(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056892
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】掃除機から塵埃を回収する回収装置
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230413BHJP
A47L 9/10 20060101ALI20230413BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20230413BHJP
A47L 7/02 20060101ALI20230413BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A47L9/28 Z
A47L9/10 D
A47L9/00 104
A47L9/28 T
A47L9/28 U
A47L7/02
A47L5/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166376
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】土屋 武士
(72)【発明者】
【氏名】山村 浩司
(72)【発明者】
【氏名】別府 秀峰
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 雅一
(72)【発明者】
【氏名】吉野 友弥
【テーマコード(参考)】
3B006
3B057
3B062
【Fターム(参考)】
3B006MA03
3B057DA04
3B057DE01
3B057DE06
3B062AG00
(57)【要約】
【課題】回転羽根部を回転駆動するモータの温度が高い状態でのモータの起動を防止する回収装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本出願は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転羽根部を回転駆動して、掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させるモータと、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻と、検出時刻の前においてモータを停止させた作動停止時刻と、の間の時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていることを条件として、モータを起動する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機が接続された状態で前記掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成された回収装置であって、
前記回収装置に前記掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、
回転駆動力を発生するモータと、
前記モータの前記回転駆動力を受けて回転することにより前記掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、
前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出したことに応じて前記モータを起動させるとともに、前記接続検出部が前記回収装置からの前記掃除機の取り外しを検出したことに応じて前記モータを停止するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部は、前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出した検出時刻と、前記検出時刻の前において前記モータを停止させた作動停止時刻と、の間の時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていることを条件として、前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出したときに前記モータを起動する、回収装置。
【請求項2】
前記モータ制御部は、前記検出時刻と、前記作動停止時刻の前において前記モータを起動した作動開始時刻と、の間の時間間隔が他の間隔閾値を上回っていることを条件として前記モータを起動する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記モータ制御部は、前記検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間における前記モータの作動時間長が所定の時間長閾値を下回っていることを条件として、前記モータを起動させる、請求項1又は2に記載の回収装置。
【請求項4】
前記モータ制御部は、前記検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間における前記モータの作動頻度が所定の頻度閾値を下回っていることを条件として前記モータを起動する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項5】
掃除機が接続された状態で前記掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成された回収装置であって、
前記回収装置に前記掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、
回転駆動力を発生するモータと、
前記モータの前記回転駆動力を受けて回転することにより前記掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、
前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出したことに応じて前記モータを作動させるとともに、前記接続検出部が前記回収装置からの前記掃除機の取り外しを検出したことに応じて前記モータを停止するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部は、前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出した検出時刻と、前記検出時刻の前において前記モータを起動した作動開始時刻と、の間の時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていることを条件として、前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出したときに前記モータを起動する、回収装置。
【請求項6】
掃除機が接続された状態で前記掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成された回収装置であって、
前記回収装置に前記掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、
回転駆動力を発生するモータと、
