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特開2023-56691施設で栽培される農産物を配送するためのシステム、そのシステムにおいて実行される方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056691
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】施設で栽培される農産物を配送するためのシステム、そのシステムにおいて実行される方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20230413BHJP
   G06Q 10/083 20230101ALI20230413BHJP
【FI】
B65G61/00 542
B65G61/00 544
B65G61/00 510
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166053
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】515236189
【氏名又は名称】プランツラボラトリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】湯川 敦之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】施設で栽培される農産物を効率的に配送することが可能なシステムの提供。
【解決手段】
施設から1つ以上の農産物を配送することを要求する配送リクエストを受信する手段であって、配送リクエストは、1つ以上の配送先と、1つ以上の配送先の各々に対応する農産物の種類および数量とを含む、手段と、要求された1つ以上の農産物とは異なる物体を物流センターから施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、施設から少なくとも物流センターまで移動する第1の配送車両を特定する車両特定手段と、1つ以上の配送先のうちの第1の配送先へ配送する第1の農産物の種類および数量を第1の配送車両に割り当てる手段であって、第1の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、割り当て手段とを備え、第1の農産物は、まずは第1の配送車両に収容された後、第1の配送車両によって施設から物流センターに配送される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設で栽培される農産物を配送するためのシステムであって、前記システムは、
施設から1つ以上の農産物を配送することを要求する配送リクエストを受信する手段であって、前記配送リクエストは、1つ以上の配送先と、前記1つ以上の配送先の各々に対応する農産物の種類および数量とを含む、手段と、
物流センターから前記施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、前記施設から少なくとも前記物流センターまで移動する第1の配送車両を特定する車両特定手段と、
前記1つ以上の配送先のうちの少なくとも第1の配送先へ配送する第1の農産物の種類および数量を前記第1の配送車両に割り当てる手段であって、前記第1の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、割り当て手段と
を備え、
前記第1の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターに配送される、システム。
【請求項2】
前記第1の配送車両は第1の配送先まで移動するものであった場合において、
前記割り当て手段は、前記第1の農産物の種類およびその数量が前記物流センターから前記第1の配送先まで配送される配送車両として前記第1の配送車両を割り当て、
前記第1の農産物は、前記第1の配送車両によって、前記施設から前記物流センターを経由して前記第1の配送先に配送される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の配送車両は前記物流センターまで、または前記第1の配送先とは異なる場所へ移動するものであった場合において、前記車両特定手段は、前記物流センターから第1の配送先まで移動する第2の配送車両を特定する手段をさらに備え、
前記割り当て手段は、前記第1の農産物の種類および数量を前記第2の配送車両に割り当てる手段をさらに備え
前記第1の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターまで配送された後、前記物流センターにおいて前記第1の農産物を前記第1の配送車両から第2の配送車両に乗せ換えることで前記第1の配送先に配送される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記車両特定手段は、前記物流センターから第2の配送先に移動する第3の配送車両を特定する手段をさらに備え、
前記割り当て手段は、前記1つ以上の配送先のうち、前記第2の配送先に配送する第2の農産物の種類および数量を、前記施設から前記物流センターまで前記第1の配送車両に割り当てるとともに、前記物流センターから前記第2の配送先までは前記第3の配送車両に割り当てる手段であって、前記第2の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、手段をさらに備え、
前記第2の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターまで配送され、前記物流センターにおいて前記第2の農産物は前記第1の配送車両から第3の配送車両に乗せ換えることで前記第2の配送先に配送される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、データベース部に接続されており、前記データベース部は、前記第1の配送車両の配送スケジュールと、前記1つ以上の農産物の栽培終了予定時期を示す情報とを含み、
