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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056433
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】社内インディ制度システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230412BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165814
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】511302873
【氏名又は名称】一般社団法人エスアールアップ二十一
(74)【代理人】
【識別番号】100092107
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 達也
(72)【発明者】
【氏名】岩城 猪一郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】企業のコスト削減、人財確保等、組織改革をこう書誌、個人(働く側)から見た場合、所得向上、能力向上、自由裁量に資する社内インディ制度システムを提供する。
【解決手段】社内インディ制度システム1において、サーバ4は、会社2及びアントレ3が保有する端末のブラウザとネットワーク6を介して接続され、社内独立者及び会社に関する既存の蓄積された情報をデータベース5のデータとして記憶する。そして、社内インディ制度を立ち上げるための、集客用セミナー、企業向けセミナーによる集客、宣伝を実施し、契約ミーティング、情報収集ミーティング、情報収集、情報分析及びフィードバックミーティングの結果によりサーバーの情報を更新し、これをコンピュータに蓄積・管理し、この情報を駆使して社内インディ制度導入準備を実施する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会社端末及び社内独立者端末とネットワークを介して接続されたサーバであって、社内独立者及び会社に関する既存の蓄積された情報を記憶する記憶手段とをオンラインデータベース化し、社内インディ制度を立ち上げるための、集客用セミナー、企業向けセミナーによる集客、宣伝を実施し、契約ミーティング、情報収集ミーティング、情報収集、情報分析、フィードバックミーティングの結果によりサーバの情報を更新し、これをコンピュータに蓄積・管理し、この情報を駆使して社内インディ制度導入準備の実行をし、実施要項ミーティング、詳細情報収集ミーティング、詳細情報分析、契約書類作成、説明会の開催により社内インディ制度導入実施を実行し、これらの各情報をコンピュータにより蓄積、管理することにより、社内インディ制度導入フォローアップを実施し、さらに社会保険労務士等向けのセミナーの開催、コンサルタント登録研修の実施を行うことを特徴とする社内インディ制度システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2019年、働き方改革関連法が施行され、日本の雇用、労働にとって大きく変化が求められる時代となり、企業では、AI(人工知能)、ICT(情報通信技術)、RPA(ランダム位相近似理論)等をはじめとする先端テクノロジーとの共生、共存が不可欠となり、企業における働き方も大きく変わろうとしている。
2019年5月に開催された「未来投資会議」では、65歳から70歳までの就業機会確保について、多様な選択肢を法制度上許容し、その選択肢を労使で話し合う仕組みや、企業と個人が相談し、選択できる仕組みを検討する必要性が示されました。その中で、定年廃止、70歳まで定年延長等の他、個人とのフリーランス契約への機会提供、個人の起業支援等の選択も織り込まれ、副業、兼業の促進と共に、今後企業に雇用されずに働く人が増えていくことが考えられます。
この背景は、バブル崩壊により経済のグローバル化、スピード化、高度情報化などが新社会創造を推し進めました。一方、経済の不透明感は、先行き不安を招き、雇用情勢の悪化や、消費の落込み、さらには社会保険料など国民負担増のマイナス要因が経済停滞を増幅し、企業経営を直撃しています。
