(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056817
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】位置推定システムおよび位置推定方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20230413BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20230413BHJP
G01S 1/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
H04W64/00 150
H04W64/00 173
G01S1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166252
(22)【出願日】2021-10-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔1〕 発行日 2021年2月23日 刊行物 2021年 電子情報通信学会 総合大会 講演論文集 P495 B-17-32 一般社団法人 電子情報通信学会 発行 Web公開 https://www.ieice-taikai.jp/2021general/jpn/program.html https://www.ieice-taikai.jp/2021general/jpn/submission.html https://www.ieice-taikai.jp/2021general/jpn/webpro/_html/cs.html#b_17 <資 料> 電子情報通信学会 総合大会 講演論文集掲載発表 講演論文
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔2〕 開催日(公開日) 2021年3月12日(開催期間:3月9日(火)~3月12日(金)) 集会名、開催場所 2021年 電子情報通信学会 総合大会 オンライン開催 https://www.ieice-taikai.jp/2021general/jpn/index.html https://www.ieice-taikai.jp/2021general/jpn/p_program.html 一般社団法人 電子情報通信学会 主催 <資 料> 電子情報通信学会 総合大会 概要及びプログラム
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔3〕 発行日 2021年7月7日 刊行物 電子情報通信学会技術研究報告 Online edition: ISSN 2432-6380 信学技報,vol.121,no.104,SR2021-35,pp.73-80,2021年7月 一般社団法人 電子情報通信学会 発行 Web公開 https://www.ieice.org/ken/index/ieice-techrep-121-104.html https://www.ieice.org/ken/paper/20210716gCeV/ <資 料> 電子情報通信学会技術研究報告 掲載発表 講演論文
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔4〕 開催日(公開日) 2021年7月16日(開催期間:7月14日~7月16) 集会名、開催場所 電子情報通信学会 研究会 RCS SR NS SeMI RCC オンライン開催 https://www.ieice.org/ken/program/index.php?tgid=IEICE-RCS&layout=&lang https://www.ieice.org/ken/paper/20210716gCeV/ 一般社団法人 電子情報通信学会 主催 <資 料> 電子情報通信学会 研究会 開催プログラム
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、総務省、戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】田久 修
(72)【発明者】
【氏名】小田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】白井 啓一郎
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062BB05
5J062CC18
5J062DD23
5K067AA21
5K067EE02
5K067JJ57
(57)【要約】
【課題】短時間での集約を実現しつつ高い測位精度を実現する。
【解決手段】位置推定システムは、学習段階に検出対象パラメータ(PM)を発する事前学習点と、事前学習点から発せられたPMを検出する観測センサと、学習段階に観測センサによって検出されたPMを示す情報を集約し、集約結果をデータベース(DB)に記録するフュージョンセンタ(FC)と、推定段階にPMを発する測位対象とを備え、観測センサは、推定段階に測位対象から発せられたPMを検出し、FCは、推定段階に観測センサによって検出されたPMを示す情報を集約し、その集約結果と、DBに記録された集約結果と、事前学習点の位置情報とに基づいて測位対象の位置を推定し、測位対象の位置推定手法として位置指紋法が用いられ、FCが、学習段階と推定段階とに検出されたPMを示す情報を集約する手法としてPhyC-SNが用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習段階において電波、熱および音波のいずれかである検出対象パラメータを発する事前学習点と、
前記学習段階において前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータを検出する観測センサと、
前記学習段階において前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報を集約し、前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報の集約結果をデータベースに記録するフュージョンセンタと、
推定段階において前記検出対象パラメータを発する測位対象とを備える位置推定システムであって、
前記観測センサは、前記推定段階において前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータを検出し、
前記フュージョンセンタは、前記推定段階において、
前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報を集約し、
前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報の集約結果と、前記学習段階において前記データベースに記録された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報の集約結果と、前記事前学習点の位置を示す情報とに基づいて、前記測位対象の位置を推定し、
前記フュージョンセンタが前記測位対象の位置を推定する手法として、位置指紋法を用い、
前記フュージョンセンタが、前記学習段階において前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報を集約する手法、および、前記フュージョンセンタが、前記推定段階において前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報を集約する手法として、PhyC-SN(Physical Conversion Sensor Network)を用いる、
位置推定システム。
【請求項2】
前記フュージョンセンタは、
前記学習段階において前記観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度分布と、前記推定段階において前記観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度分布との類似度に基づいて、前記測位対象の位置を推定する、
請求項1に記載の位置推定システム。
【請求項3】
前記位置推定システムは、前記観測センサとして、少なくとも第1観測センサと、第2観測センサとを備え、
前記フュージョンセンタは、
前記学習段階において前記第1観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度とを昇順に並べた系列と、前記推定段階において前記第1観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度とを昇順に並べた系列との差分に基づくベクトル距離計算結果により、前記測位対象の位置を推定する、
請求項2に記載の位置推定システム。
【請求項4】
前記位置推定システムは、前記観測センサとして、少なくとも第1観測センサと、第2観測センサとを備え、
前記フュージョンセンタは、
前記学習段階において前記第1観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度とを降順に並べた系列と、前記推定段階において前記第1観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度とを降順に並べた系列との差分に基づくベクトル距離計算結果により、前記測位対象の位置を推定する、
請求項2に記載の位置推定システム。
【請求項5】
前記位置推定システムは、前記観測センサとして、複数の観測センサを備え、
前記複数の観測センサには、少なくとも第1エリアに配置された第1観測センサと、第2エリアに配置された第2観測センサとが含まれ、
前記フュージョンセンタは、前記推定段階において、
前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記第1観測センサによる検出結果を示す情報を第1時間帯に集約し、
前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記第2観測センサによる検出結果を示す情報を、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯に集約する、
請求項2に記載の位置推定システム。
【請求項6】
前記フュージョンセンタは、
前記推定段階の前記第1時間帯に集約された、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記第1観測センサによる検出結果を示す情報と、
前記学習段階の第3時間帯に集約された、前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記第1観測センサによる検出結果を示す情報とを比較し、
前記推定段階の前記第2時間帯に集約された、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記第2観測センサによる検出結果を示す情報と、
前記学習段階の前記第3時間帯とは異なる第4時間帯に集約された、前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記第2観測センサによる検出結果を示す情報とを比較する、
請求項5に記載の位置推定システム。
【請求項7】
前記第1エリアには、前記第1観測センサとして、複数の観測センサが含まれ、
前記第2エリアには、前記第2観測センサとして、複数の観測センサが含まれ、
前記第1エリアに含まれる複数の観測センサが互いに隣接して配置され、前記第1エリアが帯状であり、
前記第2エリアに含まれる複数の観測センサが互いに隣接して配置され、前記第2エリアが帯状である、
請求項5に記載の位置推定システム。
【請求項8】
前記第1エリアには、前記第1観測センサとして、複数の観測センサが含まれ、
前記第2エリアには、前記第2観測センサとして、複数の観測センサが含まれ、
前記第1エリアに含まれる複数の観測センサが互いに離間して配置され、前記第1エリアが、互いに離間している複数のエリアによって構成され、
前記第2エリアに含まれる複数の観測センサが互いに離間して配置され、前記第2エリアが、互いに離間している複数のエリアによって構成されている、
請求項5に記載の位置推定システム。
【請求項9】
前記位置推定システムは、前記観測センサとして、少なくとも第1観測センサと、第2観測センサとを備え、
前記フュージョンセンタは、
前記学習段階において前記第1観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度とに基づいて、前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの広がりに対応する学習段階ヒストグラムを生成すると共に、
前記推定段階において前記第1観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度とに基づいて、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの広がりに対応する推定段階ヒストグラムを生成するヒストグラム化計算部と、
前記ヒストグラム化計算部によって生成された前記学習段階ヒストグラムと前記推定段階ヒストグラムとの類似性を示すバタチャリヤ距離を算出するバタチャリヤ距離算出部とを備え、
前記フュージョンセンタは、前記バタチャリヤ距離算出部によって算出されたバタチャリヤ距離と、前記事前学習点の位置を示す情報とに基づいて、前記測位対象の位置を推定する、
請求項2に記載の位置推定システム。
【請求項10】
事前学習点と観測センサとフュージョンセンタと測位対象とを備える位置推定システムにおける前記測位対象の位置推定方法であって、
前記事前学習点が、学習段階に電波、熱および音波のいずれかである検出対象パラメータを発する第1ステップと、
前記観測センサが、前記学習段階に、前記第1ステップにおいて前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータを検出する第2ステップと、
前記フュージョンセンタが、前記学習段階に、前記第2ステップにおいて前記観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報を集約する第3ステップと、
前記フュージョンセンタが、前記学習段階に、前記第3ステップにおいて集約された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報の集約結果をデータベースに記録する第4ステップと、
前記測位対象が、推定段階に前記検出対象パラメータを発する第5ステップと、
前記観測センサが、前記推定段階に、前記第5ステップにおいて前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータを検出する第6ステップと、
前記フュージョンセンタが、前記推定段階に、前記第6ステップにおいて前記観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報を集約する第7ステップと、
前記フュージョンセンタが、前記推定段階に、前記第7ステップにおいて集約された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報の集約結果と、前記第3ステップにおいて集約された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報の集約結果と、前記事前学習点の位置を示す情報とに基づいて、前記測位対象の位置を推定する第8ステップとを備え、
前記フュージョンセンタが前記測位対象の位置を推定する手法として、位置指紋法が用いられ、
前記フュージョンセンタが、前記第3ステップにおいて前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報を集約する手法、および、前記フュージョンセンタが、前記第7ステップにおいて前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報を集約する手法として、PhyC-SNが用いられる、
