(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056843
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】帯域推定装置及び帯域推定方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0457 20230101AFI20230413BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20230413BHJP
【FI】
H04W72/04 110
H04W24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166288
(22)【出願日】2021-10-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 拓己
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 治
(72)【発明者】
【氏名】浅野 弘明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD44
5K067EE02
(57)【要約】
【課題】帯域推定の精度を向上させること。
【解決手段】本開示の一実施例に係る帯域推定装置は、リアルタイム学習によって、端末が無線通信を行う無線通信路の可用帯域を推定するためのリアルタイム学習モデルを学習させ、事前学習によって、前記リアルタイム学習モデルにより推定した前記端末の無線通信に関するパラメータを用いて、前記無線通信路の可用帯域を推定するための事前学習モデルを学習させる学習部と、前記事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する推定部と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイム学習によって、端末が無線通信を行う無線通信路の可用帯域を推定するためのリアルタイム学習モデルを学習させ、事前学習によって、前記リアルタイム学習モデルにより推定した前記端末の無線通信に関するパラメータを用いて、前記無線通信路の可用帯域を推定するための事前学習モデルを学習させる学習部と、
前記事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する推定部と、
を備える帯域推定装置。
【請求項2】
前記学習部は、事前学習によって、前記端末の位置と前記無線通信路の可用帯域とを対応付ける、前記事前学習モデルに含まれる第1事前学習モデルを学習させ、
前記推定部は、前記第1事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する、
請求項1に記載の帯域推定装置。
【請求項3】
前記学習部は、事前学習によって、前記端末の受信レベルと前記無線通信路の可用帯域とを対応付ける、前記事前学習モデルに含まれる第2事前学習モデルを学習させ、
前記推定部は、前記第2事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する、
請求項1に記載の帯域推定装置。
【請求項4】
前記学習部は、リアルタイム学習によって、時刻と前記端末の位置とを対応付ける、前記リアルタイム学習モデルに含まれる第1リアルタイム学習モデルを学習させ、
前記推定部は、前記第1リアルタイム学習モデルを用いて前記端末の位置を推定し、前記推定した位置及び前記第1事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する、
請求項2に記載の帯域推定装置。
【請求項5】
前記学習部は、リアルタイム学習によって、時刻と前記端末の受信レベルとを対応付ける、前記リアルタイム学習モデルに含まれる第2リアルタイム学習モデルを学習させ、
前記推定部は、前記第2リアルタイム学習モデルを用いて前記端末の受信レベルを推定し、前記推定した受信レベル及び前記第2事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する、
請求項3に記載の帯域推定装置。
【請求項6】
前記学習部は、事前学習によって、前記端末の位置と前記無線通信路の可用帯域とを対応付ける、前記事前学習モデルに含まれる第1事前学習モデルと、前記端末の受信レベルと前記無線通信路の可用帯域とを対応付ける、前記事前学習モデルに含まれる第2事前学習モデルと、を学習させ、リアルタイム学習によって、時刻と前記無線通信路の可用帯域とを対応付ける、前記リアルタイム学習モデルに含まれる第3リアルタイム学習モデルを学習させ、
前記推定部は、前記第1事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定し、前記第2事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定し、前記第3リアルタイム学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定し、
前記学習部は、事前学習によって、前記第3リアルタイム学習モデルを用いて推定された可用帯域、前記第1事前学習モデルを用いて推定された可用帯域及び前記第2事前学習モデルを用いて推定された可用帯域と前記無線通信路の可用帯域とを対応付ける、前記事前学習モデルに含まれる第3事前学習モデルを学習させ、
前記推定部は、前記第3事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する、
請求項1に記載の帯域推定装置。
【請求項7】
リアルタイム学習によって、端末が無線通信を行う無線通信路の可用帯域を推定するためのリアルタイム学習モデルを学習させ、
事前学習によって、前記リアルタイム学習モデルにより推定した前記端末の無線通信に関するパラメータを用いて、前記無線通信路の可用帯域を推定するための事前学習モデルを学習させ、
前記事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する、
