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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056516
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】括り罠作動装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/34 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
A01M23/34
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161936
(22)【出願日】2022-10-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2021165607
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521443852
【氏名又は名称】林野庁近畿中国森林管理局長
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA32
2B121BA58
2B121EA24
2B121FA01
(57)【要約】
【課題】括り罠における空はじきの発生を抑制または防止できる括り罠作動装置を提供する。
【解決手段】括り罠作動装置201は、ベース筒208と、半環状の第1ガイド11および半環状の第2ガイド12と、ベース筒208に対して昇降可能な昇降板230と、を含む。第1ガイド11および第2ガイド12が、昇降板230の昇降に連動して回転移動して、支持姿勢A1と、最下姿勢との間で姿勢変形される。支持姿勢A1における第1ガイド11および第2ガイド12が、周方向Sの全域において、昇降板230の外周との間に間隔が隔てられている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
括り環を環状に装着可能な括り罠作動装置であって、
ベースと、
両端部を有し、前記両端部同士が互いに対向するように配置された、半環状の第1ガイドおよび半環状の第2ガイドであって、前記両端部を中心として回動可能な構成の第1ガイドおよび第2ガイドと、
前記ベースに対して昇降可能な昇降部材と、を含み、
前記第1ガイドおよび前記第2ガイドが、前記昇降部材の昇降に連動して回動して、それらの外周に前記括り環を環状に支持可能な支持姿勢と、前記支持姿勢よりも前記第1ガイドおよび前記第2ガイドの中間部が互いに接近する跳上げ可能姿勢との間で姿勢変更可能であり、
前記支持姿勢における前記第1ガイドおよび前記第2ガイドが、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドの周方向の全域において、前記昇降部材の外周との間に間隔が隔てられている、括り罠作動装置。
【請求項2】
前記昇降部材が、昇降板を含み、
前記ベースが、前記昇降板を包囲する筒状のベース筒を含み、
前記支持姿勢にある前記第1ガイドおよび前記第2ガイドの上端が、前記ベース筒の上端と同じ高さかあるいは前記ベース筒の上端よりも下方に位置する、請求項1に記載の括り罠作動装置。
【請求項3】
前記ベース筒には、前記ベース筒の内外を貫通し上下方向に延びる上下凹所が形成されており、
前記第1ガイドの前記両端部が、前記上下凹所を挿通する第1接続軸を介して、前記昇降板に回動可能に結合され、かつ前記第2ガイドの前記両端部が、前記上下凹所を挿通する第2接続軸を介して、前記昇降板に回動可能に結合されており、
前記ベース筒の外壁に配置され、前記第1ガイドと当接して前記第1ガイドの回動支点として機能する第1支点部と、
前記ベース筒の外壁に配置され、前記第2ガイドと当接して前記第2ガイドの回動支点として機能する第2支点部と、をさらに含み、
前記昇降部材の昇降に伴う前記第1ガイドの前記両端部の昇降により、前記第1ガイドが、前記第1ガイドに当接する前記第1支点部まわりに回動して、前記支持姿勢と前記跳上げ可能姿勢との間で姿勢変更し、
前記昇降部材の昇降に伴う前記第2ガイドの前記両端部の昇降により、前記第1ガイドが、前記第2ガイドに当接する前記第2支点部まわりに回動して、前記支持姿勢と前記跳上げ可能姿勢との間で姿勢変更する、請求項2に記載の括り罠作動装置。
【請求項4】
前記第1接続軸と前記第2接続軸とが互いに別に設けられており、
前記上下凹所が、前記第1接続軸を挿通させる第1上下凹所と、前記第1上下凹所に対して横方向に並び、前記第2接続軸を挿通させる第2上下凹所と、を含む、請求項3に記載の括り罠作動装置。
【請求項5】
前記支持姿勢にある前記第1ガイドの前記両端部および前記第2ガイドの前記両端部の、前記ベース筒に対する高さ位置を調整する調整部材をさらに含む、請求項3または4に記載の括り罠作動装置。
【請求項6】
前記支持姿勢にある前記第1ガイドおよび前記第2ガイドに当接して、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドを前記支持姿勢に規制する規制片をさらに含む、請求項3または4に記載の括り罠作動装置。
【請求項7】
前記昇降部材の下降に連動して、前記支持姿勢にある前記第1ガイドを、前記跳上げ可能姿勢に姿勢変更する第1姿勢変更機構と、
前記昇降部材の下降に連動して、前記支持姿勢にある前記第2ガイドを、前記跳上げ可能姿勢に姿勢変更する第2姿勢変更機構とをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の括り罠作動装置。
【請求項8】
前記第1姿勢変更機構が、
前記第1ガイドに下方から当接可能な当接部を含み、
前記昇降部材の下降に連動して前記当接部を上昇させ、前記第1ガイドに下方から当接する前記当接部によって前記第1ガイドを持ち上げて前記第1ガイドの前記跳上げ可能姿勢を実現する、請求項7に記載の括り罠作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、括り罠を作動させる括り罠作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イノシシ、シカ等の野生の動物が出没して、田畑や山林等を荒らす被害が頻発している。一方、狩猟者の減少や高齢化により動物の狩猟が難しい状況にあり、効果的な捕獲方法として動物捕獲用罠に期待が集まっている。このような動物捕獲用罠として、捕獲対象の動物の肢体(たとえば脚)を括り環で締め付けて括ることにより、動物を逃走不能にして捕獲する括り罠が、簡便かつ安価なものとして広く採用されている。括り罠の例として、たとえば以下の特許文献1~3に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3207491号公報
【特許文献2】登録実用新案第3205827号公報
【特許文献3】登録実用新案第3213623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に記載の括り罠は、筒状の枠体と、枠体の内側に下降可能に配置された踏板と、半環状に形成されて、両側の端部のそれぞれが枠体に対して回動可能な一対のガイドとを備えている。動物によって踏板が踏み込まると、踏板が落下し、その落下に伴って、一対のガイドが回動して跳ね上げられ、これにより、一対のガイドに巻き付けられているワイヤ体が縮径され、動物の脚が締め付けられて括られる。
【0005】
特許文献1に記載の括り罠において動物を良好に捕獲するには、踏板の中央部を動物に踏ませて罠を作動させる必要がある。特許文献1~3に記載の括り罠では、踏板上にガイドの基端部が取り付けられているため、踏板の周縁部上にガイドの一部が介在することになる。そのため、踏板の中央部を動物が踏んだときだけでなく、踏板の周縁部上のガイドを動物が踏んだときも罠が作動してしまう。その結果、罠が作動したのに動物が掛からないこと(すなわち、空はじき)が発生する。本発明者らは、空はじきが発生する原因の一つは、踏板の周縁部上のガイドを動物が踏んでしまうことにある、と考えている。
【0006】
