(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056670
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】文書の有効性証明システム、証明サーバ、ユーザ端末及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230413BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166022
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】521439534
【氏名又は名称】岩井 知大
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】岩井 知大
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】文書の作成時点における文書作成者の能力を判断する文書の有効性証明システム、サーバ、ユーザ端末及びプログラム提供する。
【解決手段】証明サーバ12と、ユーザ端末18を備えた文書の有効性証明システム10において、証明サーバ12は、ユーザ端末から送信された文書に文書IDを含む二次元コードを付加し、ユーザID及び文書IDに関連付けて文書記憶部26に格納する。ユーザ端末は、プリントアウトされた文書の二次元コードを読み取り、証明サーバにアクセスして回答動画の生成をリクエストする。証明サーバは、複数の質問情報を送信する。ユーザ端末は、これを音声で再生すると共に、ユーザが回答する様子を音声付き動画として撮影し、証明サーバに送信する。その後、ユーザ端末が二次元コードを読み取り、証明サーバに文書に係る回答動画の再生をリクエストすると、証明サーバから回答動画ファイルが送信され、再生される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
証明サーバと、証明サーバに接続されるユーザ端末を備えた文書の有効性証明システムであって、
ユーザ端末が、証明サーバに文書を送信し、または証明サーバ上で文書を生成する処理を実行し、
証明サーバが、この文書を文書特定情報に関連付けて文書記憶部に格納する処理を実行し、
ユーザ端末が、上記文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を判定するための質問情報を音声で再生すると共に、ユーザが回答する様子を音声付きの回答動画として撮影し、質問情報に対する回答終了後、回答動画ファイルを証明サーバに送信し、文書特定情報に関連付けて回答動画記憶部に格納することをリクエストする処理を実行し、
証明サーバが、当該回答動画ファイルを文書特定情報に関連付けて回答動画記憶部に格納する処理を実行することを特徴とする文書の有効性証明システム。
【請求項2】
ユーザ端末が、証明サーバにアクセスし、文書特定情報を提示した回答動画の再生をリクエストする処理を実行し、
証明サーバが、上記回答動画記憶部から対応の回答動画ファイルを取り出し、当該ユーザ端末に送信する処理を実行し、
ユーザ端末が、当該回答動画ファイルを再生する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の文書の有効性証明システム。
【請求項3】
ユーザ端末が、回答動画の撮影時に、上記文書の少なくとも一部を撮影するように促す音声を再生する処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の文書の有効性証明システム。
【請求項4】
ユーザ端末が、証明サーバにアクセスし、上記文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を判定するための質問情報の送信をリクエストする処理を実行し、
証明サーバが、予め準備された複数の質問情報の中からランダムに選択した質問情報をユーザ端末に送信する処理を実行することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の文書の有効性証明システム。
【請求項5】
証明サーバが、上記文書に対し、少なくとも文書特定情報及び証明サーバへのアクセス情報を含む二次元コードを付加した上で文書記憶部に格納する処理を実行し、
ユーザ端末が、当該文書の二次元コードを読み取ることによって証明サーバにアクセスすると共に、リクエストの対象となる文書の文書特定情報を提示する処理を実行することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の文書の有効性証明システム。
【請求項6】
ユーザ端末から送信された文書またはユーザ端末を介して生成された文書を、文書特定情報に関連付けて文書記憶部に格納する処理と、
