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▶ 株式会社タナクロの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056841
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】焚火台
(51)【国際特許分類】
   F24B 1/195 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
F24B1/195
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166286
(22)【出願日】2021-10-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】515145722
【氏名又は名称】株式会社タナクロ
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(72)【発明者】
【氏名】長妻 正人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上からの荷重に十分耐えられる強度を備えた携帯用焚火台を提供する。
【解決手段】火床2と、火床を支えるため向かい合うように立設された一対の側面パネルとを有する焚火台1であって、火床は、第1底板3aと第2底板3bがヒンジ状連結部5で連結し、ヒンジ状連結部を底として谷部を形成しており、一対の側面パネルである第1側面パネル4aと第2側面パネル4bは、火床に着脱自在であり、火床に取り付けたとき、焚火台の内側に向かって凸形となるよう湾曲している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火床と、前記火床を支えるため向かい合うように立設された一対の側面パネルとを有する焚火台であって、

前記火床は、第1底板と第2底板がヒンジ状連結部で連結し、前記ヒンジ状連結部を底として谷部を形成しており、

前記一対の側面パネルである第1側面パネルと第2側面パネルは、
前記火床に着脱自在であり、前記火床に取り付けたとき、焚火台の内側に向かって凸形となるよう湾曲していることを

特徴とする焚火台。
【請求項2】
前記第1底板と第2底板は、それぞれ前記ヒンジ状連結部と直角をなす2つの辺に凸部を備えており、
前記第1側面パネルと前記第2側面パネルは、それぞれ略V字状のスリットを有し、

前記凸部が前記スリットに篏合して組み立てられることを
特徴とする請求項1記載の焚火台。

【請求項3】
前記焚火台において

不使用時は
前記火床を、前記ヒンジ状連結部を中心線として折り畳み、

使用時は、
前記火床を、前記第1底板と前記第2底板のなす角度を180度にして開き、
前記角度を180度より小さくなるように
前記ヒンジ状連結部を中心に垂直下方向に押し、
同時に前記第1側面パネルと前記第2側面パネルをそれぞれ前記火床2の内側方向に湾曲させて、
前記第1底板の凸部と前記第2底板の凸部が、前記第1側面パネルと前記第2側面パネルのそれぞれのスリットに篏合するように組み立てられることを
特徴とする請求項2記載の焚火台。

【請求項4】
前記第1底板と前記第2底板は、それぞれ、ゴトクを移動可能に取り付けられるように、ゴトク固定用の丸棒のスタンドを備えており、

前記第1底板の前記スタンドの両側の端部を、
第1側面パネルの外側から見て右端の筒部と
第2側面パネルの外側から見て左端の筒部に
それぞれ差し込み、

前記第2底板の前記スタンドの両側の端部を、
第1側面パネルの外側から見て左端の筒部と
第2側面パネルの外側から見て右端の筒部に
それぞれ差し込むことによって、
前記スタンドは、脚部として焚火台を支えることを、

