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特開2023-56526データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056526
(43)【公開日】2023-04-19
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20230412BHJP
【FI】
G06Q20/38 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013786
(22)【出願日】2023-02-01
(62)【分割の表示】P 2021559700の分割
【原出願日】2021-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
(72)【発明者】
【氏名】早川 将和
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA75
(57)【要約】
【課題】証憑の管理者が証憑データの受領ルートを把握できるようにする。
【解決手段】証憑の管理者が証憑データの受領ルートを把握できる情報を表示するデータ処理装置1である。発行された証憑の電子データである証憑データと、前記証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶する記憶部12と、前記証憑データの表示の依頼を受信すると、表示を依頼された前記証憑データと、該証憑データに対応付けられた前記取得経路とを情報端末2に表示するよう制御する表示制御部133と、を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発行された証憑の電子データである証憑データと、前記証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶する記憶部と、
前記証憑データの表示の依頼を受信すると、表示を依頼された前記証憑データと、該証憑データに対応付けられた前記取得経路とを情報端末に表示するよう制御する表示制御部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記証憑データを取得する取得部と、
前記証憑データの前記取得経路を特定し、特定した前記証憑データの前記取得経路と、を記憶部に記憶させる特定部と、をさらに有する、
請求項1に記載するデータ処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記証憑データの形式、前記証憑データの受信手段、又は前記取得部が前記証憑データに関連付けて取得した付加データの少なくともいずれかに基づいて前記取得経路を特定する、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、所定の形式の証憑を交換するネットワークであるインボイスネットワークを構成する所定のサーバから前記取得部が前記証憑データを取得した場合に、前記取得経路がインボイスネットワーク経由であることを特定する、
請求項2又は3に記載するデータ処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記取得部が前記証憑データを所定の送信元以外の送信元から電子メールで取得した場合、又は前記取得部が所定の送信元から電子メールで取得した場合であって、前記証憑データが添付された電子メールが、前記証憑データを含む電子メールが転送されたものであることを示す場合に、前記取得経路がメール経由であることを特定する、
請求項2から4のいずれか1項に記載するデータ処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、証憑の発行元と、前記発行元が発行する証憑の形式と、を関連付けて記憶した証憑形式データをさらに記憶し、
前記データ処理装置は、前記取得部が取得した前記証憑データと、取得した前記証憑データに含まれる前記証憑の発行元に関連付けて記憶された前記証憑の形式と、が一致するか否かを判定する判定部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記判定部が一致しないと判定した場合、証憑の形式が異なっていることを警告する画面を前記情報端末に表示させる、
請求項2から5のいずれか1項に記載するデータ処理装置。
【請求項7】
前記取得部が取得した前記証憑データの作成日が、前記証憑データに含まれる前記証憑の発行日よりも所定日数以上後であるか否かを判定する判定部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記証憑データの作成日が前記証憑の発行日よりも所定日数以上後であると前記判定部が判定した場合に警告情報を前記情報端末に表示させる、
請求項2から6のいずれか1項に記載するデータ処理装置。
【請求項8】
前記特定部は、取得した前記証憑データに所定の文字列が含まれる場合に、取得した前記証憑データが電子取引に該当すると特定する、
請求項2から7のいずれか1項に記載するデータ処理装置。
【請求項9】
前記取得部が取得する前記証憑データの前記取得経路の選択をユーザから受け付ける受付部をさらに備え、
