値電圧Vth1以下であるか否かを判定する(ステップS101)。保護処理部50は、ツェナーダイオード57により、差分電圧ΔV1が閾値電圧Vth1以下であるか否かを判定する。保護処理部50は、差分電圧ΔV1が閾値電圧Vth1以下である場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、保護処理部50は、差分電圧ΔV1が閾値電圧Vth1より高い場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS104に進める。
【0068】
ステップS102において、保護処理部50は、差分電圧ΔV2が閾値電圧Vth2以下であるか否かを判定する。保護処理部50は、ツェナーダイオード66により、差分電圧ΔV2が閾値電圧Vth2以下であるか否かを判定する。保護処理部50は、差分電圧ΔV2が閾値電圧Vth2以下である場合(ステップS102:YES)に、処理をステップS103に進める。また、保護処理部50は、差分電圧ΔV2が閾値電圧Vth2より高い場合(ステップS102:NO)に、処理をステップS104に進める。
【0069】
ステップS103において、保護処理部50は、遮断スイッチ51をオン状態からオフ状態にする。保護処理部50は、遮断スイッチ51をオン状態からオフ状態にすることで、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を停止させて、スイッチング素子20をオフ状態にする。ステップS103の処理後に、保護処理部50は、処理をステップS101に戻す。
【0070】
また、ステップS104において、保護処理部50は、遮断スイッチ51をオフ状態からオン状態にする。保護処理部50は、遮断スイッチ51をオフ状態からオン状態にすることで、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を行い、スイッチング素子20のオフ状態を解除する。ステップS104の処理後に、保護処理部50は、処理をステップS101に戻す。
【0071】
次に、
図4を参照して、保護処理部50の動作の詳細について説明する。
本実施形態では、保護処理部50は、上述した
図3に示す処理を、
図2に示す回路により実現している。そこで、
図4を参照して、保護処理部50の動作の詳細について説明する。
【0072】
図4は、本実施形態による保護処理部50の動作の一例を説明するタイミングチャーとである。
図4において、波形W1~波形W9の各波形は、上から順に、制御電圧VH、電源電圧VP、メインスイッチ4の状態、差分電圧ΔV1、差分電圧ΔV2、スイッチ52の状態、スイッチ63の状態、スイッチ61の状態、及び遮断スイッチ51の状態の波形を示している。また、各波形の横軸は、時間を示している。
【0073】
図4に示すように、時刻T1において、例えば、自動二輪車などの車両が移動中にメインスイッチ4がオフ状態にされる(波形W3を参照)と、DC/DCコンバータ13へのバッテリ3の出力電圧VBATの供給が停止されるとともに、メインリレー5がオフ状態にされて、電源線L3とバッテリ3との接続が遮断される。
【0074】
これにより、DC/DCコンバータ13の動作が停止し、制御電圧VHが低下する(波形W1を参照)。また、電源線L3の電源電圧VPは、発電機2が発電中であるため、バッテリ3の出力電圧VBATによるクランプが外れて上昇する(波形W2を参照)。その結果、差分電圧ΔV1及び差分電圧ΔV2は、低下する(波形W4及び波形W5を参照)。
【0075】
次に、時刻T2において、差分電圧ΔV1が閾値電圧Vth1以下になると、ツェナーダイオード57はオフ状態になり、ノードN11が制御電圧VHになり、スイッチ52がオン状態からオフ状態になる(波形W6を参照)。
【0076】
次に、時刻T3において、差分電圧ΔV2が閾値電圧Vth2以下になると、ツェナーダイオード66はオフ状態になり、ノードN17が制御電圧VHになり、スイッチ63がオン状態からオフ状態になる(波形W7を参照)。これにより、スイッチ52とスイッチ63との両方がオフ状態になるため、ノードN13がグランド線L1の電位になり、その結果、スイッチ61がオン状態からオフ状態になる(波形W8を参照)。
【0077】
これにより、ノードN14が制御電圧VHになり、遮断スイッチ51がオン状態からオフ状態になる(波形W9を参照)。遮断スイッチ51がオフ状態になると、ゲートドライバ40への制御電圧VHの供給が停止し、信号線L5は、抵抗68によって、グランド線L1の電位に固定される。これにより、スイッチング素子20のゲート端子であるノードN5が、グランド線L1の電位に固定され、スイッチング素子20は、オフ状態になる。
【0078】
また、時刻T4において、メインスイッチ4がオン状態にされる(波形W3を参照)と、DC/DCコンバータ13へのバッテリ3の出力電圧VBATの供給が開始されるとともに、メインリレー5がオン状態にされて、電源線L3とバッテリ3との間が接続される。
【0079】
これにより、DC/DCコンバータ13が動作を開始し、制御電圧VHが上昇する(波形W1を参照)。また、電源線L3の電源電圧VPは、上昇してバッテリ3の出力電圧VBATでクランプされる(波形W2を参照)。その結果、差分電圧ΔV1及び差分電圧ΔV2は、上昇する(波形W4及び波形W5を参照)。
【0080】
次に、時刻T5において、差分電圧ΔV1が閾値電圧Vth1より高くなると、ツェナーダイオード57はオン状態になり、ノードN11の電圧が低下してベース電流が流れ、スイッチ52がオフ状態からオン状態になる(波形W6を参照)。これにより、ノードN13の電圧が上昇し、その結果、ベース電流が流れスイッチ61がオフ状態からオン状態になる(波形W8を参照)。
【0081】