特徴とする請求項2または3記載の焚火台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野外で使用する携帯用焚火台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野外活動などのキャンプは家族や友人など大人数で行くことが多い。キャンプの楽しみの一つとして、大きな薪をたくさん組み、大人数で焚火を囲むことがある。しかし、近年は、一人でキャンプに行く「ソロキャンプ」を楽しむ人が増加している。一人でキャンプに行く場合は荷物が軽い方が良く、例えば、調理や暖をとるときに使用する携帯用焚火台はコンパクトでバックパックに入るものがよい。
よって、携帯用焚火台は持ち運ぶ時コンパクトであっても、できるだけ火床が大きく多くの薪を組んで楽しめるものが求められる。火床が大きいと、一人だけでなく多人数で囲むこともできる。
また、携帯用焚火台は組み立てができるだけ容易なものが求められる。
【0003】
従来の携帯用焚火台は、軽量でコンパクトにしようとすると、どうしても火床が小さくなり、薪の配置が制限されていた。例えば、販売されている標準的な大きさの薪であれば、3本から4本しか使用できないものが多かった。
また焚火台を形成するパーツが多く、組み立てが面倒であり、組み立てた後に持ち上げるとパーツがばらつく問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-172893
【特許文献2】特許6900077
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、使用時は、火床は大きな形状になり自由に薪を組んで焚火が楽しめる一方で、折り畳むとコンパクトで、バックパックなどで持ち運びがしやすく、なお軽量で組み立てが容易で、組み立てた後に持ち上げてもパーツがばらつかず、かつ上からの荷重に十分耐えられる強度を備えた携帯用焚火台が求められている。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みて、提案されたものである。
即ち、不使用時は収納性に優れているにも関わらず、使用時において火床は大きな形状になり自由に薪を組め、組み立てが容易で、組み立てた後に持ち上げてもパーツがばらつかずかつ上からの荷重に十分耐えられる強度を備え使用時の方が各パーツの連結がさらに強固になる携帯用焚火台である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
火床と、前記火床を支えるため向かい合うように立設された一対の側面パネルとを有する焚火台であって、
前記火床は、第1底板と第2底板がヒンジ状連結部で連結し、前記ヒンジ状連結部を底として谷部を形成しており、
前記一対の側面パネルである第1側面パネルと第2側面パネルは、
前記火床に着脱自在であり、前記火床に取り付けたとき、焚火台の内側に向かって凸形となるよう湾曲していることを
特徴とする焚火台である。
【0008】
前記第1底板と第2底板は、それぞれ前記ヒンジ状連結部と直角をなす2つの辺に凸部を備えており、
前記第1側面パネルと前記第2側面パネルは、それぞれ略V字状のスリットを有し、
前記凸部が前記スリットに篏合して組み立てられることを
特徴とする請求項1記載の焚火台である。
【発明の効果】
【0009】
本願は、形成するパーツを少なく、湾曲可能な側面パネルを有することにより、使用時に各パーツの連結がより強固になる丈夫な携帯用焚火台である。
【0010】
前記火床は、第1底板と第2底板がヒンジ状連結部で連結しているので、収納時は折りたたむことができる。使用時の前記火床は正方形に近いが、半分に折りたたむと長方形になり、コンパクトになる。
【0011】
前記側面パネルは、前記火床に着脱自在であり、前記火床に取り付けることで、焚火台の内側に向かって凸形となるよう湾曲してしいる。
前記側面パネルは、略V字状のスリットを有し、火床の底板には凸部を備えている。前記凸部が前記スリットに篏合し、側面パネルと側板が連結しているので、火床を手でもって持ち上げても連結が解かれることはない。火床の底に荷重がかかるほど側面パネルと火床の連結は強固になっていく。薄板で構成する事による軽量化と分割によるコンパクトな畳み寸法を実現しながら、パーツを分割することによる構造の弱さを感じさせない頑丈な構造を実現している。
【0012】
