(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056565
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】吸殻消火装置
(51)【国際特許分類】
A24F 19/14 20060101AFI20230413BHJP
A63F 7/02 20060101ALI20230413BHJP
B65G 33/14 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A24F19/14 Z
A63F7/02 355
B65G33/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165835
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】391035119
【氏名又は名称】株式会社イーエムエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】井山 幸男
【テーマコード(参考)】
2C088
3F040
【Fターム(参考)】
2C088FA01
3F040BA01
3F040EA01
(57)【要約】
【課題】装置全体がコンパクトで、吸殻の消火能力の高い吸殻消火装置を提供する。
【解決手段】本発明の吸殻消火装置は、タバコの吸殻の火種を消火しつつ、吸殻を搬送するスクリューコンベアと、投入された吸殻をスクリューコンベアへ案内する案内機構と、スクリューコンベアにより搬送された吸殻を、回収口を通じて回収する吸殻回収部とを備える。スクリューコンベアの搬送路形成部は、搬送路の搬送方向の少なくとも一方側に端面を備え、スクリュー側回動部が、吸殻が搬送路の一方側の前記端面(以下、一方側端面と呼ぶ。)に向かうようにスクリュー部を回動させた後に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることにより吸殻の往復搬送を行う。スクリュー部の回動によって姿勢を変えながら移動する吸殻を搬送路の内周面及び一方側端面に接触させることで、吸殻の火種をもみ消すようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコの吸殻の火種を消火しつつ、吸殻を搬送するスクリューコンベアと、
投入された吸殻を前記スクリューコンベアへ案内する案内機構と、
前記スクリューコンベアにより搬送された吸殻を、回収口を通じて回収する吸殻回収部と、
を備え、
前記スクリューコンベアは、
スクリュー部と、
前記スクリュー部を回動させるスクリュー側回動部と、
前記スクリュー部の周囲を覆って、前記スクリュー部の軸方向に沿って延在する搬送路を形成する搬送路形成部と、
を有し、
前記搬送路形成部は、前記搬送路の搬送方向の少なくとも一方側に端面を備え、
前記スクリュー側回動部は、吸殻が前記搬送路の一方側の前記端面(以下、一方側端面と呼ぶ。)に向かうように前記スクリュー部を回動させた後に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることにより吸殻の往復搬送を行い、
前記スクリュー部の回動によって姿勢を変えながら移動する吸殻を前記搬送路の内周面及び前記一方側端面に接触させることで、吸殻の火種をもみ消すことを特徴とする、
吸殻消火装置。
【請求項2】
前記案内機構は、
吸殻が投入される投入口の下流側に配置されて吸殻の経路を開閉するシャッター部と、
前記シャッター部を移動させて通過経路を閉じることで、吸殻の案内を規制するシャッター開閉部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の吸殻消火装置。
【請求項3】
前記案内機構は、少なくとも吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させている最中、前記シャッター部を閉じることを特徴とする、
請求項2に記載の吸殻消火装置。
【請求項4】
前記一方側端面に作用する前記搬送方向の荷重に応じて前記一方側端面を前記搬送路に対して前記搬送方向に相対変位させる変位機構を備えることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項5】
前記変位機構は、前記一方側端面に作用する前記搬送方向の荷重に応じて前記搬送方向に伸縮可能な弾性変形部を有することを特徴とする、
請求項4に記載の吸殻消火装置。
【請求項6】
前記一方側端面に荷重が作用していない状態における前記一方側端面の前記搬送路に対する相対位置を基準位置と定義した場合、前記変位機構により前記一方側端面が前記基準位置から前記搬送路に対して所定量相対変位したことを検出する変位量検出部を備え、
前記スクリュー側回動部は、前記変位量検出部で所定量相対変位したことが検出されると、前記スクリュー部の回動を停止するか、又は、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を逆方向に回動させることを特徴とする、
請求項4又は5に記載の吸殻消火装置。
【請求項7】
タバコの吸殻の火種を消火しつつ、吸殻を搬送する第一スクリューコンベアと、
タバコの吸殻の火種を消火しつつ、吸殻を搬送する第二スクリューコンベアと、
投入された吸殻を前記第一スクリューコンベア、及び、前記第二スクリューコンベアのいずれかへ案内する案内機構と、
前記第一スクリューコンベア、及び、前記第二スクリューコンベアにより搬送された吸殻を回収する吸殻回収部と、
を備えることを特徴とする、
吸殻消火装置。
【請求項8】
吸殻を受け入れる前記第一スクリューコンベアの第一受入口と、吸殻を受け入れる前記第二スクリューコンベアの第二受入口が並列状態で配置されることを特徴とする、
請求項7に記載の吸殻消火装置。
【請求項9】
前記案内機構は、
前記第一スクリューコンベアに吸殻を案内する第一経路を開通し且つ前記第二スクリューコンベアに吸殻を案内する第二経路を遮断する第一案内態様と、前記第一経路を閉鎖し且つ前記第二経路を開通する第二案内態様と、を選択的に切り替える経路選択機構を有することを特徴とする、
請求項7又は8に記載の吸殻消火装置。
【請求項10】
前記経路選択機構は、
前記第一経路と前記第二経路の間で移動自在に配置されて吸殻の案内を規制する経路切替部材と、
前記経路切替部材を前記第一経路と前記第二経路の間で移動させることで、前記第一案内態様と前記第二案内態様を選択的に切り替える駆動機構と、
を有することを特徴とする、
請求項9に記載の吸殻消火装置。
【請求項11】
前記駆動機構は、
前記経路切替部材を揺動させる経路切替軸部と、
前記経路切替軸部を中心に前記経路切替部材を揺動させる動力源と、
を有し、
前記経路切替軸部を中心として前記経路切替部材が揺動することにより、前記第一案内態様及び前記第二案内態様を切り替えることを特徴とする、
請求項10に記載の吸殻消火装置。
【請求項12】
前記第一スクリューコンベア、及び、前記第二スクリューコンベアは、それぞれ、
スクリュー部と、
前記スクリュー部を回動させるスクリュー側回動部と、
前記スクリュー部の周囲を覆って、前記スクリュー部の軸方向に沿って延在する搬送路を形成する搬送路形成部と、を有し、
前記搬送路形成部は、前記搬送路の搬送方向の少なくとも一方側に端面を備え、
前記スクリュー部の回動によって姿勢を変えながら移動する吸殻を、前記搬送路の内周面及び前記搬送路の一方側の前記端面(以下、一方側端面と呼ぶ。)に接触させることで、吸殻の火種をもみ消すことを特徴とする、
請求項7~11のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項13】
前記スクリュー側回動部は、吸殻が前記一方側端面に向かうように前記スクリュー部を回動させた後に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることにより吸殻の往復搬送を行うことを特徴とする、
請求項12に記載の吸殻消火装置。
【請求項14】
前記第一スクリューコンベアにおいて、吸殻が前記一方側端面に向かうように前記スクリュー部を回動させている最中に、前記第二スクリューコンベアにおいて、吸殻が前記搬送路の他端側に向かうように前記スクリュー部を回動させることを特徴とする、
請求項13に記載の吸殻消火装置。
【請求項15】
投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、
前記第一スクリューコンベア又は前記第二スクリューコンベアの前記スクリュー側回動部は、
少なくとも前記投入物検出部で最初の前記投入物が検出された以降において、吸殻が前記一方側端面に向かうように前記スクリュー部を回動させると共に、
前記投入物検出部で最初に検出された前記投入物から起算して所定数の前記投入物が検出された以降に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることを特徴とする、
請求項13又は14に記載の吸殻消火装置。
【請求項16】
投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、
前記第一スクリューコンベア又は前記第二スクリューコンベアの前記スクリュー側回動部は、
少なくとも前記投入物検出部で最初の前記投入物が検出された以降において、吸殻が前記一方側端面に向かうように前記スクリュー部を回動させると共に、
前記投入物検出部で最初に前記投入物が検出された時点から起算して所定時間が経過した以降に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることを特徴とする、
請求項13又は14に記載の吸殻消火装置。
【請求項17】
前記スクリュー部により吸殻が前記一方側端面に向かうように搬送されて、前記端面の近傍で吸殻が滞留する領域を吸殻滞留領域と定義した際、
前記スクリュー側回動部は、
前記搬送路に最後に案内された吸殻が前記吸殻滞留領域に到着するまでの間、前記吸殻滞留領域において先着の吸殻を継続して前記端面側に押し出すように前記スクリュー部を回動させ、その後、前記吸殻滞留領域の複数の吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることを特徴とする、
請求項12~16のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項18】
投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、
前記経路選択機構は、前記第一案内態様において前記投入物検出部で最初に検出された前記投入物から起算して所定数の前記投入物が検出された際に、前記第二案内態様に切り替えることを特徴とする、
請求項9~11のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項19】
投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、
前記経路選択機構は、前記第一案内態様において前記投入物検出部で最初に前記投入物が検出された時点から起算して所定時間が経過した際に、前記第二案内態様に切り替えることを特徴とする、
請求項9~11のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項20】
吸殻が投入される投入口の下流側に配置されて吸殻の通過経路を開閉するシャッター部と、
前記シャッター部を移動させて通過経路を閉じることで、前記案内機構による吸殻の案内を規制するシャッター開閉部と、を備えることを特徴とする、
請求項7~14のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項21】
前記シャッター部を移動させて前記投入口の下流側を閉鎖した際、前記シャッター部が底面部を成す吸殻一時溜め部が構成されることを特徴とする、
請求項20に記載の吸殻消火装置。
【請求項22】
前記シャッター部が閉じている状態において、前記第一スクリューコンベア又は前記第二スクリューコンベアによる吸殻の搬送が終了した後に、前記シャッター部を開いて、前記吸殻一時溜め部に溜められた吸殻を前記第一スクリューコンベア又は前記第二スクリューコンベアに案内することを特徴とする、
請求項21に記載の吸殻消火装置。
【請求項23】
前記シャッター部よりも下流側に配置されて前記投入口から投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、
前記シャッター開閉部による前記シャッター部の開放動作の開始から起算して所定数の前記投入物が検出された際に、前記シャッター部を停止するか、又は、前記シャッター部を閉鎖動作させることを特徴とする、
請求項20~22のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項24】
前記第一スクリューコンベア及び前記第二スクリューコンベアの故障を検出する故障検出部を備え、
前記シャッター開閉部は、前記故障検出部で前記第一スクリューコンベア及び前記第二スクリューコンベアのいずれか一方の故障が検出された際に、前記シャッター部を閉じることを特徴とする、
請求項20~23のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項25】
前記故障検出部で前記第一スクリューコンベア及び前記第二スクリューコンベアのいずれか一方の故障が検出された際、前記シャッター開閉部による前記シャッター部の開閉によって、前記第一スクリューコンベア及び前記第二スクリューコンベアの他方に対する吸殻の案内許可と案内規制を交互に切り替えることを特徴とする、
請求項24に記載の吸殻消火装置。
【請求項26】
前記一方側端面に作用する前記搬送方向の荷重に応じて前記一方側端面を前記搬送路に対して前記搬送方向に相対変位させる変位機構を備えることを特徴とする、
請求項12~17のいずれか一項に記載の吸殻消火装置。
【請求項27】
前記一方側端面に荷重が作用していない状態における前記一方側端面の前記搬送路に対する相対位置を基準位置と定義した場合、前記変位機構により前記一方側端面が前記基準位置から前記搬送路に対して所定量相対変位したことを検出する変位量検出部を備え、
前記スクリュー側回動部は、前記変位量検出部で所定量相対変位したことが検出されると、前記スクリュー部の回動を停止するか、又は、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を逆方向に回動させることを特徴とする、