帯域推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、帯域推定装置及び帯域推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信は、有線通信と比べて可用帯域が変動しやすい。ネットワークの輻輳、受信電力の変動、基地局間のハンドオーバ等といった複数の要因で、このような可用帯域変動が発生する。なお、以下において、可用帯域は単に帯域と呼ばれることがある。
【0003】
移動通信において伝送されるデータの送信レートが可用帯域を超えてしまうと、パケットロスが発生し得るため、十分な通信品質を確保できなくなってしまうおそれがある。そのため、無線通信路の変動しやすい可用帯域を推定することは重要である。
【0004】
可用帯域を推定する技術として、例えば非特許文献1では、機械学習を用いて、過去のスループット(すなわち可用帯域)の履歴及び受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を学習し、帯域推定を行う方式が提案されている。この方式では、帯域推定を行いたい時刻の直前の数分~数十分間のデータを学習し、この学習に基づいて可用帯域変動の傾向を読み取ることで、未来の帯域推定を実現する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】B. Wei, W. Kawakami, K. Kanai, J. Katto, “Machine learning-based throughput prediction using communication quality in mobile networks,” IEICE Technical Report MoNA2017-53, vol. 117, no. 390, Jan. 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載の方式では、帯域推定を行いたい時刻の直前の数分~数十分間のデータしか学習していないため、帯域推定の精度を向上させる余地がある。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、帯域推定の精度を向上させることができる帯域推定装置及び帯域推定方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例に係る帯域推定装置は、リアルタイム学習によって、端末が無線通信を行う無線通信路の可用帯域を推定するためのリアルタイム学習モデルを学習させ、事前学習によって、前記リアルタイム学習モデルにより推定した前記端末の無線通信に関するパラメータを用いて、前記無線通信路の可用帯域を推定するための事前学習モデルを学習させる学習部と、前記事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する推定部と、を備える。
【0009】
本開示の一実施例に係る帯域推定方法は、リアルタイム学習によって、端末が無線通信を行う無線通信路の可用帯域を推定するためのリアルタイム学習モデルを学習させ、事前学習によって、前記リアルタイム学習モデルにより推定した前記端末の無線通信に関するパラメータを用いて、前記無線通信路の可用帯域を推定するための事前学習モデルを学習させ、前記事前学習モデルを用いて前記無線通信路の可用帯域を推定する。
【0010】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、帯域推定の精度を向上させることができる。
【0012】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施の形態に係る通信システムの一例を示す概略ブロック図
【
図2】本開示の実施の形態に係る移動端末の機能構成例を示す概略ブロック図
【
図3】本開示の実施の形態に係る帯域推定装置の機能構成例を示す概略ブロック図
【
図4A】本開示の実施の形態に係る事前学習フェーズで行う事前学習の一例を示す図
【
図4B】本開示の実施の形態に係る事前学習フェーズで行う事前学習の別の例を示す図
【
図4C】本開示の実施の形態に係る事前学習フェーズで行う事前学習のさらに別の例を示す図
【
図5A】本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習の一例を示す図
【
図5B】本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習の別の例を示す図
【
図5C】本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習のさらに別の例を示す図
【
図5D】本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習のさらに別の例を示す図
【
図5E】本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習のさらに別の例を示す図
【
図6A】本開示の実施の形態に係る推定フェーズで行う帯域推定の一例を示す図
【
図6B】本開示の実施の形態に係る推定フェーズで行う帯域推定の別の例を示す図
【
図6C】本開示の実施の形態に係る推定フェーズで行う帯域推定のさらに別の例を示す図
【
図6D】本開示の実施の形態に係る推定フェーズで行う帯域推定のさらに別の例を示す図
【
図7】本開示の実施の形態に係るデータ測定及び測定データ送信動作の一例を示すフローチャート
【
図8】本開示の実施の形態に係る学習及び帯域推定動作の一例を示すフローチャート
【
図9】本開示の実施の形態に係るコンピュータのハードウェア構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
(実施の形態)
<通信システム>
図1は、本開示の実施の形態における通信システム1の一例を示す概略ブロック図である。
図1を参照すると、通信システム1は、移動端末10と、帯域推定装置20と、ネットワーク30と、を含む。移動端末10と帯域推定装置20とは、ネットワーク30を介して接続される。
【0017】
