(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056600
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】基底部布片およびこれを用いた布製品
(51)【国際特許分類】
A41D 1/00 20180101AFI20230413BHJP
A41H 43/02 20060101ALI20230413BHJP
A41H 43/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A41D1/00 G
A41H43/02
A41H43/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165907
(22)【出願日】2021-10-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】399102127
【氏名又は名称】ビルマテル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178009
【弁理士】
【氏名又は名称】小河内 功佑
(72)【発明者】
【氏名】白井 庄史
(72)【発明者】
【氏名】小河内 功佑
【テーマコード(参考)】
3B030
【Fターム(参考)】
3B030AB11
(57)【要約】
【課題】本発明は、布片を連結して立体形状物を製作する場合に、縫製等の固定手段を用いることなく、布片を連結するだけで立体形状物を製作することを目的とする。
【手段】基底部布片の中央部の周縁に、基本布片と同一形状の第1切り込みを備えた第1周縁部および第2切り込みを備えた第2周縁部を有し、基底部布片の第1切り込みは基本布片の第2切り込みと各切り込みを一致させて嵌合し、基底部布片の第2切り込みは基本布片の第1切り込みと各切り込みを一致させて嵌合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本布片と連結可能な基底部布片であって、
該基本布片は、六角形の中央部と、該中央部の周縁に交互に位置する第1周縁部および第2周縁部とからなる布片であって、これらの第1周縁部および第2周縁部が前記六角形の一辺を共有し、第1周縁部と前記中央部との境界線にその辺の長さより短くその辺の1/4の長さより長い第1の切り込みを有し、第2周縁部と前記中央部との境界線にその辺の両端から、「辺の長さ-第1切り込みの長さ」の1/2の長さに等しいか又は僅かに長い第2の切り込みを有してなり、前記3つの第1切り込みは他の同一形状の異なる3布片の第2切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、前記3つの第2切り込みは前記3布片とは別の同一形状の異なる3布片の第1切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、
該基底部布片の中央部は、その一部に曲線部を含む輪郭形状の周囲に、前記基本布片と同一形状の六角形の隣り合う3つの頂点で構成される三角部を隙間なく並べた形状であり、該中央部の周縁に前記基本布片と同一形状の第1切り込みを備えた第1周縁部および第2切り込みを備えた第2周縁部を有し、基底部布片の第1切り込みは基本布片の第2切り込みと各切り込みを一致させて嵌合し、基底部布片の第2切り込みは基本布片の第1切り込みと各切り込みを一致させて嵌合することを特徴とする基底部布片。
【請求項2】
前記基底部布片に前記基本布片を多数連結したときに、隣り合う基本布片の中央部の間に隙間が形成され、該基本布片同士を連結して前記隙間を埋めることにより、基底部布片の三角部が自ずと立ち上がることを特徴とする請求項1記載の基底部布片。
【請求項3】
前記基底部布片の輪郭形状が円形または楕円形である請求項1または2記載の基底部布片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の偏平小片を連結することによって立体形状の布製品を構成することのできる布片に関するもので、特に、これら布製品において立体的な立ち上がりを形成するための基底部布片に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、特許文献1(特許第4480791号公報)において、六角形の中央部と、該中央部の周縁に交互に位置する第1周縁部および第2周縁部とからなる布片であって、これらの第1周縁部および第2周縁部が前記六角形の一辺を共有すると共に第1周縁部が前記六角形の2つの頂点を共有し、第1周縁部と前記中央部との境界線にその辺の長さより短くその辺の1/4の長さより長い第1の切り込みを有し、第2周縁部と前記中央部との境界線にその辺の両端から、「辺の長さ-第1切り込みの長さ」の1/2の長さに等しいか又は僅かに長い第2の切り込みを有してなり、前記3つの第1切り込みは他の同一形状の異なる3布片の第2切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、前記3つの第2切り込みは前記3布片とは別の同一形状の異なる3布片の第1切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であることを特徴とする布片を開示した。
