(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056666
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】整髪剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20230413BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230413BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/31
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166014
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】藤田 範子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB051
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC331
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC402
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC902
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD332
4C083AD442
4C083AD662
4C083BB11
4C083BB13
4C083BB14
4C083CC32
4C083DD22
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、固形油を含む整髪剤組成物でありながら整髪中の毛髪上でののびを極めて良好にすることができる整髪剤組成物を提供することである。
【解決手段】本発明の整髪剤組成物は、成分A:動植物油、エステル油、鉱物油、及び炭化水素油からなる群より選ばれた、25℃で固形の油剤と、成分B:25℃で液状の油剤とを含み、成分Aの含有量が、15.0質量%以上、50.0質量%以下であり、成分Aの含有量と成分Bの含有量との合計が、35.0質量%以上、80.0質量%以下であり、成分Aが成分A1:成分Aのうち、融点が68℃以下であるものを含み、成分Aに対する成分A1の質量割合[A1/A]が0.35~0.80である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分Aと、下記成分Bとを含み、
前記成分Aの含有量が、15.0質量%以上、50.0質量%以下であり、
前記成分Aの含有量と前記成分Bの含有量との合計が、35.0質量%以上、80.0質量%以下であり、
前記成分Aが下記成分A1を含み、
前記成分Aに対する前記成分A1の質量割合[A1/A]が0.35~0.80である、整髪剤組成物。
成分A:動植物油、エステル油、鉱物油、及び炭化水素油からなる群より選ばれた、25℃で固形の油剤
成分A1:成分Aのうち、融点が68℃以下であるもの
成分B:25℃で液状の油剤
【請求項2】
前記成分Bが、下記成分B1を含む請求項1に記載の整髪剤組成物。
成分B1:25℃で液状の、不揮発性油剤
【請求項3】
前記成分B1が、下記成分B11を含む請求項2に記載の整髪剤組成物。
成分B11:分子量が300以下であるエステル油
【請求項4】
前記成分B1が、下記成分B12を含む、請求項2又は3に記載の整髪剤組成物。
成分B12:引火点が200℃以上である不揮発性炭化水素油
【請求項5】
前記成分Bが、下記成分B2を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の整髪剤組成物。
成分B2:揮発性炭化水素油
【請求項6】
前記成分B2が、下記成分B21を含む、請求項5に記載の整髪剤組成物。
成分B21:引火点が40℃以上、70℃以下である揮発性炭化水素油
【請求項7】
前記成分B2が、下記成分B22を含む、請求項5又は6に記載の整髪剤組成物。
成分B22:引火点が70℃を超える揮発性炭化水素油
【請求項8】
シリコーン化合物を含まないか、又は1.0質量%以下で含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の整髪剤組成物。
【請求項9】
下記成分Cを含み、
乳化整髪剤組成物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の整髪剤組成物。
成分C:水
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を整える整髪剤に好適に用いられる整髪剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
整髪剤組成物に求められる整髪性能の一つとして、整髪した髪型を長時間保持できる特性(整髪保持力)がある。下記の特許文献1,2に記載されているような固形ワックスをはじめとする25℃で固形の油剤(いわゆる固形油)を含む整髪剤組成物では、整髪後の毛束を硬くすることができるので、整髪保持力を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131522号公報
【特許文献2】特開2007-001887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
整髪剤組成物を用いた整髪は、通常、1)掌上で整髪剤組成物をある程度のばし、2)整髪剤組成物を毛髪に塗布し、3)毛髪上で整髪剤組成物をのばしながら所望の髪型に整髪するという工程を経て行われる。
【0005】
しかしながら、固形油を含む従来の整髪剤組成物は、整髪中の毛髪上での整髪剤組成物ののびが悪く、使用性に劣ることがある。例えば、固形油を含む従来の整髪剤組成物では、整髪中に、塗布感触が重くなるような抵抗感が生じて、整髪しにくくなることがある。
【0006】
本発明の目的は、固形油を含む整髪剤組成物でありながら整髪中の毛髪上でののびを極めて良好にすることができ、これにより、さらに毛髪に流れをつける整髪力を高めることができる整髪剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記成分(A)と、下記成分(B)とを含み、成分(A)の含有量が、15.0質量%以上、50.0質量%以下であり、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との合計が、35.0質量%以上、80.0質量%以下であり、成分(A)が下記成分(A1)を含み、成分(A)に対する成分(A1)の質量割合[(A1)/(A)]が0.35~0.80である、整髪剤組成物を提供する。
