(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056685
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】卵トレイ移載装置および卵トレイ移載方法
(51)【国際特許分類】
B65B 23/06 20060101AFI20230413BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B65B23/06
B65G47/91 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166047
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】片山 大輔
【テーマコード(参考)】
3E043
3F072
【Fターム(参考)】
3E043AA01
3E043BA19
3E043DA01
3E043DA02
3E043DA09
3E043DB04
3E043EA01
3E043EA03
3E043FA10
3F072AA26
3F072GD01
3F072KD03
3F072KD12
3F072KD27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】卵トレイの外周縁と収納容器の内周面との隙間が微小のものに、卵トレイを収納することができる卵トレイの移載装置を提供する。
【解決手段】卵トレイTに収納された卵Eの頂面を着脱自在に吸着する卵吸着装置1と、卵トレイTの外周に形成された凹部内において該卵トレイTを保持するトレイ保持装置2と、卵吸着装置1とトレイ保持装置2とを収納容器Gに対して移動させる移動装置3と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵トレイに収納された卵の頂面を着脱自在に吸着する卵吸着装置と、
前記卵トレイの外周に形成された凹部内において該卵トレイを保持するトレイ保持装置と、
前記卵吸着装置と前記トレイ保持装置とを収納容器に対して移動させる移動装置と、
を有する卵トレイ移載装置。
【請求項2】
前記トレイ保持装置は、前記卵トレイを保持する保持部材を有し、該保持部材の表面に前記凹部の外周に係合する係合部が設けられている請求項1に記載の卵トレイ移載装置。
【請求項3】
請求項1記載の卵トレイ移載装置を用いた卵トレイ移載方法であって、
卵トレイに収納された卵を、前記卵吸着装置で吸着保持するステップと、
前記卵トレイを前記トレイ保持装置で保持するステップと、
前記移動装置により前記卵と前記卵トレイを前記収納容器に対して移動させるステップと、を含む卵トレイ移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵トレイの移載装置および卵トレイの移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鶏卵用トレイと係合してそれを支持する支承部材を有する可動把持器を備えた鶏卵用トレイの転送装置として、例えば、特開昭51-122593号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。また、特開昭57-77412号公報(特許文献2)には、卵トレイの積み重ね体が輸送箱から取り出された後の卵トレイの移載装置が開示されている。
【0003】
特開昭56-7834号公報(特許文献3)や国際公開WO2019/004198号公報(特許文献4)には、卵トレイを収納箱に収納する装置が開示されている。
【0004】
前記従来のものは、卵トレイを保持する保持装置が、卵トレイの外周縁から外方に移動するものであったので、卵トレイの外周縁と収納容器の内周面との隙間が微小のものには使用することができなかった。
【0005】
卵トレイの外周縁と収納容器の内周面との隙間が微小のものに、卵トレイを箱詰めしようとした場合、例えば、特開2018-70210号公報(特許文献5)や国際公開WO2019/027323号公報(特許文献6)に記載の技術を用いなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭51-122593号公報
【特許文献2】特開昭57-77412号公報
【特許文献3】特開昭56-7834号公報
【特許文献4】国際公開WO2019/004198号公報