移動端末(単に端末と呼ばれてもよい)10は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス(例えば、腕時計型(又はリストバンド型若しくはリング型)端末、ヘッドマウントディスプレイ型(又は眼鏡型若しくはゴーグル型)端末、イヤフォン型端末、衣類型端末、靴下型端末等を含む)、車両端末(又は車載端末)等の無線端末であってよい。移動端末10は、例えばLTE、5G、Beyond5G、6G、WiFi(登録商標)、WiGig(登録商標)、WiMAX(登録商標)等の通信方式により移動通信網を含むネットワーク30にアクセスし、ネットワーク30を介して帯域推定装置20に接続する。移動端末10は、移動端末10が測定した測定データ等を帯域推定装置20に送信する。
【0018】
帯域推定装置20は、例えば、移動端末10と通信を行う基地局側に備えられる装置(例えばサーバ装置)であってよい。帯域推定装置20は、移動端末10から受信した測定データ等を用いて、無線通信システムにおける無線通信路の可用帯域を推定するための学習モデルを学習させ、学習させた学習モデルを用いて可用帯域を推定する。
【0019】
LTE、5G等では、可用帯域が緩やかに変動することもあるし、可用帯域が急激に変動することもある。可用帯域の緩やかな変動を引き起こす要因(以下、「緩変要因」という)としては、同じ基地局に接続するユーザ数の増減、受信電力の距離減衰等が想定される。一方、可用帯域の急激な変動を引き起こす要因(以下、「急変要因」という)としては、フェージング、遮蔽、ハンドオーバ等が想定される。可用帯域が急激に変動する場合、非特許文献1に記載の方式では可用帯域変動の傾向を読み取る前に可用帯域が大きく変化してしまうため、可用帯域の推定を行うことが困難である。
【0020】
急変要因は、移動端末の位置及び移動端末が受信する無線信号の受信レベル(例えば、受信電力、受信品質等)に関係する。この関係性を見出すために、帯域推定装置20は、移動端末の位置及び受信レベルでどれだけの可用帯域があったかを、過去の大量のデータ(いわゆるビッグデータ)及び直近のデータから学習する。これにより、帯域推定装置20は、可用帯域の急激な変動にも対応する。
【0021】
より詳細には、帯域推定装置20は、以下の2種類の学習モデルを用いて学習及び帯域推定を行う。
【0022】
第1に、帯域推定装置20は、主に、時間的な傾向を読み取るためのサンプル数が少ない直近のデータを用いて学習モデルをリアルタイムで学習させる。本明細書において、この学習モデルをリアルタイム学習モデルと呼び、リアルタイム学習モデルを学習させる段階をリアルタイム学習フェーズと呼び、リアルタイム学習モデルを学習させることをリアルタイム学習と呼ぶ。帯域推定装置20は、可用帯域を推定する直前にリアルタイム学習モデルを毎回学習させる。例えば、帯域推定装置20は、帯域推定のたびに(例えば1秒ごとに)、リアルタイム学習モデルを学習させる。
【0023】
第2に、帯域推定装置20は、主に、サンプル数が多いあらゆる地点の過去のデータを用いて学習モデルを事前に学習させる。本明細書において、この学習モデルを事前学習モデルと呼び、事前学習モデルを学習させる段階を事前学習フェーズと呼び、事前学習モデルを学習させることを事前学習と呼ぶ。例えば、帯域推定装置20は、1時間に1回、1日に1回等、ある程度長い周期で、事前学習モデルを学習させる。
【0024】
そして、帯域推定装置20は、リアルタイム学習モデル及び事前学習モデルを用いてリアルタイムで帯域推定を行う。本明細書において、帯域推定を行う段階を推定フェーズと呼ぶ。
【0025】
このように、帯域推定装置20は、リアルタイム学習モデル及び事前学習モデルを用いることで、時刻に対して緩やかに変動する可用帯域と急激に変動する可用帯域との両方をリアルタイムで推定することができる。
【0026】
ネットワーク30は、例えば、上述した移動通信網、インターネット等の無線通信ネットワーク及び有線通信ネットワークを含んでよい。
【0027】
<移動端末>
次に、
図2を参照して移動端末10の構成例について説明する。
図2は、本開示の実施の形態に係る移動端末10の機能構成例を示す概略ブロック図である。
【0028】
図2に示すように、移動端末10は、制御部101と、測定部102と、記憶部103と、通信部104と、を備える。
【0029】
制御部101は、移動端末10の動作全般を制御する。例えば、制御部101は、帯域推定装置20が学習に用いるデータの測定を行って記憶部103に測定データを記憶させるように、測定部102に指示する。また、例えば、制御部101は、記憶部103に記憶された測定データを読み込んで帯域推定装置20に送信するように、通信部104に指示する。
【0030】
測定部102は、帯域推定装置20が学習に用いるデータを測定する。例えば、測定部102は、基地局等の他の通信装置から受信した無線信号の受信電力及び受信品質を測定する。また、例えば、測定部102は、当該無線信号を受信したときの移動端末10の緯度及び経度等の位置を測定する。また、例えば、測定部102は、当該無線信号を受信したときのスループットを測定する。測定部102は、測定した受信電力及び受信品質と、緯度及び経度と、スループットとの測定データを、測定した測定時刻(例えば、受信電力及び受信品質を測定した測定時刻、緯度及び経度を測定した測定時刻、又は、スループットを測定した測定時刻)に関連付けて、記憶部103に記憶させる。このような測定データの例を以下の表1に示す。なお、以下の表1に示す、本実施の形態における受信電力及び受信品質はそれぞれ、RSRP(Reference Signal Received Power)及びRSRQ(Reference Signal Received Quality)であるが、本開示はこれらに限定されるものではない。例えば、受信電力は、RSSI等であってもよく、受信品質は、SIR(Signal to Interference Ratio)等であってもよい。
【0031】
【0032】
記憶部103は、移動端末10が動作するのに必要なデータ、測定部102が測定した測定データ等を記憶する。
【0033】