これにより、ノードN14の電圧が低下し、遮断スイッチ51がオフ状態からオン状態になる(波形W9を参照)。遮断スイッチ51がオン状態になると、ゲートドライバ40への制御電圧VHの供給が開始され、スイッチング素子20のゲート端子であるノードN5が、制御電圧VHにより供給可能になり、スイッチング素子20は、正常な動作可能な状態(不飽和動作でない状態)になる。
【0082】
なお、時刻T6において、差分電圧ΔV2が閾値電圧Vth2より高くなると、ツェナーダイオード66はオン状態になり、ノードN17の電圧が低下してベース電流が流れ、スイッチ63がオフ状態からオン状態になる(波形W7を参照)。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、スイッチング素子20と、ゲートドライバ40(制御信号生成部)と、保護処理部50とを備える。スイッチング素子20は、導通状態を制御されることで、発電機2が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリ3に供給する。ゲートドライバ40は、バッテリ3から出力される電源電圧VBATを昇圧した制御電圧VHにより、スイッチング素子20の制御信号を生成する。保護処理部50は、バッテリ3に接続されている電源線L3であって、スイッチング素子20のバッテリ3側の端子に接続されている電源線L3の電圧VPを基準にした制御電圧VHを示す差分電圧(差分電圧ΔV2)が、所定の閾値電圧以下(閾値電圧Vth2以下)になった場合に、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を停止させて、スイッチング素子20をオフ状態にする。
【0084】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、スイッチング素子20が飽和領域から外れた領域である不飽和領域においてオン状態になることを抑制することができ、スイッチング素子20の発熱を低減することができる。よって、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、発電機2が発電中に電源電圧VBATの供給が停止した場合に、スイッチング素子20を保護することができる。
【0085】
なお、不飽和領域におけるスイッチング素子20では、ゲート電圧が低いことによるオン抵抗が増大し、スイッチング素子20が異常な発熱して故障の原因になる。本実施形態によるバッテリ充電装置1は、このようなスイッチング素子20の異常な発熱による故障を防止することができる。
【0086】
また、本実施形態では、保護処理部50は、制御電圧VHが供給される信号線L4と、ゲートドライバ40との間に接続された遮断スイッチ51を備える。保護処理部50は、差分電圧(差分電圧ΔV2)が、所定の閾値電圧以下(閾値電圧Vth2以下)になった場合に、遮断スイッチ51の導通を遮断する。
【0087】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、遮断スイッチ51を制御することで、簡易、且つ、迅速に、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を停止させて、スイッチング素子20をオフ状態にすることができる。
【0088】
また、本実施形態では、上述した所定の閾値電圧には、閾値電圧Vth1(第1の閾値電圧)と、閾値電圧Vth1より低い閾値電圧Vth2(第2の閾値電圧)とが含まれる。保護処理部50は、差分電圧ΔV2が、閾値電圧Vth2以下になった場合に、遮断スイッチ51の導通を遮断し、差分電圧ΔV1が、閾値電圧Vth1より高くなった場合に、遮断スイッチ51を導通(オン状態に)させる。
【0089】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、遮断スイッチ51のオフ状態への制御と、オン状態への制御とに、ヒステリシスを持たせることができ、例えば、所定の閾値電圧付近におけるノイズによる誤動作を低減することができる。
【0090】
また、本実施形態では、保護処理部50は、遮断スイッチ51の制御電圧VHの供給側における差分電圧ΔV1が、閾値電圧Vth1以下(第1の閾値電圧以下)になった場合、且つ、遮断スイッチ51のゲートドライバ40側(制御信号生成部側)における差分電圧ΔV2が、閾値電圧Vth2以下(第2の閾値電圧以下)になった場合に、遮断スイッチ51の導通を遮断する。また、保護処理部50は、遮断スイッチ51の制御電圧VHの供給側における差分電圧ΔV1が、閾値電圧Vth1より高くなった場合、又は、遮断スイッチ51のゲートドライバ40側における差分電圧ΔV2が、閾値電圧Vth2(第2の閾値電圧)より高くなった場合に、遮断スイッチ51を導通させる。
【0091】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、遮断スイッチ51の両端における差分電圧(差分電圧ΔV1及び差分電圧ΔV2)により、遮断スイッチ51の導通を遮断し、遮断スイッチ51の制御電圧VHの供給側の差分電圧ΔV1、又は、遮断スイッチ51のゲートドライバ40側の差分電圧ΔV2により、遮断スイッチ51を導通させるため、簡易な構成で確実に遮断スイッチ51を制御することができる。
【0092】
また、本実施形態では、保護処理部50は、ツェナーダイオード(57、66)を利用して、差分電圧(差分電圧ΔV1及び差分電圧ΔV2)が、所定の閾値電圧(閾値電圧Vth1及び閾値電圧Vth2)以下になったことを検出する。
【0093】
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置1は、ツェナーダイオード(57、66)を利用することにより、差分電圧が所定の閾値電圧以下になったことを検出する構成を簡略化することができる。
【0094】