前記モータの前記回転駆動力を受けて回転することにより前記掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、
前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出したことに応じて前記モータを作動させるとともに、前記接続検出部が前記回収装置からの前記掃除機の取り外しを検出したことに応じて前記モータを停止するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部は、前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出した検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間における前記モータの作動時間長が所定の時間長閾値を下回っていることを条件として、前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出したときに前記モータを起動する、回収装置。
【請求項7】
掃除機が接続された状態で前記掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成された回収装置であって、
前記回収装置に前記掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、
回転駆動力を発生するモータと、
前記モータの前記回転駆動力を受けて回転することにより前記掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、
前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出したことに応じて前記モータを作動させるとともに、前記接続検出部が前記回収装置からの前記掃除機の取り外しを検出したことに応じて前記モータを停止するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部は、前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出した検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間における前記モータの作動頻度が所定の頻度閾値を下回っていることを条件として、前記接続検出部が前記回収装置への前記掃除機の接続を検出したときに前記モータを起動する、回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機から塵埃を回収する回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
図15に示すスティック型の掃除機300が開示されている。この掃除機300は、掃除機本体310と、掃除機本体310から下方に延設された吸引管320と、吸引管320の下端に接続された吸込ノズル330と、を備えている。掃除機本体310は、吸込ノズル330を通じて塵埃を吸い込むとともに、吸い込んだ塵埃を貯留するように構成されている。
【0003】
掃除機本体310は、矩形箱状の筐体311を備えている。筐体311は、塵埃を吸引するための吸引力を発生する吸塵源312を収容したファン室315と、フィルタ313によりファン室315から区画されて、フィルタ313により捕捉された塵埃を貯留する貯塵室317と、を有している。筐体311の後壁には、貯塵室317に貯まった塵埃を排出するための開口を形成している排塵筒部319が設けられている。排塵筒部319は、後壁から後方に突出している。
【0004】
特許文献1では、掃除機300の貯塵室317に貯まった塵埃を回収するために、
図16に示す回収装置400が用いられる。回収装置400は、矩形箱状の筐体410を有しており、この筐体410の前壁411で掃除機300を保持する。筐体410の内部には、モータで回転羽根部を回転させて掃除機300の貯塵室317内の塵埃を吸い出す吸引力を発生する吸引ファン420が配置されている。吸引ファン420の下側には、吸引ファン420の吸引力により掃除機300から回収された塵埃が溜められる回収室440が配置されており、回収室440からは、塵埃流路430が延設されている。
【0005】
塵埃流路430の先端は、筐体410の前壁411において開口した回収筒部431によって構成されている。回収筒部431は、
図17に示すように、回収装置400に取り付けられた掃除機300の排塵筒部319と嵌合するように構成されている。回収筒部431と排塵筒部319とが嵌合されることにより、塵埃を掃除機300から回収装置400の塵埃流路430へ移送するための移送流路401が形成される。
【0006】
排塵筒部319及び回収筒部431には、電気接点402,403が設けられている。排塵筒部319及び回収筒部431が嵌合されることによって、電気接点402,403が接触状態になると、回収装置400の吸引ファン420が作動する。吸引ファン420の吸引力は、掃除機300の貯塵室317内の塵埃に作用する。貯塵室317内の塵埃は、この吸引力により、移送流路401及び塵埃流路430を順次通過して回収室440内に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
吸引ファンのモータの温度は、モータの作動の間に上がる。モータの温度は、モータが停止している間に下がるが、掃除機が回収装置から取り外された直後に、回収装置に再接続されれば、モータの温度が高い状態でモータが起動され得る。モータの温度が高い状態でモータが起動されれば、モータは、更に高温になり、モータの故障が生じ得る。
【0009】
本発明は、回転羽根部を回転駆動するモータの温度が高い状態でのモータの起動を防止するように構成された回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示における回収装置は、掃除機が接続された状態で掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。回収装置は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転駆動力を発生するモータと、モータの回転駆動力を受けて回転することにより掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻と、検出時刻の前においてモータを停止させた作動停止時刻と、の間の時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていることを条件として、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したときにモータを起動する。
【0011】
本開示における他の回収装置は、掃除機が接続された状態で掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。回収装置は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転駆動力を発生するモータと、モータの回転駆動力を受けて回転することにより掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻と、検出時刻の前においてモータを起動した作動開始時刻と、の間の時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていることを条件として、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したときにモータを起動する。
