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特開2023-56734情報処理装置、制御方法、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056734
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20230413BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166118
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】504103984
【氏名又は名称】ウイングアーク1st株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】田中 潤
(72)【発明者】
【氏名】大畠 幸男
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA07
(57)【要約】
【課題】容易に業務ノウハウを共有する。
【解決手段】情報処理装置は、1つ以上の作業手順書を記憶する記憶手段と、ユーザ端末から作業要求を受け付ける受付手段と、前記作業要求に応じた作業手順書を、前記記憶手段に記憶された作業手順書から選択する選択手段と、選択された前記作業手順書に基づいて、前記ユーザ端末に対して、実行する作業に関する問いかけを行う問いかけ手段と、前記問いかけに対する前記ユーザ端末からの返答に応じて、前記ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システムに対して、前記作業要求に対応する処理を実行させる実行手段と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の作業手順書を記憶する記憶手段と、
ユーザ端末から作業要求を受け付ける受付手段と、
前記作業要求に応じた作業手順書を、前記記憶手段に記憶された作業手順書から選択する選択手段と、
選択された前記作業手順書に基づいて、前記ユーザ端末に対して、実行する作業に関する問いかけを行う問いかけ手段と、
前記問いかけに対する前記ユーザ端末からの返答に応じて、前記ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システムに対して、前記作業要求に対応する処理を実行させる実行手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記作業手順書は、業務ノウハウに基づいた作業手順書である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記作業手順書は、起動条件、およびシステム要件以外の業務フローで定義された作業手順に関する情報を含む、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記作業手順書を所定の外部サーバへ提供する作業手順書提供手段をさらに有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記作業手順書を所定の外部サーバから取得する作業手順書取得手段をさらに有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザ端末から作業要求を受け付ける受付ステップと、
前記作業要求に応じた作業手順書を、記憶手段に記憶された前記作業手順書から選択する選択ステップと、
選択された前記作業手順書に基づいて、前記ユーザ端末に対して、実行する作業に関する問いかけを行う問いかけステップと、
前記問いかけに対する前記ユーザ端末からの返答に応じて、前記ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システムに対して、前記作業要求に対応する処理を実行させる実行ステップと、
を有する情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
ユーザ端末から作業要求を受け付ける受付ステップと、
前記作業要求に応じた作業手順書を、記憶手段に記憶された前記作業手順書から選択する選択ステップと、
選択された前記作業手順書に基づいて、前記ユーザ端末に対して、実行する作業に関する問いかけを行う問いかけステップと、
前記問いかけに対する前記ユーザ端末からの返答に応じて、前記ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システムに対して、前記作業要求に対応する処理を実行させる実行ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、制御方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等において、勤怠、経費精算、契約業務等の様々な業務における社内ルールが設けられている。このような社内ルールは、ノウハウとして作業手順書に保持することが行われている。特許文献1には、作業手順書を自動で生成する技術が開示されている。また、上述のような社内ルールは、作業手順書等の書類に残されずに、各個人の頭の中で保持されることも多い(属人化)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-123045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業手順書の所在が不明になる、あるいは、頭の中でノウハウを保持している個人の異動などにより、ノウハウが消失する虞があり、ノウハウの活用(共有)方法については課題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、容易に業務ノウハウを共有することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