前記システムは、前記第1の配送車両の配送スケジュールと前記1つ以上の農産物の栽培終了予定時期とに基づいて、前記第1の配送車両に収容されるべき前記1つ以上の農産物を特定する手段をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記施設は、前記1つ以上の農産物を販売する店舗を有する商業施設を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
施設から農産物を配送するためのシステムにおいて実行される方法であって、
前記システムは、プロセッサ部を備え、
前記方法は、
前記プロセッサ部が、施設から1つ以上の農産物を配送することを要求する配送リクエストを受信することであって、前記配送リクエストは、1つ以上の配送先と、前記1つ以上の配送先の各々に対応する農産物の種類および数量とを含む、ことと、
前記プロセッサ部が、前記要求された1つ以上の農産物とは異なる物体を前記物流センターから前記施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、前記施設から少なくとも前記物流センターまで移動する第1の配送車両を特定することと、
前記プロセッサ部が、前記第1の配送先に配送する第1の農産物の種類および数量を前記第1の配送車両に割り当てることであって、前記第1の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、ことと
を含み、
前記特定された1つ以上の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターに配送される、方法。
【請求項8】
施設から農産物を配送するためのシステムにおいて実行されるプログラムであって、
前記システムは、プロセッサ部を備え、
前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、
施設から1つ以上の農産物を配送することを要求する配送リクエストを受信することであって、前記配送リクエストは、1つ以上の配送先と、前記1つ以上の配送先の各々に対応する農産物の種類および数量とを含む、ことと、
前記要求された1つ以上の農産物とは異なる物体を前記物流センターから前記施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、前記施設から少なくとも前記物流センターまで移動する第1の配送車両を特定することと、
前記1つ以上の配送先のうちの第1の配送先に配送する第1の農産物の種類および数量を前記第1の配送車両に割り当てることであって、前記第1の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、ことと
を少なくとも実行することを前記プロセッサ部に行わせ、
前記第1の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターに配送される、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設で栽培される農産物を配送するためのシステム、そのシステムにおいて実行される方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定のエリア内の配送の拠点である物流センターから別の場所まで配送物を配送または輸送すること(いわゆる、物流)が知られている。また、施設で栽培された農産物を、農産物を販売する店舗などの各配送先にそれぞれは移動する配送車両に積載して配送することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
配送物を配送するための配送車両は、例えば、物流センターから配送先までの往路上では、配送物を荷台上に積載している。しかしながら、配送物を配送先である施設まで配送した後、施設から物流センターまでの復路上では、配送車両は、比較的少ない配送物しか積載していない場合またはその荷台を空にしている場合が多い。また、従来、施設で栽培された農産物を、農産物を販売する店舗などに配送するには、施設から各配送先にそれぞれ直接移動する配送車両にそれぞれ積載することで配送しており、多くの配送車両が必要であった。
【0004】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、施設で栽培される農産物を効率的に配送することが可能なシステム、そのシステムにおいて実行される方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の項目を提供する。
【0006】
(項目1)
施設で栽培される農産物を配送するためのシステムであって、前記システムは、
施設から1つ以上の農産物を配送することを要求する配送リクエストを受信する手段であって、前記配送リクエストは、1つ以上の配送先と、前記1つ以上の配送先の各々に対応する農産物の種類および数量とを含む、手段と、
物流センターから前記施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、前記施設から少なくとも前記物流センターまで移動する第1の配送車両を特定する車両特定手段と、
前記1つ以上の配送先のうちの少なくとも第1の配送先へ配送する第1の農産物の種類および数量を前記第1の配送車両に割り当てる手段であって、前記第1の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、割り当て手段と
を備え、
前記第1の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターに配送される、システム。
【0007】
(項目2)
前記第1の配送車両は第1の配送先まで移動するものであった場合において、
前記割り当て手段は、前記第1の農産物の種類およびその数量が前記物流センターから前記第1の配送先まで配送される配送車両として前記第1の配送車両を割り当て、
前記第1の農産物は、前記第1の配送車両によって、前記施設から前記物流センターを経由して前記第1の配送先に配送される、項目1に記載のシステム。
【0008】
(項目3)
前記第1の配送車両は前記物流センターまで、または前記第1の配送先とは異なる場所へ移動するものであった場合において、前記車両特定手段は、前記物流センターから第1の配送先まで移動する第2の配送車両を特定する手段をさらに備え、
