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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056620
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】チェンソーのガイドバー
(51)【国際特許分類】
   B23D 57/02 20060101AFI20230413BHJP
   B27B 17/02 20060101ALI20230413BHJP
   B27B 17/12 20060101ALI20230413BHJP
   B23D 59/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B23D57/02
B27B17/02
B27B17/12
B23D59/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165933
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】592013325
【氏名又は名称】ダイアトップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】玉山 隆三
(72)【発明者】
【氏名】猪島 陽平
【テーマコード(参考)】
3C040
【Fターム(参考)】
3C040AA10
3C040GG07
3C040GG42
(57)【要約】
【課題】チェンソーの軽量化、小型化が可能なチェンソーのガイドバーを提供する。
【解決手段】略長楕円形板状をなし、基端側がチェンソー本体3に固定され、外周縁にソーチェン5がガイドされるガイド溝10aを有するチェンソーのガイドバー1である。チェンソー本体3には、潤滑油を貯留するオイルタンク、及び潤滑油をガイドバー1に供給するオイル供給機構が設けられていない。また、ガイドバー1には潤滑油を貯留する貯留空間15cが形成され、貯留空間15cからガイド溝10aに潤滑油を供給する供給孔11bが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長楕円形板状をなし、基端側がチェンソー本体に固定され、外周縁にソーチェンがガイドされるガイド溝を有するチェンソーのガイドバーにおいて、
該チェンソー本体には、潤滑油を貯留するオイルタンク、及び潤滑油を該ガイドバーに供給するオイル供給機構が設けられてなく、
該ガイドバー内には潤滑油を貯留する貯留空間が形成され、該貯留空間から該ガイド溝に潤滑油を供給する供給路が形成されていることを特徴とするチェンソーのガイドバー。
【請求項2】
前記ガイドバーは1枚のガイドバー本体と、前記貯留空間が内部に形成されたオイルタンクとからなり、
該ガイドバー本体には、該オイルタンクが該ガイドバー本体の両側面と面一になるように嵌入されるタンク嵌入孔がくり抜かれ、
該オイルタンクの一方の側面の上側には、潤滑油を該貯留空間に注油する注油口が開けられ、
前記供給路は、該ガイドバー本体に設けられ、該オイルタンクの下面に開けられた供給口と前記ガイド溝とを連結する供給孔であることを特徴とする請求項1記載のチェンソーのガイドバー。
【請求項3】
前記オイルタンクは樹脂製であり、該オイルタンクの外周面には係合凸部が形成され、
該オイルタンクの外周面と対向する前記タンク嵌入孔の内周面には、該係合凸部と係合する係合凹部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のチェンソーのガイドバー。
【請求項4】
前記オイルタンクは、透明、又は半透明であることを特徴とする請求項3記載のチェンソーのガイドバー。
【請求項5】
前記ガイドバーは、一対の外板と、該両外板の間に挟着された内板とを備え、
該内板には、該内板が該両外板の間に挟着されて前記貯留空間を形成する貯留孔がくり抜かれ、
該貯留空間の上側に対応する一方の該外板の位置には、潤滑油を該貯留空間に注油する注油口が設けられ、
前記供給路は、該内板に形成され、該貯留孔と前記ガイド溝とを連結する供給溝であることを特徴とする請求項1記載のチェンソーのガイドバー。
【請求項6】
前記供給溝はローレット加工により形成されることを特徴とする請求項5記載のチェンソーのガイドバー。
【請求項7】