【0012】
本開示における更に他の回収装置は、掃除機が接続された状態で掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。回収装置は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転駆動力を発生するモータと、モータの回転駆動力を受けて回転することにより掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間におけるモータの作動時間長が所定の時間長閾値を下回っていることを条件として、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したときにモータを起動する。
【0013】
本開示における更に他の回収装置は、掃除機が接続された状態で掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。回収装置は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転駆動力を発生するモータと、モータの回転駆動力を受けて回転することにより掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間におけるモータの作動頻度が所定の頻度閾値を下回っていることを条件として、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したときにモータを起動する。
【発明の効果】
【0014】
上述の回収装置は、回転羽根部を回転駆動するモータ温度が高い状態で、モータを起動させない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図8】回収装置に設けられた検出回路の概略的な機能構成図
【
図9】回収装置のモータ制御部による起動制御の概略的なフローチャート
【
図10】モータ制御部による他の起動制御の概略的なフローチャート
【
図17】従来の掃除機と回収装置との接続部分の概略的な斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明するが、当業者の理解を容易にするために、例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0017】
(掃除機の構造)
図1は、スティック型の掃除機100の断面図である。
図2は、掃除機100の正面図である。
図1及び
図2を参照して、掃除機100を説明する。
【0018】
掃除機100は、床面上の塵埃を吸い込む吸込ノズル130と、吸込ノズル130に対して前後方向に傾動可能に吸込ノズル130に取り付けられた掃除機本体110と、掃除機本体110の上端112から上方に延設された把持部140と、を備えている。
図1及び
図2に示す掃除機本体110及び把持部140は、吸込ノズル130に対して直立した姿勢をとっており、この直立姿勢より前方には傾動しない。掃除機100の使用時においては、掃除機本体110及び把持部140は、吸込ノズル130に対して後方に傾動した姿勢で使用者によって保持される。
【0019】
吸込ノズル130は、塵埃を吸い込むための幅広の吸込空間131を形成するように、掃除機本体110よりも幅広のノズルケース132を備えている。吸込空間131は、ノズルケース132の前側部分において、床面に向けて開口している。この開口部分の後側では、吸込空間131は、ノズルケース132の底部134により閉じられている。吸込空間131には、回転式の掻取ブラシ133が配置されており、掻取ブラシ133は、吸込空間131の開口を通じて床面に接触可能にノズルケース132から露出している。
【0020】
掃除機本体110は、上下方向に細長い円筒状の筐体111を有している。筐体111の下端は、掃除機本体110の前後方向の傾動を許容するように、ノズルケース132の後部に取り付けられている。筐体111の上部は、筐体111の上端112に向けて細くなっており、上端112から把持部140が上方に延設されている。把持部140は、使用者により握持される太さを有している棒状の部分である。把持部140には、
図2に示すように、使用者によって操作される操作部141(操作ボタン)が設けられている。
【0021】
筐体111は、床面上の塵埃を吸い上げるとともに吸い上げた塵埃を貯留するための様々な部品を内蔵するように構成されている。詳細には、筐体111の下部の内部には、
図1に示すように、上下方向に延設された吸引管113が配置されている。また、吸引管113の上側には、貯塵室152が設けられており、貯塵室152には、塵埃を捕捉する一方で空気の通過を許容するフィルタ部115が配置されている。貯塵室152の上側には、貯塵室152と連通したファン室153が設けられており、ファン室153には、床面上の塵埃を吸い上げる吸引力を発生させて上向きの吸引気流を生じさせる吸引ファン116が配置されている。また、吸引ファン116に電力を供給するバッテリ117及びバッテリ117を充電する充電回路として構成された回路部170もファン室153に配置されている。吸引ファン116は、操作部141に対する操作に応じて、作動したり、停止したりする。
【0022】
吸引ファン116が生成した吸引気流を排気するために、ファン室153には、
図2に示すように、筐体111の前壁において開口した排気口151が設けられている。排気口151の上側には、給電用の一対の電気接点171,172及び磁性板173が設けられている。電気接点171,172及び磁性板173は、筐体111の前壁において同じ高さ位置に配置されている。
【0023】
電気接点171,172は、互いに離間した位置において左右対称に設けられており、ファン室153内に設けられた回路部170に電気的に接続されている。回路部170は、電気接点171,172間で電流が流れる電流経路を形成している。
【0024】
磁性板173は、電気接点171,172の間に配置されており、磁性板173及び電気接点171,172は、筐体111の周方向において等間隔に配置されている。
【0025】
ファン室153の下側の貯塵室152には、
図3に示すように、筐体111の前壁において開口した排塵口124が形成されている。排塵口124は、貯塵室152内のフィルタ部115によって捕捉された塵埃を排出するために設けられている。
【0026】
排塵口124は、蓋体121により開閉される。
図1及び
図2に示す蓋体121は、直立しており、排塵口124を閉じる閉姿勢になっている。一方、
図3に示す蓋体121は、閉姿勢の状態から所定の角度(90°以下の回動角度)だけ下方に回動して、排塵口124を開く開姿勢になっている。
【0027】
筐体111の下部に内蔵された吸引管113は、筐体111内で固定されており、掃除機本体110が直立姿勢(
