(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056762
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166166
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】為國 芳享
(72)【発明者】
【氏名】清田 光政
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036KA02
2H036QA03
2H036QA13
2H036QA14
2H036QA32
2H036QA33
2H036QA43
2H036QA46
2H036QA57
(57)【要約】
【課題】ハウジングへのフェルールの引き込みが発生する頻度を低減できる光コネクタを提供する。
【解決手段】光コネクタは、前端において光ファイバを保持可能なフェルールと、フェルールを収納するフロントハウジングと、を備え、フェルールは正六角柱の形状を有するフランジ部を有し、フロントハウジングはフランジ部が挿入される貫通孔を有し、貫通孔は、第1方向に垂直な断面の形状が正六角形である第1孔部と、第1孔部から連続する第2孔部と、を有し、第2孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面において、第2孔部の前端側の端における各辺に対応する6本の輪郭が外側または内側に膨らんでおり、第2孔部の後端側の端の最小径が前記フランジ部の最長対角線よりも長く、第2孔部は、後端側の端から前端側の端に向けて連続的に縮径している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端及び前記前端の第1方向における反対側の後端を有し、前記後端から光ファイバを挿入可能な光コネクタであって、
前記前端において前記光ファイバを保持可能なフェルールと、
前記フェルールを収納するフロントハウジングと、を備え、
前記フェルールは、正六角柱の形状を有するフランジ部を有し、
前記フロントハウジングは、前記フランジ部が挿入される貫通孔を有し、
前記貫通孔は、
前記第1方向に垂直な断面の形状が正六角形であり、後端側から前端側に向けて連続的に縮径し、前端側の端における最長対角線が前記フランジ部の最長対角線よりも短く、後端側の端における最長対角線が前記フランジ部の最長対角線よりも長く、後端側の端における対辺間の距離が前記フランジ部の最長対角線よりも短い第1孔部と、
前記第1孔部に対して前記第1方向における後端側に位置し、前記第1孔部から連続する第2孔部と、
を有し、
前記第2孔部の前端側の端における前記第1方向に垂直な断面の形状が、前記第1孔部の後端側の端における前記第1方向に垂直な断面の形状と同一であり、
前記第2孔部の後端側の端における前記第1方向に垂直な断面において、前記第2孔部の前端側の端における各辺に対応する6本の輪郭が外側または内側に膨らんでおり、前記第2孔部の後端側の端の最小径が前記フランジ部の最長対角線よりも長く、
前記第2孔部は、後端側の端から前端側の端に向けて連続的に縮径している、光コネクタ。
【請求項2】
前記第2孔部の後端側の端における前記第1方向に垂直な断面の形状が円形である、請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記第2孔部の後端側の端における前記第1方向に垂直な断面の形状が略星形である、請求項1に記載の光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、光コネクタが開示されている。この光コネクタは、フェルールと、フェルールを収納するフロントハウジングと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-56420号公報
【特許文献2】特開2001-147345号公報
【特許文献3】特表2013-522679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された光コネクタは、六角形の形状部分が設けられたフランジを有するフェルールと、六角形の凹状部分を有するハウジングとを備えている。この光コネクタでは、フェルールのフランジが上記凹状部分に適切に嵌まると、フェルールの回転が規制される。また、フェルールをハウジング内に押し込んだ状態で回転させることで、フェルールの回転角度を変更することができる。光コネクタの中心線から光ファイバの先端の中心がずれていたとしても、フェルールの回転角度を変更することにより、光ファイバの先端の中心位置を光コネクタの中心線に近づけることができる。
【0005】
一般的にフランジの軸方向に垂直な断面の最長対角線の長さは、上記凹状部分の軸方向に垂直な断面の対辺の距離よりも長い。そのため、例えば、フランジが有する六角形の形状の角が、上記凹状部分が有する六角形の形状の辺部分に引っかかり、フランジが上記凹状部分に嵌まらないことがある。このような状況が生じるのは、例えば、工場などで光コネクタを製造するとき、完成した光コネクタのフェルールをハウジング内に押し込んで回転調整したとき、又は、クリーナで光ファイバの先端を掃除するときにハウジング内にフェルールが押し込まれてしまったときなどである。このような状況においては、フェルールがハウジングに引き込まれた状態が維持されるので、ハウジングから飛び出すフェルールの長さは設計値より短くなり、フェルールが接続相手のフェルールと接触できなくなる。したがって、このような引き込み状態を修正しなければならず、そのための手間がかかるという問題が起こる。