前記ガイドバーの長手方向の長さは、350mm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項記載のチェンソーのガイドバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周縁に設けられたガイド溝によりソーチェンがガイドされるチェンソーのガイドバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、チェンソーのガイドバーは、外周縁にガイド溝を有した略長楕円形板状をなし、基端側がチェンソー本体に固定されるようになっている。また、ガイドバーの外周縁には、樹木を切断可能なソーチェンが配設される。このソーチェンは、チェンソー本体に内蔵された駆動源により駆動され、ガイド溝にガイドされてガイドバーの外周縁を回転することができるようになっている。ここで、チェンソーによる作業中においては、ソーチェンの回転に伴ってガイドバーとソーチェンとが高速で擦れ合うため、ガイドバーとソーチェンとの摩耗を防止する必要がある。そのため、通常、チェンソー本体に内蔵されたオイルタンクより潤滑油をガイドバーの給油孔に供給している。この潤滑油がガイド溝に吐出され、ソーチェンの回転に伴って、ガイドバーの摺動部分やソーチェン全体に拡散され、ガイドバーとソーチェンとの摩耗が防止される。このようなガイドバーとして、例えば、特許文献1に記載されたガイドバーがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-104292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境問題、利便性等から電動化が進んで、チェンソーの軽量化、小型化が要請されている。しかし、上記特許文献1に記載されたガイドバーにおいては、チェンソー本体に潤滑油を貯留するオイルタンクや潤滑油をガイドバーに供給するポンプが内蔵されているため、チェンソー全体としての軽量化、小型化には一定の限界がある。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、チェンソーの軽量化、小型化が可能なチェンソーのガイドバーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係るチェンソーのガイドバーの特徴は、略長楕円形板状をなし、基端側がチェンソー本体に固定され、外周縁にソーチェンがガイドされるガイド溝を有するチェンソーのガイドバーにおいて、該チェンソー本体には、潤滑油を貯留するオイルタンク、及び潤滑油を該ガイドバーに供給するオイル供給機構が設けられてなく、該ガイドバー内には潤滑油を貯留する貯留空間が形成され、該貯留空間から該ガイド溝に潤滑油を供給する供給路が形成されていることである。
【0007】
請求項2に係るチェンソーのガイドバーの特徴は、請求項1において、前記ガイドバーは1枚のガイドバー本体と、前記貯留空間が内部に形成されたオイルタンクとからなり、該ガイドバー本体には、該オイルタンクが該ガイドバー本体の両側面と面一になるように嵌入されるタンク嵌入孔がくり抜かれ、該オイルタンクの一方の側面の上側には、潤滑油を該貯留空間に注油する注油口が開けられ、
前記供給路は、該ガイドバー本体に設けられ、該オイルタンクの下面に開けられた供給口と前記ガイド溝とを連結する供給孔であることである。
【0008】
請求項3に係るチェンソーのガイドバーの特徴は、請求項2において、前記オイルタンクは樹脂製であり、該オイルタンクの外周面には係合凸部が形成され、該オイルタンクの外周面と対向する前記タンク嵌入孔の内周面には、該係合凸部と係合する係合凹部が形成されていることである。
【0009】
請求項4に係るチェンソーのガイドバーの特徴は、請求項3において、前記オイルタンクは、透明、又は半透明であることである。
【0010】
請求項5に係るチェンソーのガイドバーの特徴は、請求項1において、前記ガイドバーは、一対の外板と、該両外板の間に挟着された内板とを備え、該内板には、該内板が該両外板の間に挟着されて前記貯留空間を形成する貯留孔がくり抜かれ、該貯留空間の上側に対応する一方の該外板の位置には、潤滑油を該貯留空間に注油する注油口が設けられ、前記供給路は、該内板に形成され、該貯留孔と前記ガイド溝とを連結する供給溝であることである。
【0011】
請求項6に係るチェンソーのガイドバーの特徴は、請求項5において、前記供給溝はローレット加工により形成されることである。
【0012】
請求項7に係るチェンソーのガイドバーの特徴は、請求項1乃至6のうちいずれか1項において、前記ガイドバーの長手方向の長さは、350mm以下であることである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係るチェンソーのガイドバーにおいては、ガイドバー内に潤滑油を貯留する貯留空間が形成され、貯留空間からガイド溝に潤滑油を供給する供給路が形成されている。また、チェンソー本体には、潤滑油を貯留するオイルタンクや潤滑油をガイドバーに供給するオイル供給機構が設けられていない。そのため、チェンソー全体として軽量化、小型化が実現できる。したがって、このチェンソーのガイドバーによれば、チェンソーの軽量化、小型化が可能である。なお、チェンソー本体は、ガイドバーを固定することができるとともにソーチェンを回転駆動する動力源と駆動機構を有すればよく、オイルタンク、及びオイル給油機構が不要であるため、安価に製造することができる。
