IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 聯科機電科技股▲フン▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-ミシンの押え装置 図1
  • 特開-ミシンの押え装置 図2
  • 特開-ミシンの押え装置 図3
  • 特開-ミシンの押え装置 図4
  • 特開-ミシンの押え装置 図5
  • 特開-ミシンの押え装置 図6
  • 特開-ミシンの押え装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056769
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】ミシンの押え装置
(51)【国際特許分類】
   D05B 29/02 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
D05B29/02 101
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166175
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】521445199
【氏名又は名称】聯科機電科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 培嘉
(72)【発明者】
【氏名】游 建長
(72)【発明者】
【氏名】劉 育運
(72)【発明者】
【氏名】林 恒成
(72)【発明者】
【氏名】游 子霖
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA01
3B150CB03
3B150CC04
3B150CE01
3B150CE27
3B150EA10
3B150EA11
3B150EA13
3B150GD11
3B150GD13
3B150GD24
3B150QA06
(57)【要約】
【課題】縫製過程における布厚の変化又は異なる厚みの各種布地に対応可能で、縫い糸の糸間隔の前後を一致させることが可能なミシンの押え装置を提供する。
【解決手段】ミシンの押え装置は、押え機構と弾力作用機構とアクチュエータ機構と制御モジュールとを備える。押え機構は押え棒及び押え足を含む。弾力作用機構は、棒部材、弾性要素及び揺動部品を含み、棒部材が押え棒に移動可能に連結され、揺動部品が棒部材に設けられ、弾性要素が揺動部品と押え棒との間に配置されている。アクチュエータ機構は、アクチュエータ及び出力軸を含み、出力軸が揺動部品に連結されている。制御モジュールは、アクチュエータ機構に電気的に接続され、感知ユニットを含む。ミシンの押え装置は、感知ユニットが押え棒の変位を感知した場合に制御モジュールがアクチュエータを駆動して棒部材を移動させることにより、押え足が布地に加える作用力を一定に保持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地の縫製に応用され、本体を含むミシンの押え装置であって、
押え機構と、弾力作用機構と、アクチュエータ機構と、制御モジュールとを備え、
前記押え機構は、押え棒及び押え足を含み、前記押え棒が前記本体から延びるように設けられ、前記押え足が前記押え棒に連結され、
前記弾力作用機構は、棒部材、弾性要素及び揺動部品を含み、前記棒部材が前記押え棒に移動可能に連結され、前記揺動部品が前記棒部材に設けられ、前記弾性要素が前記揺動部品と前記押え棒との間に配置され、
前記アクチュエータ機構は、前記本体に固定され、アクチュエータ及び出力軸を含み、前記出力軸が前記揺動部品に連結され、
前記制御モジュールは、前記アクチュエータ機構に電気的に接続され、感知ユニットを含み、前記感知ユニットが前記押え棒の変位を感知するのに用いられ、
前記布地が厚くなったとき前記押え棒が上向きに押し上げられ、前記感知ユニットが前記押え棒の変位を感知した場合に、前記制御モジュールが前記アクチュエータを駆動して前記棒部材を上向きに引き上げることにより、前記押え足が前記布地に加える作用力を一定に保持するように構成されている、ミシンの押え装置。
【請求項2】
