(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056854
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】制御装置、表示装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20230413BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20230413BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20230413BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20230413BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20230413BHJP
【FI】
G09G3/20 612U
G09G3/36
G09G3/20 611E
G09G3/20 622D
G09G3/20 622R
G09G3/34 J
G02F1/133 535
G09G3/3233
G09G3/20 621F
G09G3/20 650H
G09G3/20 621K
G09G3/20 612T
G09G3/20 611A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166313
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 敏行
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
2H193ZG02
2H193ZG41
2H193ZG43
2H193ZG51
2H193ZG60
5C006AA14
5C006AA22
5C006AC22
5C006AC23
5C006AF01
5C006AF44
5C006AF73
5C006BB15
5C006BC03
5C006BC05
5C006BC11
5C006BC16
5C006BF03
5C006BF08
5C006BF15
5C006BF26
5C006EA01
5C006FA11
5C006FA23
5C006FA47
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD06
5C080DD08
5C080DD26
5C080FF11
5C080GG12
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ07
5C080KK02
5C080KK07
5C380AA01
5C380AA02
5C380AA03
5C380AB06
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5C380AB34
5C380AC08
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5C380BA01
5C380BA38
5C380BB09
5C380BC20
5C380CB01
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5C380CC27
5C380CC33
5C380CC39
5C380CC64
5C380CD015
5C380CF02
5C380CF07
5C380CF32
5C380CF33
5C380CF62
5C380DA09
5C380DA19
5C380DA49
(57)【要約】
【課題】フリッカ現象を抑制しつつ、かつ、画像が切り替わるときの遅延を抑制することができる制御装置等を提供する。
【解決手段】制御装置20は、同一の画像が表示され続ける期間であるフレーム期間が、フレームごとに一定の範囲で変動又は一時的に安定するが、正確なフレーム期間が予めわからない場合の表示パネル10の制御装置である。制御装置20は、予め定められたライン数を超える長さのフレームが入力された場合、予め定められたライン数に対応するフレーム期間と、フレーム期間の後に追加される追加期間とにより画像を表示させるように表示パネル10を制御する。追加期間は、それぞれが発光期間及び消光期間を含む1以上の個別追加期間を含み、1以上の個別追加期間のそれぞれは、所定のライン数に対応する期間である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の画像が表示され続ける期間であるフレーム期間が、フレームごとに一定の範囲で変動又は一時的に安定するが、正確なフレーム期間が予めわからない場合の表示パネルの制御装置であって、
前記制御装置は、予め定められたライン数を超える長さのフレームが入力された場合、前記予め定められたライン数に対応するフレーム期間と、前記フレーム期間の後に追加される追加期間とにより画像を表示させるように前記表示パネルを制御し、
前記追加期間は、それぞれが発光期間及び消光期間を含む1以上の個別追加期間を含み、
前記1以上の個別追加期間のそれぞれは、所定のライン数に対応する期間である
制御装置。
【請求項2】
前記所定のライン数は、1ラインであり、
前記所定のライン数に対応する期間は、前記1ラインに対応する期間である
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記所定のライン数に対応する期間は、2以上のラインに対応する期間である
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記2以上のラインに同時に信号電圧を書き込むための制御信号を前記表示パネルに出力する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記1以上の個別追加期間のそれぞれにおける発光期間及び非発光期間の切り替えを、前記表示パネルの表示画面全体で同時に制御する
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、現フレームの前記1以上の個別追加期間のそれぞれにおける発光期間の長さ、及び、消光期間の長さの比が、当該現フレームの前記フレーム期間における発光期間の長さ、及び、消光期間の長さの比と一致するように、前記1以上の個別追加期間のそれぞれの消光期間の長さを制御する
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、次のフレームが入力されるまで前記追加期間を継続する
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記追加期間における現個別追加期間において前記次のフレームが入力されると、前記現個別追加期間の終了後に前記次のフレームに対応する前記フレーム期間を開始するように前記表示パネルを制御する
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記表示パネルは、LCD(Liquid Crystal Display)である
請求項5に記載の制御装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、LCDであり、
前記発光期間は、バックライトスキャンにおけるバックライトが点灯される期間であり、
前記消光期間は、前記バックライトが消灯される期間である
請求項1~8のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記表示パネルを構成する画素は、有機EL素子を含む電流駆動で発光する発光素子からなる
請求項1~8のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の制御装置と、
前記制御装置からの制御信号が入力されるゲート駆動回路、及び、前記制御装置からの映像信号が入力されるソース駆動回路を有する前記表示パネルとを備える
表示装置。
【請求項13】
同一の画像が表示され続ける期間であるフレーム期間が、フレームごとに一定の範囲で変動又は一時的に安定するが、正確なフレーム期間が予めわからない場合の表示パネルの制御方法であって、
予め定められたライン数を超える長さのフレームが入力された場合、前記予め定められたライン数に対応するフレーム期間と、前記フレーム期間の後に追加される追加期間とにより画像を表示させるように前記表示パネルを制御し、
前記追加期間は、それぞれが発光期間及び消光期間を含む1以上の個別追加期間を含み、
前記1以上の個別追加期間のそれぞれは、所定のライン数に対応する期間である
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、表示装置及び制御方法に関し、特にディスプレイの表示輝度を制御する制御装置、表示装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置において、フリッカ(ちらつき)が視認されることを抑制する技術が検討されている。例えば、輝度情報に対応して設定されるデューティ比に応じて1フレーム期間を構成するサブフレーム数を変化させ、サブフレーム内のデューティ比を1フレーム期間のデューティ比と同じにする技術が検討されている。これにより、輝度調整等により発光期間を変化させた場合においても、表示画面に発生するフリッカを抑制することができる。
【0003】
また、近年、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス等のディスプレイにおける映像描画は、GPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれる映像処理装置によって行われつつある。そして、ディスプレイの表示速度は、GPUの性能により決定されるようになりつつある。換言すると、近年では、GPUが処理する内容次第でフレーム期間(フレームレート)が変動するようになっている。