1つ以上の作業手順書を記憶する記憶手段と、
ユーザ端末から作業要求を受け付ける受付手段と、
前記作業要求に応じた作業手順書を、前記記憶手段に記憶された作業手順書から選択する選択手段と、
選択された前記作業手順書に基づいて、前記ユーザ端末に対して、実行する作業に関する問いかけを行う問いかけ手段と、
前記問いかけに対する前記ユーザ端末からの返答に応じて、前記ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システムに対して、前記作業要求に対応する処理を実行させる実行手段と、
を有する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容易に業務ノウハウを共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】業務の一例を示す図である。
図2】業務で用いられるシステムの一例示す図である。
図3】業務ノウハウ管理システムの概要を説明する図である。
図4】システムの構成の概略を示す図である。
図5】サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図7】作業手順書作成処理の一例を示すフローチャートである。
図8】作業手順書作成画面の一例を示す図である。
図9】呼びかけ処理の一例を示すフローチャートである。
図10】チャット画面の一例を示す図である。
図11】作業手順書の提供および取得の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
<概要>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態が適用可能な業務の一例を示す図である。本実施形態では、業務は、企業内において継続して行われる作業である例について説明する。図1の例では、業務として、勤怠BS1、経費精算BS2、契約業務BS3が例示されている。各業務は、一般的な企業において、社内システムや外部システムを用いて行われる。
【0010】
勤怠BS1では、企業の従業員等は、始業および終業等の各時刻を、所定の勤怠システムに登録する。図1の例では、従業員は、始業時刻である午前9時に、当該始業時刻を所定の勤怠システムに登録している。また従業員は、終業時刻である午後6時に、当該終業時刻を所定の勤怠システムに登録する。
【0011】
経費精算BS2では、企業の従業員等は、業務上生じた交通費(電車、タクシー、飛行機等の運賃等)等の経費を、例えば、当月月末までに、所定の勤怠システムに登録する。そして、従業員等は、交通費の領収書をスキャンして所定のシステムにアップロードしたり、領収書の原本を提出する。図1の例では、従業員は、「xx駅」から「yy駅」まで電車で移動した際の運賃「230円」を所定のシステムに登録している。また、従業員は、「ABC町」から「xyzビル」までタクシーで移動した際の運賃「1,500円」を所定のシステムに登録している。
【0012】
契約業務BS3では、企業の従業員等は、契約書を作成して、上司(課長、部長、社長等)やクライアントに署名依頼をして、電子ファイルとして保管する。また、保管する際、電子ファイルのファイル名に締結日、クライアントの企業名を付している。図1の例では、電子署名サービスを利用して、契約内容別に署名者(上司、お客様)のサインをもらい、作成された契約書の電子データ(ファイル名:「20210825_xxx会社」)特定のファイルサーバに保管している。
【0013】
このように、様々な業務において、企業ごとに、利用するサービス(システム)、承認ルート、電子データの格納場所、制約(金額上の上限や下限)等の具体的な内容は異なるものの、従業員等のそれぞれがノウハウとして持つことで、各業務が成立している。また、企業ごとに上述のような具体的な内容は異なるが、基本的な流れは同様である。
例えば、勤怠BS1では、以下の項目が各企業で共通しているといえる。
・始業および終業のタイミングで時刻を記録する
・指定日までに提出する
例えば、経費精算BS2では、以下の項目が各企業で共通しているといえる。
・出発地から目的地までの情報として、金額、交通機関を残す
・領収差が有る場合は提出する
・締め日までに提出する
例えば、契約業務BS3では、以下の項目が各企業で共通しているといえる。
・対象者の署名をもらう
・相手の署名をもらう
・締結済みの契約書を保管する
【0014】
図2は、各業務で用いられるシステムの一例を示す図である。図2の例では、クラウドストレージSS1、勤怠システムSS2、経費精算システムSS3、ワークフローSS4、電子契約システムSS5が示されている。
