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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056619
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】間仕切パネルユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/013 20060101AFI20230413BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20230413BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230413BHJP
   E06B 7/02 20060101ALI20230413BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20230413BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
F24F7/013 101F
F24F7/007 Z
F24F13/02 C
E06B7/02
E04B2/74 541M
E04B1/70 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165932
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】和田 光平
(72)【発明者】
【氏名】山下 徹也
【テーマコード(参考)】
2E001
2E036
3L080
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001FA07
2E001NB01
2E001NC01
2E001ND16
2E036JA03
2E036JC01
2E036KA01
2E036KA03
2E036KA04
2E036LA01
2E036MA01
3L080AC03
(57)【要約】
【課題】移設時における換気装置の移設を省略化又は簡易化することができる、間仕切パネルユニットを提供する。
【解決手段】間仕切パネルユニット10は、換気装置15によって換気される対象空間の床面F上に移設可能に設置され、天井Cまで延びて対象空間を構成し、水平方向に面し対象空間を他の空間と仕切るパネル部材を備え、対象空間内の空気を換気装置15に送るためにパネル部材の内部に吸気流路(縦吸気ダクト11)が形成され、パネル部材は、厚み方向に空間を隔てて配置される一対のスチールパネル4・4を含み、吸気流路は、パネル部材を厚み方向から見た側面視で床面直上から天井側に向かって上下方向に延びるように、一対のスチールパネル4・4の間に形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気装置によって換気される対象空間の床面上において移設可能に設置され、天井まで延びて前記対象空間を構成する間仕切パネルユニットであって、
水平方向に面し前記対象空間を他の空間と仕切るパネル部材を備え、
前記対象空間内の空気を前記換気装置に送るために前記パネル部材の内部に吸気流路が形成され、
前記パネル部材は、厚み方向に空間を隔てて配置される一対のパネル体を含み、
前記吸気流路は、前記パネル部材を厚み方向から見た側面視で床面直上から天井側に向かって上下方向に延びるように、前記一対のパネル体の間に形成される、間仕切パネルユニット。
【請求項2】
前記パネル部材に隣接して設置されて上下方向に沿って延びる枠部材をさらに備え、
前記吸気流路は、前記パネル部材及び/又は前記枠部材によって前記対象空間から視認不能に遮蔽される、請求項1に記載の間仕切パネルユニット。
【請求項3】
前記パネル体が透光性を有する素材で構成される、請求項1又は請求項2に記載の間仕切パネルユニット。
【請求項4】
床面上に設置されて前記パネル部材を下方から支持するベース部をさらに備え、
前記ベース部には、前記吸気流路に連通される吸気口が形成される、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の間仕切パネルユニット。
【請求項5】
前記パネル部材の上方において天井に対して当接するように固定される上部ユニットをさらに備え、
前記上部ユニットには、前記吸気流路と天井裏空間とを連通する貫通穴が形成される、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の間仕切パネルユニット。
【請求項6】
前記上部ユニットには、前記換気装置から前記対象空間に対して空気を送るための吹出口が形成される、請求項5に記載の間仕切パネルユニット。