ユーザ端末から、音声再生された上記文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を判定するための質問情報に対しユーザが回答する様子を撮影した音声付きの回答動画ファイルが文書特定情報と共に送信された場合に、当該回答動画ファイルを文書特定情報に関連付けて回答動画記憶部に格納する処理を実行することを特徴とする証明サーバ。
【請求項7】
ユーザ端末から、文書特定情報を提示した回答動画の再生リクエストがなされた場合に、上記回答動画記憶部から対応の回答動画ファイルを取り出し、当該ユーザ端末に送信して当該回答動画ファイルを再生させる処理を実行することを特徴とする請求項6に記載の証明サーバ。
【請求項8】
上記文書に対し、少なくとも文書特定情報及び証明サーバへのアクセス情報を含む二次元コードを付加した上で文書記憶部に格納する処理と、
当該文書の二次元コードを読み取ることによって証明サーバにアクセスしてきたユーザ端末に対し、二次元コード中の文書特定情報に関連付けられた回答動画ファイルを送信する処理を実行することを特徴とする請求項7に記載の証明サーバ。
【請求項9】
証明サーバに対して文書を送信し、または証明サーバ上で文書を生成した上で、当該証明サーバに対して、上記文書に文書特定情報を付与して文書記憶部に格納することをリクエストする処理と、
上記文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を判定するための質問情報を音声で再生すると共に、ユーザが回答する様子を音声付きの回答動画として撮影し、質問情報に対する回答終了後、回答動画ファイルを証明サーバに送信し、当該回答動画ファイルを文書特定情報に関連付けて回答動画記憶部に格納することをリクエストする処理と、
を実行することを特徴とするユーザ端末。
【請求項10】
証明サーバにアクセスし、文書特定情報を提示して回答動画の再生をリクエストする処理と、
証明サーバから対応の回答動画ファイルが送信された場合に、当該回答動画ファイルを再生する処理と、
を実行することを特徴とする請求項9に記載のユーザ端末。
【請求項11】
上記文書に付加された少なくとも文書特定情報及び証明サーバへのアクセス情報を含む二次元コードを読み取ることによって証明サーバにアクセスし、二次元コード中の文書特定情報に関連付けられた回答動画ファイルの再生をリクエストする処理を実行することを特徴とする請求項10に記載のユーザ端末。
【請求項12】
コンピュータを、請求項9~11の何れかに記載のユーザ端末として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は文書の有効性証明技術に係り、特に、遺言書や契約書等の作成時における当該文書が有効に成立するために必要となる文書作成者の能力を証明する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遺言の作成や管理に関しては、以下の通りすでに多くの支援技術が存在している。
例えば、特許文献1に開示された「遺言書サンプル作成送付システム」によれば、連続した簡単な質問に答えることによって、自筆証書遺言書のサンプルが送付され、容易に自筆証書遺言を作ることができるようになる。
また、特許文献2に開示された「遺言管理装置、遺言管理システムおよび遺言管理方法」によれば、遺言者の遺言内容をセキュリティ高く保持すると共に、遺族に対して遺言内容を確実に伝えることができるようになる。
【特許文献1】特開2004-139540
【特許文献2】特許第5544265号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、遺言書の作成者に認知症や知的障害の疑いがある場合、当該文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力の有無に疑義が生じ、結果として文書の有効性について疑義が生じることとなる。
裁判手続を通じて文書作成者の当該能力の有無を判断するにしても、そのための資料が不足することが多く、適切な判断をすることが難しい。
【0004】
このように遺言書の有効性を担保するための資料を保全する仕組みがこれまで存在しなかったため、遺産の相続人等は極めて不安定な状況におかれる場合が多かった。
なお、「文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力」の有無によって文書の有効性に疑義が生じるのは遺言書に限られるものではなく、売買契約書など他の法的文書や、事実文書(目撃証言を記載した書面、供述調書などの事実に関する認識を記載した書面等)についても当てはまる。