【0003】
前記布片は機能的に非常に優れ、衣料、アクセサリー、帽子等を構成することができるが、これらの立体形状物を製作する場合において、所望の形状を実現するためには、部分的に縫製その他の固定方法が必要であり、布片の連結のみで立体形状物を製作することは困難であった。したがって、立体形状物を製作するために、まずは布片を連結して平面シートを製作し、平面シートを裁断する等して必要な部材を揃え、これらの部材を縫製その他の固定手段を使って繋げる必要があった。
【0004】
本願出願人は、特許文献2(特許第5465201号公報)において、基本布片と連結可能な端部布片であって、該基本布片は、六角形の中央部と、該中央部の周縁に交互に位置する第1周縁部および第2周縁部とからなる布片であって、これらの第1周縁部および第2周縁部が前記六角形の一辺を共有し、第1周縁部と前記中央部との境界線にその辺の長さより短くその辺の1/4の長さより長い第1の切り込みを有し、第2周縁部と前記中央部との境界線にその辺の両端から、「辺の長さ-第1切り込みの長さ」の1/2の長さに等しいか又は僅かに長い第2の切り込みを有してなり、前記3つの第1切り込みは他の同一形状の異なる3布片の第2切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、前記3つの第2切り込みは前記3布片とは別の同一形状の異なる3布片の第1切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、該端部布片の一辺に、前記基本布片と同一形状の第1切り込みを備えた第1周縁部および第2切り込みを備えた第2周縁部を有し、端部布片の第1切り込みは基本布片の第2切り込みと各切り込みを一致させて嵌合し、端部布片の第2切り込みは基本布片の第1切り込みと各切り込みを一致させて嵌合することを特徴とする端部布片を開示した。
【0005】
前記端部布片は製品の縁のおさまりを良くし、さらに製品の縁の強度を高めることはできるが、立体形状物を製作する場合において、所望の形状を実現するためには、部分的に縫製その他の固定方法が必要であり、布片の連結のみで立体形状物を製作することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4480791号公報
【特許文献2】特許第5465201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、布片を連結して立体形状物を製作する場合に、縫製等の固定手段を用いることなく、布片を連結するだけで立体形状物を製作することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
基本布片と連結可能な基底部布片であって、該基本布片は、六角形の中央部と、該中央部の周縁に交互に位置する第1周縁部および第2周縁部とからなる布片であって、これらの第1周縁部および第2周縁部が前記六角形の一辺を共有し、第1周縁部と前記中央部との境界線にその辺の長さより短くその辺の1/4の長さより長い第1の切り込みを有し、第2周縁部と前記中央部との境界線にその辺の両端から、「辺の長さ-第1切り込みの長さ」の1/2の長さに等しいか又は僅かに長い第2の切り込みを有してなり、前記3つの第1切り込みは他の同一形状の異なる3布片の第2切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、前記3つの第2切り込みは前記3布片とは別の同一形状の異なる3布片の第1切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、該基底部布片の中央部は、その一部に曲線部を含む輪郭形状の周囲に、前記基本布片と同一形状の六角形の隣り合う3つの頂点で構成される三角部を隙間なく並べた形状であり、該中央部の周縁に前記基本布片と同一形状の第1切り込みを備えた第1周縁部および第2切り込みを備えた第2周縁部を有し、基底部布片の第1切り込みは基本布片の第2切り込みと各切り込みを一致させて嵌合し、基底部布片の第2切り込みは基本布片の第1切り込みと各切り込みを一致させて嵌合することを特徴とするものである。
【0009】