前記割り当て手段は、前記第1の農産物の種類および数量を前記第2の配送車両に割り当てる手段をさらに備え
前記第1の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターまで配送された後、前記物流センターにおいて前記第1の農産物を前記第1の配送車両から第2の配送車両に乗せ換えることで前記第1の配送先に配送される、項目1に記載のシステム。
【0009】
(項目4)
前記車両特定手段は、前記物流センターから第2の配送先に移動する第3の配送車両を特定する手段をさらに備え、
前記割り当て手段は、前記1つ以上の配送先のうち、前記第2の配送先に配送する第2の農産物の種類および数量を、前記施設から前記物流センターまで前記第1の配送車両に割り当てるとともに、前記物流センターから前記第2の配送先までは前記第3の配送車両に割り当てる手段であって、前記第2の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、手段をさらに備え、
前記第2の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターまで配送され、前記物流センターにおいて前記第2の農産物は前記第1の配送車両から第3の配送車両に乗せ換えることで前記第2の配送先に配送される、項目1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【0010】
(項目5)
前記システムは、データベース部に接続されており、前記データベース部は、前記第1の配送車両の配送スケジュールと、前記1つ以上の農産物の栽培終了予定時期を示す情報とを含み、
前記システムは、前記第1の配送車両の配送スケジュールと前記1つ以上の農産物の栽培終了予定時期とに基づいて、前記第1の配送車両に収容されるべき前記1つ以上の農産物を特定する手段をさらに備える、項目1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【0011】
(項目6)
前記施設は、前記1つ以上の農産物を販売する店舗を有する商業施設を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【0012】
(項目7)
施設から農産物を配送するためのシステムにおいて実行される方法であって、
前記システムは、プロセッサ部を備え、
前記方法は、
前記プロセッサ部が、施設から1つ以上の農産物を配送することを要求する配送リクエストを受信することであって、前記配送リクエストは、1つ以上の配送先と、前記1つ以上の配送先の各々に対応する農産物の種類および数量とを含む、ことと、
前記プロセッサ部が、前記要求された1つ以上の農産物とは異なる物体を前記物流センターから前記施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、前記施設から少なくとも前記物流センターまで移動する第1の配送車両を特定することと、
前記プロセッサ部が、前記第1の配送先に配送する第1の農産物の種類および数量を前記第1の配送車両に割り当てることであって、前記第1の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、ことと
を含み、
前記特定された1つ以上の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターに配送される、方法。
【0013】
(項目8)
施設から農産物を配送するためのシステムにおいて実行されるプログラムであって、
前記システムは、プロセッサ部を備え、
前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、
施設から1つ以上の農産物を配送することを要求する配送リクエストを受信することであって、前記配送リクエストは、1つ以上の配送先と、前記1つ以上の配送先の各々に対応する農産物の種類および数量とを含む、ことと、
前記要求された1つ以上の農産物とは異なる物体を前記物流センターから前記施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、前記施設から少なくとも前記物流センターまで移動する第1の配送車両を特定することと、
前記1つ以上の配送先のうちの第1の配送先に配送する第1の農産物の種類および数量を前記第1の配送車両に割り当てることであって、前記第1の農産物は、前記1つ以上の農産物のうちの1つである、ことと
を少なくとも実行することを前記プロセッサ部に行わせ、
前記第1の農産物は、前記第1の配送車両に収容された後、前記第1の配送車両によって前記施設から前記物流センターに配送される、プログラム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、施設で栽培される農産物を効率的に配送することが可能なシステム、そのシステムにおいて実行される方法およびプログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】新しい配送方法のフローの一例を示す図
図2】物流における新しい配送方法を実現するためのコンピュータシステム200の構成の一例を示す図
図3A】農産物データベース部251に格納されている情報の構成の一例を示す図
図3B】栽培管理データベース部252に格納されている情報の構成の一例を示す図
図3C】配送車両データベース部253に格納されている情報の構成の一例を示す図
図4】農産物を栽培するためのラックの構成の一例を示す図
図5】農産物管理システム210において実行される処理のフローの第一例を示す図
図6】農産物管理システム210において実行される処理のフローの第2例を示す図
図7】農産物管理システム210において実行される処理のフローの第3例を示す図
図8図7に示す第3例における農産物の配送状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.物流における新しい配送手法
