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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056437
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】オイルフリー式スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
F04C18/02 311J
F04C18/02 311H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165820
(22)【出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000153122
【氏名又は名称】株式会社ニッキ
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】末松 幸倫
【テーマコード(参考)】
3H039
【Fターム(参考)】
3H039AA10
3H039AA12
3H039BB04
3H039BB25
3H039CC17
3H039CC23
3H039CC24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】補助クランクにかかるスラスト荷重の負荷を軽減することにより、耐久性向上を可能とし、且つ、軸受の部品点数を削減することにより、コスト低減に寄与することを可能としたオイルフリー式スクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】高圧部9と中央ボス部33との間を連通して前記高圧部9から圧縮された流体を導入可能な導通孔11と、前記中央ボス部33における旋回側鏡板31と主クランクピン軸受64との間に配置されて前記導通孔11を介して前記高圧部9から導入される前記圧縮された流体の圧力により前記主クランクピン軸受64にスラスト荷重を与えるピストン12とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側鏡板の表面に渦巻状の固定ラップが立設された固定スクロールと、
前記固定スクロールと対向して配置され、旋回側鏡板の表面に前記固定ラップとの間で複数の圧縮室を形成する渦巻状の旋回ラップが立設された旋回スクロールと、
前記旋回スクロールを挟んだ状態で前記固定スクロールと対向して配置されたハウジングと、
前記ハウジングに駆動軸が駆動軸軸受を介して軸回転可能に保持されるとともに先端に偏心して形成した主クランクピンが前記旋回側鏡板の裏面の中央位置に立設された中央ボス部に挿入された主クランクピン軸受を介して偏心軸回転可能に保持される前記旋回スクロールを前記主クランクピン軸受において偏心回転させる主クランクと、
前記主クランクを中心としてその外側位置において、前記ハウジングに回転軸が回転軸軸受を介して軸回転可能に保持されるとともに先端に偏心して形成した補助クランクピンが前記旋回側鏡板の裏面に立設された外側ボス部に挿入された補助クランクピン軸受を介して偏心軸回転可能に保持されて前記主クランクによる前記旋回スクロールの自転を防止するための複数の補助クランクと、を備え、
前記圧縮室に導入した流体を順次、中央に移送して圧縮し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの中央に形成される高圧部において圧縮された流体を前記固定スクロールの中央に形成した吐出口から吐出するオイルフリー式スクロール圧縮機において、
前記高圧部と前記中央ボス部との間を連通して前記高圧部から前記圧縮された流体を導入可能な導通孔と、前記中央ボス部における前記旋回側鏡板と前記主クランクピン軸受との間に配置されて前記導通孔を介して前記高圧部から導入される前記圧縮された流体の圧力により前記主クランクピン軸受にスラスト荷重を与えるピストンとを有することを特徴とするオイルフリー式スクロール圧縮機。
【請求項2】
前記ピストンの径が、前記高圧部の径より小さいことを特徴とする請求項1記載のオイルフリー式スクロール圧縮機。
【請求項3】