前記感知ユニットは布厚感知センサーを含み、前記押え棒に布厚感知ヘッドが接続されており、前記布厚感知センサーは前記布厚感知ヘッドに対応して配置されている、請求項1に記載のミシンの押え装置。
【請求項3】
前記感知ユニットはばね感知センサーを含み、前記棒部材にばね圧縮量感知ヘッドが設けられており、前記ばね感知センサーは前記ばね圧縮量感知ヘッドに対応して配置されている、請求項1又は2に記載のミシンの押え装置。
【請求項4】
前記揺動部品は、凸軸が連結された柱体及び連接棒を含み、
前記柱体は、前記棒部材の上部に嵌合され、前記棒部材に対して固定され、
前記連接棒は、一端が前記凸軸と連結され、他端が前記出力軸と連結されている、請求項1~3のいずれか1つに記載のミシンの押え装置。
【請求項5】
前記棒部材は、中空筒であり、前記押え棒の上部に嵌め合わされている、請求項4に記載のミシンの押え装置。
【請求項6】
前記弾性要素は、圧縮ばねであり、前記中空筒の内部に収容され、前記柱体と前記押え棒との間に配置されている、請求項5に記載のミシンの押え装置。
【請求項7】
前記中空筒の下部には止め輪溝が形成され、その止め輪溝に止め輪が固定され、
前記押え棒の上部には止め輪溝が形成され、その止め輪溝に止め輪が固定され、
前記押え棒の止め輪が前記中空筒の止め輪の上方に配置され、互いに制限し干渉し合うように構成されている、請求項5又は6に記載のミシンの押え装置。
【請求項8】
前記連接棒の一端に細長形の溝が設けられ、前記凸軸が前記溝に挿入され、前記細長形の溝内において前記凸軸が移動可能である、請求項4~7のいずれか1つに記載のミシンの押え装置。
【請求項9】
前記揺動部品は、さらに軸棒を含み、
前記軸棒は、一端が前記柱体に固定され、他端が前記押え棒に差し込まれている、請求項4~8のいずれか1つに記載のミシンの押え装置。
【請求項10】
前記アクチュエータ機構は、さらに駆動力伝送コンポーネントを含み、
前記駆動力伝送コンポーネントは、前記アクチュエータと前記出力軸との間に配置され、
前記アクチュエータからの動力は前記駆動力伝送コンポーネントを介して前記出力軸に伝送されるようになっている、請求項1~9のいずれか1つに記載のミシンの押え装置。
【請求項11】
前記駆動力伝送コンポーネントは、減速ギアセットである、請求項10に記載のミシンの押え装置。
【請求項12】
前記制御モジュールは、さらに制御ユニット、モーター駆動ユニット、主軸駆動ユニット、設定/操作ユニット及び表示ユニットを含み、
前記モーター駆動ユニットは前記アクチュエータに電気的に接続され、
前記制御ユニットには、前記主軸駆動ユニット、前記設定/操作ユニット及び前記表示ユニットが電気的に接続されている、請求項1~11のいずれか1つに記載のミシンの押え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの技術に関し、特にミシンの押え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のミシンの押え装置は、主にばねの付勢力によって、押え足の底面が縫製作業台の固定エリアにおいて、しっかりと布地を押さえ続けるようにする。この押圧力が布地上に作用するとき、主に布地が押え足と縫製作業台の間で挟持されるため、一定程度の摩擦力が生じる。送り歯は、伝動機構によって楕円形の軌跡に近似した反時計回りの循環運動を行う。それによって送り歯を、縫製作業台に相対して上向きに持ち上げ、左向きに1ピッチ分水平変位をした後、下向きに縫製作業台より沈み込ませることを繰り返すことが可能である。上記送り歯は、循環運動によって、送り歯の歯面が縫製作業台より高い時、布地と押え足を持ち上げ、送り歯は縫製作業台に代わって布地を押え足との間で挟持し、その後すぐに送り歯は左向きに1ピッチ分水平変位し、このとき、送り歯と布地との間の摩擦力が布地と押え足底面との間の摩擦力より大きいため、布地は送り歯と伴に1ピッチ分移動する。
【0003】