【請求項7】
前記上部ユニットには、前記吸気流路と前記換気装置の間に介在する上側連結部が設けられ、
前記上側連結部は、前記吸気流路及び前記換気装置と連通し、前記吸気流路内の空気が前記換気装置に送られることを可能とするように構成される、請求項5又は請求項6に記載の間仕切パネルユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、移設可能に配置される間仕切パネルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等において個室を構成する間仕切パネルが知られている(例えば、特許文献1を参照)。一方、個室の天井部分に、個室内の換気を行うための換気ユニットを設ける技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-023632号公報
【特許文献2】特開2014-173826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の間仕切パネルは、個室のレイアウト変更に対応するために移設可能とされる。このような間仕切パネルで構成した個室に、特許文献2に記載の換気ユニットを設けた場合は、間仕切パネルを移設して個室のレイアウトを変更する際に換気ユニットも移設する必要があるため、多くの工数が必要となっていた。本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る間仕切パネルユニットは、換気装置によって換気される対象空間の床面上に移設可能に設置され、天井まで延びて前記対象空間を構成する間仕切パネルユニットであって、水平方向に面し前記対象空間を他の空間と仕切るパネル部材を備え、前記対象空間内の空気を前記換気装置に送るために前記パネル部材の内部に吸気流路が形成され、前記パネル部材は、厚み方向に空間を隔てて配置される一対のパネル体を含み、前記吸気流路は、前記パネル部材を厚み方向から見た側面視で床面直上から天井側に向かって上下方向に延びるように、前記一対のパネル体の間に形成される。
【0006】
上記第1観点に係る間仕切パネルユニットによれば、間仕切パネルユニットの移設時における換気装置の移設を省略化又は簡易化することができる。詳細には、間仕切パネルユニット内の吸気流路と換気装置の間でダクトを取り廻すのみで事足り、換気装置自体を移設する必要がなくなる。また、菌やウイルスが付着した埃などを床面近くから排出することができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る間仕切パネルユニットは、第1観点に係る間仕切パネルユニットにおいて、前記パネル部材に隣接して設置されて上下方向に沿って延びる枠部材をさらに備え、前記吸気流路は、前記パネル部材及び/又は前記枠部材によって前記対象空間から視認不能に遮蔽される。
【0008】
上記第2観点に係る間仕切パネルユニットによれば、吸気流路を遮蔽することにより、間仕切パネルユニットの意匠性を高めることができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る間仕切パネルユニットは、第1観点又は第2観点に係る間仕切パネルユニットにおいて、前記パネル体が透光性を有する素材で構成される。
【0010】
上記第3観点に係る間仕切パネルユニットによれば、パネル体に透光性を持たせることにより、間仕切パネルユニットの意匠性を高めることができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る間仕切パネルユニットは、第1観点から第3観点の何れか一に係る間仕切パネルユニットにおいて、床面上に設置されて前記パネル部材を下方から支持するベース部をさらに備え、前記ベース部には、前記吸気流路に連通される吸気口が形成される。
【0012】
上記第4観点に係る間仕切パネルユニットによれば、パネル部材の下方に配置されたベース部から吸気する構成とすることにより、間仕切パネルユニットの換気性能を高めることができる。
【0013】
本発明の第5観点に係る間仕切パネルユニットは、第1観点から第4観点の何れか一に係る間仕切パネルユニットにおいて、前記パネル部材の上方において天井に対して当接するように固定される上部ユニットをさらに備え、前記上部ユニットには、前記吸気流路と天井裏空間とを連通する貫通穴が形成される。
【0014】
上記第5観点に係る間仕切パネルユニットによれば、間仕切パネルユニットを移設するための構成を簡素化することができるため、移設の際の利便性を向上させることができる。
【0015】
本発明の第6観点に係る間仕切パネルユニットは、第5観点に係る間仕切パネルユニットにおいて、前記上部ユニットには、前記換気装置から前記対象空間に対して空気を送るための吹出口が形成される。