前記特定部は、前記受付部が前記取得経路として電子取引の選択を受け付けた場合、前記取得部が取得した前記証憑データが電子取引に該当することを特定する、
請求項2から8のいずれか1項に記載するデータ処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
発行された証憑の電子データである証憑データの表示の依頼を受信するステップと、
発行された証憑の電子データである証憑データと、前記証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶している記憶部を参照し、表示を依頼された前記証憑データと、該証憑データに対応付けられた前記取得経路とを情報端末に表示するよう制御するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項11】
コンピュータに実行させる、
発行された証憑の電子データである証憑データの表示の依頼を受信するステップと、
発行された証憑の電子データである証憑データと、前記証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶している記憶部を参照し、表示を依頼された前記証憑データと、該証憑データに対応付けられた前記取得経路とを情報端末に表示するよう制御するステップと、
を有するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
請求書をオンラインで送受信する請求書管理システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2017―73102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子帳簿保存法の改正により、電子取引をする場合においては証憑の電子データを保存することが義務付けられる。証憑の受領ルートによって証憑の保存方法が異なるため、証憑の管理者には証憑データの受領ルートを把握することが求められるようになる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、証憑の管理者が証憑データの受領ルートを把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のデータ処理装置においては、発行された証憑の電子データである証憑データと、前記証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶する記憶部と、前記証憑データの表示の依頼を受信すると、表示を依頼された前記証憑データと、該証憑データに対応付けられた前記取得経路とを情報端末に表示するよう制御する表示制御部と、を有する。
【0007】
前記データ処理装置は、前記証憑データを取得する取得部と、前記証憑データの前記取得経路を特定し、特定した前記証憑データの前記取得経路と、を記憶部に記憶させる特定部と、をさらに有してもよい。
【0008】
前記特定部は、前記証憑データの形式、前記証憑データの受信手段、又は前記取得部が前記証憑データに関連付けて取得した付加データの少なくともいずれかに基づいて前記取得経路を特定してもよい。
【0009】
前記特定部は、所定の形式の証憑を交換するネットワークであるインボイスネットワークを構成する所定のサーバから前記取得部が前記証憑データを取得した場合に、前記取得経路がインボイスネットワーク経由であることを特定してもよい。
【0010】
前記特定部は、前記取得部が前記証憑データを所定の送信元以外の送信元から電子メールで取得した場合、又は前記取得部が所定の送信元から電子メールで取得した場合であって、前記証憑データが添付された電子メールが、前記証憑データを含む電子メールが転送されたものであることを示す場合に、前記取得経路がメール経由であることを特定してもよい。
【0011】
前記記憶部は、証憑の発行元と、前記発行元が発行する証憑の形式と、を関連付けて記憶した証憑形式データをさらに記憶し、前記データ処理装置は、前記取得部が取得した前記証憑データと、取得した前記証憑データに含まれる前記証憑の発行元に関連付けて記憶された前記証憑の形式と、が一致するか否かを判定する判定部をさらに有し、前記表示制御部は、前記判定部が一致しないと判定した場合、証憑の形式が異なっていることを警告する画面を前記情報端末に表示させてもよい。
【0012】
前記データ処理装置は、前記取得部が取得した前記証憑データの作成日が、前記証憑データに含まれる前記証憑の発行日よりも所定日数以上後であるか否かを判定する判定部をさらに有し、前記表示制御部は、前記証憑データの作成日が前記証憑の発行日よりも所定日数以上後であると前記判定部が判定した場合に警告情報を前記情報端末に表示させてもよい。
【0013】
前記特定部は、取得した前記証憑データに所定の文字列が含まれる場合に、取得した前記証憑データが電子取引に該当すると特定してもよい。
【0014】