成分(A):動植物油、エステル油、鉱物油、及び炭化水素油からなる群より選ばれた、25℃で固形の油剤
成分(A1):成分(A)のうち、融点が68℃以下であるもの
成分(B):25℃で液状の油剤
【0008】
成分(B)は下記成分(B1)を含むことが好ましい。
成分(B1):25℃で液状の、不揮発性油剤
【0009】
成分(B1)は下記成分(B11)を含むことが好ましい。
成分(B11):分子量が300以下であるエステル油
【0010】
成分(B1)は下記成分(B12)を含むことが好ましい。
成分(B12):引火点が200℃以上である不揮発性炭化水素油
【0011】
成分(B)は下記成分(B2)を含むことが好ましい。
成分(B2):揮発性炭化水素油
【0012】
成分(B2)は下記成分(B21)を含むことが好ましい。
成分(B21):引火点が40℃以上、70℃以下である揮発性炭化水素油
【0013】
成分(B2)が、下記成分(B22)を含むことが好ましい。
成分(B22):引火点が70℃を超える揮発性炭化水素油
【0014】
本発明の整髪剤組成物は、シリコーン化合物を含まないか、又は1.0質量%以下で含むことが好ましい。
【0015】
本発明の整髪剤組成物は、下記成分(C)を含み、乳化整髪剤組成物であることが好ましい。
成分(C):水
【発明の効果】
【0016】
本発明の整髪剤組成物では、25℃で固形の油剤を含む整髪剤組成物でありながら整髪中の毛髪上でののびを極めて良好にすることができる。このため、毛髪をくせ付ける整髪力を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の整髪剤組成物は、動植物油、エステル油、鉱物油、及び炭化水素油からなる群より選ばれた、25℃で固形の油剤と、25℃で液状の油剤とを含む。本明細書においては、上記「動植物油、エステル油、鉱物油、及び炭化水素油からなる群より選ばれた、25℃で固形の油剤」を「成分(A)」と称する場合がある。また、本明細書においては、上記「25℃で液状の油剤」を「成分(B)」と称する場合がある。
【0019】
成分(A)は、融点が68℃以下であるもの(即ち、融点が68℃以下である、動植物油、エステル油、鉱物油、及び炭化水素油からなる群より選ばれた、25℃で固形の油剤)を含む。本明細書においては、「成分Aのうち、融点が68℃以下であるもの」を「成分(A1)」と称する場合がある。
【0020】
成分(B)は、25℃で液状の、不揮発性油剤を含むことが好ましい。本明細書においては、上記「25℃で液状の、不揮発性油剤」を「成分(B1)」と称する場合がある。また、成分(B)は、揮発性炭化水素油を含むことが好ましい。本明細書においては、上記「揮発性油剤」を「成分(B2)」と称する場合がある。
【0021】
成分(B1)は、分子量が300以下であるエステル油を含むことが好ましい。本明細書においては、上記「分子量が300以下であるエステル油」を「成分(B11)」と称する場合がある。また、成分(B1)は、引火点が200℃以上である不揮発性炭化水素油を含むことが好ましい。本明細書においては、上記「引火点が200℃以上である不揮発性炭化水素油」を「成分(B12)」と称する場合がある。
【0022】
成分(B2)は、引火点が40℃以上、70℃以下である揮発性炭化水素油を含むことが好ましい。本明細書においては、上記「引火点が40℃以上、70℃以下である揮発性炭化水素油」を「成分(B21)」と称する場合がある。また、成分(B2)は、引火点が70℃を超える揮発性炭化水素油を含むことが好ましい。本明細書においては、上記「引火点が70℃を超える揮発性炭化水素油」を「成分(B22)」と称する場合がある。
【0023】
したがって、本発明の整髪剤組成物は、成分(A)と、成分(B)とを含む。成分(A)は成分(A1)を含む。本発明の整髪剤組成物100質量%中の、成分(A)の含有量は、15.0質量%以上、50.0質量%以下である。本発明の整髪剤組成物100質量%中の、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との合計[(A)+(B)]は、35.0質量%以上、80.0質量%以下である。本発明の整髪剤組成物では、成分(A)に対する成分(A1)の質量割合[A1/A]は、0.35~0.80である。
【0024】
本発明の整髪剤組成物では、上記の構成が備えられているので、25℃で固形の油剤である成分(A)を含む整髪剤組成物でありながら整髪中の毛髪上でののびを良好にすることができる。さらに、本発明の整髪剤組成物では、上記の構成が備えられているので、毛髪をくせ付ける整髪力を高めることができる。そのため、本発明の整髪剤組成物では、整髪性に優れる。
【0025】
本発明の整髪剤組成物は、水を含んでいてもよい。本明細書においては、上記「水」を「成分(C)」と称する場合がある。
【0026】
本発明の整髪剤組成物は、成分(A)~(C)以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0027】
上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
なお、本明細書において、「25℃で固形」とは、25℃で流動性がない性状を意味し、「25℃で液状」とは、25℃で流動性がある性状を意味する。上記「固形」には、いわゆる「半固形」の意味も含むものとする。
【0029】
また、本明細書において、各成分の含有量とは、整髪剤組成物中に含まれる全ての該成分の含有量の合計を意味する。例えば、成分(A)の含有量とは、整髪剤組成物中の全ての成分(A)の含有量の合計を意味する。
【0030】
以下、本発明の整髪剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0031】
(成分(A))
成分(A)は、25℃で固形の油剤であり、なおかつ、動植物油、エステル油、鉱物油、及び炭化水素油からなる群より選ばれた油剤(少なくとも1種の油剤)である。成分(A)を用いることにより、毛髪をくせ付ける整髪力、及び整髪保持力を高めることができる。成分(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0032】