【0015】
クラウドストレージSS1は、様々な電子データを格納しておくための外部記憶装置である。例えば、上述の契約書の電子データを格納することができる。クラウドストレージSS1を用いることにより、どこからでも電子データを格納することができる。また、クラウドストレージSS1を用いることにより、情報をまとめて一元化することができる。
【0016】
勤怠システムSS2は、上述のような従業員等の勤怠管理を行うためのシステムである。勤怠システムSS2を用いることにより、勤怠情報(例えば、始業および終業等の各時刻)をどこからでも入力することができる。
【0017】
経費精算システムSS3は、上述のような従業員等の経費精算を行うためのシステムである。経費精算システムSS3を用いることにより、経費精算をどこからでも行うことができる。
【0018】
ワークフローSS4は、例えば、企業内における各種申請フローを管理するためのシステムである。ワークフローSS4を用いることにより、インターネットを通じて申請や承認等の管理を行うことができる。また、ワークフローSS4を用いることにより、過去の承認が確認できる。
【0019】
電子契約システムSS5は、電子データを用いて各種契約を締結することができるシステムである。電子契約システムSS5を用いることにより、ペーパーレスを実現することができる。
【0020】
このように、業務ごとにシステムを用いることにより、各業務が成立しているが、例えば、確認や承認をおこなうユーザU(例えば、上司)にとっては、各システムを使って次のような問題点がある。
・承認依頼が来ていても結局気がつかない
・承認処理をしようと思っても、都度、各システムにつながないと処理できない
・PCを立ち上げて、インターネットに繋げないと処理できない
・メールに承認依頼の通知が来ている場合に見つけにくい
・クラウドストレージを内のファイルが煩雑で見つけにくい
・外出しているときは何もできない
そこで、本実施形態では、ユーザUは、端末2のみを用いることで、上述の問題を解決する業務ノウハウ管理システムについて説明する。
【0021】
図3は、本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムの概要を説明する図である。
例えば、本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムでは、ユーザUは、端末2にチャット等でつぶやくことにより、クラウドストレージSS1内の所望の資料を見つけることができる。
また、例えば、本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムでは、ユーザUは、端末2を用いてチャットから勤怠や経費を入力することで、勤怠システムSS2や経費精算システムSS3への情報入力を行うことができる。
また、例えば、本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムでは、承認依頼が端末2のチャットに届き、ユーザUは、所定のボタンを押下(タップ)することで、ワークフローSS4の承認を完了することができる。
また、例えば、本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムでは、ユーザUは、端末2を用いて電子印を押印することで、電子契約システムSS5の契約書に対して押印することができる。
【0022】
このように、様々な業務ノウハウを集約した業務ノウハウ管理システムを用いることにより、容易に業務ノウハウを共有することができる。なお、本実施形態では、業務ノウハウを他部署や他社に共有することも可能である。以下、本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムの詳細について説明する。
【0023】
<システム構成>
図4は、本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムのシステム構成の概要を示す図である。本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムは、処理を行うサーバ1(例えば、自社サーバ)と、ユーザUが使用する端末2と、外部サーバ3とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。すなわち、サーバ1、端末2、および外部サーバ3は、ネットワークNを介して通信可能になっている。
【0024】
サーバ1は、端末2の各動作と協働して各種処理を実行する。端末2は、例えば、スマートフォンやタブレット等の端末である。サーバ1は、外部サーバ3に対して、業務ノウハウに基づいた作業手順書を提供することができる。また、サーバ1は、外部サーバ3に対して、業務ノウハウに基づいた作業手順書を取得(購入)することができる。詳細については、後述する。
【0025】
<ハードウェア構成>
図5は、本実施形態に係るサーバ1のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0026】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0027】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0028】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0029】