しかし、機器が動作を持続することにより布地を機器の回転に合わせて送らせることで、布地には左向きにステップ運動の水平変位が発生するが、一定の比率で滑りが発生するため、布地の変位量は送り歯の水平変位量と完全に一致するわけではない。この滑り率の大きさは、押え棒に加える作用力の大きさに依存しており、この作用力の大きさは、布地と押え足底面との間の摩擦力の大きさ、及び布地と送り歯との間の摩擦力の大きさに影響する。このため、布地と送り歯との間の摩擦力が布地と押え足底面との間の摩擦力より大きく、その差が大きいほど滑り率は小さくなり、布地の水平変位量が送り歯の水平変位量により近くなり、その逆もまた然りである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来の実施例には欠点があり、手動調節棒によって圧縮ばねの付勢力を調節することにより押え足に作用する力の大きさを調節できるが、ミシンでの縫製過程においては、布地の厚みがランダムに変化する可能性がある(例えば、クロッチシーム又は布地の重ね縫い)。布地の厚みが2倍又は4倍増加する可能性があるのはよくある状況であり、布地の厚みが増したとき、押え足は必ず上向きにさらに高く持ち上げて、より厚い布地を押え足と送り歯との間に収容しなければならない。これにより、押え足が上向きに移動され、圧縮ばねの圧縮量がさらに大きくなることで、布地にかかる力が大きくなる。このため、押え足と布地との間の摩擦力、及び送り歯と布地との間の摩擦力が変化し、それに伴い滑り率が変化する。したがって、布地の布厚に応じて布地の水平変位量が変化するため、縫い糸の糸間隔が前後(厚みが増加する前の布地と厚みが増加した後の布地)で一致せず、完成品の美観性に影響する。
【0005】
上記の問題のほか、押え装置は、布地を縫製作業台上に置いたり、布地を縫製作業台から取り去ったりするのに便利なように、操作機構によって押え足の持ち上げ操作をすることで、布地を押さえる動作を解除したり、又は布地を押さえる動作を緩めたりしなければならない。従来の実施例においては、揺動機構、回転軸及び押え棒持ち上げ機構を含み、揺動機構に対する力によって回転軸を回転させ、また回転軸の回転動作を利用して、さらに押え棒持ち上げ機構を動かして、押え棒と押え足を一緒に上向きに持ち上げることで、布地に対する押圧力が解除されるとともに、押え足が本来の状態に戻る。押え足の持ち上げ操作の動力源は、人力、空気圧動力又は電磁力のいずれでもよいが、どのような種類の操作機構であっても、最初の機械構造に基づいて、補助又はアクチュエータユニットを追加設置するものであり、その欠点は機構の伝動チェーンが複雑かつスペースをとり、高いコストが必要なアクチュエータユニットであり、騒音が大きく、押え足持ち上げ変位量を制御できない等の問題がある。
【0006】
この点を踏まえ、本発明の発明者は、上記従来技術の欠点について、特に研究に専念し、学理の運用を組み合わせ、上記問題点の解決に尽力し、即ち、これが本発明の発明者の改良の目標となった。
【0007】
本発明の目的は、縫製過程における布地の厚みの変化又は異なる厚みの各種布地に対応可能で、縫い糸の糸間隔の前後を一致させることができるミシンの押え装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明によるミシンの押え装置は、布地の縫製に応用され、本体を含むミシンに適用されるものであり、押え機構と、弾力作用機構と、アクチュエータ機構と、制御モジュールとを備える。前記押え機構は、押え棒及び押え足を含み、前記押え棒が前記本体から延びるように設けられ、前記押え足が前記押え棒に連結されている。前記弾力作用機構は、棒部材、弾性要素及び揺動部品を含み、前記棒部材が前記押え棒に移動可能に連結され、前記揺動部品が前記棒部材に設けられ、前記弾性要素が前記揺動部品と前記押え棒との間に配置されている。前記アクチュエータ機構は、前記本体に固定され、アクチュエータ及び出力軸を含み、前記出力軸が前記揺動部品に連結されている。前記制御モジュールは、前記アクチュエータ機構に電気的に接続され、感知ユニットを含み、前記感知ユニットが前記押え棒の変位を感知するのに用いられる。ミシンの押え装置は、前記布地が厚くなったとき前記押え棒が上向きに押し上げられ、前記感知ユニットが前記押え棒の変位を感知した場合に、前記制御モジュールが前記アクチュエータを駆動して前記棒部材を上向きに引き上げることにより、前記押え足が前記布地に加える作用力を一定に保持するように構成されている。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、特定の縫製過程における必要な変量に対応して、押え足持ち上げ変位量の制御が可能なミシンの押え装置を提供することにある。