【0004】
そこで、特許文献1及び2には、フレーム期間が変動してもフリッカの発生を抑制することができる制御装置等が開示されている。例えば、特許文献1には、現フレームのフレーム期間を示す垂直ライン数とあらかじめ定められた最低垂直ライン数との比に基づいて、現フレームの垂直ライン数の映像の表示を行うときのフレーム期間における発光期間の長さと消光期間の長さとの比が一定となるように、延長期間が設けられた場合の消光期間の長さを制御する技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、フレーム期間が映像期間と延長期間とからなり、映像期間中に表示パネルを発光させ、延長期間中に所定のデューティで表示パネルの発光および消光を行うように表示パネルを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-015794号公報
【特許文献2】特開2018-205457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2の技術では、サブフレーム単位(ライン数単位)で画像を切り替えるので、映像信号の取得タイミングによっては、当該映像信号に対応する画像を表示するまでに遅延が発生することがある。
【0007】
そこで、本開示は、フリッカ現象を抑制しつつ、かつ、画像が切り替わるときの遅延を抑制することができる制御装置、表示装置及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る制御装置は、同一の画像が表示され続ける期間であるフレーム期間が、フレームごとに一定の範囲で変動又は一時的に安定するが、正確なフレーム期間が予めわからない場合の表示パネルの制御装置であって、前記制御装置は、予め定められたライン数を超える長さのフレームが入力された場合、前記予め定められたライン数に対応するフレーム期間と、前記フレーム期間の後に追加される追加期間とにより画像を表示させるように前記表示パネルを制御し、前記追加期間は、それぞれが発光期間及び消光期間を含む1以上の個別追加期間を含み、前記1以上の個別追加期間のそれぞれは、所定のライン数に対応する期間である。
【0009】
本開示の一態様に係る表示装置は、上記の制御装置と、前記制御装置からの制御信号が入力されるゲート駆動回路、及び、前記制御装置からの映像信号が入力されるソース駆動回路を有する前記表示パネルとを備える。
【0010】
本開示の一態様に係る制御方法は、同一の画像が表示され続ける期間であるフレーム期間が、フレームごとに一定の範囲で変動又は一時的に安定するが、正確なフレーム期間が予めわからない場合の表示パネルの制御方法であって、予め定められたライン数を超える長さのフレームが入力された場合、前記予め定められたライン数に対応するフレーム期間と、前記フレーム期間の後に追加される追加期間とにより画像を表示させるように前記表示パネルを制御し、前記追加期間は、それぞれが発光期間及び消光期間を含む1以上の個別追加期間を含み、前記1以上の個別追加期間のそれぞれは、所定のライン数に対応する期間である。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、フリッカ現象を抑制しつつ、かつ、画像が切り替わるときの遅延を抑制することができる制御装置等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る表示装置の構成例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る画素回路の構成を模式的に示す回路図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るゲート駆動回路の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る制御装置の制御によりゲート駆動回路から出力されるゲート制御信号の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る制御装置の制御によりゲート駆動回路から出力されるゲート制御信号の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係るゲート駆動回路に入力される制御信号の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係るゲート駆動回路の第1ラインに対応するAND回路に入力される制御信号と、当該制御信号に基づいて、第1ラインに対応するAND回路から出力される追加期間における第1ラインのゲート制御信号とを示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る各ラインのゲート制御信号を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例1に係る制御装置の制御によりゲート駆動回路から出力されるゲート制御信号の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例1に係る制御装置の制御によりゲート駆動回路から出力されるゲート制御信号と、表示パネルの動作とを示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の変形例1に係る制御装置が行う書き込み動作を説明するための図である。
【
図13】
図13は、実施の形態の変形例2に係るゲート駆動回路の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態の変形例2に係る各ラインのゲート制御信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。例えば、一致、同じなどの要素間の関係性を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(例えば、5%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0015】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0016】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る制御装置等について、
図1~
図9を参照しながら説明する。本実施の形態では、表示装置に有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子を用いた場合を例に挙げて説明する。
【0017】
[1.表示装置の構成]
まず、本開示の一態様に係る制御装置を備える表示装置の構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る表示装置1の構成例を示す概略図である。
【0018】
図1に示すように、表示装置1は、表示パネル10と、制御装置20とで構成されている。表示装置1は、例えば有機EL発光パネルのプログレッシブ駆動方式により駆動される。
【0019】
[1-1.表示パネルの構成]
表示パネル10は、複数の画素回路30を有する表示部12を備え、また、表示部12の周辺回路として、ゲート駆動回路14と、ソース駆動回路16とを備える。なお、表示部12と、ゲート駆動回路14と、ソース駆動回路16と、走査線40と、信号線42とは、例えば、ガラス又はアクリル等の樹脂により形成されているパネル基板(不図示)に実装されている。
【0020】
表示部12は、外部から表示装置1に入力された映像信号(映像信号R、G、B)に基づいて映像を表示する。表示部12は、
図1に示すように、行列状に配置された複数の画素回路30を備え、行状の走査線40と、列状の信号線42とが配線されている。表示部12では、初期化動作、書き込み動作、及び、発光動作を複数の画素回路30の行順次に実行される。
【0021】
複数の画素回路30は、表示パネル10に有され、行列状に配置される。より具体的には、複数の画素回路30のそれぞれは、走査線40と信号線42とが交差する位置に配置される。詳細は後述する。
【0022】
走査線40は、複数の画素回路30の行ごとに配されている。走査線40の一端は、画素回路30に接続され、走査線40の他端は、ゲート駆動回路14に接続されている。
【0023】
信号線42は、複数の画素回路30の列ごとに配されている。信号線42の一端は、画素回路30に接続され、信号線42の他端は、ソース駆動回路16に接続されている。
【0024】
ゲート駆動回路14は、走査線駆動回路とも呼ばれ、例えばシフトレジスタ(後述する
図3参照)等によって構成される。ゲート駆動回路14は、走査線40に接続されており、走査線40にゲート制御信号を出力することで、画素回路30が有する各トランジスタのオン及びオフを制御する。本実施の形態では、ゲート駆動回路14は、画素回路30が有する各トランジスタのオン及びオフを制御するゲート制御信号として、例えば制御信号WS、制御信号REF、制御信号INI及び消光信号ENを、画素回路30が有する各トランジスタのゲート(ゲート電極)に出力する。制御信号WS、制御信号REF、制御信号INI及び消光信号ENは、制御信号の一例である。
【0025】