成分(A)としては、動植物ロウ等のワックスエステル、鉱物ワックス、炭化水素ワックス等の固形ワックス;動植物油脂、エステル油などが挙げられる。
【0033】
上記動植物ロウとしては、カルナウバロウ、ヒマワリ種子ロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ及び鯨ロウ等が挙げられる。
【0034】
上記鉱物ワックスとしては、モンタンワックス等が挙げられる。
【0035】
上記炭化水素ワックスは、石油由来のワックスであってもよく、合成ワックスであってもよい。上記炭化水素ワックスとしては、例えば、ワセリン、セレシン、オゾケライト、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス及びフィッシャー・トロプシュワックス(合成ワックス)等が挙げられる。
【0036】
上記動植物油脂としては、シア脂、カカオ脂、アストロカリウムムルムル種子脂、マンゴーバター及びパーム油等が挙げられる。
【0037】
上記エステル油としては、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ステアリン酸エチル、ミリスチン酸ミリスチル、イソステアリン酸コレステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル及びテトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル等が挙げられる。
【0038】
成分(A1)は、成分(A)のうち、融点が68℃以下であるものである。すなわち、融点が68℃以下かつ25℃で固形の油剤であり、動植物油、エステル油、鉱物油、及び炭化水素油からなる群より選ばれた油剤である。成分(A1)により、整髪時の塗布性をより良好にする効果を発揮する。
【0039】
成分(A1)の融点は、68℃以下であり、好ましくは30~65℃、より好ましくは40~60℃である。
【0040】
成分(A1)としては、融点が68℃以下のパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、ミツロウ、上記動植物油脂、上記エステル油などが挙げられる。
【0041】
整髪保持力をより一層高める観点から、成分(A)は、融点が70℃以上でありかつ25℃で固形のワックスを含むことが好ましい。
【0042】
本発明の効果を発揮させる観点、毛髪をくせ付ける整髪力及び整髪保持力を高める観点から、本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、15.0質量%以上、50.0質量%以下である。本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、好ましくは18.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上、好ましくは35.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下である。成分(A)の含有量が上記下限以上であると、毛髪をくせ付ける整髪力及び整髪保持力をより一層高めることができる。成分(A)の含有量が上記上限以下であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。
【0043】
毛髪をくせづける整髪力を有しながらも、整髪時の塗布性を良好にする観点から、成分(A)の含有量に対する成分(A1)の含有量の質量割合[成分(A1)/成分(A)]は、0.35~0.80であり、好ましくは0.40~0.75、より好ましくは0.50~0.70である
【0044】
(成分(B))
成分(B)は、25℃で液状の油剤である。成分(B)により、整髪時の塗布性を良好にする効果を発揮する。成分(B)は、成分(B1)を含むことが好ましい。成分(B)は、成分(B2)を含むことが好ましい。成分(B)は、成分(B1)及び成分(B2)以外の25℃で液状の油剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0045】
成分(B1)は、25℃で揮発性を有さない、25℃で液状の油剤である。成分(B1)を用いることにより、整髪中の毛髪上でののびを良好にすることができる。成分(B1)としては、不揮発性炭化水素油、植物油、エステル油等が挙げられる。
【0046】
上記不揮発性炭化水素油としては、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン(合成スクワラン、植物性スクワラン)、スクワレン、流動イソパラフィン及び流動パラフィン(ミネラルオイル)等が挙げられる。上記植物油としては、アボカド油、アルガンオイル、オリーブ油、コメヌカ油、ダイズ油、トウモロコシ油、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ブドウ種子油、ククイナッツ油、マカデミアナッツ油、クランベアビシニカ種子油、メドウフォーム油及びヒマワリ油等が挙げられる。上記エステル油としては、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソアミル、アジピン酸ジイソブチル、イソノナン酸エチルヘキシル(イソノナン酸オクチル)、イソノナン酸イソデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、セバシン酸ジエチルヘキシル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、及びテトライソステアリン酸ペンタエリトリット等が挙げられる。
【0047】
成分(B1)は、成分(B11)を含むことが好ましい。成分(B1)は、成分(B12)を含むことが好ましい。
【0048】
成分(B11)は、分子量が300以下であるエステル油である。成分(B11)は、25℃で液状の油剤(成分(B))である。成分(B11)を用いることにより、整髪中の毛髪上でののびを良好にすることができ、かつ整髪後に整髪保持力の低下を抑制することができる。成分(B)の分子量は、好ましくは200以上である。成分(B11)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
成分(B11)としては、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソアミル、アジピン酸ジイソブチル、イソノナン酸エチルヘキシル(イソノナン酸オクチル)、及びイソノナン酸イソデシル等が挙げられる。
【0050】