図1に示す姿勢)から後方に傾動すると、筐体111とともに後方に傾動する。掃除機本体110が直立姿勢にあるときには、吸引管113の下端は、ノズルケース132の底部134に当接した状態になっている。すなわち、掃除機本体110が直立姿勢にあるときにおいて、吸引管113の下端は、ノズルケース132の底部134によって閉じられている。掃除機本体110が直立姿勢から後方に傾動すると、吸引管113の下端は、
図1の矢印Aで示す方向に移動する。この結果、吸引管113の内部空間は、ノズルケース132の吸込空間131に連通した状態になる。
【0028】
吸引管113の上端には、吸引ファン116が作動していないときにおいて吸引管113の上端を塞ぐ逆止弁114が取り付けられている。逆止弁114は、吸引ファン116の上向きの吸引力により、吸引管113の上端の開口を開放するように構成されている。
【0029】
(回収装置の構造)
貯塵室152に貯留された塵埃は、
図4に示す回収装置200により回収され得る。回収装置200は、掃除機100が接続された状態で掃除機100の貯塵室152に貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。詳細には、回収装置200は、筐体210と、台座板220と、を備えている。台座板220の前側部分には、筐体210が据え付けられており、台座板220の後側部分は、掃除機100を載置可能に構成されている。掃除機100が台座板220の後側部分に載置されると、掃除機100が回収装置200に接続された状態が得られる。
【0030】
回収装置200の筐体210内には、掃除機100の貯塵室152に貯留された塵埃を吸い出すための様々な部品が設けられている。回収装置200の筐体210内には、掃除機100の貯塵室152内の塵埃が流入するように一端部が筐体210の外側に開口した塵埃流路230が設けられている。塵埃流路230の他端部は、掃除機100から回収された塵埃が貯留される回収室240に接続されており、回収室240の下側には、吸引源250が配置されている。吸引源250は、回転駆動力を発生するモータ251と、モータ251の回転駆動力により回転する回転羽根部252と、を含んでいる。吸引源250のモータ251は、筐体210内においてモータ制御部260に電気的に接続されている。モータ251は、モータ制御部260の制御下で動作し、回転羽根部252を回転させる。回転羽根部252は、回転することにより吸引力を発生させるように構成されている。
【0031】
筐体210は、塵埃流路230及び回収室240が収容された上部212と、上部212を所定の高さ位置で支持する下部211と、を有している。上部212は、掃除機本体110と当接可能に構成されており、掃除機本体110が上部212に接続されたとき、塵埃流路230は、掃除機100の貯塵室152に連通する。掃除機本体110から前方に突出した吸込ノズル130との干渉を避けるために、筐体210の下部211は、上部212よりも前後方向において小さくなっており、下部211の後方には、吸込ノズル130を収容するための収容空間213が形成されている。
【0032】
上部212は、周壁部271と、上壁部272と、を含んでいる。周壁部271は、
図5に示すように、平面視において略矩形状の内部空間を形成するように立設されており、周壁部271の後壁214は、掃除機100が接続可能に形成されている。上壁部272は、周壁部271により囲まれた略矩形状の内部空間を上側から閉じるように構成されている。
【0033】
周壁部271の後壁214には、
図5に示すように、掃除機本体110の前側部分と相補的な凹溝部215が設けられている。凹溝部215は、
図6に示すように、上下方向に延設されている。凹溝部215には、直立姿勢の掃除機本体110の前側部分が嵌め込まれる。掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれることにより、掃除機本体110は、凹溝部215の幅方向(左右方向)において位置決めされる。
【0034】
周壁部271の後壁214の凹溝部215には、矩形状の回収口216が形成されている。回収口216は、掃除機本体110が直立姿勢になった状態で掃除機100が台座板220上に載置されて、掃除機本体110の前側部分が凹溝部215に嵌め込まれたときに、
図3及び
図7に示す排塵口124と前後方向に重なり合う位置に形成されている。すなわち、回収口216は、
図7に示すように、掃除機100が回収装置200に取り付けられたときに、掃除機100の排塵口124に対向する。回収口216は、掃除機100の蓋体121が開姿勢になったときにおいて回収口216内に入り込む大きさを有している。
【0035】
回収口216は、塵埃流路230の下端部により構成されている。塵埃流路230は、
図4に示すように、筐体210の上部212内に配置されて、上下方向に延設されている。塵埃流路230の上端は、回収室240に接続されており、掃除機100の蓋体121が排塵口124を開くと、塵埃流路230は、排塵口124及び貯塵室152に繋がる。
【0036】
回収室240は、
図5に示すように、平面視において矩形状の空間を形成するように構成されている。回収室240は、矩形状の空間を周方向に囲んでいる周壁241と、矩形状の空間を下側から塞ぐ底壁245と、矩形状の空間を上側から塞ぐ上壁248と、を含んでいる。周壁241には、塵埃流路230の上端が接続されている。
【0037】
回収室240の底壁245には、円形の開口部が形成されており、
図5に示すように、この開口部に除塵フィルタ247が取り付けられている。除塵フィルタ247は、塵埃を捕捉する一方で、空気の通過を許容するように構成されている。除塵フィルタ247の下側に、吸引源250が配置されている。吸引源250の吸引力は、掃除機100が回収装置200に取り付けられているとき、回収室240及び塵埃流路230を通じて掃除機100の蓋体121に作用する。吸引源250のモータ251及び回転羽根部252は、蓋体121を閉姿勢から開姿勢へ傾動させるとともに、貯塵室152内の塵埃を吸引する大きさの吸引力が得られるように構成されている。
【0038】
吸引源250が回収装置200への掃除機100の接続に応じて作動するように、吸引源250のモータ251は、モータ制御部260により制御される。回収装置200への掃除機100の接続の検出のために、凹溝部215の上部には、掃除機本体110の電気接点171,172と接触する導電性の接触片283,284が設けられている。
【0039】
接触片283,284は、掃除機本体110が凹溝部215に挿入されたときに掃除機本体110の電気接点171,172に対向する位置に設けられた一対の穴部に対して出没可能に構成されている。接触片283,284は、穴部から突出する方向に付勢されており、掃除機本体110が凹溝部215に挿入されると、電気接点171,172にそれぞれ接触する。この状態では、接触片283,284は、電気接点171,172及び回路部170により電気的に互いに接続されている。一方、掃除機本体110が凹溝部215に挿入されていない状態では、接触片283,284は、互いに絶縁された状態になっている。
【0040】
掃除機本体110の電気接点171,172に対する接触片283,284の接触状態を検出するための検出回路290が回収装置200の筐体210内に配置されている。検出回路290は、モータ制御部260に電気的に接続されており、掃除機本体110の電気接点171,172に対する接触片283,284の接触状態の検出結果をモータ制御部260に出力するように構成されている。