このように企業の収益改善は、社員や下請企業、取引先を犠牲にした回復であり、今後は行き詰まりが予想されるものである。そこで、これまでの「甘えの構造」を断ち切ることを考えると、「雇用」を変えざるを得ない状態になっていると考えられます。
このような時代の変化を予想し、企業業績向上の切り札として、新しい働き方の一端を担うシステムとして、また企業業績の向上、業務の効率化およびコストの削減に大きく貢献できるビジネス市場の開拓、及び関与先企業とのパートナーシップの強化に活用できる社内で個人事業主として独立する制度(以下、社内インディ制度という)を提供するものである。
すなわち、企業と社員にとって有益なように雇用の形態を改革したもので、企業の業績向上を図るとともに、有能な社員の能力を最大限に引き出すことができるシステムで、社員自らが独立し会社と個別の契約を結び、社員自らの裁量と能力に基づいて仕事を決定し、会社からの業務を受注し、会社内で仕事を行って収入を得る会社に居ながらにして独立できる社内インディ制度に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、派遣スタッフIDを含む派遣スタッフの属性情報、勤務先企業の連絡先電子メールアドレス及び連絡先電話番号が少なくとも登録された派遣スタッフデータベースと、電話回線に接続され、当該電話回線を介して接続された電話機に対して音声案内を出力すると共に、当該音声案内に従って行われる当該電話機からのテンキー操作によるデータ入力を受け付ける音声自動応答装置と、前記派遣スタッフデータベースに登録された情報をもとに欠勤連絡メールを送信するメールサーバとを備え、前記音声自動応答装置は、派遣スタッフが使用する電話機から前記テンキー操作により入力された、派遣スタッフID及び欠勤理由を含む欠勤情報を受け付け、当該欠勤情報を前記派遣スタッフデータベースに登録する自動受付手段と、前記派遣スタッフIDに基づいて、前記派遣スタッフデータベースに登録されている当該派遣スタッフの勤務先企業の連絡先電話番号を特定し、前記派遣スタッフからの通話を当該連絡先電話番号に転送する通話転送手段を含み、前記メールサーバは、前記音声自動応答装置が受け付けた前記派遣スタッフIDに基づいて、前記派遣スタッフデータベースに登録されている当該派遣スタッフの勤務先企業の連絡先電子メールアドレスを特定した後、派遣会社の管理下にある業務端末及び前記派遣先企業の管理下にあるクライアント端末に前記欠勤理由を含む欠勤連絡メールを送信する人材派遣管理システム。(例えば、特許文献1参照)が存在している。
【特許文献1】特許第4963991号公報(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び図1図4を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明に係る社内インディ制度システムは、雇用形態の改革を目指すもので、働き方改革をすることが目的である。
従来の派遣スタッフは企業の重要な人材である。派遣スタッフは、人材派遣会社から派遣された従業員であり、人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社の命を受けて顧客企業の指定する場所でその指示の下で就労する。人材派遣制度は、企業側にとって短期的な人手不足や余剰を吸収し、人件費の削減ができると共に、スキルの高い人材を容易に確保できるというメリットがある。また、派遣スタッフにとっては、正社員という厳格な雇用形態にとらわれず、比較的自由に希望の職種を選べるため色々な仕事を経験でき、短期で高給な仕事を見つけることができるというメリットがある。つまり、両者にとって非常に都合がよい制度であるといえる。人材派遣管理システムは、派遣スタッフIDを含む派遣スタッフの属性情報、勤務先企業の連絡を電子メールアドレス、及び連絡先電話番号等の派遣スタッフデータベースと、電話回線に接続され、当該電話機からのテンキー操作によるデータ入力を受け付ける音声自動応答装置と、派遣スタッフデータベースに登録された情報を基に欠勤連絡メールを送信するメールサーバーを備える必要があるという問題があった。
本発明は、それらを解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りの社内インディ制度システムであり、次のようなものである。