成分(B12)は、引火点が200℃以上である、不揮発性炭化水素油である。成分(B12)を用いることにより、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。特に、整髪剤組成物が乳化整髪剤組成物である場合に、乳化粒子の安定性を高めることができ、その結果、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。
【0051】
成分(B12)の引火点は、好ましくは220℃以上、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下である。上記引火点が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。
【0052】
成分(B12)としては、スクワラン(合成スクワラン、植物性スクワラン)、及び流動パラフィン(ミネラルオイル)等が挙げられる。
【0053】
成分(B2)は、揮発性炭化水素油である。成分(B2)は、25℃で揮発性を有する炭化水素油である。成分(B2)は、25℃で液状の油剤(成分(B))である。成分(B2)を用いることにより、整髪中の毛髪上でののびを良好にすることができる。成分(B2)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
成分(B2)としては、α-オレフィンオリゴマー、(C13-15)アルカン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、軽質イソパラフィン、イソドデカン、軽質流動イソパラフィン、及び流動イソパラフィン等が挙げられる。
【0055】
成分(B2)の引火点は、好ましくは30℃以上、好ましくは150℃以下である。
【0056】
成分(B2)は、成分(B21)[引火点が40℃以上、70℃以下である揮発性炭化水素油]を含むことが好ましい。この場合には、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができ、かつ整髪力及び整髪保持力をより一層高めることができる。
【0057】
成分(B21)の引火点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、好ましくは65℃以下である。上記引火点が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪中の毛髪上でののびを更に一層良好にすることができ、かつ整髪力及び整髪保持力を更に一層高めることができる。また、上記引火点が上記上限以下であると、整髪剤組成物を収容するプラスチック容器の経時的な変形を抑えることができ、また、安全性を高めることができる。また、上記引火点が上記上限以下であると、整髪力をより一層高めることができる。
【0058】
成分(B21)の市販品としては、例えば、日油社製「パールリーム3」及び丸善石油化学社製「マルカゾールR」等が挙げられる。
【0059】
成分(B2)は、成分(B22)[引火点が70℃を超える揮発性炭化水素油]を含むことが好ましい。この場合には、整髪中の毛髪上でののびを調整しやすくなる。なお、成分(B2)は、成分(B22)を含まなくてもよい。
【0060】
成分(B22)の引火点は、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下である。上記引火点が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層調整しやすくなる。
【0061】
成分(B22)の市販品としては、例えば、日油社製「パールリーム4」及び「パームリールEX」、並びにSEPPIC社製「EMOSMART L15」等が挙げられる。
【0062】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、好ましくは8.0質量%以上、より好ましくは13.0質量%以上、好ましくは40.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下である。
【0063】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B1)の含有量は、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、さらに好ましくは10.0質量%以上、好ましくは30.0質量%以下、より好ましくは20.0質量%以下である。成分(B1)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。
【0064】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B11)の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。成分(B11)の含有量が上記下限以上であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。成分(B11)の含有量が上記上限以下であると、整髪力を高めることができる。
【0065】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B12)の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。成分(B12)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。
【0066】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B2)の含有量は、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは4.0質量%以上、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。成分(B2)の含有量が上記下限以上であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。成分(B2)の含有量が上記上限以下であると、整髪剤組成物が乳化整髪剤組成物である場合に、乳化粒子の安定性を高めることができる。