そして、空はじきの発生により、動物に罠の存在を教え、警戒心を与えてしまう。その結果、動物の捕獲効率が低下する。動物の捕獲効率を向上させるためには、空はじきの発生を抑制または防止する必要がある。そのため、空はじきの発生を抑制または防止できる、新しい構成の括り罠を提供することが求められていた。これにより、動物の捕獲効率の向上を図ることができる。
【0007】
そこで、この発明の目的は、括り罠における空はじきの発生を抑制または防止できる括り罠作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態は、括り環を環状に装着可能な括り罠作動装置を提供する。前記括り罠作動装置は、ベースと、両端部を有し、前記両端部同士が互いに対向するように配置された、半環状の第1ガイドおよび半環状の第2ガイドであって、前記両端部を中心として回動可能な構成の第1ガイドおよび第2ガイドと、前記ベースに対して昇降可能な昇降部材と、を含む。そして、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドが、前記昇降部材の昇降に連動して回動して、それらの外周に前記括り環を環状に支持可能な支持姿勢と、前記支持姿勢よりも前記第1ガイドおよび前記第2ガイドの中間部が互いに接近する跳上げ可能姿勢との間で姿勢変更可能である。そして、前記支持姿勢における前記第1ガイドおよび前記第2ガイドが、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドの周方向の全域において、前記昇降部材の外周との間に間隔が隔てられている。
【0009】
この発明の一実施形態では、前記昇降部材が、昇降板を含み、前記ベースが、前記昇降板を包囲する筒状のベース筒を含む。そして、前記支持姿勢にある前記第1ガイドおよび前記第2ガイドの上端が、前記ベース筒の上端と同じ高さかあるいは前記ベース筒の上端よりも下方に位置する。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記ベース筒には、前記ベース筒の内外を貫通し上下方向に延びる上下凹所が形成されている。そして、前記第1ガイドの前記両端部が、前記上下凹所を挿通する第1接続軸を介して、前記昇降板に回動可能に結合され、かつ前記第2ガイドの前記両端部が、前記上下凹所を挿通する第2接続軸を介して、前記昇降板に回動可能に結合されている。そして、前記括り罠作動装置が、前記ベース筒の外壁に配置され、前記第1ガイドと当接して前記第1ガイドの回動支点として機能する第1支点部と、前記ベース筒の外壁に配置され、前記第2ガイドと当接して前記第2ガイドの回動支点として機能する第2支点部と、をさらに含む。そして、前記昇降部材の昇降に伴う前記第1ガイドの前記両端部の昇降により、前記第1ガイドが、前記第1ガイドに当接する前記第1支点部まわりに回動して、前記支持姿勢と前記跳上げ可能姿勢との間で姿勢変更する。そして、前記昇降部材の昇降に伴う前記第2ガイドの前記両端部の昇降により、前記第1ガイドが、前記第2ガイドに当接する前記第2支点部まわりに回動して、前記支持姿勢と前記跳上げ可能姿勢との間で姿勢変更する。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記第1接続軸と前記第2接続軸とが互いに別に設けられている。そして、前記上下凹所が、前記第1接続軸を挿通させる第1上下凹所と、前記第1上下凹所に対して横方向に並び、前記第2接続軸を挿通させる第2上下凹所と、を含む。
【0012】
この発明の一実施形態では、前記括り罠作動装置が、前記支持姿勢にある前記第1ガイドの前記両端部および前記第2ガイドの前記両端部の、前記ベース筒に対する高さ位置を調整する調整部材をさらに含む。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記括り罠作動装置が、前記支持姿勢にある前記第1ガイドおよび前記第2ガイドに当接して、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドを前記支持姿勢に規制する規制片をさらに含む。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記括り罠作動装置が、前記昇降部材の下降に連動して、前記支持姿勢にある前記第1ガイドを、前記跳上げ可能姿勢に姿勢変更する第1姿勢変更機構と、前記昇降部材の下降に連動して、前記支持姿勢にある前記第2ガイドを、前記跳上げ可能姿勢に姿勢変更する第2姿勢変更機構とをさらに含む。
【0015】
前記第1姿勢変更機構および前記第2姿勢変更機構が、前記昇降部材を下方から支持してもよい。
【0016】
この発明の一実施形態では、前記第1姿勢変更機構が、前記第1ガイドに下方から当接可能な当接部を含み、前記昇降部材の前記上位置からの下降に連動して前記当接部を上昇させ、前記第1ガイドに下方から当接する前記当接部によって前記第1ガイドを持ち上げることにより、前記第1ガイドの前記跳上げ可能姿勢を実現してもよい。
【0017】
この発明の一実施形態では、前記第1姿勢変更機構が、前記昇降部材に連結された一端部と、前記当接部に連結された他端部とを有し、前記ベース上面の下方領域において所定の揺動軸回りに揺動自在に支持された揺動杆をさらに含み、前記揺動杆の前記一端部の下降に伴って前記揺動杆の前記他端部が上昇し、前記揺動杆の前記他端部の上昇に連動して前記当接部を上昇させられることにより、前記第1ガイドが持ち上げられる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、支持姿勢における第1ガイドおよび第2ガイドの内周が、第1ガイドおよび第2ガイドの周方向の全域において、昇降部材の外周との間に間隔が隔てられている。そのため、昇降部材を踏んだ動物の肢体を、高確率で捕獲用ロープによって括ることができる。これにより、括り罠における空はじきの発生を抑制または防止して、動物の捕獲効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、この発明の第1実施形態に係る括り罠作動装置を含む括り罠の要部の斜視図である。
図2図2は、支持姿勢における前記括り罠作動装置の斜視図である。
図3図3は、跳上げ可能姿勢における前記括り罠作動装置の斜視図である。
図4図4は、前記括り罠作動装置の底面図である。
図5図5は、前記支持姿勢における前記括り罠作動装置の横断面図である。
図6図6は、前記跳上げ可能姿勢における前記括り罠作動装置の横断面図である。
図7図7は、前記括り罠作動装置の第1変形例の模式的な平面図である。
図8図8は、前記括り罠作動装置の第2変形例の模式的な横断面図である。
図9図9は、この発明の第2実施形態に係る括り罠作動装置を含む括り罠の要部の斜視図である。
図10図10は、支持姿勢における前記括り罠作動装置の斜視図である。
図11図11は、支持姿勢における前記括り罠作動装置を、図10と異なる方向から見た斜視図である。
図12図12は、この発明の第2実施形態に係る、跳上げ可能姿勢における括り罠作動装置の斜視図である。
図13図13は、この発明の第2実施形態に係る、最下姿勢における括り罠作動装置の斜視図である。
図14図14は、図10の切断面線XIVA-XIVAから見た断面図および図11の切断面線XIVB-XIVBから見た断面図である。
図15図15は、この発明の第3実施形態に係る括り罠作動装置の斜視図である。
図16図16は、図15の切断面線XVI-XVIから見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明の第1実施形態に係る括り罠作動装置1を含む括り罠100の要部の斜視図である。図2は、第1および第2ガイド11,12が支持姿勢A1にあるときの括り罠作動装置1の斜視図である。図3は、第1および第2ガイド11,12が跳上げ可能姿勢A2にあるときの括り罠作動装置1の斜視図である。
【0022】
図1に示すように、括り罠100は、イノシシ、シカ等の野生の動物の肢体(たとえば脚)を捕獲用ロープRPの括り環2で締め付けて括って捕獲する罠装置である。括り罠100は、括り環2と、括り環2を環状に装着可能な括り罠作動装置1とを備えている。
【0023】
円環状の括り環2は縮径可能であり、捕獲用ロープRPの先端部に備えられている。捕獲用ロープRPは、金属製の撚線からなるワイヤ3で構成されている。ワイヤ3の一方端部には括り環2が形成され、他方端部には固定環(図示しない)が形成されている。
【0024】