会社端末及び社内独立者端末とネットワークを介して接続されたサーバであって、社内独立者及び会社に関する既存の蓄積された情報を記憶する記憶手段とをオンラインデータベース化し、社内インディ制度を立ち上げるための、集客用セミナー、企業向けセミナーによる集客、宣伝を実施し、契約ミーティング、情報収集ミーティング、情報収集、情報分析、フィードバックミーティングの結果によりサーバの情報を更新し、これをコンピュータに蓄積・管理し、この情報を駆使して社内インディ制度導入準備の実行をし、実施要項ミーティング、詳細情報収集ミーティング、詳細情報分析、契約書類作成、説明会の開催により社内インディ制度導入実施を実行し、これらの各情報をコンピュータにより蓄積、管理することにより、社内インディ制度導入フォローアップを実施し、さらに社会保険労務士等向けのセミナーの開催、コンサルタント登録研修の実施等を行う社内インディ制度システムである。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る社内インディ制度システムは、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)企業業績の向上を目指すには利益の向上が上げられる。すなわち、独立事業者にとって自分の収入は自分で決めることができる動機付け、自己裁量により仕事を決め、進めることができ、好きな仕事を続けていくことができ、ライフスタイルの変化に対応できることに加え、人財の活性化が図れる。さらに、時間外労働費の削減、社会保険料の削減、教育訓練費の削減、福利厚生費の削減による人件費率の低下というコスト削減が図れる。加えて、個別化、高度化したクライアントのニーズに素早く対応できる組織にする上で、事業展開の迅速化やコア業務への集中等、組織改革の推進が望めるものであり、社員自らが独立し、会社と個別の契約を結び、自らの裁量と能力の基に仕事を決定し、会社からの業務を受注し収入を得ることができる会社に居ながらにして独立した個人事業主になれるものである。
(2)企業としては、人財の活性化、人財確保ができ、動機づけ効果があり、コスト削減が可能で、さらに組織改革の推進ができ、企業の業績向上に結びつけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
会社端末及び社内独立者端末とネットワークを介して接続されたサーバーであって、社内独立者及び会社に関する既存の蓄積された情報を記憶する記憶手段とをオンラインデータベース化し、社内インディ制度を立ち上げるための、集客用セミナー、企業向けセミナーによる集客、宣伝を実施し、契約ミーティング、情報収集ミーティング、情報収集、情報分析、フィードバックミーティングの結果によりサーバーの情報を更新し、これをコンピュータに蓄積・管理し、この情報を駆使して社内インディ制度導入準備の実行をし、実施要項ミーティング、詳細情報収集ミーティング、詳細情報分析、契約書類作成、説明会の開催により社内インディ制度導入実施を実行し、これらの各情報をコンピュータにより蓄積、管理することにより、社内インディ制度導入フォローアップを実施し、さらに社会保険労務士等向けのセミナーの開催、コンサルタント登録研修の実施等を行う社内インディ制度システムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の社内インディ制度システムの概略構成を示すブロックダイアグラムである。
図2】本発明に係る同社内インディ制度システムの制度の概要を示す説明図である。
図3】本発明に係る社内インディ制度システムの制度導入理念を説明する説明図である。
図4】同社内インディ制度システムの導入意義・目的を示す説明図である。
図5】同社内インディ制度導入の目的に対する検討項目のフロー図である。
図6】同社内インディ制度システムの導入背景を示す説明図である。
図7】他の就業形態のメリット・デメリットを示す説明図である。
図8】本発明の社内インディ制度システムの導入流れを示す説明図である。
【実施例0008】
図1は、本実施形態に係る社内インディ制度システムの概略構成を示すブロックダイヤグラムである。
図1に示すように、社内インディ制度システム1は、会社2とアントレ(社内独立者)3との間をネットワーク6でつなぐ、データベース5を有するサーバ4を備え、これらが所定のネットワーク(LAN、インターネット、専用線、パケット通信網、それらの組み合わせ等のいずれであっても良く、有線無線の両方を含む)を介して、相互に接続されることにより構成される。