【特許文献5】特開2018-70210号公報
【特許文献6】国際公開WO2019/027323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献5や6に記載のものは、構造が複雑である等の理由により、いまだ実用化されていない。卵トレイを収納容器に詰める作業は、いまだ手作業であった。
【0008】
そこで、本発明は、卵トレイの外周縁と収納容器の内周面との隙間が微小のものに、卵トレイを収納することができる卵トレイの移載装置を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、前記移載装置を用いて卵トレイを移載する方法を提供することを目的とする。
【0010】
なお、本発明では、「卵トレイの外周縁と収納容器の内周面との隙間が微小」とは、隙間がプラスのもの以外のゼロからマイナスのものも含む概念である。すなわち、卵トレイは紙製等の柔らかいものであるので、弾性変形して密着状に収納される場合も含む。また「移載装置」とは、「収納装置」と「取り出し装置」とを含む概念である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。すなわち、本発明の卵トレイ移載装置は、卵トレイに収納された卵の頂面を着脱自在に吸着する卵吸着装置と、前記卵トレイの外周に形成された凹部内において該卵トレイを保持するトレイ保持装置と、前記卵吸着装置と前記トレイ保持装置とを収納容器に対して移動させる移動装置と、を有する。
【0012】
本発明の卵トレイ移載方法は、前記卵トレイ移載装置を用いた卵トレイ移載方法であって、卵トレイに収納された卵を、前記卵吸着装置で吸着保持するステップと、前記卵トレイを前記トレイ保持装置で保持するステップと、前記移動装置により前記卵と前記卵トレイを前記収納容器に対して移動させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、卵トレイの外周縁と収納容器の内周面との隙間が微小のものにおいても、人手によらず、卵トレイを箱詰めしたり、取り出したりすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す卵トレイ移載装置の全体図構成。
【
図13】卵トレイ移載方法の一実施の形態を示すフローチャート。
【
図14】トレイ保持装置の他の実施の形態を示す要部断面図。
【
図15】トレイ保持装置のその他の実施の形態を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0016】
図1~
図3において、卵トレイ移載装置は、卵トレイTに収納された卵Eの頂面を着脱自在に吸着する卵吸着装置1を有する。卵トレイ移載装置は、卵トレイTの外周に形成された凹部T1内において、卵トレイTを保持するトレイ保持装置2を有する。卵トレイ移載装置は、卵吸着装置1とトレイ保持装置2とを収納容器Gに対して移動させる移動装置3を有する。
【0017】
移動装置3の近傍に、卵トレイTを搬送するトレイ搬送装置4と、収納容器Gを搬送する容器搬送装置5とが設けられている。
【0018】
移動装置3は、卵吸着装置1とトレイ保持装置2とを備えたヘッド部6と、このヘッド部6を移動させる移動部7とを有する。
【0019】
移動部7は、多関節ロボットで構成されたものが例示されている。多関節ロボットは、床面に設置された基部8と、基部8に設けられた多関節アーム部9とを有する。アーム部9の先端に前記ヘッド部6が設けられている。
【0020】
卵トレイ移載装置は、卵吸着装置1、トレイ保持装置2、移動装置3、トレイ搬送装置4、容器搬送装置5などの各種装置の動作を制御する制御装置Cを有する。
【0021】
この実施の形態では、卵トレイ移載装置は、卵トレイTを収納容器Gに収納する卵トレイ収納装置として例示されている。卵トレイTの外周縁と卵トレイTを収納する収納容器Gの内周面との隙間がほぼゼロの状態で、卵トレイTを保持して卵トレイTを収納容器G内に収納するよう構成されている。
【0022】
図2は、トレイ搬送装置4によって搬送される卵トレイTの平面図である。卵トレイTは、
図2の右手方向に搬送される。
【0023】
卵トレイTは、紙製のモールドトレイで構成されており、卵Eを収納する卵座T2が縦横に凹設されている。卵座T2は、図例では、縦5列、横8列の碁盤目状に配列されて、下方に突出している。卵トレイTの上面には、卵座の周縁に沿うように突出部T3が形成されている。卵トレイTの平面視形状は長方形である。
