(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056570
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】全固体熱スイッチを用いた磁気冷凍システムおよび熱スイッチ用材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
F25B 21/00 20060101AFI20230413BHJP
H10N 10/00 20230101ALI20230413BHJP
H10N 10/01 20230101ALN20230413BHJP
【FI】
F25B21/00 A
H01L35/00 S
H01L35/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165847
(22)【出願日】2021-10-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業「磁気冷凍材料および水素液化システムに関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】寺田 典樹
(72)【発明者】
【氏名】間宮 広明
(72)【発明者】
【氏名】辻井 直人
(72)【発明者】
【氏名】稲田 佳子
(57)【要約】
【課題】水素液化温度(20.3K)近傍や、十K乃至数十K程度の広い温度範囲を冷却する場合に用いて好適な、磁気冷凍システムを提供すること。
【解決手段】低温側熱浴37と、低温側熱浴よりも高い温度の高温側熱浴38と、低温側熱浴37から高温側熱浴38側に熱を汲み上げる磁性体30と、低温側熱浴37と磁性体30との熱的接続をオンオフする第1の熱スイッチ34と、高温側熱浴38と磁性体30との熱的接続をオンオフする第2の熱スイッチ30と、磁性体30並びに第1及び第2の熱スイッチ(34、30)に磁場を同時に印加し励磁を行う磁場印加部42とを備え、磁性体30が励磁によって発熱した場合に、第1の熱スイッチ34がオフ、第2の熱スイッチ30がオンし、磁性体30が消磁によって吸熱した場合には、第1の熱スイッチ34がオン、第2の熱スイッチ30がオフするように制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温側熱浴と、
前記低温側熱浴よりも高い温度の高温側熱浴と、
前記低温側熱浴側から前記高温側熱浴側に熱を汲み上げる磁性体と、
前記低温側熱浴と前記磁性体との熱的接続をオンオフする第1の熱スイッチと、
前記高温側熱浴と前記磁性体との熱的接続をオンオフする第2の熱スイッチと、
前記磁性体、並びに前記第1及び第2の熱スイッチに磁場を同時に印加し励磁を行う磁場印加部と、
を備え、第1及び第2の熱スイッチのオンオフを協調制御して、前記低温側熱浴から前記高温側熱浴に熱を連続的にポンプアップすることによって、前記低温側熱浴である被冷却部を連続的に冷却するように構成された磁気冷凍システム。
【請求項2】
さらに、前記磁性体が励磁によって発熱した場合に、前記低温側熱浴と接続した前記第1の熱スイッチがオフ、前記高温側熱浴と接続した前記第2の熱スイッチがオンし、前記磁性体が消磁によって吸熱した場合には、前記低温側熱浴と接続した前記第1の熱スイッチがオン、前記高温側熱浴と接続した前記第2の熱スイッチがオフするように制御する熱スイッチ制御部を備える請求項1に記載の磁気冷凍システム。
【請求項3】
前記第1または第2の熱スイッチの少なくとも一方は、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)の何れか1つ、並びに不可避的不純物からなる金属多結晶物質を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気冷凍システム。
【請求項4】
前記不可避的不純物は、重量比で1000ppm以下である請求項3記載の磁気冷凍システム。
【請求項5】
前記金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)は、15Kにおけるゼロ磁場の熱伝導率{κ(H=0)}と、15Kにおける8.5Tの磁場の熱伝導率{κ(H=8.5T)}との熱伝導率比{κ(H=0)/κ(H=8.5T)}が4以上である請求項3または4に記載の磁気冷凍システム。
【請求項6】