【0006】
本開示は、ハウジングへのフェルールの引き込みが発生する頻度を低減できる光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、前端及び前端の第1方向における反対側の後端を有し、後端から光ファイバを挿入可能な光コネクタを提供する。この光コネクタは、前端において光ファイバを保持可能なフェルールと、フェルールを収納するフロントハウジングと、を備える。フェルールは、正六角柱の形状を有するフランジ部を有する。フロントハウジングは、フランジ部が挿入される貫通孔を有する。貫通孔は、第1方向に垂直な断面の形状が正六角形であり、後端側から前端側に向けて連続的に縮径し、前端側の端における最長対角線がフランジ部の最長対角線よりも短く、後端側の端における最長対角線がフランジ部の最長対角線よりも長く、後端側の端における対辺間の距離がフランジ部の最長対角線よりも短い第1孔部と、第1孔部に対して第1方向における後端側に位置し、第1孔部から連続する第2孔部と、を有する。第2孔部の前端側の端における第1方向に垂直な断面の形状が、第1孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面の形状と同一である。第2孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面において、第2孔部の前端側の端における各辺に対応する6本の輪郭が外側または内側に膨らんでおり、第2孔部の後端側の端の最小径がフランジ部の最長対角線よりも長い。第2孔部は、後端側の端から前端側の端に向けて連続的に縮径している。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ハウジングへのフェルールの引き込みが発生する頻度を低減できる光コネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の光コネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す光コネクタがアダプタの取付口に挿入された状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、光コネクタの一構成部品であるラッチ付きのアウターハウジングを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、光コネクタの一構成部品であるタブを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、フランジ部の長手方向に垂直な断面を示す図である。
【
図9】
図9は、
図7に示される構成のうちフロントハウジングのみを示す断面図である。
【
図11】
図11は、変形例に係るフロントハウジングの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光コネクタは、前端及び前端の第1方向における反対側の後端を有し、後端から光ファイバを挿入可能な光コネクタである。この光コネクタは、前端において光ファイバを保持可能なフェルールと、フェルールを収納するフロントハウジングと、を備える。フェルールは、正六角柱の形状を有するフランジ部を有する。フロントハウジングは、フランジ部が挿入される貫通孔を有する。貫通孔は、第1方向に垂直な断面の形状が正六角形であり、後端側から前端側に向けて連続的に縮径し、前端側の端における最長対角線がフランジ部の最長対角線よりも短く、後端側の端における最長対角線がフランジ部の最長対角線よりも長く、後端側の端における対辺間の距離がフランジ部の最長対角線よりも短い第1孔部と、第1孔部に対して第1方向における後端側に位置し、第1孔部から連続する第2孔部と、を有する。第2孔部の前端側の端における第1方向に垂直な断面の形状が、第1孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面の形状と同一である。第2孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面において、第2孔部の前端側の端における各辺に対応する6本の輪郭が外側または内側に膨らんでおり、第2孔部の後端側の端の最小径がフランジ部の最長対角線よりも長い。第2孔部は、後端側の端から前端側の端に向けて連続的に縮径している。
【0011】
この光コネクタでは、第2孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面における最小径がフランジ部の最長対角線よりも長い。そのため、フランジ部が第2孔部の後端側の端を通過するとき、フランジ部は第2孔部の後端側の端の輪郭に当たることなく、スムーズに貫通孔へ挿入される。この光コネクタでは、上記断面において第2孔部の前端側の端における各辺に対応する6本の輪郭が外側または内側に膨らんでおり、第2孔部は、後端側の端から前端側の端に向けて連続的に縮径している。そのため、さらにフランジ部が挿入されていくと、上記6本の輪郭と第2孔部の前端側の各辺との間にある斜面に倣ってフランジ部の中心軸まわりの角度が変化することで、フランジ部の第1方向に垂直な断面が有する正六角形の形状の頂点であるフランジ部の角と、第2孔部の前端側の端の正六角形の形状の頂点とが合わさる。したがって、工場などで光コネクタを製造するとき、完成した光コネクタのフェルールをフロントハウジング内に押し込んで回転調整したとき、又は、クリーナで光ファイバの先端を掃除する際にフロントハウジング内にフェルールが押し込まれてしまったときなどにおいて、フェルールが引き出される際にフランジ部の角が第2孔部の後端に引っかかることが抑制される。その結果、フェルールの引き込みが発生する頻度が低減される。この光コネクタでは、第1孔部の第1方向に垂直な断面の形状は正六角形であり、第1孔部は後端側から前端側に向けて連続的に縮径し、前端側の端における最長対角線がフランジ部の最長対角線よりも短く、後端側の端における最長対角線がフランジ部の最長対角線よりも長い。そのため、フランジ部の角と、第1孔部の第1方向に垂直な断面の形状が有する正六角形の形状の頂点とが合った状態でフランジ部は挿入され、終局的に第1孔部に嵌まることで、フランジ部が貫通孔の軸周りに回転することが規制される。