【0016】
上記第6観点に係る間仕切パネルユニットによれば、対象空間から吸気するとともに対象空間に空気を送ることにより、間仕切パネルユニットの換気性能を高めることができる。
【0017】
本発明の第7観点に係る間仕切パネルユニットは、第5観点又は第6観点に係る間仕切パネルユニットにおいて、前記上部ユニットには、前記吸気流路と前記換気装置の間に介在する上側連結部が設けられ、前記上側連結部は、前記吸気流路及び前記換気装置と連通し、前記吸気流路内の空気が前記換気装置に送られることを可能とするように構成される。
【0018】
上記第7観点に係る間仕切パネルユニットによれば、上側連結部を介して吸気流路の空気を換気装置に送ることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上における本発明に係る間仕切パネルユニットは、以下に示す効果を奏する。
【0020】
第1観点に係る間仕切パネルユニットによれば、間仕切パネルユニットの移設時における換気装置の移設を省略化又は簡易化することができる。
【0021】
第2観点に係る間仕切パネルユニットによれば、間仕切パネルユニットの意匠性を高めることができる。
【0022】
第3観点に係る間仕切パネルユニットによれば、間仕切パネルユニットの意匠性を高めることができる。
【0023】
第4観点に係る間仕切パネルユニットによれば、間仕切パネルユニットの換気性能を高めることができる。
【0024】
第5観点に係る間仕切パネルユニットによれば、間仕切パネルユニットを移設する際の利便性を向上させることができる。
【0025】
第6観点に係る間仕切パネルユニットによれば、間仕切パネルユニットの換気性能を高めることができる。
【0026】
第7観点に係る間仕切パネルユニットによれば、上側連結部を介して吸気流路の空気を換気装置に送ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第一実施形態に係る間仕切パネルユニットを示した斜視図。
図2】第一実施形態に係る間仕切パネルユニットを示した正面図。
図3図2におけるX1-X1線断面図。
図4図2におけるX2-X2線断面図。
図5図2におけるY-Y線断面図。
図6】第二実施形態に係る間仕切パネルユニットを示した斜視図。
図7】第二実施形態に係る間仕切パネルユニットの縦断面図。
図8】第三実施形態に係る間仕切パネルユニットを示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[間仕切パネルユニット10]
以下では図1から図5を用いて、本発明の第一実施形態に係る間仕切パネルユニット10について説明する。本実施形態に係る間仕切パネルユニット10は図1から図5に示す如く、床面Fと天井Cとの間において移設可能に設置される。床面Fと天井Cとの間には、間仕切パネルユニット10と壁Wとにより対象空間が構成される。本実施形態においては、図1及び図2で示す間仕切パネルユニット10よりも紙面手前側に対象空間が形成されている。
【0029】
図1から図5に示す如く、間仕切パネルユニット10は床面F上に設置されたベース部である巾木部材1と、天井Cに設けられる天レール2とを備える。巾木部材1は後述するガラスパネル3及びスチールパネル4の下端部を支持する。天レール2にはガラスパネル3及びスチールパネル4の上端部が連結される。
【0030】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット10において、巾木部材1と天レール2との間には複数の支柱Pが立設される。本実施形態において支柱Pの間には、間仕切パネルユニット10を構成するガラスパネル3、スチールパネル4、開き戸5、及び、開き戸5を支持する扉枠6が設けられる。
【0031】
図3から図5に示す如く、ガラスパネル3及びスチールパネル4は、水平方向に面して対象空間を他の空間と仕切るパネル部材を構成する。図3及び図5に示す如く、ガラスパネル3を備えるパネル部材は、厚み方向に空間を隔てて配置される一対のパネル体であるガラスパネル3・3が、上枠3a、下枠3b、及び側枠3c・3cで支持されることにより構成される。
【0032】
一方、図4及び図5に示す如く、スチールパネル4を備えるパネル部材は、厚み方向に空間を隔てて配置される一対のパネル体であるスチールパネル4・4が、それぞれ支柱P及び扉枠6に組付けられて構成される。スチールパネル4における対象空間側の面には、後述する換気装置15の駆動を制御するために図示しない配線により換気装置15と接続された操作部4aが設けられる。