前記金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、または亜鉛(Zn)は、15Kにおけるゼロ磁場の熱伝導率{κ(H=0)}と、15Kにおける8.5Tの磁場の熱伝導率{κ(H=8.5T)}との熱伝導率比{κ(H=0)/κ(H=8.5T)}が6以上である請求項3または4に記載の磁気冷凍システム。
【請求項7】
前記第1または第2の熱スイッチの少なくとも一方は、タングステン(W)並びに不可避的不純物からなる金属多結晶物質であって、300Kの残留抵抗値{R(300K)}と4Kの残留抵抗値{R(4K)}での残留抵抗値との比{R(300K)/R(4K)}が100以上である請求項3ないし6に記載の磁気冷凍システム。
【請求項8】
前記低温側熱浴の設定温度は、水素液化温度(20.3K)±2Kの範囲にある請求項1ないし7に記載の磁気冷凍システム。
【請求項9】
請求項3ないし8に記載の磁気冷凍システムに使用される第1または第2の熱スイッチの少なくとも一方に使用される熱スイッチ用材料の製造方法であって、
前記金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)は、真空中または還元雰囲気において熱処理されたものである熱スイッチ用材料の製造方法。
【請求項10】
前記金属多結晶のタングステン(W)は、800℃以上、2300℃以下で熱処理されたものである請求項9に記載の熱スイッチ用材料の製造方法。
【請求項11】
前記金属多結晶のタングステン(W)は、900℃以上、1600℃以下で熱処理されたものである請求項10に記載の熱スイッチ用材料の製造方法。
【請求項12】
前記金属多結晶の銅(Cu)は、250℃以上、800℃以下で熱処理されたものである請求項9に記載の熱スイッチ用材料の製造方法。
【請求項13】
前記金属多結晶の銅(Cu)は、300℃以上、600℃以下で熱処理されたものである請求項12に記載の熱スイッチ用材料の製造方法。
【請求項14】
前記熱処理の時間は、10秒以上48時間以下である請求項9ないし13に記載の熱スイッチ用材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体熱スイッチを用いた磁気冷凍システムおよび熱スイッチ用材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性体等の物質に磁場を付加または除去することによって、物質が発熱または吸熱する現象を利用した磁気冷凍システムは、従来の気体の圧縮・膨張による発熱または吸熱現象を利用した熱サイクルシステムに代わるものとして注目されている。磁場を付加したまたは除去した場合に発熱、吸熱した磁性体の熱量変化を用いた冷却対象物の冷却の方法はこれまで、気体、または液体の冷媒を一方向に流動させることによって、行われてきた。具体的には、磁性体が発熱した場合には、冷媒をある方向に流動させ、磁性体が吸熱した場合にはその反対方向へ冷媒を流動させることにより、熱量を一方向に輸送するものであった。
【0003】
他方で、再生可能エネルギーを貯蔵する候補の1つとして考えられている液体水素の冷却法として、磁気冷凍の期待が高まり、極低温度を対象として磁気冷凍技術の研究開発が活発化してきている。また、水素液化温度よりも低温領域でも、近年の量子デバイスの実用化に伴い、極低温度における効率的な冷却法の需要が高まっている。磁気冷凍技術は、磁気熱量効果を基本原理としている。磁気熱量効果とは、断熱状態で磁性物質に対して外部印加磁場を変化させると、その磁性物質の温度が変化する現象である。
【0004】
磁気冷凍のシステムとしては、AMR(Active Magnetic Regenerative Refrigeration)方式が提案されている(特許文献1参照)。このAMR方式は、磁性材料に磁気熱量効果によって生じる熱を液体、または気体の冷媒を流動させ、磁性材料と熱交換することによって熱を一方向に輸送する方法である。AMRはこれまで室温から、水素液化温度付近までの温度範囲において実証されている。
さらに、接触型熱スイッチに関しては、無冷媒超伝導マグネット冷却の目的として利用されている(特許文献2参照)。特許文献3では、熱スイッチとして単結晶のベリリウムを用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US20020040583A1
【特許文献2】特開2016-211803号公報
【特許文献3】特開平8-278066号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Cryocoolers 13, p567-573 (2004)
【非特許文献2】C. V. Heer and J. G. Daunt, Phys. Rev. 76, 854 (1949)
