(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056457
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】美白剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20230412BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20230412BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20230412BHJP
A61K 8/9789 20170101ALN20230412BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/60
A61Q19/02
A61K8/9789
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006586
(22)【出願日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2021165356
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC621
4C083AC622
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD391
4C083AD392
4C083CC02
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】新規美白剤を提供する。
【解決手段】(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.2~1.5である、美白剤。当該剤には、好ましくは更にトラネキサム酸及び/又はニコチン酸アミドが含有される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.2~1.5である、美白剤。
【請求項2】
トラネキサム酸を含有する、請求項1記載の美白剤。
【請求項3】
ニコチン酸アミドを含有する、請求項1又は2に記載の美白剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト等に用いるロスマリン酸及びルテオニングルクロニドを含有する新規美白剤などに関する。
【背景技術】
【0002】
大気汚染やオゾン層の破壊により表皮に届く紫外線量は年々増加する傾向にあり、それに伴い、紫外線による肌のシミ、ソバカス、色黒などの肌悩みが大きくなっている状況である。 この状況の下、白く美しい肌を実現するために種々の美白剤が開発されている。美白剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド等のアスコルビン酸誘導体、ハイドロキノングルコシド等のハイドロキノン類の配糖体、トラネキサム酸、トラネキサム酸エステル等のトラネキサム酸類などが知られている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-115381
【特許文献2】特開2021-80236
【特許文献3】特許6786193
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、新規美白剤を提供すること、などである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明の発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ロスマリン酸及びルテオニングルクロニドを含有する組成物がメラニン生成抑制作用を新たに確認できたことから、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、以下の項を含む。
〔項1〕(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.2~1.5である、美白剤。
〔項2〕トラネキサム酸を含有する、〔項1〕記載の美白剤。
〔項3〕ニコチン酸アミドを含有する、〔項1〕又は〔項2〕に記載の美白剤。
〔項4〕皮膚外用剤の形態である、〔項1〕から〔項3〕のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、新規美白剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
(ペパーミント、ロスマリン酸、ルテオニングルクロニド)
本発明で用いられるロスマリン酸及びルテオニングルクロニドは、例えばペパーミント抽出物に含有されている(特許文献3)。
【0010】
ペパーミント(別名:セイヨウハッカ、コショウハッカ)は、シソ科ハッカ属植物:ペパーミント(Mentha piperita L.)である。「ペパーミント」の抽出物を製造する際には、材料として、例えば、根、根茎、葉、茎、花全草、又はこれらの混合物を用いるが、有効成分も葉に多くあると考えられることから、材料として葉を用いるのが好ましいと考えられる。
【0011】
ペパーミントの抽出物は、例えば、材料を生のまま又は乾燥したものを粉砕後搾取して作製、材料を生のまま又は乾燥したものを粉砕後溶媒で抽出して作製、する。例えば、以下製造例により、ペパーミントの抽出物を製造する。なお、以下実施例で用いるペパーミントの抽出物は、以下製造例に従い、製造された。