この発明は、法的文書及び事実文書の作成時点における当該文書が有効に成立するために必要となる文書作成者の能力を証明する資料を、確実に保全できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した文書の有効性証明システムは、証明サーバと、証明サーバに接続されるユーザ端末を備えた文書の有効性証明システムであって、ユーザ端末が、証明サーバに文書を送信し、または証明サーバ上で文書を生成する処理を実行し、証明サーバが、この文書を文書特定情報に関連付けて文書記憶部に格納する処理を実行し、ユーザ端末が、上記文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を判定するための質問情報を音声で再生すると共に、ユーザが回答する様子を音声付きの回答動画として撮影し、質問情報に対する回答終了後、回答動画ファイルを証明サーバに送信し、文書特定情報に関連付けて回答動画記憶部に格納することをリクエストする処理を実行し、証明サーバが、当該回答動画ファイルを文書特定情報に関連付けて回答動画記憶部に格納する処理を実行することを特徴としている。
上記「文書」は、法的文書及び事実文書を広く含む概念である(以下同様)。
上記「質問情報」は、例えば医師の監修に基づいて作成される(以下同様)。
【0006】
請求項2に記載した文書の有効性証明システムは、請求項1のシステムであって、ユーザ端末が、証明サーバにアクセスし、文書特定情報を提示した回答動画の再生をリクエストする処理を実行し、証明サーバが、上記回答動画記憶部から対応の回答動画ファイルを取り出し、当該ユーザ端末に送信する処理を実行し、ユーザ端末が、当該回答動画ファイルを再生する処理を実行することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載した文書の有効性証明システムは、請求項1または2のシステムであって、ユーザ端末が、回答動画の撮影時に、上記文書の少なくとも一部を撮影するように促す音声を再生する処理を実行することを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載した文書の有効性証明システムは、請求項1~3のシステムであって、ユーザ端末が、証明サーバにアクセスし、上記文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を判定するための質問情報の送信をリクエストする処理を実行し、証明サーバが、予め準備された複数の質問情報の中からランダムに選択した質問情報をユーザ端末に送信する処理を実行することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載した文書の有効性証明システムは、請求項1~4のシステムであって、証明サーバが、上記文書に対し、少なくとも文書特定情報及び証明サーバへのアクセス情報を含む二次元コードを付加した上で文書記憶部に格納する処理を実行し、ユーザ端末が、当該文書の二次元コードを読み取ることによって証明サーバにアクセスすると共に、リクエストの対象となる文書の文書特定情報を提示する処理を実行することを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載した証明サーバは、ユーザ端末から送信された文書またはユーザ端末を介して生成された文書を、文書特定情報に関連付けて文書記憶部に格納する処理と、ユーザ端末から、音声再生された上記文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を判定するための質問情報に対しユーザが回答する様子を撮影した音声付きの回答動画ファイルが文書特定情報と共に送信された場合に、当該回答動画ファイルを文書特定情報に関連付けて回答動画記憶部に格納する処理を実行することを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載した証明サーバは、請求項6の証明サーバであって、ユーザ端末から文書特定情報を提示した回答動画の再生リクエストがなされた場合に、上記回答動画記憶部から対応の回答動画ファイルを取り出し、当該ユーザ端末に送信して当該回答動画ファイルを再生させる処理を実行することを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載した証明サーバは、請求項7の証明サーバであって、上記文書に対し、少なくとも文書特定情報及び証明サーバへのアクセス情報を含む二次元コードを付加した上で文書記憶部に格納する処理と、当該文書の二次元コードを読み取ることによって証明サーバにアクセスしてきたユーザ端末に対し、二次元コード中の文書特定情報に関連付けられた回答動画ファイルを送信する処理を実行することを特徴としている。
【0013】
請求項9に記載したユーザ端末は、証明サーバに対して文書を送信し、または証明サーバ上で文書を生成した上で、当該証明サーバに対して、上記文書に文書特定情報を付与して文書記憶部に格納することをリクエストする処理と、上記文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を判定するための質問情報を音声で再生すると共に、ユーザが回答する様子を音声付きの回答動画として撮影し、質問情報に対する回答終了後、回答動画ファイルを証明サーバに送信し、当該回答動画ファイルを文書特定情報に関連付けて回答動画記憶部に格納することをリクエストする処理を実行することを特徴としている。
【0014】