通信部104は、ネットワーク30を介して、基地局等の他の通信装置との間で無線信号を送受信する。また、通信部104は、ネットワーク30を介して、記憶部103に記憶された測定データ及び測定時刻と移動端末10を識別する識別情報(ID)とを、帯域推定装置20に送信する。
【0034】
<帯域推定装置>
次に、
図3を参照して帯域推定装置20の構成例について説明する。
図3は、本開示の実施の形態に係る帯域推定装置20の機能構成例を示す概略ブロック図である。
【0035】
図3に示すように、帯域推定装置20は、制御部201と、学習部202と、推定部203と、記憶部204と、通信部205と、を備える。
【0036】
制御部201は、帯域推定装置20の動作全般を制御する。例えば、制御部201は、移動端末10から受信して記憶部204に記憶された測定データ、記憶部204に記憶された学習モデル等を読み込み、これらを用いて学習を行うように、学習部202に指示する。また、例えば、制御部201は、記憶部204に記憶された学習モデルを読み込み、学習モデルを用いて帯域推定を行い、推定結果(推定した可用帯域)を記憶部204に記憶させるように、推定部203に指示する。また、例えば、制御部201は、移動端末10から受信した測定データ等を記憶部204に記憶させるように、通信部205に指示する。
【0037】
学習部202は、移動端末10から受信して記憶部204に記憶された測定データ等を用いて、移動端末10が無線通信を行う無線通信路の可用帯域を推定するための学習を行う。例えば、学習部202は、上述した事前学習モデル及びリアルタイム学習モデルを作成(又は更新)して(学習させて)、学習させた事前学習モデル及びリアルタイム学習モデルを記憶部204に記憶させる。学習部202の動作の詳細については後述する。
【0038】
推定部203は、記憶部204に記憶された学習モデルを用いて帯域推定を行う。例えば、推定部203は、学習部202が学習させた事前学習モデル及びリアルタイム学習モデルを用いて帯域推定を行い、帯域推定した推定結果を記憶部204に記憶させる。推定部203の動作の詳細については後述する。
【0039】
記憶部204は、帯域推定装置20が動作するのに必要なデータ、学習部202が事前学習モデル及びリアルタイム学習モデルを学習させるのに用いるデータ(移動端末10から受信した測定データ等)、学習部202が学習させた事前学習モデル及びリアルタイム学習モデル、推定部203が帯域推定した推定結果等を記憶する。
【0040】
通信部205は、ネットワーク30を介して、例えば、移動端末10が送信した測定データ等を受信し、受信した測定データ等を記憶部103に記憶させる。
【0041】
<学習の詳細>
次に、
図4A~
図5Eを参照して、学習部202が行う学習について説明する。
【0042】
[事前学習フェーズ]
図4Aは、本開示の実施の形態に係る事前学習フェーズで行う事前学習の一例を示す図である。
図4Aに示す事前学習モデルは、移動端末10の位置と無線通信路の可用帯域とを対応付ける学習モデル(以後、学習モデル(位置-帯域)41と表記する)である。
【0043】
学習部202は、移動端末10から送信された測定データである緯度及び経度を入力データとして用い、移動端末10がその緯度及び経度にあったときのスループットをラベルとして用いて、機械学習を行って(例えば、SVR(Support Vector Regression)を用いて)、学習モデル(位置-帯域)41を学習させる。
【0044】
図4Bは、本開示の実施の形態に係る事前学習フェーズで行う事前学習の別の例を示す図である。
図4Bに示す事前学習モデルは、移動端末10の受信レベルと無線通信路の可用帯域とを対応付ける学習モデル(以後、学習モデル(受信レベル-帯域)42と表記する)である。
【0045】
学習部202は、移動端末10から送信された測定データである受信電力及び受信品質を入力データとして用い、その受信電力及び受信品質であったときのスループットをラベルとして用いて、機械学習を行って、学習モデル(受信レベル-帯域)42を学習させる。
【0046】
図4Cは、本開示の実施の形態に係る事前学習フェーズで行う事前学習のさらに別の例を示す図である。
図4Cに示す事前学習モデルは、推定部203の動作の詳細について以下で説明する時間による推定帯域Bt、位置による推定帯域Bp及び受信レベルによる推定帯域Brという複数の推定帯域と無線通信路の可用帯域とを対応付ける学習モデル(以後、学習モデル(複数の推定帯域)43と表記する)である。
【0047】
学習部202は、推定帯域Bt、推定帯域Bp及び推定帯域Brを入力データとして用い、これらの推定帯域が推定される元になった測定時刻におけるスループットをラベルとして用いて、機械学習を行って、学習モデル(複数の推定帯域)43を学習させる。
【0048】
学習部202は、これらの事前学習を順次に行ってもよいし、並列に行ってもよい。
【0049】
なお、学習モデル(位置-帯域)41と学習モデル(受信レベル-帯域)42と学習モデル(複数の推定帯域)43とはそれぞれ、本開示に係る第1事前学習モデルと第2事前学習モデルと第3事前学習モデルとの例である。
【0050】
[リアルタイム学習フェーズ]
図5Aは、本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習の一例を示す図である。
図5Aに示すリアルタイム学習モデルは、時刻と無線通信路の可用帯域とを対応付ける学習モデル(以後、学習モデル(時刻-帯域)51と表記する)である。
【0051】
学習部202は、(例えば、直近の数分~数十分間の)時刻を入力データとして用い、その時刻での移動端末10のスループットをラベルとして用いて、機械学習を行って、学習モデル(時刻-帯域)51を学習させる。
【0052】
図5Bは、本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習の別の例を示す図である。
図5Bに示すリアルタイム学習モデルは、時刻と緯度とを対応付ける学習モデル(以後、学習モデル(時刻-緯度)52と表記する)である。
【0053】
学習部202は、(例えば、直近の数分~数十分間の)時刻を入力データとして用い、その時刻に移動端末10が位置していた緯度をラベルとして用いて、機械学習を行って、学習モデル(時刻-緯度)52を学習させる。