【0067】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B21)の含有量は、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上、好ましくは14.5質量%以下、より好ましくは9.5質量%以下である。成分(B21)の含有量が上記下限以上であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができ、かつ整髪力及び整髪保持力を更に一層高めることができる。成分(B21)の含有量が上記上限以下であると、整髪剤組成物が乳化整髪剤組成物である場合に、乳化粒子の安定性を高めることができ、その結果、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。
【0068】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B22)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%未満である。成分(B22)の含有量が上記下限以上であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層調整しやすくなる。成分(B22)の含有量が上記上限以下であると、整髪保持力をより一層良好にすることができる。
【0069】
成分(A)の含有量の、成分(B)の含有量に対する質量比[(成分(A)の含有量)/(成分(B)の含有量)]は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下である。上記質量比が上記下限以上であると、整髪保持力をより一層高めることができる。上記質量比が上記上限以下であると、整髪中の毛髪上でののびをより一層良好にすることができる。
【0070】
本発明の整髪剤組成物100質量%中の、くせ付け力や整髪保持力をより一層向上するの観点から、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との合計[(成分(A)の含有量)+(成分(B)の含有量)]は、35.0質量%以上、好ましくは40.0質量%以上、80.0質量%以下であり、好ましくは60.0質量%以下である。
【0071】
本発明の効果を発揮させる観点から、成分(B)100質量%中、成分(B11)の含有量と成分(B2)の含有量との合計は、30.0質量%以上が好ましく、より好ましくは40.0質量%以上、さらに好ましくは45.0質量%以上、90.0質量%以下が好ましく、より好ましくは85.0質量%以下、さらに好ましくは80.0質量%以下である。上記合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0072】
(成分(C))
成分(C)は、水である。本発明の整髪剤組成物は、成分(C)を含むことが好ましい。成分(C)は、精製水であることが好ましい。成分(C)を用いることにより、乳化特性を高めることができ、乳化整髪剤組成物を良好に得ることができる。
【0073】
成分(C)の含有量は、他の配合成分の含有量によって、適宜調整することができる。
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、好ましくは20.0質量%以上、より好ましくは25.0質量%以上、好ましくは70.0質量%以下、より好ましくは50.0質量%以下である。
【0074】
(界面活性剤)
本発明の整髪剤組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤を用いることにより、乳化特性を高めることができ、乳化整髪剤組成物を良好に得ることができる。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0075】
上記界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0076】
上記ノニオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、並びにポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられる。
【0077】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
【0078】
上記ソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。
【0079】
上記グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステルであってもよく、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。
【0080】
上記モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、及びジアラキン酸グリセリル等が挙げられる。
【0081】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6~10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、及びトリステアリン酸ポリ(10)グリセリル等の上記モノグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0082】
上記グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、及びモノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。
【0083】
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、及びポリオキシプロピレンオレイルエーテル等が挙げられる。
【0084】
上記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、及びモノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、及びモノオレイン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0085】