以下実施例で用いられるペパーミントの抽出物中には、ロスマリン酸403.55ppm、ルテオニングルクロニド166.35ppmが含有され、(A)ロスマリン酸と(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.41、であった。
【0012】
本発明の剤に含有されるペパーミント抽出物は、例えば、所望の効果(美白効果など)を発揮するために、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.5%以上含有される。また、本発明の剤に含有されるペパーミント抽出物は、例えば、所望の毒性などを考慮して、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下含有される。
【0013】
本発明の剤に含有されるペパーミント抽出物が1%の場合、剤における(A)ロスマリン酸と(B)ルテオニングルクロニドの含有量を算出した結果を以下表1に記載する。
【0014】
【0015】
本発明の剤に含有されるペパーミント抽出物が0.5%の場合、剤における(A)ロスマリン酸と(B)ルテオニングルクロニドの含有量を算出した結果を以下表2に記載する。
【0016】
【0017】
(ペパーミントの抽出物の製造例)
ペパーミントの葉を粉砕し、粉砕物を作製する。この粉砕物100gを50%エタノール溶液2kgに浸漬する。約10℃~約30℃の環境で、5~10日間、この浸漬を行う。この浸漬を経て得られる溶液を、カラム(HP-20)にて分画して、ロスマリン酸とルテオニングルクロニドとが含有されている画分を取り出す。この取り出す画分を、更にカラム(HP-20)にて精製する。
精製後の溶液は、好ましくは「(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.2~1.5((A)が1の際に、(B)が0.2以上1.5以下)」となっている。
なお、下記実施例で用いるペパーミントの抽出物は、(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.46である。
【0018】
(ロスマリン酸)
ロスマリン酸(Rosmaric acid)は、ポリフェノール類で、エタノールに可溶性である。本発明の剤に含有されるロスマリン酸は、例えば、所望の効果(美白効果など)を発揮するために、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは0.2ppm以上、更に好ましくは0.5ppm以上含有される。また、本発明の剤に含有されるロスマリン酸は、例えば、所望の毒性などを考慮して、好ましくは20ppm以下、より好ましくは15ppm以下、更に好ましくは10ppm以下含有される。
【0019】
(ルテオニングルクロニド)
ルテオリングルクロニド(Luteolin glucuronide)は、フラボノイドで、例えば、ルテオリン7-グルクロニドや、ルテオリン3′‐グルクロニドが挙げられる。本発明の剤に含有されるルテオリングルクロニドは例えば、所望の効果(美白効果など)を発揮するために、好ましくは0.08ppm以上、より好ましくは0.16ppm以上、更に好ましくは0.40ppm以上含有される。また、本発明の剤に含有されるペパーミント抽出物は、例えば、所望の毒性などを考慮して、好ましくは16ppm以下、より好ましくは12ppm以下、更に好ましくは8ppm以下含有される。
【0020】
(ロスマリン酸とルテオニングルクノニドとの含有比率)
本発明の剤は、活性を発揮させる観点で、好ましくは、(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.2~1.5((A)が1の際に、(B)が0.2以上1.5以下)、より好ましくは(A):(B)=1:0.2~1.2((A)が1の際に、(B)が0.2以上1.2以下)、より好ましくは(A):(B)=1:0.25~1.18((A)が1の際に、(B)が0.25以上1.18以下)、更に好ましくは(A):(B)=1:0.3~1.16((A)が1の際に、(B)が0.3以上1.16以下)である。
【0021】
(ペパーミントの抽出物の製造の際に用いる抽出溶媒)
抽出溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量100~10万)等の多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、フェノール、トルエン等の各種有機溶媒や、適宜規定度を調製した酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸等)やアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)の中から選ばれる1種もしくは2種以上の混液が挙げられるが、溶媒を置換するケースも想定できるようにする観点で、エタノールを用いるのが好ましい。
【0022】
(その他)
本発明で用いるペパーミントの抽出物は、溶媒抽出後、更に適宜精製操作を施すことも可能である。精製操作は、例えば、酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、有機酸等)又はアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)添加による分解、微生物による発酵又は代謝変換、イオン交換樹脂や活性炭、ケイ藻土等による成分吸着、種々の分離モード(イオン交換、親水性吸着、疎水性吸着、サイズ排除、配位子交換、アフィニティー等)を有するクロマトグラフィーを用いた分画、濾紙やメンブランフィルター、限外濾過膜等を用いた濾過、加圧又は減圧、加温又は冷却、乾燥、pH調整、脱臭、脱色、長時間の静置保管等であり、これらを任意に選択し、組合わせた処理を行うことも可能である。