ソース駆動回路16は、信号線駆動回路とも呼ばれる。ソース駆動回路16は、信号線42に接続されており、制御装置20からフレーム単位で供給される映像信号を、信号線42に出力することで、当該映像信号を各画素回路30に供給する。ソース駆動回路16は、信号線42を通して、画素回路30の各々に対して映像信号に基づく輝度情報を電流値又は電圧値の形で書き込む。なお、ソース駆動回路16に入力される映像信号は、例えば、RGB三原色の色毎のデジタルシリアルデータ(映像信号R、G、B)である。ソース駆動回路16に入力された映像信号R、G、Bは、ソース駆動回路16の内部で行単位のパラレルデータ(出力映像信号の一例)に変換される。さらに、行単位のパラレルデータは、ソース駆動回路16の内部で行単位のアナログデータに変換され、映像信号として信号線42に出力される。
【0026】
[1-2.画素回路の構成]
複数の画素回路30は、例えばN行M列に配置されている。N、Mは、表示画面のサイズ及び解像度により異なる。例えば、HD(High Definition)と呼ばれる解像度で、行内にRGB3原色に対応する画素回路30が隣接する場合、Nは少なくとも1080行であり、Mは少なくとも1920×3列である。本実施の形態では、各画素回路30は、有機EL素子を発光素子として有する。
【0027】
画素回路30の構成について、さらに
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係る画素回路30の構成を模式的に示す回路図である。
【0028】
図2に示すように、画素回路30は、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、スイッチトランジスタ34、36及び37と、選択トランジスタ35と、画素容量38とを備える。なお、
図2において、画素容量38はCsとも表記されている。
【0029】
発光素子32は、カソードが電源Vcath(負電源線)に接続されており、アノードが駆動トランジスタ33のソースに接続されている。発光素子32は、駆動トランジスタ33から供給される、映像信号の信号電圧に対応した電流が流れることにより、当該信号電圧に応じた輝度で発光する。発光素子32は、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)などの有機EL素子である。例えば、画像を表示する表示パネル10を構成する画素回路30(画素)は、有機EL素子を含む電流駆動で発光する発光素子32から構成される。なお、発光素子32は、有機EL素子に限らず、無機EL素子又はQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などの自発光素子でもよいし、電流駆動で制御する素子であれば自発光素子でなくてもよい。
【0030】
駆動トランジスタ33は、ゲートが画素容量38の一方の電極等に接続され、ドレインがスイッチトランジスタ34のソースに接続され、ソースが発光素子32のアノードに接続されている。
図2では、さらにソースが画素容量38の他方の電極等に接続されている。駆動トランジスタ33は、ゲート-ソース間に印加された信号電圧から、当該信号電圧に対応した電流(ドレイン-ソース間の電流とも記載する)に変換する。そして、駆動トランジスタ33は、オン状態となることで、ドレイン-ソース間の電流を発光素子32に供給することで発光素子32を発光させる。駆動トランジスタ33は、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0031】
スイッチトランジスタ34は、ゲートが走査線40に接続され、ソース及びドレインの一方が電源Vccに接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ33のドレインに接続されている。スイッチトランジスタ34は、走査線40から供給される消光信号ENに応じてオン状態又はオフ状態となる。スイッチトランジスタ34は、オン状態となることで駆動トランジスタ33を電源Vccに接続し、駆動トランジスタ33のドレイン-ソース間の電流を発光素子32に供給させる。スイッチトランジスタ34は、例えば、p型の薄膜トランジスタ(p型TFT)で構成される。
【0032】
選択トランジスタ35は、ゲートが走査線40に接続され、ソース及びドレインの一方が信号線42に接続され、ソース及びドレインの他方が画素容量38の一方の電極に接続されている。選択トランジスタ35は、走査線40から供給される制御信号WSに応じてオン状態又はオフ状態となる。選択トランジスタ35は、オン状態となることで、信号線42から供給される映像信号の信号電圧を画素容量38の電極に印加し、当該信号電圧に応じた電荷を画素容量38に蓄積させる。選択トランジスタ35は、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0033】
スイッチトランジスタ36は、ゲートが走査線40に接続され、ソース及びドレインの一方が電源Vrefに接続され、ソース及びドレインの他方が画素容量38の一方の電極等に接続されている。スイッチトランジスタ36は、走査線40から供給される制御信号REFに応じてオン状態又はオフ状態となる。スイッチトランジスタ36は、オン状態となることで、画素容量38の電極を電源Vrefの電圧(基準電圧)に設定する。スイッチトランジスタ36は、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0034】
スイッチトランジスタ37は、ゲートが走査線40に接続され、ソース及びドレインの一方がスイッチトランジスタ34のソース及び駆動トランジスタ33のドレインに接続され、ソース及びドレインの他方が電源Viniに接続されている。スイッチトランジスタ37は、走査線40から供給される制御信号INIに応じてオン状態又はオフ状態となる。スイッチトランジスタ37は、駆動トランジスタ33がオン状態であり、スイッチトランジスタ34がオン状態にあって電源Vccとの接続が遮断されている中で、オン状態となることで、発光素子32のアノードを電源Viniの電圧(基準電圧)に設定する。スイッチトランジスタ37は、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0035】
画素容量38は、一方の電極が、駆動トランジスタ33のゲート及び選択トランジスタ35のソース及びスイッチトランジスタ36のソースに接続され、他方の電極が駆動トランジスタ33のソースに接続されたコンデンサである。画素容量38は、信号線42から供給された信号電圧に対応した電荷を蓄積する。画素容量38は、例えば、選択トランジスタ35及びスイッチトランジスタ36がオフ状態となった後に、駆動トランジスタ33のゲート-ソース電極間の電圧を安定的に保持する。このように、画素容量38は、選択トランジスタ35及びスイッチトランジスタ36がオフ状態のときに、蓄積された電荷による信号電位に応じて、駆動トランジスタ33のゲート・ソース間に電圧を印加する。
【0036】
EL容量39は、EL素子に内在する寄生容量であり、この容量がチャージされて電極間の電圧が上昇した後に、EL素子側に電流が流れだし、EL素子が発光を開始する。
【0037】
なお、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36及びスイッチトランジスタ37の各トランジスタの導電型は、上述したものに限られず、n型とp型のTFTを適宜混在させてもよい。また、スイッチトランジスタ34の導電型は、上述したものに限られず、n型のTFTであってもよい。また、各トランジスタは、ポリシリコンTFTに限らず、アモルファスシリコンTFT等で構成されていてもよい。
【0038】
[1-3.制御装置の構成]
制御装置20は、表示パネル10の外部に配置される、例えば外部システム回路基板(不図示)上に形成される。制御装置20は、例えばTCON(Timing Controller)としての機能を有し、表示装置1の全体の動作を制御する。具体的には、制御装置20は、外部から供給される垂直同期信号VS、水平同期信号HS、映像期間信号DEに基づいて生成したゲート制御信号を、ゲート駆動回路14に対して出力する。また、制御装置20は、ソース駆動回路16に対して、映像信号R、G、Bのデジタルシリアルデータを供給する。
【0039】
本実施の形態に係る制御装置20は、同一の画像が表示され続ける期間であるフレーム期間が、フレームごとに一定の範囲で変動又は一時的に安定するものの、正確なフレーム期間が予めわからない場合の表示パネル10の制御装置である。また、制御装置20は、予め定められたライン数(例えば、最小ライン数)を超える長さのフレームが入力された場合、最小ライン数に対応する最小フレーム期間と、最小フレーム期間の後に追加される追加期間とにより画像を表示させるように表示パネル10を制御する。そして、追加期間は、それぞれが発光期間及び消光期間を含む1以上の個別追加期間を含み、1以上の個別追加期間のそれぞれは、所定のライン数に対応する期間である。当該期間は、例えば、所定のライン数それぞれの1水平期間に対応する期間である。本実施の形態では、所定のライン数は、1ラインである。言い換えると、所定のライン数に対応する期間は、1ラインに対応する期間(1ライン期間)である。1ライン期間は、例えば、1水平期間に対応する期間である。なお、最小ライン数は、最小フレーム期間を示す垂直ライン数である。
【0040】
このように、本実施の形態に係る制御装置20は、入力されるフレームのライン数が最小ライン数を超える場合、当該最小ライン数を超える長さのフレームに対しては、1ライン期間ごとに発光期間と非発光期間とを含む追加期間を設けるように表示パネル10を制御する。制御装置20は、入力されるフレームのライン数が最小ライン数を超える場合、1ライン単位でフレーム長を延長するための制御を行うとも言える。
【0041】