ワイヤ3には通し環4(たとえば締め付け金具)が形成されており、ワイヤ3の先端が通し環4を通ってループすることで、環径の大きさを変更可能な(すなわち、縮径可能な)括り環2が形成されている。括り環2の環の大きさは、ワイヤ3に対する通し環4の位置調整により拡縮自在である。捕獲用ロープRPは、ワイヤ3に挿通された、圧縮ばね5および調整具(図示しない)をさらに備えている。圧縮ばね5は、通し環4と上記の調整具との間に配置され、通し環4を弾性的に押圧して括り環2を縮径させる状態に付勢する。捕獲用ロープRPは、さらに、ワイヤ3に対する上記の調整具の位置決めを行う、蝶ネジ等のストッパ(図示しない)を含む。捕獲用ロープRPは公知の構成である。捕獲用ロープRPとして、種々の構成の捕獲用ロープを用いることができ、たとえば、特許文献1におけるワイヤ体および付勢部材を備えた部材や、登録実用新案第3200950号公報に記載のくくり罠、特開2017-143762号公報に記載のワイヤ等を例示できる。
【0025】
括り罠作動装置1は、ベース筒(ベース)8と、跳ね上げ用の第1および第2ガイド11,12を有する可動環10とを備えている。
【0026】
ベース筒8は、上面板9(図5等参照)を有するたとえば円筒状の筒体である。上面板9の上面が、略平坦状のベース上面9aを構成している。ベース筒8が、鋼、ステンレス等の金属材料を用いて形成されている。ベース筒8は、樹脂材料を用いて構成されていてもよい。上面板9の中央部には、上面板9を上下に貫通する中央開口14が形成されている。中央開口14は、たとえば円形である。中央開口14内には、後述する昇降部材30が嵌まっている。
【0027】
ベース上面9aの周縁部には、丸穴からなる、第1周縁部貫通穴9cおよび第2周縁部貫通穴9dが形成されている。第1周縁部貫通穴9cは、後述する第1姿勢変更機構41の当接ピン(当接部)43が挿通するための穴であり、第2周縁部貫通穴9dは、後述する第2姿勢変更機構42の当接ピン43が挿通するための穴である。第1周縁部貫通穴9cおよび第2周縁部貫通穴9dは、円筒状のベース筒8の中心軸線に対称に配置されており、上面板9を上下に貫通する。
【0028】
可動環10は、第1および第2ガイド11,12を備えている。第1および第2ガイド11,12は半環状(図1図3の例ではU字状)である。ベース上面9aにおいて第1および第2ガイド11,12は、両端部11a,12a同士が互いに対向するように配置されている。そして、ベース筒8に対し、第1および第2ガイド11,12は、両端部11a,12aを中心として回動可能である。
【0029】
具体的には、第1ガイド11の両端部11aは、ベース上面9aに固定された2つの取付金具17,18に、一対の支軸19を介してそれぞれ回動自在に支持されている。第2ガイド12の両端部12aは、ベース上面9aに固定された2つの取付金具17,18に、一対の支軸20を介してそれぞれ回動自在に支持されている。図1図3の例では、第1ガイド11と第2ガイド12とが共通の取付金具(取付金具17,18)に取り付けられているが、個別の取付金具に取り付けられていてもよい。
【0030】
第1ガイド11の外周面11bおよび第2ガイド12の外周面12bには、括り環2を係脱自在に係止する係止溝21が形成されている。係止溝21は、外周面11bおよび外周面12bの周縁部を除く周方向全域に亘って形成されている。係止溝21は断面矩形状に凹んでいるが、断面V字状または断面U字状に凹んでいてもよい。ない、係止溝21は省略されていてもよい。
【0031】
第1および第2ガイド11,12を組み合わせることにより、略円環状の可動環10が構成される。第1および第2ガイド11,12は、それらの外周面11b,12bに括り環2を環状に支持可能な支持姿勢A1と、支持姿勢A1よりも第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cが互いに接近する跳上げ可能姿勢A2との間で姿勢変更可能である。
【0032】
第1および第2ガイド11,12の支持姿勢A1では、第1ガイド11の中央部11c(中間部。支軸19から最も離れた位置)および第2ガイド12の中央部12c(中間部。支軸20から最も離れた位置)がベース上面9aに当接して、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cの下降が規制されている。この姿勢において、後述する図5に示すように、第1ガイド11の中央部11cにおける第1ガイド11の上下方向(幅方向)の中央位置が支軸19よりも下方に位置している。また、後述する図5に示すように、第2ガイド12の中央部12cにおける第2ガイド12の上下方向(幅方向)の中央位置が支軸20よりも下方に位置している。この姿勢で、第1および第2ガイド11,12の外周面11b,12bに括り環2を環状に装着でき、かつこの環状姿勢に支持可能である。以下の説明において、第1および第2ガイド11,12の支持姿勢A1における第1および第2ガイド11,12(すなわち可動環10)の周方向を周方向Sという場合がある。周方向Sは、昇降部材30(後述する昇降板230についても同様)の周方向と一致する。
【0033】
第1および第2ガイド11,12の跳上げ可能姿勢A2では、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cがベース上面9aから上方に離間する(浮き上がっている)。この姿勢において、後述する図6に示すように、第1ガイド11の中央部11cにおける第1ガイド11の上下方向(幅方向)の中央位置が支軸19よりも上方に位置している。また、図6に示すように、第2ガイド12の中央部12cにおける第2ガイド12の上下方向(幅方向)の中央位置が支軸20よりも上方に位置している。この姿勢では、第1および第2ガイド11,12の外周面11b,12bに括り環2を環状に装着できない。この姿勢で、第1および第2ガイド11,12の外周面11b,12bに括り環2を環状に装着すると、括り環2の付勢力により、第1および第2ガイド11,12が中央部11c,12c同士が接近する方向に回動して跳ね上がり、括り環2が縮径される。
【0034】
括り罠作動装置1は、ベース筒8のベース上面9aに配置された昇降部材30と、昇降部材30の昇降に連動して、第1および第2ガイド11,12の双方を、支持姿勢A1(図1および図2に示す姿勢)と跳上げ可能姿勢A2(図3に示す姿勢)との間で姿勢変更する姿勢変更機構40とをさらに含む。
【0035】
昇降部材30は、中央開口14内に収容され、中央開口14内において昇降可能である。昇降部材30は、外郭筒状であり、より具体的には、円筒状である。昇降部材30は、上面を有する円筒状のケース体31を備えている。ケース体31の上面が略平坦状の昇降上面30aを構成する。ケース体31は、鋼、ステンレス等の金属材料を用いて形成されているが、樹脂材料を用いて構成されていてもよい。
【0036】
昇降部材30は、平面視において、第1および第2ガイド11,12からなる可動環10の中央に位置し、昇降部材30の中心が可動環10の中心と揃っている。昇降部材30の周方向の全域において、昇降部材30の外周と第1および第2ガイド11,12との間に間隔が隔てられている。図1図3に示すように、可動環10は、円形ではなく小判形であるので、第1および第2ガイド11,12の支持姿勢A1において、第1および第2ガイド11,12と昇降部材30の外周との間の距離は一様ではない。第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cと昇降部材30の外周との距離が最も長く、第1および第2ガイド11,12の両端部11a,12aと昇降部材30の外周との距離が最も短い。図1図3の例では、昇降部材30の直径D(図2参照)がたとえば40mmであるのに対し、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12c(の内周)と昇降部材30の外周との距離L3(図2参照。(第1および第2ガイド11,12と昇降部材30の外周との最長距離))がたとえば58mmであり、第1および第2ガイド11,12の端部11a,12a(の内周)と昇降部材30の外周との距離L4(図2参照。第1および第2ガイド11,12と昇降部材30の外周との最短距離)がたとえば38mmである。すなわち、距離L3が昇降部材30の直径Dより大きく、かつ、距離L4が、昇降部材30の直径Dより小さくかつ昇降部材30の半径(直径Dの半分)より大きい。