【0014】
請求項2に係るチェンソーのガイドバーにおいては、ガイドバーがガイドバー本体とオイルタンクとからなっている。そして、ガイドバー本体にはタンク嵌入孔がくり抜かれている。このタンク嵌入孔に貯留空間が内部に形成されたオイルタンクがガイドバー本体の両側面と面一になるように嵌入されるため、作業に支障がないようにオイルタンクをガイドバー本体に設けることができる。また、オイルタンクの一方の側面の上側には潤滑油を貯留空間に注油する注油口が開けられている。そして、オイルタンクの下面に開けられた供給口とガイド溝とを連結するようにガイドバー本体に設けられた供給孔が、貯留空間からガイド溝に潤滑油を供給する供給路となる。このため、この注油口から容易に潤滑油を貯留空間に注油することができるとともに、供給孔を通してガイド溝に潤滑油を供給することができる。なお、本明細書において、「オイルタンクとガイドバー本体の両側面との面一」とは、オイルタンクの側面全体とガイドバー本体の両側面との完全な面一だけでなく、ガイドバー本体の両側面に対して、オイルタンクの側面全体又は一部が多少の凹凸を有しているものも含まれる。
【0015】
請求項3に係るチェンソーのガイドバーにおいては、オイルタンクが樹脂製であるため、内部に貯留空間を簡単に形成することができる。また、オイルタンクの外周面には係合凸部が形成され、タンク嵌入孔の内周面には係合凸部と係合する係合凹部が形成されている。そのため、オイルタンクの係合凸部とタンク嵌入孔の係合凹部とが係合されて、タンク嵌入孔にオイルタンクを取り付けることができる。
【0016】
請求項4に係るチェンソーのガイドバーにおいては、オイルタンクが透明、又は半透明であるため、貯留空間内の潤滑油の貯留量を目視により確認することができる。
【0017】
請求項5に係るチェンソーのガイドバーにおいては、貯留孔がくり抜かれた内板が一対の外板の間に挟着され、貯留孔が両外板により閉ざされた空間が貯留空間となる。また、潤滑油を貯留空間に注油する注油口が一方の外板に設けられ、供給路である供給溝が内板に形成される。このため、他の部品を追加する必要がないだけでなく、簡単な構造で加工も容易である。
【0018】
請求項6に係るチェンソーのガイドバーにおいては、供給溝がローレット加工により形成されるため、いわゆる平目、あや目等、潤滑油の供給状況に合わせて、いろいろな形状にすることができる。
【0019】
請求項7に係るチェンソーのガイドバーにおいては、ガイドバーの長手方向の長さが350mm以下であり、チェンソーの軽量化、小型化にとって好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1のチェンソーのガイドバーを使用したチェンソーの正面図。
図2】実施形態1のチェンソーのガイドバーの分解斜視図。
図3】実施形態1のチェンソーのガイドバーの部品の正面図。
図4】実施形態1のチェンソーのガイドバーの正面図。
図5】実施形態1のチェンソーのガイドバーに係り、図4におけるV-V矢視断面図。
図6】実施形態1のチェンソーのガイドバーに係り、図4におけるVI-VI矢視断面図。
図7】実施形態2のチェンソーのガイドバーを使用したチェンソーの正面図。
図8】実施形態2のチェンソーのガイドバーの分解斜視図。
図9】実施形態2のチェンソーの部品の正面図。
図10】実施形態2のチェンソーのガイドバーの正面図。
図11】実施形態2のチェンソーのガイドバーに係り、図10におけるXI-XI矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るチェンソーのガイドバーを具体化した実施形態1、2を図面に基づいて以下に説明する。まず、実施形態1のチェンソーのガイドバーについて説明する。図1は、チェンソーのガイドバー1を使用したチェンソーの正面図である。図1において、チェンソーは、チェンソー本体3とガイドバー1とソーチェン5とからなっている。チェンソー本体3は、ケース部30とグリップ部31とバッテリー32を有している。ケース部30には、ソーチェン5を回転駆動する駆動機構が備えられている。グリップ部31は、作業者により把持される部分であり、ソーチェン5の回転、停止を制御するスイッチ31aを有している。バッテリー32は、ソーチェン5を回転駆動する駆動源である。なお、チェンソー本体3には、潤滑油を貯留するオイルタンクや潤滑油をガイドバー1に供給するオイル供給機構が設けられていない。ソーチェン5は、ドライブリンク、サイドリンク、カッターリンクがリベットにより無端状に連結され、ガイド溝10aに案内されガイドバー本体10の外周縁を回転する。
【0022】