請求項10に記載したユーザ端末は、請求項9のユーザ端末であって、証明サーバにアクセスし、文書特定情報を提示して回答動画の再生をリクエストする処理と、証明サーバから対応の回答動画ファイルが送信された場合に、当該回答動画ファイルを再生する処理を実行することを特徴としている。
【0015】
請求項11に記載したユーザ端末は、請求項10のユーザ端末であって、上記文書に付加された少なくとも文書特定情報及び証明サーバへのアクセス情報を含む二次元コードを読み取ることによって証明サーバにアクセスし、二次元コード中の文書特定情報に関連付けられた回答動画ファイルの再生をリクエストする処理を実行することを特徴としている。
【0016】
請求項12に記載したプログラムは、コンピュータを、請求項9~11の何れかに記載のユーザ端末として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の文書の有効性証明システム、請求項6に記載の証明サーバ、あるいは請求項9に記載のユーザ端末によれば、文書作成時における当該文書が有効に成立するために必要となる文書作成者の能力を推し量るのに有効な、所定の質問に対する作成者の回答の様子が音声付き動画として記録され、その回答動画ファイルが文書と関連付けられた形で証明サーバに保全することが可能となる。
【0018】
また、請求項2に記載の文書の有効性証明システム、請求項7に記載の証明サーバ、あるいは請求項10に記載のユーザ端末によれば、文書の有効性を立証するのに有効な上記回答動画ファイルを、ユーザはいつでも簡易迅速に確認可能となる。
【0019】
請求項3に記載の文書の有効性証明システムによれば、回答動画中に文書の少なくとも一部を含めることができるため、回答動画と文書との関連性をより明確化することが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の文書の有効性証明システムによれば、質問内容が毎回変更されるため、文書の作成者に事前に練習させることによって当該文書が有効に成立するために必要となる文書作成者の能力の欠如を誤魔化すことを有効に排除できる。
【0021】
請求項5に記載の文書の有効性証明システム、請求項8に記載の証明サーバ、あるいは請求項11に記載のユーザ端末によれば、当該文書に付記された二次元コードをスマートフォン等のユーザ端末で読み取ることで、より簡便に回答動画ファイルを再生可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明に係る文書の有効性証明システムの全体構成を示すシステム構成図である。
【
図2】ユーザDB及び文書管理DBのデータ構造を示す図である。
【
図3】文書作成時の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】回答動画作成時の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】回答動画作成時のユーザ端末のディスプレイを示す図である。
【
図6】文書の有効性確認時の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示すように、この発明に係る文書の有効性証明システム10は、証明サーバ12と、ユーザ14の所有するユーザ端末から構成される。
ユーザ端末としては、PC16やスマートフォン(以下「スマホ」)18、タブレット端末(図示省略)等が該当する。
図においては一人のユーザ14のみが描かれているが、実際には多数のユーザ14が存在している。
【0024】
PC16は、OSの他に少なくともWebブラウザプログラムがインストールされており、インターネット接続機能を備えている。
スマホ18は、インカメラ、アウトカメラ、スピーカ、マイク、インターネット接続機能を備え、事前に本システム専用のアプリケーションプログラム(以下「専用アプリ」)がインストールされている。
【0025】
証明サーバ12には、OS及び専用のアプリケーションプログラムがインストールされており、少なくともユーザDB20、文書管理DB22、雛形文書記憶部24、文書記憶部26、回答動画記憶部28を備えている。
【0026】
ユーザDB20は、
図2(a)に示すように、ユーザID、パスワード、氏名、住所、携帯電話番号、メールアドレス、生年月日、性別、登録日時等のデータ項目を備えたデータベースである。
また文書管理DB22は、
図2(b)に示すように、文書ID、文書カテゴリ、文書タイトル、ユーザID、文書格納日時、文書送信日時、回答動画ID、回答動画格納日時等のデータ項目を備えたデータベースである。
【0027】
雛形文書記憶部24には、遺言書や契約書等の雛形ファイルがカテゴリ別に複数格納されている。
文書記憶部26には、ユーザ14がアップロードした文書または雛形に基づいてWeb上で作成した文書が複数格納されている。文書は、例えばPDF等の電子ファイルよりなる。
回答動画記憶部28には、ユーザ14によって撮影された回答動画ファイルが複数格納されている。
ユーザ14と、文書及び回答動画ファイル間の紐付けは、文書管理DBを参照することで実現される。