【0041】
詳細には、検出回路290は、
図8に示すように、掃除機本体110の電気接点171,172に対する接触片283,284の接触状態を検出する接続検出部286と、接触片283,284に電気的に接続された給電部285と、を含んでいる。給電部285は、接触片283,284間に所定の電位差を生じさせるように構成されている。たとえば、給電部285は、外部電源287に電気的に接続されて、外部電源287の交流電圧を直流電圧に変換するコンバータにより構成されていてもよい。
【0042】
接触片283,284が、掃除機本体110の電気接点171,172に接触した状態では、電流が、給電部285から、接触片283、回路部170、電気接点172及び接触片284を順次流れ、給電部285に戻る通電経路288が形成される。接続検出部286は、通電経路288を流れる電流を検出するとともに、検出された電流に基づいて接触片283,284間の電気抵抗を算出するように構成されている。また、接続検出部286は、算出された電気抵抗が所定の抵抗閾値以下であれば、回収装置200に対する掃除機100の接続が検出されたことを通知するための検出信号を出力するように構成されている。なお、掃除機100が回収装置200に接続されている限り、接続検出部286は、検出信号を出力し続ける。接続検出部286は、たとえば、電流を検出する電流計と、検出された電流から電気抵抗を演算する演算回路と、検出信号を生成する信号生成回路と、から構成されていてもよい。
【0043】
接続検出部286は、モータ制御部260に電気的に接続されており、上述の検出信号は、モータ制御部260に伝達される。モータ制御部260は、検出信号の受信に応じて、吸引源250のモータ251を起動するか否かの所定の判定処理を行うように構成されている。モータ制御部260が、吸引源250のモータ251を起動することを決定した場合には、モータ251が起動する。なお、以下の場合には、モータ制御部260は、モータ251を起動しない。
・モータ制御部260が、検出信号を受信しない場合。
・上述の判定処理の結果、モータ制御部260がモータ251を起動しないことを決定した場合。
【0044】
また、モータ251の作動中において、接続検出部286からの検出信号の受信が途絶えれば、モータ制御部260は、モータ251を停止させる。
【0045】
加えて、モータ制御部260は、モータ251の動作履歴情報(モータ251の起動及び停止の時刻情報など)を記憶するように構成されている。動作履歴情報は、回収装置200を起動するときの上述の判定処理に利用される。モータ制御部260は、動作履歴情報を記憶するための記憶素子が搭載された制御回路により構成されていてもよい。この制御回路には、モータ251の起動時における上述の判定処理を実行可能なマイクロプロセッサ及びモータ251を作動及び停止するための信号生成器が搭載され得る。
【0046】
掃除機本体110に対する接触片283,284の接触状態を保持するために、
図6に示すように保持部297が設けられている。保持部297は、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれたときに、
図2に示す磁性板173に対向する位置に設けられて、磁性板173を磁気的に吸着する磁石板によって構成されていてもよい。保持部297と磁性板173との間で作用する磁力は、掃除機本体110に対する接触片283,284の接触状態を保持する保持力になる。
【0047】
保持部297と接触片283,284との間の位置関係は、掃除機本体110の磁性板173と電気接点171,172との間の位置関係に対応している。すなわち、保持部297は、接触片283,284と同じ高さ位置に設けられているとともに、凹溝部215の周方向において接触片283,284と等間隔に配置されている。言い換えると、保持部297は、接触片283,284と同じ高さ位置であって、凹溝部215の幅方向において中心位置に配置されている。
【0048】
(清掃作業時における掃除機の動作)
掃除機100は、清掃作業時において、吸込ノズル130に対して掃除機本体110及び把持部140が後方に傾斜した姿勢で、使用者に保持される。吸込ノズル130に対して掃除機本体110及び把持部140が後方に傾斜した姿勢にすることにより、吸込ノズル130を押しながら前方に移動させやすくなる。この状態において、吸引管113の内部空間は、吸込ノズル130の吸込空間131と連通している。
【0049】
使用者が、その後、操作部141を操作して、吸引ファン116を作動させると、吸引ファン116は、上向きの吸引力を発生させる。この吸引力により、逆止弁114は、吸引管113の上端を開く。
【0050】
吸引管113の上端が開かれると、吸引ファン116の吸引力は、吸込ノズル130の吸込空間131を通じて塵埃を吸引する吸引気流を生じさせる。吸引気流は、吸込ノズル130及び吸引管113を通過し、貯塵室152に流入する。床面上の塵埃は、吸引気流に乗って貯塵室152に流入し、貯塵室152に配置されたフィルタ部115により捕捉される。フィルタ部115により捕捉された塵埃は、貯塵室152内で貯留される。
【0051】
清掃作業が終了すると、使用者は、操作部141を操作して、吸引ファン116を停止させる。この結果、吸引ファン116の吸引力がなくなり、逆止弁114は、吸引管113の上端を閉じる。したがって、フィルタ部115により捕捉された塵埃は、吸引管113内に落下することなく、貯塵室152内に留められる。
【0052】
(塵埃の回収時における回収装置の動作)
使用者は、貯塵室152に貯まった塵埃を回収装置200に回収するために、回収装置200に掃除機100を取り付ける。詳細には、使用者は、回収装置200の台座板220上に掃除機100を設置し、掃除機本体110及び把持部140を直立姿勢にする。直立姿勢になった掃除機本体110が、回収装置200の凹溝部215に嵌め込まれると、掃除機100の蓋体121は、回収装置200の回収口216に前後方向に対向する。この状態において、回収装置200の接触片283,284は、掃除機本体110によって前方に押されており、接触片283,284は、後壁214の穴部内に没入している。
【0053】
このとき、接触片283,284は、掃除機本体110の電気接点171,172にそれぞれ接触しており、
図8に示す通電経路288が形成される。この結果、給電部285が接触片283,284の間で生じさせた電位差により、電流が通電経路288を流れる。この場合、接続検出部286は、接触片283,284間において、上述の抵抗閾値以下の電気抵抗を検出し、回収装置200に対する掃除機100の接続が検出されたことを通知する検出信号を出力する。この検出信号をモータ制御部260が受信すると、モータ制御部260は、吸引源250のモータ251を起動するか否かの判定処理を行う。この判定処理については、別途詳述する。モータ制御部260が、判定処理の結果、モータ251を判定することを決定した場合には、モータ251が起動される。
【0054】
吸引源250のモータ251が作動すると、回転羽根部252が回転駆動され、吸引力が生ずる。この吸引力は、回収室240及び塵埃流路230を通じて、回収口216に対向している蓋体121に作用する。蓋体121は、吸引源250の吸引力を受けて、