【0033】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット10は、対象空間において移設可能に設置されている。具体的には、ガラスパネル3及びスチールパネル4を備えるパネル部材、開き戸5及び扉枠6を支柱Pから取り外し、支柱P、巾木部材1、及び天レール2を床面F及び天井Cから取り外すことにより、間仕切パネルユニット10を移設することができる。
【0034】
間仕切パネルユニット10により構成される対象空間は、天井Cの上側に設けられる換気装置15によって換気される。また、間仕切パネルユニット10には、対象空間内の空気を換気装置15に送るために、パネル部材の内部に吸気流路を形成する縦吸気ダクト11及び横吸気ダクト12が設けられる。換言すれば、本実施形態において吸気流路を構成する流路構成部材は、縦吸気ダクト11及び横吸気ダクト12となる。
【0035】
図1図2、及び図4に示す如く、吸気流路を形成する縦吸気ダクト11は、パネル部材を厚み方向から見た側面視(図2に示す正面視)で床面Fの直上から天井Cの側に向かって上下方向に延びるように、一対のスチールパネル4・4の間に形成される。縦吸気ダクト11と横吸気ダクト12とはスチールパネル4・4の間の下部において直交するとともに互いに連通される。
【0036】
間仕切パネルユニット10において、パネル部材の下方に配置されたベース部である巾木部材1の内部には横吸気ダクト12が収容される。また、巾木部材1における対象空間側の面には複数の吸気口13が設けられ、吸気口13は横吸気ダクト12に連通される。吸気口13と横吸気ダクト12との間にはフィルタ13aが設けられている。
【0037】
間仕切パネルユニット10において、天井Cの上側には、換気装置15と接続された上部通気流路14が設けられる。本実施形態において、上部通気流路14は上部ユニットを構成する。上部通気流路14はパネル部材の上方において天井Cに対して当接するように固定される。また、上部通気流路14には、吸気流路を構成する縦吸気ダクト11と天井裏空間とを連通する貫通穴が内部に形成されている。
【0038】
上部通気流路14と縦吸気ダクト11とは天レール2の内部で互いに連結される。具体的には図4に示す如く、上部通気流路14は天井Cを貫通して設けられ、その下端部には上側連結部として上部フランジ14aが形成される。また、縦吸気ダクト11の上端部には接続フランジ11aが形成される。この接続フランジ11aと上部フランジ14aとをボルト等の接続具により接続することにより、上部通気流路14と縦吸気ダクト11とが連通される。
【0039】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット10においては、上記の如く構成することにより、対象空間を換気装置15によって換気することを可能としている。具体的には、対象空間の使用者が操作部4aを操作して換気装置15を駆動させると、換気装置15は上部通気流路14、縦吸気ダクト11、横吸気ダクト12、及び、吸気口13を介して対象空間の空気を吸引する(図2及び図4中の矢印を参照)。これにより、図1中の矢印に示す如く対象空間の空気が吸気口13に吸気されて、対象空間が換気される。
【0040】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット10によれば、間仕切パネルユニット10の移設時における換気装置15の移設を省略化又は簡易化することができる。詳細には、間仕切パネルユニット10を移設する場合に、吸気流路を形成する縦吸気ダクト11及び横吸気ダクト12を上部通気流路14から取り外すだけで、パネル部材と換気装置15との接続を解除することができる。このため、吸気流路と換気装置15との間でダクトを取り廻すのみで事足り、換気装置15自体を移設する必要がない。
【0041】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット10において、吸気流路を構成する縦吸気ダクト11は、パネル部材を構成するスチールパネル4・4によって対象空間から視認不能に遮蔽される。このように、間仕切パネルユニット10の内部に設けられた吸気流路を対象空間から遮蔽することにより、本実施形態に係る間仕切パネルユニット10の意匠性を高めることができる。本実施形態の如く、操作部4aが設けられるパネル部材は、配線等を被覆するためにスチールパネル4が採用されることが一般的であるため、縦吸気ダクト11は操作部4aを備えるスチールパネル4で被覆する構成が好適である。
【0042】
間仕切パネルユニット10においては、パネル部材に隣接して設置されて上下方向に沿って延びる枠部材をさらに備える構成とすることもできる。例えば、本実施形態においてスチールパネル4・4が配置されている箇所に、ガラスパネル3・3を備えるパネル部材の枠部材を配置することも可能である。そして、吸気流路を構成する縦吸気ダクト11を枠部材の内側に挿通し、枠部材によって吸気流路を対象空間から視認不能に遮蔽することも可能である。この構成においても、間仕切パネルユニット10の内部に設けられた吸気流路を対象空間から遮蔽することにより、本実施形態に係る間仕切パネルユニット10の意匠性を高めることができる。