【0023】
(トラネキサム酸)
本発明の剤には、より効果を発揮するために、好ましくは更にトラネキサム酸を含有することができる。トラネキサム酸は、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸の略称である。トラネキサム酸類は、トラネキサム酸、トラネキサム酸塩、トラネキサム酸エステル、トラネキサム酸アミド、及びトラネキサム酸の多量体などを意味する。トラネキサム酸塩における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の金属塩;塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の無機酸塩が挙げられる。トラネキサム酸エステルにおけるエステルとしては、例えば、ビタミンAエステル、ビタミンEエステル、ビタミンCエステル等のビタミンエステル、アルキルエステルが挙げられる。また、トラネキサム酸アミドにおけるアミドとしては、例えば、メチルアミド等が挙げられる。
【0024】
(ニコチン酸アミド)
本発明の剤には、より効果を発揮するために、好ましくは更にニコチン酸アミドを含有することができる。ニコチン酸(ビタミンB3、ナイアシン)のアミド化合物であり、ニコチンアミド、ナイアシンアミドともよばれる、ニコチン酸の誘導体である。ニコチン酸アミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一つである物質であり、例えば、天然物(米ぬかなど)から抽出されたり、あるいは公知の方法によって合成することができる。具体的には、第15改正日本薬局方2008に収載されているものを用いることが出来る。
【0025】
(美白)
美白とは、色素沈着の予防及び/又は改善をいい、より具体的には、シミ、くすみ、そばかす、日焼け、皮膚の炎症や刺激による黒ずみ等のメラニン産生亢進、過剰蓄積、及び沈着異常等により生じる色素沈着症状、並びにステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等の色素沈着をもたらす疾患等による色素沈着症状などの、予防及び/又は改善をいう。
【0026】
(剤の形態)
本発明による剤(皮膚外用剤など)は、アンプル、カプセル、粉末、顆粒、液体、ゲル、気泡、エマルジョン、シート、ミスト、スプレー剤等利用上の適当な形態の1)医薬品類、2)医薬部外品類、3)局所用又は全身用の皮膚外用剤類(例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック等の基礎化粧料、固形石鹸、液体ソープ、ハンドウォッシュ等の洗顔料や皮膚洗浄料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、除毛剤、脱毛剤、髭剃り処理料、アフターシェーブローション、プレショーブローション、シェービングクリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧料、香水類、美爪剤、美爪エナメル、美爪エナメル除去剤、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、貼付剤、エアゾール剤等)、4)頭皮・頭髪に適用する薬用又は/及び化粧用の製剤類(例えば、シャンプー剤、リンス剤、ヘアートリートメント剤、プレヘアートリートメント剤、パーマネント液、染毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛・養毛料、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、エアゾール剤等)、5)浴湯に投じて使用する浴用剤、6)その他、腋臭防止剤や消臭剤、制汗剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等が挙げられる。
【0027】
(剤の構成成分)
また、このような剤には、必要に応じて、本発明の効果を損ねない範囲で以下に例示する成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。なお、トラネキサム酸及びニコチン酸アミドは上述の記載の通りである。
【0028】
(1)各種油脂類
アボカド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、スクワレン、スクワラン、プリスタン又はこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)等。
【0029】
(2)ロウ類
ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス等。
【0030】
(3)鉱物油
流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス等。
【0031】
(4)脂肪酸類
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸。
【0032】
(5)アルコール類
エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノール等の天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の合成アルコール。
【0033】
(6)多価アルコール類
酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール等。
【0034】
(7)エステル類
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等。
【0035】
(8)金属セッケン類
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等。
【0036】
(9)ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物
アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイド等のアルキレン(C2~C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2~C4)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等。
【0037】
(10)界面活性剤
アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等。
【0038】
(11)各種ビタミン類
ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU等。
【0039】
(12)各種アミノ酸類
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等や、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸のごときアミノ酸誘導体等。
【0040】
(13)添加物
添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工(例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製、圧搾、抽出、分画、ろ過、乾燥、粉末化、造粒、溶解、滅菌、pH調整、脱臭、脱色等を任意に選択、組み合わせた処理)を行い、各種の素材から任意に選択して供すれば良い。
【0041】
尚、抽出に用いる溶媒については、供する製品の使用目的、種類、或いは後に行う加工処理等を考慮した上で選択すれば良いが、通常では、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル等の各種有機溶媒の中から選ばれる1種若しくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。但し、用途により有機溶媒の含有が好ましくない場合においては、水のみを使用したり、若しくは抽出後に除去しやすいエタノールを採用し、単独又は水との任意の混液で用いたりすれば良く、又、搾取抽出したものでも良い。
【0042】
尚、植物又は動物系原料由来の添加物を、全身用又は局所用の外用剤、化粧品類に供する場合、皮膚や頭髪の保護をはじめ、保湿、感触・風合いの改善、柔軟性の付与、刺激の緩和、芳香によるストレスの緩和、細胞賦活(細胞老化防止)、炎症の抑制、肌質・髪質の改善、肌荒れ防止及びその改善、発毛、育毛、脱毛防止、光沢の付与、清浄効果、疲労の緩和、血流促進、温浴効果等の美容的効果のほか、香付け、消臭、増粘、防腐、緩衝等の効果も期待できる。
【0043】
さらにこの他にも、これまでに知られている各原料素材の様々な美容的、薬剤的効果を期待し、これらを組み合わせることによって、本発明の目的とする効果の増進を図り、多機能的な効果を期待した製品とすることも可能である。
【0044】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
【実施例0045】
以下、本発明の実施例について、説明する。以下、実施例で挙げる実験で用いた実験材料は次の通りである。
・B16マウスメラノーマ細胞(メラノーマ細胞):B16 melanoma 4A5、理化学研究所CELL BANK
・当該細胞の前培養培地:5%ウシ胎児血清を含むMEM培地
・MEM培地:E-MEM(051-07615)、富士フイルム和光純薬株式会社
・ウシ胎児血清:Thermofisher Scientific
・本培養培地:デフォリン0.036%を含むMEM培地
・テオフィリン(1,3-ジメチルキサンチン):東京化成工業株式化会社、CAS RN: 58-55-9 、製品コード: T0179
・ペパーミントの抽出物:ロスマリン酸403.55ppm、ルテオニングルクロニド166.35ppmが含有され、(A)ロスマリン酸と(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.41
・ニコチン酸アミド(Nicotinamide):製品コード000-54225、CAS RNTM98-92-0、キシダ化学株式会社
・トラネキサム酸:日本薬局方トラネキサム酸
・Arbutin:Product ID:A6804、LKT Laboratories INC
【0046】
・正常ヒト新生児包皮皮膚繊維芽細胞:クラボウ、KF-4009
・TNF-α:富士フイルム和光純薬、203-15263(Tumor Necrosis Factorα Human, recombinant)