<機能構成>
図6は、本実施形態に係るサーバ1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
サーバ1の記憶部18においては、複数の手順書を記憶する作業手順書DB41等が設けられる。作業手順書の作成については、作業手順書作成部35の説明とともに後述する。
また、サーバ1のCPU11においては、動作する際に、受付部31、選択部32、問いかけ部33、実行部34、作業手順書作成部35、作業手順書提供部36、作業手順書取得部37等が機能する。
【0030】
受付部31は、ユーザUの端末2から作業要求を受け付ける。
作業要求は、ユーザUによって、本実施形態が適用可能な業務ノウハウ管理システムを用いて行う作業の開始意図を示す。例えば、本実施形態では、経費精算を行う場合、ユーザは、端末2におけるチャット機能を用いて、「精算したいです」と投稿する。これにより、受付部31は、経費精算の作業要求を受け付ける。
【0031】
選択部32は、作業要求に応じた作業手順書を、作業手順書DB41内に記録される複数の作業手順書から選択する。
作業手順書は、業務ノウハウに基づいた作業手順書である。具体的には、作業手順書は、起動条件、システム要件以外の業務フローで定義された作業手順、および実行する作業処理システムに関する情報を含む手順書である。選択部32は、作業手順書DB41に記録される複数の作業手順書から、上述の作業要求に応じた作業手順書を選択する。例えば、選択部32は、上述のような経費精算の場合、当該経費精算に関する作業手順書を選択する。なお、選択部32は、作業手順書の起動条件を作業要求が満たした場合に、当該作業手順書を選択していると捉えることもできる。作業手順書の作成については、後述する。
【0032】
問いかけ部33は、選択された作業手順書に基づいて、端末2に対して、実行する作業に関する問いかけを行う。
問いかけは、作業手順書において定義された内容である。例えば、上述のような経費精算の場合、問いかけ部33は、チャット機能を用いて、経路や料金、交通機関等を順に問いかける。問いかけの具体例については、図9図10を用いて後述する。本実施形態では、受付部31が、問いかけ部33による問いかけの回答を受け付けるものとする。
【0033】
実行部34は、問いかけに対するユーザ端末からの返答に応じて、ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システムに対して、作業要求に対応する処理を実行させる。
所定の作業処理システムは、社内システムや外部システム等である。上述のような経費精算の場合、ユーザUから得た経路や料金、交通機関等の回答内容を経費精算システムSS3(所定の作業処理システム)に送信するとともに、作業要求に対応する処理を実行させる。なお、「ユーザに紐づいた」とは、例えば、ユーザUのログインIDやパスワード等を管理する必要があるため、企業に紐づけるより、ユーザに紐づけたものであるが、企業に紐づいた作業処理システムが設定されてもよい。
【0034】
作業手順書作成部35は、ユーザUの作成要求に応じて、上述の作業手順書を作成する。具体的には、作業手順書作成部35は、作業手順書の作成画面を表示して、各種設定の入力をユーザU(端末2)から受け付ける。
作業手順書作成部35は、本実施形態では、作業手順書の設定として、起動条件、業務フロー(作業手順)、システム要件の入力をユーザUから受け付ける。
起動条件は、作業要求に対応する処理を実行させるためのトリガになる条件である。起動条件としては、例えば、「xx(作業内容)したい」等の具体的な文字列や、単に「チャットに投稿されたら」のように何かした投稿されたら起動するような条件が挙げられる。なお、特定の文字列を示す音声(例えば、「OK,xx!」)を起動条件としてもよい。なお、起動条件は、上記に限定されず、例えば、所定のスケジュール機能によるタイマー起動であってもよい。また、起動は、ユーザUからの受付に限定されず、APIを経由してデバイス機器等からの起動や、他のクラウドサービスにおけるアプリケーションからの起動であってもよい。
業務フローは、上述のとおり、起動条件、システム要件以外の作業内容に関する項目である。業務フローとしては、例えば、所定の項目を選択させたり、所定の項目の内容を入力させたり、所定のメッセージを表示させたりするものが挙げられる。なお、業務フローは、システム要件を含んでいないため、任意の作業処理システムに適用可能である。なお、業務フローとして、起動条件が含まれていてもよい。
システム要件(コネクタ)は、作業処理システムに対して上述の入力内容を設定し、実行させるための設定項目である。システム要件としては、所定の作業処理システムの種類や、接続先、ID、パスワード、本業務ノウハウ管理システムの入力項目と作業処理システムの入力項目との対応情報等が挙げられる。作業手順書の作成については、図7図8を用いて詳細に説明する。
なお、作業手順書作成部35の構成は任意であって、例えば、ユーザ自身が作業手順書を作成せず、予め作成された作業手順書を用いることもできる。
【0035】