【非特許文献3】Soviet Physics JETP 21 258 (1965)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
極低温度における熱流制御は、水素液化技術や量子デバイス実装において重要な役割を担っている。現状では、極低温度領域における熱流制御は、ガスギャップ熱スイッチ、超伝導熱スイッチ、接触型熱スイッチがおもに利用されている。ガスギャップ熱スイッチは、熱流の制御をガスの出入りによって行うため装置が高速のon/offが困難である。超伝導熱スイッチは動作温度が1K以下の極低温度に限られる。また、接触型熱スイッチは極低温での機械的反復動作が必要となるほか装置が大型化するなどの難点がある。
【0008】
また、非特許文献1~3や特許文献3において、大きな熱伝導率の磁場変化を得るために高純度単結晶の熱スイッチが提案されて来た。一方で、熱スイッチは、磁気冷凍システムやその他の冷却装置に組み込む際に、熱スイッチにおいて熱流を制御するために様々な形状へ加工することが求められる。しかし、単結晶材料は、加工性が乏しく、熱スイッチ用の材料として用いるには実用上の問題があった。
純金属多結晶に関しても報告はあったが、熱スイッチの性能を示す熱伝導率比Δκが4程度と小さく実用的ではないという課題があった。また、1K以下の温度領域においては純金属多結晶が超伝導熱スイッチとして、利用されているが、水素液化温度(20.3K)近傍や、広い温度範囲を冷却することが必要な、量子デバイス冷却(数十mK~数十K)をターゲットした場合に、超伝導熱スイッチは利用できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述する課題を解決したものもので、水素液化温度(20.3K)近傍や、十K乃至数十K程度の広い温度範囲を冷却する場合に用いて好適な、冷媒としてガスを用いることなく、動作温度範囲も広く、コンパクトで、磁場によって極低温度での熱流を制御できる、磁場駆動による全固体熱スイッチ用いた磁気冷凍システムを提供することを目的とする。
【0010】
〔1〕本発明の磁気冷凍システムは、例えば
図1に示すように、低温側熱浴37と、低温側熱浴37よりも高い温度の高温側熱浴38と、低温側熱浴37から高温側熱浴38側に熱を汲み上げる磁性体30と、低温側熱浴37と磁性体30との熱的接続をオンオフする第1の熱スイッチ34と、高温側熱浴38と磁性体30との熱的接続をオンオフする第2の熱スイッチ30と、磁性体30並びに第1及び第2の熱スイッチ(34、30)に磁場を同時に印加し励磁を行う磁場印加部42と、を備える。
このように構成された本発明の磁気冷凍システムによれば、第1及び第2の熱スイッチ(34、30)のオンオフを協調制御することで、低温側熱浴37から高温側熱浴38に熱を連続的にポンプアップすることができ、低温側熱浴37である被冷却部を連続的に冷却できる。
〔2〕本発明の磁気冷凍システム〔1〕または〔2〕において、好ましくは、さらに、磁性体30が励磁によって発熱した場合に、低温側熱浴37と接続した第1の熱スイッチ34がオフ、高温側熱浴38と接続した第2の熱スイッチ30がオンし、磁性体30が消磁によって吸熱した場合には、低温側熱浴37と接続した第1の熱スイッチ34がオン、高温側熱浴38と接続した第2の熱スイッチ30がオフするように制御する熱スイッチ制御部44を備えるとよい。
【0011】
〔3〕本発明の磁気冷凍システム〔1〕または〔2〕において、好ましくは、第1の熱スイッチ34または第2の熱スイッチ30の少なくとも一方は、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)の何れか1つ、並びに不可避的不純物からなる金属多結晶物質を用いるとよい。
〔4〕本発明の磁気冷凍システム〔3〕において、好ましくは、前記不可避的不純物は、重量比で1000ppm以下であるとよい。不可避的不純物の含有量が1000ppm以下であれば、金属多結晶の純度が99.9%以上の金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)を用いることになり、磁場印加時に熱伝導率が大きく変化するので、第1の熱スイッチ34または第2の熱スイッチ30の少なくとも一方に用いて好適である。