【0028】
つぎに、
図3のフローチャートに従い、文書作成時の処理手順について説明する。
まずユーザ14は、PC16等のユーザ端末から証明サーバ12にログインし、遺言書等の電子化された文書をアップロードする(S10)。あるいは、PC16等から証明サーバ12にアクセスし、雛形を参照・編集することによってWebページ上で文書を作成することもできる。
【0029】
これに対し証明サーバ12は、ユーザ14がアップロード等した文書に対してユニークな文書IDを採番すると共に、文書管理DBに文書ID、文書カテゴリ、ユーザID、文書格納日時を登録する(S12)。
つぎに証明サーバ12は、文書のフロントページ等にQRコード(登録商標)等の二次元コードを追加した二次元コード付き文書を生成し、文書記憶部26に格納する(S14)。この二次元コードには、少なくとも文書ID及び証明サーバ12のURLが含まれている。
文書の登録が完了すると、証明サーバ12からPC16等に対して登録完了通知が送信される(S16)。
【0030】
つぎにユーザ14が登録済みの文書のダウンロードをリクエストすると(S18)、証明サーバ12は二次元コード付き文書を送信すると共に(S20)、その送信日時を文書管理DB22内の該当レコードに記録する(S22)。
この二次元コード付き文書をダウンロードしたユーザは(S24)、PC16等に接続されたプリンタ30を介して二次元コード付き文書32をプリントアウトする(S26)。
【0031】
なお、文書の内容部分が薄いグレーの活字で印刷され、ユーザ14がこれを上からなぞることによって、自筆の二次元コード付き文書32を完成させるようにしてもよい。
また、ユーザ14は二次元コード付き文書のダウンロードをリクエストする代わりに、印刷された二次元コード付き文書32の送付をリクエストすることもできる。この場合、証明サーバ12の運営者からユーザ14の自宅やオフィス等に印刷された二次元コード付き文書32が郵送等される。
【0032】
つぎに、
図4のフローチャートに従い、回答動画作成時の処理手順について説明する。
まずユーザ14は、上記の二次元コード付き文書32に署名や捺印を済ませた後、スマホ18上で専用アプリを起動させる(S30)。
つぎにユーザ14が、当該文書の二次元コードをスマホ18の内臓カメラで読み取ると(S32)、スマホ18は専用アプリによって自動的に証明サーバ12に接続され、ユーザID及び文書IDが送信される(S34)。
【0033】
これを受けた証明サーバ12は、文書管理DB22及びユーザDB20を参照して対応の文書及びユーザを特定し(S36)、ユーザの氏名、文書ID、文書カテゴリ、文書タイトル、文書格納日時、現在日時等の書誌情報(テキスト)と、複数の質問情報(テキスト)をスマホ18に送信する(S38)。
【0034】
これを受けたスマホ18の専用アプリは、内臓カメラ及びマイクによる音声付き動画の撮影を開始すると同時に(S40)、証明サーバ12から送信された書誌情報を合成音声で読み上げ、ユーザの確認を促す(S42)。
【0035】
これに対し、ユーザがスマホ18の画面上に表示された「確認」ボタンをタッチすると、以下のような案内音声が再生される(S44)。
「これから幾つかの質問をしますので、大きな声でハッキリとお答えください。また、回答の様子が撮影できるように、ご自分のお顔をインカメラに向け、画面の真ん中にお顔が写るようにしてください。」
【0036】
この後、
図5に示すように、スマホ18のスピーカから簡単な質問が順に再生される(S46)。これに対しユーザは、画面の中心に自分の顔が写るように気を付けながら、声に出して回答していく。
この間、スマホ18の専用アプリはインカメラから取り込まれた画像を解析し、ユーザの顔が写っていないと判定した場合には注意を促す音声メッセージを再生する。
【0037】
以下に、出題される質問の具体例を示す。
「あなたの生年月日はいつですか?」
「あなたのご両親の名前を教えてください。」
「あなたにお子さんがいる場合、お子さんの名前を教えてください。」
「あなたにご兄弟がいる場合、生きているご兄弟のうち最も年長の方の名前を教えてください。」
「あなたが生まれた場所はどこですか?」
「現在の元号はなんですか?」
「今日は何年何月何日ですか?」
「本日は何曜日ですか?」
「今日は春、夏、秋、冬のいずれですか?」
「あなたが署名をした書面は何についての書面ですか?」
【0038】
証明サーバ12内には、この種の当該文書が有効に成立するために必要となる当該文書作成者の能力を見極めるのに資する質問情報が多数蓄積されており、これらの中から5~6問がランダムに抽出される。これらの質問は、好ましくは医師の監修に基づいて作成される。
なお、複数の質問情報を予めスマホ18内の専用アプリが保持しておき、回答動画撮影時にランダムに出題するように構成してもよい。
【0039】
質問に対する回答が終了すると、以下のような音声案内が再生され、ユーザは文書を撮影するように促される(S48)。
