IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 若水技研株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-メカロス抑制機構 図1
  • 特開-メカロス抑制機構 図2
  • 特開-メカロス抑制機構 図3
  • 特開-メカロス抑制機構 図4
  • 特開-メカロス抑制機構 図5
  • 特開-メカロス抑制機構 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056696
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】メカロス抑制機構
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/06 20060101AFI20230413BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B65H23/06
B65H20/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166059
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】518165682
【氏名又は名称】若水技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】清水 康男
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】清水 賢二
【テーマコード(参考)】
3F103
3F104
【Fターム(参考)】
3F103AA05
3F103AA08
3F103BA01
3F104AA05
3F104AA08
3F104BA01
3F104CA17
3F104DA07
3F104DA31
3F104FA01
3F104JB01
3F104JD13
(57)【要約】
【課題】 搬送ロールによるウエブの低張力搬送を確実に行うことができるメカロス抑制機構を提供する。
【解決手段】 帯状のウエブWを搬送する搬送ロール10の回転軸11に装着されるメカロス抑制機構30であって、回転軸11に一体的に回転するように固定される回転体31と、回転軸31にベアリング32を介して相対回転自在に支持されるリング体33と、リング体33を回転駆動する駆動手段38とを備え、回転体31およびリング体33は、隙間をあけて互いに対向するように配置され、少なくとも一方に設けられた磁石36により磁気吸引力が作用する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のウエブを搬送する搬送ロールの回転軸に装着されるメカロス抑制機構であって、
前記回転軸に一体的に回転するように固定される回転体と、
前記回転軸にベアリングを介して相対回転自在に支持されるリング体と、
前記リング体を回転駆動する駆動手段とを備え、
前記回転体およびリング体は、隙間をあけて互いに対向するように配置され、少なくとも一方に設けられた磁石により磁気吸引力が作用するメカロス抑制機構。
【請求項2】
前記回転軸に嵌合される円筒状の装着部と、
前記装着部に対して軸方向に移動可能に係合する調整部材とを更に備え、
前記ベアリングは、前記調整部材に固定され、
前記調整部材の移動により、前記回転体およびリング体の間隔を調整することができる請求項1に記載のメカロス抑制機構。
【請求項3】
前記磁石は、前記リング体における前記回転体との対向面に周方向に沿って複数設けられている請求項1または2に記載のメカロス抑制機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のメカロス抑制機構が回転軸に装着された搬送ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカロス抑制機構に関し、より詳しくは、ウエブを搬送する搬送ロールの回転軸に装着されるメカロス抑制機構に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のウエブをロールトゥロール方式により連続搬送するウエブ搬送装置が従来から知られている。ウエブ搬送装置に対しては、ウエブの薄膜化や低ひずみ要求等に伴い、ウエブに作用する張力を低張力に維持しつつ高速搬送により生産性を維持することが求められているが、これによってロールとウエブとの間に空気の巻き込みが生じて摩擦力が低下し、スリップによりスクラッチや斜行皺などがウエブに発生するおそれがある。