さらに好ましくは、不可避的不純物の含有量が100ppm以下であって、金属多結晶の純度が99.99%以上の金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)を用いるとよく、もっと好ましくは不可避的不純物の含有量が10ppm以下であって、金属多結晶の純度が99.999%以上の金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)を用いるとよく、最適には不可避的不純物の含有量が1ppm以下であって、金属多結晶の純度が99.9999%以上の金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)を用いるとよい。
〔5〕本発明の磁気冷凍システム〔3〕または〔4〕において、好ましくは、前記金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)は、15Kにおけるゼロ磁場の熱伝導率{κ(H=0)}と、15Kにおける8.5Tの磁場の熱伝導率{κ(H=8.5T)}との熱伝導率比{κ(H=0)/κ(H=8.5T)}が4以上であるとよい。
〔6〕本発明の磁気冷凍システム〔3〕または〔4〕において、好ましくは、前記金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、または亜鉛(Zn)は、15Kにおけるゼロ磁場の熱伝導率{κ(H=0)}と、15Kにおける8.5Tの磁場の熱伝導率{κ(H=8.5T)}との熱伝導率比{κ(H=0)/κ(H=8.5T)}が6以上であるとよい。
〔7〕本発明の磁気冷凍システム〔3〕ないし〔6〕において、好ましくは、前記第1または第2の熱スイッチ(34、30)の少なくとも一方は、タングステン(W)並びに不可避的不純物からなる金属多結晶物質であって、300Kの残留抵抗値{R(300K)}と4Kの残留抵抗値{R(4K)}での残留抵抗値との比{R(300K)/R(4K)}が100以上であるとよい。
〔8〕本発明の磁気冷凍システム〔1〕~〔7〕において、好ましくは、さらに、低温側熱浴の設定温度は、水素液化温度(20.3K)±2Kの範囲にあるとよい。
【0012】
〔9〕本発明の熱スイッチ用材料の製造方法は、磁気冷凍システム〔3〕~〔7〕に使用される第1または第2の熱スイッチ(34、30)の少なくとも一方に使用される熱スイッチ用材料の製造方法であって、前記金属多結晶のタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、または亜鉛(Zn)は、真空中または還元雰囲気において熱処理されたものである。
〔10〕本発明の熱スイッチ用材料の製造方法〔9〕において、好ましくは、第1の熱スイッチ34は、タングステン(W)並びに不可避的不純物からなる金属多結晶物質であって、800℃以上、2300℃以下で熱処理されたものであるとよい。
純タングステンは1300~1500Kで一次再結晶し、引き続き1500K~1800Kで二次再結晶するためである。
〔11〕本発明の熱スイッチ用材料の製造方法〔10〕において、好ましくは、金属多結晶のタングステン(W)は、900℃以上、1600℃以下で熱処理されたものであるとよい。
〔12〕本発明の熱スイッチ用材料の製造方法〔9〕において、好ましくは、第1の熱スイッチは、銅(Cu)並びに不可避的不純物からなる金属多結晶物質であって、250℃以上、800℃以下で熱処理されたものであるとよい。
〔13〕本発明の磁気冷凍システム〔12〕において、好ましくは、前記金属多結晶の銅(Cu)は、300℃以上、600℃以下で熱処理されたものであるとよい。
〔14〕本発明の磁気冷凍システム〔9〕~〔13〕において、好ましくは、前記熱処理の時間は、10秒以上48時間以下であるとよい。更に好ましくは、10分以上36時間以下がよく、最適範囲としては6時間以上30時間以下であるとよい。熱処理の時間が、10秒未満では再結晶化が十分に起こらない。熱処理の時間が、48時間超えは、熱処理炉の操業の観点から、熱処理コストが高騰して、工業的に好ましくない。
熱処理における冷却速度に関しては、好ましくは、0.2℃/分以上2000℃/秒以下がよく、更に好ましくは、0.4℃/分以上500℃/分以下がよく、最適範囲としては0.8℃/分以上30℃/分以下がよい。
熱処理における昇温速度に関しては、好ましくは、0.2℃/分以上1000℃/分以下がよく、更に好ましくは、0.4℃/分以上500℃/分以下、最適範囲としては0.8℃/分以上30℃/分以下がよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の磁気冷凍システムによれば、液体や気体の冷媒を用いることなく、全て固体の材料を用いた全固体冷却素子をもちいて冷却するシステムを構築できる。