出願人は、物流における新しい配送手法を提案する。この新しい配送手法では、施設まで配送物を配送して物流センターに戻る配送車両に、または、施設まで配送物を配送して物流センターとは別の場所に移動する配送車両に、施設において栽培されている農産物を収容することによって、配送車両の復路(すなわち、配送車両が配送先の施設から引き返す過程)においても配送車両の積載量を増大させ、配送を効率化する(すなわち、配送効率を向上させる)ことを企図している。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、新しい配送方法のフローの一例を示す。なお、「物流センター」は、様々な物品を所定のエリア内の少なくとも1つの施設に配送するための拠点をいう。また、「施設」は、物流センターから配送可能な場所に位置する建物をいう。図1に示される実施形態では、施設は、農産物(例えば、レタス、トマト、イチゴなど)を栽培するための栽培場所を備える。施設は、農産物を生産するための農産物生産工場であってもよいし、農産物とともに農産物以外の物も販売している店舗を有する商業施設(例えば、ショッピングモールなどの大型複合施設)であってもよい。栽培場所は、施設に併設されていてもよいし、施設の内部に設けられていてもよい。栽培所において栽培された農産物は、施設において使用、加工および/または販売されてもよい。以下、図1に示されるフローの各ステップを詳細に説明する。
【0019】
ステップS101:物流センターは、配送車両を用いて、所定の施設とは異なる他の場所から物流センターまで配送されてきた任意の物体(積荷)を所定の施設まで配送する。このような物体は、施設において必要とされる(例えば、販売される、および/または使用される)物であり得る。
【0020】
施設において、物流センターから施設に到達した配送車両から積荷が降ろされる。積荷を降ろしたことによって空いた配送車両のスペースに、施設の栽培場所において栽培された農産物が積載される。
【0021】
ステップS102:施設の栽培場所において栽培された農産物を新たな積荷として、配送車両は、施設の栽培場所において栽培された農産物を配送先に配送するために、物流センターに戻る。
【0022】
ステップS103:施設から物流センターまで農産物を積載して移動した配送車両の配送先が農産物の配送先と同じ場合は、配送車両は施設の栽培場所において栽培された農産物を積載した状態のまま、物流センターから配送先まで配送する。
【0023】
施設から物流センターまで農産物を積載して移動した配送車両の配送先が農産物の配送先と異なる場合は、物流センターにおいて農産物を物流センターから農産物の配送先まで移動する配送車両に乗せ換えることで、農産物を物流センターから配送先まで配送する。
【0024】
なお、配送先は、農産物を未加工のまま販売する小売店(例えば、八百屋、スーパーマーケット)であってもよいし、農産物を加工して提供する小売店(レストラン、スーパーマーケット)であってもよいし、提携している店舗(例えば、コンビニエンスストア)に加工された農産物を納品するために農産物を加工するための工場であってもよい。
【0025】
このように、施設に農産物の栽培場所を設け、物流センターから施設まで積荷を配送しに来た配送車両に、施設で栽培された農産物を積載することによって、配送車両の復路(すなわち、施設から物流センターに戻る経路)上における積載量を、施設において配送車両に何も積載しないで物流センターに戻す場合と比較して増大させることが可能となる。また、このように施設と物流センターとを往復する配送車両を利用することにより、施設から農産物の各配送先に直接移動する配送車両が不要となり、さらに運送コストの低減を可能とする。
【0026】
2.物流における新しい配送方法のためのシステムの構成
図2は、物流における新しい配送方法を実現するためのコンピュータシステム200の構成の一例を示す。
【0027】
コンピュータシステム200は、栽培場所において栽培されている農産物のための処理を実行する農産物管理システム210と、物流センターのための処理を実行する物流管理システム220~220と、配送先(例えば、スーパーマーケット、レストラン、コンビニエンスストア)のための処理を実行する配送先管理システム230~230とを備える。農産物管理システム210は、インターネット240を介して、物流管理システム220~220のそれぞれと通信可能なように、かつ、配送先管理システム230~230のそれぞれと通信可能なように構成されている。ここで、N、Mは、1以上の整数である。
【0028】
図2に示される例では、農産物管理システム210は、インターフェース部211と、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ部212と、メモリ部213とを含む。農産物管理システム210のハードウェア構成は、その機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0029】
インターフェース部211は、物流管理システム220~220のそれぞれとの通信を制御し、配送先管理システム230~230のそれぞれとの通信を制御する。
【0030】
メモリ部213には、処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部213に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部213にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネット240などのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部213にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部213にインストールされるようにしてもよい。
【0031】
プロセッサ部212は、農産物管理システム210全体の動作を制御する。プロセッサ部212は、メモリ部213に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、農産物管理システム210は、所望のステップを実行する装置として機能することが可能であり、農産物管理システム210のプロセッサ部212は、所望の機能を達成する手段として動作することが可能である。
【0032】
農産物管理システム210は、データベース部250に接続されている。データベース部250は、農産物データベース部251と、栽培管理データベース部252と、配送車両データベース部253とを含む。
【0033】