作業手順書提供部36は、上述の作業手順書を所定の外部サーバ3へ提供する。上述のとおり、作業手順書において、目的が同一であれば、起動条件と業務フローについては、作業処理システムに依存せず、広く適用することができる。よって、例えば、A社の経費精算の作業手順書を、B社で用いることもできる。この場合、上述のシステム要件のみ、適切な設定にすればよい。本実施形態では、作業手順書提供部36は、外部サーバ3として、所定のマーケットサーバに作成された作業手順書を提供することができる。例えば、作業手順書の提供(売却)にあたり、金銭を受け取ることもできる。
なお、作業手順書提供部36の構成は任意であって、例えば、作業手順書提供部36の構成を備えていなくてもよい。これは、上述のマーケットサーバに関わらず、基本的には企業毎に完結したシステムとして、本実施形態に係る業務ノウハウ管理システムを運用することができるためである。
【0036】
作業手順書取得部37は、上述の作業手順書を所定の外部サーバ3から取得する。例えば、他社が作成した作業手順書を所定のマーケットサーバから取得(購入)することが想定される。
なお、作業手順書取得部37の構成は任意であって、例えば、作業手順書取得部37の構成を備えていなくてもよい。これは、上述のマーケットサーバに関わらず、基本的には企業毎に完結したシステムとして、本実施形態に係る業務ノウハウ管理システムを運用することができるためである。
【0037】
<処理内容:作業手順書作成処理>
図7は、作業手順書作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS11では、作業手順書作成部35は、ユーザUから作業手順書の作成要求を受け付ける。
【0039】
ステップS12では、作業手順書作成部35は、端末2に対して、作業手順書の作成画面を表示するよう制御する。
【0040】
ステップS13~S15では、作業手順書作成部35は、ユーザU(端末2)から起動条件、業務フロー、システム要件の入力を受け付ける。
【0041】
ステップS16では、作業手順書作成部35は、作成された作業手順書を作業手順書DB41に記録する。
【0042】
<表示例:作業手順書作成画面>
図8は、作業手順書作成画面の一例を示す図である。符号81~88は、業務フローを設定するためのアイコンである。以下、詳細について説明する。
符号81は、起動条件を設定するためのアイコン(アイテム)である。図8の例では、「チャットに投稿されたら」が起動条件として設定されている。すなわち、所定のボットとのチャットにおいて、任意の文字等が入力されたら、図8に示す作業手順書が選択される。
【0043】
符号82は、本実施形態におけるボット(VA:Virtual Assistant)を示すアイコンである。例えば、符号82に示すアイコンの色や表情を、作業手順書ごとに変えることで他の作業手順書との見分けをつけやすくすることができる。本実施形態では、符号82に示すアイコンを用いて、VAの色や表情をユーザUの任意のものに設定可能である。
【0044】
符号83は、分岐の設定を行うためのアイコンである。図8に示す例では、精算タイプの選択として、「交通費」または「備品購入」を選択させるようにしている。
符号84aは、「交通費」の精算において、ユーザUに対して経路の入力をさせるためのアイコンである。
符号84bは、「交通費」の精算において、ユーザUに対して料金の入力をさせるためのアイコンである。
符号84cは、「交通費」の精算において、ユーザUに対して交通機関の入力をさせるためのアイコンである。
【0045】
符号85は、経費精算システムへの登録を行うためのアイコンである。図8の例では、符号85は、「交通費」の精算において、ユーザUによって入力された内容に基づいて、経費精算システムへの登録を行う(作業要求に対応する処理を実行する)ためのアイコンである。
【0046】
符号84aは、「備品購入」の精算において、ユーザUに対して購入物品の入力をさせるためのアイコンである。
符号84bは、「備品購入」の精算において、ユーザUに対して金額の入力をさせるためのアイコンである。
符号84cは、「備品購入」の精算において、ユーザUに対して領収書の入力(添付;アップロード)をさせるためのアイコンである。
【0047】
符号87は、経費精算システムへの登録を行うためのアイコンである。図8の例では、符号87は、「備品購入」の精算において、ユーザUによって入力された内容に基づいて、経費精算システムへの登録を行う(作業要求に対応する処理を実行する)ためのアイコンである。
【0048】
符号88は、業務フローを設定するためのアイコンである。図8の例では、符号88は、終了案内を示すための設定が行われている。すなわち、ユーザの端末に対して、作業が完了した際に表示させるためのメッセージが設定されている。
【0049】
なお、上述の作業手順書において、システム要件等の実行する作業処理システム(例えば、経費精算システム)に関する情報については、(例えば、コネクタとして)記憶部18に格納され、上述の符号81、符号83~88のそれぞれに紐付いているものとする。すなわち、図8に示す各アイコンにおいて、例えば、ユーザUの属する企業において用いられている経費精算システムの種類や接続先、ID、パスワード等の設定が記憶部18に記憶され、各アイコンに紐付いているものとする。
【0050】
<処理内容:呼びかけ処理>