位置推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定システムおよび位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物のインターネット化が注目されている(IoT:Internet of Things)。また、センサなどの小型機器においても利用できる無線センサネットワーク(WSN:Wireless Sensor Networks)が発展してきている。多数のセンサによる位置情報を用いたアプリケーションも検討されている。多数のセンサを用いる手法として、位置指紋法が知られており、位置指紋法については、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
位置推定の先行技術としては、例えば非特許文献1~非特許文献3に記載されたものなどが知られている。非特許文献1には、複数基地局を利用した指紋法による携帯電話位置推定技術について記載されている。非特許文献1に記載された技術では、端末の受信電界強度(RSSI)等を利用した位置推定が行われる。非特許文献1に記載された技術には、複数基地局と携帯電話との通信が必要であるという課題が存在する。
非特許文献2には、Bluetooth Low Energy(BLE)(登録商標)を利用した指紋法による位置推定技術について記載されている。非特許文献2に記載された技術では、BLE電波発射装置が室内に配備され、測位対象がBLEのRSSIを測定して、各端末のIDとRSSIをデータセットとした位置測位が行われる。非特許文献2に記載された技術には、測定端末の処理や測定端末のインターネット接続が必要になるという課題が存在する。
非特許文献3には、電波発射源の位置推定のための電波センサを用いた位置推定法について記載されている。非特許文献3に記載された技術では、測位対象の電波源の電波のRSSIを多数の電波センサで同時測定する。また、電波センサの位置は既知として、重心加算計算から、測位対象の電波源の位置を推定する。非特許文献3に記載された技術では、位置測位に対して、測位ための処理が不要であり、また、インターネット等への接続が不要であるため、非特許文献3に記載された技術は、不法電波の特定やコグニティブ無線の既存システムの位置推定に利用可能である。一方、多数の電波センサが検知したRSSIの収集は理想的であるものの、非特許文献3に記載された技術では、その点について考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】金沢他、LTEネットワークにおける機械学習を用いた位置推定手法のフィールド試験評価、信学技報SR2018-12, 2018年5月
【非特許文献2】吾妻他、複数地点で観測した電波強度による位置指紋の相対位置を利用した屋内位置推定、信学技報MoNaA2015-37, 2016年1月
【非特許文献3】松野他、ダイナミック周波数共用のための複数無線局の位置推定に関する一検討、信学総大、B-17-13、2020年3月
【非特許文献4】辻野 孝弘, 藤井 輝也, “時系列受信データを活用した位置指紋法による高精度位置推定,” 信学技報, vol. 120, no. 74, RCS2020-51, pp. 169-174, 2020年6月
【非特許文献5】Steven M. Kay, Fundamentals of Statistical Signal Processing, Volume 2: Detection Theory (Prentice-hall Signal Processing Series) 1998/1/27
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した点に鑑み、本発明は、短時間での集約を実現しつつ高い測位精度を実現することができる位置推定システムおよび位置推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、学習段階において電波、熱および音波のいずれかである検出対象パラメータを発する事前学習点と、前記学習段階において前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータを検出する観測センサと、前記学習段階において前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報を集約し、前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報の集約結果をデータベースに記録するフュージョンセンタと、推定段階において前記検出対象パラメータを発する測位対象とを備える位置推定システムであって、前記観測センサは、前記推定段階において前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータを検出し、前記フュージョンセンタは、前記推定段階において、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報を集約し、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報の集約結果と、前記学習段階において前記データベースに記録された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報の集約結果と、前記事前学習点の位置を示す情報とに基づいて、前記測位対象の位置を推定し、前記フュージョンセンタが前記測位対象の位置を推定する手法として、位置指紋法を用い、前記フュージョンセンタが、前記学習段階において前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報を集約する手法、および、前記フュージョンセンタが、前記推定段階において前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記観測センサによる検出結果を示す情報を集約する手法として、PhyC-SN(Physical Conversion Sensor Network)を用いる、位置推定システムである。
【0008】
本発明の一態様の位置推定システムでは、前記フュージョンセンタは、前記学習段階において前記観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度分布と、前記推定段階において前記観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度分布との類似度に基づいて、前記測位対象の位置を推定してもよい。
【0009】
本発明の一態様の位置推定システムでは、前記位置推定システムは、前記観測センサとして、少なくとも第1観測センサと、第2観測センサとを備え、前記フュージョンセンタは、前記学習段階において前記第1観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度とを昇順に並べた系列と、前記推定段階において前記第1観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度とを昇順に並べた系列との差分に基づくベクトル距離計算結果により、前記測位対象の位置を推定してもよい。
【0010】
本発明の一態様の位置推定システムでは、前記位置推定システムは、前記観測センサとして、少なくとも第1観測センサと、第2観測センサとを備え、前記フュージョンセンタは、前記学習段階において前記第1観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度とを降順に並べた系列と、前記推定段階において前記第1観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度とを降順に並べた系列との差分に基づくベクトル距離計算結果により、前記測位対象の位置を推定してもよい。
【0011】
本発明の一態様の位置推定システムでは、前記位置推定システムは、前記観測センサとして、複数の観測センサを備え、前記複数の観測センサには、少なくとも第1エリアに配置された第1観測センサと、第2エリアに配置された第2観測センサとが含まれ、前記フュージョンセンタは、前記推定段階において、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記第1観測センサによる検出結果を示す情報を第1時間帯に集約し、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記第2観測センサによる検出結果を示す情報を、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯に集約してもよい。
【0012】
本発明の一態様の位置推定システムでは、前記フュージョンセンタは、前記推定段階の前記第1時間帯に集約された、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記第1観測センサによる検出結果を示す情報と、前記学習段階の第3時間帯に集約された、前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記第1観測センサによる検出結果を示す情報とを比較し、前記推定段階の前記第2時間帯に集約された、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの前記第2観測センサによる検出結果を示す情報と、前記学習段階の前記第3時間帯とは異なる第4時間帯に集約された、前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの前記第2観測センサによる検出結果を示す情報とを比較してもよい。
【0013】
本発明の一態様の位置推定システムでは、前記第1エリアには、前記第1観測センサとして、複数の観測センサが含まれ、前記第2エリアには、前記第2観測センサとして、複数の観測センサが含まれ、前記第1エリアに含まれる複数の観測センサが互いに隣接して配置され、前記第1エリアが帯状であり、前記第2エリアに含まれる複数の観測センサが互いに隣接して配置され、前記第2エリアが帯状であってもよい。
【0014】
本発明の一態様の位置推定システムでは、前記第1エリアには、前記第1観測センサとして、複数の観測センサが含まれ、前記第2エリアには、前記第2観測センサとして、複数の観測センサが含まれ、前記第1エリアに含まれる複数の観測センサが互いに離間して配置され、前記第1エリアが、互いに離間している複数のエリアによって構成され、前記第2エリアに含まれる複数の観測センサが互いに離間して配置され、前記第2エリアが、互いに離間している複数のエリアによって構成されていてもよい。
【0015】
本発明の一態様の位置推定システムでは、前記位置推定システムは、前記観測センサとして、少なくとも第1観測センサと、第2観測センサとを備え、前記フュージョンセンタは、前記学習段階において前記第1観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの強度とに基づいて、前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの広がりに対応する学習段階ヒストグラムを生成すると共に、前記推定段階において前記第1観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度と前記第2観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの強度とに基づいて、前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの広がりに対応する推定段階ヒストグラムを生成するヒストグラム化計算部と、前記ヒストグラム化計算部によって生成された前記学習段階ヒストグラムと前記推定段階ヒストグラムとの類似性を示すバタチャリヤ距離を算出するバタチャリヤ距離算出部とを備え、前記フュージョンセンタは、前記バタチャリヤ距離算出部によって算出されたバタチャリヤ距離と、前記事前学習点の位置を示す情報とに基づいて、前記測位対象の位置を推定してもよい。
【0016】
本発明の一態様は、事前学習点と観測センサとフュージョンセンタと測位対象とを備える位置推定システムにおける前記測位対象の位置推定方法であって、前記事前学習点が、学習段階に電波、熱および音波のいずれかである検出対象パラメータを発する第1ステップと、前記観測センサが、前記学習段階に、前記第1ステップにおいて前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータを検出する第2ステップと、前記フュージョンセンタが、前記学習段階に、前記第2ステップにおいて前記観測センサによって検出された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報を集約する第3ステップと、前記フュージョンセンタが、前記学習段階に、前記第3ステップにおいて集約された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報の集約結果をデータベースに記録する第4ステップと、前記測位対象が、推定段階に前記検出対象パラメータを発する第5ステップと、前記観測センサが、前記推定段階に、前記第5ステップにおいて前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータを検出する第6ステップと、前記フュージョンセンタが、前記推定段階に、前記第6ステップにおいて前記観測センサによって検出された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報を集約する第7ステップと、前記フュージョンセンタが、前記推定段階に、前記第7ステップにおいて集約された前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報の集約結果と、前記第3ステップにおいて集約された前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報の集約結果と、前記事前学習点の位置を示す情報とに基づいて、前記測位対象の位置を推定する第8ステップとを備え、前記フュージョンセンタが前記測位対象の位置を推定する手法として、位置指紋法が用いられ、前記フュージョンセンタが、前記第3ステップにおいて前記事前学習点から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報を集約する手法、および、前記フュージョンセンタが、前記第7ステップにおいて前記測位対象から発せられた前記検出対象パラメータの検出結果を示す情報を集約する手法として、PhyC-SNが用いられる、位置推定方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、短時間での集約を実現しつつ高い測位精度を実現することができる位置推定システムおよび位置推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態の位置推定システム1の第1例を示す図である。
【
図2】事前学習点1A1が位置推定システム1の学習段階において発した電波の広がりなどの一例を説明するための図である。
【
図3】事前学習点1A2が位置推定システム1の学習段階において発した電波の広がりなどの一例を説明するための図である。
【
図4】測位対象1Dが位置推定システム1の推定段階において発した電波の広がりなどの一例を説明するための図である。
【
図5】フュージョンセンタ1Cによる測位対象1Dの位置の推定手法を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態の位置推定システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】第1実施形態の位置推定システム1の第2例におけるフュージョンセンタ1Cによる測位対象1Dの位置の推定手法を説明するための図である。
【
図8】第1実施形態の位置推定システム1の第2例においてフュージョンセンタ1Cが、
図7に示す事前学習点1A1に関する系列と測位対象1Dに関する系列とを比較し、事前学習点1A2に関する系列と測位対象1Dに関する系列とを比較する具体例を説明するための図である。
【
図9】第1実施形態の位置推定システム1の第3例におけるフュージョンセンタ1Cによる測位対象1Dの位置の推定手法を説明するための図である。
【
図10】第1実施形態の位置推定システム1の第3例においてフュージョンセンタ1Cが、
図9に示す事前学習点1A1に関する系列と測位対象1Dに関する系列とを比較し、事前学習点1A2に関する系列と測位対象1Dに関する系列とを比較する具体例を説明するための図である。
【