請求項26に記載の吸殻消火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸殻の種火を消化する吸殻消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技台を複数並べて設置する台座や、喫茶店のカウンター等のようなテーブルには、タバコの灰や吸殻を自動的に消火して回収するタバコの吸殻消火装置が設置される場合がある。以前、本願発明者は、吸殻の種火を消化しつつ、吸殻を搬送するスクリューコンベアと、スクリューコンベアで搬送される吸殻を回収する吸殻回収部と、からなる吸殻消火装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、よりコンパクトで、吸い殻の消化能力の高い吸殻消火装置が求められている。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、装置全体をコンパクトに構成することができ、更に、吸殻の消火能力の高い吸殻消火装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸殻消火装置は、タバコの吸殻の火種を消火しつつ、吸殻を搬送するスクリューコンベアと、投入された吸殻を前記スクリューコンベアへ案内する案内機構と、前記スクリューコンベアにより搬送された吸殻を、回収口を通じて回収する吸殻回収部と、を備え、前記スクリューコンベアは、スクリュー部と、前記スクリュー部を回動させるスクリュー側回動部と、前記スクリュー部の周囲を覆って、前記スクリュー部の軸方向に沿って延在する搬送路を形成する搬送路形成部と、を有し、前記搬送路形成部は、前記搬送路の搬送方向の少なくとも一方側に端面を備え、前記スクリュー側回動部は、吸殻が前記搬送路の一方側の前記端面(以下、一方側端面と呼ぶ。)に向かうように前記スクリュー部を回動させた後に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることにより吸殻の往復搬送を行い、前記スクリュー部の回動によって姿勢を変えながら移動する吸殻を前記搬送路の内周面及び前記一方側端面に接触させることで、吸殻の火種をもみ消すことを特徴とする。
【0007】
上記吸殻消火装置に関連して、前記案内機構は、吸殻が投入される投入口の下流側に配置されて吸殻の経路を開閉するシャッター部と、前記シャッター部を移動させて通過経路を閉じることで、吸殻の案内を規制するシャッター開閉部と、を備えることを特徴としてもよい。
【0008】
上記吸殻消火装置に関連して、前記案内機構は、少なくとも吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させている最中、前記シャッター部を閉じることを特徴としてもよい。
【0009】
上記吸殻消火装置に関連して、前記一方側端面に作用する前記搬送方向の荷重に応じて前記一方側端面を前記搬送路に対して前記搬送方向に相対変位させる変位機構を更に備えることを特徴としてもよい。
【0010】
上記吸殻消火装置に関連して、前記変位機構は、前記一方側端面に作用する前記搬送方向の荷重に応じて前記搬送方向に伸縮可能な弾性変形部を有することを特徴とするとしてもよい。
【0011】
上記吸殻消火装置に関連して、前記一方側端面に荷重が作用していない状態における前記一方側端面の前記搬送路に対する相対位置を基準位置と定義した場合、前記変位機構により前記一方側端面が前記基準位置から前記搬送路に対して所定量相対変位したことを検出する変位量検出部を更に備え、前記スクリュー側回動部は、前記変位量検出部で所定量相対変位したことが検出されると、前記スクリュー部の回動を停止するか、又は、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を逆方向に回動させることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の吸殻消火装置は、タバコの吸殻の火種を消火しつつ、吸殻を搬送する第一スクリューコンベアと、タバコの吸殻の火種を消火しつつ、吸殻を搬送する第二スクリューコンベアと、投入された吸殻を前記第一スクリューコンベア、及び、前記第二スクリューコンベアのいずれかへ案内する案内機構と、前記第一スクリューコンベア、及び、前記第二スクリューコンベアにより搬送された吸殻を回収する吸殻回収部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記吸殻消火装置に関連して、吸殻を受け入れる前記第一スクリューコンベアの第一受入口と、吸殻を受け入れる前記第二スクリューコンベアの第二受入口が並列状態で配置されることを特徴としてもよい。
【0014】
上記吸殻消火装置に関連して、前記案内機構は、前記第一スクリューコンベアに吸殻を案内する第一経路を開通し且つ前記第二スクリューコンベアに吸殻を案内する第二経路を遮断する第一案内態様と、前記第一経路を閉鎖し且つ前記第二経路を開通する第二案内態様と、を選択的に切り替える経路選択機構を有することを特徴としてもよい。
【0015】
上記吸殻消火装置に関連して、前記経路選択機構は、前記第一経路と前記第二経路の間で移動自在に配置されて吸殻の案内を規制する経路切替部材と、前記経路切替部材を前記第一経路と前記第二経路の間で移動させることで、前記第一案内態様と前記第二案内態様を選択的に切り替える駆動機構と、を有することを特徴としてもよい。
【0016】
上記吸殻消火装置に関連して、前記駆動機構は、前記経路切替部材を揺動させる経路切替軸部と、前記経路切替軸部を中心に前記経路切替部材を揺動させる動力源と、を有し、前記経路切替軸部を中心として前記経路切替部材が揺動することにより、前記第一案内態様及び前記第二案内態様を切り替えることを特徴としてもよい。
【0017】
上記吸殻消火装置に関連して、前記第一スクリューコンベア、及び、前記第二スクリューコンベアは、それぞれ、スクリュー部と、前記スクリュー部を回動させるスクリュー側回動部と、前記スクリュー部の周囲を覆って、前記スクリュー部の軸方向に沿って延在する搬送路を形成する搬送路形成部と、を有し、前記搬送路形成部は、前記搬送路の搬送方向の少なくとも一方側に端面を備え、前記スクリュー部の回動によって姿勢を変えながら移動する吸殻を、前記搬送路の内周面及び前記搬送路の一方側の前記端面(以下、一方側端面と呼ぶ。)に接触させることで、吸殻の火種をもみ消すことを特徴としてもよい。
【0018】
上記吸殻消火装置に関連して、前記スクリュー側回動部は、吸殻が前記一方側端面に向かうように前記スクリュー部を回動させた後に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることにより吸殻の往復搬送を行うことを特徴としてもよい。
【0019】
上記吸殻消火装置に関連して、前記第一スクリューコンベアにおいて、吸殻が前記一方側端面に向かうように前記スクリュー部を回動させている最中に、前記第二スクリューコンベアにおいて、吸殻が前記搬送路の他端側に向かうように前記スクリュー部を回動させることを特徴としてもよい。
【0020】
上記吸殻消火装置に関連して、投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、前記第一スクリューコンベア又は前記第二スクリューコンベアの前記スクリュー側回動部は、少なくとも前記投入物検出部で最初の前記投入物が検出された以降において、吸殻が前記一方側端面に向かうように前記スクリュー部を回動させると共に、前記投入物検出部で最初に検出された前記投入物から起算して所定数の前記投入物が検出された以降に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることを特徴としてもよい。
【0021】
上記吸殻消火装置に関連して、前記第一スクリューコンベア又は前記第二スクリューコンベアの前記スクリュー側回動部は、少なくとも前記投入物検出部で最初の前記投入物が検出された以降において、吸殻が前記一方側端面に向かうように前記スクリュー部を回動させると共に、前記投入物検出部で最初に前記投入物が検出された時点から起算して所定時間が経過した以降に、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることを特徴としてもよい。
【0022】
上記吸殻消火装置に関連して、前記スクリュー部により吸殻が前記一方側端面に向かうように搬送されて、前記端面の近傍で吸殻が滞留する領域を吸殻滞留領域と定義した際、前記スクリュー側回動部は、前記搬送路に最後に案内された吸殻が前記吸殻滞留領域に到着するまでの間、前記吸殻滞留領域において先着の吸殻を継続して前記端面側に押し出すように前記スクリュー部を回動させ、その後、前記吸殻滞留領域の複数の吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を回動させることを特徴としてもよい。
【0023】
上記吸殻消火装置に関連して、投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、前記経路選択機構は、前記第一案内態様において前記投入物検出部で最初に検出された前記投入物から起算して所定数の前記投入物が検出された際に、前記第二案内態様に切り替えることを特徴としてもよい。
【0024】
上記吸殻消火装置に関連して、投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、前記経路選択機構は、前記第一案内態様において前記投入物検出部で最初に前記投入物が検出された時点から起算して所定時間が経過した際に、前記第二案内態様に切り替えることを特徴としてもよい。
【0025】
上記吸殻消火装置に関連して、吸殻が投入される投入口の下流側に配置されて吸殻の通過経路を開閉するシャッター部と、前記シャッター部を移動させて通過経路を閉じることで、前記案内機構による吸殻の案内を規制するシャッター開閉部と、を備えることを特徴としてもよい。
【0026】
上記吸殻消火装置に関連して、前記シャッター部を移動させて前記投入口の下流側を閉鎖した際、前記シャッター部が底面部を成す吸殻一時溜め部が構成されることを特徴としてもよい。
【0027】
上記吸殻消火装置に関連して、前記シャッター部が閉じている状態において、前記第一スクリューコンベア又は前記第二スクリューコンベアによる吸殻の搬送が終了した後に、前記シャッター部を開いて、前記吸殻一時溜め部に溜められた吸殻を前記第一スクリューコンベア又は前記第二スクリューコンベアに案内することを特徴としてもよい。
【0028】
上記吸殻消火装置に関連して、前記シャッター部よりも下流側に配置されて前記投入口から投入された投入物を検出する投入物検出部を備え、前記シャッター開閉部による前記シャッター部の開放動作の開始から起算して所定数の前記投入物が検出された際に、前記シャッター部を停止するか、又は、前記シャッター部を閉鎖動作させることを特徴としてもよい。
【0029】
上記吸殻消火装置に関連して、前記第一スクリューコンベア及び前記第二スクリューコンベアの故障を検出する故障検出部を備え、前記シャッター開閉部は、前記故障検出部で前記第一スクリューコンベア及び前記第二スクリューコンベアのいずれか一方の故障が検出された際に、前記シャッター部を閉じることを特徴としてもよい。
【0030】
上記吸殻消火装置に関連して、前記故障検出部で前記第一スクリューコンベア及び前記第二スクリューコンベアのいずれか一方の故障が検出された際、前記シャッター開閉部による前記シャッター部の開閉によって、前記第一スクリューコンベア及び前記第二スクリューコンベアの他方に対する吸殻の案内許可と案内規制を交互に切り替えることを特徴としてもよい。
【0031】
上記吸殻消火装置に関連して、前記一方側端面に作用する前記搬送方向の荷重に応じて前記一方側端面を前記搬送路に対して前記搬送方向に相対変位させる変位機構を更に備えることを特徴としてもよい。
【0032】
上記吸殻消火装置に関連して、前記一方側端面に荷重が作用していない状態における前記一方側端面の前記搬送路に対する相対位置を基準位置と定義した場合、前記変位機構により前記一方側端面が前記基準位置から前記搬送路に対して所定量相対変位したことを検出する変位量検出部を更に備え、前記スクリュー側回動部は、前記変位量検出部で所定量相対変位したことが検出されると、前記スクリュー部の回動を停止するか、又は、吸殻が前記搬送路の他方側に向かうように前記スクリュー部を逆方向に回動させることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の吸殻消火装置によれば、装置全体をコンパクトに構成することができ、更に、吸殻の消火能力を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第一実施形態における吸殻消火装置を正面側から断面視した正面側断面図である。
【
図2】(A)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置を
図1の左側から断面視した左側面側断面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置を
図1の右側から断面視した右側面側断面図である。
【
図3】(A)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置のスクリュー部の構成要素を分離した分離図である。(B)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の第一スクリューコンベア(第二スクリューコンベア)の斜視概略図である。(C)は、仮想平面Sにおける第一スクリューコンベア(第二スクリューコンベア)のA-A矢視断面図である。
【
図4】(A)~(C)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の第一スクリューコンベア(第二スクリューコンベア)で吸殻の種火が消火されつつ、往復搬送される様子を時系列に順に並べた図である。
【
図5】(A)~(D)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の第一スクリューコンベア(第二スクリューコンベア)で吸殻の種火が消火される様子を時系列に順に並べた図である。
【
図6】(A)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の案内機構を正面側から断面視した正面側断面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の案内機構を平面視した際、第一案内面と第二案内面の位置関係を表す図である。
【
図7】(A)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の案内板の第一姿勢を正面側から断面視した正面側断面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の案内板の第二姿勢を正面側から断面視した正面側断面図である。
【