本発明の磁気冷凍システムは、全固体素子を用いることによって、従来のAMRシステムに組み込まれていたガス流動用のコンプレッサーなどの複雑な機器を利用する必要がなくなり、またガスと磁性体の熱交換効率を向上させるために行っていた磁性体材料を球状にする必要がなくなるため、極めてシステムが単純化される。さらに、従来のAMRでは液体やガスを流動させるために熱交換に一定の時間が要されていたが、本発明では固体の熱伝導を用いるため、極めた高速な熱サイクルを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例を示す、磁気冷凍システムの概要を説明する構成図である。
【
図2A】本発明の一実施例を示す、磁気冷凍システムの概要を説明する構成図で、電磁石を含む場合の、駆動電流をオンすることで磁場をオンする場合の説明図である。
【
図2B】本発明の一実施例を示す、磁気冷凍システムの概要を説明する構成図で、電磁石を含む場合の、駆動電流をオフすることで磁場をオフする場合の説明図である。
【
図3】本発明の別の実施例を示す、磁気冷凍システムの概要を説明する構成図で、電磁石と冷凍機を相対的に動かすことで磁場をオンオフする場合の説明図である。
【
図4】本発明の一実施例を示す、全固体冷却法を用いた磁気冷凍システムの概要を説明する構成図である。
【
図5】タングステン多結晶ワイヤーの熱伝導率温度変化の熱処理温度依存性を示す図である。
【
図6】タングステン多結晶ワイヤーの熱伝導率磁場変化(温度15K)の熱処理温度依存性を示す図である。
【
図7】銅多結晶板材の熱伝導率温度変化の熱処理温度依存性を示す図である。
【
図8】銅多結晶板の熱伝導率磁場変化(温度15K)の熱処理温度依存性を示す図である。
【
図9】銅多結晶板材の熱伝導率温度変化の熱処理温度依存性を示す図である。磁場はゼロ磁場及び8.5T。熱処理温度が300℃から600℃において熱伝導率の磁場変化が顕著に増加する。
【
図10】銅多結晶板の熱伝導率磁場変化(温度15K)の熱処理温度依存性を示す図である。熱処理温度が300℃から600℃において熱伝導率の磁場変化が顕著に増加する。
【
図11】タングステン単結晶の熱伝導率の磁場依存性を示す図である。
【
図12】銅多結晶の熱伝導率の磁場依存性を示す図である。
【
図13】熱伝導率および電気抵抗の測定方法を説明する電気的回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施例を示す、磁気冷凍システムの概要を説明する構成図である。
図において、本発明の磁気冷凍システムは、断熱真空容器10、12、14、16、磁気冷凍システム収容容器18、冷凍機20、冷凍機コールドヘッド22、熱伝達部品24、電磁石40、水素ガス導入管50、熱交換器52、液体水素収容容器54を備えている。磁気冷凍システム収容容器18に収容される磁気冷凍機は、三段構成の全固体冷却素子を用いた第2の熱スイッチ30a、30b、30c、磁性体(磁気冷凍材料)32a、32b、32c、第1の熱スイッチ34a、34b、34c、熱浴36a、36b、36cを備えている。
【0016】
断熱真空容器は、例えばステンレス鋼等を用いた真空二重構造によって断熱された容器で、真空断熱により高い保温性を持ち、液体窒素などの冷媒でも熱湯を入れても周囲に与える影響を最低限に抑えることができる。断熱真空容器は、円筒状周壁部10、連結底板12、磁気冷凍機収容周壁部14、底板部16で構成されている。円筒状周壁部10には、冷凍機コールドヘッド22、熱伝達部品24、熱交換器52が収容されている。連結底板12は、円筒状周壁部10と磁気冷凍機収容周壁部14との内径の相違を吸収して、真空状態を保持することを可能とする構造になっている。磁気冷凍機収容周壁部14の内側には、磁気冷凍機と液体水素収容容器54が収容されている。底板部16は、磁気冷凍機収容周壁部14の底板に相当する。
冷凍機20は、冷凍機コールドヘッド22、熱伝達部品24を介して接続された磁気冷凍機の第2の熱スイッチ30aと、熱的に接続されている。冷凍機20は、磁気冷凍機の上端を冷却することで、磁気冷凍機の下端から液体水素を生成することを可能としているもので、例えばGM(ギフォード・マクマホン)冷凍機が用いられる。
【0017】
磁気冷凍機は、ここでは、全固体冷却素子を用いた第2の熱スイッチ30、磁性体(磁気冷凍材料)32、第1の熱スイッチ34を直列の三段構成としており、各段の全固体冷却素子を添え字a、b、cで表している。熱浴36は各段の全固体冷却素子の間に位置しており、全固体冷却素子の両端の温度に応じて、
図4で説明する低温側熱浴と高温側熱浴に相当する。