図2図3にも示すように、ガイドバー1は1枚の鋼板のガイドバー本体10と、貯留空間15cが内部に形成されたオイルタンク15とからなっている。ガイドバー本体10は略長楕円形板状をなし、基端側(図3において紙面左側)がチェンソー本体3に固定され、外周縁にソーチェン5がガイドされるガイド溝10aを有している。ガイドバー本体10にはタンク嵌入孔11がくり抜かれ、このタンク嵌入孔11にオイルタンク15がガイドバー本体10の両側面と面一になるように嵌入される。このように、オイルタンク15がガイドバー本体10の両側面と面一になっていることから、樹木の切断作業に支障をきたすことがない。また、タンク嵌入孔11の内周面には、2つの係合凹部11aが形成され、下側の内周面には、貯留空間15cからガイド溝10aに潤滑油を供給する供給路である複数の供給孔11bが形成されている。なお、ガイドバー本体10の長手方向の長さは350mm以下である。
【0023】
オイルタンク15は、貯留空間15cに貯留されている潤滑油の量が簡単に視認でできるように透明、又は半透明の弾力性のある樹脂製である。そして、オイルタンク15の一方の側面の上側には、潤滑油を貯留空間15cに注油して貯留するための注油口16が開けられている。作業者は、この注油口16から適宜注油して、潤滑油を貯留空間15cに補充することができる。また、オイルタンク15の外周面には、タンク嵌入孔11の2つの係合凹部11aと係合する2つの係合凸部15aが形成されている。さらに、オイルタンク15の下面には、ガイドバー本体10の供給孔11bに対応する位置に複数の供給口15bが開けられている。この供給口15bから供給孔11bを通って貯留空間15c内の潤滑油がガイドバー本体10のガイド溝10aに供給される。なお、ガイドバー1の転倒に伴う潤滑油の漏れを防止するため、注油口16に蓋を設けることもできる。
【0024】
図4は、ガイドバー本体10にオイルタンク15が取り付けられた正面図である。このように、オイルタンク15の係合凸部15aとタンク嵌入孔11の係合凹部11aとが係合することにより、ガイドバー本体10にオイルタンク15を取り付けることができる。また、図5図6は、図4における断面図である。図5図6において、貯留空間15cには注油口16から注油された潤滑油が貯留される。潤滑油は、供給口15bから供給孔11bを通りガイド溝10aに滲み出される。この際、ソーチェンの回転に伴ってガイド溝10aとソーチェンとが高速で擦れ合ってガイドバー1の温度が上昇すると、潤滑油も温度が上昇して粘性が低下し、より多くの潤滑油がガイド溝10aに供給される。
【0025】
実施形態1のチェンソーのガイドバーでは、ガイドバー1がガイドバー本体10とオイルタンク15とからなっている。そして、ガイドバー本体10にタンク嵌入孔11がくり抜かれている。このタンク嵌入孔11に貯留空間15cが内部に形成されたオイルタンク15がガイドバー本体10の両側面と面一になるように嵌入されるため、作業に支障がないようにオイルタンク15をガイドバー本体10に設けることができる。
【0026】
また、オイルタンク15の一方の側面の上側には潤滑油を貯留空間15cに注油する注油口16が開けられている。そして、オイルタンク15の下面に開けられた供給口15bとガイド溝10aとを連結するようにガイドバー本体10に設けられた供給孔11bが、貯留空間15cからガイド溝10aに潤滑油を供給する供給路となる。このため、この注油口16から容易に潤滑油を貯留空間15cに注油することができるとともに、供給孔11bを通してガイド溝10aに潤滑油を供給することができる。これにより、チェンソー本体3に、潤滑油を貯留するオイルタンクや潤滑油をガイドバー1に供給するオイル供給機構を設ける必要がなく、チェンソー全体として軽量化、小型化が実現できる。したがって、このチェンソーのガイドバー1によれば、チェンソーの軽量化、小型化が可能である。なお、チェンソー本体3は、ガイドバー1を固定することができるとともにソーチェンを回転駆動する動力源と駆動機構を有すればよく、オイルタンク、及びオイル給油機構が不要であるため、安価に製造することができる。
【0027】
また、このチェンソーのガイドバー1においては、オイルタンク15が樹脂製であるため、ブロー成形により内部に貯留空間15cを簡単に形成することができる。また、オイルタンク15の外周面には係合凸部15aが形成され、タンク嵌入孔11の内周面には係合凸部15aと係合する係合凹部11aが形成されている。そのため、オイルタンク15の係合凸部15aとタンク嵌入孔11の係合凹部11aとが係合されて、タンク嵌入孔11にオイルタンク15を取り付けることができる。
【0028】
さらに、このチェンソーのガイドバー1においては、オイルタンク15が透明、又は半透明であるため、貯留空間15c内の潤滑油の貯留量を目視により確認することができる。また、このチェンソーのガイドバー1の長手方向の長さは350mm以下であり、チェンソーの軽量化、小型化に好適である。
【0029】