【0024】
卵トレイTに卵Eを収納しない空の状態では、卵トレイTは、
図2の状態で積み重ねられている。卵トレイTの卵座T2に卵Eを収納した状態では、
図2の状態から、卵トレイTを180度向きを変えて、積み重ねられる。このとき、上の卵座T2の底面が、下の突出部T3の頂面に載置されるよう、卵座T2と突出部T3が配置されている。下の卵座T2に収容された卵Eの頂面が、上の突出部T3の内部に位置するよう、突出部T3は、上方に膨出している。
【0025】
卵トレイTの外周は、収納容器Gの内周面との隙間がほぼゼロの状態で収納容器Gに収納される形状に形成されている。卵トレイTの外周に指掛け用の凹部T1が形成されている。この凹部T1は、対向する外周に形成されている。
図2の右手に一か所と、左手に二か所に、凹部T1が形成されている。
【0026】
図1のトレイ搬送装置4の左端に示すように、卵Eが収納されていない空の卵トレイTは、同じ向きで多数枚が積層されている。この積層されたものから一枚の卵トレイTが取り出されて、空の卵トレイTの卵座T2に卵Eが収納される。卵Eが収納された卵トレイTは、トレイ搬送装置4により右手方向に搬送される。トレイ搬送装置4の右端において、卵Eと卵トレイTとは、移動装置3によって、収納容器Gに収納される。
【0027】
図1の容器搬送装置5の右端において、空の収納容器Gが待機している。収納容器Gは、段ボール箱や合成樹脂製のコンテナにより構成されている。収納容器Gは、卵トレイTの外周をほぼ隙間なしで収納する形状とされている。
【0028】
卵トレイTに収納された卵Eは、卵吸着装置1により吸着保持され、卵トレイT自体は、トレイ保持装置2により保持される。この保持状態においては、卵Eの重さは卵座T2にあまり作用していない。
【0029】
卵Eを保持した卵吸着装置1と卵トレイTを保持したトレイ保持装置2は、移動装置3により、空の収納容器Gの上方に移動する。移動装置3は、多関節ロボットのヘッド部6を有するものであるから、ヘッド部6の移動により、卵Eと卵トレイTが収納容器Gの上方から、収納容器G内に移動する。そして、卵吸着装置1の吸着解除とトレイ保持装置2の保持解除により、卵Eと卵トレイTは、収納容器Gに収納される。
【0030】
卵Eと卵トレイTが、多段にわたって収納され、収納容器Gが満杯になると、容器搬送装置5により、
図1の左手に搬送される。そして、収納容器Gは、梱包されて出荷される。
【0031】
図3は、卵Eと卵トレイTを収納容器Gに収納する
図1の拡大図である。収納容器Gに収納された卵トレイTは、各段、180度転回して向きを変えて積み重ねられている。卵トレイTの上面の突出部T3の頂面に、その上の段の卵トレイTの卵座T2の底面が載置されている。180度転回は、ヘッド部6の回転で達成される。
【0032】
【0033】
ヘッド部6は、多関節ロボットのアーム部9の先端に設けられている。ヘッド部6は、卵吸着装置1とトレイ保持装置2とを有する。
【0034】
ヘッド部6は、アーム部9の先端に回動自在に設けられる基板10を有し、基板10は、ほぼ長方形を呈し、基板10の中央部に、アーム部9との接続部11が設けられている。この基板10の左右両側の上面にトレイ保持装置2が設けられている。基板10の下面側に卵吸着装置1が設けられている。
【0035】
図5、6に示すように、トレイ保持装置2と卵吸着装置1は分離可能に設けられ、メンテナンス容易とされている。
【0036】
トレイ保持装置2は、卵トレイTを保持する保持部材12を有する。保持部材12は、基板10の上面に設けられた保持部材移動装置13に設けられている。保持部材12は、棒状部材で構成されている。保持部材移動装置13は、シリンダにより構成されている。基板10の左右両側の上面に固定されたシリンダ本体14の中央にシリンダロッド15が移動自在に設けられ、シリンダロッド15の両側にガイドロッド16が設けられている。シリンダロッド15とガイドロッド16の先端は、ヘッドプレート17で連結されている。ヘッドプレート17に、棒状に形成された保持部材12の上端が固定されている。
【0037】
保持部材12の表面に、卵トレイTの凹部T1の外周に係合する係合部18が設けられている。係合部18は、凹凸部18aで構成されている。凹凸部18aは、ネジで構成されている。ネジ棒として構成された保持部材12の直径は、卵トレイTの凹部T1の深さよりも小さなものとされている。すなわち、保持部材12は、上下方向の移動で、凹部T1内に挿脱されるよう構成されている。そして、挿入後、保持部材移動装置13により、卵トレイTの凹部T1表面側に移動して、係合部18が凹部T1表面を押圧して保持するよう構成されている。この実施の形態では、卵トレイTの凹部T1は、