電磁石40は、磁気冷凍機収容周壁部14の周面に配置されたもので、磁気冷凍機を構成する全固体冷却素子に磁場を印加する。電磁石40による全固体冷却素子への磁場の印加は、オンオフ制御することができ、この磁場のオンオフ制御によって、各段の全固体冷却素子は交互に吸熱、排熱を繰り返すので、一方の磁性体の排熱過程とそれより高温の磁気冷凍サイクルで動く磁性体の吸熱過程を組み合わせることができる。即ち、磁性体に電磁石40が発生する磁界を作用させると、磁性体は発熱し、この過程ではその磁性体の高温側の熱スイッチは磁界の外にあり、熱伝導がオン状態となって良好となるので発熱を高温側の磁性体に伝え、高温側の磁性体がこの熱を次のサイクルで排熱することになる。
水素ガス導入管50、熱交換器52、液体水素収容容器54は、磁気冷凍機に水素ガスを送り、生成した液体水素を蓄える経路である。
【0018】
このように構成された装置においては、次のように動作する。
水素ガス導入管50から送られた水素ガスは、冷凍機20または、液体窒素などによって室温から50K程度(液体窒素の場合は77K)まで、熱交換器52で、予冷される。
予冷された水素ガスを磁気冷凍機に導入し、熱スイッチ2―磁性体―熱スイッチ1の単位で構成される全固体冷却素子を多段に積み重ねて、水素ガスを段階的に冷却する。
最低段にある熱浴36cが20K以下となる様に冷却すると、水素ガスが液化され、液体水素収容容器54に溜まる。
【0019】
図2は、本発明の一実施例を示す、磁気冷凍システムの概要を説明する構成図で、(A)は電磁石への駆動電流をオンすることで磁場をオンする場合の説明図、(B)電磁石への駆動電流をオフすることで磁場をオフする場合の説明図である。
熱スイッチ制御部44としての電磁石への駆動回路44は、オン状態44aとオフ状態44bを切り替えている。
【0020】
図3は、本発明の別の実施例を示す、磁気冷凍システムの概要を説明する構成図で、電磁石と全固体冷却素子を相対的に動かすことで磁場をオンオフする場合の説明図である。
全固体冷却素子を用いた第2の熱スイッチ30、磁性体(磁気冷凍材料)32、第1の熱スイッチ34を直列の三段構成とする磁気冷凍機に対して、電磁石40の位置を上下動させることで、印加磁場をオンオフしている。なお、
図1~
図3の実施例では、全固体冷却素子を直列の三段構成とする磁気冷凍機を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、直列の二段構成とする磁気冷凍機でもよく、また4段以上で構成する磁気冷凍機でもよい。
このように複数の磁性体の磁気冷凍サイクルの吸熱過程と排熱過程を組み合わせることで熱を順次伝導せしめ、最も高温側の磁性体の排熱には冷凍機20に浸された排熱スイッチを用いることが可能となるので、水素ガスの液化に用いて好適である。
【0021】
図4は、本発明の一実施例を示す、全固体冷却法を用いた磁気冷凍システムの概要を説明する構成図である。
図において、一段の全固体冷却素子は、磁気冷凍材料32、第1の熱スイッチ34、第2の熱スイッチ30で構成されている。なお、水素液化温度からLNG液化温度や常温までのように、より広温度範囲において低温側熱浴37から高温側熱浴38へ熱を汲み上げる場合には、磁気冷凍材料32、第1の熱スイッチ34、第2の熱スイッチ30からなる一段の全固体冷却素子を多段に構成するとよい。
低温側熱浴37と高温側熱浴38は、上述の
図1に示すように、例えば3段に構成された全固体冷却素子の間に熱浴36a、36b、36cとして設けられる。各段の熱浴36a、36b、36cに関しては、各段の全固体冷却素子の端部となる熱浴の温度関係によって、当該段における低温側熱浴37か高温側熱浴38となるかが定まる。磁場印加部42と熱スイッチ制御部44は、全固体冷却素子の各段に対して、共通に設けられている。
【0022】
低温側熱浴37、高温側熱浴38には、数十Kにおいて大きな比熱をしめす鉛やタンタルなどの材料を用いる。ここで、熱浴(Heat Bath)とは、比熱が大きく、熱が入ったり、出たりしても、その温度Tが変化しない理想的な熱源をいう。
磁気冷凍材料32は、数十Kの温度領域において大きな磁気熱量効果を示すHoB2やHoなどの物質を用いる。
第1の熱スイッチ34には、磁場によって熱伝導率が大きく変化する後述するような高純度金属多結晶材料(W、Cu、Al、Zn)を用いる。
第2の熱スイッチ30には、磁場によって熱伝導率があまり変化せず、温度を変化させた場合に大きな熱伝導率変化を示す材料(高純度アルミナ材料など)を用いる。
【0023】