なお、正確なフレーム期間が予めわからないとは、例えば、入力映像信号に応じてフレーム期間が変更されることを意味する。また、1ライン期間は、同一の信号電圧を書き込む1ライン(所定のライン数の一例)に対応するライン期間の一例である。
【0042】
なお、最小ライン数は、各フレームに共通の値であり、例えば、映像信号のフレームレートに基づくライン数である。最小ライン数は、例えば、外部から供給される、1フレームの描画に要するライン数である。最小ライン数は、例えば、表示部12の表示ライン数と、ブランキング期間とに基づくライン数である。
【0043】
図示しないが、制御装置20は、外部から垂直同期信号VS、水平同期信号HS及び映像期間信号DEを受信し、映像信号R、G、Bが表示部12に表示されるタイミングを制御する同期制御部、及び、映像信号R、G、Bが所望のタイミングで表示部12に表示されるように、ゲート駆動回路14を制御するためのゲート制御信号を生成するデューティ制御部を含んで構成される。また、制御装置20は、さらに、表示パネル10の外部の信号源から入力される映像信号R、G、Bを一時的に保持するバッファであるフレームメモリを備えてもよい。
【0044】
デューティ制御部は、垂直同期信号VS又は映像期間信号DEの受信を検出する。また、デューティ制御部は、最小フレーム期間及び追加期間を実行させる制御信号を生成する。
【0045】
デューティ制御部は、当該現フレームの最小フレーム期間において予め定められた現フレームでの最小フレーム期間における発光期間の長さと消光期間の長さとで発光及び消光が行われるように、制御信号を生成し出力する。
【0046】
また、デューティ制御部は、例えば、現フレームの1以上の個別追加期間のそれぞれにおけるオンデューティが、当該現フレームの最小フレーム期間のオンデューティと一致するように、ゲート駆動回路14へ出力する制御信号を生成し出力する。
【0047】
本実施の形態に係るゲート駆動回路14の構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係るゲート駆動回路14の構成を示す図である。なお、
図3では、スイッチトランジスタ34に入力されるゲート制御信号(
図2に示す消光信号EN)を生成するための構成を図示している。また、
図3では、複数ラインのうち、第1ライン~第3ラインまでの構成を示している。
【0048】
図3に示すように、ゲート駆動回路14は、第1レジスタ部100と、第2レジスタ部200と、出力部300とを有する。第1レジスタ部100と、第2レジスタ部200とは、スイッチトランジスタ34に接続される走査線40にゲート制御信号を出力するために設けられる。第1レジスタ部100と、第2レジスタ部200とは、例えば、互いに異なるタイミングで出力部300に信号を出力する。
【0049】
第1レジスタ部100は、最小フレーム期間及び追加期間のうち最小フレーム期間におけるスイッチトランジスタ34のオン及びオフを制御するためのゲート制御信号を生成するための信号を出力する。第1レジスタ部100は、複数のシフトレジスタ(シフトレジスタ回路)が直列接続されて構成され、それぞれがスイッチトランジスタ34に接続される走査線40と出力部300を介して接続される。複数のシフトレジスタは、シフトレジスタ110、120及び130を含む。以降において、第1レジスタ部100が有する複数のシフトレジスタを複数のシフトレジスタ110等とも記載する。複数のシフトレジスタ110等の回路構成は、例えば、同じである。
【0050】
シフトレジスタ110は、第1ラインの入力信号が入力されると、当該第1ラインの入力信号をクロック信号に応じて出力部300のOR回路310、及び、シフトレジスタ120に出力する。シフトレジスタ110から出力部300のOR回路310へ出力される出力信号は、最小フレーム期間における第1ラインのゲート制御信号の生成のために用いられる。また、シフトレジスタ120に出力される出力信号は、シフトレジスタ120における入力信号として用いられる。なお、第1ラインの入力信号は、例えば、第1ラインの初期化書き込み用の信号である。
【0051】
シフトレジスタ120は、シフトレジスタ110からの出力信号が入力されると、当該出力信号をクロック信号に応じて出力部300のOR回路320、及び、シフトレジスタ130に出力する。また、シフトレジスタ130は、シフトレジスタ120からの出力信号が入力されると、当該出力信号をクロック信号に応じて出力部300のOR回路330に出力する。
【0052】
第2レジスタ部200は、最小フレーム期間及び追加期間のうち追加期間におけるスイッチトランジスタ34のオン及びオフを制御するためのゲート制御信号を生成するための信号を出力する。第2レジスタ部200は、複数のシフトレジスタ(シフトレジスタ回路)と、複数のAND回路とを含んで構成される。複数のシフトレジスタは、直列接続されて構成され、それぞれがスイッチトランジスタ34に接続される走査線40とAND回路及び出力部300を介して接続される。
【0053】
複数のシフトレジスタは、シフトレジスタ210、220及び230を含む。以降において、第2レジスタ部200が有する複数のシフトレジスタを複数のシフトレジスタ210等とも記載する。複数のシフトレジスタ210等の回路構成は、例えば、同じである。また、複数のAND回路は、AND回路211、221及び231を含む。以降において、第2レジスタ部200が有する複数のAND回路を複数のAND回路211等とも記載する。複数のAND回路211等の回路構成は、例えば、同じである。
【0054】
また、複数のAND回路211等には、全ラインのそれぞれで共通である全ライン共通信号が入力される。
【0055】
シフトレジスタ210は、第1ラインの入力信号が入力されると、当該第1ラインの入力信号をクロック信号に応じてAND回路211、及び、シフトレジスタ220に出力する。ここで、シフトレジスタ210からAND回路211に出力される出力信号を、第1ラインの1Hシフト信号(
図6~
図8参照)と記載する。なお、シフトレジスタ210からシフトレジスタ220に出力される信号も、例えば、第1ラインの1Hシフト信号と同様の信号である。
【0056】
AND回路211は、シフトレジスタ210からの第1ラインの1Hシフト信号、及び、全ライン共通信号が入力され、それぞれの信号がHighのときに、Highとなる信号をOR回路310に出力し、それ以外においては、Lowとなる信号をOR回路310に出力する。AND回路211からOR回路310に出力される出力信号は、追加期間における第1ラインのゲート制御信号の生成のために用いられる。
【0057】
同様に、AND回路221は、シフトレジスタ220からの第2ラインの1Hシフト信号(
図6、
図7参照)、及び、全ライン共通信号が入力され、それぞれの信号がHighのときに、Highとなる信号をOR回路320に出力し、それ以外においては、Lowとなる信号をOR回路320に出力する。また、AND回路231は、シフトレジスタ230からの第3ラインの1Hシフト信号(
図6、
図7参照)、及び、全ライン共通信号が入力され、それぞれの信号がHighのときに、Highとなる信号をOR回路330に出力し、それ以外においては、Lowとなる信号をOR回路330に出力する。
【0058】
なお、第1ラインの入力信号は、例えば、制御装置20から入力される。
【0059】
出力部300は、第1レジスタ部100及び第2レジスタ部200の少なくとも一方から出力される出力信号に基づいて、各ラインのゲート制御信号を出力する。
【0060】
OR回路310は、第1ラインのスイッチトランジスタ34に接続される走査線40に接続されており、当該走査線40にゲート制御信号を出力する。OR回路310は、例えば、シフトレジスタ110からのHighレベルの信号、及び、AND回路211からのHighレベルの信号の少なくとも一方の信号が入力されると、第1ラインにHighとなるゲート制御信号、つまり第1ラインのスイッチトランジスタ34をオフにするためのゲート制御信号を出力し、それ以外のときには、第1ラインにLowとなるゲート制御信号、つまり第1ラインのスイッチトランジスタ34をオンにするためのゲート制御信号を出力する。
【0061】
OR回路320は、第2ラインのスイッチトランジスタ34に接続される走査線40に接続されており、当該走査線40にゲート制御信号を出力する。OR回路320は、例えば、シフトレジスタ120からのHighレベルの信号、及び、AND回路221からのHighレベルの信号の少なくとも一方の信号が入力されると、第2ラインにHighとなるゲート制御信号、つまり第2ラインのスイッチトランジスタ34をオフにするためのゲート制御信号を出力し、それ以外のときには、第2ラインにLowとなるゲート制御信号、つまり第2ラインのスイッチトランジスタ34をオンにするためのゲート制御信号を出力する。
【0062】
OR回路330は、第3ラインのスイッチトランジスタ34に接続される走査線40に接続されており、当該走査線40にゲート制御信号を出力する。OR回路330は、例えば、シフトレジスタ130からのHighレベルの信号、及び、AND回路231からのHighレベルの信号の少なくとも一方の信号が入力されると、第3ラインにHighとなるゲート制御信号、つまり第3ラインのスイッチトランジスタ34をオフにするためのゲート制御信号を出力し、それ以外のときには、第3ラインにLowとなるゲート制御信号、つまり第3ラインのスイッチトランジスタ34をオンにするためのゲート制御信号を出力する。
【0063】
ここで、制御装置20の制御により生成されるゲート制御信号(上記のゲート駆動回路14が出力する信号)について、比較例に係る制御装置の制御により生成されるゲート制御信号と比較しながら説明する。
図4は、比較例に係る制御装置の制御によりゲート駆動回路14から出力されるゲート制御信号の一例を示す図である。