【0012】
一実施形態として、第2孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面の形状が円形であってもよい。この場合、第2孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面において、第2孔部の前端側の端における各辺に対応する6本の輪郭が外側に膨らむ形状を単純な形状によって実現できるので、ハウジングの加工容易性を高めることができる。
【0013】
一実施形態として、第2孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面の形状が略星形であってもよい。この場合、第2孔部の後端側の端における第1方向に垂直な断面において、第2孔部の前端側の端における各辺に対応する6本の輪郭が内側に膨らむ形状を単純な形状によって実現できるので、ハウジングの加工容易性を高めることができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
図1に示すように、光コネクタ1は、長手方向X(第1方向)に横長形状のコネクタであり、前端1a及び後端1bを有する。後端1bは、前端1aの長手方向Xの反対側に位置する。光コネクタ1が保持する光ケーブルKは、光コネクタ1の後端1bから挿入される。光ケーブルKに内包される一対の光ファイバ(不図示)は、光コネクタ1内では被覆樹脂が取り除かれて、一対のフェルール14,15それぞれに収納されて保持される。光コネクタ1は、例えば二連LCタイプの光コネクタ(Duplex LC Connector)であり、ユニブーツタイプ(UnibootType)の光コネクタである。光コネクタ1は、他の構成の光コネクタであってもよい。
【0016】
図2は、光コネクタ1がアダプタ100(外部装置)の取付口に挿入された状態を示す斜視図である。アダプタ100の光コネクタ1とは逆側の取付口には別の光コネクタ(不図示)が挿入され、光コネクタ1は、アダプタ100により別の光コネクタと光結合される。なお、光コネクタ1は、外部装置としての光トランシーバ等の連結部に挿入される構成であってもよい。この場合、外部装置は、金属製であってもよい。
【0017】
図3は、
図1に示す光コネクタの分解斜視図である。
図1及び
図3に示すように、光コネクタ1は、一対のフロントハウジング10,11、インナーハウジング20、アウターハウジング30、ラッチ40、タブ50、ブーツ60、弾性部材70、及び、ケーブル保持部材80を備えている。
【0018】
一対のフロントハウジング10,11は、本体12,13と、フェルール14,15とを有している。本体12,13は、合成樹脂から形成され、内部に丸孔12a,13aが設けられた四角柱形状の外形を有する。本体12,13は、それぞれが光ファイバを保持可能なフェルール14,15を、それぞれの先端14a,15aが光コネクタ1の前端1aにおいて外部に露出するように、丸孔12a,13a内に収納する。フェルール14,15の先端14a,15aからは、保持された光ファイバの先端が露出する。フェルール14,15の先端14a,15aは、長手方向Xに直交(交差)する上下方向Zに対して平行な面であってもよいし、傾斜した面であってもよい。フェルール14,15のより詳細な構成については後述する。本体12,13の後端には、それぞれの四隅に突起12b,13bが設けられている。これら突起12b,13bは、フロントハウジング10,11がインナーハウジング20の前端に連結される場合に、相互の位置関係を規定する。フロントハウジング10の両側面には、長方形状の一対の開口部16が設けられており、フロントハウジング11の両側面には、長方形状の一対の開口部17が設けられている。フロントハウジング10,11内には、
図8及び
図9に示す貫通孔18,19が設けられている。貫通孔18,19のより詳細な構成については後述する。
【0019】
インナーハウジング20は、光ファイバを収納することができる空間が内部に形成されたハウジングであり、合成樹脂から形成される。インナーハウジング20は、前端部21とテーパ部22と後端部23とを有し、後端から前端に向かってそれぞれの内部空間が徐々に広がるように形成されている。インナーハウジング20は、光ケーブルKに内包される一対の光ファイバをフェルール14,15に分岐させるための領域であり、一対のフロントハウジング10,11の後端に連結される。インナーハウジング20の前端部21には一対のラッチ24及び一対のラッチ25が設けられており、一対のラッチ24がフロントハウジング10の一対の開口部16に内側から挿入されて係合し、一対のラッチ25がフロントハウジング11の一対の開口部17に内側から挿入されて係合する。これにより、一対のフロントハウジング10,11がインナーハウジング20に連結される。また、インナーハウジング20には、表面及び裏面のそれぞれの中心やや前方付近に突起26が設けられている。インナーハウジング20がアウターハウジング30に収納された際には何れか一方の突起26がアウターハウジング30の下面30bに設けられた孔に係合することで、インナーハウジング20はアウターハウジング30の内部に着脱可能に連結される。なお、各突起26は、着脱可能なように、傾斜面を有している。