・D-MEM:富士フイルム和光純薬、041-29775
・MMP-1量の測定で用いたELISAキット(MMP-1のELISAキット):Human MMP1 ELISA Kit(Abcam:ab100604)
【0047】
(実験1:メラニン生成抑制試験)
所定の細胞(上述のメラノーマ細胞)に対して試料を添加することにより、所定の細胞において、メラニン生成に変化があるかを確認した。試料を添加する細胞として、B16マウスメラノーマ細胞を用いた。
【0048】
(1)メラノーマ細胞の前培養工程
上述のメラノーマ細胞を上述の前培養培地(5%ウシ胎児血清を含むMEM培地)を用いて、5%CO2、37℃の条件で24時間培養した。
【0049】
(2)試料を添加しての本培養工程
当該(1)の前培養後、8.5×104個/ウェルという細胞数で、メラノーマ細胞を各ウェル(本培養培地が存在するウェル、24Wellplate)に播種した。当該播種後、5%CO2、37℃の条件で24時間培養した。
【0050】
この培養後、各ウェルの培地を新鮮な本培養培地に置換した。当該置換された培地(当該細胞が含有)に、表3に示す下記試料を添加した。なお、この試料の添加は、以下の群を作製するように行った。なお、この実験1では、アルブチンのメラニン生成抑制作用が知られていることから(日皮会誌:101(6)、609-613,1991)、ポジティブコントロールの試験例(試験例2)として、アルブチンを添加する群を設定した。
【0051】
【0052】
当該添加後、5%CO2、37℃の条件で、72時間(3日間)培養した。この72時間の培養後、各群において、下記測定1で用いるための当該培養したサンプル及び下記測定2で用いるための当該培養したサンプルに分けた。
【0053】
(測定1:メラニン量測定)
この測定1で用いるための当該培養したサンプルをトリプシン処理によって細胞を回収した。回収した細胞を溶液(1N NaOH、10%DMSO含有)に溶解した。420nmの吸光度にて当該溶解した液の吸光度(試験例1から試験例7の吸光度)を各々測定した。当該測定した値をメラニン量とした。当該測定結果を表4に示す。
【0054】
表4に示す数値(相対値)を次のように算出した。先ず、各群(n=3)の測定結果の吸光度を算出した。次に、当該平均値について、各群のコントロール群の数値を100として、各群の数値はコントロール群と比較しての相対値を算出した。表2中の*印は、Dunnett検定において、試験例1(数値を100)との比較による有意差(p<0.05)を示す。表2中の†印は、試験例3と試験例4との比較を行った場合、Studentのt検定において、試験例4と比べての有意差(p<0.05)を示す。
【0055】
【0056】
試験例3、5及び7においては、試験例2(ポジティブコントロール)と同様に、有意に、メラニン生成抑制が確認できた。試験例3と試験例4との比較においては、試験例3では試験例4と比べ有意にメラニン生成抑制が確認できた。
【0057】
(測定2:WST法によるメラノーマ細胞の細胞数測定)
Cell Counting Kit-8(Dojindo)を用いて当該測定を行った。測定2で用いるための当該培養したサンプルに当該kit-8を入れた。当該入れた後、5%CO2、37℃の条件で2時間培養した。当該培養後、「Cell Counting Kit-8(Dojindo)」の説明書に沿って450nmの吸光度で、各群の発色を確認した。各群(n=4)で行った。当該確認したところ、各群において、コントロール群と比べて、発色の変化が見られなかった。この見られなかったことで、表2で示す結果が、培養した細胞において試料の添加等により細胞毒性が起きなかったことを示している。
【0058】
(実験2:メラニン生成抑制試験)
所定の細胞(上述のメラノーマ細胞)に対して、試料(ロスマリン酸及び/又はルテオニングルクノニド)を添加することにより、所定の細胞において、メラニン生成に変化があるかを確認した。試料を添加する細胞として、B16マウスメラノーマ細胞を用いた。
【0059】
(1)メラノーマ細胞の前培養工程
上述のメラノーマ細胞を上述の前培養培地(5%ウシ胎児血清を含むMEM培地)を用いて、5%CO2、37℃の条件で24時間培養した。
【0060】
(2)試料を添加しての本培養工程
当該(1)の前培養後、8.5×104個/ウェルという細胞数で、メラノーマ細胞を各ウェル(本培養培地が存在するウェル、24Wellplate)に播種した。当該播種後、5%CO2、37℃の条件で24時間培養した。
【0061】
この培養後、各ウェルの培地を新鮮な本培養培地に置換した。当該置換された培地(当該細胞が含有)に、表5に示す下記試料を添加した。なお、この試料の添加は、以下の群を作製するように行った。なお、この実験2では、アルブチンのメラニン生成抑制作用が知られていることから(日皮会誌:101(6)、609-613,1991)、ポジティブコントロールの試験例(試験例7)として、アルブチンを添加する群を設定した。
【0062】
【0063】
当該添加後、5%CO2、37℃の条件で、72時間(3日間)培養した。この72時間の培養後、各群において、下記測定1で用いるための当該培養したサンプル及び下記測定2で用いるための当該培養したサンプルに分けた。
【0064】
(測定2-1:メラニン量測定)
この測定1で用いるための当該培養したサンプルをトリプシン処理によって細胞を回収した。回収した細胞を溶液(1N NaOH、10%DMSO含有)に溶解した。420nmの吸光度にて当該溶解した液の吸光度(試験例1から試験例7の吸光度)を各々測定した。当該測定した値をメラニン量とした。当該測定結果を表4に示す。