【0003】
このようなウエブのスクラッチや皺の発生を防止するため、特許文献1には、ウエブ搬送装置に用いられる搬送ローラにおいて、中央部を構成する縮径ローラ部の軸方向両側にテーパローラ部を介して拡径ローラ部を設け、縮径ローラ部の外周面に拡径ローラ部の外周面よりも摩擦係数が大きい摩擦面を形成することが記載されている。この搬送ローラは、一例として、極薄のウエブである膜電極接合体の製造装置に使用される。
【0004】
図6に示すように、膜電極接合体製造装置100は、巻出し部101、塗工部102、乾燥部103および巻取り部104を備えており、巻出し部101において巻き出されたウエブ105が、塗工部102に供給されてペーストが塗工された後、乾燥部103内を通過することによりペーストが乾燥されて、巻き取り部104においてロール状に巻き取られるように構成されている。ウエブ105の搬送は、駆動ローラ106および複数の従動ローラ107により行われる。
【0005】
上記特許文献1の搬送ローラは、膜電極接合体製造装置100に用いることで、各搬送ローラが、拡径ローラ部によりウエブに対して左右方向外側への張力を付与しつつ、摩擦面を有する縮径ローラ部によりスリップの発生を抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-298496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近のウエブ搬送装置に対しては、品質要求の高まり等から、高速搬送を維持しつつ、より低張力で搬送することが求められており、これに伴って、ウエブの搬送ローラを支持するベアリング等のメカロス(機械損失)の問題が顕在化しつつある。上記特許文献1の搬送ローラは、この点について特に検討されておらず、ウエブを低張力で確実に搬送する上で更に改良の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、搬送ロールによるウエブの低張力搬送を確実に行うことができるメカロス抑制機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的は、帯状のウエブを搬送する搬送ロールの回転軸に装着されるメカロス抑制機構であって、前記回転軸に一体的に回転するように固定される回転体と、前記回転軸にベアリングを介して相対回転自在に支持されるリング体と、前記リング体を回転駆動する駆動手段とを備え、前記回転体およびリング体は、隙間をあけて互いに対向するように配置され、少なくとも一方に設けられた磁石により磁気吸引力が作用するメカロス抑制機構により達成される。
【0010】
このメカロス抑制機構は、前記回転軸に嵌合される円筒状の装着部と、前記装着部に対して軸方向に移動可能に係合する調整部材とを更に備えることが好ましく、前記ベアリングを前記調整部材に固定して、前記調整部材の移動により、前記回転体およびリング体の間隔を調整することができる。
【0011】
前記磁石は、前記リング体における前記回転体との対向面に周方向に沿って複数設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送ロールによるウエブの低張力搬送を確実に行うことができるメカロス抑制機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るメカロス抑制機構を備えるウエブ搬送装置の概略構成を示す断面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1の要部を拡大した模式図である。
図4図1の他の要部を示す平面図である。
図5図1の更に他の要部の作動説明図である。
図6】従来のウエブ搬送装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るメカロス抑制機構を備えるウエブ搬送装置の概略構成を示す断面図であり、図2は、図1のA-A断面図である。図1および図2に示すように、ウエブ搬送装置1は、ウエブWが外周面に巻き掛けられる搬送ロール10と、加圧気体の供給によりウエブWを搬送ロール10の外周面に押圧する押圧装置20と、搬送ロール10の回転軸11に装着されるメカロス抑制機構30とを備えている。ウエブWは、合成樹脂、金属、紙等の種々の材料からなり、例えば、厚みが100μm程度の樹脂フィルムである。