物流管理システム220~220のそれぞれ、および、配送先管理システム230~230のそれぞれは、インターネット240を介して農産物管理システム210と通信可能なように構成されている。例えば、物流管理システム220~220のそれぞれは、通信インターフェースを有する任意のタイプのコンピュータ(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス、スマートウォッチ端末などの携帯無線端末、または、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPCなどのパーソナルコンピュータ、または、サーバとして機能するコンピュータシステム)であってもよい。配送先管理システム230~230のそれぞれもまた、通信インターフェースを有する任意のタイプのコンピュータ(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス、スマートウォッチ端末などの携帯無線端末、または、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPCなどのパーソナルコンピュータ、または、サーバとして機能するコンピュータシステム)であってもよい。
【0034】
なお、図2に示される実施形態では、農産物管理システム210がインターネット240を介して物流管理システム220~220のそれぞれと通信可能であり、かつ、配送先管理システム230~230のそれぞれと通信可能であると説明したが、本発明はこれに限定されない。インターネット240の代わりに任意のタイプのネットワークを用いることも可能である。また、図2に示される実施形態では、コンピュータシステム200に含まれる構成要素間の通信が同一のネットワーク(すなわち、インターネット240)を介して実現されているが、本発明はこれに限定されない。コンピュータシステム200に含まれる構成要素間の通信は、同一のネットワークを介して実現されてもよいし、部分的に異なる別個のネットワークを介して実現されてもよいし、すべて別個のネットワークを介して実現されてもよい。
【0035】
また、図2に示される実施形態では、データベース部250は、農産物管理システム210の外部に設けられているが、その態様は問わない。例えば、データベース部250は、農産物管理システム210の単一の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。あるいは、データベース部250は、農産物管理システム210の内部に設けられることも可能である。データベース部250の構成は、特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部250は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。さらに、データベース部250に含まれる各データベース部の構成もまた特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部250に含まれる各データベース部もまた、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。
【0036】
図3Aは、農産物データベース部251に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0037】
農産物データベース部251には、施設において栽培されている農産物に関する情報が格納されている。農産物に関する情報は、農産物を識別するための情報(農産物ID)によって識別されることが可能である。図3Aに示される実施形態では、農産物に関する情報は、農産物の名称、生育条件、収穫までの期間などをさらに含む。
【0038】
図3Bは、栽培管理データベース部252に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0039】
栽培管理データベース部252には、施設において栽培されている農産物の生育状況に関する情報が格納されている。農産物の生育状況に関する情報は、農産物を栽培するための栽培槽を備えるラックを識別するためのラックIDによって識別されることが可能である。農産物の生育状況に関する情報は、農産物を識別するための情報(農産物ID)と関連付けられている。図3Bに示される実施形態では、農産物の生育状況に関する情報は、農産物IDによって識別される農産物の栽培開始時期、栽培終了予定時期、現在の生育状態などをさらに含む。
【0040】
図3Cは、配送車両データベース部253に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0041】
配送車両データベース部253には、施設に到達する配送車両に関する情報が格納されている。配送車両に関する情報は、配送車両を識別するための情報(配送車両ID)によって識別されることが可能である。配送車両に関する情報は、配送車両IDによって識別される配送車両に積載される農産物を栽培しているラックを識別するための情報(ラックID)、および、配送車両IDによって識別される配送車両に積載される農産物を識別するための情報(農産物ID)と関連付けられている。図3Cに示される実施形態では、配送車両に関する情報は、配送車両を管理している配送業者、配送車両の配送スケジュール、配送車両の配送先などをさらに含む。
【0042】
農産物管理システム210は、物流管理システム220~220のそれぞれから、積荷(例えば、施設および/または栽培場所において使用するために必要とされる物)の配送のために配送車両の配送スケジュールを定期的に受信する。具体的には、受信される配送スケジュールは、各配送車両が施設に到達する日程(および時刻)を示す情報と、各配送車両が施設の後にどこに移動するか(すなわち、施設の栽培場所において栽培されている農産物を施設および/または物流センターから配送することが可能な配送先の候補)を示す情報と、配送車両が配送先に到着する時間を示す情報とを含み得る。農産物管理システム210は、受信された配送スケジュールに基づいて、配送車両データベース部253内の配送スケジュールを更新し得る。
【0043】
図4は、農産物を栽培するためのラックの構成の一例を示す。
【0044】