前記データ処理装置は、前記取得部が取得する前記証憑データの前記取得経路の選択をユーザから受け付ける受付部をさらに備え、前記特定部は、前記受付部が前記取得経路として電子取引の選択を受け付けた場合、前記取得部が取得した前記証憑データが電子取引に該当することを特定してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様のデータ処理方法においては、コンピュータが実行する、発行された証憑の電子データである証憑データの表示の依頼を受信するステップと、発行された証憑の電子データである証憑データと、前記証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶している記憶部を参照し、表示を依頼された前記証憑データと、該証憑データに対応付けられた前記取得経路とを情報端末に表示するよう制御するステップと、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに実行させる、発行された証憑の電子データである証憑データの表示の依頼を受信するステップと、発行された証憑の電子データである証憑データと、前記証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶している記憶部を参照し、表示を依頼された前記証憑データと、該証憑データに対応付けられた前記取得経路とを情報端末に表示するよう制御するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、証憑の管理者が証憑データの受領ルートを把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】データ処理システムSの概要を説明する図である。
図2】データ処理装置1の構成を示すブロック図である。
図3】取得部131が取得する証憑データの一例を示す図である。
図4】表示制御部133が表示する画面の一例を示す図である。
図5】取得部131が受信するメールの一例を説明する図である。
図6】表示制御部133が表示する取得経路を選択する画面の一例を示す図である。
図7】データ処理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[データ処理装置1の概要]
図1は、データ処理システムSの概要を説明する図である。データ処理システムSは、データ処理装置1と情報端末2とを有する。データ処理装置1は、証憑データを受信し、受信した証憑データを会計処理装置に入力する装置である。証憑データは、発行された証憑を電子化した電子データである。証憑は例えば、納品書、請求書又は領収書である。なお、データ処理装置1は、会計処理装置と一体に構成されてもよい。
【0020】
情報端末2は、データ処理装置1が取得した証憑データを閲覧し、証憑データの修正が必要な場合に証憑データを修正する操作を行うための端末である。スキャナ3、情報端末4及びサーバ5は、データ処理装置1に証憑データを入力するための装置である。
【0021】
データ処理装置1は、証憑データを取得する(図1における(1))。ここで、データ処理装置1が証憑データを受信する方法には種々の方法がある。
【0022】
スキャナ3は、紙形式で受領した証憑をスキャンした画像データを生成し、生成した画像データをデータ処理装置1に入力する。データ処理装置1は、スキャナ3より入力された画像データを証憑データとして取得する。スキャナ3は一例として、画像データをメールでデータ処理装置1へ送信する。なお、スキャナ3は不図示のコンピュータに生成した画像データを入力し、コンピュータがデータ処理装置1に画像データを入力するよう構成されてもよい。
【0023】
情報端末4は、証憑データを添付したメールを、データ処理装置1が証憑データを受信するために設定されたメールアドレス宛に送信する。情報端末4は、データ処理装置1が表示するwebページにアクセスし、表示されたwebページから証憑データをアップロードしてもよい。
【0024】
サーバ5は、インボイスネットワークNに参加し、所定の形式の証憑データの授受を行うサーバである。データ処理装置1は、証憑データの授受を行う装置であるサーバ5からインボイスネットワークNを経由して証憑データを取得する。
【0025】
インボイスネットワークNは、ネットワークに参加する参加者同士で所定の標準に準拠した証憑データを授受するためのネットワークである。インボイスネットワークNは、例えば、PEPPOL(Pan-European Public Procurement Online)の仕様に準拠した電子インボイスを授受するためのネットワークである。
【0026】
データ処理装置1は、証憑データを取得すると、証憑データの取得経路に基づいて、電子帳簿保存法に定められる電子取引(以下、単に「電子取引」という)に該当する証憑データであるか否かを判定する。データ処理装置1は、例えば、インボイスネットワークNを経由して証憑データを取得した場合、所定の記憶領域に証憑データがアップロードされた場合、又は証憑データを受信するために設定されたメールアドレス宛てに証憑データの発行者から証憑データが送信された場合に、電子取引に該当すると判定する。一方、データ処理装置1は、所定のメールアドレス(例えば、従業員のメールアドレス)を経由して証憑データが取得された場合、電子取引には該当しないと判定する。
【0027】
データ処理装置1又はデータ処理装置1と連携して動作する他のシステムは、証憑データが電子取引に該当するか否かに応じて異なる処理を実行することができる。そこで、データ処理装置1は、証憑データの受信手段、取得した証憑データの形式、又は証憑データに関連付けて取得した付加データの少なくともいずれかに基づいて証憑データの取得経路を特定する(図1における(2))。
【0028】