サーバ4は、典型的には、Webサーバやデータベースサーバ等の機能を備え、会社2から提供されたジョブ情報とアントレ3から提供される情報とで、所定の要求に応じた処理を行い、その処理結果を会社2の端末、アントレ3の端末に返信する機能を備える。この各端末である会社2とアントレ3との間で所定の契約が確定する。このような社内インディ制度システムを立ち上げたり、会社2とアントレ3を結びつけ、社内インディ制度システムによるコンサルトは、例えば社会保険労務士がコンサルディングを行い、スムーズに利用できるようにするものである。
【0009】
図2は、本発明に係る社内インディ制度システムの基本理念を示すブロック図で社内インディ制度の概要を説明したものである。
先ず、社内インディ制度とは、どのような制度なのかを概略説明する。
社内インディ―制度(社内独立制度)は、社員との雇用関係を一旦解消し、外注先として再契約する独立した社員(アントレ)と請負契約を結ぶ制度である。
それは、一定の基準を満たした社員自らが、社内で独立し、会社と個別の契約を結び、自らの裁量と能力を基に仕事を決定し、会社から業務を受注し、収入を得る制度である。
社内インディ制度の理念は、会社(株主、従業員)、アントレ(アントレプレヌーン=企業内企業家→独立事業者)、顧客のこれら3者が継続的に利益を享受することができるよう、3者各々の企業の業績向上、アントレ(独立事業者)の利益、サービス向上、顧客への信頼向上、オンリーワン企業へと好循環を作り上げることである。
この社内インディ制度は、会社側から見ると、利益の向上、すなわち会社業績の向上のために、働き方改革が叫ばれている昨今、働き方に対する意識の変化がある。
これは、アントレ(独立事業者)としては、自分の収入は自分で決めることができる動機付け、自己裁量により仕事を決め、進めることができる。好きな仕事を続けていくことができる。ライフスタイルの変化に対応できるという利点がある。
また会社としては、コストの削減が求められている中、その大きな1つである経費の削減、特に人件費の高騰→人件費を固定費から流動費にでき、時間外労働費の削減、社会保険料の削減、教育訓練費の削減、福利厚生費の削減による人件費率の低減が可能になる。
さらに会社の組織改革の推進のために、個別化、高度化したクライアントのニーズに素早く対応できる組織にすることができ、事業展開の迅速化やコア業務への集中化が期待できるものである。
【0010】
この社内インディ制度を採用する場合の企業側とアントレ(独立事業者)のメリット、デメリットについて説明する。
企業側のメリットは、
(1)優秀な人財の確保、定着とその能力の最大限の活用が図れる。
(2)人財のモチベーションアップが図れる(アントレは自分の力量により収入がアップするので「やる気」が向上する。)
(3)人件費を固定費から流動費(仕事の分量により支払額が決まるので合理的、また社会保険料等の企業負担を減らすことができる。)
アントレ側(働く側)のメリットは、
(1)自分の働き方により収入がアップする収入増の可能性がある。
(2)技術、知識の向上が収入に直結するため、プロ意識が芽生える。新しい技術・知識の習得・向上への意識改革が図られ、能力向上の機会となる。
(3)自由な働き方が望め、長期休暇取得も可能で、生活にゆとりがもてる。自由裁量ができる。
次に企業側のデメリットは、
(1)会社側から具体的な指揮・命令ができない。
(2)発注量(業務)の確保が求められる。
そしてアントレ(働く側)のデメリットは、
(1)個人事業主としての各種届出、手続処理が必要である。
(2)会社の社会保険・労働保険の適用から外れ、公的保険に加入する必要がある。
上記アントレ(働く側)のデメリットについては、社内インディ制度導入のためのコンサルティングを行うプランを用意してあり、しかも法律上の問題点をクリアしたものが整えられている。
【0011】
以上、該社内インディ制度を採用する上で、事前に導入可能性の調査をコンサルタント業務として行うこととなる。
それは、(1)契約ミーティングの開催を行い、決定権者の参加の上で、契約締結に進まない方が良い場合の条件を確かめたり、コンサルタント、並びにクライアントが互いから何を期待し、どのように協力していくかを明白に、用意したコンサルティング契約をコンサルタントとクライアントの両者とも契約を自らの意思選択によって相互同意で結ぶもので、両者とも契約により何らかの「価値」を受け取る意義確認が必要である。