上記アニオン界面活性剤としては、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン等の高級脂肪酸塩(高級脂肪酸石鹸);ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα-オレフィンスルホン酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN-アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、及びセチルリン酸ジエタノールアミン等のモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム等のN-アシル-N-メチル-β-アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン等のN-アシルグルタミン酸塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム等のN-アシルグリシン塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン-1,2-ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、及びベヘニルグリコール酢酸カリウム等のアルキルエーテルグリコール酢酸塩等が挙げられる。
【0086】
上記カチオン界面活性剤としては、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩、アルキルアミン、及び脂肪酸アミドアミン塩等が挙げられる。
【0087】
上記両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、及びN-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、及びアルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びアルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤;アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウム型両性界面活性剤;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩;N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が挙げられる。
【0088】
乳化特性をより一層良好にする観点からは、本発明の整髪剤組成物は、ノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤を含むことが好ましく、ノニオン界面活性剤を含むことがより好ましく、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを含むことが更に好ましい。
【0089】
乳化特性を特により一層良好にする観点からは、上記界面活性剤は、炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有する高級脂肪酸塩、炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有するリン酸系界面活性剤、及び炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有するアミノ酸系界面活性剤からなる群より選ばれる界面活性剤(少なくとも1の界面活性剤)であることが好ましい。
【0090】
洗髪時の洗い落ち性をより一層良好にする観点から、上記界面活性剤は、炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有するリン酸系界面活性剤、及び/又は、炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有するアミノ酸系界面活性剤を含むことが好ましい。これらの界面活性剤において、直鎖アルキル基の炭素数が13以上、22以下である。
【0091】
上記炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有する高級脂肪酸塩は、炭素数が15以上、22以下の直鎖アルキル基を有する高級脂肪酸塩であることが好ましい。
【0092】
上記炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有する高級脂肪酸塩における脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸等が挙げられる。上記炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有する高級脂肪酸塩における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。上記高級脂肪酸塩は、予め塩に調製された高級脂肪酸塩が配合されたものであってもよいし、脂肪酸及び塩基としてそれぞれ配合され、乳化整髪剤組成物を製造する過程で脂肪酸及び塩基から形成されたものであってもよい。
【0093】
上記炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有するリン酸系界面活性剤(リン酸塩である界面活性剤)としては、アルキルリン酸塩、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩が挙げられる。
【0094】
上記アルキルリン酸塩としては、セチルリン酸塩等が挙げられる。
【0095】
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸は、ポリオキシアルキレン残基と1価の飽和脂肪族アルコール残基とから構成されるエーテル(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)のリン酸エステルである。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるポリオキシアルキレン残基を構成するオキシアルキレンとしては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン等の炭素数2~4のオキシアルキレン等が挙げられる。ポリオキシアルキレンは、ポリオキシエチレンであることが好ましい。上記ポリオキシアルキレンは、1種のみのオキシアルキレンを含んでいてもよいし、2種以上のオキシアルキレンを含んでいてもよい。また、ポリオキシアルキレンにおけるオキシアルキレンの平均付加モル数は、好ましくは2以上、25以下であり、より好ましくは2以上、20以下である。