図9は、呼びかけ処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップS21では、受付部31は、ユーザから作業要求を受け付ける。
【0052】
ステップS22では、選択部32は、作業要求に応じた適切な作業手順書を(自動的に)選択する。例えばチャットの場合、選択部32は、作業要求の文字列と、複数の作業手順書における起動条件とを照らし合わせて、当該起動条件に合致する作業手順書を選択する。
【0053】
ステップS23では、問いかけ部33は、ユーザUに対して実行する作業に関する問いかけを行う。例えば、図8に示す作業手順書では、問いかけ部33は、精算タイプが「交通費」であるか「備品購入」であるかを、選択肢を表示することで問いかけを行う。
【0054】
ステップS24では、受付部31は、問いかけに対する返答を取得する。作業手順書内に複数の問いかけを行う項目がある場合は、ステップS23,S24の処理を繰り返す。
例えば、ステップS24において、「交通費」が選択(返答)されると、問いかけ部33は、経費の入力を行うよう問いかけを行い、その返答を受付部31が取得する。次に、問いかけ部33が料金の入力を行うよう問いかけを行い、その返答を受付部31が取得する。そして、問いかけ部33が交通機関の入力を行うよう問いかけを行う、その返答を受付部31が取得する。
【0055】
ステップS25では、実行部34は、作業要求に対応する処理を実行する。
例えば、ステップS24において、「交通費」が選択(返答)され、上述の交通費に関する入力を受け付けると、実行部34は、当該交通費に関する入力(内容)を経費精算システムに送信して、上述のシステム要件の設定に基づいて経費申請処理を実行する。
【0056】
ステップS26では、実行部34は、作業要求に対応する処理が終了した旨をユーザUに通知する。
【0057】
<表示例:チャット画面>
図10は、チャットを用いて、上述の呼びかけ処理を行った場合におけるチャット画面の一例を示す図である。図10では、端末2を用いて、ユーザUが交通費の経費申請を行う場合の例を示す。
まず、ユーザUによって「精算したいです」の文字が入力されると(符号MS1)、VAは作業要求として当該メッセージを受け付ける。
そして、VAは作業手順書を選択して、当該作業手順書に沿って、問いかけを行う。図10の例では、VAは「精算タイプは?」の問いかけを行うとともに、「交通費」および「備品購入」の選択肢を表示する(符号MS2)。
VAは、ユーザUの返答を受け付けると、さらに「了解。では、経路を入れて」と問いかけを行う(符号MS3)。図10の例では、ユーザUによって「交通費」が選択された場合の例を示している。
そして、ユーザUによって「東京から横浜」の文字が入力されると(符号MS4)、VAは、「料金は?」の問いかけを行う(符号MS5)。同様に、ユーザUによって「480円」の文字が入力されると(符号MS6)、VAは、「交通機関は?」の問いかけを行う(符号MS7)。同様に、ユーザUによって「電車」の文字が入力されると(符号MS8)、VAは、「それでは登録します」の文字を表示する(符号MS9)。そして、登録が完了すると、VAは、「登録しました。」の文字を表示する(符号MS10)。そして、最後にVAは、「また必要なときに呼び出してください。お疲れ様でした。」の文字を表示する。
【0058】
<作業手順書の提供および取得について>
図11は、作業手順書の提供および取得の一例を示す図である。
作業手順書作成部35によって作成された作業手順書は、作業手順書提供部36によって、サーバ1aから外部サーバ3(マーケットサーバ)へ提供することができる。このとき、サーバ1aを用いる企業Aは、作業手順書を売却して収益を得てもよい。
そして、企業Aによって提供された作業手順書は、サーバ1b(企業B)、サーバ1c(企業C)、サーバ1d(企業D)等によって購入されてもよく、この場合、サーバ1b~1dの作業手順書取得部37によって取得され、それぞれの作業手順書DBに格納される。
【0059】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、作業手順書において、システム要件と業務フローとを分離して管理することで、ユーザUは作業処理システムを意識することなく、申請等を行うことができる。
【0060】
また、上述の実施形態によれば、デジタル化された業務ノウハウを、作業手順書としてテンプレート化することで、各個人が業務を進めるための業務ノウハウを、デジタル上でVAが作業を行うためのデジタルマニュアル化を行うことができる。また、これにより、作業手順書を部署や企業の枠を超えて流通させることができる。作業手順書を取得した他部署や他社においては、システム要件のみをカスタマイズすればよい。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0062】
(変形例)
上述の実施形態において、勤怠申請、経費精算、契約業務を例に説明したが、これらに限定されず、様々な業務の作業手順書を作成し、VAによって実行させてもよい。例えば、請求書が添付されたメールを探して取り出すような業務にも、上述の業務ノウハウ管理システムを適用可能である。この場合例えば、VAによってメール内に含まれる文言や、送信元等の情報の問いかけが行われるとよい。
【0063】