【0020】
アウターハウジング30は、インナーハウジング20を内部に収納すると共に、インナーハウジング20に連結されるハウジングである。
図4は、光コネクタの一構成品であるラッチ付きのアウターハウジング30を示す斜視図である。
図4に示すように、本実施形態では、アウターハウジング30は、後述するラッチ40と一体になるように合成樹脂から形成されているが、アウターハウジング30とラッチ40とを別体として形成し、所定の手段(接着や嵌合など)により両者を連結してもよい。
図4では、連結部Aにおいて、ラッチ40がアウターハウジング30に連結している。
図4に示すように、アウターハウジング30は、前方及び後方それぞれに開口31,32を有するハウジング本体33を有している。
【0021】
アウターハウジング30の上面30aには、弾性部材70を収納する部分36aをその内側に画定する一対の壁部36と、壁部36の外側に位置する一対のガイド突起37とが設けられている。部分36aに収納される弾性部材70は、アウターハウジング30と後述するタブ50との間に配置されることになり、タブ50をアウターハウジング30に対して光コネクタ1の後端1b側に移動した場合にタブ50を通常位置に復帰させるように機能する。弾性部材70は例えばバネである。各ガイド突起37は、タブ50がアウターハウジング30に連結された場合にタブ50のスリット55,56(
図5を参照)内に位置し、タブ50の長手方向Xに沿った移動をガイドする。アウターハウジング30は、タブ50との連結構造として、前方側に設けられた突出部34と、各ガイド突起37の下方に設けられた連結用のスリット35とを更に備えている。また、アウターハウジング30の下面30bには、孔と開口部とが設けられている。孔には、インナーハウジング20いずれか一方の突起26が入り込むようになっており、これにより、インナーハウジング20がアウターハウジング30に着脱可能で連結される。
【0022】
ラッチ40は、アウターハウジング30の外側に設けられると共に連結部Aのある基端40aから長手方向Xに沿って前端1aに向かって延在する部材41,42を含む部材である。ラッチ40の部材41,42は、その先端部分40bにアダプタ100等の外部装置に係合可能な係合部43,44が設けられている。各係合部43,44は、例えば長手方向Xに対して直交する外側方向に向かってそれぞれが突出する一対の突起を含んで構成されている。係合部43,44のこれら突起がアダプタ100内の係合部に係合されることにより、光コネクタ1がアダプタ100に取り付けられる。ラッチ40の先端部分40b、即ち係合部43,44は、通常状態において、フロントハウジング10,11から離間して浮くような状態になっている。
【0023】
ラッチ40の部材41,42には、その中央付近において、傾斜面41a,42aと、傾斜面41b,42bと、凹部41c,42cとが設けられている。傾斜面41a,42aは、ラッチ40の内側に設けられている。傾斜面41b,42bは、ラッチ40の外側に設けられており、凹部41c,42cの一部を為している。なお、ラッチ40の部材41,42においては、全体が同じ厚みとなるように形成されていてもよいし、基端40aの板厚が傾斜面41a,42a又は傾斜面41b,42bが位置する領域での板厚よりも薄くてもよい。この場合、基端40aを支点としたラッチ40の先端部分40b、即ち係合部43,44の上下方向の移動がよりスムーズになる。なお、ここでいう板厚は、各箇所における面に対して垂直な方向における厚さを意味する。
【0024】
タブ50は、ラッチ40のうち先端部分40bにある係合部43,44を除く部分を覆うようにラッチ40の外側に配置される。
図5は、光コネクタの一構成部品であるタブを示す斜視図であり、
図6は、
図5に示すタブを逆側から見た斜視図である。
図3、
図4、
図5及び
図6に示すように、タブ50の前端50aの内側にある突出部58がアウターハウジング30の上面30aにある突出部34に連結すると共に、タブ50の内側の左右にある一対のラッチ59が、アウターハウジング30の上面30aの左右にあるスリット35に内側から引っかかる。これにより、タブ50は、アウターハウジング30に対して長手方向Xに沿って移動可能なようにアウターハウジング30に連結される。タブ50は、長手方向Xに沿って前端1aから後端1bに向かう方向への移動に応じて、ラッチ40の係合部43,44を上下方向Zにあるフロントハウジング10,11に向けて押し下げるように構成されている。より具体的には、タブ50の前端50aには下方に突出する突起51,52が設けられており、タブ50が後方に移動すると、これら突起51,52がラッチ40の傾斜面41b,42bに沿って後方に向かって移動し、これにより、ラッチ40の係合部43,44が下方に押し下げられる。
【0025】
タブ50の内側には、一対の突起53,54が更に設けられている。これら突起53,54は、通常状態においてはラッチ40の内側に僅かに接触しない位置に設けられているが、光コネクタ1をアダプタ100に取り付ける際、即ちラッチ40の係合部43,44をアダプタ100の係合部に係合させる際にラッチ40の係合部43,44が僅かに下方に移動すると、ラッチ40の内側に接触するようになっている。そして、ラッチ40は、これら突起53,54との接触点を支点として、係合部43,44がフロントハウジング10,11に向かって押し下げられるように構成されている。