図11】第1実施形態の位置推定システム1の第4例における測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報のエリア毎の時間分割による集約などを説明するための図である。
【
図12】第1実施形態の位置推定システム1の第4例における事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報のエリア毎の時間分割による集約、事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報のエリア毎の時間分割による集約などを説明するための図である。
【
図13】第1実施形態の位置推定システム1の第5例を示す図である。
【
図14】第1実施形態の位置推定システム1の第5例におけるエリア分割(時間分割)などを説明するための図である。
【
図15】第1実施形態の位置推定システム1の第6例を示す図である。
【
図16】ヒストグラム化計算部1C2によって生成される学習段階ヒストグラム、推定段階ヒストグラム等の一例を示す図である。
【
図20】
図16に示すヒストグラム化計算を行った場合のシミュレーション結果を示す図である。
【
図21】実機試験の考え方を説明するための図である。
【
図23】実機試験におけるセンサ(観測センサ1B1、1B2、…)の配置などを示す図である。
【
図24】実機試験における学習データ測定点(事前学習点1A1~1AN)および観測データ測定点(測位対象1D)の配置を示す図である。
【
図25】実機試験の結果を比較して示した図である。
【
図26】他のシミュレーション結果を示す図である。
【
図27】位置指紋法について説明するための図である。
【
図28】PhyC-SNについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の位置推定システムおよび位置推定方法の実施形態について説明する前に、本発明の前提となる技術などについて説明する。
【0020】
図27は位置指紋法について説明するための図である。
図27に示すシステムには、事前学習点a~dと、センサSR1~SR3と、フュージョンセンタFCと、観測点(測位対象)xとが含まれている。
図27に示すシステムでは、エリア内の複数点(センサSR1~SR3)において、事前学習点a~dのそれぞれから発せられた無線パラメータ(例えば電波の受信信号強度(RSSI)など)が予め測定される。また、センサSR1~SR3によって予め測定された事前学習点a~dのそれぞれから発せられた無線パラメータが、事前学習点a~dのそれぞれの位置情報とともに、フュージョンセンタFCに集約されてデータベース化される。
更に、
図27に示すシステムでは、事前学習点a~dのそれぞれから発せられセンサSR1~SR3のそれぞれによって予め測定された無線パラメータと、観測点(測位対象)xから発せられセンサSR1~SR3のそれぞれによって測定された無線パラメータとのパターンマッチングを行う(つまり、それぞれのRSSI値を比較し最も近い点を選ぶ(ベクトル距離計算を行う))ことによって、観測点(測位対象)xの位置が特定される。
図27に示す技術については、例えば非特許文献4に記載されている。
【0021】
図27に示すシステムのメリットとして、観測点(測位対象)xの位置を特定(推定)するために、センサSR1~SR3の位置情報が不要であるため、センサSR1~SR3の構成を簡略化することができる。
また、
図27に示すシステムのメリットとして、観測点(測位対象)xの位置を特定(推定)するために、観測点(測位対象)xは無線パラメータを発するだけでよく、観測点(測位対象)xに対する処理が不要である。
一方、
図27に示すタイプのシステムのデメリットとして、センサSR1、SR2、SR3、…の数が
図4に示す例よりも多い場合に、同時アクセスによるパケット衝突により情報の欠落が生じるおそれがある。また、時分割型のアクセスプロトコルを適用する場合に、集約にかかる時間が長くなる。つまり、データ収集法の工夫が必要であると言える。
【0022】
そこで、後述するように、本発明の位置推定システムおよび位置推定方法の実施形態では、無線物理量変換を用いた一括集約法(PhyC-SN:Physical Conversion Sensor Network)が、
図27に示す位置指紋法に適用される。
図28はPhyC-SNについて説明するための図である。
図28に示すシステムには、センサ#1~#3と、フュージョンセンタFCとが含まれている。
図28に示すシステムでは、センサ#1が、センシング結果(例えば気温15℃)を直接搬送波の物理量(搬送波周波数f
0+15Hz)に変換し、対応するサブキャリアをフュージョンセンタFCに送信する。センサ#2は、センシング結果(例えば温度-50℃)を直接搬送波の物理量(搬送波周波数f
0-50Hz)に変換し、対応するサブキャリアをフュージョンセンタFCに送信する。センサ#3は、センシング結果(例えば温度70℃)を直接搬送波の物理量(搬送波周波数f
0+70Hz)に変換し、対応するサブキャリアをフュージョンセンタFCに送信する。
図28に示すシステムのメリットとして、フュージョンセンタFCは、センサ#1からのサブキャリアと、センサ#2からのサブキャリアと、センサ#3からのサブキャリアとを同時に収集(受信)することができる。そのため、データ収集時の所要時間を短縮することができる。
PhyC-SNで同じ物理量を選択した場合の取り扱いについては、下記のようになる。
複数のセンサが同じ情報を伝送する場合に、同じ物理量を選択した結果、複数の搬送波を同時に受信する。その場合、副搬送波数に応じてエネルギー量が拡大する特徴を利用して、非特許文献5に記載のマルチレベル検出を適用すれば、副搬送波の数を特定することができる。
別の方法として、非特許文献5のように判定閾値を1つ設けたシングルレベル検出を用いれば、副搬送波の数は不明だが通知があることは検知できる。例えば3つのセンサが同じ情報を送信した場合、シングルレベル検出ではいるいないのon/off判定となるため、1つのセンサのみが送ったと認識するため、2つのセンサ情報が失われる。このように、センサ情報の損失を許容することでシングルレベル検出を用いることができるため、検出法を簡易化できる。このようなセンサ情報の損失は、提案法(本発明の位置推定システムおよび位置推定方法の実施形態)の位置推定精度の劣化を生じるが、劣化を許容すれば、簡易なシングルレベル検出を用いることができる。
【0023】
以下、本発明の位置推定システムおよび位置推定方法の実施形態について説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の位置推定システム1の第1例を示す図である。
図1に示す例では、位置推定システム1が、測位対象(観測点)1Dの位置の推定に用いられる。位置推定システム1は、事前学習点1A1、1A2、…、1ANと、観測センサ1B1~1B9と、フュージョンセンタ(FC)1Cと、測位対象(観測点)1Dとを備えている。
図1に示す例では、位置推定システム1が、N(Nは2より大きい任意の数)個の事前学習点1A1、1A2、…、1ANを備えているが、他の例では、位置推定システム1が、N以外の任意の個数の事前学習点を備えていてもよい。
図1に示す例では、位置推定システム1が、9個の観測センサ1B1~1B9を備えているが、他の例では、位置推定システム1が、9以外の任意の個数の観測センサを備えていてもよい。
【0025】
図1に示す例では、事前学習点1A1が、位置推定システム1の学習段階において(例えば位置推定システム1の学習段階の第1タイミングで)検出対象パラメータとしての電波を発する。事前学習点1A2は、位置推定システム1の学習段階において(例えば位置推定システム1の学習段階のうちの第1タイミングとは異なる第2タイミングで)電波を発する。事前学習点1ANは、位置推定システム1の学習段階において(例えば位置推定システム1の学習段階のうちの第1タイミング、第2タイミング等とは異なる第Nタイミングで)電波を発する。
観測センサ1B1~1B9は、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波を検出する。
フュージョンセンタ(FC)1Cは、データベース1C1を備えている。フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(
図2および
図3に示す例では、「RSSIデータ」)を集約する。詳細には、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報を集約する手法として、
図28に示すPhyC-SNを用いる。
また、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果(
図2および
図3に示す例では、「事前情報」)をデータベース1C1に記録する。
更に、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報(事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置座標)をデータベース1C1に記録する。
【0026】
図2は事前学習点1A1が位置推定システム1の学習段階において発した電波の広がりなどの一例を説明するための図である。
図2に示す例では、観測センサ1B4によって検出された事前学習点1A1が発した電波のRSSI値(約-40[dBm])が、最も強い値になる。観測センサ1B1、1B5によって検出された事前学習点1A1が発した電波のRSSI値(約-50[dBm])が、2番目に強い値になる。観測センサ1B2、1B7によって検出された事前学習点1A1が発した電波のRSSI値(約-60[dBm])が、3番目に強い値になる。観測センサ1B6によって検出された事前学習点1A1が発した電波のRSSI値(約-70[dBm])が、4番目に強い値になる。観測センサ1B3、1B8によって検出された事前学習点1A1が発した電波のRSSI値(約-80[dBm])が、5番目に強い値になる。観測センサ1B9によって検出された事前学習点1A1が発した電波のRSSI値(約-90[dBm])が、最も弱い値になる。
【0027】
図2に示す例では、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A1が位置推定システム1の学習段階において発した電波であって、観測センサ1B4によって検出された電波のRSSI値(約-40[dBm])と、観測センサ1B1、1B5によって検出された電波のRSSI値(約-50[dBm])と、観測センサ1B2、1B7によって検出された電波のRSSI値(約-60[dBm])と、観測センサ1B6によって検出された電波のRSSI値(約-70[dBm])と、観測センサ1B3、1B8によって検出された電波のRSSI値(約-80[dBm])と、観測センサ1B9によって検出された電波のRSSI値(約-90[dBm])とを示す情報(RSSIデータ)を、PhyC-SNを用いることによって集約する。そのため、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、観測センサ1B1~1B9のそれぞれから例えば同時に受信することができる。
【0028】
また、
図2に示す例では、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の集約結果として、電波のRSSI値が約-40[dBm]になった観測センサの個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-70[dBm]になった観測センサの個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-90[dBm]になった観測センサの個数が「1」であることを示す「事前学習点1A1の事前情報」をデータベース1C1に記録する。
更に、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A1の位置を示す情報(事前学習点1A1の位置座標)をデータベース1C1に記録する。
【0029】
図3は事前学習点1A2が位置推定システム1の学習段階において発した電波の広がりなどの一例を説明するための図である。
図3に示す例では、観測センサ1B7によって検出された事前学習点1A2が発した電波のRSSI値(約-40[dBm])が、最も強い値になる。観測センサ1B5によって検出された事前学習点1A2が発した電波のRSSI値(約-50[dBm])が、2番目に強い値になる。観測センサ1B4、1B8によって検出された事前学習点1A2が発した電波のRSSI値(約-60[dBm])が、3番目に強い値になる。観測センサ1B2、1B6によって検出された事前学習点1A2が発した電波のRSSI値(約-70[dBm])が、4番目に強い値になる。観測センサ1B1、1B3によって検出された事前学習点1A2が発した電波のRSSI値(約-80[dBm])が、5番目に強い値になる。観測センサ1B9によって検出された事前学習点1A2が発した電波のRSSI値(約-90[dBm])が、最も弱い値になる。
【0030】
図3に示す例では、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A2が位置推定システム1の学習段階において発した電波であって、観測センサ1B7によって検出された電波のRSSI値(約-40[dBm])と、観測センサ1B5によって検出された電波のRSSI値(約-50[dBm])と、観測センサ1B4、1B8によって検出された電波のRSSI値(約-60[dBm])と、観測センサ1B2、1B6によって検出された電波のRSSI値(約-70[dBm])と、観測センサ1B1、1B3によって検出された電波のRSSI値(約-80[dBm])と、観測センサ1B9によって検出された電波のRSSI値(約-90[dBm])とを示す情報(RSSIデータ)を、PhyC-SNを用いることによって集約する。そのため、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、観測センサ1B1~1B9のそれぞれから例えば同時に受信することができる。
【0031】
また、
図3に示す例では、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の集約結果として、電波のRSSI値が約-40[dBm]になった観測センサの個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサの個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-70[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-90[dBm]になった観測センサの個数が「1」であることを示す「事前学習点1A2の事前情報」をデータベース1C1に記録する。
更に、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A2の位置を示す情報(事前学習点1A2の位置座標)をデータベース1C1に記録する。
【0032】
図1に示す例では、測位対象1Dが、位置推定システム1の推定段階(測位対象1Dの位置を推定する段階)において、検出対象パラメータとしての電波を発する。観測センサ1B1~1B9は、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波を検出する。
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(
図4に示す例では、「RSSIデータ」)を集約する。詳細には、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報を集約する手法として、
図28に示すPhyC-SNを用いる。
また、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果(
図4に示す例では、「測位対象1Dの観測情報」)と、位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSIIデータ)の集約結果(「事前学習点1A1の事前情報」、「事前学習点1A2の事前情報」、…、「事前学習点1ANの事前情報」)と、例えば位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報(「事前学習点1A1の位置座標」、「事前学習点1A2の位置座標」、…、「事前学習点1ANの位置座標」)とに基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。詳細には、フュージョンセンタ1Cは、測位対象1Dの位置を推定する手法として、