(2)情報収集ミーティングを行う。
先ず、資料の収集を行うが、会社側には、アントレ(働く側)は元々その会社の社員であるので、個人情報は有しているので、会社側としては情報収集は極めて簡単に入手できるものである。
その情報の種類としては、次のようなものが考えられる。
決算書関連データ、人事データ、退職金関連データ、規則・規定類、契約書、人事制度関連データである。
会社の現在の中長期経営方針、さらには経営目標、部門目標との関係を明確化した上で、本発明の社内インディ制度の導入目的を社員・アントレに噛み砕いて説明し、浸透させる。さらに社内インディ制度を導入することにより、達成を目指す目標を設定する。この目標は、経営方針との整合性を考慮し、定性目標、定量目標のバランスをとるようにする。これらを踏まえて、以上で説明した情報の蓄積とオンラインデータベース化を行い、ウェブ上で管理を行い、アントレ、会社共に経営指標を常時確認でき、スピーディーに軌道修正、アントレに対してのサポートが可能になる。
【0012】
そのほか、アントレ(働く側)のリスクとしては、次のようなものが考えられる。
(1)病気・怪我による休業時の収入減は、アントレは労災保険の加入対象とならないため、業務上の病気や怪我であっても療養補償給付、休業補償給付が受けられなく、また業務外の病気・怪我での休業の場合、国民健康保険に傷病手当金の支給がないため、収入が減額(又は得られなくなる)となってしまう。
これに対応するには、民間保険が種々存在しているので、これらのアドバイスもコンサルタントの役目として、あることも理解する必要がある。
(2)死亡時の遺族補償についても会社からの死亡退職金や弔慰金がないため、アントレが死亡した場合の遺族補償が不足することが考えられる。これに対応するため、各種民間保険を検討する必要が出てくる。
(3)老後資金の不足も考慮する必要がある。それは、厚生年金から国民年金への加入となるため、及び退職金制度が無くなるため、老後資金の貯蓄が不足することが考えられる。これも対応としては、民間保険(個人年金)を検討する必要がある。
【0013】
ここで、本発明の詳細な説明をする。
先ず、本発明のシステムにおける重要な事項である社内インディ制度の概要について説明する。
制度としては、図2に示すように、社員自らが独立し、会社と個別の業務請負契約を結び、自らの裁量と能力の基に仕事を決定し、何時、どこで、どのように行うかの段取りを検討し、会社からの業務を受注し収入を得るもので、会社に居ながらにして独立できる制度である。これは、働く側の能力を最大限に引き出すことができ、従来の会社-社員の関係とは違う新しい制度である。
【0014】
この社内インディ制度は、図2に示すように、従来の会社と雇用契約を結んでいる社員が自らの意思で独立するということで、会社と個別の業務請負契約をして社内独立者(個人事業主)になるという新しい制度である。
この社内インディ制度は会社と社内独立者(以下、アントレという。)の両者にメリットがあり、具体的には以下のような準備から実施まで行い、これをフォローアップして、さらに各企業に合致したより良い社内インディ制度システムを構築するものである。
【0015】
次に、制度導入の理念について図3に基づいて説明する。
理念としては、関係する者全てが良い方向に向かうものでなくてはならず、企業の業績向上が可能であり、これとタイアップしてアントレの利益になり、さらに全体として、サービスの向上につながり、お客様の信頼向上がなされ、結果的に、アントレがオンリーワン企業へと向かうことになり、これらが順次連鎖しながら図示の矢印のように全てが良い方向に回転していくものとなる。
【0016】
次に、本発明の制度導入の主な目的について、図4に基づいて説明する。
導入の目的としては、人財の活性化、コストの削減、組織改革の推進を図ることができ、企業側のメリットとしては、人財確保、コストの削減が得られる。また、アントレのメリットは、収入増の可能性、能力向上の機会ができ、しかも自由裁量で働く側が企業側に拘束されずに契約通りに約束を遵守すれば自由に仕事をすることができるものである。
【0017】
さらに、社内インディ制度導入の目的について、図5に基づいて説明する。