【0026】
タブ50の中央部には、一対のスリット55,56が設けられている。これらスリット55,56には、上述したアウターハウジング30の一対のガイド突起37が配置される。一対のガイド突起37のそれぞれがこれらスリット55,56内をスライドすることにより、タブ50の長手方向Xに沿った移動がガイドされる。また、タブ50の後端50bには、把持部57が設けられている。アダプタ100に取り付けられた光コネクタ1をアダプタ100から取り外す際には把持部57を使用者が把持して後方に引っ張ることにより、突起51,52が上述した動作を行い、ラッチ40の係合が解除される。本実施形態における把持部57は、上下方向及び左右方向の何れにおいても使用者が把持できるように一周回る筒形状になっているが、上下方向及び左右方向の少なくとも一方の方向で把持できる構成であればよい。この把持部57の内部には、後述するブーツ60が収納される。
【0027】
ブーツ60及びケーブル保持部材80は、光ケーブルKを光コネクタ1に対して導入させると共に、光コネクタ1内の所定の位置で光ケーブルKを固定するための部材である。これにより、光コネクタ1の後端1bから光ケーブルKが内包する光ファイバを挿入することができる。ブーツ60の一部及びケーブル保持部材80は、アウターハウジング30等の内部に収納される。
【0028】
ここで、上述した構成の光コネクタ1における、フロントハウジング10に対するフェルール14の取り付け構造について、
図7を参照して説明する。
図7は、
図1のVII-VII線に沿った断面図である。フェルール14は、フロントハウジング10に取り付けられている状態においては、長手方向Xに延びている。光ケーブルKから前方へ延びる光ファイバが先端14aから露出した状態で、フェルール14は光ファイバを保持する。フェルール14は、長手方向Xにおいて前端側に位置するフェルール本体14bと、後端側に位置し、フェルール本体14bが挿入され、固定される金属部材14cとを有する。
【0029】
フェルール本体14bの内部には、長手方向Xに延び、長手方向Xに垂直な断面が円形である貫通孔141が設けられる。貫通孔141は、フェルール本体14bの前端から後端へ延びる第1部分141aと、第1部分141aからフェルール本体14bの後端まで延びる第2部分141bとを含む。第1部分141aの径は光ファイバの外径よりわずかに大きく、第1部分141aに光ファイバの周囲が支持されることによって、光ファイバは安定して保持される。後述する金属部材14cに設けられる貫通孔142の径は、フェルール本体14bに設けられる貫通孔の第1部分141aの径よりも大きい。そのため、貫通孔の第2部分141bは、フェルール本体14bの後端から第1部分141aに向けて縮径している円錐状の孔とされている。
【0030】
金属部材14cは、長手方向Xにおける前端側に位置するフランジ部14dと、長手方向Xにおける後端側に位置し、フランジ部14dに接続されている中空管状部14eとを有する。フランジ部14dは、フロントハウジング10の貫通孔18に挿入されて保持される。フランジ部14dは、正六角柱の形状を有する正六角柱部14fと、正六角柱部14fの前端からフェルール本体14bの前端に向かって縮径しているテーパ部14gとを有する。テーパ部14gの長手方向Xに垂直な断面の形状は、例えば円形である。
図8は、フランジ部14dの正六角柱部14fの長手方向Xに垂直な断面を示す図である。以下の説明において、正六角柱部14fの径d1とは、正六角柱部14fの長手方向Xに垂直な断面が有する正六角形の形状に含まれる頂点のうち、フランジ部14dの軸Gを挟む2つの頂点間の距離を指す。金属部材14cの内部には、長手方向Xに垂直な断面が円形である貫通孔142が設けられている。
図7に示すように、貫通孔142は、その前端側の一部においてフェルール本体14bの外径とほぼ等しい径を有し、その後端側の残部においてフェルール本体14bの外径より小さい径を有する。
【0031】
金属部材14cの貫通孔142には、光ケーブルKから分岐された一方の被覆ファイバが挿入される。この貫通孔142の径は、被覆ファイバの外径よりわずかに大きい。被覆ファイバの周囲が貫通孔142に支持されることによって、被覆ファイバは保持される。フロントハウジング10は、中空管状部14eの軸周りの周囲に設けられる弾性部材14hを有する。弾性部材14hは、例えば圧縮コイルばねである。フランジ部14dと中空管状部14eとの間に設けられた段差と、インナーハウジング20の前端部21との間に弾性部材14hが挟まれることによって、長手方向Xにおいてフェルール14を前方に押す力が働く。
【0032】
図9は、
図7に示される構成のうちフロントハウジング10のみを示す断面図である。
図10は、
図9のX-X線に沿って切断した切り欠き斜視図である。
図9,
図10に示すように、フロントハウジング10には、長手方向Xに延びる貫通孔18が設けられている。貫通孔18は、長手方向Xに沿って延びる孔部84、孔部81(第1孔部)、孔部82(第2孔部)及び孔部85を有する。孔部81は貫通孔18において前端寄りに位置し、孔部82は孔部81と貫通孔18の後端との間に位置する。孔部84は孔部81と貫通孔18の前端との間に位置し、孔部85は孔部82と貫通孔18の後端との間に位置する。孔部81と、孔部82とは、同一の軸A1を有する。孔部81は、前端1a側の端81a、及び後端1b側の端81bを有する。孔部82は、前端1a側の端82a、及び後端1b側の端82bを有する。以下の説明において、端81a、端81b、端82a、及び端82bの形状とは、それぞれ端81a,81b,82a及び82bの長手方向Xに垂直な断面の形状を指す。