前記基底部布片に前記基本布片を多数連結したときに、隣り合う基本布片の中央部の間に隙間が形成され、該基本布片同士を連結して前記隙間を埋めることにより、基底部布片の三角部が自ずと立ち上がることが好ましい。
【0010】
前記基底部布片の輪郭形状が円形または楕円形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の布片を用いた立体形状物によれば、立体形状物を製作する場合に通常必要となる縫製等の固定手段が一切不要となるので、縫製の技術等が無くとも様々な立体形状物を布片の連結のみで製作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の基底部布片が用いられる基本布片の正面図である。
【
図3】本発明の基底部布片に
図2に示す基本布片を多数連結した状態を示す図である。
【
図4】本発明の基底部布片に基本布片を多数連結した状態を示す部分拡大図である。
【
図5】本発明の基底部布片の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る基底部布片の実施形態を図面に基づいて説明するが、始めに基本布片について説明する。
図2は基本布片Pの正面図であり、布片は正六角形の中央部2と、中央部2の周縁に交互に位置する第1周縁部10、10、10および第2周縁部20、20、20とからなっている。
第1周縁部10、10、10と第2周縁部20、20、20とを交互に配置することにより、布片を平面的にほぼ無限に連結していくことが可能になる。
第1周縁部10および第2周縁部20は、それぞれ、中央部2の正六角形の一辺を共有して中央部2と一体となっている。
【0014】
第1周縁部10と中央部2との境界線には、共有する辺の長さより短くその辺の1/4の長さより長い第1の切り込み11が設けられている。
また、第2周縁部20と中央部2との境界線には、共有する辺の両端から、「辺の長さ-第1切り込みの長さ」の1/2の長さに等しいか又は僅かに長い切り込み22、22が設けられている。ここで、「僅かに長い」とは、次述する連結強度を保持することのできない長さを排除する趣旨である。
【0015】
後記するように、第1切り込み11と第2切り込み22、22とは嵌合されて、布片同士が連結されるものである。従って、布片相互の連結強度を保持するために、第1切り込み11と第2切り込み22、22の長さとして、上記範囲の長さが必要である。第1切り込み11の好ましい長さは、共有する辺の1/4から3/4の長さであり、特に、共有する辺の1/2程度の長さが好ましい。
また、第1切り込み11と第2切り込み22、22の幅については、専ら、布片の厚さに依存する。第1(第2)切り込み11、22は、布片の正面から背面に貫通している。
【0016】
第1切り込み11の長さと第2切り込み22、22の長さに関してより具体的に述べれば、布片の材質、厚さ、用途にもよるが、1mm程度の厚さの布片でバッグを製作する場合、
図2において、正六角形の一辺の長さを例えば12mmとすれば、第1切り込み11の長さが6mmで、第2切り込み22、22の長さが3mmである。
【0017】
中央部2の形状としては正六角形が最適である。正六角形は、布片を連結して隙間のない平面を構成することができ、布片の連結に際して方向性が自由であり、接続強度の点でも優れている。
【0018】
正六角形以外であっても、点対称の六角形であれば、連結の方向性に規制を受けずに隙間なく平面を構成することができる点で好ましい。
点対称の六角形として、例えば、正六角形を一方向に潰した形状(6辺の長さが全て等しく、内角が120度でなく2種類ある六角形)、全ての内角が120度で辺の長さが2種類ある六角形、辺の長さ、内角共に2種類ある六角形を挙げることができる。但し、製品の用途によっては、上記六角形の短い接続辺は長い接続辺より接続強度が低下することを考慮する必要がある。
【0019】
基本布片Pの大きさについては布片によって構成される製品の性質、大きさに多分に依存するものの、格別の制限はないが、例えば正六角形の場合であれば、一片の長さが6mm~900mmの範囲とすることが好ましい。
【0020】
第1周縁部10および第2周縁部20の形状には特別の制限はないが、製造の容易さ等、布片の製造条件に加えて、第1(第2)周縁部10、20としてのデザイン性が考慮される。即ち、第1(第2)周縁部10、20の形状については、布片によって構成される製品の裏面(場合によっては、表面)の意匠を決定づけるからである。また、布片の裏面は衣料としたときにはその保温性・保湿性や肌触りなどの機能にも大きく関わることになるから、布片を適用する用途に応じて、形状のほか、前記布片の素材、厚みを決定すべきである。
【0021】