【0010】
本発明は、さらに、手動でねじったり回したりする等の関連要素の材料コスト、製造コスト及び組立コストを大幅に削減可能であるという効果を有する。本発明は、機械構造が簡素化されている、体積がコンパクトである、設置が容易である等のメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のミシンの押え装置がミシンに適用された状態の外観図である。
図2図1のミシンの一部分の拡大図である。
図3】本発明のミシンの押え装置の弾力作用機構の概略図である。
図4】本発明のミシンの押え装置の押え足が持ち上げられた状態の正面図である。
図5】本発明のミシンの押え装置の制御モジュールのブロック図である。
図6】本発明のミシンの押え装置が一般的な布地の縫製に応用された正面図である。
図7】本発明のミシンの押え装置が厚手の布地の縫製に応用された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の詳細及び技術的内容について、図式を使用して下記のとおり説明するが、添付の図式は参考及び説明のために提供するものであり、本発明に制限を加えるために用いるものではない。
【実施例0013】
図1から図5を参照されたい。これらの図に示すように、本発明はミシン8の押え装置1を提供し、上記ミシン8は本体80を含む。本体80は、ベース部81と、ベース部81の上方に結合されたアーム部82とを含み、アーム部82及びベース部81の内部に互いに連結された各種伝動機構又は装置(図示していない)がそれぞれ設置されている。本体80は、ベース部81の左側に縫製作業台811及び縫製作業台811に形成された針板812と送り歯813とを有する。アーム部82の左側(先端)には押え装置1と針棒機構(図示していない)等の関連部材が設置されている。
【0014】
本実施例の押え装置1は、押え機構10(図2参照)、弾力作用機構20(図3参照)、アクチュエータ機構30(図2参照)及び制御モジュール40(図5参照)を含む。
【0015】
押え機構10は、押え棒11及び押え足12を含む。押え棒11は、アーム部82から下方に延びるように設けられ、アーム部82に相対して上下方向に移動可能である。押え足12は、押え棒11の下端部に固定されている。押え足12は、上記針板812の位置に対応して配設され、これにより送り歯813と連動して動作する。
【0016】
弾力作用機構20は、棒部材21、弾性要素22及び揺動部品23を含み、本実施例の棒部材21は中空筒であるが、種類・形態についてはこれに限定しない。この棒部材21は、上下方向に移動可能であり、押え棒11の上部に嵌め合わされている。棒部材21は、押え棒11にスライド移動可能に連結されている。揺動部品23は、柱体231及び連接棒233を含み、棒部材21に設けられている。柱体231は、棒部材21の上部に嵌合され、棒部材21に対して固定されている。柱体231の側面には凸軸232が連結され、連接棒233の一端には細長形の溝234が設けられ、凸軸232が溝234に挿入されている。即ち、連接棒233の一端が凸軸232と連結されている。凸軸232は、細長形の溝234内において移動可能である。このため、連接棒233が回動される際に、凸軸232が溝234内で移動して、棒部材21が上下方向に移動される。本実施例の弾性要素22は、圧縮ばねであり、棒部材21の内部に収容され、揺動部品23の柱体231と押え棒11との間に配置されている。また、揺動部品23は、さらに軸棒235を含む。軸棒235は、一端が柱体231の内部に固定され、他端が押え棒11の上部に差し込まれている。この軸棒235により、棒部材21および押え棒11が相対的に移動する際の安定性を向上させることが可能である。
【0017】
さらに、棒部材21の下部には止め輪溝211が形成され、その止め輪溝211に止め輪24が固定されている。押え棒11の上部には止め輪溝111が形成され、その止め輪溝111に止め輪13が固定されている。弾性要素22の両端は、それぞれ止め輪13及び柱体231の対応面上に当接されている。止め輪13は止め輪24の上方に配置され、かつ互いに制限して干渉し合い、これにより押え棒11が棒部材21から離脱するのを防止する。