一例として、データ処理装置1は、所定のサーバから証憑データを取得した場合に、証憑データの取得経路がインボイスネットワーク経由であることを特定する。取得経路を特定すると、データ処理装置1は、取得した証憑データと特定した取得経路とを関連付けて記憶する。
【0029】
情報端末2は、取得した証憑データを表示するための表示依頼をデータ処理装置1に送信する(図1における(3))。そして、データ処理装置1は表示依頼された証憑データと、特定した証憑データの取得経路を示す情報と、を情報端末2に送信する(図1における(4))。そして、情報端末2は受信した証憑データを表示する。
【0030】
データ処理システムSがこのように構成されることで、ユーザは証憑データとともに証憑データの取得経路を確認することができる。そして、ユーザは証憑データの取得経路を確認することで、証憑データの取得経路に応じて、その後のオペレーション(例えば仕訳処理等)を実行することができる。
【0031】
[データ処理装置1の構成]
図2は、データ処理装置1の構成を示すブロック図である。データ処理装置1は、通信部11と、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、取得部131、特定部132、表示制御部133、受付部134及び判定部135を有する。
【0032】
通信部11は、ネットワークを介して情報端末2、スキャナ3、情報端末4及びサーバ5と通信するための通信インターフェースである。記憶部12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶媒体である。記憶部12は、制御部13を機能させるための各種のプログラムを記憶する。
【0033】
記憶部12は、発行された証憑の電子データである証憑データと、証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶する。すなわち、記憶部12は、取得部131が取得した証憑データと、特定部132が特定した証憑データの取得経路とを関連付けて記憶する。取得経路は、例えば、「インボイスNW」、「メール(電子取引)」、「電子取引(その他)」、「電子取引以外」と表される。「インボイスNW」は、インボイスネットワーク経由で取得したことを示す。「メール(電子取引)」は、メール経由で取得したことを示す。「電子取引(その他)」は、電子取引に該当することを示す。「電子取引以外」は、電子取引に該当しないことを示す。
【0034】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されている制御プログラムを実行することにより、取得部131、特定部132、表示制御部133、受付部134及び判定部135として機能する。
【0035】
取得部131は、証憑データを取得する。図3は、取得部131が取得する証憑データの一例を示す図である。図3は、証憑データが請求書を示すデータである場合を示している。証憑データは、一例として、宛先事業者名、宛先部署名、宛先事業者識別番号、宛先電話番号、発行元事業者名、発行元事業者識別番号、請求書番号、請求書発行日、請求書対象となる商品名又はサービス名、請求額、税額、税率、振込先口座番号等を含む。なお、証憑データには利用者識別情報が含まれていてもよい。利用者識別情報は、インボイスネットワークNに参加する参加者に割り当てられる識別情報である。
【0036】
取得部131は、取得した証憑データに含まれる発行元を示す情報から証憑の発行元を特定してもよい。発行元を示す情報は、例えば、発行元事業者名、発行元事業者識別番号又は発行元の利用者識別情報である。証憑データが画像データである場合は、証憑データをOCR(Optical Character Recognition)処理をすることで、証憑データに記載された内容を示すテキストデータを生成し、生成したテキストデータから発行元を特定する。
【0037】
特定部132は、証憑データの取得経路を特定する。そして、特定部132は、取得した証憑データと、特定した証憑データの取得経路と、を記憶部12に記憶させる。特定部132が証憑データの取得経路を特定する方法については後述する。
【0038】
表示制御部133は、証憑データの表示の依頼を受信すると、表示を依頼された証憑データと、該証憑データに対応付けられた取得経路とを情報端末2に表示するよう制御する。図4は、証憑データの表示依頼を情報端末2から受信した場合に、表示制御部133が情報端末2に表示させる画面の一例を示す図である。図4に示す画面には、取得した証憑データとともに取得経路がメール経由であることを示す「メール(電子取引)」が表示されている。
【0039】
特定部132の処理について説明する。特定部132は、証憑データの形式、証憑データの受信手段、又は取得部131が証憑データに関連付けて取得した付加データの少なくともいずれかに基づいて取得経路を特定する。特定部132は、一例として、証憑データの形式、証憑データを取得したプロトコル、証憑データの送信元を示す情報、証憑データが添付されたメールの内容又は証憑データに付加されたメタデータに基づいて取得経路を判定する。
【0040】