また前記火床はヒンジ状連結部を底として谷部を形成する。これは火床がフラットな状態よりも、谷部を形成する方が、灰や炭が谷部にたまりやく、灰が飛散しにくく、灰の処理がしやすい効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明に係る焚火台の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る焚火台を示す斜視図である。
焚火台1は、火床2と、前記火床2を支えるため向かい合うように立設された一対の側面パネルである第1側面パネル4aと第2側面パネル4bを有する。
前記火床2は、第1底板3aと第2底板3bがヒンジ状連結部5で連結している。前記火床2はヒンジ状連結部5を底として谷部を形成する。
前記第1側面パネル4aと前記第2側面パネル4bは、前記火床2に着脱自在であり、前記火床2に取り付けることで、焚火台の内側に向かって凸形となるよう湾曲している。
スタンド8は金属の丸棒であり、前記第1底板と第2底板の外側の辺の両端部で金属金具10で固定される。前記スタンド8は、ゴトク9を支える役割と脚部としての役割が両方ある。
この焚火台は、焚火をして暖を取るだけでなく、調理目的で、火床2に薪を置いて着火し、ゴトク9を取り付けて、ゴトク9の上に料理が入った土鍋、鉄鍋や鉄板など(図示しない、以下、鍋という)を載せて料理をするものである。ゴトク9は、移動可能に取り付けられる。
【0014】
図2は焚火台の正面図である。
前記第1側面パネル4aは、複数の空気孔11と略V字形のスリット12と肉抜き部13aと13bを有する。第2側面パネル4bも同様である。
複数の前記空気孔11は、空気孔全体で組み合わせて大きく逆略三角形状を形成する。その逆略三角形状は、2辺が前記スリット12の略V字形に沿っており、略三角形状と逆略三角形状の複数の空気孔を組み合わせる。
前記略V字形のスリット12は、前記火床2の第1側面パネル4aと第2側面パネル4bと篏合するためのものである。
前記肉抜き部13aと肉抜き部13bは、略四角形状で、構造軽量化を実現するものであり、前記側面パネルの垂直中心線において左右対称に形成されている。
また、第1側面パネル4aの右端下部には、内側に屈曲して形成した筒部15aを有し、左端下部には、内側に屈曲して形成した穴部15bを有する。前記スタンド8の端部を筒部に差し込むためである。
【0015】
前記第2側面パネル4bも前記第1側面パネル4aと同様の構造である。
【0016】
前記側面パネルは薄い金属板であり、適度にたわむものがよい。
前記側面パネルは、焚火をおこしたときに、灰や火花が飛ぶのを防火が消えないように、風防の役割を果たす。
【0017】
焚火台の材質は、強度があり、熱を逃さないステンレスが好ましいが、それに限られるものではない。強度及び熱による変形は、鋼材のSUS304相当程度で充分であり、黄銅や、軽量化目的でチタン等も好ましい。
ステンレス製の厚さとしては、0.3 ミリ位が好ましいが、それに限られるものではなく、たわめば、ステンレスに限られるものではない。
【0018】
図3は火床の平面図である。
前記火床2は、第1底板3aと第2底板3bがヒンジ状連結部5で連結しており、複数の直線状の空気孔17を有する。第1底板3aと第2底板3bは、同一形状である。
前記空気孔17は、ヒンジ状連結部5と垂直の位置にあり、平行に並んでいる。
前記第1底板、前記ヒンジ状連結部と直角をなす2つの辺に凸部6aと凸部7aを備えている。同様に第2底板は、前記ヒンジ状連結部と直角をなす2つの辺に凸部6bと凸部7bを備えている。前記凸部は、前記側面パネルの略V字状スリット12に篏合するためのものであり、前記ヒンジ状連結部と直角をなす2つの辺にあるが、前記ヒンジ状連結部側にある方が好ましい。
前記火床2は収納時、ヒンジ状連結部5を中心線として二つに折りたたむことができる。組み立て時は、まず火床2を180度に開き、前記側面パネルのスリット12に角度を合わせていく。
【0019】
図4(a)~(c)は、本発明に係る焚火台の組み立て手順を示した図である。
【0020】
図4(a)は、組み立て手順の最初の図である。
収納時に半分に折りたたまれた火床2を、第1底板3aと第2底板3bのなす角度が180度になるよう開く。
第1側面パネル4aも、湾曲させずに、火床2の第1底板3aに固定しているスタンド8の端部16aを、第1側面パネル4aの右端の筒部15aに差し込む。
同様に、第2底板3bのスタンドの端部16bを、第1側面パネル4aの左端の筒部15bに差し込む。
【0021】
図4(b)は、組み立て手順の二番目の図である。
前記火床を、前記第1底板3aと前記第2底板3bのなす角度が180度より小さくなるように前記ヒンジ状連結部5を中心に垂直下方向に押し、同時に前記第1側面パネル4aは前記火床2の内側方向に湾曲させて、前記第1底板の凸部6aと前記第2底板の凸部6bが、前記第1側面パネルスリット12に篏合するように組み立てる。