【0064】
図4及び後述する
図5は、
図2に示すスイッチトランジスタ34に入力されるゲート制御信号の波形を示す。
図4及び
図5に示す横軸は時間であり、縦軸は電圧を示す。また、
図4及び
図5に示す電圧がLowとなる期間は、スイッチトランジスタ34がオンになる期間であり、発光期間に相当する。
【0065】
なお、最小フレーム期間は、一例として最高リフレッシュレート(例えば、144Hz)に相当する期間であるとする。最小フレーム期間は、最高リフレッシュレートが144Hzである場合、およそ6.94msecである。最高リフレッシュレートは、例えば、最小ライン数に基づいて設定されており、制御装置20における最高となるリフレッシュレートである。最高リフレッシュレートは、予め制御装置20の記憶部に記憶されている。
【0066】
図4に示すように、比較例に係る制御装置では、最小フレーム期間の後に最高フレームレート(144Hz)の定数倍(
図4の例では、5倍)のサブフレームレート(720Hz)で発光期間及び非発光期間を繰り返す追加期間が設けられている。最小フレーム期間は、時間t1~t3であり、時間t1~t2の間は非発光期間であり、時間t2~t3は、発光期間である。また、時間t3以降は、追加期間であり、
図4の例では、720Hzのサブフレームレートで非発光期間と発光期間とが繰り返されている。時間t3~t4、及び、時間t5~t6は、非発光期間であり、時間t4~t5、及び、時間t6~t7は、発光期間である。また、時間t3~t5の期間は、追加期間における1回目のサブフレーム期間であり、時間t5~t7の期間は、追加期間における2回目のサブフレーム期間である。
【0067】
ここで、比較例に係る制御装置は、時間t3の直後(追加期間における1回目のサブフレーム期間の開始直後)に次のフレームの映像信号を取得した場合、次のサブフレーム期間(追加期間における2回目のサブフレーム期間)を開始せず、次のフレームの映像信号における最小フレーム期間を開始する。これは、比較例に係る制御装置では、映像信号を取得してから当該映像信号に対応するフレーム期間が開始されるまでに最大で追加期間におけるサブフレーム期間の遅れが生じ得る、つまり次のフレームの画像に切り替える際のフレーム期間の開始が遅れ得ることを意味する。
【0068】
一方、本実施の形態に係る制御装置20は、次のフレームの画像に切り替える際のフレーム期間の開始が遅れることを抑制する。
図5は、本実施の形態に係る制御装置20の制御によりゲート駆動回路14から出力されるゲート制御信号の一例を示す図である。
図5に示すゲート制御信号は、
図3に示す出力部300から出力される信号である。なお、
図5に示す時間t11~t13に示すゲート制御信号は、
図4に示す時間t1~t3のゲート制御信号と同じであり説明を省略する。なお、最小フレーム期間と追加期間とにより、フレーム期間が構成される。また、追加期間のうち破線領域Rの波形を拡大して示している。
【0069】
図5に示すように、制御装置20は、時間t13以降の追加期間において、比較例に係る制御装置より短い周期で非発光期間及び発光期間を繰り返すように表示パネル10を制御する。制御装置20は、水平期間内に発光期間及び非発光期間を含む追加期間を設けるように制御するとも言える。
図5の例では、1ライン期間ごと(図中の1Hごと)に非発光期間と発光期間とが繰り返されている。時間t21~t22、及び、時間t23~t24は、非発光期間である。時間t21~t22、及び、時間t23~t24は、例えば、同じ長さの期間である。また、時間t22~t23、及び、時間t24~t25は、発光期間である。時間t22~t23、及び、時間t24~t25は、同じ長さの期間である。また、時間t21~t23の期間は、追加期間におけるm(mは1以上の整数)回目の1ライン期間(個別追加期間の一例)であり、時間t23~t25の期間は、追加期間におけるm+1回目の1ライン期間(個別追加期間の一例)である。
【0070】
なお、時間t11~時間t13までのゲート制御信号は、第1レジスタ部100からの出力信号に基づいて生成されており、時間t13以降のゲート制御信号は、第2レジスタ部200からの出力信号に基づいて生成されている。
【0071】
なお、1ライン期間は、最小フレーム期間が6.94msecであり、かつ、ライン数が2314のときに、例えば、3μsecとなるがこれに限定されない。
【0072】
ここで、制御装置20は時間t21の直後(m回目の1ライン期間の開始直後)に次のフレームの映像信号を取得した場合、次の1ライン期間(m+1回目の1ライン期間)から当該次のフレームの映像信号における最小フレーム期間を開始することができる。例えば、デューティ制御部は、フレーム期間の開始を示す信号を検出すると、検出時に実行している1ライン期間が終了した後、消光期間中に次のフレームのための初期化動作及び書き込み動作を実行させる制御信号をゲート駆動回路14に出力する。つまり、デューティ制御部は、検出時に実行している1ライン期間が終了した後、次のフレームの最小フレーム期間を開始することができる。
【0073】
よって、制御装置20では、映像信号を取得してから当該映像信号に対応するフレーム期間が開始されるまでに最大で1ライン期間しか遅れが生じない。これにより、本実施の形態に係る制御装置20は、画像が切り替わるときの遅延を比較例に係る制御装置より抑制可能である。また、制御装置20によれば、サブフレーム単位分の映像信号を記憶しておくバッファとなるメモリが不要となり、メモリ容量を低減することができるので、比較例に比べて安価で低発熱な制御装置を実現することができる。
【0074】
また、デューティ制御部は、フレーム期間の開始を示す信号を検出しないときには、一定の間隔の発光期間及び消光期間からなる1ライン期間を繰り返し実行させるゲート制御信号を生成するようにゲート駆動回路14に制御信号を出力する。
【0075】
また、デューティ制御部は、現フレームの1以上の個別追加期間のそれぞれにおける発光期間の長さ(例えば、時間t22~t23、及び、時間t24~t25の長さ)と消光期間の長さ(例えば、時間t21~t22、及び、時間t23~t24の長さ)との比が、現フレームの最小フレーム期間における発光期間の長さ(例えば、時間t12~t13の長さ)と消光期間の長さ(例えば、時間t11~t12の長さ)との比と一致するように、1以上の個別追加期間のそれぞれの消光期間の長さを制御する。つまり、デューティ制御部は、消光期間の長さに応じた制御信号を生成しゲート駆動回路14に出力する。
【0076】
なお、発光期間の長さ及び消光期間の長さのそれぞれは、1以上の個別追加期間のそれぞれにおいて一致する。このように、追加期間は、発光期間及び消光期間を一定の間隔で繰り返す期間であり、次のフレームが入力されるまでのブランキング期間であるとも言える。
【0077】
なお、制御装置20は、例えば、1以上の個別追加期間のそれぞれにおける発光期間及び非発光期間の切り替えを、表示パネル10の表示画面全体で同時に制御してもよい。制御装置20は、表示パネル10の各ラインのそれぞれで同時に発光期間及び消光期間の一方から他方のへ切り替えが行われるように制御信号を生成し、ゲート駆動回路14に出力してもよい。なお、この追加期間において各ラインのそれぞれで同時に発光期間及び消光期間の一方から他方に切り替えるため、つまり追加期間において各ラインのスイッチトランジスタ34のそれぞれを同時にオン及びオフの一方から他方に切り替えるための構成については、(実施の形態の変形例2)において説明する。
【0078】
なお、時間t11~t12では、画素回路30の初期化動作、書き込み動作などが行われてもよい。画素回路30の初期化とは、信号電圧に対応した電荷を画素容量38に蓄積する(書き込まれる)前に、発光素子32及びEL容量39に逆バイアスをかけて初期化、画素容量38の電極間電圧を駆動トランジスタ33の特性ズレに合わせて補正する(リセットする)ことである。また、画素回路30の初期化期間とは、発光素子32及びEL容量39に逆バイアスをかけて初期化、画素容量38の電極間電圧を駆動トランジスタ33の特性ズレにあわせて補正(リセット)しておくための期間である。なお、本実施の形態では、画素回路30の初期化期間中には、発光素子32が消光されている。換言すると、画素回路30の初期化期間は、消光期間(非発光期間とも呼ばれる)に含まれる。
【0079】
なお、追加期間で、初期化動作及び書き込み動作は行われない。これにより、最小フレーム期間における表示パネル10の輝度と追加期間における表示パネル10の輝度とを近づけることができる。
【0080】
次に、追加期間に制御装置20からゲート駆動回路14に入力される制御信号、及び、ゲート駆動回路14から表示部12に出力されるゲート制御信号について、
図6~
図8を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係るゲート駆動回路14に入力される制御信号の一例を示す図である。
図6では、複数のライン(表示ライン)のうち第1ライン~第3ラインに入力される1Hシフト信号を示す。
図6に示す1Hシフト信号は、スイッチトランジスタ34のゲートに入力されるゲート制御信号を生成するための信号であり、具体的には、追加期間に、第2レジスタ部200のシフトレジスタからAND回路へ出力される信号である。
【0081】
図7は、本実施の形態に係るゲート駆動回路14の第1ラインに対応するAND回路211に入力される制御信号と、当該制御信号に基づいて、第1ラインに対応するAND回路211から出力される追加期間における第1ラインのゲート制御信号とを示す図である。
図7に示す追加期間における第1ラインのゲート制御信号は、第1ラインに配置された複数のスイッチトランジスタ34それぞれのゲートに入力される追加期間におけるゲート制御信号を示す。なお、第1ライン、第2ライン及び第3ラインは、表示部12においてこの順に並んで形成された表示ラインである。