【0015】
図1および図2においては、搬送ロール10を1つだけ示しているが、ウエブ搬送装置1が備える搬送ロール10は複数であってもよい。ウエブ搬送装置1が複数の搬送ロール10を備える場合、押圧装置20およびメカロス抑制機構30は、全ての搬送ロール10に対して設けてもよく、あるいは、一部の搬送ロール10に対してのみ設けてもよい。
【0016】
搬送ロール10は、例えば金属ロールやゴムロールからなり、水平に配置された回転軸11が、ベアリング12,13を介して回転自在に支持されている。搬送ロール10の外周面には、ウエブWが接触する部分に微細な凹部が形成されている。この凹部は、上記特許文献1に開示された搬送ローラの溝部と同様の形状や大きさにすることができ、例えば、溝幅が200μm、溝深さが150μmの三角溝をダブルヘリカル状に形成することができる。搬送ロール10の外周面の表面形状は、ウエブWとの間に巻き込まれた空気を逃がしてウエブWの浮き上がりを低減する他の形状であってもよく、例えば、搬送ロール10の外周面に、リブ状やドット状の微細な凸部を形成してもよい。あるいは、搬送ロール10の外周面を梨地状に粗面化する等して、微細な凹凸を形成してもよい。搬送ロール10の形状は、本実施形態においては軸方向に沿って一定の断面を有するストレートロールとしているが、特に限定されるものではなく、軸方向両端部に対して中央部が細い鼓型状(コンケーブ状)のコンケーブロールや、軸方向両端部に対して中央部が太い太鼓型状(クラウン状)のクラウンロールであってもよい。
【0017】
押圧装置20は、支持部材21により搬送ロール10の直上近傍に支持されたブロック状の本体22を備えている。本体22の下面は、搬送ロール10に巻き掛けられたウエブWとの間に微小隙間が生じるように、搬送ロール10の外周面に沿って湾曲状に形成されている。また、本体22の下部中央には、ウエブWと対向するように配置されて下面側に開口23aを有する加圧室23が形成されている。加圧室23は、加圧ポート24を介してターボブロワやコンプレッサ等の加圧流体源(図示せず)に接続される。
【0018】
加圧室23の周囲には、本体22の下面によって、加圧室23よりも搬送ロール10との隙間が狭くなるように形成された絞り部22aが設けられている。押圧装置20を支持する支持部材21は、昇降装置(図示せず)により昇降自在に支持されており、絞り部22aにおける本体22と搬送ロール10との隙間sの大きさは、昇降装置の機械的な位置決めによって、再現性を持って一定に維持される。また、本体22における絞り部22aの周囲には、ウエブWと対向するように配置されて下面側に開口25aを有する吸引室25が形成されている。吸引室25は、加圧ポート24を挟んで両側に設けられた吸引ポート26,27を介して、真空ポンプ等の吸気源(図示せず)に接続される。
【0019】
メカロス抑制機構30は、搬送ロール10の回転軸11を支持するベアリング12,13のメカロス(機械損失)を抑制するための機構であり、回転軸11に一体的に回転するように固定される回転体31と、回転軸11にベアリング32を介して相対回転自在に支持される円環状のリング体33と、リング体33を回転駆動する駆動装置38と、回転体31およびリング体33間に磁気吸引力を作用させる磁石36とを備えている。磁石36は、例えばネオジウム磁石等の永久磁石である。
【0020】
回転体31は、中空円板状に形成されており、一方面の中央部から突出する円筒状の装着部31aを備えている。回転体31および装着部31aの中央には、回転軸11が挿通されて一体的に嵌合される。回転体31および装着部31aは、互いに別体に形成して回転軸11に固定することもできる。装着部31aの外周面には、軸方向に延びる係合凸部31bが放射状に設けられている。
【0021】
ベアリング32は、円筒状の調整部材34の外周面に固定されており、調整部材34を介して装着部31aに取り付けられている。調整部材34は、軸方向に延びる係合凹部34aが内周面に放射状に形成されている。係合凹部34aには、回転体31の係合凸部31bが軸方向に移動可能に係合することで、回転軸11に対する調整部材34の回転が阻止される。装着部31に対する調整部材34の軸方向の位置は、固定ネジ35の締結により固定することができる。