図8】(A)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の変形例を左側から断面視した左側面側断面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の変形例を右側から断面視した右側面側断面図である。
【
図9】(A)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の開閉機構を正面側から断面視した際の正面側断面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の開閉機構を上方側から平面視した際の平面図である。
【
図10】(A),(B)は、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の開閉機構の動作を時系列に並べた図である。
【
図11】本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の制御部の内容を表すブロック図である。
【
図12】本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の動作のフローチャートである。
【
図13】本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の動作のタイミングチャートである。
【
図14】本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の第一経路及び第二経路の双方を開通させた様子を正面側から断面視した正面側断面図である。
【
図15A】本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の一部が故障した際の動作のフローチャートである。
【
図15B】本発明の第一実施形態における吸殻消火装置の一部が故障した際の動作のフローチャートである。
【
図16】(A)は本発明の第二実施形態における吸殻消火装置を左側から断面視した左側面側断面図であり、(B)は同吸殻消火装置の変形例を左側から断面視した左側面側断面図である。
【
図17】(A)は、本発明の第二実施形態における吸殻消火装置の第一スクリューコンベアを単独制御する際の動作のフローチャートであり、(B)は同吸殻消火装置の第二スクリューコンベアを単独制御する際の動作のフローチャートである。
【
図18】(A)は、本発明の第三実施形態における吸殻消火装置の第一スクリューコンベア(第二スクリューコンベア)の斜視概略図である。(B)は、本発明の第三実施形態における吸殻消火装置の変位機構に斜視概略図である。
【
図19】(A),(B)は、本発明の第三実施形態における吸殻消火装置の第一スクリューコンベア(第二スクリューコンベア)で吸殻の種火が消火されつつ、変位機構で閉塞端壁部が相対変位する様子を時系列に順に並べた図である。
【
図20】(A)~(D)は、本発明の第三実施形態における吸殻消火装置の第一スクリューコンベア(第二スクリューコンベア)で搬送される吸殻を通じて荷重を受ける閉塞端壁部が相対変位しつつ、吸殻が往復搬送される様子を時系列に順に並べた図である。なお、(A)~(D)では、第一スクリューコンベア(第二スクリューコンベア)は図示が省略されている。
【
図21】本発明の第三実施形態における吸殻消火装置の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1~
図15は発明を実施する形態の一例であって、図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わす。
【0036】
<第一実施形態>
図1及び
図2を参照して、本発明の第一実施形態における吸殻消火装置1について説明する。吸殻消火装置1は、タバコの吸殻900の火種910を消火して、吸殻900を回収するものである。本実施形態の吸殻消火装置1は、第一スクリューコンベア2Aと、第二スクリューコンベア2Bと、案内機構3と、吸殻回収部4と、投入物検出部5と、開閉機構6と、制御部7と、故障検出部8と、以上の各部を収容する筐体9と、を備える。なお、制御部7又は故障検出部8は、筐体9の外部にあってもよい。なお、
図2では、制御部7又は故障検出部8は、省略してある。
【0037】
<第一スクリューコンベア、第二スクリューコンベア>
図1~
図3を参照して、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bについて説明する。第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bは、それぞれ、タバコの吸殻900の火種910を消火しつつ、吸殻900を搬送するものであり、それぞれ別個に独立して構成される。なお、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bは、同様のものであるため、詳細については第一スクリューコンベア2Aについてのみ説明することとする。第一スクリューコンベア2Aは、
図1及び
図3(A),(B)に示すように、スクリュー部20と、スクリュー側回動部21と、搬送路形成部22と、を有する。
【0038】
<スクリュー部>
図3(A)に示すように、スクリュー部20は、スクリュー側軸部23と、ブレード部24と、を有する。
図1に示すように、スクリュー側軸部23は、スクリュー側回動部21(支持部25)により両端又はその近傍を回動自在に支持される。
【0039】
ブレード部24は、
図3(A)に示すように、スクリュー側軸部23の径方向に突出しつつ、スクリュー側軸部23の軸周りを周回しながら、スクリュー側軸部23の軸方向Aに進むように螺旋状に延びる。ブレード部24は、スクリュー側軸部23に連続して設けられるが、これに限定されるものではなく、不連続(断続的)に設けられてもよい。
【0040】
また、ブレード部24の両側には、スクリュー側軸部23の軸方向Aを向く螺旋状の押出面240を有する。螺旋状の押出面240における軸方向における1ピッチの長さは、限定されない。なお、ブレード部24が不連続(断続的)に設けられる場合、螺旋状の押出面240も不連続(断続的)に延びる。
【0041】
また、ブレード部24は、スクリュー側軸部23と共に回動する。螺旋状の押出面240は、ブレード部24がスクリュー側軸部23と共に回動した際、タバコの吸殻900をスクリュー側軸部23の軸方向Aに押出すように機能する。吸殻900が一方側に押し出される際に、搬送路形成部22の内周面に火種910が擦れて消火されるか、火種910がブレード部24の外縁241と搬送路形成部22の内周面の間で押し潰されて消火される。逆回転することで、吸殻900が他方側に押し出されると、吸殻900が排出される。
【0042】
<スクリュー側回動部>
スクリュー側回動部21は、スクリュー側軸部23を回動させるものである。
図1に示すように、スクリュー側回動部21は、スクリュー側軸部23の両端又はその近傍を回動自在に支持する軸受けとして機能する支持部25と、駆動部26とを有する。
【0043】
駆動部26は、スクリュー側軸部23を回動させるものである。本実施形態において駆動部26は、
図1及び
図2に示すように、モーター260と、回動伝達部材261と、を有する。回動伝達部材261は、モーター260の回動をスクリュー側軸部23に伝達するものであり、例えば、ベルトとプーリ、又はチェーンとスプロケット等により構成されるが、これに限定されるものではなく、モーター260とスクリュー側軸部23を接続するカップリングで構成されてもよい。
【0044】
図2(B)に示すように、支持部25及び駆動部26は、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bのそれぞれに設けられる。
【0045】
<搬送路形成部>
図3(A)の下図に示すように、搬送路形成部22の内部にスクリュー部20が配置される。
図3(B)に示すように、搬送路形成部22は、スクリュー部20の周囲を覆って、スクリュー部20の周囲にスクリュー部20の軸方向Aに沿って延在する搬送路220を形成する。説明の便宜上、
図3(B)では、搬送路下部224の内周面の凸部226は省略されている。搬送路形成部22は、搬送路220の搬送方向の一端220Aを閉塞しつつ、搬送路220の搬送方向の他端220Bを開放する。
【0046】
図3(C)は、
図3(B)の仮想平面Sにおける第一スクリューコンベア2AのF-F矢視断面図を示す。仮想平面Sは、スクリュー側軸部23の軸方向Aに対して直交する平面である。
図3(B),(C)に示すように、搬送路形成部22は、搬送路220の側壁を構成する側壁部222と、搬送路220の一端220Aに配置される端面(一方側端面)を構成する閉塞端壁部223(
図3(B)参照)と、搬送路220の下部を構成する搬送路下部224と、搬送路220の上部を構成する搬送路上部225を備える。
【0047】
搬送路上部225、側壁部222、搬送路下部224はこの順に連続して繋がり、筒状に構成される。また、搬送路上部225には、受入口221が設けられる。閉塞端壁部223は、一端220Aにおいて、ここを貫通するスクリュー側軸部23を除いたほぼ全部を閉塞する端面となり、ここに吸殻900が当接する。しかし、一端220Aの全てを閉鎖する必要はなく、例えば、閉塞端壁部223は、一端220Aの少なくとも一部(優先的には搬送路下部224の近傍、好ましくは側壁部222の近傍)を覆うように配置されていればよい。
【0048】
なお、本実施形態では、他端220Bが開放される場合を例示するが、他端220Bにも端面を配置してもよい。その場合は、他端220B近傍における搬送路下部224に、吸殻の落下孔を形成すればよい。
【0049】
また、搬送路形成部22の搬送路下部224には、内周面227に凸部226が複数設けられる。複数の凸部226は、搬送路下部224の内周面227の周方向に沿って並列に並ぶ。なお、
図3(C)に示すように、搬送路下部224の内周面227は、スクリュー側軸部23の軸方向Aから軸視した際、スクリュー側軸部23の中心軸23Aを中心とした円弧形状となるが、これに限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。
【0050】
また、凸部226は、搬送路下部224の内周面227を起点として内側に突出し、且つ、搬送路220の長手方向(スクリュー側軸部23の軸方向A)に延びる。また、搬送路形成部22の内部にスクリュー部20を配置させた際を基準とすると、凸部226は、搬送路下部224の内周面227を起点としてスクリュー側軸部23に向かって突出し、且つ、スクリュー側軸部23の軸方向に延びる。ブレード部24の押出面240の外縁241と、搬送路下部224の内周面227の距離D(
図3(C)参照)は5mm以下である。凸部226は、搬送路下部224の内周面227からの高さE(
図3(C)参照)が3mm以下である。
【0051】
なお、本実施形態では、凸部226が搬送路220の長手方向(スクリュー側軸部23の軸方向A)に連続して設けられ、縞状になっている例(
図3(A)下図参照)を示した。しかしながら、凸部226は搬送路の長手方向(スクリュー側軸部23の軸方向A)に破線状に断続的に設けられても良く、また凸部226が単なる突起として、搬送路下部224の内周面227に離散的に設けられてもよい。以上のように構成される凸部226は、側壁部222、閉塞端壁部223、及び搬送路上部225のいずれかに、上記と同様の構成で設けられてもよい。
【0052】
<第一スクリューコンベア、及び第二スクリューコンベアの配置>
図1及び
図2(A),(B)に示すように、本実施形態において第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bは、双方の搬送路220が平行となり、且つ一端220Aの閉塞端壁部223、及び、他端(開放端)220Bが、互いに同じ側に位置するように配置される。更に、本実施形態において第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bは、上下方向(案内路31の案内方向)Bに垂直な水平方向Hに並列に配置される。
【0053】
このように配置されることで、吸殻消火装置1内に無駄なスペースを設けずに済む。また、後述するように、双方の吸殻落下孔228の直下に、双方に共通の吸殻回収部4の回収口40を配置することができるため、吸殻回収部4の構造をシンプルにすることができる。
【0054】
ただし、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bは、上記のように配置されなくてもよい。つまり、双方の搬送路220が平行とならなくてもよいし、閉塞端壁部223及び、吸殻落下孔228が同じ側に配置されなくてもよい。
【0055】
<消火搬送処理>
図4及び
図5を参照して、第一スクリューコンベア2Aによる消火搬送処理を説明する。なお、本実施形態において第一スクリューコンベア2Aは、複数の吸殻900(吸殻群)を一単位として、一単位の吸殻群(以下、単位吸殻群)毎に、以下で説明する消火搬送処理を行う。そして、単位吸殻群に対する消火搬送処理を終えた後に、次の単位吸殻群を受け入れて消火搬送処理を行う。なお、この「単位吸殻群」は、後述する案内機構3によって、第一スクリューコンベア2Aに、一期間中(案内開始から案内終了までの期間中)に案内される吸殻群となる。
【0056】
(吸殻の案内開始)
図4(A)に示すように、後述する経路選択機構32によって、第一スクリューコンベア2Aに対して吸殻900の案内が開始されると、まず、スクリュー部20(スクリュー側軸部23)を反時計回り(一方回り)R1に回動させて、搬送路220に位置する吸殻900をブレード部24の押出面240Aにより、搬送路220の一端220A側(閉塞端側)である閉塞端壁部223に向かって吸殻900を押し出して移動させる。
【0057】
吸殻900が押し出される過程で、例えば、
図5(A),(B)に示すように、吸殻900は、ブレード部24の押出面240Aに掬い上げられたりして、様々な位置で様々な姿勢を取る。そして、吸殻900が移動する途中で、火種910は、凸部226(
図5(A)参照)又は搬送路形成部22の内周面22A(
図5(B)参照)に擦れることによりもみ消される(以下、第一消火動作と呼ぶ。)。また、
図5(C)に示すように、火種910は、ブレード部24の外縁241と、凸部226又は搬送路形成部22の内周面22Aとで挟み込まれることにより潰されてもみ消される(以下、第二消火動作と呼ぶ。)。更に、
図5(D)のように、火種910を有する吸殻900が、火種910を有しない消火済吸殻920と灰930という安全な分離状態になる。
【0058】
ただし、全ての吸殻900の火種910が確実に上記のようにもみ消されるとは限らない。特に、吸殻900の搬送距離が短ければ、火種910がもみ消されない状態の吸殻900が残ることが想定される。