次に、実施形態2のチェンソーのガイドバーについて説明する。図7は、チェンソーのガイドバー4を使用したチェンソーの正面図である。図7において、チェンソーは、チェンソー本体4とガイドバー2とソーチェン6とからなっている。チェンソー本体4は、ケース部40とグリップ部41とバッテリー42を有している。ケース部40には、ソーチェン6を回転駆動する駆動機構が備えられている。グリップ部41は、作業者により把持される部分であり、ソーチェン6の回転、停止を制御するスイッチ41aを有している。バッテリー42は、ソーチェン6を回転駆動する駆動源である。なお、チェンソー本体4には、潤滑油を貯留するオイルタンクや潤滑油をガイドバー2に供給するオイル供給機構が設けられていない。また、ソーチェン6は、ドライブリンク、サイドリンク、カッターリンクがリベットにより無端状に連結され、ガイド溝2aに案内されガイドバー2の外周縁を回転する。さらに、ガイドバー2内には潤滑油を貯留する貯留空間2bが形成され、貯留空間2bからガイド溝2aに潤滑油を供給する供給路である供給溝26aが形成されている。
【0030】
図8図9にも示すように、ガイドバー2は一対の外板20、30と、両外板20、30の間に挟着される内板25とを有している。外板20、30、及び内板25は略長楕円形板状をなし、基端側(図9において紙面左側)がチェンソー本体4に固定されるようになっている。なお、チェンソー本体4には、潤滑油を貯留するオイルタンクや潤滑油をガイドバーに供給するオイル供給機構が設けられていない。
【0031】
外板20、30は全く同じ外形をなし、一方の外板20の貯留空間2b(図10図11参照)の上側に対応する位置には、この貯留空間2b(図10図11参照)に潤滑油を注油する注油口21が開けられている。内板25は、外板20、30の外形よりも少し小さい外形であり、内板25が一対の外板20、30の間に挟着されると、その大きさの差によりガイド溝2aが形成されるようになっている。また、内板25は、ソーチェンの回転を円滑にするスプロケット28が取り付けられるよう、先端側(図9において紙面右側)に円弧状の切り欠き25aが形成されている。さらに、内板25には貯留孔26がくり抜かれている。この内板25が一対の外板20、30の間に挟着されると、貯留孔26が両外板20、30により閉ざされた空間が貯留空間2b(図10図11参照)となる。また、内板25には、貯留孔26の下側から内板25の下側外周までを連結する供給路としての複数の供給溝26aが形成されている。この供給溝26aは、ローレット加工により形成されるため、いわゆる平目、あや目等、潤滑油の供給状況に合わせて、いろいろな形状に加工することができる。
【0032】
図10は、内板25が一対の外板20、30の間に挟着されるとともに、先端部にスプロケット28が回動自在に取り付けられた正面図である。このように、内板25が一対の外板20、30の間に挟着されると、内板25と外板20、30との大きさの差により、外周部分にガイド溝2aが形成される。ソーチェン6は、このガイド溝2aにガイドされてガイドバー2の外周縁を回転することができるとともに、スプロケット28により円滑に回転できる。また、貯留孔26が両外板20、30により閉ざされた空間が貯留空間2bとして形成され、この貯留空間2bに潤滑油を貯留することができる。さらに、供給溝26aにより貯留空間2bとガイド溝2aとが連結され、このガイド溝2aにより、貯留空間2bからガイド溝2aに潤滑油を供給して、ガイドバー2の摩耗が防止される。
【0033】
図11は、図10における断面図である。図10図11において、貯留空間2bには注油口21から注油された潤滑油が貯留される。潤滑油は、供給溝26aを通りガイド溝2aに滲み出される。この際、ソーチェンの回転に伴ってガイド溝2aとソーチェンとが高速で擦れ合ってガイドバー2の温度が上昇すると、潤滑油も温度が上昇して粘性が低下し、より多くの潤滑油がガイド溝2aに供給される。なお、ガイドバー2の転倒に伴う潤滑油の漏れを防止するため、注油口21に蓋を設けることもできる。
【0034】
実施形態2のチェンソーのガイドバーでは、貯留孔26がくり抜かれた内板25が一対の外板20、30の間に挟着され、貯留孔26が両外板20、30により閉ざされた空間が貯留空間2bとなる。また、潤滑油を貯留空間2bに注油する注油口21が一方の外板20に設けられ、供給溝26aが内板25に形成される。このため、他の部品を追加する必要がないだけでなく、簡単な構造で加工も容易である。その他の作用、効果は実施形態1と同じである。
【0035】
以上、本発明のチェンソーのガイドバーを実施形態1、2に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0036】
1、2…ガイドバー、2a、10a…ガイド溝、2b、15c…貯留空間、3、4…チェンソー本体、5、6…ソーチェン、10…ガイドバー本体、11…タンク嵌入孔、11a…係合凹部、11b、26a…供給路(11b…供給孔、26a…供給溝)、15…オイルタンク、15a…係合凸部、15b…供給口、16、21…注油口、20、30…外板、25…内板、26…貯留孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11