【0054】
図5Cは、本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習のさらに別の例を示す図である。
図5Cに示すリアルタイム学習モデルは、時刻と経度とを対応付ける学習モデル(以後、学習モデル(時刻-経度)53と表記する)である。
【0055】
学習部202は、(例えば、直近の数分~数十分間の)時刻を入力データとして用い、その時刻に移動端末10が位置していた経度をラベルとして用いて、機械学習を行って、学習モデル(時刻-経度)53を学習させる。
【0056】
図5Dは、本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習のさらに別の例を示す図である。
図5Dに示すリアルタイム学習モデルは、時刻と受信電力とを対応付ける学習モデル(以後、学習モデル(時刻-受信電力)54と表記する)である。
【0057】
学習部202は、(例えば、直近の数分~数十分間の)時刻を入力データとして用い、その時刻での移動端末10の受信電力をラベルとして用いて、機械学習を行って、学習モデル(時刻-受信電力)54を学習させる。
【0058】
図5Eは、本開示の実施の形態に係るリアルタイム学習フェーズで行うリアルタイム学習のさらに別の例を示す図である。
図5Eに示すリアルタイム学習モデルは、時刻と受信品質とを対応付ける学習モデル(以後、学習モデル(時刻-受信品質)55と表記する)である。
【0059】
学習部202は、(例えば、直近の数分~数十分間の)時刻を入力データとして用い、その時刻での移動端末10の受信品質をラベルとして用いて、機械学習を行って、学習モデル(時刻-受信品質)55を学習させる。
【0060】
学習部202は、これらのリアルタイム学習を順次に行ってもよいし、並列に行ってもよい。
【0061】
なお、学習モデル(時刻-緯度)52及び学習モデル(時刻-経度)53と学習モデル(時刻-受信電力)54及び学習モデル(時刻-受信品質)55と学習モデル(時刻-帯域)51とはそれぞれ、本開示に係る第1リアルタイム学習モデルと第2リアルタイム学習モデルと第3リアルタイム学習モデルとの例である。
【0062】
<帯域推定の詳細>
次に、
図6A~
図6Dを参照して、推定部203が行う帯域推定について説明する。
【0063】
図6Aは、本開示の実施の形態に係る推定フェーズで行う帯域推定の一例を示す図である。
図6Aに示す帯域推定では、推定部203は、時刻を学習モデル(時刻-帯域)51に入力し、学習モデル(時刻-帯域)51に、時刻による推定帯域Btを推定結果として出力させる。
【0064】
図6Bは、本開示の実施の形態に係る推定フェーズで行う帯域推定の別の例を示す図である。
図6Bに示す帯域推定は3段階を含む。
【0065】
第1段階において、推定部203は、時刻を学習モデル(時刻-緯度)52に入力し、学習モデル(時刻-緯度)52に、その時刻において移動端末10が位置する緯度を推定結果として出力させる。
【0066】
第2段階において、推定部203は、時刻を学習モデル(時刻-経度)53に入力し、学習モデル(時刻-経度)53に、その時刻において移動端末10が位置する経度を推定結果として出力させる。なお、第1段階及び第2段階が実行される順序は、逆であってもよいし、第1段階及び第2段階は、並列に実行されてもよい。
【0067】
最後に、第3段階において、推定部203は、第1段階及び第2段階においてそれぞれ出力された緯度及び経度を学習モデル(位置-帯域)41に入力し、学習モデル(位置-帯域)41に、移動端末10の緯度及び経度(位置)による推定帯域Bpを推定結果として出力させる。
【0068】
図6Cは、本開示の実施の形態に係る推定フェーズで行う帯域推定のさらに別の例を示す図である。
図6Cに示す帯域推定も3段階を含む。
【0069】
第1段階において、推定部203は、時刻を学習モデル(時刻-受信電力)54に入力し、学習モデル(時刻-受信電力)54に、その時刻において移動端末10が無線信号を受信する受信電力を推定結果として出力させる。
【0070】
第2段階において、推定部203は、時刻を学習モデル(時刻-受信品質)55に入力し、学習モデル(時刻-受信品質)55に、その時刻において移動端末10が無線信号を受信する受信品質を推定結果として出力させる。なお、第1段階及び第2段階が実行される順序は、逆であってもよいし、第1段階及び第2段階は、並列に実行されてもよい。
【0071】
最後に、第3段階において、推定部203は、第1段階及び第2段階においてそれぞれ出力された受信電力及び受信品質を学習モデル(受信レベル-帯域)42に入力し、学習モデル(受信レベル-帯域)42に、移動端末10の受信電力及び受信品質(受信レベル)による推定帯域Brを推定結果として出力させる。
【0072】
図6Dは、本開示の実施の形態に係る推定フェーズで行う帯域推定のさらに別の例を示す図である。
図6Dに示す帯域推定では、推定部203は、時間による推定帯域Bt、位置による推定帯域Bp及び受信レベルによる推定帯域Brを学習モデル(複数の推定帯域)43に入力し、学習モデル(複数の推定帯域)43に、時刻、位置及び受信レベルによる推定帯域Bを推定結果として出力させる。
【0073】
推定部203は、
図6A~
図6Cに示す帯域推定を順次に行ってもよいし、並列に行ってもよい。その後、推定部203は、
図6Dに示す帯域推定を行ってよい。
【0074】
なお、移動端末10の位置及び受信レベルは、本開示に係る、リアルタイム学習モデル(例えば、学習モデル(時刻-緯度)52、学習モデル(時刻-経度)53、学習モデル(時刻-受信電力)54、学習モデル(時刻-受信品質)55)により推定する(した)端末の無線通信に関するパラメータの例である。
【0075】
<データ測定及び測定データ送信の動作フロー>
次に、
図7を参照して、データ測定及び測定データ送信の動作フローについて説明する。
図7は、本開示の実施の形態に係るデータ測定及び測定データ送信動作の一例を示すフローチャートである。
【0076】
ステップS701において、移動端末10は、無線信号を受信したときの位置(緯度及び経度)、受信レベル(受信電力及び受信品質)及びスループットを測定し、測定した測定データを、測定した測定時刻に関連付けて記憶部103に記憶させる。