図27に示す位置指紋法を用いる。
【0033】
図4は測位対象1Dが位置推定システム1の推定段階において発した電波の広がりなどの一例を説明するための図である。
図4に示す例では、観測センサ1B5、1B6によって検出された測位対象1Dが発した電波のRSSI値(約-40[dBm])が、最も強い値になる。観測センサ1B9によって検出された測位対象1Dが発した電波のRSSI値(約-50[dBm])が、2番目に強い値になる。観測センサ1B2、1B4によって検出された測位対象1Dが発した電波のRSSI値(約-60[dBm])が、3番目に強い値になる。観測センサ1B3、1B8によって検出された測位対象1Dが発した電波のRSSI値(約-70[dBm])が、4番目に強い値になる。観測センサ1B7によって検出された測位対象1Dが発した電波のRSSI値(約-80[dBm])が、5番目に強い値になる。観測センサ1B1によって検出された測位対象1Dが発した電波のRSSI値(約-90[dBm])が、最も弱い値になる。
【0034】
図4に示す例では、フュージョンセンタ1Cは、測位対象1Dが位置推定システム1の推定段階において発した電波であって、観測センサ1B5、1B6によって検出された電波のRSSI値(約-40[dBm])と、観測センサ1B9によって検出された電波のRSSI値(約-50[dBm])と、観測センサ1B2、1B4によって検出された電波のRSSI値(約-60[dBm])と、観測センサ1B3、1B8によって検出された電波のRSSI値(約-70[dBm])と、観測センサ1B7によって検出された電波のRSSI値(約-80[dBm])と、観測センサ1B1によって検出された電波のRSSI値(約-90[dBm])とを示す情報(RSSIデータ)を、PhyC-SNを用いることによって集約する。そのため、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、観測センサ1B1~1B9のそれぞれから例えば同時に受信することができる。
【0035】
また、
図4に示す例では、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の集約結果は、電波のRSSI値が約-40[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサの個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-70[dBm]になった観測センサの個数が「2」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサの個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-90[dBm]になった観測センサの個数が「1」であることを示す「測位対象1Dの観測情報」である。
【0036】
図5はフュージョンセンタ1Cによる測位対象1Dの位置の推定手法を説明するための図である。
図5に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、測位対象1Dの位置を推定するために、
図4に示す処理により得られた「測位対象1Dの観測情報」と、
図2および
図3に示す処理などにより得られた「事前学習点1A1の事前情報」、「事前学習点1A2の事前情報」、…、「事前学習点1ANの事前情報」と、データベース1C1に記録されている事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報(「事前学習点1A1の位置座標」、「事前学習点1A2の位置座標」、…、「事前学習点1ANの位置座標」)とを用いる。
【0037】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果(つまり、「測位対象1Dの観測情報」)と、位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSIIデータ)の集約結果(つまり、「事前学習点1A1の事前情報」、「事前学習点1A2の事前情報」、…、「事前学習点1ANの事前情報」)と、位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報(つまり、「事前学習点1A1の位置座標」、「事前学習点1A2の位置座標」、…、「事前学習点1ANの位置座標」)とに基づいて、
図27に示す位置指紋法を用いることにより、測位対象1Dの位置を推定する。
例えば、フュージョンセンタ1Cは、「測位対象1Dの観測情報」と、「事前学習点1A1の事前情報」、「事前学習点1A2の事前情報」、…、「事前学習点1ANの事前情報」との比較計算を行い、「測位対象1Dの観測情報」に最も近い「事前学習点の事前情報」を選択し、選択された「事前学習点の事前情報」の事前学習点の位置座標を、測位対象1Dの位置座標として推定する。
【0038】
例えば、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において観測センサ1B1~1B9によって検出された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の強度分布(
図5に示す「事前学習点1A1の事前情報」のグラフの強度分布、「事前学習点1A2の事前情報」のグラフの強度分布など)と、位置推定システム1の推定段階において観測センサ1B1~1B9によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度分布(
図5に示す「測位対象1Dの観測情報」のグラフの強度分布)との類似度に基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
【0039】
上述したように、第1実施形態の位置推定システム1の第1例では、
図28に示すPhyC-SNを
図27に示す位置指紋法に適用することによって、短時間での集約を実現しつつ高い測位精度を実現することができる。
【0040】
図6は第1実施形態の位置推定システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6に示す例では、位置推定システム1の学習段階のステップS11Aにおいて、事前学習点1A1が、検出対象パラメータ(具体的には、電波)を発する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS11Bでは、観測センサ1B1~1B9が、ステップS11Aにおいて事前学習点1A1から発せられた検出対象パラメータ(電波)を検出する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS11Cでは、フュージョンセンタ1Cが、ステップS11Bにおいて観測センサ1B1~1B9によって検出された事前学習点1A1から発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(具体的には、RSSIデータ)を集約する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS11Dでは、フュージョンセンタ1Cが、ステップS11Cにおいて集約された事前学習点1A1から発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSSIデータ)の集約結果(具体的には、事前学習点1A1の事前情報)をデータベース1C1に記録する。
【0041】
また、位置推定システム1の学習段階のステップS12Aにおいて、事前学習点1A2が、検出対象パラメータ(電波)を発する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS12Bでは、観測センサ1B1~1B9が、ステップS12Aにおいて事前学習点1A2から発せられた検出対象パラメータ(電波)を検出する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS12Cでは、フュージョンセンタ1Cが、ステップS12Bにおいて観測センサ1B1~1B9によって検出された事前学習点1A2から発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSSIデータ)を集約する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS12Dでは、フュージョンセンタ1Cが、ステップS12Cにおいて集約された事前学習点1A2から発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSSIデータ)の集約結果(事前学習点1A2の事前情報)をデータベース1C1に記録する。
【0042】
また、位置推定システム1の学習段階のステップS1NAにおいて、事前学習点1ANが、検出対象パラメータ(電波)を発する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS1NBでは、観測センサ1B1~1B9が、ステップS1NAにおいて事前学習点1ANから発せられた検出対象パラメータ(電波)を検出する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS1NCでは、フュージョンセンタ1Cが、ステップS1NBにおいて観測センサ1B1~1B9によって検出された事前学習点1ANから発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSSIデータ)を集約する。
次いで、位置推定システム1の学習段階のステップS1NDでは、フュージョンセンタ1Cが、ステップS1NCにおいて集約された事前学習点1ANから発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSSIデータ)の集約結果(事前学習点1ANの事前情報)をデータベース1C1に記録する。
【0043】
次いで、位置推定システム1の推定段階のステップS21において、測位対象1Dが、検出対象パラメータ(電波)を発する。
次いで、位置推定システム1の推定段階のステップS22では、観測センサ1B1~1B9が、ステップS21において測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータ(電波)を検出する。
次いで、位置推定システム1の推定段階のステップS23では、フュージョンセンタ1Cが、ステップS22において観測センサ1B1~1B9によって検出された測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSSIデータ)を集約する。
次いで、位置推定システム1の推定段階のステップS24では、フュージョンセンタ1Cが、ステップS23において集約された測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSSIデータ)の集約結果(具体的には、測位対象1Dの観測情報)と、ステップS11C、S12C、S1NCにおいて集約された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSIIデータ)の集約結果(具体的には、事前学習点1A1の事前情報、事前学習点1A2の事前情報、…、事前学習点1ANの事前情報)と、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報(具体的には、事前学習点1A1の位置座標、事前学習点1A2の位置座標、…、事前学習点1ANの位置座標)とに基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
【0044】
図6に示す例では、ステップS24においてフュージョンセンタ1Cが測位対象1Dの位置を推定する手法として、位置指紋法が用いられる。また、ステップS11C、S12C、S1NCにおいてフュージョンセンタ1Cが、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSIIデータ)を集約する手法、および、ステップS23においてフュージョンセンタ1Cが、測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータ(電波)の検出結果を示す情報(RSIIデータ)を集約する手法として、PhyC-SNが用いられる。
【0045】
第1実施形態の位置推定システム1の第2例では、位置推定システム1が、
図1に示す位置推定システム1と概略同様に構成されている。
上述したように、
図1に示す第1実施形態の位置推定システム1の第1例では、位置推定システム1が、9個の観測センサ1B1~1B9を備えているが、第1実施形態の位置推定システム1の第2例では、位置推定システム1が、5個の観測センサ1B1~1B5を備えている。
【0046】
第1実施形態の位置推定システム1の第2例では、観測センサ1B1~1B5が、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波を検出する。
フュージョンセンタ(FC)1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B5による検出結果を示す情報(
図7に示す例では、「RSSIデータ」)を集約する。
また、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B5による検出結果を示す情報の集約結果(
図7に示す例では、「事前学習点1A1の事前情報」、「事前学習点1A2の事前情報」…)をデータベース1C1に記録する。
【0047】
図7は第1実施形態の位置推定システム1の第2例におけるフュージョンセンタ1Cによる測位対象1Dの位置の推定手法を説明するための図である。
図7に示す例では、位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を最も強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-45[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を2番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-50[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を3番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-64[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を4番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-78[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を最も弱いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-80[dBm]になる。
【0048】
また、
図7に示す例では、位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を最も強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-44[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を2番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-55[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を3番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-60[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を4番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-83[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を最も弱いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-84[dBm]になる。