前記駆動軸軸受,前記主クランクピン軸受,前記回転軸軸受及び前記補助クランクピン軸受がラジアル玉軸受で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のオイルフリー式スクロール圧縮機。
【請求項4】
前記駆動軸軸受,前記回転軸軸受及び前記補助クランクピン軸受がラジアル玉軸受、前記主クランクピン軸受がスラスト軸受とラジアル玉軸受の組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のオイルフリー式スクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、空気圧縮機、ガス圧縮機ならびに真空ポンプ用として利用される、オイルミスト等の不純物を嫌う空気を圧縮するオイルフリー式の偏心旋回運動を行うオイルフリー式スクロール圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
医療、食品関連をはじめ、クリーンな圧縮空気が求められる要求に対し、圧縮機の潤滑にオイル等の代わりに固体潤滑剤などを用いる、オイルフリー式スクロール圧縮機が例えば特開平9-228966号公報に提示されているように旧くから知られており、特に効率、静音性などに優れたスクロール式の需要が高まっている。
【0003】
図5は、従来のオイルフリー式スクロール圧縮機の一例を示す図であって、スクロール圧縮機1は、固定側鏡板21の表面に渦巻状の固定ラップ22が立設された固定スクロール2と、前記固定スクロール2と対向して配置され、旋回側鏡板31の表面に前記固定ラップ22との間で複数の圧縮室4を形成する渦巻状の旋回ラップ32が立設された旋回スクロール3と、前記旋回スクロール3を挟んだ状態で前記固定スクロール2と対向して配置されたハウジング5と、前記ハウジング5の中央に配置された、前記ハウジング5に駆動軸61が駆動軸軸受62を介して軸回転可能に保持されるとともに先端に偏心して形成した主クランクピン63を有する主クランク6と、前記主クランク6を中心としてその外側位置に配置された、前記ハウジング5に回転軸71が回転軸軸受72を介して軸回転可能に保持されるとともに先端に偏心して形成した補助クランクピン73を有する複数の補助クランク7とから構成される。
【0004】
前記主クランクピン63は、前記旋回側鏡板31の裏面の中央位置に立設された中央ボス部33に挿入された主クランクピン軸受64を介して偏心軸回転可能に保持されており、前記旋回スクロール3を前記主クランクピン軸受64において偏心回転させることができる。
【0005】
また、前記補助クランクピン73は、前記旋回側鏡板31の裏面に立設された外側ボス部34に挿入された補助クランクピン軸受74を介して偏心軸回転可能に保持されており、前記主クランク6による前記旋回スクロール3の自転を防止することができる。
【0006】
ここで、前記補助クランク7は、前記固定スクロール2と前記旋回スクロール3を安定して支持するために、3本使用されることが一般的である。
【0007】
更に、前記ハウジング5と前記固定スクロール2との間に装着されたガスケット8により流体を気密に保持している。
【0008】
そして、前記主クランク6がモータ等により回転駆動すると、前記主クランク6の前記旋回スクロール3側に形成された主クランクピン63から前記主クランクピン軸受64を介して前記旋回スクロール3に前記主クランク6の回転が伝えられ、前記旋回スクロール3は、前記補助クランク7によって自転運動を防止されるとともに、3点の前記補助クランク7で所定の間隔を有して、前記旋回スクロール3上に構成された平面を平行方向及び垂直方向を維持しながら、前記固定スクロール2と微小な隙間を保持し、前記主クランク6の軸線を中心とした、前記主クランク6の回転半径を描く偏心旋回運動をする。
【0009】
更に、この偏心旋回運動によって、前記圧縮室4は連続的に縮小し、前記旋回スクロール3の旋回に伴い、前記圧縮室4に導入した流体を順次、中央に移送して圧縮し、その後、前記固定スクロール2と前記旋回スクロール3の中央に形成される高圧部9において、圧縮された流体が前記固定スクロール2の中央に形成した吐出口10から外部の空気タンク等に吐出されるものである。
【0010】