磁場印加部42は、磁性体30並びに第1及び第2の熱スイッチ(34、30)に磁場を同時に印加し励磁を行うもので、例えば電磁石が用いられる。なお、磁場印加部42に永久磁石を用いる場合には、永久磁石と磁性体30並びに第1及び第2の熱スイッチ(34、30)の相対的な位置関係を変化させて、磁場印加のオンオフ状態を変化させてもよい。
熱スイッチ制御部44は、磁性体30が励磁によって発熱した場合に、低温側熱浴37と接続した第1の熱スイッチ34がオフ、高温側熱浴38と接続した第2の熱スイッチ30がオンし、磁性体30が消磁によって吸熱した場合には、低温側熱浴37と接続した第1の熱スイッチ34がオン、高温側熱浴38と接続した第2の熱スイッチ30がオフするように制御する。
【0024】
<実施例1>
真空中で熱処理した純度99.999%の多結晶タングステンワイヤーの熱伝導率の温度変化、磁場変化を、異なる熱処理温度において測定した。なお、実施例1~5において、熱処理時間は、24時間としている。熱処理後の冷却では、基本的にクエンチをしておらず、ゆっくり冷やしている。一番速くて約20℃/分、通常は約1.0℃/分で冷却した。
図5は、タングステン多結晶ワイヤーの熱伝導率温度変化の熱処理温度依存性を示す図で、磁場はゼロ磁場および8.5Tである。熱処理温度が800℃以上において熱伝導率の磁場変化が顕著に増加する。
図6は、タングステン多結晶ワイヤーの熱伝導率磁場変化(温度15K)の熱処理温度依存性を示す図である。熱処理温度が800℃以上において熱伝導率の磁場変化が顕著に増加する。
図5に示すように、ゼロ磁場における熱伝導率が磁場印加によって大きく減少する。
【0025】
表1は、純金属タングステン多結晶ワイヤーの15Kにおけるゼロ磁場熱伝導率と磁場変化を示すものである。表1に示したように、タングステンワイヤーでは800℃を超える温度で熱処理を行うことによって熱スイッチの性能を特徴付ける、ゼロ磁場と磁場中の熱伝導率の比率(Δκ(H)=κ(H=0)/κ(H))は急激に増加しており、熱処理によって熱スイッチの性能が飛躍的に向上する。たとえば真空中の熱処理温度が600℃未満の場合、15Kにおいて熱伝導率比Δκ(H=8.5T)~3程度であるが、800℃を超えると急激に熱伝導率比Δκは増加し、1000℃ではいくつかの単結晶熱スイッチ材料を超える熱伝導率比Δκ=20となる。
また、800℃以上の温度で熱処理を行うことによって、300Kの残留抵抗値{R(300K)}と4Kの残留抵抗値{R(4K)}での残留抵抗値との比{R(300K)/R(4K)}として100以上が得られる。
【表1】
【0026】
<実施例2>
真空中で熱処理した純度99.9999%の多結晶銅ワイヤーの熱伝導率の温度変化、磁場変化を、異なる熱処理温度において測定した。
図7は、銅多結晶板材の熱伝導率温度変化の熱処理温度依存性を示す図である。磁場はゼロ磁場及び8.5Tである。熱処理温度が400℃において熱伝導率の磁場変化が顕著に増加する。
図8は、銅多結晶板の熱伝導率磁場変化(温度15K)の熱処理温度依存性を示す図である。熱処理温度が400℃において熱伝導率の磁場変化が顕著に増加する。
図7に示すように、ゼロ磁場における熱伝導率が磁場印加によって大きく減少する。
【0027】
表2は、純金属銅多結晶ワイヤーの15Kにおけるゼロ磁場熱伝導率と磁場変化を示すものである。表2に示したように、銅ワイヤーでは300℃を超える温度で熱処理を行うことによって熱スイッチの性能を特徴付けるΔκ(H)は急激に増加する。たとえば真空中の熱処理温度が200℃未満の場合、15Kにおいて熱伝導率比Δκ(H=8.5T)~3程度であるが、300℃以上では熱伝導率比Δκは7以上となり、400℃においては熱伝導率比Δκ=14.0まで増加し、単結晶の銅熱スイッチ材料の性能を超える。
【表2】
【0028】
<実施例3>
真空中で熱処理した純度99.9999%の多結晶銅板の熱伝導率の温度変化、磁場変化を、異なる熱処理温度において測定した。
図9は、銅多結晶板材の熱伝導率温度変化の熱処理温度依存性を示す図である。磁場はゼロ磁場及び8.5Tである。熱処理温度が300℃から600℃において熱伝導率の磁場変化が顕著に増加する。
図10は、銅多結晶板の熱伝導率磁場変化(温度15K)の熱処理温度依存性を示す図である。熱処理温度が300℃から600℃において熱伝導率の磁場変化が顕著に増加する。
図9に示すように、ゼロ磁場における熱伝導率が磁場印加によって大きく減少する。
【0029】