【0022】
リング体33は、ベアリング32に外嵌されており、調整部材34と共に回転軸11に沿って移動させることができる。リング体33の外周面には、後述する伝動ベルト37が係合する溝が形成されている。
【0023】
駆動装置38は、サーボモータ等からなり、駆動軸38aにプーリ39が固定されている。リング体33およびプーリ39には無端状の伝動ベルト37が掛け渡されており、駆動装置38の駆動制御により、リング体33を所望の回転速度で回転させることができる。駆動装置38は、例えば図6に示す従来のウエブ搬送装置100が備える駆動ローラ106の駆動源等を利用してもよく、所望のギヤ比を有する動力伝達機構を介してプーリ39を回転させる構成にすることができる。また、伝動ベルト37は、複数の搬送ロール10に対応して設けられた複数のメカロス抑制機構30のリング体33に巻き掛けてもよく、これによって、1つの動力源によって複数のリング体33を同じ速度で回転させることができる。
【0024】
磁石36は、リング体33における回転体31との対向面に周方向に沿って複数設けられており、回転体31を鉄等の磁性体により形成する一方、リング体33を合成樹脂やアルミニウム等の非磁性体により形成することで、回転体31との間に磁気吸引力が作用する。この磁気吸引力の大きさは、調整部材34と共にリング体33を軸方向に移動させて、回転体31とリング体33との間隔を変化させることで、適宜調整することができる。
【0025】
本実施形態においては、複数の磁石36を、図1に矢印で示すように磁束がリング体33の径方向に沿って生じる向きに配置しているが、例えば、N極およびS極がリング体33の周方向に交互に並ぶように配置してもよい。また、磁石36をリング体33に設ける代わりに回転体31に設けて、リング体33を磁性体により形成してもよい。あるいは、回転体31およびリング体33の双方に磁石36を設けることも可能である。
【0026】
上記の構成を備えるウエブ搬送装置1において、搬送ロール10に巻き掛けられたウエブWには、搬送ロール10の回転に伴う浮力が発生する。搬送ロール10の外周面からのウエブWの浮き上がり量は、{(ウエブWの搬送速度+搬送ロール10の表面速度)/ウエブWの張力}の2/3乗に比例するため、ウエブWを低張力で高速搬送すると、ウエブWの浮き上がり量が過大になって、搬送ロール10とウエブWとの間でスリップを生じるおそれが高まる。
【0027】
本実施形態のウエブ搬送装置1は、このような場合に、押圧装置20を作動させることにより、加圧ポート24から加圧室23に供給された加圧気体が、加圧室23の周囲全体から絞り部22aを通過して排出される。絞り部22aによって気体の排出流量を抑制しつつ、加圧室23に加圧気体を連続的に供給することにより、加圧室23の内部には、図3に矢印で示すようにウエブWに対する均一な押圧力が作用するため、ランド部10b(搬送ロール10の外表面における凹部10a以外の部分)からのウエブWの浮き上がり高さhの増大が抑制される。この高さhをウエブWに対して適度な摩擦力が作用する範囲に維持することで、ウエブWを低張力で確実に搬送することができる。
【0028】
ウエブWの搬送中における加圧室23の内部の圧力は、100Pa~0.3MPaの範囲に維持されることが好ましい。絞り部22aの隙間sは、搬送するウエブWの厚みに対して、上記の浮き上がり高さhも考慮して若干大きく形成されており、例えば、ウエブWの厚みよりも20~500μm程度大きくなるように設定される。隙間sを大きくする場合には、それに応じて加圧ポート24からの加圧気体の供給圧力を高めることで、ウエブWの過度の浮き上がりを防止することができる。
【0029】
加圧室23から絞り部22aを通過した気体は、吸引室25において吸引することにより回収される。これにより、ウエブWのバタツキを抑制できる等、加圧気体の供給に伴う周辺環境への悪影響を確実に防止することができる。吸引室25による気体の回収を促すため、図2に示す吸引室25の開口25aの高さSHは、絞り部22aの隙間sの10~100倍であることが好ましく、隙間sの30~70倍であることがより好ましい。
【0030】