【0059】
そこで本実施形態では、
図4(B)に示すように、吸殻900が閉塞端壁部223に到着した後も、ブレード部24の一方側の押出面240Aにより閉塞端壁部223に向かって継続して押し出し続けられる。これにより、吸殻900が、閉塞端壁部223に対して押圧されつつ、閉塞端壁部223の近傍領域(以下、吸殻滞留領域と呼ぶ。
図4(B)参照。)Rで滞留する。結果、閉塞端壁部223に到着した吸殻900は、姿勢を変えながら、又は、姿勢を維持しながら閉塞端壁部223と押出面240Aによって挟持されて、火種910がもみ消される(以下、第三消火動作と呼ぶ。)。更に、続いて搬送されてくる吸殻900は、吸殻滞留領域Rで先に滞留する吸殻900にぶつかり、同様に、閉塞端壁部223と押出面240Aとにより挟持される。結果、後続する吸殻900も、先着の吸殻900に押し付けられて、火種910がもみ消される(以下、第四消火動作と呼ぶ。)。
【0060】
(吸殻の案内終了)
以上の状態が所定時間継続されて、第一スクリューコンベア2Aに対する吸殻900の案内が終了する。なお、第一スクリューコンベア2Aの受入口221に最後に投入された吸殻900を、吸殻滞留領域Rに到着させて確実に消化させることが望ましい。つまり、経路選択機構32による吸殻900の案内終了(または最後の吸殻900の検知)から起算して、受入口221から吸殻滞留領域Rまで吸殻900が搬送されるまでは、その所要時間(これを吸殻搬入時間と定義する)に亘ってブレード部24の回転を継続する。吸殻搬入時間は、受入口221から閉塞端壁部223までの搬送路200の距離及びスクリュー部20の回転速度(または軸方向搬送速度)に基づいて決定される。そして、最後に投入された吸殻900が吸殻滞留領域Rで滞留する先着の吸殻900に衝突した後にも、更に所定時間(これを吸殻余裕滞留時間と定義する)、ブレード部24の回転を継続して、吸殻900の圧縮状態にすることが好ましい。吸殻の案内開始から、吸殻余裕滞留時間が経過するまでの時間帯を、吸殻900の搬入処理と定義できる。
【0061】
(吸殻の搬出)
吸殻余裕滞留時間が経過する(搬入処理が終了する)と、
図4(C)に示すように、第一スクリューコンベア2Aは、スクリュー部20(スクリュー側軸部23)を時計回り(他方回り)R2に逆回動させて、ブレード部24の他方側の押出面240Bにより吸殻900を搬送路220の他端220B側の吸殻落下孔228に向かって押し出して移動させる。万が一、上記搬入処理を経ても消えていない火種910があっても、搬送路220の閉塞端壁部223から吸殻落下孔228に向かう間に、上記説明した第一消火動作及び第二消火動作が行われて、吸殻落下孔228に到着するまでには、確実に全ての火種910をもみ消すことができる。吸殻群の全ての吸殻900が、吸殻落下孔228から落下することで、消化搬送処理が終了する。なお、逆回転の時間(これを吸殻搬出時間と定義する)は、閉塞端壁部223から吸殻落下孔228までの搬送路200に沿った距離及びスクリュー部20の逆回転速度(搬出速度)に基づいて決定される。吸殻搬出時間には、新たな吸殻900を搬送路220に案内しないようにする。
【0062】
以上のように、第一スクリューコンベア2Aは、搬送路220に行き止まり箇所となる端面(閉塞端壁部223)を設けつつ、吸殻900を行き止まり領域で単位吸殻群全体を継続して挟持・滞留させると共に、搬送路220を往復移動させることにより、吸殻900の実質的な搬送距離を稼いでいる。これにより、搬送路220の距離が短くても、確実に吸殻の火種910をもみ消すことができる。
【0063】
以上の消火搬送処理が、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bで交互に行われる。第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの一方に対して吸殻900を案内して搬入処理を実行している最中に、他方では搬出処理を実行できる。結果、複数の経路で並行して同時に消火搬送処理を行うことができる。利用者にとっては、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bのいずれかで、吸殻900を受け入れている状態となる。
【0064】
<案内機構>
図6を参照して、案内機構3について説明する。案内機構3は、投入口30を有し、投入口30に投入された投入物(例えば、吸殻900)を第一スクリューコンベア2A、及び、第二スクリューコンベア2Bのいずれかへ案内する。案内機構3は、案内路31と、経路選択機構32と、を有する。
【0065】
<案内路>
案内路31は、投入口30を有し、その投入口30から、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bの双方まで案内する。本実施形態において案内路31は、投入口30を起点として上下方向Bの下方側に延在しつつ、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bの手前で分岐するように構成される。本実施形態において案内路31の案内方向は、上下方向Bと略平行となるが、これに限定されるものではなく、上下方向Bに対して傾斜する方向であってもよい。
【0066】
また、本実施形態において第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bは、上下方向(案内路31の案内方向)Bに垂直な水平方向Hに並列に配置される。なお、案内路31の案内方向が上下方向Bに対して傾斜する方向である場合、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bの配列方向は、案内路31の案内方向に垂直な方向であってもよいし、水平方向Hであってもよい。
【0067】
以下において、
図6(A)に示すように、案内路31の案内方向が上下方向Bであり、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bの配列方向が水平方向Hであるものとして説明する。ただし、案内路31の案内方向が上下方向Bに対して傾斜する方向である場合や、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bの配列方向が水平方向Hでない場合にも、適宜方向を変えて以下の説明を援用することができる。
【0068】
<上流案内部(上流案内路片)>
本実施形態において吸殻消火装置1の筐体9の天井部90には、その一部を上下方向Bに貫通する投入孔91が設けられる。その投入孔91の筐体9の外部側の開口が投入口30となる。投入孔91の筐体9の内部側には、投入孔91に連続し、又は、間隔をあけて上流案内部310が設けられる。上流案内部310は、吸殻900を案内する案内路31の一部である上流案内路片31Aを内部に有する。上流案内路片31Aは、投入口30(投入孔91)を起点として上下方向Bの下方側に延在する。
【0069】
本実施形態において上流案内部310の内周に上流案内面310Aを有する。上流案内面310Aは、投入孔91(投入口30)を起点として、上下方向Bの下方側に延びる。上流案内面310Aの水平方向Hに沿った断面形状は、矩形の環形状となっており、投入孔91(投入口30)の形状に近似する。より詳細に、上流案内面310Aは、上下方向Bの下方側に進むに従って環径又は環面積が小さくなる傾斜区間と、その傾斜区間に連続して面積を変えずに上下方向Bに延在するストレート区間を有する。上流案内面310Aによって取り囲まれる空間が、上流案内路片31Aとなる。
【0070】
<下流案内部(中流案内路片、第一下流分岐路片、第二下流分岐路片)>
また、上流案内部310に続いて、上流案内部310の直下には、下流案内部311が設けられる。下流案内部311の内部には、吸殻900を案内する案内路31の一部である中流案内路片31Bと、これに連続する第一下流分岐路片31C及び第二下流分岐路片31Dが形成される。中流案内路片31Bは、上流案内路片31Aの下流側に連続して上下方向Bの下方側に延在する。第一下流分岐路片31Cは、中流案内路片31Bの下流側に連続して、第一スクリューコンベア2A側に分岐する。第二下流分岐路片31Dは、中流案内路片31Bの下流側に連続し、第二スクリューコンベア2B側に分岐する。
【0071】
なお、
図6(A)に示すように、本実施形態において下流案内部311は、上流案内部310に対して下方側に所定距離だけ離れているが、これに限定されるものではなく、上流案内部310に連続してもよい。上流案内部310と下流案内部311の間の不連続区間Tにおける案内路片は、上流案内路片31A及び中流案内路片31Bのいずれかに含まれるものと見做してもよいし、別の案内路片(中間案内路片)と見做してもよい。
【0072】
下流案内部311の内周面は、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bの双方に向かって上下方向Bの下方側に延びる中流案内面311Aと、中流案内面311Aの下流側に配置される第一下流分岐面311Bと、中流案内面311Aの下流側に配置される第二下流分岐面311Cと、に区画される。
【0073】
中流案内面311Aの水平方向Hに沿った断面形状は、矩形の環形状となる。また、中流案内面311Aの断面形状は、上下方向Bから平面視した際、上流案内面310Aの断面形状を内部に包含する。中流案内面311Aは、中流案内区間S1を取り囲むことで中流案内路片31Bの壁面を構成する。
【0074】
第一下流分岐面311Bは、中流案内区間S1に連続して続く分岐区間S2の一部を取り囲むことで、第一下流分岐路片31Cの壁面を構成する。第二下流分岐面311Cは、中流案内区間S1に連続して続く分岐区間S2の一部(残部)を取り囲むことで、第二下流分岐路片31Dの壁面を構成する。なお、第一下流分岐路片31Cの水平断面中心は、上下方向Bの下方側に進むに従って第一スクリューコンベア2Aの第一受入口221A側(
図6(A)では左側)に接近する。また、第二下流分岐路片31Dの水平断面中心は、上下方向Bの下方側に進むに従って第二スクリューコンベア2Bの第二受入口221B側(
図6(A)では右側)に接近する。なお、本実施形態では、第一受入口221Aと第二受入口221Bは並列状態で(並列に)配置される。
【0075】
以上のように、案内路31は、上流案内路片31A、中流案内路片31B、第一下流分岐路片31C、及び第二下流分岐路片31Dにより構成される。また、案内路31には、上流案内路片31A、中流案内路片31B、第一下流分岐路片31Cにより構成される第一経路と、上流案内路片31A、中流案内路片31B、第二下流分岐路片31Dにより構成される第二経路を内在する。
【0076】
<経路選択機構>
図6及び
図7を参照して、経路選択機構32について説明する。経路選択機構32は、案内路31において、投入口30から第一スクリューコンベア2Aに向かう第一経路及び投入口30から第二スクリューコンベア2Bに向かう第二経路の一方を遮断しつつ、他方を開通する。なお、ここでは、経路選択機構32が第一経路を開通して第二経路を遮断している態様を第一案内態様と定義し、経路選択機構32が第二経路を開通して第一経路を遮断している態様を第二案内態様と定義する。
【0077】
図6(A)に示すように、本実施形態において経路選択機構32は、経路切替部材として機能する案内板33と、案内板33を変位させる駆動機構34とを有する。案内板33は、案内路31(中流案内路片31B)内に配置される。そして、案内板33は、第一経路を開通しつつ、第二経路を遮断する第一姿勢(
図7(A)参照)と、第二経路を開通しつつ、第一経路を遮断する第二姿勢(
図7(B)参照)と、を取り得る。つまり、案内板33は、第一経路と第二経路の間で移動自在に配置されて、吸殻900の案内を規制する。また、案内板33は、両側に案内面330,331を有する。
【0078】
案内面330は、案内板33の第一姿勢において全ての吸殻900を受け止めて、案内先である第一スクリューコンベア2Aの第一受入口221Aに案内するように機能する。つまり、
図7(A)に示すように、第一姿勢において案内板33は、第二下流分岐路片31D(第二スクリューコンベア2B)の上流側を覆い隠すことで、中流案内路片31Bと第二下流分岐路片31Dの間を遮断する。案内板33の端縁は、中流案内面311Aに接触することが好ましい。同時に、案内板33(案内面330)は、上下方向Bの下方側に進むに従って第一下流分岐路片31C(第一スクリューコンベア2A)側に接近するように傾斜する。吸殻900が第二経路側に落下しても、案内板33(案内面330)に沿ってスムーズに吸殻900を第一経路側に案内することができる。
【0079】
案内面331は、案内板33の第二姿勢において全ての吸殻900を受け止めて、案内先である第二スクリューコンベア2Bの第二受入口221Bに案内するように機能する。つまり、
図7(B)に示すように、第二姿勢において案内板33は、第一下流分岐路片31C(第一スクリューコンベア2A)の上流側を覆い隠すことで、中流案内路片31Bと第一下流分岐路片31Cの間を遮断する。こ案内板33の端縁は、中流案内面311Aに接触することが好ましい。同時に、案内板33(案内面330)は、上下方向Bの下方側に進むに従って第二下流分岐路片31D(第二スクリューコンベア2B)側に接近するように傾斜する。吸殻900が第一経路側に落下しても、案内板33に沿ってスムーズに吸殻900を第二経路側に案内することができる。
【0080】
駆動機構34は、案内板33の姿勢を第一姿勢及び第二姿勢のいずれかにして、開通する経路を切り替える。本実施形態において駆動機構34は、経路切替軸部35と、動力源36と、を有する。
【0081】
経路切替軸部35は、案内板33の揺動軸として機能する。本実施形態において経路切替軸部35の軸方向は、第一下流分岐路片31Cの出口(第一スクリューコンベア2Aの第一受入口221A)及び第二下流分岐路片31Dの出口(第二スクリューコンベア2Bの第二受入口221B)が並ぶ配列方向に直交し、更に上下方向Bにも直交する方向となるが、これに限定されるものではなく、その他の方向と平行であってもよい。
【0082】
動力源36は、経路切替軸部35を正逆回動させることで案内板33を揺動させる。結果、案内板33は、経路切替軸部35を中心に水平方向Hに揺動する。動力源36は、例えば、モーターを含む駆動装置により構成される。なお、ここでは案内板33を揺動させることで、第一案内態様と第二案内態様を切り替える場合を例示しているが、水平方向に往復移動させてもよく、また、他の機構を採用することもできる。例えば、経路選択機構32は、プレート状の案内板33を利用する場合に限られず、回転ドラム等の回転機構によって第一案内態様と第二案内態様を切り替えたり、経路自体を移動させて第一案内態様と第二案内態様を切り替えたりできる。
【0083】
<吸殻回収部>
図1、
図2及び
図8を参照して、吸殻回収部4について説明する。吸殻回収部4は、