【0043】
また、本実施形態に係る間仕切パネルユニット10において、ベース部である巾木部材1には、吸気流路に連通される吸気口13が設けられる。これにより、対象空間の下部に比較的多く位置する、菌やウイルスが付着した埃などを床面Fの近くの吸気口13から吸引し、対象空間の外に排出することが可能となる。即ち、パネル部材の下方に配置されたベース部から吸気する構成とすることで、間仕切パネルユニット10の換気性能を高めることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る間仕切パネルユニット10においては、パネル部材の上方において天井Cに対して当接するように固定される上部ユニットとして上部通気流路14が設けられる。そして、上部通気流路14には、吸気流路を構成する縦吸気ダクト11と天井裏空間とを連通する貫通穴が形成される。これにより、間仕切パネルユニット10を移設する際に、吸気流路を形成する縦吸気ダクト11を上部通気流路14から取り外すだけで、パネル部材と換気装置15との接続を解除することができる。即ち、間仕切パネルユニット10を移設するための構成を簡素化することができるため、移設の際の利便性を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る間仕切パネルユニット10において、上部ユニットを構成する上部通気流路14には、吸気流路と換気装置15の間に介在する上側連結部として上部フランジ14aが設けられる。そして、上部フランジ14aは縦吸気ダクト11の接続フランジ11aと接続されることにより、吸気流路と換気装置15とを連通し、吸気流路内の空気が前記換気装置に送られることを可能としている。
【0046】
[間仕切パネルユニット20]
次に、図6及び図7を用いて、本発明の第二実施形態に係る間仕切パネルユニット20について説明する。本実施形態に係る間仕切パネルユニット20は、前記実施形態に係る間仕切パネルユニット10と同様に、床面Fと天井Cとの間において移設可能に設置される。以下の実施形態において、前記実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細な説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0047】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット20において、支柱Pの間には、間仕切パネルユニット20を構成するスチールパネル23・24、開き戸5、及び、開き戸5を支持する扉枠6が設けられる。図6に示す如く、スチールパネル23・24は、水平方向に面して対象空間を他の空間と仕切るパネル部材を構成する。図7に示す如く、スチールパネル23を備えるパネル部材は、厚み方向に空間を隔てて配置される一対のパネル体であるスチールパネル23・23により構成される。また、図6に示す如く、スチールパネル24における対象空間側の面には、換気装置15の駆動を制御するために図示しない配線により換気装置15と接続された操作部24aが設けられる。
【0048】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット20は、対象空間において移設可能に設置されている。具体的には、スチールパネル23・24を備えるパネル部材、開き戸5及び扉枠6を支柱Pから取り外し、支柱P、巾木部材1、及び天レール2を床面F及び天井Cから取り外すことにより、間仕切パネルユニット20を移設することができる。
【0049】
間仕切パネルユニット20により構成される対象空間は、天井Cの上側に設けられる換気装置15によって換気される。また、間仕切パネルユニット20には、対象空間内の空気を換気装置15に送るために、パネル部材の内部に吸気流路が形成される。具体的には図6中の矢印に示す如く、巾木部材1に設けられた吸気口13からフィルタ13aを介してパネル部材の内部に吸引された空気は、一対のスチールパネル23・23の間に形成される間隙25、及び、一対のスチールパネル24・24の間に形成される間隙を通って上昇し(図6中の破線矢印及び図7中の矢印を参照)、上部吸気口14bから上部通気流路14に入って換気装置15に送られる。即ち、本実施形態においては、一対のスチールパネル23・23(24・24)の間の間隙25が吸気流路として機能するのである。換言すれば、本実施形態において吸気流路を構成する流路構成部材は、スチールパネル23・23(24・24)となる。