また、本実施形態による保護装置10は、導通状態を制御されることで、発電機2が発電した交流電圧を整流して、高電位側の電源線(例えば、電源線L3)に供給するスイッチング素子20を保護する保護装置であって、保護処理部50を備える。保護処理部50は、スイッチング素子20に接続されている高電位側の電源線(例えば、電源線L3)の電圧を基準にした、電源電圧VBATを昇圧した制御電圧を示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、制御電圧によりスイッチング素子20の制御信号を生成するゲートドライバ40に、制御電圧の供給を停止させて、スイッチング素子20を非導通状態にする。
【0095】
これにより、本実施形態による保護装置10は、上述したバッテリ充電装置1と同様の効果を奏し、発電機2が発電中に電源電圧VBATの供給が停止した場合に、スイッチング素子20を保護することができる。
【0096】
また、本実施形態による保護方法は、導通状態を制御されることで、発電機2が発電した交流電圧を整流して、充電電圧をバッテリ3に供給するスイッチング素子20と、バッテリ3から出力される電源電圧VBATを昇圧した制御電圧VHにより、スイッチング素子20の制御信号を生成するゲートドライバ40とを備えるバッテリ充電装置1の保護方法であって、保護処理ステップを含む。保護処理ステップにおいて、保護処理部50が、メインスイッチ部6(メインリレー5)を介してバッテリ3に接続されている電源線であって、スイッチング素子20のバッテリ3側の端子に接続されている電源線L3の電圧を基準にした制御電圧VHを示す差分電圧が、所定の閾値電圧以下になった場合に、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を停止させて、スイッチング素子20をオフ状態にする。
【0097】
これにより、本実施形態による保護方法は、上述したバッテリ充電装置1と同様の効果を奏し、発電機2が発電中に電源電圧VBATの供給が停止した場合に、スイッチング素子20を保護することができる。
【0098】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、差分電圧に、差分電圧ΔV1と、差分電圧ΔV2との2種類を用いて制御する例を説明したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方を用いるようにしてもよい。
【0099】
また、上記の実施形態において、保護処理部50は、遮断スイッチ51を用いて、ゲートドライバ40に制御電圧VHの供給を停止させて、スイッチング素子20をオフ状態にする例を説明したが、これに限定されるものではない。保護処理部50は、例えば、他の論理回路などを用いて、スイッチング素子20のゲート電圧を制御して、スイッチング素子20をオフ状態にするようにしてもよい。
【0100】
また、上記の実施形態において、発電機2が、スターターモーターとACG(交流発電機)を一体化させクランクと直結したACGスターターである例を説明したが、これに限定されるものではない。発電機2は、例えば、単相磁石式交流発電機など単独の発電機であり、且つ、他の方式の発電機であってもよい。
【0101】
また、上記の実施形態において、バッテリ充電装置1及び保護装置10は、自動二輪車などの車両用途に使用される例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の用途に適用されてもよい。
【0102】
また、上記の実施形態において、保護処理部50は、ツェナーダイオード(57、66)を利用して、差分電圧(差分電圧ΔV1及び差分電圧ΔV2)が、所定の閾値電圧(閾値電圧Vth1及び閾値電圧Vth2)以下になったことを検出する例を説明したが、これに限定されるものではない。保護処理部50は、例えば、コンパレータやADCなどの他の手段を用いて、差分電圧が、所定の閾値電圧以下になったことを検出するようにしてもよい。
【0103】
また、上記の実施形態において、保護処理部50は、
図2に示すような回路構成により実現する例を説明したが、これに限定されるものではなく、保護処理部50は、例えば、
図3に示すような処理を、コンピュータに実行させるソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0104】
また、上記の実施形態において、スイッチング素子20に接続されている高電位側の電源線L3は、メインスイッチ部6のメインリレー5を介して、バッテリ3に接続される例を説明したが、これに限定されるものではなく、メインリレー5を備えずに、電源線L3が直接バッテリに接続される形態であってもよい。
【0105】
また、上記の実施形態において、保護装置10は、バッテリ充電装置1(バッテリ3の充電の用途)に適用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、バッテリを備えない用途に適用してもよい。
【0106】
なお、上述のバッテリ充電装置1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した保護処理部50の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 バッテリ充電装置
2 発電機
3 バッテリ
4 メインスイッチ
5 メインリレー
6 メインスイッチ部
10 保護装置
11、58、62、67 ダイオード
12、15、16、17 コンデンサ
13 DC/DCコンバータ
14 レギュレータ
20、21、22、23、30、31、32、33 スイッチング素子
40 ゲートドライバ
41 制御スイッチ
18、42、43、44、53、54、55、56、59、60、64、65、68 抵抗
50 保護処理部
51 遮断スイッチ
52、61、63 スイッチ
57、66 ツェナーダイオード