【0065】
表6に示す数値(相対値)を次のように算出した。先ず、各群(n=3)の測定結果の吸光度を算出した。次に、当該平均値について、各群のコントロール群の数値を100として、各群の数値はコントロール群と比較しての相対値を算出した。表2中の*印は、Dunnett検定において、試験例6(数値を100)との比較による有意差(p<0.05)を示す。
【0066】
【0067】
試験例8において、有意に、メラニン生成抑制が確認できた。
【0068】
(実験3:メラニン生成抑制試験)
所定の細胞(上述のメラノーマ細胞)に対して、試料(ロスマリン酸及び/又はルテオニングルクノニド)を添加することにより、所定の細胞において、メラニン生成に変化があるかを確認した。試料を添加する細胞として、B16マウスメラノーマ細胞を用いた。
【0069】
(1)メラノーマ細胞の前培養工程
上述のメラノーマ細胞を上述の前培養培地(5%ウシ胎児血清を含むMEM培地)を用いて、5%CO2、37℃の条件で24時間培養した。
【0070】
(2)試料を添加しての本培養工程
当該(1)の前培養後、8.5×104個/ウェルという細胞数で、メラノーマ細胞を各ウェル(本培養培地が存在するウェル、24Wellplate)に播種した。当該播種後、5%CO2、37℃の条件で24時間培養した。
【0071】
この培養後、各ウェルの培地を新鮮な本培養培地に置換した。当該置換された培地(当該細胞が含有)に、表7に示す下記試料を添加した。なお、この試料の添加は、以下の群を作製するように行った。なお、この実験3では、アルブチンのメラニン生成抑制作用が知られていることから(日皮会誌:101(6)、609-613,1991)、ポジティブコントロールの試験例(試験例10)として、アルブチンを添加する群を設定した。
【0072】
【0073】
当該添加後、5%CO2、37℃の条件で、72時間(3日間)培養した。この72時間の培養後、各群において、下記測定1で用いるための当該培養したサンプル及び下記測定2で用いるための当該培養したサンプルに分けた。
【0074】
(測定3-1:メラニン量測定)
この測定1で用いるための当該培養したサンプルをトリプシン処理によって細胞を回収した。回収した細胞を溶液(1N NaOH、10%DMSO含有)に溶解した。420nmの吸光度にて当該溶解した液の吸光度(試験例1から試験例7の吸光度)を各々測定した。当該測定した値をメラニン量とした。当該測定結果を表8に示す。
【0075】
表8に示す数値(相対値)を次のように算出した。先ず、各群(n=3)の測定結果の吸光度を算出した。次に、当該平均値について、各群のコントロール群の数値を100として、各群の数値はコントロール群と比較しての相対値を算出した。表2中の*印は、Dunnett検定において、試験例9(数値を100)との比較による有意差(p<0.05)を示す。
【0076】
【0077】
試験例11において、有意に、メラニン生成抑制が確認できた。
【0078】
(実験4:MMP-1の産生量の評価)
所定の細胞(正常ヒト新生児包皮皮膚繊維芽細胞)に対して、炎症性サイトカイン(TNF-α)の刺激を与え、その刺激後に、試料(ペパーミント抽出物及びニコチン酸アミドなど)を添加することにより、所定の細胞において、MMP-1(マトリックスメタロプロテアーゼ)の産生量の変化を確認した。特許文献3に記載のように、ヒトの皮膚の菲薄化において、マトリックスメタロプロテアーゼ(以下、MMPsという)による細胞外マトリックスの分解が亢進されることが知られている。皮膚の菲薄化は、加齢により表皮および真皮が薄くなる肌老化の代表的な現象の一つである。当該MMP-1の産生量が多いということは、皮膚の菲薄化が起こっていることが予想される。
【0079】
行った実験手順を記載する。
5×104個の正常ヒト表皮角化細胞を24well plateに播種し、所定の条件(5%CO2、37℃)で、75%コンフルエント状態になるまで前培養した。
【0080】
この前培養後、0.25%FBSを含むDMEM培地に置換し、当該置換された培地(当該細胞が含有)に、表9示す下記試料を添加した。なお、当該試料の添加は、以下の群を作製するように行った。
【0081】
【0082】
当該試料の添加後、所定の条件(5%CO2、37℃)で72時間の培養を行った。当該72時間の培養後、培養液の上清を回収した。回収した上清中のMMP-1を、MMP-1のELISAキットを用いて、MMP-1の産生量を測定した。
【0083】
MMP-1の産生量を測定した結果を表10に示す。表10では、試験例13の群の値を100.00として、その他の群の数値は試験例13の群と比較しての相対値を記載する。
表10中の*印は、Dunnett検定において、試験例13の群(数値を100.00)との比較による有意差(p<0.05)を示す。
表10中の†印は、試験例15の群と試験例16の群について、Dunnett検定において、試験例14の群と比べての有意差(p<0.05)を示す。
【0084】
【0085】
表10に示すように、特に試験例15から17においては、試験例14に比べ、TNF-αの刺激を受けた細胞における更なるMMP-1の産生量の抑制、が確認できた。
【0086】
以上、本発明の実施の形態(実施例も含め)について、図面を参照して説明してきたが、本発明の具体的構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。