本実施形態では、第1(第2)周縁部10、20の形状を三角形としたが、矩形、台形、半円形、半楕円形等とすることもできる。三角形とした場合、布片同士を接続し易くなることに加えて、第1周縁部10と第2周縁部20が重なることがないので、薄手の立体形状物を製作し易くなると云う特徴がある。
【0022】
第1周縁部10または第2周縁部20と中央部2との境界線となる継ぎ幅の長さは、前記六角形の辺の長さと等しい。継ぎ幅が六角形の辺の長さより短いと、接続強度が低下する場合がある。一方、六角形の辺の長さより長い継ぎ幅は、一枚の布地から得ることは困難である。
【0023】
第1周縁部10および第2周縁部20の継ぎ長さ(継ぎ幅の長さに対する垂直方向の長さ)については、格別の制限はないが、布片が引っ張られたときに簡単に外れない程度の長さとすることが必要である。
図2に示す正六角形の一辺の長さを12mmとすれば、継ぎ長さは7mm程度となる。また、布片および布製品のデザイン性を重視して、7mm以上とすることも可能である。
【0024】
また、基本布片Pの形状を、第1周縁部10の継ぎ幅の長さが正六角形の中央部2の辺の長さと等しく、第2周縁部20の継ぎ幅の長さが正六角形の中央部2の辺の長さに満たないものとすれば(即ち、第1周縁部は正六角形の2つの頂点を共有するが、第2周縁部は正六角形の2つの頂点を共有しない。)、基本布片Pの中央部2の隅角部が浮き上がることがないので好ましい。
【0025】
布片の厚みはその素材や適用される製品によって決定される。一般的には、接続し易いものは強度が弱いと考えられるが、反対に分離し易くなるから、この点を勘案すべきである。通常、布片の厚みは5mm以下とすることが好ましく、0.1~3mm程度がさらに好ましい。
【0026】
本発明において布片の素材としては、折り曲げることができる柔軟さを備えたシート状のものであれば良く、天然繊維やナイロン、ポリエステルその他の合成繊維、合成樹脂、合成ゴム等からなる種々の織布、不織布、レース、フェルト、等が例示される。また、皮革、スウェード等も用いることができる。
これらの中でも、不織布、フェルト、皮革、スウェード等は、材料シートをカットした後の端部がほつれず、レーザーカッターまたは型押しによるカッティング操作が容易である点で優れた材料である。
【0027】
以上説明してきた布片は、第1周縁部10の第1切り込み11と他の布片の第2周縁部20の第2切り込み22、22とを嵌合させることによって、多数の布片を平面状に連結させ、各種布製品を製作することができる。
より具体的には、第2周縁部20の第2切り込み22、22を折り曲げて、他の布片の第1周縁部10の第1切り込み11に差込み、第1切り込み11と第2切り込み22、22とを嵌合させることによって、多数の布片を平面状に連結させ、各種布製品を製作することができる。
【0028】
次に、基底部布片を説明する。
図1において、基底部布片Qの中央部は、楕円形の輪郭形状の周囲に、前記基本布片Pと同一形状の六角形の隣り合う3つの頂点で構成される三角部Tを隙間なく並べた形状であり、該中央部2Aの周縁に、基本布片Pと同一形状の第1切り込み11Aを備えた第1周縁部10Aと、基本布片Pと同一形状の第2切り込み22A、22Aを備えた第2周縁部20Aを有している。
基底部布片Qの中央部2Aの周縁に第1周縁部10Aと第2周縁部20Aとが交互に位置している。
【0029】
本実施形態において、基底部布片Qの輪郭形状を楕円形としたが、該輪郭形状はその一部に曲線部を含む形状であれば良く、後記するように基底部布片Qに基本布片Pを連結したときに、隣り合う基本布片Pの中央部2の間に隙間を形成することができる形状であれば良い。この点を考慮すると、基底部布片Qの輪郭形状は円形または楕円形であることが好ましい。
【0030】
基底部布片Qの第1周縁部および第2周縁部の形状については、前記した基本布片Pの説明が当てはまる。
また、基底部布片Qの素材、厚みについては、前記した基本布片Pの説明が当てはまる。
基底部布片Qの大きさについては構成される製品の性質、大きさに多分に依存するものの、格別の制限はない。
図1に示す実施形態において、基底部布片Qの第1周縁部10Aおよび第2周縁部20Aの数は各々30個だが、基本布片Pによって構成される製品の大きさによっては、第1周縁部および第2周縁部の数もこれに対応して増減することができる。また、基本布片P自体の大きさが大きくなったり小さくなったりする場合、基底部布片Qをこれに合わせた大きさとすることができる。
【0031】
図3は、本発明の基底部布片Qと多数の基本布片Pを連結した状態を示している。
基底部布片Qの第1切り込み11Aは基本布片Pの第2切り込み22、22と各切り込みを一致させて嵌合し、基底部布片Qの第2切り込み22A、22Aは基本布片Pの第1切り込み11と各切り込みを一致させて嵌合する。
【0032】