特定部132は、所定の形式の証憑を交換するネットワークであるインボイスネットワークNを構成する所定のサーバから取得部131が証憑データを取得した場合に、取得経路がインボイスネットワーク経由であることを特定する。特定部132は、例えば証憑データの送信元のIPアドレスが所定のIPアドレスであるか否かを判定する。所定のIPアドレスはインボイスネットワークNを構成する装置に割り当てられたIPアドレスである。特定部132は、証憑データの送信元が所定のIPアドレスである場合に、取得経路がインボイスネットワーク経由であることを特定する。
【0041】
また、特定部132は、証憑データが利用者識別情報を含む場合に、インボイスネットワーク経由で取得したことを特定してもよい。特定部132は、例えば、インボイスネットワークの利用者識別情報として用いられるアルファベットと数字の組み合わせと一致する文字列が証憑データに含まれている場合に、証憑データがインボイスネットワーク経由で取得したことを特定する。データ処理装置1がこのように構成されることで、データ処理装置1は証憑データをインボイスネットワーク経由で取得したことを特定することができる。
【0042】
インボイスネットワーク経由で取得したことが特定された証憑データは、共通の形式で作成されている。したがって、データ処理装置1は、一例として、インボイスネットワーク経由で取得した証憑データの仕訳処理を行う際、オペレータに証憑データの確認処理をさせずに自動的に仕訳処理をする会計処理部(不図示)を有するように構成されてもよい。この場合、会計処理部は、証憑データに含まれている利用者識別情報が予め登録された利用者識別情報と一致することを条件として自動的に仕訳処理をしてもよい。
【0043】
特定部132は、取得部131が証憑データをメールで取得した場合、メールの送信先アドレス、メールの送信元アドレスまたはメールの内容の少なくともいずれかに基づいて取得経路を特定する。特定部132は、例えば、取得部131が証憑データを所定の送信元以外の送信元から電子メールで取得した場合、又は取得部131が所定の送信元から電子メールで取得した場合であって、証憑データが添付された電子メールが、証憑データを含む電子メールが転送されたものであることを示す場合に、取得経路がメール経由であることを特定する。
【0044】
ところで、メールで証憑データを受信したとしても、社内の従業員からメールで証憑データが送られてきた場合には、紙の証憑データを電子化したファイルが送信されたという可能性があり、この場合、証憑データは電子取引に該当しない。特定部132が、証憑データが電子取引に該当するか否かを特定できるように構成されるとユーザの利便性が高い。そこで、特定部132は、証憑データの発行元から証憑データを受信するために設定されたメールアドレス宛に送信されたメールに添付されたデータとして取得部131が証憑データを取得した場合に、取得された証憑データが電子取引に該当すると判定し、他のメールアドレス宛てに送信されたメールに添付されたとして取得部131が証憑データを取得した場合、取得された証憑データが電子取引に該当しないと判定してもよい。
【0045】
さらに、特定部132は、取得部131が証憑データを所定の送信元以外の送信元から電子メールで取得した場合に、取得された証憑データが電子取引に該当すると判定してもよい。特定部132は、一例として、受信した電子メールの送信元メールアドレスに含まれるドメインが所定のドメインと異なる場合、取得経路が電子取引に該当するメール経由であると特定する。所定のドメインとは例えば、自社のドメインとして予め登録されたドメインである。
【0046】
一方、証憑データを受領する事業者の従業員が証憑データの発行元より受信したメールをデータ処理装置1に転送することで証憑データを取得する場合がある。そこで、特定部132は、取得部131が所定の送信元から電子メールで取得した場合であって、証憑データが添付された電子メールが、証憑データを含む電子メールが転送されたものであることを示す場合に、取得経路が電子取引に該当するメール経由であると特定してもよい。
【0047】
図5は、取得部131が受信するメールの一例を説明する図である。一例として特定部132は、受信したメールのタイトルに転送を示す文字列が含まれるか否かを判定する。転送を示す文字列は、例えば「Fw:」等である。図5に示すメールを受信した場合、メールのタイトルに「Fw:」を含むため、特定部132は、取得経路がメール経由であると特定する。なお、特定部132は、転送を示す文字列が含まれる場合、取得経路がメール経由であると特定する。特定部132は、メールの本文に「転送します」等のメールが転送されたことを示す文字列があるかどうかを判定してもよい。
【0048】
特定部132は、所定の送信元より取得したメール本文中に含まれる引用されたメールの送信元を示す情報に所定のドメイン以外のドメインが含まれるか否かを判定してもよい。図5に示すメールを受信した場合、引用符を示す「---」よりも後部に送信元を示す符号「from」と、送信元のメールアドレスとして、「yyy@example.com」と、が含まれている。特定部132は、「example.com」と所定のドメインとが一致しない場合に、取得経路がメール経由であり、かつ証憑データが電子取引に該当すると判定してもよい。一方、特定部132は、引用されたメールの送信元のドメインが所定のドメインと一致する場合、又は送信元が送信したメールが引用されていない場合、証憑データの取得経路がメール経由であるが、証憑データが電子取引に該当しないと判定する。
【0049】