【0050】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット20においても、間仕切パネルユニット20の移設時における換気装置15の移設を省略化又は簡易化することができる。詳細には、間仕切パネルユニット20を移設する場合に、吸気流路を形成するパネル部材を上部通気流路14から取り外すだけで、パネル部材と換気装置15との接続を解除することができる。このため、吸気流路と換気装置15との間でダクトを取り廻すのみで事足り、換気装置15自体を移設する必要がない。
【0051】
なお、本実施形態に係る間仕切パネルユニット20はパネル部材をスチールパネル23・23で構成しているが、スチールパネル23・23に代えて、第一実施形態の如くガラスパネルを採用することも可能である。本実施形態においてはパネル部材の内部にダクトを設けない構成としているため、パネル体をガラスパネルのように透光性を有する素材で構成することにより、間仕切パネルユニット20の意匠性を高めることができる。
【0052】
[間仕切パネルユニット30]
次に、図8を用いて、本発明の第三実施形態に係る間仕切パネルユニット30について説明する。本実施形態に係る間仕切パネルユニット30も、前記実施形態に係る間仕切パネルユニット10と同様に、床面Fと天井Cとの間において移設可能に設置される。
【0053】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット30において、支柱Pの間には、間仕切パネルユニット30を構成するスチールパネル33・34、開き戸5、及び、開き戸5を支持する扉枠6が設けられる。図8に示す如く、スチールパネル33・34は、水平方向に面して対象空間を他の空間と仕切るパネル部材を構成する。スチールパネル33を備えるパネル部材は、厚み方向に空間を隔てて配置される一対のパネル体であるスチールパネル33・33により構成される。また、図8に示す如く、スチールパネル34における対象空間側の面には、換気装置15の駆動を制御するために図示しない配線により換気装置15と接続された操作部34aが設けられる。
【0054】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット30は、対象空間において移設可能に設置されている。具体的には、スチールパネル33・34を備えるパネル部材、開き戸5及び扉枠6を支柱Pから取り外し、支柱P、巾木部材1、及び天レール2を床面F及び天井Cから取り外すことにより、間仕切パネルユニット30を移設することができる。
【0055】
間仕切パネルユニット30により構成される対象空間は、天井Cの上側に設けられる換気装置15によって換気される。本実施形態に係る換気装置15は空気を清浄化する機能(エアフィルタ、除菌装置等)を有している。また、間仕切パネルユニット30には、対象空間内の空気を換気装置15に送るために、パネル部材の内部に吸気流路を形成する縦吸気ダクト11及び横吸気ダクト12が設けられる。
【0056】
図8に示す如く、吸気流路を形成する縦吸気ダクト11は、パネル部材を厚み方向から見た側面視で床面Fの直上から天井Cの側に向かって上下方向に延びるように、一対のスチールパネル34・34の間に形成される。縦吸気ダクト11と横吸気ダクト12とはスチールパネル34・34の間の下部において直交するとともに互いに連通される。
【0057】
間仕切パネルユニット30において、スチールパネル34・34の間の下部には横吸気ダクト12が配置される。また、スチールパネル34における対象空間側の面の下部には複数の吸気口13が設けられ、吸気口13は横吸気ダクト12に連通される。
【0058】
間仕切パネルユニット30において、天井Cの上側には、換気装置15と接続された上部通気流路14が設けられる。本実施形態において、上部通気流路14は上部ユニットを構成する。上部通気流路14はパネル部材の上方において天井Cに対して当接するように固定される。また、上部通気流路14には、吸気流路を構成する縦吸気ダクト11と天井裏空間とを連通する貫通穴が内部に形成されている。
【0059】
また、間仕切パネルユニット30において、スチールパネル34・34の間の上部には横送気流路32が配置される。また、スチールパネル34における対象空間側の面の上部には複数の吹出口35が設けられ、吹出口35は横送気流路32に連通される。
【0060】
間仕切パネルユニット30において、天井Cの上側には、換気装置15と接続された上部送気流路31が設けられる。本実施形態において、上部送気流路31及び横送気流路32は互いに連通して上部ユニットを構成する。上部送気流路31はパネル部材の上方において天井Cに対して当接するように固定される。