図2に示すように、右側が一か所で、左側が二か所であるので、保持部材12もそれに適合するように、一方は一本、他方は2本、配置されている。
【0038】
卵吸着装置1は、基板10の前後両側に設けられた卵吸着装置取付け部19により、着脱自在に基板10に取り付けられている。卵吸着装置1は、基板10と同じ形状の周壁付きトレイ20を有し、このトレイ20が卵吸着装置取付け部19により基板10下面に気密状に取り付けられて、気密室を形成する。トレイ20の下面に吸着パット21が、卵トレイTの卵座T2に収納された卵Eの頂面を吸着可能に卵座T2の数だけ設けられている。トレイ20には、通気パイプ22がトレイ20を貫通して設けられ、通気パイプ22の下端に蛇腹状の吸着パッド21が設けられている。
【0039】
基板10とトレイ20で形成される気密室は、基板10の上面に形成された接続部11を介して真空装置(図示省略)に接続されている。
【0040】
図11および
図12は、卵吸着装置1とトレイ保持装置2の詳細な動作説明図である。卵トレイTの外縁と、収納容器Gである段ボールの内面との距離は、ほぼゼロか卵トレイTの方が大きいくらいである。指掛け用凹部T1の一番凹んでいる部分の縁と段ボールGの内面との距離は11mmである。保持部材12の直径は6mmである。保持部材12が2本設けられた側の保持部材移動装置13のシリンダのストロークは40mmである。保持部材12が1本設けられた側の保持部材移動装置13のシリンダのストロークは15mmである。
【0041】
図1のトレイ搬送装置4上での卵トレイTの保持と卵Eの吸着は、ヘッド部6を卵トレイTの上方に位置させ、次いで下降させて、トレイ保持装置2の保持部材12を卵トレイTの凹部T1内に位置させる。卵吸着装置1の吸着パッド21で卵Eの頂面を吸着して、卵Eを保持する。保持部材12が2本のシリンダロッド15を40mm内側に動かし、かつ、保持部材12が1本のシリンダロッド15を15mm内側に動かして、左右両側の保持部材12の係合部18で卵トレイTを保持する。この状態で、
図12に示すように卵トレイTは左右両側の保持部材12により押されて下方に少し撓み、卵Eは卵吸着装置1の吸着パッド21により保持されてその重みは卵トレイTに作用していない。
【0042】
ヘッド部6を上方に移動させて、次いで、容器搬送装置5上の空の収納容器Gの上方まで移動させ、次いで、下降させて卵トレイTと卵Eを収納容器G内に移動させる。卵吸着手段1による卵Eの吸着保持を解除する。保持部材12が1本のシリンダロッド15を15mm外側に移動させて、保持部材12の係合部18と卵トレイTの係合を解除する。ヘッド部6を5mm、
図11,12に示す左側に移動させて、2本の保持部材12の係合部18と卵トレイTの係合を解除する。その後、ヘッド部6を上昇させて段ボールG外へ移動させる。
【0043】
なお、この実施の形態では、保持部材12であるネジ棒の下端に直径10mmのナットが固着されて、卵トレイTの不慮の落下を防止している。
【0044】
図13は、卵トレイ移載装置を用いた卵トレイ移載方法のフローチャートである。
【0045】
卵トレイ移載方法は、卵トレイTに収納された卵Eを、前記卵吸着装置1で吸着保持するステップS2、S6、S10、S14と、卵トレイTをトレイ保持装置2で保持するステップS3、S7、S11、S15と、移動装置3により卵Eと卵トレイTを収納容器Gに対して移動させるステップS4、S8、S12、S16とを含む。
【0046】
収納方法につき、より詳しく説明すれば、空の収納容器G(段ボール箱)を配置する(ステップS1)。卵吸着装置1で、1段目用の卵Eを吸着する(ステップS2)。トレイ保持装置2で、1段目用の卵トレイTの凹部T1を保持する(ステップS3)。移動装置3により卵吸着装置1とトレイ保持装置2を段ボール箱Gに移動させる(ステップS4)。1段目のトレイ保持と卵吸着を解除する(ステップS5)。
【0047】
2段目用の卵Eを吸着する(ステップS6)。2段目用のトレイTを保持する(ステップS7)。移動装置3のヘッド部6を転回させて後、卵吸着装置1とトレイ保持装置2を段ボール箱Gに移動させる(ステップS8)。2段目のトレイ保持と卵吸着を解除する(ステップS9)。