図1及び
図2に示すように、回収口40を有し、第一スクリューコンベア2A、及び、第二スクリューコンベア2Bにより搬送された消火済吸殻920を、回収口40を通じて回収する。そして、回収口40は、搬送路220の吸殻落下孔228の真下に位置する。本実施形態において回収口40は、第一スクリューコンベア2A、及び、第二スクリューコンベア2Bのそれぞれの搬送路220の吸殻落下孔228の真下に位置する。つまり、本実施形態において回収口40は、1つ設けられ、第一スクリューコンベア2A、及び、第二スクリューコンベア2Bの双方で共用されている。
【0084】
本実施形態において吸殻回収部4は、
図1及び
図2に示すように、上下方向Bに延びる吸殻案内路41と、回収袋設置部42と、を有する。吸殻案内路41は、第一スクリューコンベア2A、及び、第二スクリューコンベア2Bの双方の搬送路220の吸殻落下孔228から回収口40を経由して回収袋設置部42まで消火済吸殻920を案内する。
【0085】
回収袋設置部42は、回収袋設置空間43を有する。回収袋設置空間43には、吸殻案内路41を通じて移動(落下)してくる消火済吸殻920を回収するための回収袋44が設置される。回収袋44は、開口が吸殻案内路41(回収口40)側を向くように設置される。
【0086】
第一スクリューコンベア2A、又は、第二スクリューコンベア2Bによる消火搬送処理で消火された消火済吸殻920は、搬送されて搬送路220の吸殻落下孔228に到着すると、そこから真下に落下する。落下する際、吸殻案内路41を通過して回収口40を経由して回収袋44に入る。これにより、消火済吸殻920は、回収袋44に回収される。
【0087】
また、吸殻回収部4には、
図8(A),(B)に示すように、回収袋44内の消火済吸殻920を押圧して、圧縮する圧縮部45を別途設けてもよい。圧縮部45は、圧縮板46と、昇降機構47と、を有する。昇降機構47は、圧縮板46を上下方向Bに昇降させるものであり、アーム48と、アーム48を上下方向Bに移動させるアーム昇降部49とを有する。
【0088】
圧縮板46は、アーム48に固定される。そして、圧縮板46は、吸殻900を押圧する押圧面46Aを有し、押圧面46Aが回収袋44の内部空間44A側を向く。アーム昇降部49がアーム48を圧縮板46と共に下降させると、押圧面46Aが消火済吸殻920を下方側に押圧しつつ、消火済吸殻920の集合体を圧縮する。これにより、回収袋44内に、たくさんの消火済吸殻920を収容させることができる。
【0089】
<投入物検出部>
図1及び
図6を参照して、投入物検出部5について説明する。投入物検出部5は、投入口30を通じて案内路31(案内機構3)に投入された吸殻900等の投入物を検出するものである。投入物検出部5は、例えば、
図1に示すように、投光部5Aと受光部5Bを有するラインセンサで構成される。そして、投入物検出部5は、例えば、
図6(A)に示すように、上下方向Bに直交する方向に複数の投光部片5Cが並列に整列する。ちなみに、投光部片5Cは、光を発する発光部品(例えば、LEDやレーザー)を含む。受光部5Bは、
図6(A)では、図示を省略しているが、軸方向A(
図6(A)の紙面に垂直な方向)において投光部5Aの各投光部片5Cに対向する受光部片5Dが、複数の投光部片5Cが整列する方向と平行に並列に整列する。ちなみに、受光部片5Dは、光を受光して電気信号に変換する部品(例えば、フォトダイオード)を含む。
【0090】
投光部5Aと受光部5Bの間を吸殻900等の投入物が通過する際、吸殻900等の投入物が光を遮断する。光の遮断が検出されることにより投入物の通過が検出される。なお、投入物検出部5は、カメラで撮影された画像を解析することにより投入物を検出するものであってもよい。この場合、吸殻900以外の異物が案内路31(案内機構3)に投入されたことを検出することができる。このため、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bにおけるスクリュー部20の故障防止の観点から、吸殻900以外の異物が投入物検出部5で検出された場合、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bにおけるスクリュー部20は、制御部7の制御の下、動作を停止するように構成されてもよい。
【0091】
なお、投入口30を通じて案内路31(案内機構3)に投入される投入物を吸殻900に制限するため、
図6(A),(B)に示すように、上流案内路片31Aを上下方向Bに2つに分離するような態様で網状部37を設けてもよい。なお、その他の図では、網状部37が図示を省略しているものもある。網状部37は、
図6(B)に示すように、網目を有し、シート状に形成される。また、
図6(A)に示すように、網状部37は、天井部90の内部側面90Aと上下方向Bにおいて概ね同位置になる位置において、網状部37が上下方向Bに直交するような姿勢で設けられる。網状部37の網目の大きさ(開口)は、直立した吸殻900は通るが、直立した吸殻900の断面の直径よりもわずかに大きいものは通らない程度の大きさが好ましい。これにより、吸殻900以外のもの(例えば、電池等)が案内路31(案内機構3)に投入されることを阻止することができる。
【0092】
投入物検出部5は、例えば、案内路31の途中に設けられる。本実施形態において投入物検出部5は、開閉機構6及び網状部37よりも上下方向Bの下方側に設けられることが好ましい。投入物検出部5での検出結果は、制御部7に送信される。
【0093】
<開閉機構>
図9を参照して、開閉機構6について説明する。開閉機構6は、案内機構3による吸殻900の案内を規制したり、許容したりするものである。開閉機構6により案内機構3の案内を規制することにより、吸殻900等の投入物が第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの双方に送られることを阻止する。また、開閉機構6により案内機構3の案内を許容することにより、吸殻900等の投入物が第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bのいずれか一方に送られる。
【0094】
なお、本実施形態において開閉機構6は、
図9(A)に示すように、案内機構3における案内路31の上流案内路片31Aの出口31ABの直下近傍に配置される。しかし、本発明はこれ限定されるものではなく、上流案内路片31Aのその他の位置、中流案内路片31Bのいずれかの位置いずれかに配置されることができる。
【0095】
図9(A),(B)に示すように、本実施形態において開閉機構6は、シャッター部60と、シャッター開閉部61とを有する。シャッター部60は、案内機構3における案内路31を塞ぐことができる形状・大きさを有する。本実施形態においてシャッター部60は、案内路31の上流案内路片31Aの出口31ABを塞ぐことができる形状・大きさを有する。
図9(B)では、上流案内路片31Aの出口31ABを塞ぐ位置に位置するシャッター部に符号60Aを付し、上流案内路片31Aの出口31ABを開いた状態の初期位置に位置するシャッター部に符号60Bを付している。
【0096】
シャッター開閉部61は、シャッター部60が案内路31を開閉するようにシャッター部60を移動させる。シャッター開閉部61は、シャッター部60を水平方向Hにスライド移動させる。
図9(A),(B)の矢印に示すように、シャッター開閉部61は、例えば、モーター等の回動装置となる回動部62と、回動部62により回動するピニオン部63と、シャッター部60に設けられてピニオン部63に噛合するラック部64と、シャッター部60を水平方向Hに案内するシャッター案内部65と、を有する。シャッター案内部65は、上下方向Bにおいて上方側を向き、水平方向Hに延びる案内面65Aを有する。この案内面65Aに対してシャッター部60が摺動する。
【0097】
回動装置が回動すると、ピニオン部63が回動して、ラック部64と共に、シャッター部60がシャッター案内部65に案内されて、水平方向Hに移動する。
【0098】
図10(A)に示すように、本実施形態では、シャッター部60を前進スライド移動させることにより、吸殻900の通過経路を閉じると共に、シャッター部60で上流案内路片31Aの出口31ABを塞ぐ。結果、上流案内部310(上流案内面310A)と、シャッター部60(シャッター部60の吸殻載置面60A)により、吸殻900を一時的に溜めておく吸殻一時溜め部600が構成される。つまり、吸殻一時溜め部600は、
図10(A)に示すように、上流案内部310が環状の周壁を成しつつ、シャッター部60が底面部を成す凹状空間となる。なお、シャッター部60を前進スライド移動させることにより、シャッター部60で上流案内路片31Aの出口31ABを塞ぐシャッター部60の動作を適宜、シャッター部60の閉鎖動作と呼ぶ。また、逆に、シャッター部60を後退スライド移動させることにより、上流案内路片31Aの出口31ABを開放するシャッター部60の動作を適宜、シャッター部60の開放動作と呼ぶ。
【0099】
<開閉機構の開閉タイミング>
図1に示すように、吸殻消火装置1には、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの故障を検出する故障検出部8が設けられる。故障の種類には様々であるが、代表的な故障として、スクリュー部20の回転不能の検知となる。故障検出部8で第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの両方が故障していることが検出された場合、開閉機構6によって、以後の吸殻900の案内を規制して、吸殻一時溜め部600に吸殻900を溜めておく。
【0100】
また、故障検出部8で第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの一方が故障していることが検出された場合、経路選択機構32は、他方の正常動作側の経路しか選択できない。そこで、他方側(正常動作側)が、吸殻900の搬入処理を行おうとする場合、経路選択機構32に代わって、開閉機構6が、吸殻900の案内を許容したり、規制したりする。
【0101】
具体的には、他方側(正常動作側)が、単体で、吸殻900の搬出処理を行おうとする場合、開閉機構6によって吸殻900の案内を規制して、吸殻一時溜め部600に吸殻900を溜めておく。他方側(正常動作側)の吸殻900の搬出処理が完了し、次の吸殻900を受け入れる場合、
図10(B)に示すように、シャッター部60を後退スライド移動させて、上流案内路片31Aの出口31ABを徐々に開いていく。この際、溜まっていた吸殻900は、シャッター部60の後退スライド移動により徐々に中流案内路片31Bに向けて移動(落下)していく。
【0102】
この際、吸殻一時溜め部600から落下する吸殻900の数は、投入物検出部5により継続して検出される。第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bにおいて、1サイクルの消火搬送処理で受け入れ可能な吸殻900の数には上限があるため、他方側(正常動作側)において、シャッター部60の開放動作の開始から起算して予め設定された規定数(所定数)の投入物(吸殻900)が投入物検出部5で検出されると、シャッター部60が後退スライド移動の途中であっても、シャッター開閉部61(回動部62)は後退スライド移動を停止させて、更に、前進スライド移動によって完全に閉じる。これにより、吸殻一時溜め部600に溜められた吸殻900を、これ以上、中流案内路片31Bに向けて落下させないようにする。
【0103】
以上の通り、故障検出部8で第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの一方が故障していることが検出された場合であっても、開閉機構6を組み合わせることで、一方の正常動作側の経路開閉を独立して実行できるようにすることで、吸殻900の消化搬送処理を継続できるようになっている。
【0104】
なお、ここでは故障時に開閉機構6を動作させる場合を例示するが、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bのいずれも故障していない正常動作可能状態にある場合でも、両者の消化搬送処理のタイミングがずれることにより、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bのいずれもが吸殻900を受入できないタイミングが生じ得る。この場合、上記と同様に、シャッター部60で上流案内路片31Aの出口31ABを塞いで、案内機構3による吸殻900の案内を一時的に規制して吸殻一時溜め部600を構成させることが好ましい。それ以外にも、装置の定期点検中や、吸殻回収部4の回収袋44の交換作業中など、開閉機構6によって吸殻900の案内を規制することができる。
【0105】
以上のように開閉機構6を構成すると、上流案内路片31Aと協働して吸殻一時溜め部600を構成することができると共に、開閉機構6の開度を制御することで、中流案内路片31Bに向けて移動(落下)させる吸殻900の数を調整することができる。
【0106】
<制御部>
図1及び
図11を参照して、制御部7について説明する。制御部7は、第一スクリューコンベア2A、第二スクリューコンベア2B、案内機構3(経路選択機構32)、及び開閉機構6の動作を制御するものである。制御部7は、タイマー(図示省略)、投入物検出部5、及び故障検出部8の検出結果を利用して上記各部の動作の制御を行う。なお、各動作タイミングについては、以下の<吸殻消火装置の動作>で説明する。
【0107】
なお、制御部7は、CPU、RAM、ROM、及び記憶媒体等を有する計算機により構成される。CPUは、計算機内の全体の処理を司るものであり、作業領域としてRAMを使用する。ROMには、例えば、計算機を起動させるためのプログラムや、計算機の基本的な動作を実現するオペレーティングシステム(OS)や、その他の様々なプログラムが書き込まれる。記憶媒体は、様々なデータやプログラムが記憶されるものであり、例えば、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性メモリ、又は、ハードディスクドライブ(HDD)、又は、ソリッドステートドライブ(SSD)等により構成される。ROMや記憶媒体に記憶されたプログラムに従ってCPUから第一スクリューコンベア2Aと、第二スクリューコンベア2B、案内機構3(経路選択機構32)、及び開閉機構6(回動部62)のいずれかに命令が送られ、それらはその命令に応じた動作を行う。具体的に計算機は、例えば、専用のコンピュータにより構成されてもよいし、汎用のパソコン(デスクトップパソコン、ラップトップパソコン)により構成されてもよい。
【0108】
制御部7は、スクリューコンベア制御部70と、案内機構制御部71と、開閉機構制御部72と、を有する。
【0109】