【0018】
アクチュエータ機構30は、アーム部82の内部に固定され、かつ、アクチュエータ31、駆動力伝送コンポーネント32及び出力軸33を含む。本実施例のアクチュエータ31は、モーターであり、ボルト等の係止部品によってアーム部82に固定されている。本実施例の駆動力伝送コンポーネント32は、減速ギアセットであり、アクチュエータ31と出力軸33との間に配置されている。アクチュエータ31からの動力は駆動力伝送コンポーネント32を介して出力軸33に伝送され、出力軸33は上記連接棒233の他端に連結されている。
【0019】
制御モジュール40は、1種又は複数種の形式の感知センサーを含み、感知センサーの1つ目の用途は押え棒11に対応して設置されるとともに押え棒11の変位量の変化を感知することであり、感知センサーのもう1つの用途は、弾力作用機構20に対応して設置されるとともに弾性要素22の圧縮量の変化を感知することである。上記2つの変化量の信号を制御モジュール40にフィードバックした後、制御モジュール40はアクチュエータ機構30に2つの動的制御を実現させる。1つ目の動的制御の目的は、範囲制御の方法で、押え足12に上昇及び下降の動作を実施させられることである。2つ目の動的制御の目的は、弾力作用機構20の弾性要素22の圧縮を範囲制御可能にすることである。上記2つの動態制御という基礎があれば、さらに多項目の電子化された縫製機能が実現可能となる。例えば、布地が厚過ぎる場合の押え足持ち上げ微調整制御、押え足作用力の安定又は可変制御、押え足作用力の数値化、押え足変位量制御及び数値化等である。
【0020】
本実施例の制御モジュール40は、アクチュエータ機構30に電気的に接続され、かつ、感知ユニット41、制御ユニット42、モーター駆動ユニット43、主軸駆動ユニット44、設定/操作ユニット45、表示ユニット46及びその他関連部品を含む。モーター駆動ユニット43は上記アクチュエータ31に電気的に接続され、主軸駆動ユニット44はミシン8の主軸モーターに電気的に接続されている。制御ユニット42には、モーター駆動ユニット43、主軸駆動ユニット44、設定/操作ユニット45及び表示ユニット46が電気的に接続されている。
【0021】
さらに、本実施例の感知ユニット41は、押え棒11の変位を感知するのに用いられ、布厚感知センサー411及びばね感知センサー412を含む。布厚感知センサー411は押え棒11の移動量の変化を感知するのに用いられ、ばね感知センサー412は弾性要素22の圧縮量の変化を感知するのに用いられる。
【0022】
さらに、押え棒11の上側は、アーム部82の内部に位置し、布厚感知ヘッド14と接続されている。布厚感知センサー411は、布厚感知ヘッド14に対応して配置されるとともにアーム部82に設けられ、かつ上記制御ユニット42に電気的に接続されている。これにより、押え棒11の上下移動の過程において、布厚感知センサー411を通じて布厚感知ヘッド14の検知内容を得ることができる。即ち、布厚感知ヘッド14により検知された押え棒11の移動量の変化が、布厚感知センサー411によって制御ユニット42に送信される。
【0023】
さらに、棒部材21の頂面には、ばね圧縮量感知ヘッド25が設けられている。ばね感知センサー412は、ばね圧縮量感知ヘッド25に対応して配置されるとともにアーム部82に設けられ、かつ上記制御ユニット42に電気的に接続されている。これにより、ばね感知センサー412を通じてばね圧縮量感知ヘッド25の検知内容を得ることができる。即ち、ばね圧縮量感知ヘッド25により検知された弾性要素22の圧縮量の変化が、ばね感知センサー412によって制御ユニット42に送信される。
【0024】
図4に示したように、本発明のミシン8の押え装置1は、押え機構10を上昇させることができる。具体的には、制御モジュール40はアクチュエータ31を駆動させることにより、出力軸33を中心にして連接棒233を反時計回りに回転させると、棒部材21が上向きに引き上げられる。このとき、棒部材21の上方向への移動に伴い弾性要素22が伸長して、棒部材21の止め輪24が押え棒11の止め輪13に当接される。このため、棒部材21の止め輪24が押え棒11の止め輪13に係合されるので、押え棒11が棒部材21と伴に上向きに引き上げられる。なお、押え足12は、押え棒11と一体的に引き上げられる。