【0049】
更に、
図7に示す例では、位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象(観測点)1Dが発した電波を最も強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-44[dBm]になる。位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象1Dが発した電波を2番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-55[dBm]になる。位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象1Dが発した電波を3番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-60[dBm]になる。位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象1Dが発した電波を4番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-83[dBm]になる。位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象1Dが発した電波を最も弱いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-84[dBm]になる。
【0050】
図7に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B5による検出結果を示す情報の集約結果(つまり、「測位対象1Dの観測情報」)と、位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B5による検出結果を示す情報(RSIIデータ)の集約結果(つまり、「事前学習点1A1の事前情報」、「事前学習点1A2の事前情報」、…、「事前学習点1ANの事前情報」)と、位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報(つまり、「事前学習点1A1の位置座標」、「事前学習点1A2の位置座標」、…、「事前学習点1ANの位置座標」)とに基づいて、
図27に示す位置指紋法を用いることにより、測位対象1Dの位置を推定する。
【0051】
例えば、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において観測センサ1B1~1B5によって検出された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の強度分布(
図7に示す「事前学習点1A1の事前情報」のグラフの強度分布、「事前学習点1A2の事前情報」のグラフの強度分布など)と、位置推定システム1の推定段階において観測センサ1B1~1B5によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度分布(
図7に示す「測位対象(観測点)1Dの観測情報」のグラフの強度分布)との類似度に基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
【0052】
具体的には、フュージョンセンタ1Cが、位置推定システム1の学習段階において観測センサ1B1によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度と、観測センサ1B2によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度と、観測センサ1B3によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度と、観測センサ1B4によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度と、観測センサ1B5によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度とを昇順(つまり、小さい順)に並べた系列「-80[dBm]→-78[dBm]→-64[dBm]→-50[dBm]→-45[dBm]」、位置推定システム1の学習段階において観測センサ1B1によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度と、観測センサ1B2によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度と、観測センサ1B3によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度と、観測センサ1B4によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度と、観測センサ1B5によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度とを昇順(つまり、小さい順)に並べた系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」等と、位置推定システム1の推定段階において観測センサ1B1によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度と、観測センサ1B2によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度と、観測センサ1B3によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度と、観測センサ1B4によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度と、観測センサ1B5によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度とを昇順に並べた系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」との差分に基づくベクトル距離計算結果により、測位対象1Dの位置を推定する。
【0053】
図8は第1実施形態の位置推定システム1の第2例においてフュージョンセンタ1Cが、
図7に示す事前学習点1A1に関する系列と測位対象1Dに関する系列とを比較し、事前学習点1A2に関する系列と測位対象1Dに関する系列とを比較する具体例を説明するための図である。
図7および
図8に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、事前学習点1A1に関する系列「-80[dBm]→-78[dBm]→-64[dBm]→-50[dBm]→-45[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」とを比較する。また、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A1に関する系列「-80[dBm]→-78[dBm]→-64[dBm]→-50[dBm]→-45[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」との差分を算出する。更に、フュージョンセンタ1Cは、その差分に基づくベクトル距離計算を行う。
図7および
図8に示す例では、事前学習点1A1に関する系列と測位対象1Dに関する系列との差分が比較的大きいため、フュージョンセンタ1Cは、測位対象1Dの位置が事前学習点1A1の位置に概略一致すると推定しない。
【0054】
また、
図7および
図8に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、事前学習点1A2に関する系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」とを比較する。また、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A2に関する系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」との差分を算出する。更に、フュージョンセンタ1Cは、その差分に基づくベクトル距離計算を行う。
図7および
図8に示す例では、事前学習点1A2に関する系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-84[dBm]→-83[dBm]→-60[dBm]→-55[dBm]→-44[dBm]」とが一致し、事前学習点1A2に関する系列と測位対象1Dに関する系列との差分がゼロになる。そのため、事前学習点1A2に関する系列と測位対象1Dに関する系列との差分(ゼロ)に基づくベクトル距離計算結果がゼロになる。
その結果、フュージョンセンタ1Cは、測位対象1Dの位置が事前学習点1A2の位置に概略一致すると推定する。
図7および
図8に関する上述した説明では、位置推定システム1の学習段階における情報集約(PhyC-SN)において情報欠落が生じていない。一方、場合によっては、位置推定システム1の学習段階における情報集約(PhyC-SN)において情報欠落が生じることがある。例えば上述したように、3つの観測センサが同じ情報を送信した場合、シングルレベル検出ではいるいないのon/off判定となるため、1つの観測センサのみが送ったと認識するため、2つの観測センサ情報が失われる。情報欠落が生じると、上述した系列の長さが変わる。
例えば、位置推定システム1の学習段階において観測センサ1B1によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度(-75[dBm])を示す情報(検出結果を示す情報)と、観測センサ1B2によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度(-85[dBm])を示す情報(検出結果を示す情報)と、観測センサ1B3によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度(-85[dBm])を示す情報(検出結果を示す情報)とが、データ「-75dBm-85dBm-85dBm」として、観測センサ1B1~1B3からフュージョンセンタ1Cに同時に送信されると、観測センサ1B2の検出結果(-85[dBm])を示す情報と観測センサ1B3の検出結果(-85[dBm])を示す情報とが同一であるため、情報欠落が生じる。上述したシングルレベル検出を想定すれば、検出したデータは「-75dBm-85dBm」となり、1つのデータ「-85dBm」が欠落する。
このことは、位置推定システム1の学習段階のみならず、位置推定システム1の推定段階においても生じる。そのため、ベクトル距離計算を行う際には、降順に並べた系列を作成したあと、高い方から差分計算を行う。そして、余ったデータは削除する(差分計算をしない)。
具体的には、位置推定システム1の学習段階においてフュージョンセンタ1Cに同時に送信されるデータが「-75dBm-85dBm-85dBm」であり、位置推定システム1の推定段階においてフュージョンセンタ1Cに同時に送信されるデータが「-75dBm-85dBm」である場合、位置推定システム1の学習段階におけるデータ「85dBm」が削除され、ベクトル距離計算において、((-75dBm)-(-75dBm))
2+((-85dBm)-(-85dBm))
2の計算が行われる。
【0055】
第1実施形態の位置推定システム1の第3例では、位置推定システム1が、
図1に示す位置推定システム1と概略同様に構成されている。
上述したように、
図1に示す第1実施形態の位置推定システム1の第1例では、位置推定システム1が、9個の観測センサ1B1~1B9を備えているが、第1実施形態の位置推定システム1の第3例では、位置推定システム1が、5個の観測センサ1B1~1B5を備えている。
【0056】
第1実施形態の位置推定システム1の第3例では、観測センサ1B1~1B5が、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波を検出する。
フュージョンセンタ(FC)1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B5による検出結果を示す情報(
図9に示す例では、「RSSIデータ」)を集約する。
また、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B5による検出結果を示す情報の集約結果(
図9に示す例では、「事前学習点1A1の事前情報」、「事前学習点1A2の事前情報」…)をデータベース1C1に記録する。
【0057】
図9は第1実施形態の位置推定システム1の第3例におけるフュージョンセンタ1Cによる測位対象1Dの位置の推定手法を説明するための図である。
図9に示す例では、位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を最も強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-45[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を2番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-50[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を3番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-64[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を4番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-78[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A1が発した電波を最も弱いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-80[dBm]になる。
【0058】
また、
図9に示す例では、位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を最も強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-44[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を2番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-55[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を3番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-60[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を4番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-83[dBm]になる。位置推定システム1の学習段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、事前学習点1A2が発した電波を最も弱いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-84[dBm]になる。
【0059】
更に、