企業側、アントレ側の両者のメリットにつながる説明をフロー図化したもので説明すると、企業側にとっては、業績向上、利益向上、売り上げアップにつながる点、アントレ側にとってのやる気向上、自由な働き方、機会損失減少などの点が明白に確認することができる。
【0018】
また、本発明の制度を導入する上で、現在の社会情勢等による背景がどうなっているかをまとめてみると図6に示すようになる。
社内インディ制度を採用することで、コスト対効果の追求が行え、非正規型労働力の戦略的活用ができ、しかも経営環境の変化を促す。アントレの各々に成果に見合った収入への期待ができ、効率が良くなり、これらによって労働者の意識変化をうながし、就業形態の多様化が進み、人財の活性化に結びついていく。
【0019】
以上のように、本発明の社内インディ制度を採用することで労働者の意識変化・就業形態の多様化が進んでいくが、これを裏付けるものとして独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、終身雇用に関する意識の変化は、「よい制度」であるとする回答は40%弱に対し、「良くない・どちらともいえない」との回答が60%を超え、終身雇用制度に対する疑問、不安感が高まっている。また、成果主義についてみれば、同じく独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、「賛成だが不安」が60%、「賛成」が30%弱で、浸透・理解具合の低さを象徴しているが約90%は賛成であることから、制度導入の背景でも述べたように成果主義における点から見てもこの制度の採用は意義があることになる。
【0020】
以上のように、成果主義に「賛成」という回答が多いにもかかわらず、実際に賃金へ反映されていると感じている労働者は少ないということも独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査で判明していることを見ても、本発明の社内インディ制度を採用することは意味があると考えられる。
【0021】
また、仕事に対する意識についての独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査では、「より良い仕事をしたい」と感じる社員の割合が多い。それは人一倍努力をしてでも、いい仕事をしたいと考える労働者が多いということで、その機会を与えることも会社の大きな役割の一つであるのではないかということが判った。
【0022】
次に、雇用形態の変化についての調査では、正社員の比重は確実に減少しつつある。
この点から見ても、本発明の社内インディ制度を採用する意味が強く出ている証拠として考えられる。すなわち、正社員の人財活用が今後の課題であることがはっきりと証明されている。
【0023】
ここで、図7に基づいて従来の就業形態はどうかを見てみると、メリットとしては、正社員は安定と帰属意識、組織力、チーム力、長期戦略、ノウハウの蓄積が高められる。パートは柔軟な人員調整ができ、安価である。契約社員も柔軟な人員調整がとれる。請負は法定福利費を抑えることができる。派遣は、自由な人員調整と専門性が高い利点がある。アウトソーシングについて見れば、雇用関係がない、専門性が高いというメリットが挙げられる。
これに対してデメリットとしては、正社員では、ぶらさがり社員の存在がある。法定福利費が必要、退職金・賞与・労務管理が必要である。パートは、法定福利費・労務管理が必要となる。契約社員は帰属意識が薄い。請負はノウハウの蓄積がない。派遣は、業務内容の制約・時間の制限がある。アウトソーシングは、アウトソーサーの質の維持が必要であり、管理もする必要があり、ノウハウの蓄積がないというデメリットがある。
【0024】
この従来の就業形態に対して本発明の社内インディ制度は、単なる請負ではなく、元々優秀な企業の社員と契約を結ぶため、製造・営業・経理・人事等のコア職種も安心して任せることができるものである。
そして、パート・アルバイトではなく、追加トレーニングコストは不要、モチベーションも高いため、非定型業務にもすぐ取り掛かっていくことができ、派遣・アウトソーシングではなく、派遣社員、アウトソーサーの管理・指示にかかるマネージメントパワーが不要である。
【0025】
その他、導入上の問題点として考えられるものとして。労働基準法上の問題として就業時間の拘束は?・仕事の指揮命令は?・労働基準法以外の問題点として考えられるものとしては?・社会保険の問題は?・税金の問題は?と様々な疑問はあるが、これらは社内インディコンサルタントが企業、個人事業主のために弁護士・税理士など各方面の専門家の協力を得てあらゆる角度から検討された制度で、企業の業績向上のために貢献するものである。