【0077】
ステップS702において、移動端末10は、測定して記憶させた測定データ及び測定時刻と移動端末10のIDとを帯域推定装置20に送信する。なお、ステップS702は、ステップS702の直後に実行されてもよいし、所定の周期で実行されてもよい。ステップS702が所定の周期で実行される場合、前の周期で移動端末10が送信した測定データよりも後に測定された測定データ等が、次の周期で帯域推定装置20にまとめて送信されてよい。
【0078】
ステップS703において、帯域推定装置20は、受信した測定データ等を記憶部204に記憶させる。
【0079】
<学習及び帯域推定の動作フロー>
次に、
図8を参照して、学習及び帯域推定の動作フローについて説明する。
図8は、本開示の実施の形態に係る学習及び帯域推定動作の一例を示すフローチャートである。
【0080】
ステップS801において、帯域推定装置20は、事前学習を行うタイミングかどうかを判定する。上述したように、例えば、帯域推定装置20は、1時間に1回、1日に1回等、ある程度長い周期で、事前学習を行ってよい。
【0081】
事前学習を行うタイミングである場合(ステップS801においてYES)、ステップS802(事前学習フェーズ)において、帯域推定装置20は、記憶部204に記憶された測定データ等を用いて事前学習モデルを作成(又は更新)し(学習させ)、事前学習モデルを記憶部204に記憶させる。学習させる事前学習モデルは、学習モデル(位置-帯域)41と、学習モデル(受信レベル-帯域)42と、学習モデル(複数の推定帯域)43と、を含んでよい。なお、学習モデル(複数の推定帯域)43の初回の学習は、学習モデル(位置-帯域)41及び学習モデル(受信レベル-帯域)42の初回の学習のタイミングから遅れる。一方、事前学習を行うタイミングでない場合(ステップS801においてNO)、処理はステップS803へ進む。
【0082】
ステップS803において、帯域推定装置20は、帯域推定を行うかどうかを決定する。例えば、帯域推定は、周期的に行われることもあるし、帯域推定装置20の他のプロセス又は帯域推定装置20とは異なる装置からの帯域推定の要求に応じて行われることもある。
【0083】
帯域推定を行う場合(ステップS803においてYES)、ステップS804(リアルタイム学習フェーズ)において、帯域推定装置20は、リアルタイム学習モデルを作成(又は更新)し(学習させ)、リアルタイム学習モデルを記憶部204に記憶させる。学習させるリアルタイム学習モデルは、学習モデル(時刻-帯域)51と、学習モデル(時刻-緯度)52と、学習モデル(時刻-経度)53と、学習モデル(時刻-受信電力)54と、学習モデル(時刻-受信品質)55と、を含んでよい。一方、帯域推定を行わない場合(ステップS803においてNO)、処理は終了する。
【0084】
ステップS804の後、ステップS805(推定フェーズ)において、帯域推定装置20は、記憶部204に記憶された学習モデルを読み込み、学習モデルを用いて、
図6A~
図6Dを参照して説明したように帯域推定を行って、推定結果を記憶部204に記憶させる。なお、学習モデル(複数の推定帯域)43を用いた初回の推定は、学習モデル(位置-帯域)41及び学習モデル(受信レベル-帯域)42を用いた初回の推定のタイミングから遅れる。そして、ステップS805の後、処理は終了する。
【0085】
なお、
図8の処理は、所定の期間で(例えば、映像配信が行われる場合には映像の配信時間の間等)、繰り返し(例えば、0.5秒おきに、1秒おきに等)実行される。
【0086】
なお、例えば、以後、他のプロセス(例えば、可用帯域に合わせて映像データを圧縮するプロセス)又は他の装置において、推定帯域Btと推定帯域Bpと推定帯域Brと推定帯域Bとのうちの少なくとも1つが用いられてよい。これらのうちの複数の推定帯域が用いられる場合、例えば、複数の推定帯域を平均又は加重平均した結果が、他のプロセスの入力として用いられてもよい。
【0087】
なお、上記では位置と電波品質との関係を学習し、帯域を予測する例を説明したが、位置情報に加えて時刻(日時及び曜日を含む)情報と電波品質との関係を学習してもよい。例えば、オフィス街のランチタイムに人が多くレストラン街に集まり、電波の使用帯域が増加する傾向を学習し、帯域の推定に活用することが考えられる。週末と平日との違いや、朝、昼、夜等の時間帯によって、その時刻に合わせた帯域推定が可能となる。
【0088】
さらに、イベント等の開催日等の情報をあわせて帯域推定を行ってもよい。例えば、野球、サッカー、テニス、コンサート、野外フェスタ等の人が集まる場所、時刻、日時の情報を用い、さらに人が集まる規模(人数等)を参考にして過去の同程度のイベントでの電波品質の情報を、ビッグデータとして収集し、学習することで、近い(又は数日若しくは数週間先の)未来の電波品質を事前に学習データとして作成しておき、本開示の帯域推定に利用することができる。
【0089】
さらに、交通量の多い大きな道路においては交通量によって車両の影等になることで電波品質が変化することが考えられる。例えば、トラック等の大型の車両による遮蔽によって受信電波の強度が弱まる場合がある。このような場合、道路沿いに設置された監視カメラ等の情報と連携し、道路上の車両の混雑度と電波品質との関係を事前に学習し、帯域推定に利用してもよい。あるいは、VICS(登録商標;道路交通情報通信システム)等の渋滞情報と位置情報とを関連付けるように電波品質を事前に学習し、帯域推定に利用することも可能である。
【0090】
さらに、交通量と電波品質との関係では、各月の5日、10日等の5、10のつく日に混雑する場合がある。また、道路によっては深夜の時間帯に交通量が増加する場合や、トラック等、電波の遮蔽の原因となる大型の車両が増加する場合がある。このような場合にも、時刻情報、位置情報、道路状態等の情報を関連付けるように電波品質を事前に学習し、帯域推定に利用することが可能である。
【0091】