図9に示す例では、位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象(観測点)1Dが発した電波を最も強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-44[dBm]になる。位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象1Dが発した電波を2番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-55[dBm]になる。位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象1Dが発した電波を3番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-60[dBm]になる。位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象1Dが発した電波を4番目に強いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-83[dBm]になる。位置推定システム1の推定段階に、観測センサ1B1~1B5のうちの、測位対象1Dが発した電波を最も弱いRSSI値で検出した観測センサのRSSI値が、約-84[dBm]になる。
【0060】
図9に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B5による検出結果を示す情報の集約結果(つまり、「測位対象1Dの観測情報」)と、位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B5による検出結果を示す情報(RSIIデータ)の集約結果(つまり、「事前学習点1A1の事前情報」、「事前学習点1A2の事前情報」、…、「事前学習点1ANの事前情報」)と、例えば位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報(つまり、「事前学習点1A1の位置座標」、「事前学習点1A2の位置座標」、…、「事前学習点1ANの位置座標」)とに基づいて、
図27に示す位置指紋法を用いることにより、測位対象1Dの位置を推定する。
【0061】
例えば、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において観測センサ1B1~1B5によって検出された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の強度分布(
図9に示す「事前学習点1A1の事前情報」のグラフの強度分布、「事前学習点1A2の事前情報」のグラフの強度分布など)と、位置推定システム1の推定段階において観測センサ1B1~1B5によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度分布(
図9に示す「測位対象1Dの観測情報」のグラフの強度分布)との類似度に基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
【0062】
具体的には、フュージョンセンタ1Cが、位置推定システム1の学習段階において観測センサ1B1によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度と、観測センサ1B2によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度と、観測センサ1B3によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度と、観測センサ1B4によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度と、観測センサ1B5によって検出された事前学習点1A1から発せられた電波の強度とを降順(つまり、大きい順)に並べた系列「-45[dBm]→-50[dBm]→-64[dBm]→-78[dBm]→-80[dBm]」、位置推定システム1の学習段階において観測センサ1B1によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度と、観測センサ1B2によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度と、観測センサ1B3によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度と、観測センサ1B4によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度と、観測センサ1B5によって検出された事前学習点1A2から発せられた電波の強度とを降順(つまり、大きい順)に並べた系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」等と、位置推定システム1の推定段階において観測センサ1B1によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度と、観測センサ1B2によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度と、観測センサ1B3によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度と、観測センサ1B4によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度と、観測センサ1B5によって検出された測位対象1Dから発せられた電波の強度とを降順に並べた系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」との差分に基づくベクトル距離計算結果により、測位対象1Dの位置を推定する。
【0063】
図10は第1実施形態の位置推定システム1の第3例においてフュージョンセンタ1Cが、
図9に示す事前学習点1A1に関する系列と測位対象1Dに関する系列とを比較し、事前学習点1A2に関する系列と測位対象1Dに関する系列とを比較する具体例を説明するための図である。
図9および
図10に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、事前学習点1A1に関する系列「-45[dBm]→-50[dBm]→-64[dBm]→-78[dBm]→-80[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」とを比較する。また、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A1に関する系列「-45[dBm]→-50[dBm]→-64[dBm]→-78[dBm]→-80[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」との差分を算出する。更に、フュージョンセンタ1Cは、その差分に基づくベクトル距離計算を行う。
図9および
図10に示す例では、事前学習点1A1に関する系列と測位対象1Dに関する系列との差分が比較的大きいため、フュージョンセンタ1Cは、測位対象1Dの位置が事前学習点1A1の位置に概略一致すると推定しない。
【0064】
また、
図9および
図10に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、事前学習点1A2に関する系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」とを比較する。また、フュージョンセンタ1Cは、事前学習点1A2に関する系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」との差分を算出する。更に、フュージョンセンタ1Cは、その差分に基づくベクトル距離計算を行う。
図9および
図10に示す例では、事前学習点1A2に関する系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」と、測位対象1Dに関する系列「-44[dBm]→-55[dBm]→-60[dBm]→-83[dBm]→-84[dBm]」とが一致し、事前学習点1A2に関する系列と測位対象1Dに関する系列との差分がゼロになる。そのため、事前学習点1A2に関する系列と測位対象1Dに関する系列との差分(ゼロ)に基づくベクトル距離計算結果がゼロになる。
その結果、フュージョンセンタ1Cは、測位対象1Dの位置が事前学習点1A2の位置に概略一致すると推定する。
【0065】
図11は第1実施形態の位置推定システム1の第4例における測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報のエリア毎の時間分割による集約などを説明するための図である。詳細には、
図11(A)はエリア毎の時間分割が行われない、測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約を示している。
図11(B)はエリア毎の時間分割が行われる第1実施形態の位置推定システム1の第4例における測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約を示している。
【0066】
図11(B)に示す第1実施形態の位置推定システム1の第4例では、
図1に示す例と同様に、位置推定システム1が、事前学習点1A1、1A2、…、1ANと、観測センサ1B1~1B9と、フュージョンセンタ1Cと、測位対象(観測点)1Dとを備えている。
【0067】
図11(B)に示す第1実施形態の位置推定システム1の第4例では、
図1に示す例と同様に、測位対象(観測点)1Dが、位置推定システム1の推定段階において検出対象パラメータとしての電波を発する。観測センサ1B1~1B9は、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波を検出する。
図11(B)に示す第1実施形態の位置推定システム1の第4例では、観測センサ1B1、1B2、1B3が第1エリアAR1に配置され、観測センサ1B4、1B5、1B6が第2エリアAR2に配置され、観測センサ1B7、1B8、1B9が第3エリアAR3に配置されている。
帯状の第1エリアAR1に含まれる観測センサ1B1、1B2、1B3は、互いに隣接して配置されている。同様に、帯状の第2エリアAR2に含まれる観測センサ1B4、1B5、1B6は、互いに隣接して配置されている。また、帯状の第3エリアAR3に含まれる観測センサ1B7、1B8、1B9は、互いに隣接して配置されている。
【0068】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1、1B2、1B3による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の推定段階の時間帯TF1に集約する。
具体的には、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B3による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TF1における集約結果は、電波のRSSI値が約-70[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B3)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B2)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-90[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B1)の個数が「1」である。
【0069】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B4、1B5、1B6による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の推定段階の時間帯TF1とは異なる時間帯TF2に集約する。
具体的には、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B4~1B6による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TF2における集約結果は、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B6)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B5)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B4)の個数が「1」である。
【0070】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B7、1B8、1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の推定段階の時間帯TF1および時間帯TF2とは異なる時間帯TF3に集約する。
具体的には、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B7~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TF3における集約結果は、電波のRSSI値が約-40[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B9)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B8)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B7)の個数が「1」である。
【0071】
図12は第1実施形態の位置推定システム1の第4例における事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報のエリア毎の時間分割による集約、事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報のエリア毎の時間分割による集約などを説明するための図である。詳細には、
図12(A)はエリア毎の時間分割による集約が行われない、測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約、事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約、および、事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約を示している。
図12(B)はエリア毎の時間分割による集約が行われる第1実施形態の位置推定システム1の第4例における測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約、事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約、および、事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約を示している。
【0072】
図12(B)に示す第1実施形態の位置推定システム1の第4例では、
図1に示す例と同様に、事前学習点1A1が、位置推定システム1の学習段階において検出対象パラメータとしての電波を発する。観測センサ1B1~1B9は、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波を検出する。
【0073】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1、1B2、1B3による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の学習段階の時間帯TFAに集約する。
具体的には、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1~1B3による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TFAにおける集約結果は、電波のRSSI値が約-40[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B1)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B2)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B3)の個数が「1」である。
【0074】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B4、1B5、1B6による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の学習段階の時間帯TFBに集約する。