【0082】
図6に示すように、第1ラインに対応するAND回路211~第3ラインに対応するAND回路231に、順次1水平期間(1H)ごとズレた波形の1Hシフト信号が入力される。具体的には、時間t34においてLowからHighに切り替わる1Hシフト信号が第1ラインに対応するAND回路211に入力され、時間t36においてLowからHighに切り替わる1Hシフト信号が第2ラインに対応するAND回路221に入力され、時間t37においてLowからHighに切り替わる1Hシフト信号が第3ラインに対応するAND回路231に入力される。例えば、第1ライン~第3ラインを含む複数のラインそれぞれの1Hシフト信号におけるHigh及びLowの期間は、同じである。
【0083】
図7に示すように、第1ラインに対応するAND回路211には、第1ラインの1Hシフト信号と、全ライン共通信号とが入力される。第1ラインの1Hシフト信号は、第1ラインに対応するAND回路211に入力されるシフト信号であり、
図6に示す第1ラインの1Hシフト信号と同じ信号である。
【0084】
ゲート駆動回路14は、例えば、出力部300に複数のOR回路310等を含んで構成される。そして、ゲート駆動回路14は、例えば、第1ラインの1Hシフト信号及び全ライン共通信号のそれぞれがLowである期間にLowとなり、第1ラインの1Hシフト信号及び全ライン共通信号のいずれかがHighである期間にHighとなるゲート制御信号を出力するように構成される。これにより、第1ラインのゲート制御信号は、期間p1、p2、p3及びp4(以降において、期間p1等とも記載する)がHigh(非発光期間)となる信号となる。期間p1等の時間的な長さを調整することにより、
図5に示す追加期間における非発光期間と発光期間との長さが調整可能である。なお、期間p1、p2、p3及びp4はそれぞれ、同じ長さの期間である。
【0085】
また、各ラインのゲート制御信号について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る各ラインのゲート制御信号を示す図である。
図8に示すゲート制御信号は、ゲート駆動回路14の出力部300から出力され、スイッチトランジスタ34に入力される信号である。
【0086】
最小フレーム期間のゲート制御信号は、第1レジスタ部100からの出力信号に基づいて生成される信号である。第1ラインに対応するOR回路310~第3ラインに対応するOR回路330にかけて、順次1水平期間(1H)ごとズレた波形のゲート制御信号が出力される。具体的には、時間t31においてLowからHighに切り替わる第1ラインのゲート制御信号が第1ラインのスイッチトランジスタ34のゲートに出力され、時間t32においてLowからHighに切り替わる第2ラインのゲート制御信号が第2ラインのスイッチトランジスタ34のゲートに出力され、時間t33においてLowからHighに切り替わる第3ラインのゲート制御信号が第3ラインのスイッチトランジスタ34のゲートに出力される。
【0087】
なお、次のフレームの最小フレーム期間のゲート制御信号は、最小フレーム期間のゲート制御信号と同じであってもよい。次のフレームの最小フレーム期間における時間t38は、最小フレーム期間における時間t31に対応する時間である。
【0088】
追加期間のゲート制御信号は、第2レジスタ部200からの出力信号に基づいて生成される信号である。第1ラインに対応するOR回路310~第3ラインに対応するOR回路330から、順次1水平期間(1H)ごとズレた波形のゲート制御信号が出力される。具体的には、時間t35においてLowからHighに切り替わる第1ラインのゲート制御信号が第1ラインのスイッチトランジスタ34のゲートに出力される。また、時間t35から1水平期間後に、LowからHighに切り替わる第2ラインのゲート制御信号が第2ラインのスイッチトランジスタ34のゲートに出力され、さらに、1水平期間後に、LowからHighに切り替わる第3ラインのゲート制御信号が第3ラインのスイッチトランジスタ34のゲートに出力される。1水平期間ごとに順次、各ラインの追加期間が開始される。
【0089】
期間p2では、第1ライン及び第2ラインのゲート制御信号が同時にHighとなり、期間p3及びp4では、第1ライン~第3ラインのゲート制御信号が同時にHighとなる。つまり、期間p3~期間p4においては、各ラインのスイッチトランジスタ34のオン及びオフが同時に切り替えられる。
【0090】
なお、
図8に示す期間p1~p4は、
図7に示す期間p1~p4に対応する。
【0091】
[2.制御装置の動作]
続いて、上記のように構成される制御装置20の動作について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態に係る制御装置20の動作を示すフローチャートである。なお、
図9に示すステップS11~S15は、1フレーム分の処理を示しており、フレームごとにステップS11~S15の処理が繰り返し実行される。
【0092】
図9に示すように、まず、制御装置20は、外部の信号源から映像信号を取得する(S11)。制御装置20は、例えば、映像信号を記憶部に記憶する。
【0093】
次に、制御装置20は、最小フレーム期間の発光を実行する(S12)。最小フレーム期間は、
図5に示す最小フレーム期間(時間t11~t13)に対応する期間である。制御装置20は、非発光期間(時間t11~t12)において初期化動作及び書き込み動作を行った後、時間t12においてスイッチトランジスタ34のゲートに入力されるゲート制御信号をLowとすることで発光期間を開始する。
【0094】
次に、制御装置20は、次のフレームの映像信号を取得したか否かを判定する(S13)。制御装置20は、次のフレームの映像信号を取得している場合(S13でYes)、本フレームにおける処理を終了し、次のフレームの映像信号を取得していない場合(S13でNo)、ステップS14に進む。
【0095】
次に、制御装置20は、1ライン単位でブランキング期間(追加期間)を延長する(S14)。ブランキング期間は、
図5に示す時間t13以降に対応する期間である。制御装置20は、新たに初期化動作及び書き込み動作を行うことなく、つまりステップS11で取得された映像信号の信号電圧に応じた電荷が画素容量38に蓄積された状態で、1ライン期間ごとに発光期間と非発光期間とが設けられるように、スイッチトランジスタ34のゲートに入力されるゲート制御信号を制御する。
【0096】
次に、制御装置20は、次のフレームの映像信号を取得したか否かを判定する(S15)。ステップS15は、例えば、ブランキング期間中に継続して行われる。
【0097】
制御装置20は、ブランキング期間中に次のフレームの映像信号を取得した場合(S15でYes)、本フレームにおける処理を終了し、ブランキング期間中に次のフレームの映像信号を取得していない場合(S15でNo)、ステップS14に進む。例えば、次のフレームの映像信号を取得するまで、1ライン単位でブランキング期間が延長される。言い換えると、ブランキング期間(追加期間)は、例えば、次のフレームが入力されるまで継続される。
【0098】
[3.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る制御装置20は、同一の画像が表示され続ける期間であるフレーム期間が、フレームごとに一定の範囲で変動又は一時的に安定するが、正確なフレーム期間が予めわからない場合の表示パネル10の制御装置20である。制御装置20は、予め定められたライン数を超える長さのフレームが入力された場合、当該予め定められたライン数に対応するフレーム期間と、フレーム期間の後に追加される追加期間とにより画像を表示させるように表示パネル10を制御する。そして、追加期間は、それぞれが発光期間及び消光期間を含む1以上の個別追加期間を含み、1以上の個別追加期間のそれぞれは、所定のライン数に対応する期間である。
【0099】
これにより、制御装置20は、フレームごとにライン数が異なっても発光デューティを一定にすることができるので、フリッカが視認されることを抑制することができる。また、制御装置20は、発光期間及び非発光期間を含むライン期間が繰り返されるように追加期間を設けるので、次のフレームが入力された場合に、当該ライン単位で切り替え可能である。よって、制御装置20は、フリッカ現象を抑制しつつ、かつ、画像が切り替わるときの遅延を抑制することができる。
【0100】
また、所定のライン数は、1ラインであり、所定のライン数に対応する期間は、1ラインに対応する期間である。
【0101】
これにより、制御装置20は、画像の切り替え時の遅延を1ライン期間以下とすることが可能となるので、画像が切り替わるときの遅延をより抑制し得る。
【0102】
また、制御装置20は、現フレームの1以上の個別追加期間のそれぞれにおける発光期間の長さ、及び、消光期間の長さの比が、当該現フレームのフレーム期間における発光期間の長さ、及び、消光期間の長さの比と一致するように、1以上の個別追加期間のそれぞれの消光期間の長さを制御する。
【0103】
これにより、制御装置20は、追加期間と予め定められたフレーム期間との間で発光期間と消光期間との比が変わらないことによりフリッカが視認されることを抑制することができる。よって、制御装置20は、さらにフリッカ現象を抑制することができる。
【0104】
また、制御装置20は、次のフレームが入力されるまで追加期間を継続する。
【0105】
これにより、制御装置20は、フレーム期間がフレームごとに一定の範囲で変動等する場合であっても、画像が途切れることなく、画像を表示することができる。
【0106】