さらに、電波品質には携帯端末を持っている人による遮蔽が影響する場合がある。基地局と携帯端末との間に人が入るかどうかによって電波品質が変わる場合がある。このような場合にも、携帯端末に搭載されている加速度センサによって進行方向を取得することにより、進行方向の情報をリアルタイム学習フェーズでの学習に用いるデータに加え、帯域推定を行うことができる。また、携帯端末に方位センサ(東、北、西、南等を検知するセンサ)を搭載している場合には、携帯端末を基地局の方向に向けているかどうかの方位情報をリアルタイム学習フェーズでの学習に用いるデータに加えることで、電波品質の予測、つまり帯域推定を行うことができる。基地局の方向については地図情報等の情報と連携し、事前学習フェーズであらかじめ蓄積する等してもよい。
【0092】
さらに、学習モデルに入力するデータとして、NWDAF(Network Data Analytics Function)から得られるアウトプットを用いてもよい。NWDAFは、5Gの国際標準である3GPP TS 23.501 Release 16で規定されたアーキテクチャに含まれる機能の1つである。NWDAFは、5Gコアネットワーク内の各NF(Network Function)、AF(Application Function)、OAM(Operation, Administration and Management)等から情報を収集し、それらの情報から過去の統計を取り、将来のネットワーク状態を予測する機能を有する。NWDAFのアウトプットとしては、例えば、データ通信量の推定値、視聴覚ストリーミングの推定サービス品質等がある。
【0093】
上述した実施の形態において、学習に用いるデータ(スループット、位置及び受信レベル)は、移動端末10によって測定される例を説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、学習に用いるデータは、移動端末10と通信する基地局によって測定されてもよいし、移動端末10及び基地局の両方によって測定されてもよい。この場合も、上記と同様に、基地局、又は、移動端末10及び基地局の両方によって測定されたデータは、帯域推定装置20に集約される。
【0094】
また、上述した実施の形態において、帯域推定装置20は、基地局側に備えられる装置である例を説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、帯域推定装置20は、移動端末10等の移動端末であってもよいし、基地局側に備えられる装置及び移動端末とは別個のコンピュータ等の情報処理装置(例えばサーバ装置)であってもよい。なお、学習に用いるデータを測定する装置と帯域推定を行う装置とが異なる場合には、上記と同様に、測定データが、これらの装置の間で通信により共有される。このように、学習に用いるデータを測定する装置と帯域推定を行う装置とを分けることにより、負荷が大きい処理(帯域推定)を固定の高性能装置(例えばサーバ装置)に割り振ることができる。
【0095】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0096】
以上、本開示に係る実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した帯域推定装置20の機能は、コンピュータプログラムにより実現されてもよい。
【0097】
図9は、帯域推定装置20の機能をプログラムにより実現するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。このコンピュータ1000は、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置1001と、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置1002と、CPU(Central Processing Unit)1003と、GPU(Graphics Processing Unit)1004と、ROM(Read Only Memory)1005と、RAM(Random Access Memory)1006と、ハードディスク装置、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置1007と、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体から情報を読み取る読取装置1008と、ネットワークを介して通信を行う送受信装置1009と、を備え、これらの装置1001~1009は、バス1010により接続される。
【0098】
そして、読取装置1008は、帯域推定装置20の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1007に記憶させる。あるいは、送受信装置1009が、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした帯域推定装置20の機能を実現するためのプログラムを記憶装置1007に記憶させる。
【0099】
そして、CPU1003が、記憶装置1007に記憶されたプログラムをRAM1006にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1006から順次読み出して実行することにより、帯域推定装置20の機能が実現される。
【0100】
(実施の形態における効果)
本開示の実施の形態に係る帯域推定装置20は、リアルタイム学習によって、端末10が無線通信を行う無線通信路の可用帯域を推定するためのリアルタイム学習モデル51~55を学習させ、事前学習によって、リアルタイム学習モデル52~55により推定した端末10の無線通信に関するパラメータ(位置、受信レベル)を用いて、無線通信路の可用帯域を推定するための事前学習モデル41~43を学習させる学習部202と、事前学習モデル41~42を用いて無線通信路の可用帯域を推定する推定部203と、を備える。この構成により、学習部202は、サンプル数が多いあらゆる地点の過去のデータを用いて、1時間に1回、1日に1回等、ある程度長い周期で、事前学習モデル41~42を学習させることができ、帯域推定の精度を向上させることができる。また、リアルタイム学習モデル52~55を用いることで、リアルタイムで帯域推定を行うことが可能である。