図4に示される実施形態では、ラック400は、農産物を栽培するための複数の栽培槽410と、4本の支柱420と、2本の支柱420に架け渡された複数対の主ビーム430および複数対の副ビーム440と、一対の主ビーム430間に架け渡された複数本の桟(図示せず)と、各支柱420の下端に取り付けられたキャスタ450とを備える。栽培槽410は、例えば、液体(例えば、真水、培養液)を溜めるトレー部411と、トレー部411の底面上に置かれる苗床パレット412またはトレー部412の上面を塞ぐ板状の定植パレット413(図示せず)とを備える。4本の支柱420は、間隔が広い一対と、間隔が狭い一対とによって、平面視が長方形の角に位置するように配置されていてもよい。なお、栽培槽410、支柱420、主ビーム430、副ビーム440、およびキャスタ450の各々の数、形状、およびサイズは、図4に示されるものに限定されず、ラック400が農産物を栽培することが可能である限りにおいて任意であり得る。
【0045】
なお、苗床パレット412は、播種の工程および育苗の工程で使用される。苗床パレット412は、例えば、スポンジやウレタンフォームなどで成形されている。苗床パレット412は、例えば、1つの農産物を成長させる定植セグメント(図示せず)に切断しやすくするために、縦横に切目(図示せず)が入れられている。苗床パレット412は、例えば、切目で囲まれた各領域の中心に種を置く窪み(採番せず)や種を入れる切込み(図示せず)が形成されている。
【0046】
また、定植パレット413は、定植の工程で使用される。定植の工程では、農産物が定植セグメントで出荷できるまで大きく成長する。定植パレット413は、多数の穴を空けたパネルである。各穴に栽培ポット(図示せず)が嵌め込まれる。栽培ポット内には、定植セグメントが入れられる。
【0047】
図4に示される実施形態では、ラック400は、タンク460と、タンク460から栽培槽410に液体(例えば、真水または培養液)を供給するための第1の管470と、栽培槽410における農産物に吸収されなかった液体(例えば、真水または培養液)を栽培槽410から排出するための第2の管480と、タンク460と第1の管470と栽培槽410と第2の管480との間で液体(例えば、真水または培養液)を循環させるためのポンプ(図示せず)とをさらに備える。第1の管470は、ラック400の一端側において上下方向に並んだ副ビーム440に架け渡される。第1の管470は、各栽培槽410のトレー部411内に液体を供給するようにトレー部411の一方の端部の上面開口側に取り付けられる。第2の管480は、ラック400の他端側において上下方向に並んだ副ビーム440に架け渡される。第2の管480は、トレー部411の他方の端部の底側に取り付けられる。液体が農産物に吸い取られるなどによって減ると、その減った分の水がタンク460に補給される。なお、タンク460、第1の管470、第2の管480、およびポンプの各々の数、形状、およびサイズは、図4に示されるものに限定されず、ラック400が農産物を栽培することが可能である限りにおいて任意であり得る。
【0048】
図4に示される実施形態では、ラック400は、光源490をさらに備える。光源490は、栽培槽410内の農産物を均等に照明するために、例えば桟の下側に取り付けられる。光源490は、例えば、管状のLEDランプであってもよいし、平板状のLEDランプであってもよい。なお、図4に示される実施形態では、LEDランプは、農産物の生育に適した波長の光を出すことができる。なお、光源490の数、形状、およびサイズは、図4に示されるものに限定されず、ラック400が農産物を栽培することが可能である限りにおいて任意であり得る。また、ラック400には、ポンプを駆動させたり光源490を発光させたりするための電源ライン(図示せず)が配線されていてもよいし、ポンプを駆動させたり光源490を発光させたりするための電源がさらに設けられていてもよい。
【0049】
4.農産物管理システムの処理
図5は、農産物管理システム210において実行される処理のフローの第1例を示す。図5に示される各ステップは、農産物管理システム210に含まれるプロセッサ部211によって実行される。以下、図5に示される各ステップを詳しく説明する。
【0050】
ステップS501:施設から1つ以上の農産物を配送することを要求する配送リクエストが受信される。配送リクエストは、例えば、物流管理システム220および/または配送先管理システム230から受信される。配送リクエストは、例えば、施設からの1つ以上の配送先と、1つ以上の配送先の各々に対応する農産物の種類および数量(すなわち、配送先ごとに、その配送先に配送されるべき農産物の種類および数量)とを含む。さらに配送リクエストには、希望する配達時間を含み得る。
【0051】
ステップS502:配送リクエストを受信したことに応答して、物体(例えば、物資、資材)を施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、要求される配送スケジュールを満足する、施設から物流センターを介して第1の配送先まで移動する第1の配送車両Xが特定される。この処理は、例えば、図3Cに示される配送車両データベース部253(特に、配送車両データベース部253内の配送スケジュール)を参照して実行される。例えば、農産物管理システム210のプロセッサ部211は、配送車両データベース部253内の配送スケジュールを参照して、施設の栽培場所において栽培されている農産物を施設から配送することが可能な配送先の候補を示す情報に基づいて、施設から第1の配送先まで移動する配送車両を特定してもよい。第1の配送先は、加工または販売のために第1の農産物を必要とする場所(例えば、工場、スーパーマーケット、レストラン、コンビニエンスストア)であり得る。なお、物流センターと第1の配送先との間に別の物流センターを介することがあってもよい。
【0052】
ステップS503:配送リクエストに示される第1の配送先に配送されるべき農産物の種類および数量に従って、施設において栽培されている1つ以上の農産物のうち、ステップS502において特定された第1の配送車両Xに収容されるべき第1の農産物およびその数量が、第1の配送車両Xに割り当てられる。
【0053】