旋回運動後、前記固定スクロール2と前記旋回スクロール3との間には圧力が発生し、両スクロールは離れようとして、これを支持する前記補助クランク7にスラスト荷重が加わるため、一般的に使用されているラジアル玉軸受のようなスラスト方向への耐荷重性が小さい軸受を前記補助クランク7の軸受として使用することは困難であった。
【0011】
そのため、前記回転軸軸受72及び前記補助クランクピン軸受74は、スラスト方向及びラジアル方向の荷重を支持できるアンギュラ軸受が用いられていた。
【0012】
また、前記アンギュラ軸受は2個の軸受を正面、背面で組み合わせて用いることにより、優れた耐スラスト荷重を発揮することができ、前記補助クランク7の1本当たり4個の前記アンギュラ軸受が用いられる。
【0013】
しかしながら、スクロール圧縮機1台当たりでは、前記補助クランク7が一般的に3本使用されているため、計12個の前記アンギュラ軸受が必要となり、前記アンギュラ軸受により前記補助クランク7等の構造が複雑化し、軸受の部品点数も多くなって、圧縮機全体のコストに影響を及ぼすことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9-228966号公報
【特許文献2】特開平2-277984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、前記補助クランクにかかるスラスト荷重の負荷を軽減することにより、耐久性向上を可能とし、且つ、軸受の部品点数を削減することにより、コスト低減に寄与することを可能としたオイルフリー式スクロール圧縮機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためになされた本発明は、
固定側鏡板の表面に渦巻状の固定ラップが立設された固定スクロールと、
前記固定スクロールと対向して配置され、旋回側鏡板の表面に前記固定ラップとの間で複数の圧縮室を形成する渦巻状の旋回ラップが立設された旋回スクロールと、
前記旋回スクロールを挟んだ状態で前記固定スクロールと対向して配置されたハウジングと、
前記ハウジングに駆動軸が駆動軸軸受を介して軸回転可能に保持されるとともに先端に偏心して形成した主クランクピンが前記旋回側鏡板の裏面の中央位置に立設された中央ボス部に挿入された主クランクピン軸受を介して偏心軸回転可能に保持される前記旋回スクロールを前記主クランクピン軸受において偏心回転させる主クランクと、
前記主クランクを中心としてその外側位置において、前記ハウジングに回転軸が回転軸軸受を介して軸回転可能に保持されるとともに先端に偏心して形成した補助クランクピンが前記旋回側鏡板の裏面に立設された外側ボス部に挿入された補助クランクピン軸受を介して偏心軸回転可能に保持されて前記主クランクによる前記旋回スクロールの自転を防止するための複数の補助クランクと、を備え、
前記圧縮室に導入した流体を順次、中央に移送して圧縮し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの中央に形成される高圧部において圧縮された流体を前記固定スクロールの中央に形成した吐出口から吐出するオイルフリー式スクロール圧縮機において、
前記高圧部と前記中央ボス部との間を連通して前記高圧部から前記圧縮された流体を導入可能な導通孔と、前記中央ボス部における前記旋回側鏡板と前記主クランクピン軸受との間に配置されて前記導通孔を介して前記高圧部から導入される前記圧縮された流体の圧力により前記主クランクピン軸受にスラスト荷重を与えるピストンとを有することを特徴とする。
【0017】
本発明であるオイルフリー式スクロール圧縮機によれば、流体吐出時の圧力が前記導通孔を介して前記ピストンにかかることで、前記ピストンを押し下げるスラスト荷重が前記主クランクピン軸受に伝達し、前記駆動軸軸受および前記主クランクピン軸受を含む前記主クランク全体で負担されることによって、前記補助クランクにかかっていたスラスト荷重の負荷が分散される。
【0018】
また、前記ピストンの径が、前記高圧部の径より小さい場合、吐出口から吐出される圧力と前記導通孔を介して前記ピストンに付加される圧力と釣り合いの関係から、前記高圧部の直径φDhを上限として、前記導通孔から受ける前記ピストンへの単位面積当たりの圧力を変化させることにより、前記主クランクピン軸受に加えられるスラスト荷重を調節できるため、前記主クランク及び前記補助クランクのスラスト荷重の負担割合を調整することができる。