スクリューコンベア制御部70は、第一スクリューコンベア2A、及び第二スクリューコンベア2Bの動作を制御する。本実施形態においてスクリューコンベア制御部70は、は、所定のタイミングで、スクリュー部20(スクリュー側軸部23)に対して往路側搬送指示(搬入処理指示)を行い、吸殻900が搬送路220に行き止まり箇所(閉塞端壁部223)に向かって搬送されるようにスクリュー部20(スクリュー側軸部23)を回動させる(以下、往路側搬送動作と呼ぶ。)。ちなみに、搬送路220の受入口221の近傍領域から行き止まり箇所(閉塞端壁部223)へ向かう路を往路と定義する。これにより、吸殻900が搬送路220の行き止まり箇所(閉塞端壁部223)に溜まる。
【0110】
次に、スクリューコンベア制御部70は、所定のタイミングで、スクリュー部20(スクリュー側軸部23)に対して復路側搬送指示(搬出処理指示)を行い、搬送路220に沿って吸殻900が上記とは逆方向に向かって搬送されるようにスクリュー部20(スクリュー側軸部23)を上記とは逆方向に回動させる(以下、復路側搬送動作と呼ぶ。)。ちなみに、搬送路220の行き止まり箇所(閉塞端壁部223)から開放側(吸殻落下孔228)へ向かう路を復路と定義する。これにより、吸殻900が搬送路220の開放側(吸殻落下孔228)に向かって搬送される。
【0111】
なお、往路側搬送指示、及び復側搬送指示を合わせて往復搬送指示と定義する。本実施形態においてスクリューコンベア制御部70により往路側搬送指示、及び復側搬送指示が行われる所定のタイミングは、例えば、投入物検出部5における検出結果に基づいて行われるが、その詳細は後述の<吸殻消火装置の動作>で説明する。なお、往路側搬送指示、及び復側搬送指示は、その他の情報に基づいて行われてもよい。
【0112】
案内機構制御部71は、案内機構3(経路選択機構32)の動作を制御する。つまり、案内機構制御部71は、所定のタイミングで、吸殻消火装置1の起動開始の当初に、案内機構3(経路選択機構32)に対して案内先選択指示を行い、案内機構3(経路選択機構32)による吸殻の案内先を設定する。本実施形態では、案内機構制御部71が案内先選択指示を行うと、経路選択機構32は、第一案内態様と第二案内態様の一方を選択する。より具体的には、経路選択機構32の駆動機構34は、案内機構制御部71から案内先選択指示を受けると、動力源36により案内板33の姿勢を第一姿勢、又は第二姿勢に設定する。
【0113】
案内機構制御部71は、一方の案内先選択指示をした以降は、所定のタイミングで、他方の案内先を選択する案内先選択指示を行い、案内機構3(経路選択機構32)による案内先を切り替える。
【0114】
案内機構制御部71により案内先選択指示が行われる所定のタイミングは、例えば、投入物検出部5における検出結果に基づいて行われるが、その詳細は後述の<吸殻消火装置の動作>で説明する。なお、案内先選択指示は、その他の情報に基づいて行われてもよい。
【0115】
開閉機構制御部72は、開閉機構6の動作を制御する。つまり、開閉機構制御部72は、所定のタイミングで、開閉機構6に対して開閉指示を行い、開閉機構6による案内機構3の開閉を制御する。開閉指示には、開指示、閉指示、及び停止指示が含まれる。本実施形態において開指示とは、案内機構3(案内路31)による吸殻900の案内を許容する状態となるようにシャッター部60を後退スライド移動させる旨の指示を指す。本実施形態において閉指示とは、案内機構3(案内路31)による吸殻900の案内を規制(禁止)する状態となるように、シャッター部60を前進スライド移動させる旨の指示を指す。本実施形態において停止指示とは、開閉機構6(シャッター部60)の開閉動作(後退スライド移動又は前進スライド移動)を停止する旨の指示を指す。
【0116】
また、開閉機構制御部72は、開閉機構6による開閉すべきタイミングを判定する判定処理も実行する。この判定処理は、例えば、投入物検出部5における検出結果、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの故障状態、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの現在の処理工程等に基づいて行われるが、その詳細は後述の<吸殻消火装置の動作>で説明する。
【0117】
<吸殻消火装置の動作1>
図12のフローチャートを参照して、吸殻消火装置1の動作の一例について説明する。まず、吸殻消火装置1の電源(図示省略)を入れると、開閉機構制御部72では、第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れることが可能か否かの判定処理(第一経路案内許可判定)を行う(S100A)。この判定は、制御部7において、第一経路案内許可フラグが立っているのか、拒否フラグが立っているのかに基づく。ステップS100Aにおいて、現時点で第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れ可能であると判定された場合(判定YES)、ステップS102に進んで、開閉機構制御部72が開閉機構6に対して開指示を行い、シャッター開閉部61によりシャッター部60を後退スライド移動させて、案内路31を開通状態にする(シャッター開処理)。
【0118】
一方、ステップS100Aにおいて、現時点で、第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れ可能でないと判定された場合(判定NO)、ステップS100Bに進んで、第二スクリューコンベア2Bが吸殻900を受け入れることが可能か否かの判定処理(第二経路案内許可判定)を行う。この判定は、制御部7において、第二経路案内許可フラグが立っているのか、拒否フラグが立っているのかに基づく。ステップS100Bにおいて、現時点で第二スクリューコンベア2Bが吸殻900を受け入れ可能であると判定された場合(判定YES)、ステップS200A(または直接にステップS202)に進んで、開閉機構制御部72が開閉機構6に対して開指示を行い、シャッター開閉部61によりシャッター部60を後退スライド移動させて、案内路31を開通状態にする(シャッター開処理)。一方、ステップS100Bにおいて、第二スクリューコンベア2Bも吸殻900を受け入れ可能でないと判定された場合(判定NO)、ステップS101に進んで開閉機構制御部72が開閉機構6に対して閉指示を行い、シャッター部60により案内路31の規制状態を継続させつつ(シャッター閉処理)、この判定ステップS100A及びステップS100Bを繰り返すことで、第一経路または第二経路の案内許可フラグが立つまで待機する。
【0119】
なお、第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れ可能でない場合とは、例えば、第一スクリューコンベア2Aにおける、前回の単位吸殻群に対する消火搬送処理中(特に復路側搬送処理中)である場合が挙げられる。同様に、第二スクリューコンベア2Bが吸殻900を受け入れ可能でない場合とは、例えば、第二スクリューコンベア2Bにおける、前回の単位吸殻群に対する消火搬送処理中(特に復路側搬送処理中)である場合が挙げられる。ちなみに、電源を入れた初回は、第一及び第二スクリューコンベア2A、2Bにおける消化搬送処理は実行されていないことから、(故障していない限り)受け入れ可能状態と判定される。
【0120】
ステップS100Aを経て、ステップS102でシャッター開状態となった後、ステップS104に進み、案内機構制御部71により、案内機構3による吸殻900の案内先を選択する。本実施形態では、電源を入れた初回の案内機構制御部71による案内先選択指示として第一スクリューコンベア2Aが選択される。案内先選択指示を受けて、動力源36は、案内板33を第一姿勢にする。これにより、投入口30から投入された吸殻900は、第一スクリューコンベア2Aに案内される。つまり、案内路31の第一経路は開放されつつ、第二経路は遮断される。
【0121】
開閉機構6により案内路31が開通状態にされると、投入口30を通じて、吸殻900を案内路31に投入可能な状態となる。そして、案内路31の途中に設けられた投入物検出部5により、案内路31を通過する吸殻900を検出可能な状態になる。案内路31の途中に設けられた投入物検出部5により、案内路31を最初の吸殻900が通過したことが検出されると(S106)、スクリューコンベア制御部70は、第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20(スクリュー側軸部23)に対して往路側搬送指示を行い、第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20(スクリュー側軸部23)に往路側搬送動作を行わせる(S108)。これと同時に、後述するステップS110の第一規定時間用のタイマーを起動させると共に、ステップS112に投入数カウンターを起動させる。なお、説明の便宜上、案内路31を通過する投入物は、吸殻900であるものとして以下、説明する。ただし、投入物には、吸殻900以外のものが含まれてもよい。
【0122】
そして、第一スクリューコンベア2Aに向かう単位吸殻群における最初の吸殻900が通過したことが検出された時間を起点として、制御部7のタイマー(図示省略)により予め決めた規定の第一規定時間(例えば、30秒)のカウントが開始される(S110)。第一規定時間内であっても(S110の判定NO)、予め決めた規定数(例えば、10個)の吸殻900が案内路31を通過したことが検出されるか(S112の判定YES)、又は、規定数の吸殻900が検出される前に(S112の判定NO)第一規定時間が経過すると(S110の判定YES)、第一スクリューコンベア2Aはこれ以上の吸殻900の受け入れが不可となり、制御フローを分岐させて、ステップS113において、第一経路への吸殻900の案内を拒否するフラグを立ててから、ステップS200Aに進む(第二経路への経路切り替え処理)。
【0123】
第二経路への経路切り替え処理によって遷移するステップS200Aでは、第二スクリューコンベア2Bが吸殻900を受け入れることが可能か否かの判定処理(第二経路案内許可判定)を行う。ステップS200Aにおいて、現時点で第二スクリューコンベア2Bが吸殻900を受け入れ可能であると判定された場合(判定YES)、ステップS202に進んで、開閉機構制御部72が開閉機構6に対して開指示を行い、既にシャッター開状態となっている開閉機構6に対してその状態を継続させる(シャッター開処理)。一方、ステップS200Aにおいて、現時点で、第二スクリューコンベア2Bが吸殻900を受け入れ可能でないと判定された場合(判定NO)、ステップS200Bに進んで、第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れることが可能か否かの判定処理(第一経路案内許可判定)を行う。ステップS200Bにおいて、現時点で第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れ可能であると判定された場合(判定YES)、ステップS100A(または直接にステップS102)に進んで、開閉機構制御部72が開閉機構6に対して開指示を行い、シャッター開処理を行う。一方、ステップS100Bにおいて、第一スクリューコンベア2Aも吸殻900を受け入れ可能でないと判定された場合(判定NO)、ステップS201に進んで開閉機構制御部72が開閉機構6に対して閉指示を行い、シャッター閉処理を行うと共に、この判定ステップS200A及びステップS200Bを繰り返すことで、第一経路または第二経路の案内許可フラグが立つまで待機する。
【0124】
また、ステップS200Aを経て、ステップS202に進んで、開閉機構制御部72が開閉機構6に対して開指示を行った後は、ステップ204に進んで、案内機構制御部71は、案内先選択指示(即ち、案内先切替え指示)を行い、案内機構3は、吸殻900の案内先を第二スクリューコンベア2Bに切り替える。ステップS204では、動力源36により案内板33を揺動させて、案内板33の姿勢を第一姿勢から第二姿勢に切り替える。これにより、案内路31の第二経路は開放されつつ、第一経路は遮断される。
【0125】
なお、本実施形態では、第一規定時間内に規定数の吸殻900の通過が検出されなくても、第一規定時間内に検出された吸殻900の集まりが、単位吸殻群と扱われる。従って、単位吸殻群における吸殻900の数は変わり得るものである。
【0126】
また、上記第二経路への経路切り替え処理と並行して、第一スクリューコンベア2A側ではステップS114に進む。ステップS114では、ステップS112において第一規定時間内において投入物検出部5により規定数の最後の吸殻900(単位吸殻群における最後の吸殻900)の通過が検出された時点、又は、ステップS110において第一規定時間が経過する時点を起点として制御部7がタイマー(図示省略)を起動させるようになっており、予め定められた第二規定時間(例えば、20秒)が経過したことが制御部7でカウント(判定)されるまでの間、往路側搬送動作を継続する。その後、ステップS116に進み、スクリューコンベア制御部70は、第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20に対して往路側搬送動作を停止させる停止指示を行って、第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20の往路側搬送動作を停止させる。第二規定時間は、単位吸殻群における最後の吸殻900が吸殻滞留領域Rに到着して第四消火動作が行われるのに要する時間である。なお、ステップS114における第二規定時間が経過して第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20の往路側搬送動作が停止されるまでに、吸殻900は、
図4(A),(B)に示すように、閉塞端壁部223に向かって搬送され、第一スクリューコンベア2Aによる第一消火動作~第四消火動作により吸殻900の火種910の大部分が消火される。
【0127】
そして、スクリューコンベア制御部70は、ステップS118において、第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20に対して復路側搬送指示を行い、第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20(スクリュー側軸部23)に復路側搬送動作を行わせる。復路側搬送動作が開始すると、制御部7がタイマー(図示省略)を起動させるようになっており、予め定められた第三規定時間(例えば、30秒)が経過したことが制御部7でカウントされると(S120)、復路側搬送動作を停止させる停止指示を行って、第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20の復路側搬送動作を停止させると同時に、第一経路への吸殻900の案内を許可するフラグを立てる(ステップS113の拒否フラグを解除する)(S122)。なお、第三規定時間は、単位吸殻群全体が、吸殻滞留領域Rから吸殻落下孔228まで移動して吸殻回収部4に落下するのに要する時間である。