【0037】
図4は、括り罠作動装置1の底面図である。図5は、第1および第2ガイド11,12の支持姿勢A1における括り罠作動装置1の横断面図である。図6は、第1および第2ガイド11,12の跳上げ可能姿勢A2における括り罠作動装置1の横断面図である。
【0038】
昇降部材30は、ケース体31の中央部においてケース体31に固定された、上下に延びる昇降杆32をさらに備えている。ケース体31の昇降に伴って、昇降杆32が昇降する。昇降杆32の下端部には、昇降連結リング33が結合されている。図5の例では、昇降連結リング33は昇降杆32に一体に形成されているが、昇降杆32と別部材で形成されていてもよい。
【0039】
ケース体31の下端縁には、ストッパ31Aが固定されている。ストッパ31Aは、上面板9における中央開口14の内周縁と係合して、上位置P1における昇降部材30の上移動を規制している。
【0040】
次に、図4図6を参照しながら、姿勢変更機構40について説明する。
【0041】
姿勢変更機構40は、昇降部材30の昇降に連動して、第1および第2ガイド11,12を、支持姿勢A1と跳上げ可能姿勢A2との間で姿勢変更する。この実施形態では、姿勢変更機構40は、昇降部材30の昇降に連動して第1ガイド11を姿勢変更する第1姿勢変更機構41と、昇降部材30の昇降に連動して第2ガイド12を姿勢変更する第2姿勢変更機構42とを備えている。第1および第2姿勢変更機構41,42によって昇降部材30が下方から支持している。
【0042】
第1姿勢変更機構41は、当接ピン43と、揺動杆44と、昇降連結ピン45と、当接連結ピン46とを備えている。
【0043】
当接ピン43は、第1周縁部貫通穴9cを挿通するピンである。当接ピン43の外径は、第1周縁部貫通穴9cの内径よりも小さい。そのため、当接ピン43は、第1周縁部貫通穴9cの内部において姿勢変更可能である。当接ピン43の下端部には当接連結リング47が結合されている。
【0044】
揺動杆44は、取付金具(たとえばL字状)50を介して上面板9の下面に固定された揺動軸49によって揺動自在に支持されている。揺動杆44は、一端部44aおよび他端部44bを有している。揺動杆44の一端部44aは、昇降連結ピン45によって、昇降部材30の昇降杆32の昇降連結リング33と回動自在に連結されている。昇降連結ピン45の外径は昇降連結リング33の穴33aの内径よりも小さく、そのため、昇降連結ピン45は、昇降連結リング33の穴33aに遊嵌されている。揺動杆44の他端部44bは、当接連結ピン46によって、当接ピン43の当接連結リング47と回動自在に連結されている。当接連結ピン46の外径は当接連結リング47の穴47aの内径よりも小さく、そのため、当接連結ピン46は、当接連結リング47の穴47aに遊嵌されている。
【0045】
昇降杆32、当接ピン43および揺動杆44がリンクとして機能し、昇降連結ピン45および当接連結ピン46がジョイントとして機能する。すなわち、第1姿勢変更機構41の各部と昇降杆32とによって、オープンループ構造の3節リンク機構が実現されている。
【0046】
第2姿勢変更機構42は、第1姿勢変更機構41を、円筒状のベース筒8の中心軸線まわりに線対称に配置されており、第1姿勢変更機構41と同等の構成を採用している。そのため、図1図6において、第2姿勢変更機構42の各部には、第1姿勢変更機構41の各部と同等の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。図4図6では、第1姿勢変更機構41の各部を太字で表している。
【0047】
なお、図5および図6の例では、第1姿勢変更機構41の揺動杆44の一端部44aと、第2姿勢変更機構42の揺動杆44の一端部44aとは、共通の昇降連結ピン45に連結されている。つまり、第1姿勢変更機構41と第2姿勢変更機構42とで昇降連結ピン45を共通化されている。
【0048】
昇降部材30が上位置P1にあるとき、図5に示すように、揺動杆44の一端部44aが揺動杆44の他端部44bよりも上方に位置する。この状態では、第1および第2姿勢変更機構41,42の当接ピン43が、ベース上面9aから退避し、それぞれ第1周縁部貫通穴9cおよび第2周縁部貫通穴9d内に没入する。そのため、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cが、ベース上面9aに当接して支持される。これにより、第1および第2ガイド11,12の支持姿勢A1が実現される。すなわち、第1および第2ガイド11,12が支持姿勢A1にあるとき、昇降部材30が上位置P1にある。この状態で、昇降上面30aのベース上面9aからの距離L1(図5参照)は、たとえば15mmである。
【0049】
第1および第2ガイド11,12が支持姿勢A1にある状態で、すなわち、昇降部材30が上位置P1に位置する状態で、昇降部材30に下向きの荷重が加わると、昇降部材30が下降する。
【0050】
第1および第2ガイド11,12が支持姿勢A1にある状態から昇降部材30のケース体31が下降すると、昇降部材30の昇降杆32が下降し、これに伴い、揺動杆44の一端部44aが下降する。これに伴い、揺動杆44の他端部44bが一端部44aよりも上方にする。揺動杆44の他端部44bがさらに上昇することにより、第1および第2姿勢変更機構41,42の当接ピン43が、ベース上面9aから突出し、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cの下端縁に当接して、中央部11c,12cを上方へと押し上げる。これにより、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cがベース上面9aから上方に離間し、これにより、第1および第2ガイド11,12の跳上げ可能姿勢A2が実現される。昇降部材30が下降し、昇降上面30aのベース上面9aからの距離がL2(図6参照)未満になる下位置P2において(L2<L1)、第1および第2ガイド11,12の跳上げ可能姿勢A2が実現される。L1はたとえば5mmである。
【0051】
括り罠100を用いて動物を捕獲する場合の仕掛けについて説明する。
【0052】
まず、使用者は、括り罠100を仕掛け場所に設置する。具体的には、地面に穴を掘って括り罠作動装置1のベース筒8を嵌め入れる。その後、支持姿勢A1にある括り罠作動装置1に、捕獲用ロープRPの括り環2をセットする。具体的には、支持姿勢A1にある括り罠100の第1および第2ガイド11,12の外周に括り環2を括り、括り環2が縮径するような弾性の付勢力(テンション)を捕獲用ロープRPに加える。そして、捕獲用ロープRPにおける括り環2側と反対の端部は、樹木、杭、アンカー等に固定される。これにより、括り罠100の仕掛けが終了する。その後、使用者は、動物に警戒されることのないよう、括り罠100の上方に落ち葉等を被せて括り罠100を隠す。
【0053】
括り罠100の仕掛け場所に動物が近づき、近づいた動物が括り罠100の昇降部材30の昇降上面30aを踏み、昇降部材30を押し下げると、括り罠作動装置1の第1および第2ガイド11,12が、支持姿勢A1から跳上げ可能姿勢A2に姿勢変更する。その結果、括り環2に加えられている弾性の付勢力によって第1および第2ガイド11,12が跳ね上げられ、縮径する括り環2によって動物の肢体が締め付けられ、括られる。捕獲用ロープRPの反対の端部は、樹木、杭、アンカー等に固定されるので動物が逃げられず、これにより、捕獲対象の動物を捕獲できる。
【0054】
一方、近づいた動物が、昇降部材30を踏まずに、その外側領域でかつ可動環10の内側領域(第1および第2ガイド11,12の内側領域)を踏んでも、第1および第2ガイド11,12は支持姿勢A1のまま変更しないので、括り罠作動装置1は作動しない。
【0055】