また、制御装置20は、追加期間における現個別追加期間において次のフレームが入力されると、現個別追加期間の終了後に次のフレームに対応するフレーム期間を開始するように制御する。
【0107】
これにより、制御装置20は、画像の切り替え時の遅延を1ライン期間以下とすることができるので、画像が切り替わるときの遅延をより確実に抑制することができる。
【0108】
また、表示パネル10を構成する画素は、有機EL素子を含む電流駆動で発光する発光素子からなる。
【0109】
これにより、GPUの処理能力等によりフレーム期間が大きく変動しても、OLEDを用いた表示パネル10においてフリッカが視認されないようにすること、及び、画像の切り替え時の遅延を抑制することができる。つまり、フレーム期間が変動しても、OLEDを用いた表示パネル10のフリッカ現象及び画像の遅延を抑制することができる。
【0110】
また、以上のように、本実施の形態に係る表示装置1は、上記の制御装置20と、制御装置20からの制御信号が入力されるゲート駆動回路14、及び、制御装置20からの出力映像信号が入力されるソース駆動回路16を有する表示パネル10とを備える。
【0111】
これにより、フリッカ現象及び画像の遅延を抑制可能な表示装置1を実現することができる。
【0112】
また、以上のように、本実施の形態に係る制御方法は、同一の画像が表示され続ける期間であるフレーム期間が、フレームごとに一定の範囲で変動又は一時的に安定するが、正確なフレーム期間が予めわからない場合の表示パネル10の制御方法である。当該制御方法は、予め定められたライン数を超える長さのフレームが入力された場合、当該予め定められたライン数に対応するフレーム期間と、フレーム期間の後に追加される追加期間とにより画像を表示させるように表示パネル10を制御する。そして、追加期間は、それぞれが発光期間及び消光期間を含む1以上の個別追加期間を含み、1以上の個別追加期間のそれぞれは、所定のライン数に対応するライン期間単位の期間である。
【0113】
これにより、上記の制御装置20と同様の効果を奏する。
【0114】
(実施の形態の変形例1)
上記実施の形態では、制御装置は、追加期間において、1ライン期間ごとに発光期間と非発光期間とを設けるための制御を行っていたが、発光期間と非発光期間とは1ライン期間ごとに設けられることに限定されず、n(nは2以上の整数)ライン期間ごとに発光期間と非発光期間とが設けられてもよい。以下では、nライン期間ごとに発光期間と非発光期間とを設けるための制御を行う制御装置について、
図10~
図12を参照しながら説明する。
図10は、本変形例に係る制御装置の制御によりゲート駆動回路14から出力されるゲート制御信号の一例を示す図である。
図10は、
図5に示す破線領域Rに対応する本変形例に係るゲート制御信号(追加期間にスイッチトランジスタ34のゲートに出力されるゲート制御信号)を拡大して示す図である。
【0115】
図10に示すように、本変形例に係る制御装置は、追加期間において、nライン期間(nH)ごとに発光期間及び非発光期間を繰り返すように制御する。時間t41~t42、及び、時間t43~t44は、非発光期間である。nライン期間は、2以上のラインに対応する期間である。nライン期間は、所定のライン数に対応する期間の一例であり、例えば、所定のライン数が2倍になるとnライン期間も2倍になってもよい。
【0116】
時間t41~t42、及び、時間t43~t44は、例えば、同じ長さの期間である。また、時間t42~t43、及び、時間t44~t45は、発光期間である。時間t42~t43、及び、時間t44~t45は、同じ長さの期間である。また、時間t41~t43の期間は、追加期間におけるm(mは1以上の整数)回目のnライン期間であり、時間t43~t45の期間は、追加期間におけるm+1回目のnライン期間である。nラインは、所定のライン数の一例である。
【0117】
次に、n=2(所定のライン数=2)の場合の制御について、
図11及び
図12を参照しながら説明する。
図11は、本変形例に係る制御装置の制御によりゲート駆動回路14から出力されるゲート制御信号と、表示パネル10の動作とを示す図である。なお、nは2に限定されず、例えば、3以上に設定されてもよく、2のべき乗に設定されてもよい。nの値は、予め設定されており、制御装置の記憶部に記憶されていてもよい。なお、
図11に示すゲート制御信号は、ゲート駆動回路14からスイッチトランジスタ34のゲートに出力される信号である。
【0118】
図11に示すように、制御装置は、最小フレーム期間の後の追加期間(時間t51以降の期間)において、2ライン期間(2H)ごとに非発光期間(消光)、及び、発光期間(発光)を繰り返すように制御してもよい。時間t51~t52、t52~t53、及び、t53~t54の期間のそれぞれは、互いに等しい期間(2H)である。また、2ライン期間のそれぞれにおいて、発光期間の長さと非発光期間の長さとの比は、同じである。
【0119】
2ライン期間のそれぞれは、スイッチトランジスタ34のゲートに入力されるゲート制御信号がHighとなる時間(例えば、時間t51、t52及びt53)からゲート制御信号がLowとなるまでの期間は消光する。n=2の場合、2ラインの描画期間ごと(2Hごと)に1サイクルデューティ区間(非発光期間及び発光期間)が終了する。
【0120】
次に、上記のように2ライン期間ごとに非発光期間及び発光期間を繰り返す場合の画素回路30への書き込み動作について、
図12を参照しながら説明する。
図12は、本変形例に係る制御装置が行う書き込み動作を説明するための図である。
図12に示すHigh及びLowが示す直線は、ゲート駆動回路14から選択トランジスタ35に入力されるゲート制御信号を示す。
【0121】
図12に示すように、制御装置は、2ラインごとに書き込み動作を行わせる。つまり、2ラインにおいて、同じ信号線42に接続された画素回路30の画素容量38には、同じ電荷量が蓄積される。例えば、制御装置は、2ライン(2以上のラインの一例)に同時に信号電圧を書き込むための制御信号を表示パネル10に出力してもよい。つまり、2ラインにおいて、同じ信号線42に接続された画素回路30の画素容量38には、同じ電荷量が同時に蓄積されてもよい。
【0122】
例えば、並んで配置される第1ライン及び第2ラインは、同時に書き込みが行われ、並んで配置される第3ライン及び第4ラインは、第1ライン及び第2ラインの書き込みの後に同時に書き込みが行われ、並んで配置される第5ライン及び第6ラインは、第3ライン及び第4ラインの書き込みの後に同時に書き込みが行われる。例えば、時間t61及びt62の間において、第1ライン及び第2ラインに同時に書き込みが行われ、時間t63及びt64の間において、第3ライン及び第4ラインに同時に書き込みが行われ、時間t65及びt66の間において、第5ライン及び第6ラインに同時に書き込みが行われる。
【0123】
このような表示パネル10のゲート駆動回路は、例えば、連続する2つのライン(例えば、第1ライン及び第2ライン、第3ライン及び第4ライン、第5ライン及び第6ラインなど)の選択トランジスタ35のそれぞれに同一のゲート制御信号を出力可能に構成される。例えば、第1ライン及び第2ラインの選択トランジスタ35のそれぞれは、同時にオン及びオフを行い、第3ライン及び第4ラインの選択トランジスタ35のそれぞれは、同時にオン及びオフを行い、第5ライン及び第6ラインの選択トランジスタ35のそれぞれは、同時にオン及びオフを行う。
【0124】
このように、所定のライン数の一例である2ラインは、同じ信号電圧が書き込まれるラインであってもよい。なお、所定のライン数は、同じ信号電圧が書き込まれるラインであることに限定されない。
【0125】
以上のように、本変形例に係る制御装置における所定のライン数に対応する期間は、2以上のラインに対応する期間である。
【0126】
これにより、制御装置は、所定のライン数が1ラインである場合に比べてスイッチトランジスタ34のオン及びオフの頻度を低減することができるので、スイッチング電力を削減することができる。つまり、本変形例に係る制御装置によれば、省エネルギー性能が向上した表示装置を実現し得る。
【0127】
また、制御装置は、2以上のラインに同時に信号電圧を書き込むための制御信号を表示パネル10に出力する。
【0128】
これにより、2以上のラインに同時に信号電圧を書き込むための制御信号を出力するだけで、省エネルギー性能が向上した表示装置を実現し得る。
【0129】
(実施の形態の変形例2)
上記実施の形態及び変形例1においてゲート駆動回路14の構成について説明したが、ゲート駆動回路14の構成は上記実施の形態及び変形例1の構成に限定されない。ゲート駆動回路14の他の例について、
図13及び
図14を参照しながら説明する。なお、表示装置におけるゲート駆動回路の構成以外は、上記実施の形態と同様であってもよく、説明を省略する。
図13は、本変形例に係るゲート駆動回路14aの構成を示す図である。
【0130】
図13に示すように、ゲート駆動回路14aは、第1レジスタ部100と、出力部300とを有する。
【0131】
第1レジスタ部100は、実施の形態の
図3に示す第1レジスタ部100と同様であり、説明を省略する。第1レジスタ部100は、最小フレーム期間及び追加期間のうち最小フレーム期間におけるスイッチトランジスタ34のオン及びオフを制御するためのゲート制御信号を生成するための出力信号を出力する。
【0132】
出力部300は、第1レジスタ部100からの出力信号、及び、全ライン共通信号の少なくとも一方の信号に基づいて、各ラインのゲート制御信号を出力する。本変形例に係る出力部300の構成は、実施の形態の
図3に示す出力部300と、全ライン共通信号が直接入力される点において相違する。
【0133】