図7に示すように、排塵口124を閉じる閉姿勢から下方に傾動して、排塵口124を開く開姿勢になる。
【0055】
蓋体121が下方に回動すると、排塵口124が開放され、塵埃流路230は、貯塵室152と連通した状態になる。したがって、吸引源250の吸引力は、貯塵室152内の塵埃に作用し、塵埃は、排塵口124から流出する。排塵口124から流出した塵埃は、その後、回収口216及び塵埃流路230を通じて、回収室240内に流入する。回収室240内において、塵埃は、除塵フィルタ247により捕捉されて回収室240に貯留される。
【0056】
(モータの停止制御及び起動制御1)
吸引源250のモータ251を停止する停止制御及びモータ251を起動する起動制御1を、
図9を参照して以下に説明する。
【0057】
吸引源250のモータ251が上述の如く作動している間、モータ制御部260は、接続検出部286からの検出信号を継続的に受信しているか否かを判定する(
図9のステップS110)。モータ制御部260は、回収装置200に対して掃除機100が接続されていることを表す検出信号を受信していれば(ステップS110:Yes)、モータ251を作動し続ける。一方、検出信号の受信が途絶えれば(ステップS110:No)、モータ制御部260は、モータ251を停止するとともに(ステップS120)、モータ251を停止した時刻を、作動停止時刻として記憶する(ステップS130)。
【0058】
上述のモータ251の停止処理(ステップS120,S130)の後、モータ制御部260は、接続検出部286からの検出信号を受信したか否かを判定する(ステップS140)。検出信号を受信するまでは(ステップS140:No)、モータ制御部260は、モータ251の停止状態を維持する。一方、検出信号を受信すれば(ステップS140:Yes)、モータ制御部260は、検出信号の受信時刻と上述の作動停止時刻との間の時間間隔を算出する(ステップS150)。この時間間隔は、所定の間隔閾値と比較される(ステップS160)。この間隔閾値は、モータ251の温度が十分に下がっていることが保証されるような大きさに設定されていてもよい。
【0059】
ステップS150において算出された時間間隔が上述の間隔閾値を上回っていれば、モータ制御部260は、モータ251を起動する(ステップS170)。一方、時間間隔が間隔閾値以下であれば(ステップS160:No)、モータ制御部260は、次の検出信号の受信を待ち(ステップS140:No)、次の検出信号の受信があれば(ステップS140:Yes)、ステップS150及びステップS160の処理が再度実行される。言い換えると、検出信号の受信時刻と作動停止時刻との間の時間間隔が間隔閾値を上回るまでは、モータ251の起動が防止される。
【0060】
図9に示す起動制御1では、モータ251の停止直後におけるモータ251の起動が防止される。言い換えると、モータ251の起動は、モータ251の作動停止時刻から間隔閾値によって定められた時間長を経過した後において許容される。モータ251の温度が十分に下がっていることが保証されるような大きさに間隔閾値が設定されていれば、モータ251の起動は、モータ251の温度が十分に下がった後に許容される。すなわち、モータ251の温度が高い状態でのモータ251の起動が防止される。
【0061】
(回収装置の起動制御2)
図9に示す起動制御1では、モータ251の作動停止時刻から掃除機100の接続が検出された検出時刻までの時間間隔に基づいて、モータ251を起動するか否かが決定されている。代替的に、
図10に示すように、モータ251の停止前に記憶された作動開始時刻から掃除機100の接続が検出された検出時刻までの時間間隔に基づいて、モータ251を起動するか否かが決定されてもよい。
【0062】
モータ制御部260は、接続検出部286からの検出信号を受信する前においてモータ251を以前に起動したときのモータ251の作動開始時刻を記憶している。モータ制御部260は、接続検出部286からの検出信号を受信すると(ステップS140:Yes)、検出信号の受信時刻と上述の作動開始時刻との間の時間間隔を算出する(ステップS155)。この時間間隔は、所定の間隔閾値と比較される(ステップS160)。この間隔閾値は、モータ251が繰り返し起動された場合において許容可能な最短の起動時間間隔よりも大きな値に設定される。
【0063】
ステップS155において算出された時間間隔が上述の間隔閾値を上回っていれば、モータ制御部260は、モータ251を起動するとともに(ステップS170)、モータ251の作動開始時刻を記憶する(ステップS180)。ステップS180で記憶された作動開始時刻の情報は、モータ251を次に起動するときにおける判定処理(ステップS155,S160)に利用される。一方、時間間隔が間隔閾値以下であれば(ステップS160:No)、モータ制御部260は、次の検出信号の受信を待つ(ステップS140:No)。次の検出信号の受信があれば(ステップS140:Yes)、ステップS155及びステップS160の処理が再度実行される。言い換えると、検出信号の受信時刻と作動開始時刻との間の時間間隔が間隔閾値を上回るまでは、モータ251の起動が防止される。
【0064】
図10に示す起動制御2では、モータ251が短時間で起動を繰り返すことが防止される。このため、モータ251への負荷は、過大にならない。
【0065】
図10に示す起動制御2は、
図9に示す起動制御1とともに実行されてもよい。この場合、以下の起動条件全てが成立した場合において、モータ251の起動が許容される。
・起動条件:
モータ251の直前の作動停止時刻から掃除機100の接続の検出時刻までの時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていること(起動制御1:
図9)。
モータ251の直前の作動開始時刻から掃除機100の接続の検出時刻までの時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていること(起動制御2:
図10)。
【0066】
(回収装置の起動制御3)
回収装置200への掃除機100の接続が検出された検出時刻の直前において、モータ251が長期間に亘って作動していれば、検出時刻におけるモータ251の温度は高くなっている。このような高温状態でのモータ251の起動を防止するために、
図11に示すような起動制御3が行われてもよい。
【0067】
図11は、モータ251が作動開始時刻ts1において起動され、作動停止時刻te1において停止されたことを示している。また、作動停止時刻te1の後、モータ251は、作動開始時刻ts2において再度起動され、作動停止時刻te2において再度停止されている。作動停止時刻te2の後、接続検出部286は、検出時刻tdにおいて、回収装置200への掃除機100の接続を検出している。
【0068】
モータ制御部260は、検出時刻tdから所定の遡及期間tpだけ遡った時刻tb(=td-tp)を算出し、時刻tbから検出時刻tdまでのモータ251の作動時間長を算出する。
図11では、時刻tbは、作動停止時刻te1前であるので、モータ251の作動時間長は、作動停止時刻te1と時刻tbとの差分値と、2回目の作動時間長tl2(=作動停止時刻te2-作動開始時刻ts2)と、の和として算出される。