【0022】
図4(c)は、組み立て手順の最後の図である。
反対側の第2側面パネル4bも同様に、前記の要領で、火床2に取り付けて完成させる。
【0023】
よって、前記焚火台は、前記火床を、前記第1底板と前記第2底板のなす角度を180度にして開き、前記角度を180度より小さくなるように前記ヒンジ状連結部を中心に垂直下方向に押し、同時に前記第1側面パネルと前記第2側面パネルをそれぞれ前記火床2の内側方向に湾曲させて、前記第1底板の凸部と前記第2底板の凸部が、前記第1側面パネルと前記第2側面パネルのそれぞれのスリットに篏合するように組み立てられることを特徴とする焚火台である。
【0024】
また前記第1底板と前記第2底板は、それぞれ、ゴトクを移動可能に取り付けられるように、ゴトク固定用の丸棒のスタンドを備えており、 前記スタンドは、脚部として焚火台を支え、前記第1底板の前記スタンドの両側の端部を、第1側面パネルを外側から見て右端の筒部と第2側面パネルの外側から見て左端の筒部にそれぞれ差し込み、前記第2底板の前記スタンドの両側の端部を、第1側面パネルを外側から見て左端の筒部と第2側面パネルの外側から見て右端の筒部にそれぞれ差し込むことを特徴とする焚火台である。
【0025】
図5は、前記焚火台の組み立て後の構造の説明図である。
組み立て後、前記火床2には3つの「梁」がある。一つは、火床2の中心にあるヒンジ状連結部5であり、あと二つは、第1底板3aの外側の辺14aと第2底板3bの外側の辺14bである。
前記3つの梁は垂直荷重を支える堅牢な構造となっている。
【0026】
図6は、火床に荷重が加わった時の説明図である。
たとえば、火床に薪を入れたときに、上からの荷重が加わる。火床に上からの荷重が加わると第1底板と第2底板の外側から、中心部であるヒンジ状連結部5に向かって力がかかり、側面パネルがさらに内側に湾曲して連結が強固になる。
したがって、本焚火台は、実際に使用して薪を入れた場合、上からの荷重が加わるので、前記底板外側は内側に向かい、側面パネルがさらに内側に湾曲する。
よって、薪を入れる使用時の方が、各パーツの連結が強固になる。
また焚火台を置いたときの地面の凹凸や、熱によるパネルの歪みなどの変化に追従する仕組みとなっているため、パーツ同士の連結は、強固で耐久性に優れる。
【0027】
図7は、前記焚火台の収納時の図である。
正方形の火床を半分に折りたたむことかでき、長方形でコンパクトに収納することができる。パーツが少なく、厚みも小さいのでバックパックなどで持ち運びがしやすい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る焚火台は、使用時には火床が大きな形状になり自由に薪を組んで焚火が楽しめる一方で、折り畳むとコンパクトで、バックパックなどで持ち運びがしやすく、なお軽量で組み立てが容易で、組み立てた後に持ち上げてもパーツがばらつかず、かつ上からの荷重に十分耐えられる強度を備え、使用時の方が、各パーツの連結がさらに強固になる携帯用焚火台を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る焚火台を示す斜視図である。
図2】焚火台の正面図である。
図3】焚火台の平面図であるである。
図4(a)】本発明に係る焚火台の組み立て手順の最初の図である。
図4(b)】本発明に係る焚火台の組み立て手順の二番目のである。
図4(c)】本発明に係る焚火台の組み立て手順の最後の図である。
図5】焚火台の組み立て後の構造の説明図
図6】火床に荷重が加わった時の説明図である。
図7】焚火台の収納時の図である。
【符号の説明】
【0030】
1 焚火台
2 火床
3a 第1底板
3b 第2底板
4a 第1側面パネル
4b 第2側面パネル
5 ヒンジ状連結部
6a 第1底板の凸部
6b 第2底板の凸部
7a 第1底板の凸部
7b 第2底板の凸部
8a 第1底板のスタンド
8b 第2底板のスタンド
9 ゴトク
10 金属金具
11 空気孔
12 第1側面パネルのスリット
13a 第1側面パネルの肉抜き部
13b 第1側面パネルの肉抜き部
14a 第1底板の外側の辺
14b 第2底板の外側の辺
15a 第1側面パネルの筒部
15b 第1側面パネルの筒部
16a 第1底板のスタンドの端部
16b 第2底板のスタンドの端部
17 空気孔
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
図6
図7