以上によりこの実施形態によれば、昇降部材30の下降に連動して、第1および第2ガイド11,12が、支持姿勢A1から跳上げ可能姿勢A2に姿勢変更される。また、昇降部材30が、平面視において、可動環10内の中央部に位置している。そのため、昇降上面30aを動物が踏んだときには、動物の肢体が、第1および第2ガイド11,12からなる可動環10内の中央部(すなわち、可動環10内の周縁部を除く領域)に存在している。そのため、昇降上面30aを踏んだ動物の肢体を、高確率で括り環2によって括ることができる。これにより、括り罠100における空はじきの発生を抑制または防止して、動物の捕獲効率の向上を図ることができる。とくに、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cと昇降部材30の外周との距離L3が昇降部材30の直径Dより大きく、かつ、第1および第2ガイド11,12の端部11a,12aと昇降部材30の外周との距離L4が昇降部材30の半径(直径Dの半分)より大きいので、可動環10内において周縁部と昇降部材30との間の距離を大きく確保できる。これにより、括り罠100における空はじきの発生をより一層効果的に抑制できる。
【0056】
また、第1姿勢変更機構41および第2姿勢変更機構42が、昇降部材30の上位置P1からの下降に連動して機械的に第1および第2ガイド11,12を姿勢変更するので、センサや電動モータを用いて姿勢変更する場合と比べて、電池切れ等のおそれもない。
【0057】
また、昇降部材30の上位置P1からの下降に連動して、支持姿勢A1にある第1ガイド11が第1姿勢変更機構41によって跳上げ可能姿勢A2に姿勢変更されるとともに、支持姿勢A1にある第2ガイド12が第2姿勢変更機構42によって跳上げ可能姿勢A2に姿勢変更される。第1および第2ガイド11,12の姿勢変更を個別の姿勢変更機構を用いて行うので、第1および第2ガイド11,12を良好に姿勢変更できる。
【0058】
また、第1および第2姿勢変更機構41,42が昇降部材30を下方から支持しているので、昇降部材30を支持するための機構を、第1および第2姿勢変更機構41,42と別に設ける必要がない。これにより、括り罠作動装置1における部品点数の低減を図ることができる。
【0059】
また、第1および第2姿勢変更機構41,42において、昇降部材30の上位置P1からの下降に連動して、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cの下端縁に当接ピン43を下方から当接させることにより、中央部11c,12cを良好に持ち上げることができる。これにより、第1および第2ガイド11,12の跳上げ可能姿勢A2を良好に実現できる。
【0060】
また、第1および第2姿勢変更機構41,42が、一端部44aが昇降部材30に連結され、かつ他端部44bが当接ピン43に連結された揺動杆44を備えている。揺動杆44の一端部44aの下降に伴って、揺動杆44の他端部44bが上昇して当接ピン43が上昇する。これにより、昇降部材30の下降に連動した当接ピン43の上昇を簡単な構成で実現できる。
【0061】
たとえば、図7に示すように、昇降部材として、平面視円形ではなく平面視小判状のケース体31Bを有する昇降部材30Bを採用できる。この場合、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cと昇降部材30Bの外周との距離L5が、昇降部材30Bの長軸径D1より小さい。また、第1および第2ガイド11,12の端部11a,12aと昇降部材30Bの外周との距離L6が、昇降部材30Bの短軸径D2より小さい。そのため、平面視における、可動環10内の昇降部材30Bの面積を比較的大きく確保できる。これにより、括り罠作動装置1の作動契機である、動物が踏む領域を大きく確保できるから、空はじきの発生を抑制しながら動物の捕獲効率の向上を図ることができる。この場合、ベース筒8の内部における昇降部材30Bの側方の空間が狭ってしまう。そのため、この場合、揺動軸49を支持する取付金具50を、ベース筒8の側壁に固定してもよいし、ベース筒8に底壁を設け、その底壁に取付金具50を固定してもよい。なお、図7の例では、第1および第2ガイド11,12の支持姿勢A1において、第1および第2ガイド11,12と昇降部材30Bの外周との間の距離は一様である(すなわち、距離L5=距離L6)が、一様でなくてもよい。距離L5および距離L6は少なくとも30mm以上が好ましい。
【0062】
また、ケース体31を平面視小判状とするのではなく、図8に示すように、ケース体として図1図6の実施形態と同様のケース体31を採用し、小判状の上面板130をケース体31の上面に固定することにより、図7の昇降部材30Bと同等の平面視形態を有する昇降部材30Cを構成するようにしてもよい。
【0063】
また、第1および第2ガイド11,12(の少なくとも一部)がベース筒8のベース上面9a上に配置されているとして説明したが、正面視において、第1および第2ガイド11,12がベース上面9a上になく、ベース筒8の側方を取り囲んでいてもよい。
【0064】
図9は、この発明の第2実施形態に係る括り罠作動装置201を含む括り罠200の要部の斜視図である。図10図13は、この発明の第2実施形態に係る括り罠作動装置201の斜視図である。図9図11は、第1ガイド11および第2ガイド12が支持姿勢A1にあるときの状態を示す。図12および図13は、第1ガイド11および第2ガイド12が、それぞれ跳上げ可能姿勢A2および最下姿勢A3にあるときの状態を示す。図14(A)は、図10の切断面線XIVA-XIVAから見た断面図であり、図14(B)は、図11の切断面線XIVB-XIVBから見た断面図である。第2実施形態において、前述の第1実施形態と共通する部分には、図1図8の場合と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0065】
図9に示すように、括り罠200は、野生の動物の肢体を捕獲用ロープRPの括り環2で締め付けて括って捕獲する罠装置であり、括り環2と、括り環2を環状に装着可能な括り罠作動装置201とを備えている。以下、図9図14(B)を参照しながら、括り罠作動装置201について説明する。
【0066】
括り罠作動装置201は、たとえば円筒状のベース筒(ベース)208と、ベース筒208内に、ベース筒208に対し昇降可能に収容された昇降板(昇降部材)230と、跳ね上げ用の第1ガイド11および第2ガイド12を有する可動環10と、を備えている。
【0067】
昇降板230は、ベース筒208の内径よりも若干小さな外径を有する円板であり、ベース筒208によって包囲されている。昇降板230は、動物が肢体で踏むための踏板として機能する。昇降板230は、たとえば木材を用いて形成されているが、樹脂材料を用いて形成されていてもよい。
【0068】
第1ガイド11および第2ガイド12は、第1実施形態の場合と同等の大きさである。後述するように、ベース筒208の外径は、第1実施形態のベース筒8の外径と比較して小さく、可動環10(第1ガイド11および第2ガイド12)の径よりも小さい。逆に言えば、第1ガイド11および第2ガイド12の径は、ベース筒208の径よりも大きい。そして、昇降板230が、ベース筒208の内径よりも若干小さな外径を有しているので、換言すると、支持姿勢A1における第1ガイド11および第2ガイド12の内周が、周方向Sの全域において、昇降板230の外周との間に間隔が隔てられている、ということになる。
【0069】
第1ガイド11および第2ガイド12は、支持姿勢A1(図9図11参照)と、跳上げ可能姿勢A2(図12参照)よりも中央部11c,12cが互いに接近する最下姿勢A3(図13参照)と、の間で姿勢変更可能である。具体的には、第1ガイド11および第2ガイド12は、それぞれ、両端部11aおよび両端部12aを中心として回動可能である。そして、第2実施形態では、第1ガイド11の両端部11aは、ベース筒208に対し同伴昇降するのではなく、昇降板230に対し同伴昇降(つまり、同伴移動)可能である。そのため、昇降板230の昇降に連動して、第1ガイド11および第2ガイド12が昇降板230に対して回動する。これにより、昇降板230の昇降に連動して、第1ガイド11および第2ガイド12が姿勢変更する。逆に言えば、昇降板230の高さ位置は、第1ガイド11および第2ガイド12の姿勢に応じて変わる、ということになる。
【0070】
ベース筒208には、2つの第1上下穴(第1上下凹所、上下凹所)211および2つの第2上下穴(第2上下凹所、上下凹所)212が、周方向Sに間隔を空けて形成されている。第1上下穴211および第2上下穴212は、ベース筒208の内外壁を貫通し上下方向に延びる長穴である。合計4つの上下穴211,212は、いずれも同じ高さ位置において互いに同じサイズで形成されている。上下穴211,212の上端は、ベース筒208の上端面208a(ベース筒の上端)よりもやや下に位置し、上下穴211,212の下端は、ベース筒208の上下方向の略中央に位置している。