【0069】
仮に、
図12に示すように、作動停止時刻te2と検出時刻tdとの時間間隔が長ければ、算出される作動時間長は短くなる。
図12では、検出時刻tdから遡及期間tpだけ遡った時刻tbは、作動開始時刻ts2と作動停止時刻te2との間の時刻であり、この場合、算出される作動時間長は、作動停止時刻te2と時刻tbとの差分値になる。
【0070】
モータ制御部260は、作動時間長を所定の時間長閾値と比較する。時間長閾値は、モータ251が放熱しにくい構造であれば、小さな値に設定され、逆に、モータ251が放熱しやすい構造であれば、大きな値に設定されてもよい。
【0071】
モータ制御部260は、作動時間長が時間長閾値を下回っていることを条件として、検出時刻tdにおける回収装置200に対する掃除機100の接続の検出に応じて、モータ251を起動する。言い換えると、作動時間長が時間長閾値以上であれば、モータ制御部260は、モータ251を起動しない。このように、モータ251の起動が制御されれば、モータ251が高温になっている状態でのモータ251の起動が防止される。
【0072】
図11及び
図12に示す起動制御3は、
図9に示す起動制御1とともに実行されてもよい。この場合、以下の起動条件全てが成立した場合において、モータ251の起動が許容される。
・起動条件:
直前の作動停止時刻te2から掃除機100の接続の検出時刻tdまでの時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていること(起動制御1:
図9)。
モータ251の作動時間長が所定の時間長閾値を下回っていること(起動制御3:
図11及び
図12)。
【0073】
図11及び
図12に示す起動制御3は、
図10に示す起動制御2とともに実行されてもよい。この場合、以下の起動条件全てが成立した場合において、モータ251の起動が許容される。
・起動条件:
直前の作動開始時刻ts2から掃除機100の接続の検出時刻tdまでの時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていること(起動制御2:
図10)。
モータ251の作動時間長が所定の時間長閾値を下回っていること(起動制御3:
図11及び
図12)。
【0074】
図9~
図12の起動制御1~3全てが実行されてもよい。この場合、以下の起動条件全てが成立した場合において、モータ251の起動が許容される。
・起動条件:
モータ251の直前の作動停止時刻から掃除機100の接続の検出時刻tdまでの時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていること(起動制御1:
図9)。
モータ251の直前の作動開始時刻から掃除機100の接続の検出時刻tdまでの時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていること(起動制御2:
図10)。
モータ251の作動時間長が時間長閾値を所定の時間長閾値を下回っていること(起動制御3:
図11及び
図12)。
【0075】
(回収装置の起動制御4)
モータ251が所定の期間において高頻度で起動すれば、モータ251に対する負荷が高くなる。モータ251が高頻度で起動することを防止するために、
図13又は
図14に示す起動制御4が実行されてもよい。
【0076】
図13では、モータ制御部260は、検出時刻tdの前において、作動停止時刻te1~ten(nは、自然数)のデータを保持している。
図14では、モータ制御部260は、検出時刻tdの前において、作動開始時刻ts1~tsn(nは、自然数)のデータを保持している。
【0077】
検出時刻tdにおいて、接続検出部286が回収装置200に対する掃除機100の接続を検出すると、モータ制御部260は、検出時刻tdから所定の遡及期間tpだけ遡った時刻tbを算出する。その後、モータ制御部260は、時刻tbから検出時刻tdまでの期間において、いくつの作動停止時刻(
図13)又はいくつの作動開始時刻(
図14)があるかを、モータ251の作動頻度としてカウントする。モータ251の作動頻度は、所定の頻度閾値と比較される。なお、頻度閾値は、モータ251が許容する作動頻度の上限値よりも低い値に設定される。
【0078】
モータ251の作動頻度が頻度閾値を下回っていれば、モータ制御部260は、モータ251を作動させる。一方、モータ251の作動頻度が頻度閾値以上であれば、モータ制御部260は、モータ251を起動せず、モータ251の停止状態を維持する。このように、モータ251の起動が制御されれば、遡及期間tpにおいて、モータ251が過度に高い頻度で作動することが防止される。
【0079】
図13又は
図14に示す起動制御4は、
図9乃至
図12に示す起動制御1~3のいずれか又は全てとともに実行されてもよい。この場合、モータ251を起動させる起動条件は、起動制御4による以下に示す起動条件と、起動制御4とともに実行される起動制御1~3のいずれか又は全ての起動条件と、を組み合わせたものになる。
・起動制御4による起動条件:
遡及期間tpにおけるモータ251の作動頻度が所定の頻度閾値を下回っていること。
【0080】
上述の実施形態において、回収装置200に対して掃除機100が接続されたか否かは、接続検出部286が検出した電気抵抗に基づいて判定されている。代替的に、回収装置200に対する掃除機100の接続は、接触式のスイッチング素子により機械的に検出されてもよい。あるいは、光学式のセンサ又は静電容量を検出するセンサによって、回収装置200に対する掃除機100の接続が検出されてもよい。
【0081】
上述の実施形態において、回収装置200及び掃除機100は、互いに通信するようには構成されていない。代替的に、回収装置200及び掃除機100は、互いに通信可能に構成されていてもよい。たとえば、掃除機100は、回収装置200に取り付けられたときに、回収装置200に接続されたことを表す信号を出力可能に構成されていてもよい。この場合、回収装置200の接続検出部286は、掃除機100からの信号を受信する受信機によって構成されてもよい。すなわち、接続検出部286は、回収装置200に接続されたことを表す信号を受信することによって、回収装置200に対する掃除機100の接続を検出するように構成されていてもよい。
【0082】
上述の実施形態において、回収装置200のモータ251は、回収装置200から掃除機100が取り外されたときに停止する。これに加えて、モータ251は、所定の時間長だけ作動し続けたことを条件として停止してもよい。この場合、上述の起動制御1~4は、所定の時間長だけ作動し続けたことを条件として停止したモータ251を起動することに適用されてもよい。
【0083】
(効果等)
上述の実施形態に係る回収装置200は、以下の特徴を有しているとともに、以下の効果を奏する。
【0084】
上述の実施形態に係る一の局面に係る回収装置は、掃除機が接続された状態で掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。回収装置は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転駆動力を発生するモータと、モータの回転駆動力を受けて回転することにより掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻と、検出時刻の前においてモータを停止させた作動停止時刻と、の間の時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていることを条件として、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したときにモータを起動する。