第1の配送車両Xに収容されて第1の配送先に配送されるべき第1の農産物およびその数量は、農産物管理システム210のプロセッサ部211が、例えば、図3Aに示される農産物データベース部251を参照して第1の農産物を識別するための農産物IDを特定し、第1の農産物の農産物IDに基づいて、図3Bに示される栽培管理データベース部252を参照して第1の農産物の栽培終了予定時期を特定し、図3Cに示される配送車両データベース部253をさらに参照して、第1の配送車両Xの配送スケジュールと第1の農産物の栽培終了予定時期および希望する配達時間とに基づいて、施設において栽培されている第1の農産物のうち、配送車両Xに収容されるべき特定の第1の農産物(例えば、第1の配送車両Xが施設に到達する前(例えば、直前)に栽培終了(すなわち、収穫すべき時期)を迎える第1の農産物)(または、そのような第1の農産物が栽培されているラック)を特定し、第1の配送車両Xに収容されるべき特定の第1の農産物(および/または特定の第1の農産物を栽培しているラック)を第1の配送車両Xに割り当てることによって、第1の配送車両Xに割り当てられ得る。これにより、第1の農産物の収穫のタイミングと第1の配送車両が施設に到達するタイミングとを合わせることが可能であり、ひいては、これは、収穫から需要者への提供までの時間を可能な限り短くし、可能な限り新鮮な第1の農産物を需要者に提供することを可能にする。
【0054】
ステップS503の後、第1の農産物は、第1の配送車両Xに収容され、その後、第1の配送車両Xによって施設から物流センターを介して第1の配送先に配送される。
【0055】
このようにすることで、施設で栽培された農産物を施設から直接配送先に移動する配送車両が不要となり、物流センターから施設に部材を配送する配送車両を用いて、施設から物流センターを介して配送先に農産物を配送することが可能となり、農産物の効率的な配送および配送コストの低減を図ることが可能となる。
【0056】
図6は、農産物管理システム210において実行される処理のフローの第2例を示す。図6に示される各ステップは、農産物管理システム210に含まれるプロセッサ部211によって実行される。以下、図6に示される各ステップを詳しく説明する。
【0057】
ステップS601:ステップS501と同じである。
【0058】
ステップS602:配送リクエストを受信したことに応答して、物体(例えば、物資、資材)を施設まで配送する少なくとも1つの配送車両のうち、要求される配送スケジュール(特に、配送時間)を満足する、施設から物流センターまで移動する第1の配送車両Xが特定される。
【0059】
ステップS603:次に、要求される配送スケジュールを満足する物体を物流センターまで配送し、物流センターから第1の配送先まで移動する第2の配送車両Yが特定される。なお、ステップS602およびS603におけるこの処理は、例えば、図3Cに示される配送車両データベース部253(特に、配送車両データベース部253内の配送スケジュール)を参照して実行される。例えば、農産物管理システム210のプロセッサ部211は、配送車両データベース部253内の配送スケジュールを参照して、施設の栽培場所において栽培されている農産物を施設から配送することが可能な配送先の候補を示す情報に基づいて、施設から物流センターまで移動する第1の配送車両と物流センターから第1の配送先まで移動する第2の配送車両を特定してもよい。なお、最初に第2の配送車両は、第1の農産物を積載して物流センターから第1の配送先まで移動し、その後に、物体を積載して第1の配送先から物流センターまで移動する場合であってもよい。
【0060】
ステップS604:配送リクエストに示される第1の配送先に配送されるべき農産物の種類および数量に従って、施設において栽培されている1つ以上の農産物のうち、ステップS602において特定された第1の配送車両Xに収容されるべき第1の農産物およびその数量が、第1の配送車両Xに割り当てられる。
【0061】
ステップS605:配送リクエストに示される第1の配送先に配送されるべき農産物の種類および数量に従って、施設において栽培されている1つ以上の農産物のうち、ステップS603において特定された第2の配送車両Yに収容されるべき第1の農産物およびその数量が、第2の配送車両Yに割り当てられる。
【0062】
第1の配送車両Xおよび第2の配送車両Yに収容されて第1の配送先に配送されるべき第1の農産物およびその数量は、農産物管理システム210のプロセッサ部211が、例えば、図3Aに示される農産物データベース部251を参照して第1の農産物を識別するための農産物IDを特定し、第1の農産物の農産物IDに基づいて、図3Bに示される栽培管理データベース部252を参照して第1の農産物の栽培終了予定時期を特定し、図3Cに示される配送車両データベース部253をさらに参照して、第1の配送車両Xの配送スケジュールおよび第2の配送車両Yの配送スケジュールと第1の農産物の栽培終了予定時期および希望する配達時間とに基づいて、施設において栽培されている第1の農産物のうち、第1の配送車両Xおよび第2の配送車両Yに収容されるべき特定の第1の農産物(例えば、第1の配送車両Xが施設に到達する前(例えば、直前)に栽培終了(すなわち、収穫すべき時期)を迎える第1の農産物)(または、そのような第1の農産物が栽培されているラック)を特定し、第1の配送車両Xに収容されるべき特定の第1の農産物(および/または特定の第1の農産物を栽培しているラック)を第1の配送車両Xに割り当てることによって、第1の配送車両Xに割り当てられ得る。これにより第1の実施例1と同様の効果を奏し得る。
【0063】
このようにすることで、施設で栽培された農産物を施設から直接配送先に移動する配送車両が不要となり、物流センターから施設、物流センターから各配送先に物体(部材)を配送する配送車両を用いて、施設からまずは物流センターに農産物を配送するとともに、物流センターから配送先まで移動する別の配送車両に農産物を乗せ換えることで、配送先に農産物を配送することが可能となり、農産物の効率的な配送および配送コストの低減を図ることが可能となる。
【0064】
図7は、農産物管理システム210において実行される処理のフローの第3例を示す。また、図8は、図7に示す第3例における農産物の配送状態を示す。図7に示される各ステップは、農産物管理システム210に含まれるプロセッサ部211によって実行される。以下、図7に示される各ステップを詳しく説明する。
【0065】
ステップS701~S703:ステップS601~S603と同じである。
【0066】