表3は、純金属銅板の15Kにおけるゼロ磁場熱伝導率と磁場変化を示すものである。表3に示したように、銅板では300℃を超える温度で熱処理を行うことによって熱スイッチの性能を特徴付ける熱伝導率比Δκ(H)は急激に増加し、700℃を超える熱処理を行うと、Δκ(H)は減少する。たとえば真空中の熱処理温度が200℃未満の場合、15KにおいてΔκ(H=8.5T)~3程度であるが、300℃から700℃の間ではΔκは9以上まで増加し、単結晶の銅熱スイッチ材料の性能を超える。
【表3】
【0030】
<実施例4>
真空中で熱処理した純度99.999%の多結晶アルミニウム板の熱伝導率の温度変化、磁場変化を、異なる熱処理温度において測定した。ゼロ磁場における熱伝導率が磁場印加によって大きく減少する。
表4は、純金属アルミニム板の15Kにおけるゼロ磁場熱伝導率と磁場変化を示すものである。表4に示したように、アルミニウム板では熱処理によって大きな熱伝導率比Δκの変化はみられなかった。単結晶の亜鉛熱スイッチ材料の性能に匹敵する。
【表4】
【0031】
<実施例5>
真空中で熱処理した純度99.99%の多結晶亜鉛板の熱伝導率の温度変化、磁場変化を、異なる熱処理温度において測定した。ゼロ磁場における熱伝導率が磁場印加によって大きく減少する。
表5は、純金属亜鉛板の15Kにおけるゼロ磁場熱伝導率と磁場変化を示すものである。表5に示したように、亜鉛板では熱処理によって大きな熱伝導率比Δκの変化はみられなかった。単結晶の亜鉛熱スイッチ材料の性能に匹敵する。
【表5】
【0032】
<比較例>
磁場駆動熱スイッチの従来技術では、タングステン純金属単結晶を用いた熱スイッチ製造の試みが行われている(例えば、非特許文献1参照)。
図11は、タングステン単結晶に磁場を印加した際の熱伝導率の磁場依存性である。ゼロ磁場4.2Kの温度では、熱伝導率は約4W/cmK(=400W/mK)程度であった熱伝導率が、3Tの磁場下では約0.2W/cmKに減少している。
【0033】
一方、タングステンの他にも純金属単結晶、または銅の多結晶において、磁場印加による熱伝導率の減少は報告されている。表6は、純金属単結晶における熱伝導率の磁場変化量を示すもので、引用元も明示してある。
【表6】
【0034】
また、1K以下の温度領域においては純金属が超伝導熱スイッチとして利用されているが(非特許文献2、3参照)、水素液化温度(20.3K)近傍や、広い温度範囲を冷却することが必要な、量子デバイス冷却(数十mK~数十K)をターゲットした場合に、超伝導熱スイッチは利用できない。
【0035】
純金属多結晶に関しても報告はあったが、熱スイッチの性能を示す熱伝導率比Δκが4程度と小さく実用的ではない。(
図12)
【0036】
なお、実施例1-5及び比較例の熱伝導率および電気抵抗の測定は、次の様にして測定された。
図13は、熱伝導率および電気抵抗の測定方法を説明する電気的回路図である。
熱伝導率測定については、4つのリード線(銅)2を測定試料4に銀ペースト3によって接着し、10
-4torr以下の断熱条件に置き、ヒーター源1によって熱量を供給する。この際に、第1と第2の温度センサー6、7によって温度差(Th-Tl)を測定する。4つ目のリード線2は低温熱浴5に接地されている。入力された熱量、測定された温度差、予め測定されている電極間の距離および厚みを用いて、熱伝導率を算出する。
【0037】
電気抵抗測定については、熱伝導率測定と同様の配置により、ヒーター源1から低温熱浴5に電流を流し、その際に第1と第2の温度センサー6,7に生じる電圧を測定し、電気抵抗を測定する。
なお、熱伝導率測定と電気抵抗測定の共通事項として、試料4を5Kから300Kの間の温度変化、および0Tから8.5Tまでの磁場発生を可能とするクライオマグネットに挿入し、温度変化を測定する。磁場の方向は試料4に流れる熱流方向に垂直方向である。残留抵抗比は4Kでの電気抵抗値を300Kでの電気抵抗値で除した値である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の磁気冷凍システムは、極低温度における熱流制御が必要とされる、水素液化技術や量子デバイス実装に用いて好適である。
本発明の熱スイッチ用材料の製造方法は、水素液化技術や量子デバイス実装に用いて好適な磁気冷凍システム用の熱スイッチ用材料に用いて好適である。
【符号の説明】
【0039】
10、12、14、16 断熱真空容器
18 磁気冷凍媒体収容容器
20 冷凍機
30、30a、30b、30c 第2の熱スイッチ
32、32a、32b、32c 磁性体(磁気冷凍材料)
34、34a、34b、34c 第1の熱スイッチ
36、36a、36b、36c 熱浴
37 低温側熱浴(被冷却部)
38 高温側熱浴
40 磁石
42 磁場印加部
44 熱スイッチ制御部
50 水素ガス導入管
52 熱交換器
54 液体水素収容容器