特定部132が、メールで転送された証憑データが電子取引に該当するか否かを特定できるように構成されることで、証憑の発行元のユーザが取引先の担当者のメールアドレス宛に証憑データを送付することができるようになり、証憑の発行元のユーザの利便性が向上する。
【0050】
なお、特定部132は、電子取引に該当する送信元として取引先のドメイン又はメールアドレスを登録し、取得部131が証憑データを電子取引に該当する送信元から電子メールで取得した場合に、取得された証憑データが電子取引に該当すると判定するよう構成されてもよい。この場合、電子取引に該当する送信元以外の送信元からメールで証憑データを取得した場合に、特定部132は、メール本文中に含まれる引用されたメールの送信元を示す情報に、登録されたドメインが含まれるか否かを判定する。
【0051】
また、特定部132は、証憑データが情報端末4からアップロードされた場合に、取得した証憑データの取得経路が電子取引であると特定してもよい。具体的には、表示制御部133は、証憑データをアップロードするwebページを表示するための情報を情報端末4に送信する。取得部131は、アップロードされた証憑データを取得し、特定部132は、取得した証憑データの取得経路が電子取引であると特定する。データ処理装置1は、任意のファイル転送プロトコルでアップロードされた証憑データを取得してよい。
【0052】
特定部132は、取得した証憑データに所定の文字列が含まれる場合に、取得した証憑データの取得経路が電子取引であると特定してもよい。所定の文字列は、例えば、証憑データの発行元との間で取り決められた文字列である。
【0053】
特定部132は、例えば、取得した証憑データに付加されたメタデータに作成者を示す所定の文字列が含まれる場合又は証憑データに含まれるタグとして所定の文字列が埋め込まれている場合に、取得した証憑データの取得経路が電子取引であると特定してもよい。
【0054】
ところで、特定された取得経路が正しくても、証憑データが正規のデータではなく不適切に作成されているという場合がある。例えば、紙の請求書を受け取った担当者は紙の請求書の原本を提出する必要があるにもかかわらず、紙の請求書の原本を提出しないでスキャナで読み取って電子データをデータ処理装置1に送信してしまうという場合がある。また、正規の部署で作成されていない証憑データが送信されているという場合もある。そこで、データ処理装置1は、取得した証憑データが普段発行されるデータ形式と異なる場合にユーザに注意を促すことで、誤った取得経路が記憶され、誤ったオペレーションが実行されることを防止することができる。
【0055】
この場合、記憶部12は、証憑の発行元と、発行元が発行する証憑の形式と、を関連付けて記憶した証憑形式データをさらに記憶する。記憶部12は、発行元が発行する証憑の形式として、一例として、発行元が発行する証憑データのデータ形式(例えばPDF形式等)や証憑データに含まれる所定の文字列を発行元に関連付けて記憶する。証憑の形式は例えば所定の印影を示す画像データが含まれることであってもよい。
【0056】
所定の文字列は、一例として、証憑を発行する取引先の環境において証憑データを生成した場合に証憑データのメタデータとして証憑データに関連付けられる作成者や作成環境を示す情報である。作成環境を示す情報は、例えばスキャナが電子データを作成する際に付加するテキストデータである。このような文字列が証憑形式データとして登録されていることで、判定部135は、例えば正規の部署で作成されていない証憑データ等の通常とは異なる手段で作成又は取得された証憑データを検出することができ、その結果、ユーザに警告情報を表示することができる。
【0057】
判定部135は、取得部131が取得した証憑データと、取得した証憑データに含まれる証憑の発行元に関連付けて記憶された証憑の形式と、が一致するか否かを判定する。一例として、判定部135は、記憶部12を参照し、発行元の証憑形式データを取得し、取得した証憑データと比較する。例えば、証憑に所定の文字列が含まれていることが記憶部12に記憶されている場合、判定部135は、所定の文字列が含まれていない場合、形式が一致しないと判定する。
【0058】
表示制御部133は、判定部135が一致しないと判定した場合、証憑の形式が異なっていることを警告する画面を情報端末2に表示させる。データ処理装置1がこのように構成されることで、取得した証憑データが普段発行されるデータ形式と異なる場合にユーザに注意を促すことができ、その結果、誤ったオペレーションが実行されることを防止することができる。
【0059】
ところで、紙をスキャンして生成された証憑データを取得した場合、発行日と証憑データを取得した日との間にタイムラグが生じる場合がある。そこで、データ処理装置1は、発行日よりも所定日数以上取得日が後である場合に警告情報を表示することで、紙で発行された証憑データを確認するユーザに注意を促すことができる。
【0060】
具体的には、判定部135は、取得部131が取得した証憑データの作成日が、証憑データに含まれる証憑の発行日よりも所定日数以上後であるか否かを判定する。判定部135は、証憑データに含まれる発行日と証憑データの作成日とを比較し、両者の差分が所定の日数以上であるか否かを判定する。所定の日数は、一例として証憑の郵送に必要な日数を考慮して定められる。所定の日数は例えば2日である。なお、判定部135は、証憑データに含まれる発行日と取得部131が証憑データを取得した取得日を比較してもよい。
【0061】