【0048】
3段目用の卵Eを吸着する(ステップS10)。3段目用のトレイTを保持する(ステップS11)。段ボール箱Gに移動させる(ステップS12)。3段目のトレイ保持と卵吸着を解除する(ステップS13)。
【0049】
4段目用の卵Eを吸着する(ステップS14)。4段目用のトレイTを保持する(ステップS15)。ヘッド部6を転回させて、段ボール箱Gに移動させる(ステップS16)。4段目のトレイ保持と卵吸着を解除する(ステップS17)。
【0050】
以上の動作を繰り返し、収納容器Gが満杯になると、蓋用のトレイTTをトレイ保持装置2で保持する(ステップS18)。段ボール箱Gに移動させる(ステップS19)。蓋用のトレイTTの保持を解除する(ステップS20)。
【0051】
完成した段ボール箱Gを容器搬送装置5により排出する(ステップS21)。
【0052】
なお、ステップS2とステップS3、ステップS6とステップS7、ステップS10とステップS11、ステップS14とステップS15は、この順序に限られず、逆であってもよく、また同時であってもよい。
【0053】
また、本発明の移載方法は、収納方法に限られず、収納容器から卵と卵トレイを取り出す取り出し方法にも適用される。
【0054】
図14に示すものは、本発明の他の実施の形態であり、保持部材12の係合部18が、膨張収縮自在な膨張部18bで構成されている。すなわち、上記実施の形態の凹凸部18aの係合部に代えて膨張部18bで凹部T1の周縁を係合して、卵トレイTを保持するものである。膨張部18bの具体的構成は、例えば、特許文献1記載の構成を採用することができる。
【0055】
係合部を膨張部18bで構成する場合は、シリンダで構成される保持部材移動装置13は不要となり、膨張部18bの膨張、収縮で、卵トレイTとの係合解除が達成できる。
【0056】
図15に示すものは、本発明の他の実施の形態であり、トレイ保持装置2は、卵トレイTを保持する保持部材12を有し、保持部材12の下部に、卵トレイTの凹部T1の下面に係合する係合凸部23を設けたものである。この実施の形態では、保持部材移動装置13は、上記の保持部材12を直進移動させるものに代えて、軸心周りに回動自在としたものである。
【0057】
卵トレイTの凹部T1内に在る保持部材12をその軸心周りに回動させて、係合凸部23と卵トレイTの凹部T1の下面との係合解除を行う。
【0058】
図16は、卵トレイTの他の実施の形態であり、卵座T2が5×6の30個設けられたものであり、平面視正方形に形成されている。凹部T1は、対向周面に2か所ずつ設けられている。収納容器Gに収納する場合、上記の180度転回に代えて、90度転回して積層される。90度転回させて積み重ねた時、卵座T2の底面が突出部T3の頂面に載置されるよう、卵座T2と突出部T3が配置されている。
【0059】
卵トレイTの形状、卵座T2の数や配置は、
図2や
図16に示すものに限定されない。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。実施の形態では、収納容器Gに収納する場合を例示したが、収納容器Gに収納された卵Eと卵トレイTを取り出すものにも本発明は適用される。
【0061】
移動装置3は多関節ロボットに限らず、ヘッド部6を水平面内と垂直面内で多方向に移動させるものであってもよい。
【0062】
また、卵トレイTの外周に形成される凹部T1は、指掛け用に限定されるものではなく、卵トレイ保持装置2が凹部T1内で作動できるものであればよい。係合部18の凹凸部18aは、ネジで構成されたものを例示したが、鋸刃状のものであってもよい。保持部材移動装置13は、シリンダに限らずソレノイドやモータ駆動のものであってもよい。
【0063】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 卵吸着装置
2 トレイ保持装置
3 移動装置
4 トレイ搬送装置
5 容器搬送装置
6 ヘッド部
7 移動部
8 基部
9 アーム部
10 基板
11 接続部
12 保持部材
13 保持部材移動装置
14 シリンダ本体
15 シリンダロッド
16 ガイドロッド
17 ヘッドプレート
18 係合部
18a 凹凸部
18b 膨張部
19 卵吸着装置取付け部
20 トレイ
21 吸着パッド
22 通気パイプ
23 係合凸部
C 制御部
E 卵
G 収納容器
T 卵トレイ
T1 凹部
T2 卵座
T3 突出部
TT 蓋用のトレイ