【0019】
また、前記駆動軸軸受,前記主クランクピン軸受,前記回転軸軸受及び前記補助クランクピン軸受がラジアル玉軸受で構成されている場合、前記主クランクピン軸受がスラスト荷重を負担することで、前記補助クランクピン軸受は耐スラスト荷重に優れたものである必要がなくなるため、従来からラジアル玉軸受が使用されていた前記駆動軸軸受および前記主クランクピン軸受のみならず、前記回転軸軸受及び前記補助クランクピン軸受をラジアル玉軸受に変更することができ、補助クランク1本当たり4個必要だったアンギュラ軸受と比べて軸受の個数を削減することができる。
【0020】
また、前記駆動軸軸受,前記回転軸軸受及び前記補助クランクピン軸受がラジアル玉軸受、前記主クランクピン軸受がスラスト軸受とラジアル玉軸受の組み合わせで構成されている場合、前記スラスト軸受はスラスト方向への耐荷重性を有しているため、より高いスラスト方向への耐荷重性を実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、補助クランク3点で受けていたスラスト荷重を、主クランク及び前記補助クランク3点の計4点で受けることにより、前記補助クランクにかかるスラスト荷重の負荷を分散することで、前記補助クランクの耐久性が向上し、且つ、軸受の形式をラジアル玉軸受に変更することにより、軸受の部品点数を削減し、コスト低減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態であるオイルフリー式スクロール圧縮機を示した縦断面図。
図2】本発明の異なる実施の形態であるオイルフリー式スクロール圧縮機を示した縦断面図。
図3】固定スクロールと旋回スクロールから構成されるスクロール機構を示した図。
図4】スクロールにより発生する圧力とピストン径との関係を示した図。
図5】オイルフリー式スクロール圧縮機の従来例を示した縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。尚、前記従来例と同一構成部には同一符号を付して説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態であるオイルフリー式スクロール圧縮機の縦断面図を示すものである。
【0025】
全体の構成及び作用は前記図5に示した従来例とほぼ同様であるが、固定スクロール2と旋回スクロール3の中央に形成される高圧部9と旋回側鏡板31の裏面の中央位置に立設された中央ボス部33との間を連通する、前記旋回側鏡板31を貫通して形成された導通孔11と、前記中央ボス部33における前記旋回側鏡板31と主クランクピン軸受64との間にピストン12を配置している点、駆動軸軸受62、主クランクピン軸受64、回転軸軸受72及び補助クランクピン軸受74がそれぞれラジアル玉軸受で構成されている点において異なる。
【0026】
また、空気やガスなどの流体を密封するために、樹脂またはゴムなどで作られたОリング13を前記ピストン12の外周に装着している。
【0027】
そして、偏心旋回運動により、前記高圧部9の圧力が上昇したときに、前記従来例では、スラスト荷重は前記旋回スクロール3を通じて3点の補助クランク7にかかっていたが、本実施の形態では、前記導通孔11を介して、前記高圧部9から導入される圧縮された流体の圧力が前記ピストン12にかかることで、前記ピストン12を押し下げるスラスト荷重が前記主クランクピン軸受64に伝達し、前記駆動軸軸受62および前記主クランクピン軸受64を含む主クランク6全体で負担されることによって、前記補助クランク7にかかっていたスラスト荷重の負荷が分散される。
【0028】
即ち、従来は3本の補助クランク7だけで受けていたスラスト荷重を、本実施の形態では、3本の前記補助クランク7と1本の前記主クランク6の計4点で受けることにより、スラスト荷重の負荷を分散し、前記補助クランク7の負担を軽減することができる。
【0029】
図3は前記固定スクロール2と前記旋回スクロール3から構成されるスクロール機構を説明する図であり、この図に示すように、前記旋回スクロール3の旋回角が0°の状態から旋回が開始される。
【0030】