【0128】
なお、万が一、往路側搬送動作において吸殻900に火種910が残っていたとしても、第一スクリューコンベア2Aのスクリュー部20の復路側搬送動作による第一、二消火動作により全てが消火されてから、吸殻900が吸殻落下孔228に到着する。
【0129】
なお、ステップS110における第一規定時間は、後述するステップS214の第五規定時間及びステップS220の第六規定時間の合計よりも長く設定される。つまり、原則的として、案内機構3によって第一スクリューコンベア2Aに吸殻900を案内している時間(第一規定時間)内に、第二スクリューコンベア2BにおけるステップS214の第五規定時間及びステップS220の第六規定時間が経過し、ステップS222において、第二スクリューコンベア2Bが次の吸殻900を受け入れ可能状態となる。一方、ステップS110における第一規定時間内において(判定NO)、大量の吸殻900が一気に投入されてしまい、第二スクリューコンベア2B側の上記第五規定時間及び第六規定時間の経過前に、ステップS112において吸殻900が規定数を超えて(判定YES)第二経路への経路切り替え処理が生じた場合、ステップS200Aで受け入れ判定がNOとなり、更にステップS200Bでも受け入れ判定がNOとなるので、ステップS201において、一時的に案内機構3の案内を規制して、上記第五規定時間及び第六規定時間の経過まで待機する。
【0130】
ステップS202で、吸殻900の案内先が第二スクリューコンベア2Bに切り替えられてからの第二スクリューコンベア2Bの制御は、第一スクリューコンベア2Aと同様であることから、ステップ番号の下二桁を一致させることで、詳細説明の一部を省略する。
【0131】
ステップS202からS208の内容は、第一スクリューコンベア2AのステップS102からS108の内容を第二スクリューコンベア2Bに置き換えれば良い。
【0132】
ステップS210では、第二スクリューコンベア2Bに向かう単位吸殻群における最初の吸殻900が通過したことが検出された時間を起点として制御部7が、予め決めた規定の第四規定時間(例えば、30秒、ここでは第一規定時間と同じに設定される)をカウントするためのタイマー(図示省略)を起動させると共に、ステップS212における投入数カウンターを起動させる。第四規定時間内であっても(S210の判定NO)、予め決めた規定数(例えば、10個)の吸殻900が案内路31を通過したことが検出されるか(S212の判定YES)、又は、規定数の吸殻900が検出される前に(S212の判定NO)、第四規定時間が経過すると(S210の判定YES)、第二スクリューコンベア2Bではこれ以上の吸殻900の受け入れが不可能となる。結果、制御フローを分岐させて、ステップS213において、第二経路への吸殻900の案内を拒否するフラグを立ててから、ステップS100Aに進む(第一経路への経路切り替え処理)。
【0133】
第一経路への経路切り替え処理によって遷移するステップS100Aでは、第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れることが可能か否かの判定処理(第一経路案内許可判定)を行う。ステップS100Aに進んだタイミングにおいて、ステップS122の第一経路の案内許可フラグが立っていれば、現時点で第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れ可能であると判定されることになり(判定YES)、ステップS102に進んで、開閉機構制御部72が開閉機構6に対して開指示を行い、既にシャッター開状態となっている開閉機構6に対してその状態を継続させる(シャッター開処理)。一方、ステップS100Aに進んだタイミングにおいて、S113で設定された第一経路への案内を拒否するフラグが未だに立っている場合は、現時点で第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れ可能でないと判定されることになり(判定NO)、ステップS100Bに進んで、第二スクリューコンベア2Bが吸殻900を受け入れることが可能か否かの判定処理(第二経路案内許可判定)を行う。ステップS100Bにおいて、現時点で第二スクリューコンベア2Bが吸殻900を受け入れ可能であると判定された場合(判定YES)、ステップS200A(または直接にステップS202)に進んで、開閉機構制御部72が開閉機構6に対して開指示を行い、シャッター開処理を行う。一方、ステップS100Bにおいて、第二スクリューコンベア2Bも吸殻900を受け入れ可能でないと判定された場合(判定NO)、ステップS101に進んで開閉機構制御部72が開閉機構6に対して閉指示を行い、シャッター閉処理を行うと共に、この判定ステップS100A及びステップS100Bを繰り返すことで、第一経路または第二経路の案内許可フラグが立つまで待機する。
【0134】
また、ステップS100Aを経て、ステップS102に進んで、開閉機構制御部72が開閉機構6に対して開指示を行った後は、ステップ104に進んで、案内機構制御部71は、案内先選択指示(即ち、案内先切替え指示)を行い、案内機構3は、吸殻900の案内先を第一スクリューコンベア2Aに切り替える。なお、本実施形態では、第四規定時間を、第一規定時間と同様に設定しているが、異なっていてもよい。
【0135】
また、上記第一経路への経路切り替え処理と並行して、第二スクリューコンベア2B側ではステップS214に進む。ステップS214では、ステップS212において規定数の最後の吸殻900(単位吸殻群における最後の吸殻900)の通過が検出された時点、又は、ステップS210において第四規定時間が経過する時点を起点として制御部7がタイマー(図示省略)を起動させるようになっており、予め定められた第五規定時間(例えば、20秒)が経過したことが制御部7でカウントされる。その後、ステップS216に進み、スクリューコンベア制御部70は、第二スクリューコンベア2Bのスクリュー部20に対して往路側搬送動作を停止させる停止指示を行って、第二スクリューコンベア2Bのスクリュー部20の往路側搬送動作を停止させる。本実施形態では、第五規定時間を、第二規定時間と同様に設定しているが、異なっていてもよい。
【0136】
そして、スクリューコンベア制御部70は、ステップS218において、第二スクリューコンベア2Bのスクリュー部20に対して復路側搬送指示を行い、第二スクリューコンベア2Bのスクリュー部20(スクリュー側軸部23)に復路側搬送動作を行わせる。復路側搬送動作が開始すると、制御部7がタイマー(図示省略)を起動させるようになっており、予め定められた第六規定時間(例えば、30秒)が経過したことが制御部7でカウントされると(S220)、復路側搬送動作を停止させる復路側搬送動作停止指示を行って、第二スクリューコンベア2Bのスクリュー部20の復路側搬送動作を停止させる(S222)。なお、本実施形態では、第六規定時間を第三規定時間と同様に設定しているが、異なっていてもよい。
【0137】
なお、ステップS210における第四規定時間は、ステップS114の第二規定時間及びステップS120の第三規定時間の合計よりも長く設定される。つまり、原則的として、案内機構3によって第二スクリューコンベア2Bに吸殻900を案内している時間(第四規定時間)内に、第一スクリューコンベア2AにおけるステップS114の第二規定時間及びステップS120の第三規定時間が経過し、第一スクリューコンベア2Aで次の吸殻900を受け入れ可能状態となる。一方、ステップS210における第四規定時間内において(判定NO)、大量の吸殻900が一気に投入されてしまい、第一スクリューコンベア2A側の上記第二規定時間及び第三規定時間の経過前に、ステップS212において吸殻900が規定数を超えた場合(判定YES)第一経路への経路切り替え処理が生じた場合、ステップS100Aにおける受け入れ判定がNOとなり、更にステップS100Bでも受け入れ判定がNOとなるので、ステップS101において、一時的に案内機構3の案内を規制して、上記第二規定時間及び第三規定時間の経過を待つ。
【0138】
ここで、単位吸殻群の投入から、第一スクリューコンベア2A又は第二スクリューコンベア2Bでの単位吸殻群の消火搬送処理を経て、吸殻回収部4での単位吸殻群の回収までの一連の処理を単位吸殻処理と定義した際、第一スクリューコンベア2Aにおける単位吸殻処理は、
図12のステップS104~S122までを少なくとも含み、第二スクリューコンベア2Bにおける単位吸殻処理は、
図12のステップS204~S222までを少なくとも含む。第一スクリューコンベア2Aにおける単位吸殻処理、及び第二スクリューコンベア2Bにおける単位吸殻処理が、互いのタイミングを半位相ずらしながら同時並行的に進む。これにより、従来1つだった吸殻の消火搬送経路が複数になり、吸殻900の消火搬送効率を高めることができる。また、後述する故障処理の通り、第一スクリューコンベア2A又は第二スクリューコンベア2Bの一方が故障しても、他方によって単位吸殻処理を繰り返すことができる。
【0139】
<吸殻消火装置の動作2>
次に、
図13のフローチャートを参照して、吸殻消火装置1を構成する第一スクリューコンベア2A、第二スクリューコンベア2B、案内機構3、及び開閉機構6の定常的な動作の一例について時系列順に説明する。なお、各ステップにおける符号は、
図12のフローチャートと同様のものを用いる。
【0140】
まず、開閉機構6でシャッター開処理を実行し(S102)、次に、案内機構3で吸殻900の案内先が第一経路に設定される(S104)。
【0141】
次に、第一スクリューコンベア2Aは、往路側搬送動作を行う(S108)。第一スクリューコンベア2Aが往路側搬送動作を行っている最中に、案内機構3では、吸殻900の案内先を第一スクリューコンベア2Aから第二スクリューコンベア2Bに切り替える(S204)。
【0142】
案内先が第二スクリューコンベア2Bに切り替えられると、第二スクリューコンベア2Bは、往路側搬送動作を行う(S208)。この時、第一スクリューコンベア2Aは、ステップS108の往路側搬送動作を継続中である。つまり、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bでは、一時的に、往路側搬送動作が並行して行われる。その後、第一スクリューコンベア2Aは、復路側搬送動作を行う(S118)。
【0143】
一方、第二スクリューコンベア2Bが往路側搬送動作(S208)を行っている最中に、案内機構3では、吸殻900の案内先を第二スクリューコンベア2Bから第一スクリューコンベア2Aに切り替える(S104)。なお、ステップS104において案内先が第一スクリューコンベア2Aに切り替えられる際、第一スクリューコンベア2Aでは、復路側搬送動作が終了して既に停止中となっている(S122)。その後、再度、第一スクリューコンベア2Aは、往路側搬送動作を行う(S108)。一方で、第二スクリューコンベア2Bは、復路側搬送動作を行う(S218)。
【0144】
第一スクリューコンベア2Aが往路側搬送動作を行っている最中に、案内機構3では、吸殻900の案内先を第一スクリューコンベア2Aから第二スクリューコンベア2Bに切り替える(S204)。なお、ステップS204において、案内先が第二スクリューコンベア2Bに切り替えられる際、第二スクリューコンベア2Bは、復路側搬送動作が終了して既に停止中となっている(S222)。以後、この動作が繰り返される。
【0145】
なお、
図12及び
図13のフローチャートでは、案内機構3は、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bのいずれかにのみ吸殻900を案内するように構成されているが、これに限定されるものではない。案内機構3は、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの双方に同時に吸殻900を案内するように構成されてもよい。この場合、例えば、
図14に示すように、案内板33の姿勢を第一経路及び第二経路の双方を開通させるような姿勢にすればよい。このような案内板33の姿勢として、案内板33が上下方向Bに平行となるような垂直姿勢や、中流案内面311Aに接触しないような傾斜姿勢が一例として挙げられる。
【0146】
<吸殻消火装置の動作3>
次に、
図15A及び15Bのフローチャートを参照して、吸殻消火装置1の故障検出部8で第一スクリューコンベア2A又は第二スクリューコンベア2Bの故障が検出された場合の流れについて説明する。ちなみに、この
図15A及び15Bのフローチャートは、
図12のフローチャートと実質的に同じである。
【0147】
故障検出部8で第二スクリューコンベア2Bの故障が検出されると、
図15Aのフローチャートに示すように、制御部7において、第二経路への案内拒否フラグが常にONとなる。つまり、制御フローにおいて、点線で示される領域(ステップS202からステップS222)に進むことができない。結果、ステップS100AからステップS122、及び、ステップS200AからステップS201の範囲内で制御される。即ち、第一スクリューコンベア2Aが、ステップS114からステップS122までの処理(復路搬送動作)を行っている間は、第一経路側も案内拒否フラグがONとなるので、ステップS100A、ステップS100B、ステップS200A、ステップS200Bで受入判定がNOとなり、ステップS101またはステップS201においてシャッター部60を閉じることで、第一スクリューコンベア2Aへの吸殻900の案内を一時停止し、吸殻一時溜め部600に吸殻900を溜めておく。一方、ステップS122に到達したら(復路搬送動作が終了したら)、第一経路のみが案内許可となるので、ステップS100AまたはステップS200Bで受け入れ判定がYESとなり、ステップS102でシャッター部60を開いて、第一スクリューコンベア2Aへの新たな吸殻900の案内を開始する。
【0148】
同様に、故障検出部8で第一スクリューコンベア2Aの故障が検出されると、
図15Bのフローチャートに示すように、制御部7において、第一経路への案内拒否フラグが常にONとなる。つまり、制御フローにおいて、点線で示される領域(ステップS102からステップS122)に進むことができない。結果、ステップS200AからステップS222、及び、ステップS100AからステップS101の範囲内で制御される。即ち、第二スクリューコンベア2Bが、ステップS214からステップS222までの処理(復路搬送動作)を行っている間は、第二経路側も案内拒否フラグがONとなるので、ステップS100A、ステップS100B、ステップS200A、ステップS200Bで受入判定がNOとなり、ステップS201においてシャッター部60を閉じることで、第二スクリューコンベア2Bへの吸殻900の案内を一時停止し、吸殻一時溜め部600に吸殻900を溜めておく。一方、ステップS222に到達したら(復路搬送動作が終了したら)、第二経路のみが案内許可となるので、ステップS200AまたはステップS100Bで受け入れ判定がYESとなり、ステップS202でシャッター部60を開いて、第二スクリューコンベア2Bへの新たな吸殻900の案内を開始すればよい。