【0071】
第1ガイド11の両端部11aは、それぞれ、横方向に延びる2つの第1接続軸221を介して、昇降板230の側面230bに回動自在に結合されている。第2ガイド12の両端部12aは、それぞれ、2つの第2接続軸222を介して、昇降板230の側面230bに回動自在に結合されている。第1接続軸221および第2接続軸222としてねじ部材を例示できる。第1接続軸221としてのねじ部材は、第1上下穴211を挿通して、第1ガイド11の両端部11aを昇降板230の側面230bにねじ締結されている。第1接続軸221が第1上下穴211の内部において上下方向にガイドされ、これにより、第1ガイド11の両端部11aがベース筒208に対して上下動可能に設けられる。第2接続軸222としてのねじ部材は、第2上下穴212を挿通して、第2ガイド12の両端部12aを昇降板230の側面230bにねじ締結されている。第2接続軸222が第2上下穴212の内部において上下方向にガイドされ、これにより、第2ガイド12の両端部12aがベース筒208に対して上下動可能に設けられる。
【0072】
括り罠作動装置201は、ベース筒208の外壁に配置された第1支点部231および第2支点部232をさらに備えている。第1支点部231および第2支点部232としてねじ部材の頭部を例示できる。このねじ部材は、ベース筒208の外壁に横向きにねじ締結される。第1支点部231は、第1ガイド11に下方から当接して、第1ガイド11の回動支点として機能する。第2支点部232は、第2ガイド12に下方から当接して、第2ガイド12の回動支点として機能する。
【0073】
括り罠作動装置201は、第1ガイド11の両端部11aの、ベース筒208の上端面208aに対する高さ位置を調整する第1調整部材241と、第2ガイド12の両端部12aの、上端面208aに対する高さ位置を調整する第2調整部材242と、をさらに備えている。第1調整部材241および第2調整部材242としてねじ部材を例示できる。
【0074】
図14(A)に示すように、第1調整部材241としてのねじ部材は、上下方向に延び、ベース筒208の上端面208aにおける第1上下穴211の上方位置にねじ締結されている。第1調整部材241がベース筒208内を垂下し、第1調整部材241の先端が第1上下穴211に入り込み、第1接続軸221に当接する。第1接続軸221の上限位置が、第1調整部材241の先端によって規定される。すなわち、第1調整部材241の上端面208aへのねじ込み量を調整することにより、第1接続軸221の上限位置が調整され、これにより、第1ガイド11の両端部11aの上限位置が調整される。
【0075】
第1ガイド11が支持姿勢A1にあるとき、第1接続軸221は第1上下穴211における上限位置に位置する。第1調整部材241のねじ込み量を調整することにより、第1接続軸221の上限位置(すなわち、第1ガイド11の両端部11a)を調整する。換言すると、第1調整部材241のねじ込み量を調整することにより、支持姿勢A1にある第1ガイド11の両端部11aの高さ位置を調整できる。
【0076】
図14(B)に示すように、第2調整部材242としてのねじ部材は、上下方向に延び、ベース筒208の上端面208aにおける第2上下穴212の上方位置にねじ締結されている。第2調整部材242がベース筒208内を垂下し、第2調整部材242の先端が第2上下穴212に入り込み、第2接続軸222に当接する。第2接続軸222の上限位置が、第2調整部材242の先端によって規定される。すなわち、第2調整部材242の上端面208aへのねじ込み量を調整することにより、第2接続軸222の上限位置が調整され、これにより、第2ガイド12の両端部12aの上限位置が調整される。
【0077】
第2ガイド12が支持姿勢A1にあるとき、第2接続軸222は第2上下穴212における上限位置に位置する。第2調整部材242のねじ込み量を調整することにより、第2接続軸222の上限位置(すなわち、第2ガイド12の両端部12a)を調整する。換言すると、第2調整部材242のねじ込み量を調整することにより、支持姿勢A1にある第2ガイド12の両端部12aの高さ位置を調整できる。
【0078】
括り罠200の作動し易さは、支持姿勢A1にある第1ガイド11および第2ガイド12の傾き度合い、すなわち、支持姿勢A1にある第1ガイド11の両端部11aおよび第2ガイド12の両端部12aの高さ位置に依存する。第1調整部材241および第2調整部材242によって、第1ガイド11の両端部11aおよび第2ガイド12の両端部12aのそれぞれの高さを調整することにより、括り罠200の作動し易さを調整できる。
【0079】
括り罠作動装置201は、支持姿勢A1にある第1ガイド11に当接して、第1ガイド11を支持姿勢A1に規制する第1規制片(規制片)251と、支持姿勢A1にある第2ガイド12に当接して、第2ガイド12を支持姿勢A1に規制する第2規制片(規制片)252と、をさらに備えている。
【0080】
第1規制片251は、ベース筒208の上端面208aに、上下に延びる回転軸線まわりに回動自在に取り付けられている。第1規制片251はたとえば板状部材である。第1規制片251は、第1規制ピン253によって、上端面208aからの抜け止めが図られている。使用者は、手作業により、第1規制片251を、支持姿勢A1にある第1ガイド11に面接触可能な当接位置(図9参照)と、支持姿勢A1にある第1ガイド11から退避する退避位置(図10および図11参照)との間で回動させる。この実施形態の例では、第1規制片251は、上端面208aにおいて、第1ガイド11の中央部11cに対向する位置に配置されている。
【0081】
第2規制片252は、ベース筒208の上端面208aに、上下に延びる回転軸線まわりに回動自在に取り付けられている。第2規制片252はたとえば板状部材である。第2規制片252は、第2規制ピン254によって、上端面208aからの抜け止めが図られている。使用者は、手作業により、第2規制片252を、支持姿勢A1にある第2ガイド12に面接触可能な当接位置(図9参照)と、支持姿勢A1にある第2ガイド12から退避する退避位置(図10および図11参照)との間で回動させる。この実施形態の例では、第2規制片252は、上端面208aにおいて、第2ガイド12の中央部12cに対向する位置に配置されている。
【0082】
昇降板230が上位置にあるとき(昇降板230の上面230aと、ベース筒208の上端面208aとが同一平面にあるとき)、図9図11および図14に示すように、第1ガイド11および第2ガイド12が支持姿勢A1にある。この実施形態では、ベース筒208に、ベース筒208の内外を貫通する複数の小穴261(図13参照)を周方向Sに並ぶように形成し、この小穴261の幾つかにおいて外側から挿し込まれたつまようじ等の細棒262の先端部によって、昇降板230を下方から支持できるようになっている。これにより、第1ガイド11および第2ガイド12の支持姿勢A1において、昇降板230を上位置に保つことができる。
【0083】
第1ガイド11および第2ガイド12が支持姿勢A1にあるとき、第1ガイド11の中央部11cの上端および第2ガイド12の中央部12cの上端は、ベース筒208の上端面208aと同一平面上(すなわち、同じ高さ位置)にあるか、ベース筒208の上端面208aよりも下方に位置している。
【0084】
図9を参照しながら、括り罠200を用いて動物を捕獲する場合の仕掛けについて説明する。
【0085】
まず、使用者は、支持姿勢A1にある括り罠作動装置201に、捕獲用ロープRPの括り環2をセットする。括り環2のセットに先立って、使用者は、第1調整部材241および第2調整部材242によって、第1ガイド11の両端部11aおよび第2ガイド12の両端部12aのそれぞれの高さを調整することにより、括り罠200の作動し易さを調整する。併せて、使用者は、第1規制片251および第2規制片252のそれぞれを当接位置(図9参照)に位置する。これにより、括り環2のセット中に括り罠作動装置201が誤作動するのを防止できる。さらに、括り罠200の第1ガイド11および第2ガイド12を支持姿勢A1に維持しておくために、使用者は、複数の小穴261のうち幾つかの小穴261に細棒262を挿し込んでおく。