【0033】
孔部81の長手方向Xに垂直な断面は、正六角形の形状を有する。孔部81は、長手方向Xにおいて端81bから端81aに向かうにつれて連続的に縮径している。本開示において縮径とは、長手方向Xにおいて一端から他端に向かうにつれて、長手方向Xに垂直な断面の径が小さくなっていくことを指し、断面の輪郭が全体的に小さくなることを指す。そのため、ある断面と、ある断面が縮径した後の断面とを比較すると、縮径した後の断面はある断面よりもひと回り小さい。端81a及び端81bの長手方向Xに垂直な断面は、正六角形の形状を有していて、端81aの径D1は端81bの径D2より小さい。なお、端81aの径D1及び端81bの径D2とは、端81a及び端81bの長手方向Xに垂直な断面が有する正六角形の形状に含まれる頂点のうち、孔部81の軸A1を挟む2つの頂点間の距離を指す。端81aの径D1は、テーパ部14gの前端の径よりも大きく、正六角柱部14fの前端の径d1よりも小さい。言い換えると、端81aの径D1は、フランジ部14dの最長対角線L(
図8を参照)よりも短い。なお、フランジ部14dの最長対角線Lとは、正六角柱部14fの長手方向Xに垂直な断面が有する正六角形の形状に含まれる頂点のうち、正六角柱部14fの軸Gを挟む2つの頂点間を結んだ線分を指す。すなわち、フランジ部14dの最長対角線Lの長さは、正六角柱部14fの径d1と等しい。端81bの径D2は、正六角柱部14fの径d1より大きい。すなわち、端81bの径D2は、フランジ部14dの最長対角線Lよりも長い。端81bの形状の対辺の距離D3は、フランジ部14dの最長対角線Lよりも短い。
【0034】
端82a及び端81bの形状は、正六角形である。端82aの径は、端81bの径D2と等しい。すなわち、端82aの形状及び大きさと、端81bの形状及び大きさとは同一である。したがって、孔部81の内壁と孔部82の内壁とは、互いに連続している。孔部82は、長手方向Xにおいて端82bから端82aに向かうにつれて連続的に縮径している。端82bにおいて、端82aにおける各辺S1に対応する6本の輪郭S2は、軸A1に垂直な断面における端82bの外側に向けて膨らんでいる。一例では、端82bの形状は、端81bの形状に対する外接円の半径より、ひと回り大きい半径を有する円形である。端82bの最小径は、フランジ部14dの最長対角線Lよりも長い。端82bの最小径とは、端82bの長手方向Xに垂直な断面における、端82bの形状に対する内接円の直径を指す。端82bの形状は円形であるため、端82bの最小径は端82bの直径を指す。孔部82の軸A1に対する、端82aの形状の各頂点から延びる孔部82の母線g1の傾斜角は、孔部82の軸A1に対する孔部82の母線の傾斜角の中で最も小さい。孔部82の軸A1に対する、端82aの形状の各辺の中点から延びる孔部82の母線g2の傾斜角は、孔部82の軸A1に対する孔部82の母線の傾斜角の中で最も大きい。なお、孔部82の母線とは、孔部82の軸A1を含み孔部82の軸A1に平行な断面で孔部82を切断したときの孔部82の輪郭線を意味する。
【0035】
フェルール14が貫通孔18に挿入されるとき、フェルール本体14bと、テーパ部14gと、フランジ部14dとが、この順で貫通孔18に挿入される。このとき、フェルール14の軸(フランジ部14dの軸G)と、貫通孔18の軸A1とが一致した状態で、フェルール14は貫通孔18に挿入される。フェルール本体14bの外径は端81aの対辺間の距離より小さいため、フェルール本体14bは孔部81を通過し、端81aから前端側に飛び出る。テーパ部14gの後端の径は、端82aの対辺間の距離D3よりも小さいため、テーパ部14gは孔部82を通過することができる。フランジ部14dの最長対角線Lは、端82bの最小径(本実施形態では端82bの直径)よりも短いため、フランジ部14dが軸A1周りに如何なる回転角度を有していても、フランジ部14dは端82bを通過することができる。フランジ部14dが孔部82に挿入される途中、孔部82は次第に縮径する。端82aの対辺の距離D3はフランジ部14dの最長対角線Lよりも短いので、フランジ部14dの軸A1周りの回転角度によっては、フランジ部14dの角が孔部82の壁面に接触することがある。なお、フランジ部14dの角とは、正六角柱部14fの長手方向Xに垂直な断面が有する正六角形の各頂点を含む部分を指す。このように、フランジ部14dの角が孔部82の壁面に接触した場合、弾性部材14hの押圧力によって孔部82の壁面(斜面)に倣ってフランジ部14dが軸A1周りに自動的に回転し、フランジ部14dの角が端82aの頂点に合わさるので、孔部82の壁面へのフランジ部14dの角の接触は解消される。その後、テーパ部14gが孔部81と当接することによって、フェルール14は静止する。具体的には、テーパ部14gの前端と後端との間に位置する長手方向Xに垂直な断面のうち、端81aの径D1と等しい径を有する断面と、端81aとが長手方向Xにおいて重なった状態で、テーパ部14gが孔部81内において静止する。
【0036】
上述した構成の光コネクタ1において、フェルール15のフロントハウジング11への取付構造および取り付けられる際の動作は、フェルール14のフロントハウジング10への取付構造および取り付けられる際の動作と同じである。すなわち、フェルール15の構成は、フェルール14の構成と同一である。また、フロントハウジング11の構成は、フロントハウジング10の構成と同一である。
【0037】