具体的には、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B4~1B6による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TFBにおける集約結果は、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B4)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B5)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B6)の個数が「1」である。
【0075】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B7、1B8、1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の学習段階の時間帯TFCに集約する。
具体的には、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B7~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TFCにおける集約結果は、電波のRSSI値が約-70[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B7)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B8)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-90[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B9)の個数が「1」である。
【0076】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B1、1B2、1B3による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の学習段階の時間帯TFDに集約する。
具体的には、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B1~1B3による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TFDにおける集約結果は、電波のRSSI値が約-70[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B3)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B2)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-90[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B1)の個数が「1」である。
【0077】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B4、1B5、1B6による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の学習段階の時間帯TFEに集約する。
具体的には、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B4~1B6による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TFEにおける集約結果は、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B6)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B5)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-80[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B4)の個数が「1」である。
【0078】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B7、1B8、1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)を、例えば位置推定システム1の学習段階の時間帯TFFに集約する。
具体的には、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A2から発せられた電波の観測センサ1B7~1B9による検出結果を示す情報(RSSIデータ)の時間帯TFFにおける集約結果は、電波のRSSI値が約-40[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B9)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-50[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B8)の個数が「1」であり、電波のRSSI値が約-60[dBm]になった観測センサ(詳細には、観測センサ1B7)の個数が「1」である。
【0079】
第1実施形態の位置推定システム1の第4例(
図12(B)に示す例)では、フュージョンセンタ1Cが、測位対象1Dの位置を推定するために、
図12に示す測位対象1Dの第1エリアAR1、第2エリアAR2および第3エリアAR3のそれぞれの観測情報(集約結果)と、事前学習点1A1の第1エリアAR1、第2エリアAR2および第3エリアAR3のそれぞれの事前情報(集約結果)、事前学習点1A2の第1エリアAR1、第2エリアAR2および第3エリアAR3のそれぞれの事前情報(集約結果)などと、データベース1C1に記録されている事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報とを用いる。
【0080】
第1実施形態の位置推定システム1の第4例(
図12(B)に示す例)では、フュージョンセンタ1Cが、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果と、位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報(RSIIデータ)の集約結果と、例えば位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報とに基づいて、
図27に示す位置指紋法を用いることにより、測位対象1Dの位置を推定する。
図12(B)に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、測位対象1Dの第1エリアAR1、第2エリアAR2および第3エリアAR3のそれぞれの観測情報(集約結果)と、事前学習点1A1の第1エリアAR1、第2エリアAR2および第3エリアAR3のそれぞれの事前情報(集約結果)、事前学習点1A2の第1エリアAR1、第2エリアAR2および第3エリアAR3のそれぞれの事前情報(集約結果)などとの比較計算を行い、測位対象1Dの第1エリアAR1、第2エリアAR2および第3エリアAR3のそれぞれの観測情報(集約結果)に最も近い事前学習点1A2の第1エリアAR1、第2エリアAR2および第3エリアAR3のそれぞれの事前情報(集約結果)を選択し、選択された事前学習点1A2の位置座標を、測位対象1Dの位置座標として推定する。
【0081】
第1実施形態の位置推定システム1の第4例(
図11(B)および
図12(B)に示す例)では、エリア毎に時間分割で情報を集約することによって、各エリアのRSSI分布を集約することができる。また、エリア分割によって地域の違いを識別することができ、測位精度を向上させることができる。
【0082】
図13は第1実施形態の位置推定システム1の第5例を示す図である。
図13に示す例では、位置推定システム1が、事前学習点1A1、1A2、…、1ANと、観測センサ1B1~1B20と、フュージョンセンタ1Cと、測位対象(観測点)1Dとを備えている。
観測センサ1B1~1B20は、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波を検出する。フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B20による検出結果を示す情報を集約する。
また、観測センサ1B1~1B20は、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波を検出する。
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B20による検出結果を示す情報を集約する。また、フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B20による検出結果を示す情報の集約結果と、位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた電波の観測センサ1B1~1B20による検出結果を示す情報の集約結果と、例えば位置推定システム1の学習段階においてデータベース1C1に記録された事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報とに基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
【0083】
図14は第1実施形態の位置推定システム1の第5例におけるエリア分割(時間分割)などを説明するための図である。詳細には、
図14(A)はエリアAR1~AR4のそれぞれが帯状に構成されている例における観測センサ1B1~1B20とエリアAR1~AR4との関係を示しており、
図14(B)は第1実施形態の位置推定システム1の第5例における観測センサ1B1~1B20とエリアAR1~AR4との関係を示している。
図14(B)に示す第1実施形態の位置推定システム1の第5例では、観測センサ1B1、1B5、1B9、1B13、1B17が第1エリアAR1に配置され、観測センサ1B2、1B6、1B10、1B14、1B18が第2エリアAR2に配置され、観測センサ1B3、1B7、1B11、1B15、1B19が第3エリアAR3に配置され、観測センサ1B4、1B8、1B12、1B16、1B20が第4エリアAR4に配置されている。
【0084】
第1エリアAR1に含まれる複数の観測センサ1B1、1B5、1B9、1B13、1B17は、互いに離間して配置されている。また、第1エリアAR1が、互いに離間している複数のエリアによって構成されている。
第2エリアAR2に含まれる複数の観測センサ1B2、1B6、1B10、1B14、1B18は、互いに離間して配置されている。また、第2エリアAR2が、互いに離間している複数のエリアによって構成されている。
第3エリアAR3に含まれる複数の観測センサ1B3、1B7、1B11、1B15、1B19は、互いに離間して配置されている。また、第3エリアAR3が、互いに離間している複数のエリアによって構成されている。
第4エリアAR4に含まれる複数の観測センサ1B4、1B8、1B12、1B16、1B20は、互いに離間して配置されている。また、第4エリアAR4が、互いに離間している複数のエリアによって構成されている。
【0085】
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1、1B5、1B9、1B13、1B17による検出結果を示す情報を、例えば位置推定システム1の推定段階の時間帯TF1に集約する。
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B2、1B6、1B10、1B14、1B18による検出結果を示す情報を、例えば位置推定システム1の推定段階の時間帯TF1とは異なる時間帯TF2に集約する。
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B3、1B7、1B11、1B15、1B19による検出結果を示す情報を、例えば位置推定システム1の推定段階の時間帯TF1および時間帯TF2とは異なる時間帯TF3に集約する。
フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B4、1B8、1B12、1B16、1B20による検出結果を示す情報を、例えば位置推定システム1の推定段階の時間帯TF1、時間帯TF2および時間帯TF3とは異なる時間帯TF4に集約する。
【0086】
図15は第1実施形態の位置推定システム1の第6例を示す図である。
図15に示す例では、位置推定システム1が、事前学習点1A1、1A2、…、1ANと、観測センサ1B1~1B9と、フュージョンセンタ1Cと、測位対象(観測点)1Dとを備えている。
フュージョンセンタ1Cは、データベース1C1と、ヒストグラム化計算部1C2と、バタチャリヤ距離算出部1C3とを備えている。
ヒストグラム化計算部1C2は、位置推定システム1の学習段階において学習段階ヒストグラム(
図16(A)参照)を生成し、位置推定システム1の推定段階において推定段階ヒストグラム(
図16(C)参照)を生成する。
具体的には、位置推定システム1の学習段階または位置推定システム1の推定段階においてヒストグラムを生成する場合には、情報集約(PhyC-SN)によって例えば「-83dBm-79dBm-78dBm-70dBm」のデータが取得される。
ヒストグラムの計算が行われるときには、例えば「3dB間隔」などのビンの間隔が設定される。例えば、「-68.5dBm~-71.4Bm」に頻度値「1」が設定され、「-71.5dBm~-74.4Bm」に頻度値「0」が設定され、「-74.5dBm~-77.4Bm」に頻度値「0」が設定され、「-77.5dBm~-80.4Bm」に頻度値「2」が設定され、「-80.5dBm~-83.4Bm」に頻度値「1」が設定される。
上述したような情報の欠落が生じる場合であっても、バタチャリヤ距離が用いられる例では、頻度値が変わるだけで、計算方法に変更はない。
【0087】
図16はヒストグラム化計算部1C2によって生成される学習段階ヒストグラム、推定段階ヒストグラム等の一例を示す図である。
詳細には、
図16(B)は位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1(
図16(B)には図示せず)から発せられた検出対象パラメータ(電波)の強度分布を示している。
図16(A)は位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1から発せられた検出対象パラメータ(電波)の観測センサ1B1~1B9のそれぞれによる検出結果(RSSI値)を示す情報である学習段階ヒストグラム(詳細には、RSSIデータをヒストグラム化したもの)を示している。
図16(D)は位置推定システム1の推定段階において測位対象(観測点)1D(
図16(D)には図示せず)から発せられた検出対象パラメータ(電波)の強度分布を示している。
図16(C)は位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータ(電波)の観測センサ1B1~1B9のそれぞれによる検出結果(RSSI値)を示す情報である推定段階ヒストグラム(詳細には、RSSIデータをヒストグラム化したもの)を示している。
【0088】
図16に示す例では、ヒストグラム化計算部1C2は、位置推定システム1の学習段階に事前学習点1A1から発せられた電波の観測センサ1B1~1B9のそれぞれによる検出結果(RSSI値)に基づいて、
図16(A)に示す学習段階ヒストグラムを生成する。つまり、ヒストグラム化計算部1C2によって生成される学習段階ヒストグラムは、位置推定システム1の学習段階に事前学習点1A1から発せられた電波の広がり(電波の強度分布)に対応している。
また、ヒストグラム化計算部1C2は、位置推定システム1の推定段階に測位対象1Dから発せられた電波の観測センサ1B1~1B9のそれぞれによる検出結果(RSSI値)に基づいて、
図16(C)に示す推定段階ヒストグラムを生成する。つまり、ヒストグラム化計算部1C2によって生成される推定段階ヒストグラムは、位置推定システム1の推定段階に測位対象1Dから発せられた電波の広がり(電波の強度分布)に対応している。
【0089】