表示制御部133は、証憑データの作成日が証憑の発行日よりも所定日数以上後であると判定部135が判定した場合に警告情報を情報端末2に表示させる。表示制御部133は、警告情報を表示した場合に、後述する図6に示す証憑データの取得経路の選択を受け付ける画面を表示してもよい。
【0062】
ところで、特定部132が特定した取得経路を修正したい場合や、特定部132が取得経路を特定できない場合がある。そこで、データ処理装置1は、受付部134が証憑データの取得経路の選択を受け付けるよう構成されてもよい。
【0063】
具体的には、受付部134は、取得部131が取得する証憑データの取得経路の選択をユーザから受け付ける。図6は、表示制御部133が表示する取得経路を選択する画面の一例を示す図である。図6に示す画面は、例えば特定部132が取得経路を特定できなかった証憑データの表示依頼を表示制御部133が受信した場合に表示される。
【0064】
図6に示す画面においては、取得経路を選択するためのドロップダウンリストが配置されている。ユーザは情報端末2から取得経路をドロップダウンリストに含まれる「インボイスNW」、「メール(電子取引)」、「電子取引(その他)」、「電子取引以外」から選択し、登録ボタンを押す操作を行う。受付部134は、ユーザに選択された取得経路を取得する。
【0065】
特定部132は、受付部134が受け付けた取得経路により証憑データが取得されたことを特定し、記憶部12に記憶させる。特定部132は、受付部134が取得経路として電子取引の選択を受け付けた場合、取得部131が取得した証憑データの取得経路が電子取引であることを特定する。
【0066】
データ処理装置1がこのように構成されることで、特定部132が特定した取得経路を修正したい場合や、特定部132が取得経路を特定できない場合に取得経路をユーザが選択することができる。
【0067】
[データ処理装置1における処理の流れ]
図7は、データ処理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すフローチャートは、データ処理装置1が証憑データの取得する準備ができた時点から開始している。
【0068】
取得部131は、証憑データを取得する(S01)。特定部132は、取得部131が所定のサーバから証憑データを取得したか否かを判定する(S02)。取得部131が所定のサーバから証憑データを取得した場合(S02におけるYES)、データ処理装置1は、処理をS03に進める。取得部131が所定のサーバから証憑データを取得していない場合(S02におけるNO)、データ処理装置1は、処理をS04に進める。
【0069】
取得部131が所定のサーバから証憑データを取得した場合(S02におけるYES)、特定部132は、証憑データの取得経路をインボイスNW経由と特定する(S03)。そして、データ処理装置1は、処理をS10に進める。
【0070】
特定部132は、所定の送信元(メールアドレス)から受信したかを判定する(S04)。所定の送信元以外の送信元から受信した場合(S04におけるNO)、特定部132は取得経路がメール経由と特定する(S05)。所定の送信元から受信した場合(S04におけるYES)、データ処理装置1は、処理をS06に進める。
【0071】
所定の送信元から受信した場合(S04におけるYES)、特定部132は、受信したメールが転送されたメールであるかを判定する(S06)。受信したメールが転送されたメールである場合(S06におけるYES)、特定部132は取得経路がメール経由と特定する(S05)。
【0072】
受信したメールが転送されたメールでない場合(S06におけるNO)、特定部132は、取得した証憑データに所定の文字列が含まれるかを判定する(S07)。取得した証憑データに所定の文字列が含まれる場合(S07におけるYES)、特定部132は、取得した証憑データが電子取引に該当すると判定する(S08)。
【0073】
取得した証憑データに所定の文字列が含まれない場合(S07におけるNO)、特定部132は、取得した証憑データは電子取引に該当しないと判定する(S09)。
【0074】
そして、取得経路が特定されると、特定部132は、取得した証憑データと特定した取得経路とを関連付けて記憶部12に記憶させる(S10)。そして、データ処理装置1は処理を終了する。
【0075】
[データ処理装置1による効果]
以上説明したように、データ処理装置1においては、発行された証憑の電子データである証憑データと、証憑データが取得された経路を示す取得経路と、を対応付けて記憶する記憶部12と、証憑データの表示の依頼を受信すると、表示を依頼された証憑データと、該証憑データに対応付けられた取得経路とを情報端末2に表示するよう制御する表示制御部133とを有する。データ処理装置1がこのように構成されることで、証憑の管理者が証憑データの受領ルートを把握することができる。
【0076】
以上、実施の形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0077】
1 データ処理装置
2 情報端末
3 スキャナ
4 情報端末
5 サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 特定部
133 表示制御部
134 受付部
135 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7