【0025】
本発明のミシン8の押え装置1は、布地9、厚手の布地9A及び布地の重ね縫いに応用可能である。図6に示すように、布地9の縫製を行うとき、まず制御モジュール40によって弾性要素22の圧縮量を設定することができる。この圧縮量は作用力の大きさとして数値化可能である。制御モジュール40はアクチュエータ31を駆動させることにより、出力軸33を中心にして連接棒233を時計回りに回転させると、棒部材21が下向きに押し下げられる。このとき、押え足12が布地9に触れるまで、押え棒11及び押え足12も棒部材21と伴に下向きに押し下げられる。そして、押え足12が布地9に触れると、布厚感知センサー411が布地9の厚みの値を得る。さらに、連接棒233が時計回りに回転されると、棒部材21の止め輪24が押え棒11の止め輪13と離間して弾性要素22が圧縮されることにより、押え足12が布地9を押圧する。また、ばね感知センサー412が現在の圧縮量を感知し、制御モジュール40が設定された目標圧縮量となるようにアクチュエータ31の駆動を制御する。即ち、制御モジュール40によって連接棒233の回転を制御することにより、押え足12が布地9を押圧する押圧力を目標とされる値に調整することが可能である。
【0026】
図7に示すように、厚手の布地9Aに縫製を行うとき、まず制御モジュール40によって弾性要素22の圧縮量を設定することができる。制御モジュール40はアクチュエータ31を駆動させることにより、出力軸33を中心にして連接棒233を反時計回りに回転させると、棒部材21が上向きに引き上げられる。このとき、ばね感知センサー412が現在の圧縮量を感知し、制御モジュール40が設定された目標圧縮量となるようにアクチュエータ31の駆動を制御する。このため、厚手の布地9Aによってもたらされた弾性要素22の増加した圧縮量を低減することが可能である。
【0027】
したがって、制御モジュール40によって弾性要素22の目標圧縮量を設定しさえすれば、縫製作業台811上の布地の厚みがどれくらいかに関わらず、その弾性要素22の圧縮量は先に設定した目標量の値に保持される。
【0028】
さらに上記の内容を受けて、上記図6図7に示す実施例の説明を一連の工程、即ち布地の重ね縫いを行う過程に結び付けると、布厚感知センサー411又は/及びばね感知センサー412によって感知し、布地9が安定して既定の方向に向けて移動し、布地9が厚手の布地9Aに変わる状況が発生したとき、布厚感知センサー411又は/及びばね感知センサー412が押え棒11の変位を感知して信号を制御モジュール40の制御ユニット42に送り、制御モジュール40は直ちに修正信号をモーター駆動ユニット43に送るとともにアクチュエータ31を作動させ、これにより棒部材21を上向きに引き上げて布厚の増加量と一致させ、押え足12が布地9上に加える作用力と厚手の布地9A上に加える作用力を一定に保持し、このようにして縫い糸の糸間隔が弾性要素22の圧縮量の変化によって変わるのを防ぐことができる。
【0029】
上記内容をまとめると、本発明のミシンの押え装置は、期待する使用目的を確かに達成できるとともに、既知の欠点を解決することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 押え装置
10 押え機構
11 押え棒
111 止め輪溝
12 押え足
13 止め輪
14 布厚感知ヘッド
20 弾力作用機構
21 棒部材
211 止め輪溝
22 弾性要素
23 揺動部品
231 柱体
232 凸軸
233 連接棒
234 細長形の溝
235 軸棒
24 止め輪
25 ばね圧縮量感知ヘッド
30 アクチュエータ機構
31 アクチュエータ
32 駆動力伝送コンポーネント
33 出力軸
40 制御モジュール
41 感知ユニット
411 布厚感知センサー
412 ばね感知センサー
42 制御ユニット
43 モーター駆動ユニット
44 主軸駆動ユニット
45 設定/操作ユニット
46 表示ユニット
8 ミシン
80 本体
81 ベース部
811 縫製作業台
812 針板
813 送り歯
82 アーム部
9 布地
9A 厚手の布地
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7