【0096】
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを構成する1価の飽和脂肪族アルコール残基は、1価の飽和脂肪族炭化水素基を含む。1価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、セチル基、ステアリル基等の炭素数13以上、22以下(好ましくは炭素数15以上、22以下)の飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。上記1価の飽和脂肪族炭化水素基は直鎖状である。
【0097】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸は、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体のいずれであってもよく、これらのうちの2以上の混合物であってもよい。
【0098】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩としては、例えば、無機塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。無機塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;アルミニウム塩;亜鉛塩等が挙げられる。有機アミン塩としては、例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。塩基性アミノ酸塩としては、例えば、アルギニン塩、リジン塩等が挙げられる。
【0099】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩としては、例えば、セテス-10リン酸、セテス-20リン酸等のポリオキシアルキレンセチルエーテルリン酸の塩;ステアレス-2リン酸、ステアレス-3リン酸等のポリオキシアルキレンステアリルエーテルリン酸;トリセテアレス-4リン酸等のポリオキシアルキレンセテアリルエーテルリン酸の塩等が挙げられる。
【0100】
上記炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有するアミノ酸系界面活性剤は、N-アシルアミノ酸塩であることが好ましい。
【0101】
上記N-アシルアミノ酸塩におけるアシル基としては、特に限定されないが、炭素数13~22(好ましくは炭素数15~22)の直鎖アルキル基を含む脂肪族アシル基が挙げられ、例えば、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘニル基等が挙げられる。
【0102】
上記N-アシルアミノ酸塩におけるアミノ酸としては、例えば、グリシン、ジメチルグリシン、トリメチルグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、ヒスチギン、リジン、サルコシン等が挙げられる。中でも、乳化特性をより一層良好にする観点から、グルタミン酸が好ましい。
【0103】
上記N-アシルアミノ酸塩は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等である。
【0104】
乳化特性をより一層良好にする観点からは、上記界面活性剤は、さらに、炭素数が13以上、22以下のアルキル基を有するノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。この界面活性剤において、直鎖アルキル基の炭素数が13以上、22以下である。
【0105】
乳化特性をより一層良好にする観点からは、上記界面活性剤は、炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有するリン酸系界面活性剤、炭素数が13以上、22以下の直鎖アルキル基を有するアミノ酸系界面活性剤、及び炭素数が13以上、22以下のアルキル基を有するノニオン界面活性剤からなる群より選ばれる界面活性剤(少なくとも1の界面活性剤)を含むことが好ましい。
【0106】
上記炭素数が13以上、22以下のアルキル基を有するノニオン界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物(特に、エチレンオキシド付加物)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)であることが好ましい。
【0107】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、上記界面活性剤の含有量は、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。上記界面活性剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化特性をより一層良好にし、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができ、また、洗髪時の洗い落ち性をより一層高めることができる。
【0108】
(他の成分)
本発明の整髪剤組成物は、上述した成分[成分(A)~(C)、界面活性剤]以外の成分(他の成分)を含んでいてもよい。上記他の成分としては、皮膜形成ポリマー、低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール(糖アルコールを含む)、粉体(シリカ、ケイソウ土、タルク等)、保湿剤(ヒアルロン酸、コラーゲン、パントテニルアルコール等)、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、及びフェノキシエタノール等)、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、色素、無機顔料、酸化防止剤、ビタミン類、動物性抽出物、金属イオン封鎖剤(キレート剤)等が挙げられる。上記他の成分は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0109】
<低級アルコール>
上記低級アルコールとしては、エタノール等が挙げられる。
【0110】
<高級アルコール>
上記高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、及びオレイルアルコールなどの炭素数12~22の脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0111】