【0101】
帯域推定装置20において、学習部202は、事前学習によって、端末10の位置(緯度及び経度)と無線通信路の可用帯域とを対応付ける、事前学習モデル41~43に含まれる第1事前学習モデル41を学習させ、推定部203は、第1事前学習モデル41を用いて無線通信路の可用帯域を推定する。この構成により、急変要因に関係する端末10の位置と可用帯域とを対応付ける事前学習モデル41を学習させることで、可用帯域の急激な変動に対応することが可能である。
【0102】
帯域推定装置20において、学習部202は、事前学習によって、端末10の受信レベル(受信電力及び受信品質)と無線通信路の可用帯域とを対応付ける、事前学習モデル41~43に含まれる第2事前学習モデル42を学習させ、推定部203は、第2事前学習モデル42を用いて無線通信路の可用帯域を推定する。この構成により、急変要因に関係する端末10の受信レベルと可用帯域とを対応付ける事前学習モデル42を学習させることで、可用帯域の急激な変動に対応することが可能である。
【0103】
帯域推定装置20において、学習部202は、リアルタイム学習によって、時刻と端末10の位置とを対応付ける、リアルタイム学習モデル51~55に含まれる第1リアルタイム学習モデル52~53を学習させ、推定部203は、第1リアルタイム学習モデル52~53を用いて端末10の位置を推定し、推定した位置及び第1事前学習モデル41を用いて無線通信路の可用帯域を推定する。この構成により、急変要因に関係する端末10の位置と可用帯域とを対応付ける事前学習モデル41を学習させることで、可用帯域の急激な変動に対応することが可能である。
【0104】
帯域推定装置20において、学習部202は、リアルタイム学習によって、時刻と端末10の受信レベルとを対応付ける、リアルタイム学習モデル51~55に含まれる第2リアルタイム学習モデル54~55を学習させ、推定部203は、第2リアルタイム学習モデル54~55を用いて端末10の受信レベルを推定し、推定した受信レベル及び第2事前学習モデル42を用いて無線通信路の可用帯域を推定する。この構成により、急変要因に関係する端末10の受信レベルと可用帯域とを対応付ける事前学習モデル42を学習させることで、可用帯域の急激な変動に対応することが可能である。
【0105】
帯域推定装置20において、学習部202は、事前学習によって、端末10の位置と無線通信路の可用帯域とを対応付ける、事前学習モデル41~43に含まれる第1事前学習モデル41と、端末10の受信レベルと無線通信路の可用帯域とを対応付ける、事前学習モデル41~43に含まれる第2事前学習モデル42と、を学習させ、リアルタイム学習によって、時刻と無線通信路の可用帯域とを対応付ける、リアルタイム学習モデル51~55に含まれる第3リアルタイム学習モデル51を学習させ、推定部203は、第1事前学習モデル41を用いて無線通信路の可用帯域を推定し、第2事前学習モデル42を用いて無線通信路の可用帯域を推定し、第3リアルタイム学習モデル51を用いて無線通信路の可用帯域を推定し、学習部202は、事前学習によって、第3リアルタイム学習モデル51を用いて推定された可用帯域Bt、第1事前学習モデル41を用いて推定された可用帯域Bp及び第2事前学習モデル42を用いて推定された可用帯域Brと無線通信路の可用帯域とを対応付ける、事前学習モデル41~43に含まれる第3事前学習モデル43を学習させ、推定部203は、第3事前学習モデル43を用いて無線通信路の可用帯域を推定する。この構成により、学習部202は、サンプル数が多いあらゆる地点の過去の端末10の推定帯域Bt、推定帯域Bp及び推定帯域Brを用いて、1時間に1回、1日に1回等、ある程度長い周期で、事前学習モデル43を学習させることができ、帯域推定の精度をさらに向上させることができる。さらに、急変要因に関係する端末10の位置と可用帯域とを対応付ける事前学習モデル41を学習させ、急変要因に関係する端末10の受信レベルと可用帯域とを対応付ける事前学習モデル42を学習させることで、可用帯域の急激な変動に対応することが可能である。
【0106】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0107】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0108】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0109】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0110】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0111】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0112】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0113】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0114】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0115】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0116】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本開示の一実施例は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0118】
1 通信システム
10 移動端末
101 制御部
102 測定部
103 記憶部
104 通信部
20 帯域推定装置
201 制御部
202 学習部
203 推定部
204 記憶部
205 通信部
41 学習モデル(位置-帯域)
42 学習モデル(受信レベル-帯域)
43 学習モデル(複数の推定帯域)
51 学習モデル(時刻-帯域)
52 学習モデル(時刻-緯度)
53 学習モデル(時刻-経度)
54 学習モデル(時刻-受信電力)
55 学習モデル(時刻-受信品質)