【0085】
モータが作動している間、モータの温度が上がるが、モータが停止している間にモータの温度が下がる。しかしながら、モータの停止期間が短ければ、モータの温度はあまり下がらない。
【0086】
上述の構成では、モータの温度が下がっていない状態でのモータの起動を防止するために、モータ制御部は、回収装置への掃除機の接続が検出されると、この検出時刻と、当該検出時刻の前においてモータを停止させた作動停止時刻と、の時間間隔を間隔閾値と比較する。この比較処理の結果、作動停止時刻と検出時刻との時間間隔が間隔閾値を上回っていれば、モータ制御部は、モータを起動する。モータの温度が十分に下がり得る大きさに間隔閾値が設定されていれば、モータは、温度が十分に下がった状態で起動される。この結果、回転羽根部がモータにより回転し、吸引力が発生する。この吸引力により、回収装置に接続された掃除機内の塵埃が回収装置に吸い込まれる。その後、掃除機が回収装置から取り外されれば、モータが停止し、掃除機から回収装置への塵埃の吸引が終わる。一方、作動停止時刻と検出時刻との時間間隔が間隔閾値以下であれば、モータ制御部は、モータを起動せず、モータの停止状態が維持される。すなわち、温度が十分に下がっていない状態でのモータの起動が防止される。
【0087】
上述の構成において、モータ制御部は、検出時刻と、作動停止時刻の前においてモータを起動した作動開始時刻と、の間の時間間隔が他の間隔閾値を上回っていることを条件としてモータを起動してもよい。
【0088】
上述の構成では、モータを起動した作動開始時刻と検出時刻との間の時間間隔に対して間隔閾値が設定されており、当該時間間隔が間隔閾値を上回っていることがモータの起動の条件になっている。このため、モータ制御部は、作動開始時刻と検出時刻との間の時間間隔が間隔閾値以下であれば、モータを起動しない。この結果、モータが過度に短い期間において起動を繰り返すことが防止される。このため、モータへの過度の負荷が防止される。
【0089】
上述の構成において、モータ制御部は、検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間におけるモータの作動時間長が所定の時間長閾値を下回っていることを条件として、モータを起動してもよい。
【0090】
上述の構成では、検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間におけるモータの作動時間長が長ければ、モータの温度が検出時刻において高くなっていることが推定される。このような状態でのモータの起動を防ぐために、モータ制御部は、作動時間長が時間長閾値を下回っていることを条件として、モータを起動する。作動時間長が時間長閾値以上であれば、モータ制御部は、モータを起動しないので、モータの温度が高くなっている状態でのモータの起動が抑制される。
【0091】
上述の構成において、モータ制御部は、検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間におけるモータの作動頻度が所定の頻度閾値を下回っていることを条件としてモータを起動してもよい。
【0092】
上述の構成では、検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間におけるモータの作動頻度が高ければ、モータは、遡及期間において大きな負荷を受けている。このような状態でモータを起動してモータが更なる負荷を受けることを防ぐために、モータ制御部は、作動頻度が頻度閾値を下回っていることを条件として、モータを起動する。モータ制御部は、モータの作動頻度が頻度閾値以上であれば、モータを起動しないので、モータへの負荷が高くなっている状態でのモータの起動が抑制される。
【0093】
上述の実施形態に係る他の局面に係る回収装置は、掃除機が接続された状態で掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。回収装置は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転駆動力を発生するモータと、モータの回転駆動力を受けて回転することにより掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻と、検出時刻の前においてモータを起動した作動開始時刻と、の間の時間間隔が所定の間隔閾値を上回っていることを条件として、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したときにモータを起動する。
【0094】
上述の実施形態に係る更に他の局面に係る回収装置は、掃除機が接続された状態で掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。回収装置は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転駆動力を発生するモータと、モータの回転駆動力を受けて回転することにより掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間におけるモータの作動時間長が所定の時間長閾値を下回っていることを条件として、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したときにモータを起動する。
【0095】
上述の実施形態に係る更に他の局面に係る回収装置は、掃除機が接続された状態で掃除機内において貯留された塵埃を吸い出すように構成されている。回収装置は、回収装置に掃除機が接続されているか否かを検出する接続検出部と、回転駆動力を発生するモータと、モータの回転駆動力を受けて回転することにより掃除機内の塵埃を吸引する吸引力を発生させる回転羽根部と、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したことに応じてモータを作動させるとともに、接続検出部が回収装置からの掃除機の取り外しを検出したことに応じてモータを停止するモータ制御部と、を備えている。モータ制御部は、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出した検出時刻から所定の時間長だけ遡った遡及期間におけるモータの作動頻度が所定の頻度閾値を下回っていることを条件として、接続検出部が回収装置への掃除機の接続を検出したときにモータを起動する。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本実施形態の原理は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0097】
100・・・・・掃除機
200・・・・・回収装置
251・・・・・モータ
252・・・・・回転羽根部
260・・・・・モータ制御部
286・・・・・接続検出部