以上、本実施形態に係る光コネクタ1では、端82bの最小径が、フランジ部14dの最長対角線Lよりも長い。そのため、フランジ部14dが端82bを通過するとき、フランジ部14dは端82bの輪郭に当たることなく、スムーズに孔部82へ挿入される。光コネクタ1では、端82bの形状において端82aの形状における各辺S1に対応する6本の輪郭S2が外側に膨らんでおり、孔部82は、端82bから端82aに向けて連続的に縮径している。そのため、さらにフランジ部14dが挿入されていくと、上記6本の輪郭S2と孔部82の前端側の各辺S1との間に有る斜面に倣ってフランジ部14dが回転することで、フランジ部14dの角と、端82aの形状の頂点とが合わさる。したがって、工場などで光コネクタ1を製造するとき、完成した光コネクタ1のフェルール14をハウジング内に押し込んで回転調整したとき、又は、クリーナで光ファイバの先端を掃除する際にハウジング内にフェルール14が押し込まれてしまったとき等に、フェルール14が引き出される際にフランジ部14dの角が孔部82の端82bに引っかかることが抑制される。その結果、フェルール14の引き込みが発生する頻度が低減される。光コネクタ1では、孔部81の長手方向Xに垂直な断面の形状は正六角形であり、端81bから端81aに向けて連続的に縮径し、端81aの径D1がフランジ部14dの最長対角線Lよりも短く、端81bの径D2がフランジ部14dの最長対角線Lよりも長い。そのため、フランジ部14dの角と、孔部81の長手方向Xに垂直な断面の形状が有する正六角形の形状の頂点とが合った状態でフランジ部14dは挿入され、終局的に孔部81に嵌まることで、フランジ部14dが貫通孔18の軸周りに回転することが規制される。光コネクタ1では、端82bの長手方向Xに垂直な断面の形状が円形であるため、端82aにおける各辺S1に対応する6本の輪郭S2が外側に膨らむ形状を単純な形状によって実現できる。そのため、フロントハウジング10の加工容易性を高めることができる。フェルール15がフロントハウジング11に取り付けられる際にも上に記載の全ての効果と同様の効果が得られる。
【0038】
[変形例]
図11は、上記実施形態の変形例に係るフロントハウジング10Aの構成を示す断面図である。
図12は、
図11のXII-XII線に沿って切断した切り欠き斜視図である。変形例に係るフロントハウジング10Aでは、主に貫通孔18の後端の形状が、上記実施形態と相違する。本変形例のフロントハウジング10Aの貫通孔18は、上記実施形態に係る孔部82に代えて、孔部83を有する。
【0039】
図11,
図12に示すように、フロントハウジング10Aには、長手方向Xに延びる貫通孔18が設けられている。貫通孔18は、長手方向Xに沿って延びる孔部84、孔部81、孔部83及び孔部85を有する。孔部81は貫通孔18において前端寄りに位置し、孔部83は孔部81と貫通孔18の後端との間に位置する。孔部84は孔部81と貫通孔18の前端との間に位置し、孔部85は孔部83と貫通孔18の後端との間に位置する。孔部81と、孔部83とは、同一の軸A2を有する。孔部81は、前端1a側の端81a及び後端1b側の端81bを有する。孔部83は、前端1a側の端83a及び後端1b側の端83bを有する。以下の説明において、端83a,83bの形状とは、それぞれ端83a,83bの長手方向Xに垂直な断面の形状を指す。なお、孔部81の構成は上記実施形態と同様である。
【0040】
端83aの形状は、正六角形である。端83aの径は、端81bの径D2(
図10を参照)と等しい。すなわち、端83aの形状及び大きさと、端81bの形状及び大きさとは同一である。したがって、孔部81の内壁と孔部83の内壁とは、互いに連続している。孔部83は、長手方向Xにおいて端83bから端83aに向かうにつれて連続的に縮径している。端83bにおいて、端83aにおける各辺S1に対応する6本の輪郭S3は、軸A2に垂直な断面における端83bの内側に向けて膨らんでいる。一例では、端83bの形状は、略星形の形状を有する。但し、厳密に星形である必要は無く、例えば星形の頂点がつぶれていてもよい。
図13は、星型六角形SHを示す図である。この星型六角形SHは、外側の正六角形H1の頂点に相当する6つの頂点Q1と、外側の正六角形H1よりも小さい正六角形であって、外側の正六角形H1に対して中心軸周りに30°回転した内側の正六角形H2の頂点に相当する6つの頂点Q2と、を有する。この星型六角形SHは、これらの頂点Q1及びQ2を交互に直線で繋いだ形状を有する。端83bは、
図13に示す星型六角形SHの各頂点Q1が孔部85によってつぶれた形状を有する。
図12に示される端83bの最小径D4(星型六角形SHの中心軸を挟んで対向する2つの頂点Q2間の距離に相当する)は、フランジ部14dの最長対角線Lよりも長い。また、本変形例の孔部83は、2段階で縮径している。すなわち、孔部83は、端83aを含む第1の部分831と、端83bを含む第2の部分832とを有する。第1の部分831と第2の部分832とは、軸A2に沿った方向に並んでおり、互いに繋がっている。
図14は、
図12のXIV-XIV線に沿った断面を模式的に示す図であって、星型六角形SHの対向する2つの頂点Q1に相当する端83bの2つの頂点を含み軸A2に平行な断面を示す。
図15は、
図12のXV-XV線に沿った断面を模式的に示す図であって、星型六角形SHの対向する2つの頂点Q2に相当する端83bの2つの頂点を含み軸A2に平行な断面を示す。
図14に示すように、頂点Q1に相当する端83bの各頂点から延びる孔部83の母線g3の傾斜角は、第1の部分831及び第2の部分832の双方において、軸A2に対して傾斜している。第1の部分831において、軸A2に対する母線g3の傾斜角は、軸A2に対する母線の傾斜角の中で最も大きい。また、