そして、圧縮室4が連続的に縮小し、前記旋回スクロール3の旋回に伴い、前記圧縮室4に導入した流体を順次、中央に移送して圧縮し、その後、中心部付近の180°対の2組の圧縮室4が合流してひとつになる前記固定スクロール2と前記旋回スクロール3の中央に形成される高圧部9において、圧縮された流体が前記固定スクロール2の中央に形成した吐出口10から吐出される(図4参照)。
【0031】
このとき、ピストン径dは前記高圧部9の最も高圧となる、中心から当該圧縮室4,4の最外径部を半径とした領域φDhを上限として、ピストン径dの大きさが小さくなると、前記導通孔11を介して伝達される前記ピストン12への単位面積当たりの圧力が小さくなることにより、前記主クランクピン軸受64にかかるスラスト荷重が前記回転軸軸受72及び前記補助クランクピン軸受74にかかるスラスト荷重よりも小さくなるため、前記主クランク6及び前記補助クランク7のスラスト荷重の負担割合を調整することができる。
【0032】
なお、ピストン径dが前記φDh以上である場合、前記吐出口10から吐出される圧力と前記導通孔11を介して前記ピストン12に付加される圧力との釣り合いの関係から、スラスト荷重が激減し、スクロールの倒れが生じやすくなるなどの問題が発生してしまうため、ピストン径dを前記φDh以上とすることは望ましくない。
【0033】
ここで、前記回転軸軸受72及び前記補助クランクピン軸受75は、スラスト荷重が小さくなるため、耐スラスト荷重に優れた軸受である必要がなくなる。
【0034】
よって、前記回転軸軸受72及び前記補助クランクピン軸受74を、ラジアル方向荷重の他、ある程度のスラスト方向への耐荷重性を有する前記ラジアル玉軸受を用いることが可能となり、前記補助クランク7の1本当たり2個の軸受を使用するのみでよいため従来は補助クランクの1本当たり4個必要だったアンギュラ軸受と比べて軸受の個数を削減することができ、コスト低減することが可能となる。
【0035】
また、図2は、本発明の異なる実施の形態を示した縦断面図であり、全体の構成及び作用は前記図1で示した本発明の実施の形態と同様であるが、前記主クランクピン軸受64がスラスト軸受とラジアル玉軸受の組み合わせで構成されている点で異なる。
【0036】
更に、前記スラスト軸受はスペーサ14を介して前記ラジアル玉軸受の上部に配置されている。
【0037】
このように、前記スペーサ14を設けることで、前記スラスト軸受と前記ラジアル玉軸受が互いに干渉して、過大なスラスト荷重により損傷しないように、両軸受の寿命向上に寄与することができる。
【0038】
そして、偏心旋回運動により、前記高圧部9の圧力が上昇したときに、前記導通孔11を介して、前記高圧部9から導入される圧縮された流体の圧力が前記ピストン12にかかることで、前記ピストン12を押し下げるスラスト荷重が前記主クランクピン軸受64に伝達し、前記駆動軸軸受62および前記クランクピン軸受64を含む前記主クランク6全体で負担されることによって、前記補助クランク7にかかっていたスラスト荷重の負荷が分散される。
【0039】
このとき、前記主クランク6に使用される軸受の径は、一般的に前記補助クランク7に使用される軸受の径よりも大きいため、スラスト方向への耐荷重性を高く取ることができるが、前記主クランクピン軸受64を前記ラジアル玉軸受よりもスラスト方向への耐荷重性が大きい前記スラスト軸受と前記ラジアル玉軸受を組み合わせて使用することによって、より高いスラスト方向への耐荷重性を得ることができる。
【0040】
なお、本発明の各実施の形態において前記駆動軸61を支持する前記駆動軸軸受62は上下に2個備えられており、このように複数の軸受を用いることで荷重の分散や倒れ防止を図るものであるが、例えば前記駆動軸軸受62を1個のみ備えるものであってもよい(図示せず)。
【符号の説明】
【0041】
1 スクロール圧縮機、2 固定スクロール、3 旋回スクロール、4 圧縮室、5 ハウジング、6 主クランク、7 補助クランク、8 ガスケット、9 高圧部、10 吐出口、11 導通孔、12 ピストン、13 Оリング、14 スペーサ、21 固定側鏡板、22 固定ラップ、31 旋回側鏡板、32 旋回ラップ、33 中央ボス部、34 外側ボス部、61 駆動軸、62 駆動軸軸受、63 主クランクピン、64 主クランクピン軸受、71 回転軸、72 回転軸軸受、73 補助クランクピン、74 補助クランクピン軸受、d ピストン径、φDh 高圧部の直径
図1
図2
図3
図4
図5