「つぎに、文書をアウトカメラで写してください。この際、少なくとも文書のタイトルや二次元コードが画面に収まるように撮影してください。一度に収まりきらない場合には、撮影範囲を何度でも移動させていただいて結構です。撮影が終わりましたら、完了ボタンをタッチしてください。」
【0040】
文書の撮影を完了したユーザが画面上の完了ボタンをタッチすると、動画の撮影が停止され(S50)、音声付きの回答動画ファイルが生成される(S52)。
この回答動画ファイルは、スマホ18から証明サーバ12に送信され(S54)、回答動画記憶部28に格納されると共に(S56)、文書管理DB22内の該当レコードに回答動画ID及び回答動画格納日時が記録される(S58)。
回答動画IDは、スマホ18の専用アプリまたは証明サーバ12によって自動的に採番される。
【0041】
証明サーバ12は、回答動画ファイルを格納するに際し、現在日時情報や改ざん検出のための暗号鍵情報等を電子透かし技術を用いて埋め込むことが望ましい。
あるいは、スマホ18で回答動画を撮影する際に、上記電子透かしを回答動画ファイル中に埋め込むこともできる。
【0042】
つぎに、
図6のフローチャートに従い、ユーザ14が文書の有効性を確認または証明する際の処理手順について説明する。なお、ここでいうユーザ14は必ずしも文書作成者に限定されるものではなく、相続人や契約の相手方、裁判官、鑑定人など当該文書の閲覧権限を有する者を広く含むものとする。
【0043】
まずユーザ14は、スマホ18上で専用アプリを起動し(S60)、文書の二次元コードをカメラで読み取る(S62)。この結果、スマホ18は証明サーバ12に自動的に接続し、文書IDが送信される(S64)。
【0044】
これを受けた証明サーバ12は、送信された文書IDに関連付けられた文書を特定し(S66)、当該文書に係る回答動画ファイルをスマホ18に送信する(S68)。
この結果、スマホ18上で当該動画ファイルが再生され(S70)、ユーザ14は回答者の様子や回答内容によって、当該回答動画撮影時(文書作成時)における回答者(文書の作成者)の当該文書が有効に成立するために必要となる能力の有無を簡易迅速に確認できる。
上記のように、回答動画ファイル中に現在日時(登録日時)情報や改ざん検出用の暗号鍵情報を電子透かしで埋め込んでおくことにより、回答動画の信憑性をより高めることもできる。
なお、動画ファイルの送信方法としては、ダウンロード方式に限定されるものではなく、ストリーミング方式を採用してもよい。
【0045】
上記においては、スマホ18に専用アプリをインストールすることを前提に説明したが、この発明はこの方式に限定されるものではない。
例えば、ユーザ14はスマホ18の汎用ブラウザプログラムを用いて証明サーバ12にアクセスし、証明サーバ12から送信されたWebページを介して上記のサービスを受けることもできる。
この場合、Webページ中には上記したスマホ18の機能を実現するための制御コードが記述されている。
【0046】
また上記においては、プリントアウトされた二次元コード付き文書の二次元コードをユーザ端末が読み取ることによって証明サーバにアクセスする例を示したが、PC16等のディスプレイに表示された二次元コード付き文書の二次元コードをユーザ端末が読み取ることによって証明サーバにアクセスすることも当然に可能である。
【0047】
あるいは、二次元コードの代わりに文書特定情報(文書ID等)とURLを各文書に付記しておき、ユーザがユーザ端末を介して上記URLにアクセスし、文書特定情報をキーボード等で入力することで回答動画ファイルの生成や送信を証明サーバ12にリクエストすることもできる。
【0048】
また上記においては、テキスト形式の質問情報をユーザ端末としてのスマホ18が合成音声として再生する例を示したが、音声ファイルよりなる質問情報をそのまま再生することも当然に可能である。
【0049】
さらに、上記においては個人のユーザ14が遺言書を作成することを前提として説明したが、この発明はこのような利用形態に限定されるものではない。
例えば、金融機関等の法人ユーザが顧客との間で契約を締結する際に、当該法人ユーザが法的文書である契約書の電子ファイルを一旦証明サーバ12にアップロードした後、証明サーバ12からダウンロードした二次元コード付き契約書をプリントアウトし、顧客に押印してもらう。
【0050】
つぎに、法人ユーザが保有するユーザ端末をその場で顧客に貸与し、上記の質問に回答する様子や契約書の内容を音声付きの回答動画ファイルとして記録し、証明サーバ12に保全しておく。
この結果、後日、当該契約の有効性について争いが生じた際には、当該契約書の二次元コードをスマホ等で読み取ることにより、顧客の回答動画を再生することができ、契約時における顧客の当該文書が有効に成立するために必要となる能力を簡易迅速に検証可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10 文書の有効性証明システム
12 証明サーバ
14 ユーザ
16 PC
18 スマホ
20 ユーザDB
22 文書管理DB
24 雛形文書記憶部
26 文書記憶部
28 回答動画記憶部
30 プリンタ
32 二次元コード付き文書