図15に示す例では、バタチャリヤ距離算出部1C3は、ヒストグラム化計算部1C2によって生成された学習段階ヒストグラム(
図16(A)参照)と推定段階ヒストグラム(
図16(C)参照)との類似性を示すバタチャリヤ距離BD(H
1,H
2)を算出する。バタチャリヤ距離算出部1C3によって算出されるバタチャリヤ距離BD(H
1,H
2)は、例えば下記の(1)式によって表される。(1)式において、H
1は1つ目のヒストグラムを示しており、H
2は2つ目のヒストグラムを示しており、H
1(I)はIのときのヒストグラム値H
1を示しており、H
2(I)はIのときのヒストグラム値H
2を示している。ヒストグラムとしては、正規化したものが用いられる。
【0090】
【0091】
図15に示す例では、フュージョンセンタ1Cが、バタチャリヤ距離算出部1C3によって算出されたバタチャリヤ距離BD(H
1,H
2)と、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報とに基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
第1実施形態の位置推定システム1の第6例では、集約したRSSIの値の大きさを考慮することができる。また、電波の広がりを示す等高線の違いをヒストグラムで表現することができ、面的な広がりの違いを1次元で表現することができる。
【0092】
[実施例]
本発明者等は、第1実施形態の位置推定システム1について、レイトレーシングを用いてシミュレーションによる評価を行った。
【0093】
図17および
図18はシミュレーション諸元を示す図である。
環境は800m×800mの都市空間を作成した。この環境に観測センサを136個(
図17参照)、事前学習点を37点(
図18参照)配置した。それぞれの配置間隔は、観測センサは約50m間隔、事前学習点は約100m間隔とした。
図18に示すように、測位対象(観測点)は、事前学習点の中で近くにある2点を選び、その2点をつなぐように20m間隔で配置した。これを5箇所作成した。事前学習点と観測点から送られる電波はLPWAのLoRa(登録商標)を想定している。
今回シミュレーションにて評価したことは2つある。1つ目は分割数、2つ目は分割方法である。1つ目は単純に何分割することでよい精度を得られるかを求め、2つ目では2つの分割方法について比較評価した。評価方法については観測点(測位対象)の実際の位置と推定した位置との距離(
図19の横軸)についての累積分布(CDF)(
図19の縦軸)で評価した。
【0094】
後述するシミュレーション結果において、「理想」は位置推定した結果1番近くの点を選んだ時の結果を示している。
「従来法」は本発明の位置推定システムおよび位置推定方法が適用されていない手法(つまり、従来の位置指紋法)の結果を示している。集約にかかる時間スロット数は136である。
「提案法 エリア分割なし」は第1実施形態の位置推定システム1の第1例~第3例に相当する手法(つまり、位置指紋法にPhyC-SNを適用した手法)の結果を示している。集約にかかる時間スロット数は1である。
「提案法 エリア4分割 バラバラ」は第1実施形態の位置推定システム1の第5例に相当する手法(つまり、位置指紋法にPhyC-SNを適用したものに、
図14(B)の分割を更に適用した手法)の結果を示している。集約にかかる時間スロット数は4である。
「提案法 エリア4分割 帯状」は第1実施形態の位置推定システム1の第4例に相当する手法(つまり、位置指紋法にPhyC-SNを適用したものに、
図14(A)の分割を更に適用した手法)の結果を示している。集約にかかる時間スロット数は4である。
【0095】
図19はシミュレーション結果を示す図である。
図19において、横軸は観測点(測位対象1D)と推定点(測位対象1Dの推定位置)との距離を示しており、縦軸はCDF(累積分布)を示している。
エリア分割を行うことで、従来法に近い精度を実現できることがわかった。エリア分割については、
図14(A)に示す例のように帯状に分割する(換言すれば、帯状に集約する)ことによって、
図14(B)に示す例のようにバラバラに分割する場合よりも高い精度を実現できることがわかった。帯状に集約することによって、地域の特色を検出できることがわかった。バラバラに分割する場合には、個々の集約結果の画面的解像度が下がり識別困難になることがわかった。
【0096】
図20は
図16に示すヒストグラム化計算を行った場合のシミュレーション結果を示す図である。
図20において、横軸は観測点(測位対象1D)と推定点(測位対象1Dの推定位置)との距離を示しており、縦軸はCDF(累積分布)を示している。
「大きさ順+4分割」は第1実施形態の位置推定システム1の第2例または第3例と第1実施形態の位置推定システム1の第4例または第5例とを組み合わせたものに相当する手法の結果を示している。
「ヒストグラム+4分割」は第1実施形態の位置推定システム1の第4例または第5例と第1実施形態の位置推定システム1の第6例とを組み合わせたものに相当する手法の結果を示している。
エリア分割は、
図14(A)または
図14(B)に示す例のような4分割を行った。ヒストグラムはデータを8分割することによって評価した。
エリア分割を行うことによって精度を向上させることができ、従来法とほぼ同じ精度を実現することができた。
ヒストグラム化計算を行うことによって、一部従来法を超える精度を実現することができた。
【0097】
また、本発明者等は、第1実施形態の位置推定システム1について実機試験を行った。
図21は実機試験の考え方を説明するための図である。実機試験では、LPWAの通信によるRSSI値をセンサ情報として利用した。電波の対称性を考慮し、各センサから得たRSSIをセンサで受信したRSSIとした。つまり、「観測センサ→集約局(フュージョンセンタ)」のRSSI値と「集約局→観測センサ」のRSSI値とは同じであると仮定した。センサ情報の集約は理想的であると想定した。
図22は実機試験に使用した機器を示す図である。実機試験では、集約局としてDragino社製LoRaWANゲートウェイ(LPS8-JP)を使用し、送信端末としてDragino社製(LHT65)を使用した。
図23は実機試験におけるセンサ(観測センサ1B1、1B2、…)の配置などを示す図である。
図24は実機試験における学習データ測定点(事前学習点1A1~1AN)および観測データ測定点(測位対象1D)の配置を示す図である。
【0098】
図25は実機試験の結果を比較して示した図である。
図25において、横軸は観測点(測位対象1D)と推定点(測位対象1Dの推定位置)との距離を示しており、縦軸はCDF(累積分布)を示している。「理想」、「従来法」、「提案法 エリア分割なし」および「提案法 エリア4分割 帯状」の定義は、上述した定義と同様である。
「提案法 エリア分割なし」および「提案法 エリア4分割 帯状」では、「従来法」と同等もしくはそれ以上の結果が得られた。事前点(事前学習点1A1~1AN)の間隔10mに対し10m以下で50%の精度が得られた。
「提案法 エリア分割なし」および「提案法 エリア4分割 帯状」では、「理想」との差が確認された。センサ(観測センサ1B1~1B20)の数を増やすことによって、その差を小さくすることができると考えられる。
【0099】
図26は他のシミュレーション結果を示す図である。
図26において、横軸は観測点(測位対象1D)と推定点(測位対象1Dの推定位置)との距離を示しており、縦軸はCDF(累積分布)を示している。
測定諸元は
図17と
図18と同じである。
図26において、「理想」は位置推定した結果1番近くの点を選んだ時の結果を示している。
「大きさ順+4分割」は第1実施形態の位置推定システム1の第4例に相当する手法(つまり、位置指紋法にPhyC-SNを適用したものに、
図14(A)の分割を更に適用した手法)の結果を示している。集約にかかる時間スロット数は4である。(これは
図19の「提案法 エリア4分割 帯状」と同じである。)このうち、PhyC-SNの信号検出にマルチレベル検出を適用し、情報が損失なく受信できた場合である。
「バーコード帯状4分割」は第1実施形態の位置推定システム1の第4例に相当する手法(つまり、位置指紋法にPhyC-SNを適用したものに、
図14(A)の分割を更に適用した手法)の結果を示している。集約にかかる時間スロット数は4である。このうち、PhyC-SNの信号検出にシングルレベル検出を適用した場合である。また、PhyC-SNの送信のため、RSSIを512段階に分割する量子化が適用されている。
「バーコードバラバラ4分割」は第1実施形態の位置推定システム1の第5例に相当する手法(つまり、位置指紋法にPhyC-SNを適用したものに、
図14(B)の分割を更に適用した手法)の結果を示している。集約にかかる時間スロット数は4である。このうち、PhyC-SNの信号検出にシングルレベル検出を適用した場合である。また、PhyC-SNの送信のため、RSSIを512段階に分割する量子化が適用されている。
図26に示すように、「バーコード帯状4分割」は「大きさ順+4分割」に比べて5%程度の発生確率で測位精度が劣化することがみとめられるが、5%の程度の劣化を許容すれば、同等の精度を達成し、シングルレベル検出を適用が可能になる。
つまり、
図26は、
図28を参照して説明したマルチレベル検出およびシングルレベル検出に関連して、二つの検出器を用いた場合の比較結果を示している。
【0100】
第1実施形態の位置推定システム1の適用が期待される領域としては、電波環境監視(違法電波の特定)、周波数共用のための既存システムの利用状況監視(KDDI総研の検討参照)、環境監視(洪水、火災、建物構造物など)、室内測位(衛星が利用できない場所での測位)、つまり、例えば生産現場や商業施設での活用などがある。
【0101】
<第2実施形態>
以下、本発明の位置推定システムおよび位置推定方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の位置推定システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の位置推定システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の位置推定システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の位置推定システム1と同様の効果を奏することができる。
【0102】
上述したように、第1実施形態の位置推定システム1では、位置推定システム1の学習段階において、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれが、検出対象パラメータとしての電波を発する。観測センサ1B1~1B9は、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた検出対象パラメータとしての電波を検出する。また、位置推定システム1の推定段階において、測位対象1Dが、検出対象パラメータとしての電波を発する。観測センサ1B1~1B9は、測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータとしての電波を検出する。フュージョンセンタ1Cは、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータとしての電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果と、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた検出対象パラメータとしての電波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果と、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報とに基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
【0103】
一方、第2実施形態の位置推定システム1では、位置推定システム1の学習段階において、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれが、検出対象パラメータとしての熱を発する。観測センサ1B1~1B9は、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた検出対象パラメータとしての熱を検出する。
また、第2実施形態の位置推定システム1では、位置推定システム1の推定段階において、測位対象1Dが、検出対象パラメータとしての熱を発する。観測センサ1B1~1B9は、測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータとしての熱を検出する。
更に、第2実施形態の位置推定システム1では、フュージョンセンタ1Cが、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータとしての熱の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果と、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた検出対象パラメータとしての熱の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果と、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報とに基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
【0104】
<第3実施形態>
以下、本発明の位置推定システムおよび位置推定方法の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の位置推定システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の位置推定システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の位置推定システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の位置推定システム1と同様の効果を奏することができる。
【0105】
第3実施形態の位置推定システム1では、位置推定システム1の学習段階において、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれが、検出対象パラメータとしての音波を発する。観測センサ1B1~1B9は、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた検出対象パラメータとしての音波を検出する。
また、第3実施形態の位置推定システム1では、位置推定システム1の推定段階において、測位対象1Dが、検出対象パラメータとしての音波を発する。観測センサ1B1~1B9は、測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータとしての音波を検出する。
更に、第3実施形態の位置推定システム1では、フュージョンセンタ1Cが、位置推定システム1の推定段階において測位対象1Dから発せられた検出対象パラメータとしての音波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果と、位置推定システム1の学習段階において事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれから発せられた検出対象パラメータとしての音波の観測センサ1B1~1B9による検出結果を示す情報の集約結果と、事前学習点1A1、1A2、…、1ANのそれぞれの位置を示す情報とに基づいて、測位対象1Dの位置を推定する。
【0106】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0107】
なお、上述した実施形態における位置推定システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0108】
1…位置推定システム、1A1~1AN…事前学習点、1B1~1B20…観測センサ、1C…フュージョンセンタ(FC)、1C1…データベース、1C2…ヒストグラム化計算部、1C3…バタチャリヤ距離算出部、1D…測位対象(観測点)、AR1、AR2、AR3、AR4…エリア