【0086】
これらの作業が済んだ後の括り罠作動装置201に、括り環2がセットされる。具体的には、使用者は、支持姿勢A1にある括り罠200の第1ガイド11および第2ガイド12の外周に括り環2を括り、括り環2が縮径するような弾性の付勢力(テンション)を捕獲用ロープRPに加える。
【0087】
括り環2のセット後には、使用者は、地面に形成された穴に、括り罠作動装置201のベース筒208を嵌め入れ、第1規制片251および第2規制片252のそれぞれを退避位置(図10および図11参照)に戻す。そして、使用者は、捕獲用ロープRPにおける括り環2側と反対の端部を、樹木、杭、アンカー等に固定する。その後、使用者は、動物に警戒されることのないよう、括り罠200の上方に土や落ち葉等を被せて括り罠200を隠す。
【0088】
括り罠200の仕掛け場所に動物が近づき、近づいた動物が括り罠200の昇降板230の上面230aを踏み下げると、細棒262が折れ、括り罠作動装置201の第1ガイド11および第2ガイド12が、支持姿勢A1から跳上げ可能姿勢A2(図12参照)を経て、最下姿勢A3(図13参照)に姿勢変更する。その結果、括り環2に加えられている弾性の付勢力によって第1ガイド11および第2ガイド12が跳ね上げられ、縮径する括り環2によって動物の肢体が締め付けられ、括られる。捕獲用ロープRPの反対の端部は、樹木、杭、アンカー等に固定されるので動物が逃げられず、これにより、捕獲対象の動物を捕獲できる。
【0089】
以上によりこの実施形態によれば、昇降板230の下降に連動して、第1ガイド11および第2ガイド12が、支持姿勢A1から跳上げ可能姿勢A2を経て最下姿勢A3に姿勢変更される。また、支持姿勢A1における第1ガイド11および第2ガイド12の内周が、周方向Sの全域において、昇降板230の外周との間に間隔が隔てられている。そのため、上面230aを動物が踏んだときには、動物の肢体が、第1ガイド11および第2ガイド12からなる可動環10内に存在している。そのため、昇降板230の上面230aを踏んだ動物の肢体を、高確率で括り環2によって括ることができる。これにより、括り罠200における空はじきの発生を抑制または防止して、動物の捕獲効率の向上を図ることができる。
【0090】
とくにこの実施形態では、支持姿勢にある第1ガイド11の上端および第2ガイド12が、周方向Sの全域において昇降板230の外側に位置するだけでなく、ベース筒208の上端面208aと面一か、上端面208aよりも下方に位置する。すなわち、第1ガイド11および第2ガイド12の支持姿勢において、第1ガイド11および第2ガイド12がベース筒208の上端面208aよりも上方に位置しない。そのため、昇降板230を踏もうとしている動物の肢体が、昇降板230から逸れたときにはベース筒208の上端面208aに当たるが、第1ガイド11および第2ガイド12には当たらない。これにより、第1ガイド11および第2ガイド12に動物の肢体が当たることに伴う括り罠200の誤作動の発生を抑制でき、ゆえに、括り罠における空はじきの発生をより一層抑制または防止できる。
【0091】
また、第1ガイド11の両端部11aおよび第2ガイド12の両端部12aが、それぞれ、第1上下穴211を挿通する第1接続軸221および第2上下穴212を挿通する第2接続軸222を介して、昇降板230に回動可能に結合される。そのため、昇降板230の昇降に伴って第1ガイド11が姿勢変更する構成、および昇降板230の昇降に伴って第2ガイド12が姿勢変更する構成のそれぞれを、比較的簡単な構造で実現できる。
【0092】
また、第1接続軸221を挿通させる第1上下穴211と、第2接続軸222を挿通させる第2上下穴212とが別に設けられているので、第1ガイド11の回動(すなわち、姿勢変更)と第2ガイド12の回動(すなわち、姿勢変更)とを互いに独立して行うことができる。これにより、第1ガイド11および第2ガイド12の双方において、支持姿勢A1からの姿勢変更をスムーズに行うことができる。
【0093】
また、第1調整部材241によって、第1ガイド11の両端部11aの、ベース筒208の上端面208aに対する高さ位置を調整でき、第2調整部材242によって、第2ガイド12の両端部12aの、ベース筒208の上端面208aに対する高さ位置を調整できる。
【0094】
なお、上下穴211,212は凹所であれば足り、上下凹所を、上下穴211,212に代えて、上下方向の溝によって形成してもよい。
【0095】
図15は、この発明の第3実施形態に係る括り罠作動装置301の斜視図である。図16は、図15の切断面線XVI-XVIから見た断面図である。第3実施形態において、前述の第2実施形態と共通する部分には図9図14(B)の場合と同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。以下、図15,16を参照しながら、括り罠作動装置301について説明する。
【0096】
括り罠作動装置301には括り環2(図9参照)が装着可能であり、括り環2と、括り罠作動装置301とによって括り罠(括り罠200と同様の罠装置)が構成される。
【0097】
第3実施形態に係る括り罠作動装置301が、第2実施形態に係る括り罠作動装置201と相違する点は、姿勢変更機構340を備えた点にある。また、括り罠作動装置301は、括り罠作動装置201と異なり、第1支点部231および第2支点部232を備えていない。さらには、括り罠作動装置301は、ベース筒208の底面を閉塞する底蓋330をさらに含む。
【0098】
ベース筒208の上端面208aには、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cにそれぞれ対向する位置に、上下方向に深い切込み351,352が形成されている。
【0099】
姿勢変更機構340は、昇降板230の昇降に連動して、第1ガイド11および第2ガイド12を、支持姿勢A1と、跳上げ可能姿勢A2(図12参照)との間で姿勢変更する。姿勢変更機構340は、第1姿勢変更機構341と、第2姿勢変更機構342とを備えている。
【0100】
第1姿勢変更機構341は、第1揺動杆343と、第1揺動杆343を、水平な第1揺動軸344まわりに揺動自在に支持する第1揺動支持部345と、を含む。
【0101】
第1揺動杆343は、横方向に延びる杆であり、一端部346と他端部347とを有している。第1揺動杆343は、一端部346と他端部347との間の部分において、第1揺動軸344まわりに揺動する。第1揺動杆343の一端部346は、上方に屈曲し、昇降板230の下面230cに当接可能な第1板当接部348を備えている。第1揺動杆343の他端部347は、上方に屈曲し、第1ガイド11の中央部11cに下方から当接可能な第1ガイド当接部349を備えている。第1揺動支持部345は、第1取付金具350(たとえばL字状)を介して、底蓋330の上面に固定されている。そのため、第1揺動軸344は、ベース筒208に対して変位不能に位置決めされている。
【0102】
第1揺動杆343の一端部346は、昇降板230の下面230cに下方から当接している。昇降板230は、上下に昇降自在に設けられているため、第1揺動杆343の一端部346には、昇降板230の荷重が下向きに作用する。一方、第1揺動杆343の他端部347は、第1ガイド11に下方から当接している。第1ガイド11は回動自在に構成されているため、第1揺動杆343の他端部347には、第1ガイド11の荷重が下向きに作用する。第1揺動杆343の傾き姿勢は、昇降板230の昇降に伴って変化する。第1ガイド11の傾き姿勢は、第1揺動杆343の傾き姿勢の変化に伴って変化する。
【0103】
昇降板230および第1ガイド11以外の荷重が第1揺動杆343に加わっていない状態(フリーの状態)では、昇降板230の重みにより、昇降板230が図16に示す位置よりも下方に下がる。この状態で、第1揺動杆343は、他端部347が上方にあり一端部346が下方にあるような姿勢になり、第1ガイド11は、図16に二点鎖線で示す跳上げ可能姿勢A2になる。
【0104】
第2姿勢変更機構342は、第2揺動杆353と、第2揺動杆353を、水平な第2揺動軸354まわりに揺動自在に支持する第2揺動支持部355と、を含む。
【0105】