【0026】
次に、社内インディ制度の導入の流れについては、図8に示すように、導入コンサルティング開始→現状分析導入可能性調査→社内インディ制度導入決定→その他必要な業務相談、ヒアリング、詳細情報収集→社内インディ制度実施計画作成→社内インディ制度導入実施→制度運用→制度検証→アフターフォローが一つの流れであることが理解できる。
【0027】
以上、この制度を立ち上げるためには、図2のブロック図からも理解できるように、集客、宣伝の上から会社内において、社内インディ制度に関心のある個人の集客チャンネルの選定を行い、この選定したチャンネルに基づいて、企業向けセミナーの開催によって集客の実施を行う。なお、このセミナー以外のチャンネルによる集客の実施は色々工夫選択することが可能である。
【0028】
次に、社内インディの制度導入の準備として、各企業毎の契約上の諸課題のミーティング、情報収集のためのミーティングを行い、その収集された情報の分析をし、この分析結果に基づいてフィードバックミーティングや作業員へのインタビューを実施する。
この準備を踏まえて、社内インディ制度導入の実施を決定する。
この実施に際しては、実施要項をどうするかミーティングをし、さらに準備段階で行った情報収集に加えて詳細情報収集ミーティングを行い、その収集された詳細情報を分析する。さらに、従来の就業規則等、諸規定の改定を行い、新規契約書類の作成を行い、説明会等の開催をし、加えて制度運用改善のためのインタビューを実行する。
【0029】
また、視点を変えて、本発明の社内インディ制度導入の概要について説明すると、企業内の経営陣、部課長、各社員における各コンセプトを明確化した上で、社内インディ制度導入を検討し、次のようなステップをすることで社内インディ制度の立ち上げを行う。
目的浸透のために現在の中長期経営方針、さらには経営目標、部内目標との関係を明確化した上で社内インディ制度の導入目的を社員・アントレに噛み砕いて説明し、浸透させる。
次に、目標設定のために、社内インディ制度を導入することにより、達成を目指す目標を設定する。目標は、経営方針との整合性を考慮し、定性目標・定量目標のバランスをとる。
次に、進捗管理のために、制度導入目標は指標によりウェブ上で管理を行う。アントレ・会社共に指標を常時確認でき、スピーディーな軌道修正、アントレサポートが可能になる。
さらに、制度改善のために、制度導入会社(自社及びに他社)の情報蓄積とオンラインデータベース化による、広い意味でのナレッジマネージメントを通じ、効率的な制度改革が可能になるものである。
【0030】
以上のように、社内インディ制度が導入実施されたままではなく、フォローアップすることにより、世界情勢等、外的状況が変化するのに対応できるように社内インディ制度を改良していくものである。それは契約の見直し、情報のコンピュータ管理、フォローWEB上での制度進捗管理、アントレに対するサポート、データベース化による制度運用改善のためのインタビュー、その他人事労務管理制度の導入等を行ってフォローアップするものである。
また、集客、宣伝から社内インディ制度実施、フォローアップまでの流れを全て掌握した上で種々のアドバイスを行えるように、社内インディ制度コンサルタント養成が必要である。このコンサルタントとしては、社会保険労務士が最適任者で、この社会保険労務士向けのセミナーの開催、コンサルタント登録制度を導入してコンサルタント登録を行う。この際、コンサルタント登録申込者必須研修の準備・実施を行い、インディ制度の実行性・安全性を担保することが必要である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
単一の個人事業主の場合について説明したが、これを複数(少数)の個人が組んで組織化したり、小単位の事業主を対象にする場合にも応用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1・・・・社内インディ制度システム
2・・・・会社
3・・・・アントレ
4・・・・サーバ
5・・・・データベース
6・・・・ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8