絞り部22aを通過した気体を吸引室25に確実に回収するため、吸引ポート26,27の総開口面積は、加圧ポート24の総開口面積の2倍以上であることが好ましい。本実施形態においては、1つの加圧ポート24に対して吸引ポート26,27を2つ配置すると共に、吸引ポート26,27の個々の開口面積を、加圧ポート24の開口面積よりも大きくしている。但し、絞り部22aを通過した気体の外部への排出が特に問題にならない場合には、吸引室25を備えない構成であってもよい。
【0031】
図4は、搬送ロール10に巻き掛けられたウエブWに対する、加圧室23および吸引室24,25の開口23a,24a,25aの配置を示す平面図であり、搬送ロール10の軸線ALが上下に延びる向きで示している。図4に示すように、加圧室の開口23aは、平面視矩形状に形成されており、加圧室の開口23aの周囲に、絞り部22aが枠状に形成されている。吸引室の開口25aは、絞り部22aの周囲に枠状に形成されており、絞り部22aの周囲全体から吸引することができる。但し、吸引室の開口25aは、絞り部22aの幅方向両側等、絞り部22aの周囲の一部から吸引する構成であってもよい。
【0032】
加圧室の開口23aの大きさは必ずしも限定されないが、軸方向の長さPLが、搬送ロール10の半径R以上であることが好ましく、搬送ロール10の軸方向長さRLよりも短いことが好ましい。上記の長さPLは、ウエブWの幅より短くてもよく、ウエブWを加圧気体により部分的に押圧することで、ウエブWを低張力で確実に搬送することができる。開口23aの幅PWは、図2に示す絞り部22aの隙間sの100~500倍であることが好ましく、100~300倍であることがより好ましい。開口23aの幅PWは、図2に示すウエブWの押圧抱き角θ(ウエブWが加圧室23に対向する部分に相当する搬送ロール10の角度範囲)により設定してもよく、具体的には、押圧抱き角θを5~180度に設定することが好ましく、20~40度に設定することがより好ましい。
【0033】
絞り部22aの枠幅LL,LWは、加圧室の開口23a全体からウエブWに対して均一な押圧力が作用するように、図2に示す絞り部22aの隙間sの10~100倍であることが好ましく、隙間sの30~70倍であることがより好ましい。絞り部22aの枠幅LL,LWが小さすぎると、絞り部22aを通過した気体の乱流が生じ易くなってウエブWに悪影響を与えるおそれがある一方、絞り部22aの枠幅LL,LWが大きすぎると、通気抵抗や装置構成が大きくなり過ぎるおそれがある。
【0034】
ウエブWを低張力で搬送する場合、ベアリング12,13の回転抵抗が相対的に大きくなって、搬送が困難になるおそれがある。本実施形態のウエブ搬送装置1は、このような場合に、メカロス抑制機構30を作動させて、リング体33の回転速度を搬送ロール10の回転速度に合わせて回転駆動させることができる。リング体33と回転体31との間には磁石36による磁気吸引力が作用するため、リング体33の回転駆動により搬送ロール10の回転を補うことができる。このような回転力の補助は非接触で行われるため、機械的な接触の場合とは異なり微調整が容易であり、リング体33と回転体31との間で滑りが生じ得る範囲で適切に行うことができる。この結果、ベアリング12,13の回転抵抗を、メカロス抑制機構30により的確にキャンセルすることができるので、ウエブWの低張力搬送をより確実に行うことができる。リング体33の回転速度は、搬送ロール10の回転速度に一致させることが好ましいが、搬送ロール10の回転速度との間に若干のずれが生じてもよい。
【0035】
図5に示すように、メカロス抑制機構30は、搬送ロールの回転軸11に対して回転体31および装着部31aを固定した後、装着部31aに沿って調整部材34を矢示方向に摺動させることにより、既存の搬送ロールに対して容易に後付けすることができる。
【0036】
ウエブ搬送装置1は、例えば、図6に示す従来のウエブ搬送装置100が備える複数の従動ロール107を、図1および図2に示す搬送ロール10として、それぞれに対して押圧装置20およびメカロス抑制機構30を設けて構成することができる。押圧装置20およびメカロス抑制機構30は、ウエブWの低張力搬送を確実に行うことが可能であれば、複数の搬送ロール10の一部に対してのみ設けてもよい。また、押圧装置20は、図6に示す駆動ロール106に設けてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ウエブ搬送装置
10 搬送ロール
11 回転軸
20 押圧装置
22a 絞り部
23 加圧室
24,25 吸引室
30 メカロス抑制機構
31 回転体
32 ベアリング