上述の実施形態において、1つのVAに対して1つのチャットを用いる例について説明したが、これに限定されず、例えば、作業手順書ごとにVAを作成してもよい。例えば、チャットであれば、作業手順書ごとにチャットルームを作成することで、VAを分けてもよい。これにより、複数の作業手順書において起動条件が類似する場合でも、適切な作業手順書を選択することができる。
【0064】
上述の実施形態において、ユーザへの問いかけとして、精算タイプのみ選択肢で問いかける例について説明したが、これに限定されず、極力選択肢を用いるようにしてもよい。例えば、交通機関については、「飛行機」、「電車」、「タクシー」、「その他」の選択肢を問いかけて、ユーザによって、「その他」が選択された場合に数値の入力を求めるようにしてもよい。この場合、選択肢は、事前に作業手順書において設定されてもよく、VAによって統計上回答の多い内容を選択肢として設けてもよい。これにより、数値や文字を入力するユーザの手間を極力省くことができる。
【0065】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバの機能ブロックを他の装置(端末)等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0066】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0067】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。なお、記録媒体は、サーバ等に搭載された、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0068】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0069】
(その他)
換言すると、本発明が適用されるサーバは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
すなわち、1つ以上の作業手順書を記憶する記憶手段(例えば、記憶部18)と、
ユーザ端末(例えば、端末2)から作業要求を受け付ける受付手段(例えば、受付部31)と、
前記作業要求に応じた作業手順書を、前記記憶手段に記憶された作業手順書から選択する選択手段(選択部32)と、
選択された前記作業手順書に基づいて、前記ユーザ端末に対して、実行する作業に関する問いかけを行う問いかけ手段(例えば、問いかけ部33)と、
前記問いかけに対する前記ユーザ端末からの返答に応じて、前記ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システム(例えば、経費精算システム等)に対して、前記作業要求に対応する処理を実行させる実行手段(例えば、実行部34)と、
を有する情報処理装置である。
また、前記作業手順書は、業務ノウハウに基づいた作業手順書であるとよい。
また、前記作業手順書は、起動条件、およびシステム要件以外の業務フローで定義された作業手順に関する情報を含むとよい。
これにより、容易に業務ノウハウを共有することができる。なお、上述の起動条件は、作業手順書とは別に(別の電子データとして)管理されてもよい。なお、上述の実行する前記作業処理システムは、作業手順書の一部として管理されてもよい。
【0070】
また、前記作業手順書を所定の外部サーバへ提供する作業手順書提供手段(例えば、作業手順書提供部36)をさらに有するとよい。
また、前記作業手順書を所定の外部サーバから取得する作業手順書取得手段(例えば、作業手順書取得部37)をさらに有するとよい。
これにより、作業手順書を企業の枠を超えて流通させることができ、市場を活性化させることができる。
【0071】
また、ユーザ端末から作業要求を受け付ける受付ステップと、
前記作業要求に応じた作業手順書を、記憶手段に記憶された前記作業手順書から選択する選択ステップと、
選択された前記作業手順書に基づいて、前記ユーザ端末に対して、実行する作業に関する問いかけを行う問いかけステップと、
前記問いかけに対する前記ユーザ端末からの返答に応じて、前記ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システムに対して、前記作業要求に対応する処理を実行させる実行ステップと、
を有する情報処理装置の制御方法であってもよい。
【0072】
また、ユーザ端末から作業要求を受け付ける受付ステップと、
前記作業要求に応じた作業手順書を、記憶手段に記憶された前記作業手順書から選択する選択ステップと、
選択された前記作業手順書に基づいて、前記ユーザ端末に対して、実行する作業に関する問いかけを行う問いかけステップと、
前記問いかけに対する前記ユーザ端末からの返答に応じて、前記ユーザ端末を使用するユーザに紐づいた所定の作業処理システムに対して、前記作業要求に対応する処理を実行させる実行ステップと、
を前記コンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:サーバ 2:端末 3:外部サーバ
11:CPU 18:記憶部 19:通信部
31:受付部 32:選択部 33:問いかけ部
34:実行部 35:作業手順書作成部 36:作業手順書提供部
37:作業手順書取得部 41:作業手順書DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11