OR回路310は、第1ラインのスイッチトランジスタ34に接続される走査線40に接続されており、当該走査線40にゲート制御信号を出力する。OR回路310は、シフトレジスタ110からのHighレベルの信号、及び、全ライン共通信号のHighレベルの信号の少なくとも一方の信号が入力されると、第1ラインにHighとなるゲート制御信号、つまりスイッチトランジスタ34をオフにするためのゲート制御信号を出力し、シフトレジスタ110からの出力信号及び全ライン共通信号のそれぞれがLowレベルの信号である場合には、第1ラインにLowとなるゲート制御信号、つまりスイッチトランジスタ34をオンにするためのゲート制御信号を出力する。
【0134】
最小フレーム期間では、OR回路310は、シフトレジスタ110からの出力信号に基づいて、High又はLowの第1ラインのゲート制御信号を出力する。このとき、全ライン共通信号は、例えば、Lowが入力される。
【0135】
追加期間では、OR回路310は、制御装置20からの全ライン共通信号に基づいて、High又はLowの第1ラインのゲート制御信号を出力する。そのため、OR回路310を含む出力部300が有する全てのOR回路は、同一のゲート制御信号を出力する。例えば、追加期間では、第1ラインのゲート制御信号、第2ラインのゲート制御信号、及び、第3ラインのゲート制御信号は、同一の信号となり得る。
【0136】
図14は、本変形例に係る各ラインのゲート制御信号を示す図である。
図14では、比較のため、
図8と対応する時間を記載している。
【0137】
図14に示すように、最小フレーム期間のゲート制御信号は、第1レジスタ部100からの出力信号のHigh及びLowの切り替えに基づいて生成される。第1ラインに対応するOR回路310~第3ラインに対応するOR回路330から、順次1水平期間(1H)ごとズレた波形のゲート制御信号が出力される。
【0138】
追加期間のゲート制御信号は、全ライン共通信号のHigh及びLowの切り替えに基づいて生成される信号である。第1ラインに対応するOR回路310~第3ラインに対応するOR回路330から、時間t35において同時に追加期間におけるゲート制御信号の出力が開始される。具体的には、時間t35においてLowからHighに切り替わる第1ライン~第3ラインのゲート制御信号が第1ライン~第3ラインの全てのスイッチトランジスタ34のゲートに出力される。このように、本変形例では、各ラインの追加期間が同時に開始される。つまり、本変形例では、1以上の個別追加期間を含む追加期間において、表示パネル10の表示画面全体で同時に発光期間及び非発光期間の切り替えが制御される。
【0139】
なお、本変形例において、表示パネル10は、液晶パネル(LCD(Liquid Crystal Display))であってもよい。つまり、表示パネル10を構成する画素は、液晶素子から構成されていてもよい。この場合、表示装置1はさらに、バックライトスキャンを行うバックライトを有していてもよい。また、制御装置20は、LCDの光源として設けられるバックライトの発光及び非発光により全画面同時に発光期間及び非発光期間を切り替えることが可能となるので、例えば、LCDのバックライトを用いて全画面同時に当該バックライトの発光及び非発光を制御することによっても、個別追加期間を実現することができる。例えば、発光期間は、バックライトスキャンにおけるバックライトが点灯される期間であり、消光期間は、バックライトが消灯される期間であってもよい。
【0140】
ここでバックライトスキャンとは、書き換え対象となる画素を含むライン付近のバックライトを順次オフしていく技術である。また、液晶のバックライトは、通常、映像に同期していない。しかし、本変形例では、バックライトスキャンさせる際に、映像に同期して動作させ、発光期間を、バックライトスキャンにおけるバックライトが点灯される期間とし、消光期間を、バックライトが消灯される期間とする。
【0141】
以上のように、本変形例に係る制御装置20は、1以上の個別追加期間のそれぞれにおける発光期間及び非発光期間の切り替えを、表示パネル10の表示画面全体で同時に制御する。
【0142】
これにより、制御装置20は、ゲート駆動回路14を単純化することができるので、ゲート駆動回路14の回路面積を低減することができる。
【0143】
また、表示パネル10は、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0144】
これにより、LCDにおいて、ゲート駆動回路14の回路面積を低減することができる。
【0145】
また、表示パネル10は、LCDであり、追加期間における発光期間は、バックライトスキャンにおけるバックライトが点灯される期間であり、追加期間における消光期間は、バックライトが消灯される期間である。
【0146】
これにより、バックライトスキャンのフレーム期間が大きく変動しても、液晶を用いた表示パネル10においてフリッカが視認されないようにすることができる。つまり、バックライトスキャンのフレーム期間が変動しても、液晶を用いた表示パネル10のフリッカ現象を抑制することができる。また、追加期間において、nライン数単位の期間でバックライトの発光態様を切り替えることができるので、サブフレーム単位でバックライトの発光態様を切り替える場合に比べて、画像が切り替わるときの遅延を抑制することができる。
【0147】
(その他の実施の形態)
以上、一つ又は複数の態様に係る制御装置等について、各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この各実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示に含まれてもよい。
【0148】
例えば、上記実施の形態等において、画像を表示する表示パネルを構成する画素は、有機EL素子である例について説明したが、液晶素子であってもよい。この場合、発光期間は、バックライトスキャンにおけるバックライトが点灯される期間であり、消光期間は、バックライトが消灯される期間であってもよい。
【0149】
これにより、バックライトスキャンのフレーム期間が大きく変動しても、液晶を用いた表示パネルにおいてフリッカが視認されないようにすることができる。つまり、バックライトスキャンのフレーム期間が変動しても、液晶を用いた表示パネルのフリッカ現象を抑制することができる。また、追加期間において、nライン数単位の期間でバックライトの発光態様を切り替えることができるので、サブフレーム単位でバックライトの発光態様を切り替える場合に比べて、画像が切り替わるときの遅延を抑制することができる。
【0150】
また、上記実施の形態等では、制御装置は、追加期間における現個別追加期間において次のフレームが入力されると、現個別追加期間の終了後に次のフレームに対応する最小フレーム期間を開始するように表示パネルを制御する例について説明したが、これに限定されない。制御装置は、次のフレームが入力された後、所定の個別追加期間経過後に次のフレームに対応する最小フレーム期間を開始するように表示パネルを制御してもよい。
【0151】
また、上記実施の形態等において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0152】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が他のステップと同時(並列)に実行されてもよいし、上記ステップの一部は実行されなくてもよい。
【0153】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0154】
また、上記実施の形態等に係る制御装置は、単一の装置(例えば、単一のICチップ)として実現されてもよいし、複数の装置(例えば、複数のICチップ)により実現されてもよい。
【0155】
また、上記実施の形態等で説明した制御装置の各構成要素は、ソフトウェアとして実現されても良いし、典型的には、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)又は、LSI内部の回路セルの接続若しくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。
【0156】
システムLSIは、複数の処理部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0157】
また、本開示の一態様は、
図5~
図9、
図11及び
図12のいずれかに示される制御方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。
【0158】
また、例えば、プログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布又は流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【0159】
また、これらの全般的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本開示は、特に、高速及び高解像度の表示が要望されるテレビシステム、ゲーム機及びパーソナルコンピュータのディスプレイ等の技術分野に有用である。
【符号の説明】
【0161】
1 表示装置
10 表示パネル
12 表示部
14、14a ゲート駆動回路
16 ソース駆動回路
20 制御装置
30 画素回路
32 発光素子
33 駆動トランジスタ
34、36、37 スイッチトランジスタ
35 選択トランジスタ
38 画素容量
39 EL容量
40 走査線
42 信号線
100 第1レジスタ部
110、120、130、210、220、230 シフトレジスタ
200 第2レジスタ部
211、221、231 AND回路
300 出力部
310、320、330 OR回路