ステップS704:次に、要求される配送スケジュールを満足する物流センターまで物体を配送し、物流センターから第2の配送先まで移動する第3の配送車両Zが特定される。なお、ステップS701~S704におけるこの処理は、例えば、図3Cに示される配送車両データベース部253(特に、配送車両データベース部253内の配送スケジュール)を参照して実行される。例えば、農産物管理システム210のプロセッサ部211は、配送車両データベース部253内の配送スケジュールを参照して、施設の栽培場所において栽培されている農産物を施設から配送することが可能な配送先の候補を示す情報に基づいて、施設から物流センターまで移動する第1の配送車両と、物流センターから第1の配送先まで移動する第2の配送車両と、物流センターから第2の配送先まで移動する第3の配送車両とを特定してもよい。なお、第3の配送車両は、最初に第2の農産物を積載して物流センターから第2の配送先まで移動し、その後に、物体を積載して第2の配送先から物流センターまで移動する場合であってもよい。
【0067】
ステップS705:配送リクエストに示される第1の配送先および第2の配送機に配送されるべき農産物の種類および数量に従って、施設において栽培されている1つ以上の農産物のうち、ステップS702において特定された第1の配送車両Xに収容されるべき第1および第2の農産物およびその数量が、第1の配送車両Xに割り当てられる。
【0068】
ステップS706:配送リクエストに示される第1の配送先に配送されるべき農産物の種類および数量に従って、施設において栽培されている1つ以上の農産物のうち、ステップS703において特定された第2の配送車両Yに収容されるべき第1の農産物およびその数量が、第2の配送車両Yに割り当てられる。
【0069】
ステップS707:配送リクエストに示される第2の配送先に配送されるべき農産物の種類および数量に従って、施設において栽培されている1つ以上の農産物のうち、ステップS704において特定された第3の配送車両Zに収容されるべき第2の農産物およびその数量が、第3の配送車両Zに割り当てられる。
【0070】
第1の配送車両Xおよび第2の配送車両Yに収容されて第1の配送先に配送されるべき第1の農産物およびその数量は、農産物管理システム210のプロセッサ部211が、例えば、図3Aに示される農産物データベース部251を参照して第1の農産物を識別するための農産物IDを特定し、第1の農産物の農産物IDに基づいて、図3Bに示される栽培管理データベース部252を参照して第1の農産物の栽培終了予定時期を特定し、図3Cに示される配送車両データベース部253をさらに参照して、第1の配送車両Xの配送スケジュールおよび第2の配送車両Yの配送スケジュールと第1の農産物の栽培終了予定時期および希望する配達時間とに基づいて、施設において栽培されている第1の農産物のうち、第1の配送車両Xおよび第2の配送車両Yに収容されるべき特定の第1の農産物(例えば、第1の配送車両Xが施設に到達する前(例えば、直前)に栽培終了(すなわち、収穫すべき時期)を迎える第1の農産物)(または、そのような第1の農産物が栽培されているラック)を特定し、第1の配送車両Xおよび第2の配送車両Yに収容されるべき特定の第1の農産物(および/または特定の第1の農産物を栽培しているラック)を第1の配送車両Xおよび第2の配送車両Yに割り当て得る。
【0071】
また、第1の配送車両Xおよび第3の配送車両Zに収容されて第2の配送先に配送されるべき第2の農産物およびその数量は、農産物管理システム210のプロセッサ部211が、例えば、図3Aに示される農産物データベース部251を参照して第1の農産物を識別するための農産物IDを特定し、第1の農産物の農産物IDに基づいて、図3Bに示される栽培管理データベース部252を参照して第1の農産物の栽培終了予定時期を特定し、図3Cに示される配送車両データベース部253をさらに参照して、第1の配送車両Xの配送スケジュールおよび第3の配送車両Zの配送スケジュールと第2の農産物の栽培終了予定時期および希望する配達時間とに基づいて、施設において栽培されている第2の農産物のうち、第1の配送車両Xおよび第3の配送車両Zに収容されるべき特定の第2の農産物(例えば、第1の配送車両Xが施設に到達する前(例えば、直前)に栽培終了(すなわち、収穫すべき時期)を迎える第1の農産物)(または、そのような第2の農産物が栽培されているラック)を特定し、第1の配送車両Xおよび第3の配送車両に収容されるべき特定の第2の農産物(および/または特定の第2の農産物を栽培しているラック)を第1の配送車両Xおよび第3の配送車両Zに割り当て得る。これにより第2例と同様の効果を奏し得る。なお、物流センターと第2の配送先との間に別の物流センターを介することがあってもよい。
【0072】
このようにすることで、施設で栽培された農産物を施設から直接配送先に移動する配送車両が不要となり、物流センターから施設に部材を配送する配送車両を用いて、施設からまずは物流センターに農産物を配送するとともに、物流センターから配送先まで移動する別の配送車両に農産物を乗せ換えることで、配送先に農産物を配送することが可能となり、農産物の効率的な配送および配送コストの低減を図ることが可能となる。
【0073】
なお、図5~7に示される例では、メモリ部に格納されたプログラムをプロセッサ部が実行することによって、図5~7に示される各ステップの処理が実現される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。図5~7に示される各ステップのうちの少なくとも一部の処理が制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0074】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、施設で栽培される農産物を効率的に配送することが可能なシステム、そのシステムにおいて実行される方法およびプログラム等を提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0076】
200 コンピュータシステム
210 農産物管理システム
220 物流管理システム
230 配送先管理システム
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8