【0061】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット30においては、上記の如く構成することにより、対象空間を換気装置15によって換気することを可能としている。具体的には、対象空間の使用者が操作部34aを操作して換気装置15を駆動させると、換気装置15は上部通気流路14、縦吸気ダクト11、横吸気ダクト12、及び、吸気口13を介して対象空間の空気を吸引する。これにより、図8中の矢印に示す如く対象空間の空気が吸気口13に吸気される。さらに、換気装置15は清浄化した空気を、上部送気流路31、横送気流路32、及び、吹出口35を介して対象空間に送る。これにより、図8中の矢印に示す如く対象空間に清浄な空気が送気される。
【0062】
本実施形態に係る間仕切パネルユニット30においても、間仕切パネルユニット30の移設時における換気装置15の移設を省略化又は簡易化することができる。詳細には、間仕切パネルユニット30を移設する場合に、吸気流路を形成するパネル部材を上部通気流路14及び上部送気流路31から取り外すだけで、パネル部材と換気装置15との接続を解除することができる。このため、吸気流路と換気装置15との間でダクトを取り廻すのみで事足り、換気装置15自体を移設する必要がない。
【0063】
上記の如く、本実施形態に係る間仕切パネルユニット30において、上部ユニットを構成する横送気流路32には、換気装置15から対象空間に対して空気を送るための吹出口35が形成される。このように、本実施形態においては対象空間から吸気するとともに対象空間に空気を送ることにより、間仕切パネルユニット30の換気性能を高めることができる。
【0064】
[他の変形例]
上記の実施形態は、以下に示す他の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0065】
上記第一実施形態に係る間仕切パネルユニット10において、吸気流路を形成する縦吸気ダクト11はスチールパネル4・4の間に配置する構成としたが、縦吸気ダクト11をガラスパネル3・3の間に配置する構成とすることも可能である。但し、この場合は縦吸気ダクト11が対象空間から視認されることを防ぐため、ガラスパネル3・3に代えてスチールパネル等の不透光性の素材を採用することが好ましい。
【0066】
また、第二実施形態に係る間仕切パネルユニット20の如く、スチールパネル23・23の間の間隙25を吸気流路として構成する場合は、スチールパネル23・23に代えてガラスパネルを採用することが間仕切パネルユニット20の美感を高める観点で好ましい。
【0067】
また、パネル部材に隣接する枠部材を設けた場合は、吸気流路を構成する縦吸気ダクト11を枠部材の内側に配置することも可能である。この場合も、縦吸気ダクト11が対象空間から視認されることを防ぐため、枠部材をスチールパネル等の不透光性の素材で構成することが好ましい。また、枠部材の間の間隙を吸気流路として構成することも可能である。この場合、枠部材が吸気流路を構成する流路構成部材となる。この場合は、枠部材として透光性の素材を採用することが間仕切パネルユニットの美感を高める観点で好ましい。
【0068】
また、吸気口13は、間仕切パネルユニット10・20の如く巾木部材1に設ける構成としても、間仕切パネルユニット30の如くパネル部材に設ける構成としても何れでも良い。また、巾木部材1とパネル部材との両方に吸気口13を形成する構成や、パネル部材に上下に二段以上の吸気口13を形成する構成を採用することも可能である。
【0069】
また、第三実施形態に係る間仕切パネルユニット30における吹出口35を天レール2に設ける構成とすることも可能である。また、天レール2とパネル部材との両方に吹出口35を形成する構成や、パネル部材に上下に二段以上の吹出口35を形成する構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 巾木部材(ベース部)
2 天レール 3 ガラスパネル(パネル体)
3a 上枠 3b 下枠
3c 側枠 4 スチールパネル(パネル体)
4a 操作部 5 開き戸
6 扉枠
10 間仕切パネルユニット(第一実施形態)
11 縦吸気ダクト(吸気流路)
11a 接続フランジ 12 横吸気ダクト(吸気流路)
13 吸気口 13a フィルタ
14 上部通気流路(上部ユニット)
14a 上部フランジ(上側連結部)
14b 上部吸気口
15 換気装置
20 間仕切パネルユニット(第二実施形態)
23 スチールパネル(パネル体)
24 スチールパネル(パネル体)
24a 操作部
25 間隙(吸気流路)
30 間仕切パネルユニット(第三実施形態)
31 上部送気流路(上部ユニット)
32 横送気流路(上部ユニット)
33 スチールパネル(パネル体)
34 スチールパネル(パネル体)
34a 操作部
35 吹出口
C 天井 F 床面
W 壁 P 支柱

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8