33 リング体
34 調整部材
36 磁石
38 駆動装置
W ウエブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のウエブを搬送する搬送ロールの回転軸に装着されるメカロス抑制機構であって、
前記回転軸に一体的に回転するように固定される回転体と、
前記回転軸にベアリングを介して相対回転自在に支持されるリング体と、
前記リング体を回転駆動する駆動手段とを備え、
前記回転体およびリング体は、隙間をあけて互いに対向するように配置され、少なくとも一方に設けられた磁石により前記回転体と前記リング体との間に磁気吸引力が作用して、前記リング体の回転駆動により前記搬送ロールの回転が補われるメカロス抑制機構。
【請求項2】
前記回転軸に嵌合される円筒状の装着部と、
前記装着部に対して軸方向に移動可能に係合する調整部材とを更に備え、
前記ベアリングは、前記調整部材に固定され、
前記調整部材の移動により、前記回転体およびリング体の間隔を調整することができる請求項1に記載のメカロス抑制機構。
【請求項3】
前記磁石は、前記リング体における前記回転体との対向面に周方向に沿って複数設けられている請求項1または2に記載のメカロス抑制機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のメカロス抑制機構が回転軸に装着された搬送ロールを備えるウエブ搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の前記目的は、帯状のウエブを搬送する搬送ロールの回転軸に装着されるメカロス抑制機構であって、前記回転軸に一体的に回転するように固定される回転体と、前記回転軸にベアリングを介して相対回転自在に支持されるリング体と、前記リング体を回転駆動する駆動手段とを備え、前記回転体およびリング体は、隙間をあけて互いに対向するように配置され、少なくとも一方に設けられた磁石により前記回転体と前記リング体との間に磁気吸引力が作用して、前記リング体の回転駆動により前記搬送ロールの回転が補われるメカロス抑制機構により達成される。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のウエブを搬送する搬送ロールの回転軸に装着されるメカロス抑制機構であって、
前記回転軸に一体的に回転するように固定される回転体と、
前記回転軸にベアリングを介して相対回転自在に支持されるリング体と、
前記リング体を回転駆動する駆動手段とを備え、
前記回転体およびリング体は、隙間をあけて互いに対向するように配置され、少なくとも一方に設けられた磁石により前記回転体と前記リング体との間に磁気吸引力が作用して、前記リング体の回転駆動により前記搬送ロールの回転が補われ
前記駆動手段は、前記リング体の回転速度が前記搬送ロールの回転速度に一致するように前記リング体を回転駆動するメカロス抑制機構。
【請求項2】
前記回転軸に嵌合される円筒状の装着部と、
前記装着部に対して軸方向に移動可能に係合する調整部材とを更に備え、
前記ベアリングは、前記調整部材に固定され、
前記調整部材の移動により、前記回転体およびリング体の間隔を調整することができる請求項1に記載のメカロス抑制機構。
【請求項3】
前記磁石は、前記リング体における前記回転体との対向面に周方向に沿って複数設けられている請求項1または2に記載のメカロス抑制機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のメカロス抑制機構が回転軸に装着された搬送ロールを備えるウエブ搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の前記目的は、帯状のウエブを搬送する搬送ロールの回転軸に装着されるメカロス抑制機構であって、前記回転軸に一体的に回転するように固定される回転体と、前記回転軸にベアリングを介して相対回転自在に支持されるリング体と、前記リング体を回転駆動する駆動手段とを備え、前記回転体およびリング体は、隙間をあけて互いに対向するように配置され、少なくとも一方に設けられた磁石により前記回転体と前記リング体との間に磁気吸引力が作用して、前記リング体の回転駆動により前記搬送ロールの回転が補われ、前記駆動手段は、前記リング体の回転速度が前記搬送ロールの回転速度に一致するように前記リング体を回転駆動するメカロス抑制機構により達成される。