【0149】
以上の通り、故障検出部8で第一スクリューコンベア2Aの故障が検出された際、シャッター開閉部61によるシャッター部60の開閉を交互に繰り返すことによって、第二スクリューコンベア2Bに対する吸殻の案内許可と案内規制を交互に切り替えながら、第二スクリューコンベア2B単独で、吸殻900の消化搬送処理を繰り返すことができる。同様に、故障検出部8で第二スクリューコンベア2Bの故障が検出された際、シャッター開閉部61によるシャッター部60の開閉を交互に繰り返すことによって、第一スクリューコンベア2Aに対する吸殻の案内許可と案内規制を交互に切り替えながら、第一スクリューコンベア2A単独で、吸殻900の消化搬送処理を繰り返すことができる。
【0150】
<第二実施形態>
図16(A)を参照して、本発明の第二実施形態における吸殻消火装置1について説明する。本実施形態における吸殻消火装置1は、第一実施形態における吸殻消火装置1と案内機構3が異なる。本実施形態における案内機構3は、第一案内路38と、第二案内路39と、を有する。
【0151】
第一案内路38は、投入口30の第一領域30Aから第一スクリューコンベア2Aの第一受入口221Aまで延びる。第二案内路39は、投入口30の第二領域30Bから第二スクリューコンベア2Bの第二受入口221Bまで延びる。第一実施形態における案内路31は、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bに対して途中区間まで共通で、それ以降の区間で2つに分岐していたが、本実施形態では、全区間において第一案内路38と第二案内路39に分かれている。
【0152】
本実施形態において案内機構3は、開閉機構により構成される。開閉機構は、第一案内路38に対応する開閉機構片6Aと、第二案内路39に対応する開閉機構片6Bと、を有する。開閉機構片6A及び開閉機構片6Bは、それぞれ第一実施形態における開閉機構6の<開閉機構>で説明したものと同様の構成をしている。制御部7からの開指示、及び閉指示を受けて、開閉機構片6Aは第一案内路38を開閉し、開閉機構片6Bは第二案内路39を開閉する。
【0153】
本実施形態において開閉機構片6A及び開閉機構片6Bは、基本的には、第一案内路38及び第二案内路39の一方を外部に開放し、他方は遮断するように交互に動作することが好ましい。つまり、この交互動作によって、第一実施形態の経路選択機構32を兼ねることができる。つまり、この場合は、開閉機構片6A及び開閉機構片6Bを、第一実施形態の経路選択機構32と開閉機構6を兼ねるものと定義することで、
図12の制御フローに沿って制御すればよい。
【0154】
一方で、本実施形態において、開閉機構片6A及び開閉機構片6Bは、第一案内路38及び第二案内路39の双方を同時に外部に開放しし、同時に遮断してもよく、また、各々独立して制御してもよい。この場合、第一案内路38、開閉機構片6A、第一スクリューコンベア2Aについては、
図17(A)の第一コンベア単独制御フローに沿って制御すればよく、第二案内路39、開閉機構片6B、第二スクリューコンベア2Bについては、
図17(B)の第二コンベア単独制御フローに沿って制御すればよい。
【0155】
図17(A)の第一コンベア単独制御フローでは、第一規定時間内であっても(S110の判定NO)、予め決めた規定数の吸殻900が案内路31を通過したことが検出されるか(S112の判定YES)、又は、規定数の吸殻900が検出される前に(S112の判定NO)第一規定時間が経過すると(S110の判定YES)、第一スクリューコンベア2Aはこれ以上の吸殻900の受け入れが不可となり、制御フローを分岐させて、ステップS113において、第一経路への吸殻900の案内を拒否するフラグを立ててから、ステップS100Aに戻り、ステップS101に進んでシャッター(開閉機構片6A)を閉めてから(第一経路における経路一時遮断処理)、第一経路の案内許可フラグが立つ(ステップS122)まで待機する。
【0156】
図17(B)の第二コンベア単独制御フローでは、第四規定時間内であっても(S210の判定NO)、予め決めた規定数の吸殻900が案内路31を通過したことが検出されるか(S212の判定YES)、又は、規定数の吸殻900が検出される前に(S212の判定NO)第四規定時間が経過すると(S210の判定YES)、第二スクリューコンベア2Bはこれ以上の吸殻900の受け入れが不可となり、制御フローを分岐させて、ステップS213において、第二経路への吸殻900の案内を拒否するフラグを立ててから、ステップS200Aに戻り、ステップS201に進んでシャッター(開閉機構片6B)を閉めてから(第二経路における経路一時遮断処理)、第二経路の案内許可フラグが立つ(ステップS222)まで待機する。
【0157】
更に、第二実施形態における吸殻消火装置1の変形例として、
図16(B)に示すように、第一スクリューコンベア2Aおよび開閉機構片6Aのみを備える吸殻消火装置1を構成してもよい。この吸殻消火装置1は、きわめてコンパクトに構成することが可能となる。吸殻消火装置1の制御は、
図17(A)の第一コンベア単独制御フローに沿って行えばよい。
【0158】
図16(B)に示す吸殻消火装置1の場合、吸殻の消火処理は、第一スクリューコンベア2Aのみで行うので、第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受け入れできないタイミングが生じた場合、開閉機構6を閉じることで吸殻一時溜め部600を作って、吸殻900の受け入れを継続することが可能となる。つまり、本変形例の場合でも、第一実施形態の場合と同様に、シャッター部60で上流案内路片31Aの出口31ABを塞いで、案内機構3による吸殻900の案内を一時的に規制して吸殻一時溜め部600を構成させる。第一スクリューコンベア2Aが吸殻900を受入できないタイミングとは、ステップS113の案内拒否フラグを立ててから、ステップS122の案内許可フラグが立つまでの官となる。
【0159】
<第三実施形態>
図18~
図20を参照して、本発明の第三実施形態における吸殻消火装置1について説明する。
図18(A)に示すように、本実施形態における吸殻消火装置1は、第一実施形態における吸殻消火装置1とほぼ同様の構成であるが、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bが、各々、変位機構80と変位量検出部85を更に備える。
【0160】
変位機構80は、搬送路220の往路側の行き止まり箇所となる閉塞端壁部223(端面223A)に作用する搬送方向(軸方向A)の荷重に応じて閉塞端壁部223(端面223A)を搬送路220に対して搬送方向(軸方向A)に相対変位させる。本実施形態における変位機構80は、
図18(A),(B)に示すように、固定壁部81と、閉塞端壁部223と固定壁部81の双方に繋がる弾性変形部82と、を有する。
【0161】
固定壁部81は、搬送路220に対して相対的に固定されている。一方で、閉塞端壁部223は、搬送路220に対して搬送方向(軸方向A)に相対移動自由な非固定の状態である。また、固定壁部81、閉塞端壁部223は、それぞれスクリュー側軸部23を通すための孔81A,223Bを有する。
【0162】
弾性変形部82は、
図18(B)に示すように、一端が固定壁部81に固定され、他端が閉塞端壁部223に固定されている。そして、弾性変形部82は、弾性変形により、搬送方向(軸方向A)に伸縮するように構成される。弾性変形部82は、例えば、コイルバネにより構成される。
【0163】
変位量検出部85は、閉塞端壁部223(端面223A)に荷重が作用していない状態における端面223Aの搬送路220に対する相対位置を基準位置Kと定義した場合(
図19(B)及び
図20参照)、変位機構80により端面223Aが基準位置Kから搬送路220に対して所定量相対変位したことを検出する。
【0164】
<変位機構の動作>
次に、
図19及び
図20を参照して、変位機構80の動作を説明する。なお、
図20では、第一スクリューコンベア2Aは図示が省略されている。
図19(A)に示すように、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bは、閉塞端壁部223に向かって吸殻900を押し出す。その過程で、第一スクリューコンベア2A及び第二スクリューコンベア2Bの第二消火動作により吸殻900は、消火済吸殻920と灰930になる。そして、時間の経過と共に、
図20(A)に示すように、吸殻900及び消火済吸殻920が吸殻滞留領域Rに滞留する。結果、閉塞端壁部223は、吸殻900及び消火済吸殻920により継続して押圧される。
【0165】
図20(B)に示すように、閉塞端壁部223(端面223A)への押圧力が所定の大きさを超えると、弾性変形部82は縮み、閉塞端壁部223(端面223A)は、搬送方向(軸方向A)に沿って固定壁部81に接近するように搬送路220に対して相対変位する。なお、吸殻滞留領域Rも搬送方向(軸方向A)に沿って搬送路220に対して相対変位する。ここで、搬送路220に対する閉塞端壁部223(端面223A)の相対変位量がLに達すると、変位量検出部85でそのことが検出され、制御部7に通知される。この通知は、第一実施形態における「経路切り替え処理」の開始指示となり、第二実施形態における「経路一時遮断処理」の開始指示となる。従って、制御部7は、その後、第一及び第二スクリューコンベア2A,2Bの回動を一時停止させ、所定のタイミングで第一及び第二スクリューコンベア2A,2Bを逆回転させて、吸殻900及び消火済吸殻920を搬送路220の他端220B側の吸殻落下孔228に向かって押し出して移動させる。この際、吸殻900及び消火済吸殻920に起因して閉塞端壁部223に掛かる荷重が段々小さくなるので、
図20(C)に示すように、弾性変形部82は弾性変形による復帰力が上記荷重よりも大きくなって伸びる。同時に、閉塞端壁部223(端面223A)は、搬送方向(軸方向A)に沿って固定壁部81から離反するように搬送路220に対して相対変位する。そして、
図19(D)に示すように、弾性変形部82が初期状態に復帰すると、閉塞端壁部223(端面223A)も基準位置Kに復帰する。なお、弾性変形部82における初期状態とは、弾性変形部82に伸縮方向に荷重が掛かっていない状態である。
【0166】
第一及び第二スクリューコンベア2A,2Bを停止させるタイミングは、変位量検出部85からの通知を受けた直後又は変位量検出部85からの通知を受けた時点から起算して吸殻余裕滞留時間が経過した時に設定されてもよい。吸殻余裕滞留時間を確保する場合は、その分だけ、変位量検出部85の検知タイミングを早めに設定しておく(相対変位量Lを小さく設定しておく)。
【0167】
なお、この相対変位量Lは、極めて小さく設定しておくことも可能であり、例えば、閉塞端壁部223(端面223A)が相対変位を開始したと同時に変位量検出部85が検知信号を生成するようにし、第一実施形態における「経路切り替え処理」を開始し、第二実施形態における「経路一時遮断処理」を開始することもできる。
【0168】
また、緊急停止用として、相対変位量Lよりも大きい第二相対変位量を、変位量検出部85が別途検知することも好ましい。変位量検出部85が第二相対変位量を検知した場合は、検知と同時に、第一及び第二スクリューコンベア2A,2Bを緊急停止させる。
【0169】
また、変位機構80は、閉塞端壁部223を搬送路220に対して搬送方向(軸方向A)に相対変位させることができれば、上記構成に限定されるものではない。変位機構80は、例えば、油圧ダンパーのように、オイルが収容されるシリンダ内のピストン付きロッドが、受ける荷重に応じて搬送方向(軸方向A)に相対変位するような機構であってもよい。
【0170】
第三実施形態の吸殻消火装置1の制御フローを
図21に示す。ここでは、第一実施形態における吸殻900の本数をカウントするステップS112、S212に代えて、端面223Aの相対移動量を検知するステップS112B、S212Bを挿入している。ステップS112Bでは、第一スクリューコンベア2Aにおいて、変位量検出部85が、端面223Aの相対変位量Lを検知したか否かを判定する。ステップS212Bでは、第二スクリューコンベア2Bにおいて、変位量検出部85、端面223Aの相対変位量Lを検知したか否かを判定する。なお、この制御フローにおいて、吸殻900の本数をカウントするステップS112、S212も同時に判定するようにしもよい。
【0171】
本第三実施形態のように、吸殻消火装置1に変位機構80を設ければ、閉塞端壁部223が変位することで、閉塞端壁部223や第一及び第二スクリューコンベア2A,2Bに過度な荷重が掛かることを抑止できる。更に、変位量検出部85を設けることで、閉塞端壁部223の変位によって荷重が徐々に増大する途中に、制御部7により第一及び第二スクリューコンベア2A,2Bの回転を停止することが可能となるので、閉塞端壁部223や第一及び第二スクリューコンベア2A,2Bに過度な荷重が掛かることを制限することができる。なお、以上の変位機構の動作説明において吸殻900及び消火済吸殻920の双方が含まれているようにして説明したが、必ずしも吸殻900及び消火済吸殻920の双方が含まれていなくてもよく、途中から全て消火済吸殻920になった場合も含まれる。
【0172】
また、第二実施形態における吸殻消火装置1の変形例に対して、変位機構80と、変位量検出部85を更に加えたものも本発明の範囲に含まれる。
【0173】
尚、本発明の吸殻消火装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、各実施形態における各構成要素を様々に組み合わせた吸殻消火装置も本発明の範囲に当然含まれる。
【符号の説明】
【0174】
1 吸殻消火装置
2A 第一スクリューコンベア
2B 第二スクリューコンベア
3 案内機構
4 吸殻回収部
5 投入物検出部
6 開閉機構
7 制御部
8 故障検出部
9 筐体
20 スクリュー部
21 スクリュー側回動部
22 搬送路形成部
22A 搬送路形成部の内周面
23 スクリュー側軸部
24 ブレード部
30 投入口
31 案内路
31A 上流案内路片
31AB 上流案内路片の出口
31B 中流案内路片
31C 第一下流分岐路片
31D 第二下流分岐路片
32 経路選択機構
33 案内板
34 駆動機構
35 経路切替軸部
60 シャッター部
61 シャッター開閉部
220 搬送路
223 閉塞端壁部
228 吸殻落下孔
240 押出面
241 ブレード部の外縁
900 吸殻
910 火種