<多価アルコール>
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、及び1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
【0112】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、多価アルコールの含有量は、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。本発明の整髪剤組成物は、多価アルコールを含んでいなくてもよく、例えば、1.0質量%以上で含んでいてもよい。
【0113】
本発明の整髪剤組成物は、シリコーン化合物を含まないか、又は1.0質量%以下で含むことが好ましい。本発明の整髪剤組成物がシリコーン化合物を含む場合に、該整髪剤組成物100質量%中、シリコーン化合物の含有量は、好ましく1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0114】
成分(A)を含む従来の整髪剤組成物では、塗布性を高めるために、揮発性シリコーン化合物(環状シリコーン及び短鎖シリコーン等)が配合されている。近年、環境問題への関心の高まりから、シリコーンフリーの製品のニーズが高まりつつある。しかしながら、成分(A)を含む従来の整髪剤組成物では、シリコーン化合物の含有量を少なくしたり、シリコーン化合物を用いなかったりすると、整髪中の毛髪上でののびを良好にすることは困難である。
【0115】
これに対して、本発明の整髪剤組成物では、特定の成分(A)~(C)を含む特定の配合組成の採用によって、整髪剤組成物がシリコーン化合物を含まないか又は少量でしか含まない場合でも、整髪中の毛髪上でののびを良好にすることができる。
【0116】
(整髪剤組成物の他の詳細)
本発明の整髪剤組成物は、乳化整髪剤組成物であることが好ましい。乳化整髪剤組成物は、乳化組成物であり、油性成分と水性成分とが乳化されている。本発明の乳化整髪剤組成物は、水中油(O/W)型の乳化整髪剤組成物であることが好ましい。
【0117】
本発明の整髪剤組成物の性状は、ワックス状であることが好ましい。本発明の整髪剤組成物は、ワックス状整髪剤組成物(所謂、ヘアワックス)であることが好ましい。上記ワックス状には、バーム状も含まれる。
【0118】
本発明の整髪剤組成物(乳化整髪剤組成物)の製造方法としては、例えば、各成分を用いて、混合及び乳化を行う方法等が挙げられる。混合及び乳化には、ホモミキサー等が用いられる。乳化は、転相乳化であってもよい。上記各成分を混合した後に乳化が行われてもよく、各成分の混合時に乳化が行われてもよい。
【実施例0119】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0120】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0121】
(成分(A))
パラフィンワックス1:融点58℃、成分(A1)
マイクロクリスタリンワックス1(融点53℃)、成分(A1)
ワセリン:成分(A1)
アストロカリウムムルムル種子脂:成分(A1)
カルナウバロウ
パラフィンワックス2:融点74℃
マイクロクリスタリンワックス2(融点88℃)
(成分(B))
イソノナン酸イソノニル:成分(B11)
ラウリン酸ヘキシル:成分(B11)
流動パラフィン1:引火点252℃、三光化学工業社製「流動パラフィンNo.380-SP」、成分(B12)
流動パラフィン2:引火点185℃、Sonneborn社製「CARNATION」、成分(B1)
ヒマシ油:成分(B1)
パルミチン酸エチルヘキシル:成分(B1)
水添ポリイソブテン1:引火点61℃、日油社製「パールリーム3」、成分(B21)
水添ポリイソブテン2:引火点140℃、日油社製「パームリールEX」、成分(B22)
水添ポリイソブテン3:引火点96℃、日油社製「パームリール4」、成分(B22)
(成分(C))
精製水
(その他)
グリセリン(多価アルコール)
1,3-ブチレングリコール(多価アルコール)
カルボマー(増粘性ポリマー)
トリセテアレス-4リン酸(アニオン界面活性剤)
ジオレス-8リン酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)
セテス-20(ノニオン界面活性剤)
ステアリン酸ソルビタン(ノニオン界面活性剤)
ジステアリン酸ポリエチレングリコール(250E.O.)(ノニオン界面活性剤)
セテアリルアルコール(高級アルコール)
フェノキシエタノール(防腐剤)
トリエタノールアミン(中和剤)
エタノール
【0122】
(実施例1~6及び比較例1~4)
下記の表1及び2に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、ホモミキサーを用いて混合及び乳化し、整髪剤組成物(乳化整髪剤組成物)を調製した。表中の配合量(整髪剤組成物100質量%中の配合量)は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。
【0123】
実施例で得られた整髪剤組成物の性状はいずれもワックス状(水中油型乳化整髪剤組成物)であった。
【0124】
(評価)
専門パネル3名が、以下の評価を行った。
【0125】
(試験例1:毛髪上でののび)
得られた整髪剤組成物約2gを掌に取り、掌上でのばした後、ショートヘアのヘアウィッグ(株式会社ビューラックス製)の毛髪上に均一に塗布し、毛髪を前頭部から後頭部へ向けて流すように整髪を施した。
整髪を施した際の、整髪開始から整髪終了まで(約3分間)の操作性のよさ(すなわち、整髪の間操作できるか否か)より、整髪中の毛髪上でののびを下記評価基準に従い評価した。
<整髪中の毛髪上でののびの評価基準>
〇(良好):整髪終了まで、塗布感触が重くなるような抵抗感が生じず、操作性良く整髪ができる。
×(不良):整髪終了前に、塗布感触が重くなるような抵抗感が生じて、整髪しにくくなる。
【0126】
(試験例2:くせづけ力)
試験例1で整髪したウィッグの整髪後の毛髪のくせ付けの度合(すなわち、毛髪が所望の形に変形できているか否か)を観察し、下記評価基準に従い評価した。
<くせづけ力の評価基準>
○(良好):明確なくせ付けができた。
×(不良):明確なくせ付けができなかった。
【0127】
組成及び結果を下記の表に示す。
【0128】
【0129】
【0130】
本発明の処方例(ヘアワックス、水中油型乳化整髪剤組成物)を下表に示す。
【0131】