第2揺動杆353は、横方向に延びる杆であり、一端部356と他端部357とを有している。第2揺動杆353は、一端部356と他端部357との間の部分において、第2揺動軸354まわりに揺動する。第2揺動杆353の一端部356は、上方に屈曲し、昇降板230の下面230cに当接可能な第2板当接部358を備えている。第2揺動杆353の他端部357は、上方に屈曲し、第2ガイド12の中央部12cに下方から当接可能な第2ガイド当接部359を備えている。第2揺動支持部355は、第2取付金具360(たとえばL字状)を介して、底蓋330の上面に固定されている。そのため、第2揺動軸354は、ベース筒208に対して変位不能に位置決めされている。
【0106】
第2揺動杆353の一端部356は、昇降板230の下面230cに下方から当接している。昇降板230は、上下に昇降自在に設けられているため、第2揺動杆353の一端部356には、昇降板230の荷重が下向きに作用する。一方、第2揺動杆353の他端部357は、第2ガイド12に下方から当接している。第2ガイド12は回動自在に構成されているため、第2揺動杆353の他端部357には、第2ガイド12の荷重が下向きに作用する。第2揺動杆353の傾き姿勢は、昇降板230の昇降に伴って変化する。第2ガイド12の傾き姿勢は、第2揺動杆353の傾き姿勢の変化に伴って変化する。
【0107】
昇降板230および第2ガイド12以外の荷重が第2揺動杆353に加わっていない状態(フリーの状態)では、昇降板230の重みにより、昇降板230が図16に示す位置よりも下方に下がる。この状態で、第2揺動杆353は、他端部357が上方にあり一端部356が下方にあるような姿勢になり、第2ガイド12は、図16に二点鎖線で示す跳上げ可能姿勢A2になる。
【0108】
第3実施形態においても、小穴261(図13等参照)につまようじ等の細棒262(図13等参照)を挿し込むことにより、昇降板230を上位置に保持できる。昇降板230が上位置にあるとき(昇降板230の上面230aと、ベース筒208の上端面208aとが同一平面にあるとき)、第1ガイド11および第2ガイド12が支持姿勢A1にある。昇降板230の下降に伴って、ガイド当接部349およびガイド当接部359が、それぞれ、第1ガイド11および第2ガイド12を上方に押し上げ、やがて、第1ガイド11および第2ガイド12は、跳上げ可能姿勢A2に変化する。
【0109】
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。
【0110】
たとえば、跳ね上げ用の第1および第2ガイド11,12は、U字状としたが、その他にも、V字状や半円状等、動物の肢が通過する空間を内側に形成できかつ括り環2を環状に保持できる半環状であればよい。
【0111】
また、第1および第2ガイド11,12における当接部(当接ピン43、ガイド当接部349,359)の当接位置を、第1および第2ガイド11,12の中央部11c,12cとしたが、第1ガイド11における両端部11aの間の中間部、または第2ガイド12における両端部12aの間の中間部であれば、中央部11c,12cでなくてもよい。
【0112】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0113】
1:罠作動装置、2:括り環、8:ベース筒(ベース)、9a:ベース上面、11:第1ガイド、11c:中央部(中間部)、12:第2ガイド、12c:中央部(中間部)、30:昇降部材、30a:昇降上面、30B:昇降上面、30C:昇降上面、40:姿勢変更機構、41:第1姿勢変更機構、42:第2姿勢変更機構、44:揺動杆、44a:一端部、44b:他端部、49:揺動軸、100:括り罠、201:罠作動装置、211:第1上下穴(第1上下凹所、上下凹所)、212:第2上下穴(第2上下凹所、上下凹所)、221:第1接続軸、222:第2接続軸、230:昇降板(昇降部材)、231:第1支点部、232:第2支点部、241:第1調整部材(調整部材)、242:第2調整部材(調整部材)、251:第1規制片(規制片)、252:第2規制片(規制片)、301:罠作動装置、341:第1姿勢変更機構、342:第2姿勢変更機構、349:ガイド当接部(当接部),359:ガイド当接部(当接部)、A1:支持姿勢、A2:跳上げ可能姿勢、S:周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
括り環を環状に装着可能な括り罠作動装置であって、
昇降板と、
前記昇降板を包囲する筒状のベース筒と、
両端部を有し、前記両端部同士が互いに対向するように配置された、半環状の第1ガイドおよび半環状の第2ガイドであって、前記両端部を中心として回動可能な構成の第1ガイドおよび第2ガイドと、を含み、
前記ベース筒には、前記ベース筒の内外を貫通し上下方向に延びる上下凹所が形成されており、
前記第1ガイドの前記両端部が、前記上下凹所を挿通する第1接続軸を介して、前記昇降板に回動可能に結合され、かつ前記第2ガイドの前記両端部が、前記上下凹所を挿通する第2接続軸を介して、前記昇降板に回動可能に結合されており、
前記ベース筒の外壁に配置され、前記第1ガイドと当接して前記第1ガイドの回動支点として機能する第1支点部と、
前記ベース筒の外壁に配置され、前記第2ガイドと当接して前記第2ガイドの回動支点として機能する第2支点部と、をさらに含み、
前記昇降板の昇降に伴う前記第1ガイドの前記両端部の昇降により、前記第1ガイドが、前記第1ガイドに当接する前記第1支点部まわりに回動して、その外周に前記括り環を環状に支持可能な支持姿勢と、前記支持姿勢よりも前記第1ガイドの中間部が前記第2ガイドに接近する跳上げ可能姿勢との間で姿勢変更し、
前記昇降板の昇降に伴う前記第2ガイドの前記両端部の昇降により、前記第2ガイドが、前記第2ガイドに当接する前記第2支点部まわりに回動して、その外周に前記括り環を環状に支持可能な支持姿勢と、前記支持姿勢よりも前記第2ガイドの中間部が前記第1ガイドに接近する跳上げ可能姿勢との間で姿勢変更し
前記支持姿勢における前記第1ガイドおよび前記第2ガイドが、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドの周方向の全域において、前記昇降の外周との間に間隔が隔てられている、括り罠作動装置。
【請求項2】
前記第1接続軸と前記第2接続軸とが互いに別に設けられており、
前記上下凹所が、前記第1接続軸を挿通させる第1上下凹所と、前記第1上下凹所に対して横方向に並び、前記第2接続軸を挿通させる第2上下凹所と、を含む、請求項に記載の括り罠作動装置。
【請求項3】
前記支持姿勢にある前記第1ガイドの前記両端部および前記第2ガイドの前記両端部の、前記ベース筒に対する高さ位置を調整する調整部材をさらに含む、請求項またはに記載の括り罠作動装置。
【請求項4】
前記支持姿勢にある前記第1ガイドおよび前記第2ガイドに当接して、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドを前記支持姿勢に規制する規制片をさらに含む、請求項またはに記載の括り罠作動装置。
【請求項5】
括り環を環状に装着可能な括り罠作動装置であって、
ベースと、
両端部を有し、前記両端部同士が互いに対向するように配置された、半環状の第1ガイドおよび半環状の第2ガイドであって、前記両端部を中心として回動可能な構成の第1ガイドおよび第2ガイドと、
前記ベースに対して昇降可能な昇降部材と、
前記昇降部材の下降に連動して、その外周に前記括り環を環状に支持可能な支持姿勢にある前記第1ガイドを、前記支持姿勢よりも前記第1ガイドの中間部が前記第2ガイドに接近する跳上げ可能姿勢に姿勢変更する第1姿勢変更機構と、
前記昇降部材の下降に連動して、その外周に前記括り環を環状に支持可能な支持姿勢にある前記第2ガイドを、前記支持姿勢よりも前記第2ガイドの中間部が前記第1ガイドに接近する跳上げ可能姿勢に姿勢変更する第2姿勢変更機構とを含み、
前記支持姿勢における前記第1ガイドおよび前記第2ガイドが、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドの周方向の全域において、前記昇降部材の外周との間に間隔が隔てられており、
前記第1姿勢変更機構が、
前記第1ガイドに下方から当接可能な当接部を含み、
前記昇降部材の下降に連動して前記当接部を上昇させ、前記第1ガイドに下方から当接する前記当接部によって前記第1ガイドを持ち上げて前記第1ガイドの前記跳上げ可能姿勢を実現する、括り罠作動装置。