図15に示すように、頂点Q2に相当する端83bの各頂点から延びる孔部83の母線g4の傾斜角は、第1の部分831において軸A2に対して傾斜しているか又は平行であり、第2の部分832において軸A2に対して傾斜している。第1の部分831において、軸A2に対する母線g4の傾斜角は、軸A2に対する母線の傾斜角の中で最も小さい。なお、孔部83の母線とは、孔部83の軸A2を含み孔部83の軸A2に平行な断面で孔部83を切断したときの孔部83の輪郭線を意味する。
【0041】
フェルール14が貫通孔18に挿入されるとき、フェルール本体14bと、テーパ部14gと、フランジ部14dとが、この順で貫通孔18に挿入される。このとき、フェルール14の軸(フランジ部14dの軸G)と、貫通孔18の軸A2とが一致した状態で、フェルール14は貫通孔18に挿入される。フェルール本体14bの外径は端81aの対辺間の距離より小さいため、フェルール本体14bは孔部81を通過し、端81aから前端側に飛び出る。テーパ部14gの後端の径は、端83aの対辺間の距離D3よりも小さいため、テーパ部14gは孔部83を通過することができる。フランジ部14dの最長対角線Lは、端83bの最小径D4よりも短いため、フランジ部14dが軸周りに如何なる回転角度を有していても、フランジ部14dは端83bを通過することができる。フランジ部14dが孔部83に挿入される途中、孔部83は次第に縮径する。端83aの対辺の距離はフランジ部14dの最長対角線Lよりも短いので、フランジ部14dの軸A2周りの回転角度によっては、フランジ部14dの角が孔部83の壁面に接触することがある。孔部83の壁面にフランジ部14dの角が接触した場合、弾性部材14hの押圧力によって孔部83の壁面(斜面)に倣ってフランジ部14dが軸A2周りに自動的に回転し、フランジ部14dの角が端83aの頂点に合わさるので、孔部83の壁面へのフランジ部14dの角の接触は解消される。その後、テーパ部14gが孔部81と当接することによって、フェルール14は静止する。具体的には、テーパ部14gの前端と後端との間に位置する長手方向Xに垂直な断面のうち、端81aの径D1と等しい径を有する断面と、端81aとが長手方向Xにおいて重なった状態で、テーパ部14gが孔部81内において静止する。
【0042】
以上、本実施形態に係る光コネクタ1Aでは、端83bの最小径が、フランジ部14dの最長対角線Lよりも長い。そのため、フランジ部14dが端83bを通過するとき、フランジ部14dは端83bの輪郭に当たることなく、スムーズに孔部83へ挿入される。光コネクタ1Aでは、端83bの形状において端83aの形状における各辺S1に対応する6本の輪郭S3が内側に膨らんでおり、孔部83は、端83bから端83aに向けて連続的に縮径している。そのため、さらにフランジ部14dが挿入されていくと、上記6本の輪郭S3と孔部83の前端側の各辺S1との間に有る斜面に倣ってフランジ部14dが回転することで、フランジ部14dの角と、端83aの形状の頂点とが合わさる。したがって、工場などで光コネクタ1Aを製造するとき、完成した光コネクタ1Aのフェルール14をハウジング内に押し込んで回転調整したとき、又は、クリーナで光ファイバの先端を掃除する際にハウジング内にフェルール14が押し込まれてしまったとき等に、フェルール14が引き出される際にフランジ部14dの角が孔部83の端83bに引っかかることが抑制される。その結果、フェルール14の引き込みが発生する頻度が低減される。光コネクタ1Aでは、端83bの長手方向Xに垂直な断面の形状が略星形であるため、端83aにおける各辺S1に対応する6本の輪郭S3が内側に膨らむ形状を単純な形状によって実現できる。そのため、フロントハウジング10Aの加工容易性を高めることができる。
【0043】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態に適用することができる。例えば、上記の実施形態では、孔部82,83の後端の形状が円形又は略星形である例を説明したが、孔部82,83の後端の形状は、孔部82,83の前端における各辺S1に対応する6本の輪郭S2,S3が外側又は内側に膨らんだ形状をしていれば、円形又は略星形以外の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A…光コネクタ
1a…前端
1b…後端
10,10A,11…フロントハウジング
12,13…本体
12a,13a…丸孔
12b,13b…突起
14,15…フェルール
14a…先端
14b…フェルール本体
14c…金属部材
14d…フランジ部
14e…中空管状部
14f…正六角柱部
14g…テーパ部
14h…弾性部材
16,17…開口部
18,19…貫通孔
20…インナーハウジング
21…前端部
22…テーパ部
23…後端部
24,25…ラッチ
26…突起
30…アウターハウジング
30a…上面
30b…下面
31,32…開口
33…ハウジング本体
34…突出部
35…スリット
36…壁部
36a…部分
37…ガイド突起
40…ラッチ
40a…基端
40b…先端部分
41,42…部材
41a,41b,42a,42b…傾斜面
41c,42c…凹部
43,44…係合部
50…タブ
50a…前端
50b…後端
51,52,53,54…突起
55,56…スリット
57…把持部
58…突出部
60…ブーツ
70…弾性部材
80…ケーブル保持部材
81,82,83,84,85…孔部
81a,81b,82a,82b,83a,83b…端
100…アダプタ
141,142…貫通孔