即ち、基底部布片Qおよび基本布片Pは、基底部布片Qの第1周縁部10Aの第1切り込み11Aと基本布片Pの第2周縁部20の第2切り込み22、22を一致させて嵌合し、基底部布片Qの第2周縁部20Aの第2切り込み22A、22Aと基本布片Pの第1周縁部10の第1切り込み11を一致させて嵌合することにより連結されている。この状態において、基底部布片Qの第1周縁部10Aは基本布片Pの中央部2の裏面に位置し、基本布片Pの第2周縁部20は基底部布片Qの中央部2Aの裏面に位置することになる。また、基底部布片Qの第2周縁部20Aは基本布片Pの中央部2の裏面に位置し、基本布片Pの第1周縁部10は基底部布片Qの中央部2Aの裏面に位置することになる。
【0033】
図4は基底部布片Qに基本布片Pを多数連結した状態を示す部分拡大図である。
図4において、基本布片Pの周縁部は省略し、その中央部2のみ図示している。
基底部布片Qの輪郭形状に曲線部を含むため、基本布片P同士が水平方向に連結されていない状態において、隣り合う基本布片Pの中央部2の間には隙間Sが形成される。
この状態から基本布片Pを水平方向に連結すると、隙間Sが埋まることにより、基底部布片Qの中央部2における三角部Tが自ずと立ち上がる。
その結果、
図3に示す通り、筒状に多数連結した基本布片Pが基底部布片Qを基準にして立ち上がる構成を取ることが可能となる。
基底部布片Qは布製品の底面のほか、天面や側面として使用することも可能である。
【0034】
図5は本発明の基底部布片の変形例を示す図である。基底部布片Qの中央部は、円形の輪郭形状の周囲に、前記基本布片Pと同一形状の六角形の隣り合う3つの頂点で構成される三角部Tを隙間なく並べた形状であり、該中央部2Aの周縁に、基本布片Pと同一形状の第1切り込み11Aを備えた第1周縁部10Aと、基本布片Pと同一形状の第2切り込み22A、22Aを備えた第2周縁部20Aを有している。
【0035】
本発明の布製品は、前記した基本布片と基底部布片とから構成され、この結果、縫製等の固定手段を用いることなく、布片を連結するだけで立体形状物を製作することができる。特に従来、立体的な立ち上がり形状を形成するには縫製等の固定手段を用いることが必要不可欠であったが、本発明によれば、縫製等の固定手段を用いることなく、基底部布片を基準にした立体的な立ち上がり形状を形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
P 基本布片
Q 基底部布片
2 基本布片の中央部
2A 基底部布片の中央部
10 基本布片の第1周縁部
10A 基底部布片の第1周縁部
11 基本布片の第1切り込み
11A 基底部布片の第1切り込み
20 基本布片の第2周縁部
20A 基底部布片の第2周縁部
22 基本布片の第2切り込み
22A 基底部布片の第2切り込み
T 三角部
S 隙間
【手続補正書】
【提出日】2022-02-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本布片と連結可能な基底部布片であって、
該基本布片は、六角形の中央部と、該中央部の周縁に交互に位置する第1周縁部および第2周縁部とからなる布片であって、これらの第1周縁部および第2周縁部が前記六角形の一辺を共有し、第1周縁部と前記中央部との境界線にその辺の長さより短くその辺の1/4の長さより長い第1の切り込みを有し、第2周縁部と前記中央部との境界線にその辺の両端から、「辺の長さ-第1切り込みの長さ」の1/2の長さに等しいか又は僅かに長い第2の切り込みを有してなり、前記3つの第1切り込みは他の同一形状の異なる3布片の第2切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、前記3つの第2切り込みは前記3布片とは別の同一形状の異なる3布片の第1切り込みと各々切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、
該基底部布片の中央部は、その周囲に前記基本布片と同一形状の六角形の隣り合う3つの頂点で構成される三角部を隙間なく並べた形状であり、該中央部の周縁に前記基本布片と同一形状の第1切り込みを備えた第1周縁部および第2切り込みを備えた第2周縁部を有し、基底部布片の第1切り込みは基本布片の第2切り込みと各切り込みを一致させて嵌合し、基底部布片の第2切り込みは基本布片の第1切り込みと各切り込みを一致させて嵌合し連結可能であり、基底部布片に基本布片を多数連結したときに、隣り合う基本布片の中央部の間に隙間が形成されることを特徴とする基底部布片。
【請求項2】
前記隣り合う基本布片同士を連結して前記隙間を埋めることにより、基底部布片の三角部が自ずと立ち上がることを特徴とする請求項1記載の基底部布片。
【請求項3】
前記六角形が正六角形である請求項1または2記載の基底部布片。